立入調査阻止行動2日目

今日は立入調査阻止行動の2日目です。

午前9時過ぎ、先週金曜日と同じように、石木ダム建設事務所長以下職員数名が、強制収用のための測量調査の「お願い」にやってきました。

このように、冒頭、県職員による私たちへのビデオ撮影行為に皆が抗議しました。

止めろと言われてもしばらく撮り続けていたMさん。

当然上司の指示だったと思いますが、県はなぜこのようなことをしたのでしょう?

 

阻止行動の参加者個人を特定し、このうち地権者が何人いるとか、

地権者の〇〇家からは参加者がいなかった、あそこは落とせるんじゃないか?

などと吟味するためでしょうか?

 

それとも、参加者の中で地権者ではない人物をブラックリストにアップして、

非県民としてマークするためでしょうか?

秘密保護法や共謀罪が押し寄せてくる昨今ですが、

日本の民主主義はいよいよ危うくなってきたような気がしてなりません。

 

そんな中、川原の地権者の皆さんは、

権力を恐れず、果敢に意思を貫いて生きている!

その姿が感動を与え、共感を呼びます。

 

ダム事務所長から意思の再確認を求められた4人の地権者が、

今日もきっぱりと拒否しました。

「〇〇です。絶対ダメです。造らせん!帰れ!」

「最初国が造るて言うた? 始めたとは県やろ?なんが法か!」

(「事業認定」を錦の御旗のように持ち出す県に責任転嫁はするな!という意味の発言)

「測量は絶対反対です!所有者が立ち会わなければ意味がない。やっても無駄ですよ」

 

こうして、4人の意思を確認した所長は、このことを知事に伝え県の判断を仰ぐ、

その結果は午後伝えに来ることを約束して引き揚げて行きました。

 

そして、午後1時半。約束の時間に所長たちはやってきました。

 

明日からの測量調査はしないと明言!

しかし、付替え道路工事は「やる」と、これまた明言。

 

すべて予定通り。

30日から暑くて長い闘いが始まります。

心配なのは川原のおばあちゃんたち。

今日、所長の前に出て「絶対造らせん!」と言ったおばあちゃんも、言葉ほどお元気ではない。

午後、第一ダム小屋から歩いてきたおばあちゃんは、苦しそうに肩で息をしていました。

木陰に置かれたイスに座って「心配せんで大丈夫。休めば平気」と笑顔を見せてくれましたが…

 

このおばあちゃんたちの意志の強さと思いの深さが、県にはなぜ届かないのでしょうか?

 

 

 

立ち入り調査阻止行動 初日に関する報道

今日の新聞各紙の記事の見出しを紹介します。

長崎新聞1面:石木ダム立ち入り調査 測量 反対派が阻止 県、28日にも再度試み

長崎新聞27面:アリバイづくりだ 県、滞在わずか10分

西日本新聞:県、石木ダムの調査できず 反対地権者や支援者が阻止

朝日新聞:石木ダム 地権者の抗議で 県が測量できず

読売新聞:石木ダム 立ち入り調査できず 地権者ら80人阻止行動

長崎新聞1面

長崎新聞27面

 

西日本新聞

 

朝日新聞

 

読売新聞

25日の立入調査 阻止

今日の「立入調査」阻止行動はわずか10分ほどで終わりました。

県の職員(石木ダム建設事務所長他)がやって来てから帰るまでの一部始終が、この動画に収められています。

 

福岡から2時間半かけて応援に来たIさんにとっては、あっけない阻止行動だったことでしょう。

でも、県外からの弁護団が到着したのは終了直後で、こちらはもっと唖然となさったかも・・

 

しかし、10分が短すぎるとは思いません。

1分でもいいし、そもそも来なくてもよかったのです。

立入調査はお断りすると、7月17日県庁で、地権者は明確に伝えていたのですから。

が、そこは手続きを最重要視するお役所のこと、どうしても当日もう一度現地でお願いする必要があったのでしょう。

 

そして今日、地権者の意思をあらためて確認したわけですから、

来週28日〜31日は、もう来る必要はないはずですが・・・

終了後記者の一人が、地権者の思いを無視するのか?と質問すると、

石木ダム建設事務所の古川所長は、

無視するわけではないが、この手続きは法律で認められていることなので来週また来てお願いする、

また、皆さんの疑問については、別の場できちんと答えていく、

などと返答していました。

 

