公述 節水型のまちづくりこそが大事

公聴会で公述した20組中、11組(11人)が石木ダム建設に公益性がないことを訴えました。

うち3人は、半世紀にわたって反対運動を続けてきた地権者です。

絶対反対です。

 

うち、2人は、関東からわざわざ公述に来てくださった、専門家の方々で、

利水、治水、また土地収用法や憲法の観点からも、客観的科学的に論じてくださいました。

 

残る6人は、川棚町民2人、波佐見町民1人、長崎市民1人、そして佐世保市民2人で、

それぞれ治水、利水、環境などの視点で、関係住民として県民としての思いを語りました。

 

佐世保からは、私ともう一人M・Yさんが公述しました。

Yさんは過去の実績を丹念に調べ、まとめ、提示してくれました。

数字は嘘は言いません。説得力があります。

誰もが納得する素晴らしい公述でした。

ここに、その原稿を掲載します。

同じ「石木川まもり隊」の仲間として、誇りに思います。

 

        ☆公聴会のための「公述」☆

                                                2013年3月23日

 私は、いまお話になった方と同じように、佐世保市で生まれ育った人間ですが、佐世保市民は生活用水には少しも困ってはいないし、石木ダムを建設するよりも節水型の街づくりに力を入れるべきだと思っています。

 本日、このように公述の機会をいただきましたので、ただいまの方とは全く反対の立場から、佐世保市民のひとりとして、また主婦のひとりとして、

・佐世保の水は足りていて、石木ダムは必要がないこと。

・少子高齢化と人口減少が急速に進むことから、今後も佐世保市民の水の使用量は減少すること。

・大渇水を経験した佐世保市は、福岡市のような節水型街づくりを目指すべきであること。

などについて意見を述べたいと思います。

たくさんの数字が出てきて、お聞き苦しいかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。

 

佐世保市水道局は、「佐世保市は慢性的な水不足であり、安定的に取水できる水源は日量77,000トンしかない。今後、水の需要が伸び、一日最大給水量が117,000トンになる。その差の40,000トンが不足する。不足する水源を求めるには石木ダム建設しかない」と言っています。

しかし、40,000トンの水が不足することは絶対にありません。

水道局は、佐世保市には安定水源が77,000トンしかないと言い、危機意識を煽りますが、実は、これは真っ赤なウソです。

水道局は「不安定水源」という名称で、取水できないかのような印象を与えていますが、岡本湧水1,000トンや、四条橋取水場の18,000トン、三本木取水場の4,500トン、合計すると23,500トンの水源を有しています。。これは、れっきとした水源です。

加えて、川棚川には暫定豊水水利権5,000トンもあるのです。

石木ダムを建設したいがために、不安定水源と称して、現にそこに有る、確かな水源を、存在しない水源であるかのように誤魔化しているのが佐世保市水道局なのです。

これに関しては、昨日、3人の公述人の方が詳しく述べられたとおりです。

 

では現在、佐世保市民は毎日何トンの水を使用しているのでしょうか。

直近の平成23年度及び24年度の給水量について実績値をもとに述べることにします。

  

まず、平成23年度です。

一日平均給水量は71,153トンで、一日最大給水量は80,240トンです。

通常、水の使用量は暑い夏場が最大になりますが、23年度の8月の一日平均給水量は75,262トンです。ちなみに、最も低かった月は平成24年3月で、一日平均給水量は69,335トンです。

私たちは、毎月の給水量を水道局にお聞きして記録をしていますが、あと10日ほど残した平成24年度については、3月20日すなわち一昨日までの実績値をお聞きしています。

そこで平成24年度の3月20日現在では、一日平均給水量は71,482トンで、一日最大給水量81,070トンです。

平成24年度の8月の一日平均給水量は75,762トンです。

24年度の実績値は、23年度のそれをわずかに上回りそうですが、先月・2月の一日平均給水量が68,735トンであり、3月は20日現在で68,339トンと、70,000トンを切りました。今後とも、水使用量が右肩上がりに伸びるとは到底考えられませんし、人口減少に見合って減少していくと考えるのが自然です。

強調したいのは、平成23年度の一日平均給水量71,153トンと、24年度の71,482トンの中には、この間の水道局の漏水対策の結果、若干の改善が見られるようになったとはいうものの、なお、7,000トン前後の漏水量が含まれているということです。つまり、現在の佐世保市の実際の水使用量は、一日平均で65,000トンを切っているのです。安定水源77,000トンでも十分過ぎるほど足りているのです。

佐世保市の水使用量は、給水人口が23万3,000人台であった平成4年度以降の一日平均給水量の実績値でみてみると、ずっと微減傾向が続いています。増加傾向を示したことは一度もありません。そして、平成19年度以降、減少傾向は顕著になってきました。平成23年度と24年度の実績値については先ほど示したとおりですが、佐世保市水道局は、相変わらず今後も、水使用量は右肩上がりで伸びていくと予測しています。はたしてそうなるでしょうか。今後は、少子高齢化・人口減少に見合って減少していく、このように考えるのが常識ある市民の感覚として自然だと思います。

佐世保市水道局は、将来的に一日最大給水量は117,000トンまで伸びる。安定水源は77,000トンしかない。不足する40,000トンを石木ダムで確保する。このように言い続けています。

 

専門家でない素人の私が、この「117,000トン」という数字について考えていることを述べてみたいと思います。

117,000トンの根拠について、佐世保市水道局は、平成11年12月31日に記録した一日最大給水量101,510トンをもとに説明してきました。すなわち、101,510トンを利用量率95%で割り戻した数字だという説明です。つまり、過去最大の一日最大給水量を記録した平成11年12月31日は、117,000トンの原水量が必要だったというのです。

ここで私が疑問に思うのは、ある年のある一日が、原水量で117,000トン必要だったからと言って、どうして77,000トンのほかに毎日40,000トンの水が必要になるのかということです。

水道局発行の資料で、平成11年度の一日の給水量を見てみると、平成11年度は、一日の給水量が10万トンを超えたのは12月31日だけです。9万トンを超えた日ですらたったの7日間にすぎません。しかも、平成11年度の漏水量は毎日10,000トンを超えていました。12月31日の一日最大給水量101,510トンのうちには、実に13,000トン強の漏水が含まれていたのです。

近年の一日の給水量をみると、80,000トンを超える日が極端に減少してきました。平成20年度は55日。21年度は19日。22年度は9日。そして23年度と24年度はたったの1日です。

ごく近い将来に、一日最大給水量ですら、77,000トンを切ることになるのではないでしょうか。

 

事業認定申請書に関して1点だけ述べます。

 

