仕事始め

昨日は官公庁の仕事始め。

それぞれのトップが抱負や訓示を述べたようですが・・・

 

県庁では、中村知事が、石木ダムに関して、以下のように語りました。

  具体的に進展させなければならない年になる。(反対派の)地権者の理解を得るのが

  大切であり、全身全霊を傾け取り組みたい(長崎新聞)

 

佐世保市でも、朝長市長が大いにアピールしていたようです。

  地権者の根強い反対で工事が中断している石木ダムについて「正念場の状況」と、

  改めて建設に意欲を示しました。(KTN)

 

また市長は、佐世保市と佐世保市商工会議所の共催による新年交歓会でも、

石木ダムの建設促進を課題にあげたそうです。

ちなみにこの新年会には、地元政界・経済界のみならず、

なぜか自衛隊や米軍関係者も出席していて、約550人もの参加だったとのこと。

(商工会議所と共催とはいえ、結婚式場アイトワでの新年会の出費やいかに・・?)

 

知事や市長のみならず、私たちも今年が正念場と思っています。

3月末までに佐世保市水道事業の再評価がなされ、

それを受けて事業認定作業が動き始め、

付け替え道路工事も再開…

県や市が思い描くそんなレールをストップさせたい。

 

そんな古くて錆だらけのレールは、この際しっかり点検し、

使い物にならないことを明らかにして、

新しい持続可能な素材のレールに付け替えたい。

そう思っています。

 

水道局員の中にも、県河川課の中にも、

そのような未来を志向する人たちがいるはず。

必ずいるはず。

市民のため県民のために、本当に未来に残すべきものは何か、

気づいている人たちが、必ずいるはず。

その方たちが、力を、勇気を出してくださることを願っています。

一緒に頑張りたい


 


委員会方式を求め、水道局へ申し入れ

年末も押し詰まってきた12月26日、私たち(水問題を考える市民の会+石木川まもり隊)は、水道局へ、石木ダム事業の再評価について、公開が原則の委員会方式を取るよう申し入れをしました。
 
隊員のM・Mさんによるまとめと感想をご紹介します。
 
 
『水道施設建設の費用が10億円を超え、かつ10年以上を経過しても建設に取り掛かれず継続となっている事業については、国からの補助金を貰うために5年ごとに事業の再評価を行わなければならない。』
これが、国庫補助の用件である。

石木ダムは、その計画からすでに50年が経過している事業である。

機動隊を導入しての強制測量からでも、もう30年が経過している。

慢性的な水不足といわれる佐世保市だが、この間大きな渇水は平成6年だけだ。

それも佐世保市だけが水不足になったわけではない。北部九州一帯に雨が降らず、福岡市でも、長崎市でも大変な水不足に陥ったのだ。

あのときの水不足には、「石木ダムがあっても役に立たなかった」と言ったのは、水道局のお偉方だった。

それに、少子高齢化で人口は減り、水需要はどんどん減少して、水道局が安定的に取水できると言っている水源水からは、おつりが来るほどなのだ。


そして今年、平成24年度は5年ごとに事業を見直す「厚労省の再評価」の年なのだ。

これまでの再評価は、平成11年、16年、19年と3回行われているが、その全てが有識者で構成される委員会方式だった。

それが今年度は、まだ再評価がなされていない。


今回の再評価には、19年以降のデータも入るのだ。過大な水需要と乖離した実績値のデータもその審査対象としてもらわなければならない。

しかし、水道局は再評価はするといいながら、市民に公開された委員会形式でするかどうか、まだ検討中だとしか言わない。

そこで、私たち「水問題を考える市民の会」と「石木川まもり隊」とで、再評価は市民に公開された「委員会方式」で行うようにと申し入れをしたのだ。

水道局の答えは、「このような申し入れがあったと上に伝えます。」「まだ、委員会形式かどうか決まってはいません。」というものだった。

きちんとしたデータで、委員会形式のきちんとした再評価を行えば、石木ダムの必要性の根拠が揺らいでしまう…。

そのことは専門家である水道局自身がよくわかっているのに違いない。
だからこそ、再評価を何とかクリアできないかと画策しているのではないか?

そう疑わざるを得ない今日の水道局の答弁だった。

よーし! 来年も、申し入れだって何だってやるぞ!