話し合いをしながら一方で、強制収用の手続きを進めたり、ダム建設に繋がる工事をやるという、

そこのところが地権者の皆さんや私たちの考えと相容れないところです。

 

まず話し合いを徹底的におこなうべきだと思います。

その中で初めて地権者の理解が得られる可能性が生まれるのです。

お座なりな形だけの話し合いをいくらやっても理解が得られるはずはありません。

決してそうではない、誠心誠意説明すると県は言いますが、

話し合いの裏でダム有りきの態度を見せつけられたら、どうして素直に向き合えるでしょう?

そんな、ごく普通の感覚が、行政の皆さんには理解してもらえないようで…残念です。

 

 

第2ダム小屋設置!

今日の長崎新聞です。

昨日、石木ダム建設絶対反対同盟が小屋を設置したと報じています。

 

小屋が建てられた場所は、今回県が強制収用を狙っている場所です。

ダム建設予定地の中にあるダム反対地権者13世帯が所有する土地の中でも、

4件だけが今回(9月8日がタイムリミット)の収用裁決申請の対象となるものです。

その土地にこの小屋が建てられたのです。

 

ここは強制収用反対の拠点となるでしょう。

この小屋が壊されるのは、強制収用され、行政代執行されるときです。

私たちは、それを許すまいとここに集まり、この小屋を守ろうとするでしょう。

それでも重機を使って、この小屋を壊すのか?

権力で住民の暮らしを捻り潰そうとするのか?

県の意思が問われ、県民の前に可視化されるでしょう。

 

その時が来るまで、ここは阻止行動の休憩所となるようです。

 

前からあった第1のダム小屋はこちら。

1982年の強制測量の時以来、ずーっと県の動きを監視してきた小屋。

今や川原のおばあちゃんたちのサロンと化していますが・・・

ここには、こんな看板も掲げられています。

あの下筌ダムに反対し、蜂の巣城を築いて最後まで闘った室原知幸さんの言葉です。

まるで返り血で書かれたような真っ赤な文字が、胸にグサリと刺さります。

 

知事、佐世保市長、河川課長に、この言葉を贈りたい…

 

裁決申請へ対立激化〜長崎新聞解説

今朝の長崎新聞です。

石木ダムをめぐる県と住民の対立の現状について、わかりやすく解説しています。

 

1.なぜ対立しているのか

県:石木ダムを建設したい→反対地権者の土地が必要→強制収用してでも取得したい

地権者:石木ダムは必要のないダム→必要のないダムのために自分たちが犠牲になるのは嫌

 

2.なぜ対立が激化しているのか

県:強制収用を可能にする裁決申請の期限まであとわずか。急いで手続きを進めたい

地権者:話し合いは続けると言いながら、一方で権力を振りかざしている

  32年前の強制測量の時と同じ。二枚舌を使う県のやり方は許せない

 

3.付け替え道路工事

県:工期の残り期間も迫っているし、今回の工事区間の土地はすべて買収済み。早期に着工したい

地権者:今回工事区間ではないが、残り区間に我々の土地が含まれている。我々は絶対に売らない  

   つまり道路は完成しない。完成しない道路に使った税金は無駄になる

記者:県の工程表では、付け替え道路の開通目標は2016年度となっているが、道路の完成には

   数年を要し、現実的には困難。県は工程表の再変更も視野に入れている

 

このように冷静で客観的な状況分析をした後、

この記事の下のコラム「記者の目」で、宮崎智明記者は指摘しています。

県のいう「話し合い」は、「帳面消しとしか思えない」と。

「話し合いと裁決申請への手続きを平行して進める」こと自体が、どだい無理な話だ。

とも述べています。

全く同感です。

左手に刀を持ったまま、右手で握手しようとしても、誰がその手を握れるでしょう!

 

 

県に怒りの抗議!

午後3時過ぎ、県庁玄関前に、地権者と支援団体が集まりシュプレヒコールを繰り返しました。

 石木ダムは要らないぞー!

 石木の美しい自然を壊すなー!

 強制収用は許さないぞー!