事業認定申請書の中の「事業の施行を必要とする公益上の理由」の「水道用水効果」の項に、「昭和53年、同57年、同59年から同61年まで、同63年、平成元年、同5年から同11年まで、同15年から同17年まで及び同19年から同20年までの過去の渇水時に渇水調整や地域住民への節水の呼びかけを行うなど、頻繁に渇水対策が強いられてきた」と、誇張された記載があります。

佐世保市水道局も、「2年に一度の頻度で渇水の危機に瀕している」と、負けず劣らず危機を煽っています。、水道事業者の心得としては、もう少し冷静に対応してもらいたいものだと思います。

 

石木ダム建設事業が正式に認可された昭和51年以降、断水があったのは昭和53年の11日間と平成6年から7年にかけての264日間の2回だけです。

平成17年に8日間の減圧による給水制限、平成19年から20年にかけて旧佐世保地区は125日間の減圧による給水制限がありました。

しかし、減圧給水というのは、水道局が誇張して言うほど、市民生活への影響は大きくなく、普段と変わらない生活が出来ました。

 したがって、市民生活に影響のある断水が実施されたのは、昭和53年の11日間と平成6年から7年にかけて264日間の2回だけなのです。

 

佐世保市の南部にある下の原ダムは、平成19年に嵩上げ工事が竣工しました。ところで、平成17年の渇水で、8日間の減圧による給水制限が行われましたが、水道局は、この17年の渇水を総括する文書を公表しています。

この中に、「下の原ダムの嵩上げが完成していたら、結果的に給水制限に入ることもなかった。一日も早い嵩上げの完成が待たれる」との記述があります。

つまり、下の原ダムの嵩上げ完成後であったら、平成17年の減圧による給水制限はなかったと言っているわけです。

水道局は強調して、「2年に1度の頻度で渇水の危機に瀕している」と言いますが、折からの降雨で解消された水道局が言う2年に一度の渇水の危機も、下の原ダムの嵩上げが竣工した今日、文字どおり過去のものであって、これからはもうありません、と言っているわけです。

 

ここで私は、素人らしく物事を考えてみようと思います。

 

長崎県の県都である長崎市の水の使用量はどのくらいかHPで調べてみました。平成22年度の給水人口は428,472人で、一日平均給水量は127,121トンとなっています。

ところで、佐世保市水道局が今年度実施した「石木ダム建設事業に係る再評価」で、水道局は平成36年を目標年度として新水需要予測を示しました。

これによると、平成36年の給水人口は209,119人に減少しますが、おかしなことに一日平均給水量は増加して84,685トンなるにとしています。

 

長崎市の平成22年度の数値と、水道局が予測した平成36年度の数値を比較してみます。素人なりに、的を射た見方だと思います。

 

佐世保市の給水人口は長崎市の半分以下なのですから、一日平均給水量は127,121トンの半分である63,561トン以下となります。それなのにどうして、水道局が予測するような84,685トンという大きな数字になるのでしょうか。全くあり得ない数字だと思います。

 

県庁所在地である長崎市には公的機関や民間会社の支店の多くが集中し、佐世保市と比較するとはるかに、生産活動や経済活動が活発です。その長崎市の給水人口と一日平均給水量をもとに比較した平成36年の佐世保市の一日平均給水量は63、561トン以下にしかならない、これは極めて妥当な数字ではないでしょうか。

 

 次に「節水型街づくり」に関連して述べたいと思います。  

 

確かに、平成6年から7年にかけての渇水は大変でした。

水道局は、このときの渇水を、日本一厳しい264日間といいます。厳しくなかったと言うつもりは毛頭ありません。しかし、この年の大渇水は西日本から関東地方までの広い地域で起こったもので、何も佐世保市だけではありませんでした。広島県福山市では、佐世保市を上回る290日間、福岡市ではさらに上回る295日間の制限給水でした。

 

この厳しい渇水を経験して、佐世保市民は水を大切にすることを学びました。我が家でも、散水や掃除には井戸水を使いますし、洗濯には風呂の残り湯を活用しています。多くの市民は、普通に節水をしています。

佐世保市長は、よく「佐世保市民はシビアな生活をしている」と言われますが、私たち市民は、節水することが辛いだとか、苦しいだとか誰も思っていません。節水に心がけることは、生活していくうえで、当たり前のことではないでしょうか?

 

同じように、渇水で苦しんだ他の都市では、その後どのような取り組みをされているでしょうか。

295日間という長期の制限給水に苦しんだ福岡市では、天候に左右されず水を供給できる海水淡水化の導入に向けた研究会が、平成7年9月に設置され、10年後の平成17年6月より水の供用が開始されています。

それだけではありません。平成15年には、「福岡市節水推進条例」が制定され、「雑用水道の設置」「節水機器の奨励」などが決められています。

 

同じように渇水に苦しんだ香川県高松市では、平成13年に「高松市節水・循環型水利用に関する要綱」を定め、「水は限りある資源であると言う視点から、市・市民及び事業者の協働により、全市をあげて節水・循環型水利用を推進する」こととし、「渇水に強い街づくり」をめざすとしています。

さらに「高松市・再生水利用下水道事業実施要綱」をも定めて、トイレや散水など飲料水以外の用途に再生水を使用していくことをめざしています。

また、愛媛県松山市では、平成17年に「大規模建築物の節水対策に関する条例」を定め、大規模な建築物の新築、増築には節水機器、雨水タンクの設置を義務付けています。

 

これらの節水に取り組んでいる都市では、雨水タンクへの助成も行なわれています。九州では福岡市、長崎市、熊本市、鹿児島市、飯塚市など多くの自治体が雨水タンクへの助成を行なっています。

 

 では、佐世保市ではどうでしょうか。

10年ほど前、佐世保駅周辺に大きなマンションが建ち始めたころですが、知り合いの市議会議員の方を通して「大きな建築物には節水機器を取り付けるべきではないか?」と質問をしてもらいました。これに対する回答は、「そういうことを義務付ければ、業者が佐世保に進出してこなくなる」というものでした。あきれた話だと思います。

 

あれほどの渇水を経験したにもかかわらず、節水条例を制定する動きはなく、雨水タンクへの助成すら検討されていません。ただ、「石木ダム建設」があるのみなのです。

 

 昨日、公述人のお一人で石木ダム建設促進佐世保市民の会の方が、平成6年の渇水時の辛さを述べ、「市民の中には水が足りていると言う者がいるが、あの渇水を経験したのだろうか」と疑問を呈され、石木ダムの必要性を訴えられました。私は冒頭に述べたように、佐世保生まれの佐世保育ちで、もちろん平成6年の渇水も経験しています。しかし、ダムは要らないと思っています。

 

ダム建設には時間がかかります。促進市民の会の方々は、それほどまでに水が必要だと考えられるのなら、なぜ今まで、ダムよりも安価で手軽に設置できる雨水タンクの奨励や中水の活用を言ってこられなかったのでしょうか? 私にとってはそれこそが疑問に思えます。

 

 佐世保市内には、共同使用されているものも含めて多くの井戸があります。

私は、佐世保駅から少し南の稲荷町というところに住んでいますが、この一帯は、ほとんどのお宅に昔ながらの井戸があります。あの渇水のときには大いに役立ちました。保健所で水質検査をしてもらいましたが、「沸かせば飲める」と言われました。我が家周辺の地下には良い水脈が走っているのかも知れません。佐世保市は家庭用の井戸など1度も調査をしていません。きちんと調査をして、活用すべきです。

 

最後に、下水の「一次処理水」について述べます。

下水の一次処理水は、日量35.000トンも捨てられています。

このことは、平成20年の3月議会で、石木ダム建設推進の立場であられるN議員が取り上げられ、『提案だが、中部下水処理場において処理している中水の活用を崎辺、倉島、米海軍佐世保基地及び佐世保地方総監部までのラインで施行をしていただければ、また、西部下水処理場における中水は陸上自衛隊の相浦駐屯地で再利用していただければと考えている。中部下水処理場における日量3万トンの処理水は余りにももったいない。このことができるとすれば、そのライン周辺の公共施設にとどまらず、民間施設への活用もできることから、貯水池への負担が相当に軽減できるものと思われるし、水源確保と同様の効果として評価できるものと考えている。』と発言されました。

実に納得のいくご提案でした。

N議員がおっしゃるように、もっと一次処理水の有効活用を考えるべきではないでしょうか?

 

しかし、佐世保市の対応は鈍いというほかありません。

やはり、石木ダム建設推進しか頭にないのだと思います。残念なことです。

 

佐世保の市民たちは、平成6年の渇水時に石木ダムがあったら、あのような制限給水はなかったと思い込まされていますが、それは違います。日照りが続けばダムも干上がるのです。「平成6年の渇水時に、石木ダムがあっても制限給水は避けられなかった。」といったのは、水道局自身です。

 

これまで、いろいろと述べてまいりましたが、これらのことを総合して考えると新たに「石木ダム」を建設する必要はまったく無いことが、ますます確信できました。みなさま方にも、「石木ダム」を建設する必要がないことがお分かりいただけたと思います。

 

ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

公聴会2日目

今日も10人の公述人が登壇。

ダム推進派と反対派がちょうど半々でした。

人数で言えば6人対5人ですが、5枠ずつ。

 

トップバッターは、地権者の若者。

と言っても、なんと4人の子のお父さんです。

ぼくらは、生まれ育ったふる里を、自然の恵あふれる川原をただ守りたいだけ。

そして、この素晴らしいふる里を子どもたち、○○、○○、○○、○○に残したいだけ!

と涙声で叫ぶように訴えました。

みんな、会場中が固まったように身じろぎもせず、全身で聴き入っていました。

国交省の事業認定官はもちろん、

起業者(長崎県職員+佐世保市職員)も、ダム推進派の人たちも、

きっと立場を忘れて聴いていたに違いありません。

 

その後も推進派と反対派が交互に意見を陳述しました。

 

昨日同様、推進派の皆さんは、水害体験、渇水体験の苦労話が主です。

中には土地を売って出て行った者の辛さ、肩身の狭さなどを訴え、早くダムを造って欲しいと言う方、

また、県や佐世保市水道局のいつもの説明そっくりに話される方も。。

 

反対派は、

Hさんが環境評価についての話、大村湾の赤ナマコの被害、そして憲法で保証された人権侵害に当たることなどを話し、

Mさんは、佐世保市の水が足りていることを具体的な数字をたくさんあげて説明し、

節水型の街創りにこそ力を入れるべきことを力強く断言しました。

反対派のトリを務めた地権者のIさんは、石木ダムの歴史を語り、13世帯の不動の意思を語りました。

その中で、元佐世保市長の桟氏の話は印象的でした。

 

桟市長は平成6〜7年の大渇水被害の責任をとって辞められたそうで、非常に悔しがっておられた…。

なぜなら、市長は石木ダムに代わる代替案をいろいろ考えて実行しようとしたが、

ことごとく県に阻まれ実現できなかった、

代替策を実現できていたら、こんなひどい渇水被害は起きなかった…と。

そして、私に「これからも頑張ってください」と励ましの言葉さえかけられたのです。

 

県がダムを造る本当の目的は何なのか…あらためて考えさせられる話でした。

 

一方、推進派のトリを務めたのは、某大学教授のK先生。

話を聴く前から御用学者との噂が飛び交っていましたが、公述の途中で退席する人が続出。

私は最後まで聴きましたが、なぜ、この先生がここにいるのか…不思議な気分になりました。

様々なグラフや図や写真を沢山提示して、

将来の気象傾向、洪水被害、渇水被害の予測を示し、

昨年の集中豪雨による九州各県の被害実態とその原因について詳しく報告されました。

 

「洪水被害調査」の報告会なら、たいへん関心を集めたでしょうが、

石木ダムとは関係のない話を延々と聞かされ、

最後の4分ほど前にようやく石木ダムの話が出てきました。

要は、地球温暖化により、今後は洪水被害も渇水被害も増える、

その際役に立つのがダムで、さらなる工夫と弾力的な運用で、大いに期待できるそうで、

「石木ダムが今後長きにわたって地域の安全・安心に大きく貢献することを確信する」そうです。

 

地元のことを何も知らず、地元調査もせず、一般論だけで石木ダムを云々するなんて、

あまりにも安直なやりかたですね〜

 

公聴会はこれで終わりました。

事業認定官の方の心には、しっかり届いたはずです。

地権者の思い、佐世保市の水受給計画のデタラメさ、長崎県の河川整備計画の悪質さ、etc.

 

でも、この公益性を実際に審議するのは、九地整ではないんですよね〜

社会資本整備審議会が公益性を判断するのですよね〜

なぜ?

なぜ認定官の方々ではダメなのか、わかりませんね〜

せっかく、心を込めた公述がなされても、

それを実際に聞いていない人たちが審議することに、どんな意味があるというのか…???

 

 

公聴会始まる

いよいよ今日から公聴会が始まりました。

国交省九州地方整備局が石木ダム事業の公益性を判断するために、

賛成反対多様な意見を聴くことを目的として開催されたのです。

公聴会は、土地の強制収用を可能にする事業認定手続きの一環として行うわけですから、

どうしても反対派の言葉の方が重く、切実で、また説得力もあるように聞こえました。

(身びいきではなく…)

推進派の意見はどうしても過去の辛い体験談が多く、

洪水の被害とか、渇水時の苦労とか…

そこへいくと反対派は今と未来を見据えた話が多く、建設的に聞こえました。

(やっぱり身びいき?)