何度も何度も繰り返しました。

そして、地権者の一人はマイクを持つと、県庁の建物に向かって、

「私たちは納得のいかないダム建設には死んでも反対します!」と叫びました。

 

私たちの前には、マスコミだけでなく、数人の河川課職員が取り囲んでいました。

地権者は、抗議文を渡すから責任者を呼んでほしいと言いましたが、

知事だけでなく、2人の副知事も、土木部長も誰もいないとのことで、

第2庁舎へ案内されました。

 

移動する間は、さながら短いデモ行進となりました。

 

用意された会議室で待っていたのは、河川課長と企画監でした。 

まず弁護団副団長の板井弁護士から、

知事は話し合いをしたいと言ってたのに、測量を始めると発表したと聞いているが、

それについての事実関係はどうなっているのか説明を求めました。

 

河川課長:11日の川原公民館での話し合いのとき、知事は冒頭、話し合いもしていくが、

  裁決申請まで残り少なくなっているので、事務手続きは進めさせていただきたい。

  また、付け替え道路工事も近々に始めさせていただきたいとお願いしました。

 

地権者:立ち入り調査の話は聞いていないし、お願いを聞き入れるわけにはいかない。

  私たちは何度も言ってるように、必要性のないダムを認めるわけにはいかない。

 

弁護団:地権者はお願いを受け入れないと言っているんだから、それでいいですね。

 

課長が「いや、今の発言者は今回立入調査の対象となっている該当者ではないので…」

と言うと、該当の地権者4人が立ち上がって次々に意思表示しました。

 

該当者:Aです。立入りはイヤです。

該当者:Bです。ダメです。

該当者:Cです。絶対ダメです。

該当者:Dです。絶対ダメです。

 

弁護団:このように、立ち入りに対しては、4人全員イヤだと言ってます。

  それはまず理解して下さい。それでもなおかつ実力で入りたいということなのか? 

課長:実力で入ることはしない。

  敷地に立入はしなくても周辺からの調査はさせて頂きたいので、現地には行きます。 

該当者:周辺から見られるのもイヤです。

課長:とにかく、現地へ行き、現地でもう一度お願いさせてください。

 

どんなに拒否されても行く姿勢を崩さない課長に対して、堀江県議が発言しました。

堀江県議:議会で知事はいつも言ってますよ。地権者に「誠心誠意対応する」と。

  あなたの発言はその対応になってないですよ。

  25日に行くことになっているので行きますという主張ばかりでは、ダメです。

  今日あなたは地権者から立入を拒否された。こんなに抗議を受けた。

  抗議文を持って帰って「部内で協議します」と言わなければ!

 

そこでやっと、

 「事業が要らないと考える地権者の疑問に対し、合理的な説明ができないまま

  土地収用の手続きを進めていこうとする行動に強く抗議するとともに、

  立ち入り調査の撤回を求める」

などとする抗議文が読み上げられ、課長に手渡されました。

 

課長は「知事に報告し、検討します。その回答は来週、25日前に提出します」

と約束しました。

 

最後に地権者から、

・付替え道路工事はダム建設に繋がる工事なので、私たちは反対である。

・知事は着工の1週間前には連絡をすると以前約束したので、それは守ってもらいたい。

 (強制測量の時も前回の付替え道路工事の時も、約束を破って事前連絡をしなかった)

・今年は国体がある。その年に強制収用などしたら大変なことになる。

 国体の会場で石木ダム問題が日本中に知れ渡り、長崎県は大恥をかくだろう。

などのメッセージを知事に伝えるようお願いして、抗議行動を終えました。

 

地権者の怒りの10分の1でも県に伝わったでしょうか?

奪う者と奪われる者の立場の違いをまず理解してほしい。

抗議文と共に、地権者の思いを、知事はしっかり受け止めてほしい。。

 

付替え道路も 近々着手!

今朝の長崎新聞です。

8月には付け替え道路工事が始まりそうだと伝えています。

 

「裁決申請しなければ、事業認定そのものが無効になる。

 地権者の理解を得る努力と並行し、事務手続きも進めなければならない」

 

この言葉から、県の意思(=石木ダムは絶対造る)が伝わってきます。

今後も続けると約束した地権者との話し合いは、

話し合うと言っても、石木ダム有りきの基本は変わらない。

話し合っているうちに地権者がダム建設を認めてくれれば、それが何より。

期限までに認めてくれなければ、予定通り強制収用をしてダムを造る。

だから、手続きだけはしっかり進めておかなければ・・・

ということのようです。

 

本当にダムが必要なのか?