 

身びいきついでに、私の公述原稿を貼付しますので、暇だったら読んでみてください。

(30分分は長いので、ご覚悟を!)

 

 

1.    本当に水不足か

 

石木ダム事業の公益性を考えるとき大前提となるのが佐世保市の水事情です。

市長さんや水道局長さんはいつも

佐世保市民は慢性的な水不足で苦しんでおり、それを解消するには石木ダムしかない

と言われます。

それが正しければ公益性は高いかもしれません。

 

結論から言いますと、私は、水不足だとは思っていません

もちろん、水が豊富だとも思いませんし、水道局の職員の皆さんが長い間ご苦労なさってきた

ことも知っています。そのことには心から感謝しています。

しかし少なくとも、新たにダムを造らなければならないほどの水不足では決してない

と、私は思っています。

私だけでなく主婦の多くは水不足とは感じていません。

なぜなら私たちは、お風呂もトイレも洗濯も、日常生活に困っていないからです。

私たちは昨年夏、石木ダムについての街頭アンケートを行いました。

市民100人の方に聞きましたが、「水不足で困っていますか?」との問いに、94%の人が

困っていないと答えました。

 

その主婦の実感を裏付ける資料があります。このグラフをご覧下さい。

これは給水量の実績値と予測値です。

 

 

緑の線が平均給水量の実績値、青の線が最大給水量の実績値です。

ここ10年間でこんなに減っています。

平均給水量は一日に約1万トン、最大給水量では2万トンも減っています。

一方赤の線を見てください。こちらは推計値です。

佐世保市は、国の補助金を受けるために、5年に一度石木ダム事業の再評価をやって

厚生労働省に提出しています。その時必ず、このような水需要の予測を出すのですが、

毎回かなり過大な増加傾向が示されます。そして、結果は毎回外れています。

これは5年前に出された予測ですが、昨年度のところを見てください。

赤線の23年度の予測は10万5千トンほどですが、青線の実績は8万トンですよね。

約2万5千トンも外れてしまっています。

佐世保市が出す予測はいつも現実を直視せず、希望的観測に基づいた計算に終始しているのです。

 

そして、給水量の減少については、

リーマンショックの影響などが原因で一時的なものだと言いますが、私はそうは思いません。

理由の第一は人口減少だと思います。

ここ10年間で給水人口は8000人ほど減りました。

水を使う人が減れば使用量が減るのは当たり前です。

 

また、節水機器の普及も大きな要因です。こちらのグラフをご覧下さい。

これはトイレで用を足した後に使う水の量を示したものです。

 

 

1970年代初めごろ造られていた便器では、1回につき約16リットルの水が必要でした。

それが2010年頃にはなんとたったの4リットル!以前の4分の1で足りるようになったのです。

トイレだけではありません。洗濯機も節水型の開発が進んでおり、10年前のものの半分ほどの

水量で洗えるようになっています。

このように、人口も減り、節水機器も普及した結果、どこの都市でも水需要は減っています。

それが紛れもない現実なのです。

 

そして、佐世保市の場合、これからもこの減少傾向は加速すると思います。

なぜなら、このグラフをごらんください。

 

 

グラフこれは昨年1月に九州経済調査会が示した人口予測です。

これによると、佐世保の人口は2035年には2010年の73.6%に落ち込むと予想されています。

つまり25年間で今の4分の3になるということです。

その減少率で25年後の水需要を予測すると、最大でも6万トンになってしまいます。

もちろん、それほど単純にあてはめることはできないでしょうが、かなり大きく減少することは

間違いないでしょう。

今でさえ水に不自由していないのに、これからはますます余裕が出てくると思います。

 

 

2.    今有る水源を活用しよう

 

ではなぜ、佐世保市は水が足りないと言うのでしょう。

それは、今保有している水源量を過小評価しているからです。

先ほど水道局からの説明の中で、佐世保市には77,000tしか水がないと言われました。

それは真実ではありません。こちらをごらんください。

 

 

これは、長崎県のサイト「石木ダムホームページ」に掲載されている資料です。

棒グラフで佐世保市の水源量を表しています。

左が現況=現在の状況で、右が石木ダムが出来た場合の計画水量を示しています。

現況の棒グラフの上に、105,500tと書かれています。

佐世保には現在105,500tの水源があるということです。

先ほど確認したように、昨年度の給水量は最大で8万トンでしたので、10万トン以上あれば

十分おつりがきます。

しかし、水道局はその中の28,500tは不安定な水源だからと言って完全に無視をするように

なりました。安定水源の77,000tしか無いと言うようになったのです。

そして、石木ダムを造って、40,000tの安定水源を確保すれば安心だ、

というのが佐世保市の主張です。

ちなみに、不安定水源とは、「安定して取水できない河川表流水や湧水のことだそうです。

 

しかし、その不安定水源からは、昨日も今日も毎日取水されています。

ずーっと昔から取水され続けてきた慣行水利権の水なのです。決してゼロにはならないのです。

それどころか、平成19年度の渇水の時は、これらの不安定水源から、

毎日15,000t〜25,000tもの水が取水されていました。

ということは、最低でも15,000tは取れる、頼りになる水源ということです。

安定水源77,000tにこの15,000tを足せば、92,000tになります。

つまり、いま現在、最低でも92,000tの水源を佐世保市は持っているのです。

現在の必要量80,000tは十分満たしています。

つまり、ダムなど造らなくても今有る水源で賄えるということです。

 

それにしても佐世保市は、どうしてこの大切な水を水源として認めないのでしょう?

どうして川の水よりダムの水を求めるのでしょう。

ダムの水も渇水になれば減る一方です。日照りが続けば、ダム湖も干上がります。

しかし、川が干上がることはめったにありません。流量は減っても川は流れ続けます。

その水は何年も前に降った雨水が大地にしみ込み、地下を旅して再び地上に出てきた水だからです。

 

森は緑のダムと言われます。

人間が造ったコンクリートのダムは自然を傷つけ、生態系を破壊し、

数十年かせいぜい100年で使い物にならないコンクリートの粗大ゴミとなり、

その時は再び巨額の費用を投じてダムを撤去しなければならなくなります。

しかし緑のダムは、人間が森を破壊しないかぎり、永遠に水を提供し続けてくれます。

しかも、無償で提供してくれます。

 

昨年、日本で初めてのダム撤去が熊本の荒瀬ダムで始まりました。

29億円かけて造られたダムが今、81億円という大金をかけて、

6年がかりで撤去されようとしています。

それは、清流球磨川の水が汚され、鮎漁が衰退して人口が減り、水害はかえって増え、

ヘドロの悪臭などダムによる被害に耐え切れなくなった住民の強い要望があったからです。

私たちもこのような事例を教訓として、目先のことだけを考えず、未来を見据えた対策を考える

べきではないでしょうか。

 

大村湾への影響

もう一つ、気になることがあります。右側の赤い数字を見てください。

今現在佐世保市は川棚川から安定水源として15,000t取水させてもらっています。

しかし、石木ダムを造ったら、毎日40,000tが新たに取水出来、

現在の15,000tと合わせて55,000tが確実に取水できるというのです。

そんなことをして大丈夫でしょうか?