佐世保市の水不足は本当はどの程度なのか?

川棚川の洪水対策はダムがベストなのか?

ダム以外に対策は無いのか?

そんなふうに真摯に考えてみようという気は、さらさらないということ。

 

淀川水系流域委員会や川辺川住民討論会のような本物の話し合いとは程遠い、

あくまでも形だけの話し合いなのですよ、ということのようです。

 

地権者の皆さんは度重なる欺きに怒り、明日県庁へ抗議に行きます。

私たち支援団体も参加します。

午後3時20分、県庁前広場に集合です。

よろしくお願いします。

 

話し合いからわずか3日後、「立ち入り」通知!

これは今朝の新聞です。

7月14日、長崎県は石木ダム建設予定地の地権者4世帯に、測量調査のため農地に立ち入ることを通知したと報じています。

何のための測量かと言うと、収用裁決申請に必要な書類を作成するためで、

その調書には実測平面図を添付しなければならないからです。

 

石木ダムの必要性について、話し合いを始めたばかりです。

石塚副知事は記者会見で「必ずしも立ち入りの通知が採決申請に直結するものではない」

「事務手続きの一環とご理解頂きたい」などと述べて、話し合いは続けると強調しましたが、

ほんの3日前、県市合同の第1回目の話し合いをスタートしたばかりです。

 

こんな矛盾した、手のひらを反すような態度に地権者の皆さんは怒っています。

KTNニュースでは、Kさんが、「あれだけ話をしてやり方が汚いもんね。馬鹿にしとる。

権力でねじふせようとしても、負けはせん」と語っていました。

 

立ち入り調査は今月25日から1週間予定されています。

地権者の皆さんは、1982年の強制測量のときと同じように、座り込んで阻止します。

もちろん、私たちも・・・

 

知事と地権者の面談を伝える報道

長崎新聞1面

 

長崎新聞27面

 

朝日新聞

 

西日本新聞

 

毎日新聞

 

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20140711-OYTNT50194.html

石木ダム事業 知事、反対地権者と面会

 県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダム事業を巡り、中村知事は11日夜、予定地内のこうばる公民館を訪れ、建設に反対する地権者13世帯に協力を求めた。地権者側は「今はダムが必要な水不足の状況にない」などと反発した。

 反対地権者が集団で知事と面会するのは2010年9月以来2回目。知事には佐世保市の朝長則男市長と川棚町の山口文夫町長が同行し、地権者側は弁護団や支援者を含めて約50人が参加した。

 国は昨年9月、ダム事業の公益性を認めて土地収用法に基づく事業認定を告示。県は建設に必要な土地を強制的に収用することが可能となり、その裁決申請期限が9月8日に迫っている。知事は「残された時間はわずか。そろそろ具体的な事務手続きを進めなければならない」と地権者側に立ち退きに理解を求めた。

 これに対し、地権者の岩下和雄さん(67)は「時間がないから同意しろと言うのか。我々の理解を得たいのなら、ダム以外の選択肢も含めて議論すべきだ」などと主張した。

 

NHK
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035623681.html

石木ダム 知事と地権者が面談

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐり、中村知事は11日夜、ダムの建設に反対する地権者と面談して改めて建設への協力を求めましたが、地権者側はダムの必要性は認められないとして、議論は平行線をたどりました。
石木ダムをめぐっては、国が去年9月、地権者から土地を強制的に収用することが可能となる「事業認定」を行い、ダムの建設に反対する地権者との対立が深まっています。
こうした事態を打開するため、中村知事は11日夜、現地を訪れて、地権者や弁護団などおよそ50人と面談し、「ダムは地域の治水対策に必要でどうかご理解を賜りたい」などと改めて建設への協力を求めました。
しかし、地権者側からは「佐世保市への水の供給量の実績は下がっているのになぜ市が立てている需要予測は上がることになっているのか」などとダムの必要性を疑問視する声が相次ぎ、議論は平行線をたどりました。
面談のあと、中村知事は「地権者の皆様にはダム事業が理解できないというお気持ちがあると思うが、話し合いをさせて頂くなかで、ご理解を得られるよう努力していきたい」と述べました。
一方、地権者の岩下和雄さんは、「私たちは不要なダムだと思っているが、県がどうしても必要だと言うならその根拠を示して頂かなければならない」と述べました。

 

NBC長崎放送 
http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#4

石木ダム反対地権者と知事が面会

県と佐世保市が東彼・川棚町で計画している石木ダム事業で、事業に反対している地権者と中村知事が11日夜、4年ぶりに話し合いの場を持ちました。地権者と中村知事との話し合いは、川棚町の地元公民館で行われ佐世保市長も同席しました。石木ダム事業を巡っては、県が土地を強制的に収用できる「事業認定」を受けたことから、地権者らは反発を強めています。土地の収用を採決する委員会への申請期限が9月に迫る中、地権者らは中村知事に、ダムの必要性を直接説明するよう求めていました。中村知事は「川棚川の治水対策、佐世保市の水不足を解消するために不可欠な事業。私はこれからも話し合いの中で解決を目指してまいりたい」とあいさつ。これに対し、地権者代表の岩下和雄さんは「私たちの理解が得たいという思いなら、ダム以外に方法がないか納得のいく議論をしていこう」と答えました。その後の議論では、中村知事らがダムの必要性として、佐世保市の水不足解消を主張したのに対し、地権者側は「水は足りている」と反論。最後まで議論はかみ合いませんでした。

 

KTNテレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/

石木ダム 中村知事が4年ぶりに地権者と面談

東彼・川棚町に建設が計画されている石木ダムをめぐり、中村知事と、反対地権者が、昨夜、4年ぶりに面談しました。しかし、計画への理解を求める県側と、白紙撤回を求める地権者との溝は埋まりませんでした。 

石木ダムの建設予定地にある東彼・川棚町の川原公民館で、4年ぶりに顔を合わせた中村知事と、反対地権者。冒頭、中村知事が、計画への理解を求めますが、地権者らは反発。計画の根拠となっている水需要への疑問をぶつけました。馬奈木昭雄弁護士「(実績では)減っているのに、なぜか予測をたてると、今後は右肩上がりで伸びていく。なぜ、こんな予測をたてるのか」これに対し、中村知事や佐世保市の朝長市長は、水需要は適宜見直していて、これから起こり得る水害や、水不足に備えるためには、石木ダムが必要だと説明しました。しかし、地権者側は、すでに対策は進んでいて、ダム建設は必要ないと主張。2時間を超える議論は、平行線のままでした。地権者・岩下和雄さん「私たち13世帯は、ここで生活を営んでいるんですよ。こういうダム計画は、早く中止してほしい」中村知事「これは、我々の使命ですから、これからも努力していかないといけない。」中村知事は、今後も話し合いを続ける姿勢を示す一方、建設予定地の強制収用については否定しませんでした。

 

NCC長崎文化放送
http://www.ncctv.co.jp/news/

知事が石木ダム地権者と面談

県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を計画している石木ダムを巡り中村知事が建設に反対する地権者らと4年ぶりに面談しました。中村知事と朝長佐世保市長らは11日夜、ダム建設予定地の公民館を訪ね、ダムに反対する地権者や弁護団と2時間半に渡って意見を交わしました。利水と治水のためダムが必要と訴える県側に対し、地権者側は「必要性の根拠に納得ができない」などとして、議論は、またも平行線に終わりました。石木ダムを巡っては土地の強制収用に向けた裁決申請の期限が9月に迫っています。

 

以上です。

マスコミは「平行線」という言葉が好きなのか、

正直そのようにしか見えないのか…定かではありませんが、

今回も、そのような言葉が目につきます。

後者だとしたら残念です。

 

昨夜は、やっと話し合いの第一歩を踏み出したところです。

今後少しずつ距離を縮めていきたい、

本当に実りある議論をすることによって、

佐世保市の水の実態と川棚川の治水の問題を、行政と市民が真剣に語り合い、

ダム有りきではなく、真の有益な対策を考えていきたい、

と思っているところです。 

マスコミの皆さんにも、そのような目で見守っていただけたら有難いな・・・

 

知事、反対派と面談!