一日40,000tも取水が増えるということは、年間にすると1460万トンの水が、

大村湾に流れ込まなくなるわけです。大村湾への影響が懸念されます。

大村湾は極端に閉鎖的な内海で、川の影響を受けやすいと言われています。

郡川に萱瀬ダムができて以来、大村湾へ流れ込む水量が減り、大村湾の水質が悪化した

ときいています。今また、川棚川からの水も減ってしまえば、大村湾の生態系がどうなるのか

大変心配されるところです。

 

 

代替案としての佐々川

しかし市民の中には、やはりもう少し水を確保したいとおっしゃる方々がいます。

佐世保市の経済発展のために企業を誘致したい、そのためには余裕ある水源が必要と考える

方々や、過去の大渇水の時の苦労がトラウマになっている方々などです。

その方々には、一つの代替案を提案したいと思います。

 

佐世保市の北部には佐々川という川が流れています。

佐々川は長さも流域面積も川棚川をやや上回る、2級河川としては県内トップの川です。

この佐々川から日量5000t、薦田ダムの集水用として認められた水利権が佐世保市にはある

のですが、なぜかこれがほとんど取水されていません。渇水時だけ取水されています。

佐世保市が本当に慢性的な水不足なら、どうして常時取水しないのでしょうか。

そして、集水用としての5千トンではなく、独立した水源として1万トンくらい取水できれば、

現状に不安を感じている方々にも安心してもらえると思います。

しかし、そのことをお願いしても、河川管理者の長崎県はそれを認めようとしません。

佐々川にはすでにたくさんの水利権が張り付いていて、新たに水利権を与える余裕はない

というのです。

しかし、調べてみますと、既得水利権の中には実際に使用されていない、いわゆる遊休水利権

いろいろありました。

例えば、佐々町の「東部かんぱい」が有する水利権は23,200tもありますが、

ほとんど利用されていません。

過去10年間で取水されたのは、たった36日だけです。残りの日はすべてゼロです。

しかも取水された日も平均で3,300tほどです。どう考えても、2万トンほどの余裕があります。

厚労省はダムの代替案の一つとして水利権の転用を上げています。

現在の水利権を見直して、使われていないものは必要とするところへ転用すべきというものです。

これが佐々川で実行されれば、石木川を犠牲にしなくてもすみます。

里山の豊かな環境を守り、そこに暮らす人々の生活を守ることができます。

佐世保市が本当に水不足を心配するなら、佐々川の水利権を増やすための努力をするべきです。

それをしないのは、水不足解消が目的ではなく、

ダム建設そのものが目的化しているように思えてなりません。

それが誤解であることを願っています。

 

 

佐世保市民への負担

さて、多くの市民にとって、最大の関心事は、コストです。

ダムを造るには莫大な費用がかかります。

石木ダムの場合、総事業費285億円の35%が佐世保市の負担ですから、

それは約100億円にものぼります。

しかし、それだけではありません。

ダムからの水を取水し、それを佐世保まで導水し、その水をきれいに浄水するなど

あらゆる施設設備を造らなければなりません。他にも諸々の関連費が生じるでしょう。

 

そこで水道局にお尋ねします。

これらの費用、いわゆる石木ダム関連事業費の総額は一体いくらなのでしょうか。

そして、そのうち佐世保市が負担するのはいくらですか?

またその中の、水道局の負担分はいくらですか?

数字だけでけっこうですので明確にお答えください。

 

ありがとうございました。

総額は350億円で、そのうち298億円が佐世保市の負担だそうです。

つまり約300億円!市民にとってはたいへん重い負担です。

一世帯あたり30万円に近い負担となります。

しかも水道局の負担だけでも245億円だそうで、

これだけの負担金はどうやって処理されるのでしょうか?

やはり水道料金の値上げでしょうか?3年前に水道料金の値上げをしたばかりですから、

市民の納得はなかなか得られないでしょう。

そのときはまた市の一般会計から援助を求めるのでしょうか?

いずれにしても、それは私たち市民のお財布から出ていくものです。

税金としてとられるか水道料金としてとられるか、その違いだけです。

 

5年半ほど前、野村総研が出した「2040年の日本の水問題」というレポートがあります。

そこには、このように書かれていました。

「人口減少社会の到来に伴い、水需要は減少します。そして、2040年には上水道の需要は

現在の約半分から4分の3に減少する可能性があります。需要が減少し水道収益が減少すると、

水道事業者の収益悪化をもたらします。もし、このような水道事業の危機を水道料金の値上げ

でカバーするとなると2040年時点で、水道料金は、現状の1.3倍〜2.7倍になると推測されます」

これは一般論です。佐世保市の場合もっと厳しい事態が予想されます。

佐世保の水道施設は大変古いものが多く、漏水の原因ともなっています。

施設設備の更新にはやはり莫大なお金がかかるでしょうが、これは避けて通れません。

石木ダム計画から撤退すれば、施設の改築や補修、漏水対策にお金が回せます。

水もお金も限りあるものです。今有る中でやりくりする、そのような方針転換を図るべきです。

何を取って、何を捨てるか、佐世保市も私たち市民もよく考えるべきです。

いつまでも石木ダムに縛られるのは、現地の方々だけでなく

佐世保市民や水道局にとっても不幸なことだと思います。

 

私たちは、2年前の3・11で、自然の猛威を思い知らされました。

そして人間の愚かさも思い知りました。

福島では未だに15万人の人が避難生活を送っていますが、宮城や岩手の復興も進んでいません。

津波で破壊された海岸線がそのままです。復興が進まない理由は、公共事業だそうです。

いま全国各地で新たな公共事業が増えてきたので、復興予算は降りても、

被災地で働いてくれる派遣労働者が減ったのだそうです。

先日NHKスペシャルの番組の中で、現地の方が嘆いていました。

今は被災地が一日も早く日常生活を取り戻せるよう、お金も人も物も投入すべき時だと思います。

 