 

石木ダム反対運動の拠点ともいうべき川原公民館に、知事がやってきました。

やっと実現した知事との面談です。

知事だけではありません。左右に佐世保市長と川棚町長も着座し、関係自治体の首長が全員集合です。

その後ろには県土木部長、河川課長ら県職員、佐世保市水道局長ら水道局職員も揃っています。

県側はやっと、石木ダムの必要性について、真正面から私たちと議論する気になってくれたのか!

と、みんな期待して見つめました。

 

しかし、冒頭の挨拶は、やはりお願いでした。

会場からは一気に怒号があがりました。

知事も市長も、やはりどうしてもお願いの場としか捉えていないのか…

との落胆があって、地権者からの話も「不愉快だ」との言葉から始まりました。

それは第三者にはなかなか理解が難しいとは思いますが、

地権者の立場に寄り添ってみれば、もっともなことなのです。

 

冒頭の地権者の話を以下に紹介します。

知事はこれまで「ご理解が得られるよう今まで何度も説明をしてきた」と言うが、

それは本当だろうか?

私たちが納得できるような本当の説明をやってきただろうか?

私たちにとってはただの一度もない。

当初から私たちは石木ダムの必要性に疑問を持っていた。

だから、専門家を交えて議論しましょうと何度も言ってきた。

しかし、1982年当時の高田知事は話し合いを蹴って機動隊を導入し強制測量をやった。

その後、県は生活再建と補償の話し合いしかしないと言ってきた。

3年前のダム検証の時も、私たちは専門家を入れて検証してほしいと何度も言った。

しかし、起業者(県と佐世保市)、川棚町、波佐見町の行政側だけで検討を進め、

たった3回の検討会議で、ダム優位と結論づけた。

公共事業評価監視委員会の委員からも疑問の声が出たが、

委員長によって話が打ち切られ事業継続となった。

見せかけだけの検討の場だった。

このように、県が真摯にダムの必要性を私たちと議論したことは過去一度もなかった。

私たちとの話し合いを拒んできたのは県の方だ。

今からでも遅くない。

私たちの理解が得たいと本当に思うなら、

石木ダムの必要性について、また、ダム以外に方法が無いのかについて、

納得のいく議論をしていこうではないか。

今日を第1回の場として議論を始めよう。

形だけでなく、納得のいく真の話し合いをやってほしい。

それがここにいる皆の総意だ。

と訴えて、マイクを弁護団に渡し、具体的な議論に入っていきました。

とても素晴らしい導入でした。

この言葉の重みを、県も市も、特に知事には十分に受け止めてもらいたいと願っています。

 

さて、はじめに議論されたのは、利水についてです。

なぜ佐世保市は石木ダムを必要とするのか、今現在水が不足しているのか?

それとも過去の渇水被害の再来を防ぐためなのか?

その基本的な質問をぶつけられて、市側は明確に答えることができませんでした。

 

水道局長の答えは要約すればこういうことでした。

現実に今日明日の水が足りないというわけではない。

しかし我々は水道事業者として、常時必要とする水を提供する義務を負っている。

リスク管理ができる水源を保有しているかと言うと、そうではない。

(平時は足りていても渇水がおきたときに今のままでは対応できない)

また、現時点だけでなく、10年後のことも考えて水需給計画を立てなければならない。

 

市長の答えはこうでした。

私どもは平成6年の渇水が原点。市民は大変な思いをした。

だからどうしてもダムが必要。理解してほしい。

市政を預かる者としてはリスク管理をしなければならない。

 

つまりポイントは2つ。

その1.平成6年に匹敵する大渇水が再来したときに今も同じ被害が生じるのか?

    リスク管理しなければというなら、当然シミュレーションしているはず。

    その資料を示してほしい。

水道局:トライしたが、データが不十分だったのでシミュレーションはできていない。

    だから石木ダムの必要性の根拠とはしていない。

    ただ過去の渇水被害の証左としてあげているだけ。

その2.将来の需要予測が妥当なのか?

    昭和50年の資料では、佐世保市には10万5000トンの施設能力があるが、

    将来16万トンの水が必要になる、6万トン足りないからダムが必要と言っていた。

    しかし現在では7万7000トンしかなく、11万トン必要だから4万トン足りないという。

    40年前には16万トン必要と言っていたが、今その需要は半分の8万トンになっている。

    ダムは要らないじゃないか?