そしてトンネル崩落事故などでわかったように、

かつて右肩上がりの時代に造ったあらゆる建造物がいま老朽化しています。

これからは補修や改修に莫大な予算を充てねばならないでしょう。

古い危険なダムの撤去も、これからどんどん増えていくでしょう。

造る以上のお金がかかります。

新たなダム建設などは、よほどの切迫した状況でもなければ認められないはずです。

少なくとも石木ダムは、その例ではありません。

                                  

いよいよ公聴会です

明日からいよいよ公聴会が始まります。

石木ダムの事業認定に関する公聴会です。

正式名称は「二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれに伴う県道、町道及び農道用道路付替工事の事業認定に係る公聴会」という長ったらしいものです。

ダム計画を推進する者、反対する者、両者の意見が聴けます。

誰でも聴けます。

関心のある方は、是非傍聴にいらしてください。

なぜダムを望むのか、なぜ反対するのか、双方の意見をじっくり聴いて、

ご自身の判断の材料にしてください。

明日は平日なので、お仕事なさっている方は難しいでしょうが、明後日もあります。

ご予定のない県内の方、特に川棚町や佐世保にお住まいの方の

多くのご来場を期待しています。

 

会場:川棚町公会堂(川棚町中組郷1506  tel=0956-82-2064)
    http://ticket-search.pia.jp/pia/venue/venue_access_map.do?venueCd=KAWK

日時:3月22日(金) 13:00〜19:30
    3月23日(土) 10:30〜17:30

 

 

再評価の報告を撤回するよう申し入れ

18日、佐世保市が石木ダムの「事業継続」という再評価報告書を国へ提出したことを受け、

私たち「石木川まもり隊」は「水問題を考える市民の会」と共に、申し入れを行いました。

 

                                   2013年3月19日

 

佐世保市水道局長 

川久保 昭 様

                                     石木川まもり隊   

                               水問題を考える市民の会

 

  石木ダム建設事業の経営検討委員会による「再評価」についての申し入れ

 

3月14日、水道施設整備事業再評価(第3回目)として開催された経営検討委員会は、石木ダム建設事業の継続を妥当とする委員会の判断を示し、報道によると、同日その旨の答申を行いました。

この間、私たちは、経営検討委員会は組織としても、委員の構成からみても再評価を行う資格の無いことを指摘し、同委員会に諮問して行う再評価を直ちに中止すること、そして厚生労働省の求める第三者委員会を立ち上げて再評価を行うことを数次にわたって貴局に要請してきました。

しかし貴局は、経営検討委員会による再評価を強行しました。市民の声に耳を貸そうともしない強権的な貴局の態度に対し強く抗議します。

経営検討委員会による「再評価」の実態はどうだったでしょうか。

第3回の会合の最後に、後藤委員長が「もっと時間が欲しかった。反対、賛成双方の声を聞くことができたかも知れない」(15日付け長崎新聞)と発言しています。これは、事業者が設定したスケジュールに追従するしかなかったことを吐露した発言で、自らが関与した再評価に正当性を欠くことを告白したものです。私たちは、委員長に対し、経営検討委員会への再評価に係る「諮問」を返上すべきことを申し入れていましたが、その通りの結果となりました。

遠田副委員長が、「治水と利水の違いについて説明してください」と発言しました。これは、ダム問題や利水問題に専門的知識を有しないままに再評価をしたことを告白 する発言であり、同委員会が「再評価」を行う資格がなかったことを示しています。

細田副委員長は、結論を出す第3回目の会合を欠席しました。他の5人の委員も、ダム問題や利水問題について専門的意見は述べませんでした。

 

「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は、貴局の新水需要予測が科学的根拠のないことを明白に指摘した意見書を、同委員会にも提出しましたが、これに応える審議は 行いませんでした。

経営検討委員会は、窮屈なスケジュールの中、3回の会合で石木ダム建設事業の継続を妥当とする答申を行いましたが、その審議は専門的な内容もなく、「再評価」の名に値しません。また3回の会合を通して、経営検討委員会が単なる追認機関に過ぎない ことも明らかになってしまいました。

同委員会は第三者委員会とは似て非なるものです。同委の答申は、厚労省の求める再評価としては“無効”であると言わざるを得ません。

貴局は、経営検討委員会の答申を踏まえ、対応方針をとりまとめ「石木ダムによる利水事業の継続」を厚生労働省へ報告するとしていました。

そして、報道によると、佐世保市は、長崎県を経由して、「事業の継続」を同省に報告したとのことですが、私たちは、前述の理由により、この報告は撤回することを  求めます。

併せて、専門性と中立性が担保された第三者委員会を立ち上げて、「再評価」を行うことを求めます。

                                          (以上)

 

 

石木ダム再評価 厚労省へ提出

佐世保市は、18日、石木ダム事業の再評価結果を厚労省に提出、受理されました。

なんとも素早い対応でした。

というか…早すぎる!

 

なぜって、「佐世保市上下水道事業経営検討委員会」から答申書を提出されたのは、

3月14日(木)の夕方ですよ。

それを受けて、「事業継続」とする佐世保市としての再評価書をまとめて、

国への窓口である県へ提出したのは翌日の3月15日(金)ですよ。

そして、県がそれを厚労省に提出したのは、3月18日(月)ですから、

すべて用意万端、手はずはついていたって感じですよね。

ま、来年度の補助金の予算獲得のために敷かれたレール、

その上を走る列車に乗り遅れないよう、飛び乗った…ってところでしょうか。

 

前回の再評価とは、何から何まで、えらい違いです。

前回は、再評価の準備を始めるのも早かったし、

委員会から答申が出された後も、丁寧にことを運びました。

 

平成19年11月13日  第3回委員会開催(最終回)

平成19年12月15日  委員会、意見書(答申)を市に提出

平成20年 2月15日  再評価結果の公告

平成20年 2月21日  佐世保市長、厚生労働大臣に再評価結果の報告

 

というように、前回は意見書が出されてから結果報告まで約10週間もかかったのに、

今回は、わずか4日!

しかも間に土日が入っているので、正味2日です。

 

やはり、やる気の問題でしょうね。

まじめにきちんと再評価をしようとするか、

形だけ整えて早く終わりにしようとするか。

 

トップが変わると、やり方はいくらでも変えられるものなんですね〜 

 

 

佐世保市上下水道事業経営検討員会 答申書提出

今日、3月14日、佐世保市上下水道事業経営検討委員会は、

諮問を受けた石木ダム事業の再評価に関して、答申書をまとめ、市に提出しました。

2ページにわたっていろいろ書かれていますが、要はここです。

 

水需要の将来像については、

過大な需要予測とならないよう留意されており

必要水量を確保できる方策は石木ダム以外に無いことが分かった」

事業を継続していくことが妥当であると判断した

 

この文章を委員長が本心から書いたのならば、

そして、各委員も本気で賛同したのなら、

同委員会の委員諸氏の目は節穴で、

石木ダムの再評価にあたって、識者として意見を聴くには、全く値しない人たちでした。

 

それをさらに確信したのは、閉会時間も近づいた頃です。

「私は勉強不足なので教えて欲しいんですが、治水と利水はどんなふうに違うんですか?

との質問に、一瞬みんな唖然!

傍聴席からは「そがんこともわからんで再評価しとったとか!」との声や失笑が漏れ、

記者さんたちも苦笑いしていました。

しかも、その方は副委員長…。

 

佐世保市民の税金が、あるいは水道料金が、ここでも無駄に使われてしまいました。。

水道局は、わざとこのような人選をおこなったのでしょうか…。

 

それにしても、

今日は本当に水道局に失望しました。

 

私たちは、今朝、委員会あての申し入れ書を水道局に届けましたが、

その際、委員長が何時頃到着するのか尋ねたら、

「その時によりマチマチなのでわからない」と言われたのです。

それで、会場に45分くらい前に着き、

「委員長に面会し、科学者の会からのメッセージを伝えたいので到着されたら教えて欲しい」

と水道局スタッフに丁寧にお願いしましたが、

「ここには到着されるのは直前になると思います。時間はありません」

「え?では意見書はいつ渡すんですか?」

「もう水道局で受け取って、見とらすころだと思いますよ。そのために早く集まってもらったので」

「え?さっき水道局で、○○さんは、いつ着かれるのかわからないっておっしゃったんですよ。

本当はその頃すでに水道局にいらしたんですね?」

「あ、そう言ってました?…」

 

仕方なく、私たちは、開会直前に委員長に直訴することにしました。

科学者の会からの意見書は各委員に渡されたのか?

ぜひお読みいただいた上で、今日の審議をお願いしたいと言おうと思っていました。

 

今日もこのような態勢で、傍聴者に向かって審議中の発言、ヤジ、拍手など

一切禁止しようと見張っています。

会議が始まる前に訴えるしかないと思いました。

 

開会時刻1分前にやっと委員長が会議場に入ってきました。

「開会前に一言発言させてください」と傍聴席から声を上げたら、

「もう時間ですから、始めます。静粛に!」と司会者に制止されました。

「会議はまだ始まっていません!」とYさんも声をあげましたが、

「静かにしてください」と制するばかりでした。

私は、開会前に委員長への面会を求めたこと、それを断られたこと、

市民の声はいつ委員会に届けることができるのかと訴えましたが、

マイクを通した司会者の声で遮られ、審議に入ってしまいました。

 

あまりにも非民主的な対応に、情けなくなりました。

委員会の進行役である委員長も、このやり取りに対し、一言もありませんでした。

 

水道局も委員会も、

科学者の会という、まさに学識経験者の専門的な意見を無視し、

市民の声を封殺し、

形だけの再評価をして、予定通りの結論を出して終わりにしたのです。

これが、佐世保市の平成24年度の石木ダム再評価の実態です。

 

そのいい加減な再評価のツケを負うのは、私たち市民です!

 

早く呪縛からの解放を

今日掲載する記事は、読者のフッチーさんから頂いたコメントです。

あまりにも的を射た内容で、説得力があり、多くの人に読んでいただきたいと思ったので、

ご本人にお願いし、快諾いただきました。

フッチーさん、ありがとうございます。

 

本来水需要の予測は人口予測などと一緒で、見解のわかれるものでは無いはずです。

科学的、客観的に検討していけば一つの方向が出てくるものだと思います。

真理を追究する科学者が予断無く検討していけば、

佐世保市の今回の予測はあまりにも不自然ということです。

 

それにしてもいったい何回めでしょうか、過大予測を繰り返すのは・・。

いい加減目を覚ませ!と言いたいです。

 

3.11には市長を初め水道局の職員、推進派の議員さん達も黙祷をしたはずです。

津波で、原発事故で、ふる里を奪われて今なお苦しんでいる方々に思いを寄せ、

一日も早い被災地の復興を願ったのではないですか?

しかし一方であなた達は、川原(こうばる)住む人達のふる里を奪おうとしているのですよ。

震災に遭われた方々は可愛そうだが、川原はどうでもいいのですか?

恥ずかしくありませんか?良心の呵責は感じませんか?

天変地異は人間の力ではどうにもなりませんが、公共事業は止めることが出来ます。

幸い石木ダムは本体工事は手がつけられていないので、止めるのは簡単です。

 

止める理由も簡単です。

地権者の同意が得られる可能性が100%ないからです。

市長が「や〜めた」と言えばいいのです。

止めることでいろいろ言う人には

「ではあなたが行って地権者を説得してきてくれ」と言えばすむことです。

説得できる人は誰もいません。

 

強制収容は、川原に、津波や、原発事故と同じようなことを人の手でするということです。

推進派の人達はこのようなことがやれますか?

やろうとしても失敗して非難囂々、笑いものになりますよ。

結局石木ダムは止めるしかないのです。

冷静に考えればわかるはずです。

 

もう40年もダム建設の圧力をかけ続けているのですよ。

人権侵害もいいところです。もうやめにしましょう。

勇気を持って石木ダム建設の呪縛から自らを解き放して下さい。

佐世保市と佐世保市民のためにも。

九州地方整備局へ申し入れ

今日、3月12日、地権者の皆さんは、福岡にある九州地方整備局へ申し入れに行きました。

私たち「石木川まもり隊」からも4人、川棚・波佐見町・長崎市から5人、計9人の支援者も同行しました。

申し入れの趣旨は、以下の通りです。

 