    また当時のまま10万5000トンの水を確保していればが今は足りているはずだが?

水道局長:市民は渇水の記憶が強くて節水意識が高いので、生活用水が他都市に比べて少ない。

    記憶が薄れてくれば水使用量も増えていくと予想される。

弁護団:節水意識が高いのは誇るべきこと。

    その意識を保持しようとせず、水需要が増えるのを期待するのは本末転倒ではないか?

知事:保有水源が減少したことについては、佐世保市は以前は不安定水源に頼っていたが、

   水道事業者としては安定水源に切り替えていかねばならないからだと理解している。

弁護団:安定水源、不安定水源という定義は水道法にはない。

   慣行水利権は許可水利権ではないが、安定水利権と見做されているはず。

   佐世保市が慣行水利権を保有水源と認めないのは一般的ではない。

   これを認めれば水源が不足しているとは言えないはず。

 

その後、話は治水に移りましたが、まず初めに、

まだ残っている河川改修工事が終われば、

石木ダムがなくても過去の洪水被害は防げる、流下能力はある

ということが確認されました。

 

では、県が予測している100年に1度の雨ではどうなのか?

つまり、24時間で400mmの雨が降った場合、石木ダムがなくては防げないのか?

という問題です。

 

河川課長:同じ400mmでも降り方によって違う。

     9パターンの内の1つ、昭和42年型の降り方の場合、流量が1400mmになり、

     石木ダムが無ければ防げない。 

弁護団:他の8パターンでは石木ダムが無くても大丈夫のようだが、

    それでは100分の1の確率にならないのではないか?

土木部長:最悪のパターンに当てはめて考えるので、他のパターンは関係ない。

    パターンに確率は無い。雨量が100年に1度だから確率は100分の1だ。

弁護団:実際にこの100年の間に流量が1400mmになったことはあるのか?

河川課長:それはわからない。データが昭和22年以降しか存在しないのでわからない。

弁護団:データや資料はなくても大きな被害の場合は語り継がれている。

    地域の人は昭和23年の水害以上の大きな水害は聞いた事がないと言っている。

    S23の洪水を100年に1度の洪水と見てもいいのではないか。

    だとすれば、河川改修だけで防げるので石木ダムは不要。

    少なくとも、そのような過去の被害の聞き取り調査などやってほしい。

 

第1回目の議論はそこで終了となり、最後に地権者のお二人から発言がありました。

Aさんは、採石場跡地を利水用の貯水池として活用する代替案を示し、

  「半世紀にわたりどれだけの無駄な時間と無駄なお金が費やされてきたのか

   権力と金の力で平和な安住の地が滅茶苦茶に破壊された」と訴えました。

Bさんは、最近見た夢として、

  「工事が始まって、皆が座り込んでいた。

   大きなダンプの運転席には久保前知事が座っていた。

   がんばらんば国体の開催が危ぶまれ、ネット上で知事への批判が集中していた。

   長崎県がやっていることは強制収用の乱用、

   国体に県民の関心が移っている間に着工した等々。

   知事は覚書の精神を無視して強行して悪かったと平身低頭していた。

   知事の顔は誰だかよくわからなかった。

   その後どうなるのか…と思っていたら、夢から覚めた」と、披露してくれました。

 

中村知事はどんな思いで、この夢の話を聞いていたでしょうか?

苦笑いなさっていたでしょうか?

少し不愉快になられたでしょうか?

 

私はBさんなりの、ユーモアあふれる知事へのラブレターのように感じました。

面談の冒頭に、まじめでキツイ要請があったように、地権者の皆さんは(もちろん私たちも)、

知事と真剣に話し合いたいのです。

事実を見つめ、客観的データに基づくまともな議論をし、そこに知事も参加する。

そうすること無しに、部下任せで判断すべきではない。

知事の判断はそれほど重いと思っているからです。

 

どうか今後も1回でも多く、この場に足を運んで頂けるよう願っています。

 

この面談の一部始終はこちらで公開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=7vHcEJL4cms&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=IvyApLZEztQ&feature=youtu.be