                     申 入 れ 書

 自民党政権の返り咲きで事業認定手続きが動きだし、公聴会が三月二十二、二十三日

に開催されます。私たちは「今までと同じようにここに住み続けたいだけなんです」「私たち

は死んでもこの地を出て行きません」と、半世紀に亘ってふるさとを守り続けている純粋な

意志貫徹の気持ちを皆なで訴えようと公聴会に参加することを決めました。だが公述でき

るのは、反対同盟十七人の応募に対しわずか三人でした。

 余りにも少な過ぎます。私たちは非常に不満です。人前でドキドキしながら不慣れな公述

をすることに誰もが戸惑いながら、それでも「自分たちの土地が、生活が奪われることに繋

がる事態はどうしても許せない」「真実を訴えればきっと判ってもらえる」と、意を決しての

応募だったからです。

 公募時点で、電話やメール等で二十組枠を外すことや地権者の公述は全員認めるべきだ

との要望を各方面から出しましたが、選考は方針通り行われました。先に行われた「今後の

治水対策のあり方に関する有識者会議」の石木ダム事業再検証結果に「石木ダムに関して

は、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力する

ことを希望する」という付帯意見が付けられたことを重く受け止めれば、九州地方整備局は

地権者からの公述応募に対しては全組行わせるのが筋です。

 計画から既に半世紀を過ぎた事業です。様々な意見があり、過ぎ去った歳月にそれぞれの

人間模様があります。公益性の判断だけで済む問題ではありません。土地収用法は公聴会

の開催の回数を制限していません。公聴会の日程を変更するなどして、少なくとも起業者とは

反対の意見を持つ地権者(応募した十七人全員)の公述を認めるべきです。

   二〇一三年三月十二日

                 石木ダム建設絶対反対同盟 第三十四回団結大会参加者一同

 

国土交通省九州地方整備局長 吉 崎  収 様

 

               

対応してくださったのは、建政部総務課の4人の皆さんでした。

事業認定の担当者は、皆さん全員、出張とのこと。

担当課である計画建設産業課の課長さんや、

その上司である県政部長さんも、すべて出張だそうで、

「私どもがお聴かせいただき、担当者にしっかり伝えます」と繰り返すばかり。

 
地権者の一人が言いました。
 
出張は間違いないですか?
出勤簿は確認したんですね?
情報公開請求したら、わかるんですよ。
間違いなら、早く訂正したほうがいいですよ。
責任問題になりますよ。
嘘はあとからバレますよ。
 
職員の歯切れが悪くなりました。
 
地権者の皆さんは、「話のわかる人を出してほしい、伝えますだけでは帰れない」
と言いました。
 
そのとき、職員の一人が言いました。
 
個人的な意見になってしまうんですが、
地権者の立場になれば、私も皆さんと同じような気持ちになると思います。
あくまでも一個人としてですが。
 
一瞬しんとして、雰囲気が変わりました。
 
地権者も、私たちも、この方なら信用してもいいのかも、
 
ここで訴えたことを、きちんと伝えてくれるかもしれない、
 
そんな気がしてきて、とにかく、時間まで、
 
公聴会でもっと地権者に公述の機会を与えて欲しい、
 
できれば全員、無理なら、あと数組、女性や老人の公述も入れて欲しい、
 
あるいは、公聴会の場ではなくてもいいから、担当者が現地を訪れ、
 
そこで暮らしている人々の意見を聞き取りしてほしい。
 
など、それぞれが訴え、時間通りに終了しました。
 
 
 
私たちの話に耳を傾けてくださった4人の職員の皆さんが、
 
約束通り、しっかり伝えていただいて、お返事くださることを信じたいと思います。
 

『科学者の会』 佐世保市の再評価に喝!

3月11日午前9:30、佐世保市副市長応接室にて、意見書が提出されました。 

タイトルは、「佐世保市水道の新水需給計画についての意見書」

提出したのは、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」 

提出者、今本先生は京都大学名誉教授で、

ここにあるように、同会の共同代表を務めておられます。

会員125人を代表して、はるばる京都から、駆けつけてくださいました。

 

はじめに同会が発足した経緯を簡単に説明され、さらにこう付け加えられました。

「この会はダムを否定するものではありません。公共事業を否定するものでもありません」

「私たちは、科学的な検証が行われることを求めています」

 

そして、応対した副市長に、市長さんに伝えて欲しいとおっしゃったことは、

「今回の佐世保市の水需要予測には看過できない疑義があります」

「私たちが行った予測では、佐世保の水は足りています」

「佐世保市は、5年前と同じ間違いを再び犯そうしている」

「ダムを造れば地元が犠牲になるだけでなく、佐世保市民の負担も増えます」

「是非、見直して欲しい。市長さんの英断を求めます」

 

それに対して副市長は、必ず伝えると約束し、

「しかし、水が不足しているのは事実です」

「ローカルテレビでは毎日最後に、今日の貯水率を伝えています。

 過去2回も大渇水を経験した市民は、それほど水にビクビクして暮らしています」

「合併地区の雇用を守るために、いま小佐々に17haの工業団地を計画しています。

 同様の団地が武雄市に造られていますが、ここでは3,000トンを確保しています。

 地域の発展のためには水が要るんです」

 

それまで黙っていた地権者の I さんが、声を上げました。

佐世保市の地域の発展のためなら、私たちはどうなってもいいんですか?」

佐世保市が豊かになるために、私たちは犠牲にならなければいけないんですか?」

「40年前、佐世保市が川棚町議会に出した水源量は、今よりも3万トンも多かったんですよ。

 その3万トンはどこにいったんですか?

 佐世保市は、有る水を捨てて、ダムを造ろうとしているんじゃないんですか?

 答えてください」

 

「すみません、時間なので…」と言って、終わりにした副市長。

確かに約束の時間が来ていましたが、

答えられなかったから…というのがホントのところでしょうね。

副市長さん、水道局長に言って、きちんと回答してくださいますよね?

 

このあと、記者室で、1時間ほど記者会見をして、

その後、水道局へ行き、同じ意見書を、水道局長と、

今回の再評価で意見を述べてきた、佐世保市上下水道事業評価監視委員会宛て、

計9部を、今本先生が提出されました。

 

受け取ってくださった事業部副理事さんに、私はくれぐれもお願いしました。

14日は最終の委員会ですよね?その前に必ず委員の皆さんにお渡しくださいね

副理事さんは、

はい、時間もありませんが、まずは委員長に渡したいと思いますので…」

それはそうでしょうが、それを理由に各委員には間に合わなかった…とならないようお願いしますね。

もしも、委員会当日までに委員さんたちの手元に届かなかったら、

委員会の最終回を、延期していただきたいですね。

それほどの価値あるものなのですから。

 

内容については、たくさんの表やグラフを使って、本当にわかりやすく客観的に分析されています。

 

などなど。

そして、最後に、このようにまとめられています。

石木ダム建設推進という呪縛・・・本当にそうです。

県も市も市民の何割かも、この呪縛にがんじがらめになっています。

だから、本当のことが見えない、見ようとしない…のだと思います。

 

今本先生は、記者会見のとき、おっしゃいました。 

ここに限らず、どこでもダムを造りたいところは、水需要を右肩上がりにするんです。

でも、今回のこれはひどい。

こんな予測を出したら、佐世保市水道局は日本中の笑い者になりますよ。

これを承認した学者の方と、私は是非、意見交換をしたい。

同じ学者として、真剣に議論したいです、と。

 

私たち市民もそれを切に望んでいます。