膨大な税金を使う不必要な公共事業を止めなければ。
 
 
 
形式について、まだ委員会かヒアリングか決まってないそうです。
しかも、いつ決まるのか(いつ公表するのか)さえも未定だそうです。
 
それって、委員会を開く気はないってことと同義語ではないでしょうか?
呆れ果ててしまいます。
 
いつも誠実で親切な水道局職員の方々ですが、
個人的なお人柄がそうであっても、これは許されない不誠実な状況です。
私たちは、これからもしっかり問い続けていきたいと思います。
 
また、この申し入れについては、長崎新聞と読売新聞が翌日報道しています。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20121226-OYT8T01366.htm
 

川原出身者の訴え

昨日、石木ダム建設に反対する5団体は、県に抗議の申し入れをおこないました。

何に対する抗議かと言うと、石木ダム事業認定に関する県からの回答に対する抗議です。 

 

抗議の理由

1.私たちは知事の回答を求めたのに、河川課長からの返事だった

2.回答が出されたのも期限を大幅に過ぎていたし、

  それに対する反論書を送り、会って申し入れしたいと頼んでも、忙しいからと先延ばしにされ、

  やっと実現したのが12月19日。公開質問書を提出してから70日ほど経過している。

  地権者の理解が得たいと本当に思うなら、なぜ、このような不誠実な対応をするのか?

3.地権者は決して話し合いを拒んではいない。事業認定を取り下げたらいつでも応じる。 

  それは何度も伝えているのに、なぜ取り下げないのか? 

 

昨日も、知事どころか、土木部長も河川課長も来ず、企画官が対応。

私たちの扱いは、その程度のものなのです。いつものように。

そして、河川課の回答もいつものように版で押したような決まり文句ばかり。 

 

得られた回答は、

1.この文書は知事に必ず渡すが、知事名で返事を出すか、いつ出すかは確認しないと何とも言えない。

2.地権者の理解は得たいと思っている。是非、直接会って話す機会がほしい。

3.しかし、事業認定申請を取り下げるつもりはない。その手続きの中で話はできる。

 

こうして、昨日も虚しさだけを残して終わろうとしたとき、一人の男性がツカツカと進み出て、

県の職員に向かって叫びにも似た声で、訴え始めました。

子ども時代を川原で暮らしていた男性の言葉には、深く心打つモノがありました。

ここに、そのメモをまとめて、ご紹介します。

 

岩屋、川原、木場は、これまで山津波も水害もほとんど会うてない

 

俺は15歳まで川原におった

 

だからこそ、このふるさとに住みたいという住民の願いがわかる

 

今まで50年、住民は行政から苦しめられてきたんだ

 

あんたらはあそこの歴史を知っとるか?

 

うちの本家は石木小学校の発祥の地、郷土史にそう書いてある

 

岩屋や木場から川原に集まって、寺子屋みたいなのを造って、

そこでみんなが勉強していた

 

何百年の歴史のある、よか棚田もあるとやけん、

地主たちは初めみんな反対だった

 

それをあんたたちが家庭訪問して、どがんことば言うて切り崩したか、

知っとうね?

 

どういう形で切り崩したか?

 

 

割が崩れたからあんたたちも出て行け?

 

それはね、強盗の論理!行政の強盗!

 

 

あんたたちはあそこを実際に見て、知っとろうが

 

もったいなかと思わんとか、あいば水に沈めて

 

基本的なことはそこぞ

 

 

佐世保の水が足らんて、病人が出た?死人が出た?

 

佐世保が水不足になったからって、なんで川原が責任とらんといかんか!

 

なんで川原の民衆に責任がある?

 

 

30年、40年、あんたたちは理屈ばっかり言ってきた

 

もう理屈は超えとっと

 

住民の気持ちになったことがあっとか?

 

初めはみんな反対やったとよ


町長が崩れ、議会が崩れ、

そして最初に崩れたのはボロい家に住んどる人たち

 

そういう人たちがコロコロ転んでいった

よか家ば造ってやるよと言われて

 

 

この際ね、住民の気持ちに百分の一でもなってみんかい!

 

300年間、百姓しながらあれだけのふるさとを築き上げとっとぞ!

 

出直してこい!

 

未だに決められない再評価の形

今日の佐世保市議会本会議において、石木ダム事業の再評価の見通しについて、山下市議が質問。

水道局長の答弁の中から、注目すべき内容を抜粋すると・・・

 

<進捗状況について>

再評価に関する資料作成などを行うための業務委託の入札を先月末行い、12月5日に契約を締結。

これから作業内容や実施方針の詳細については厚労省と調整しながら委託業者を交えて詰めていく。

今年度中に作業を完了させることを目指してとりくんでいきたい。


<年度内に終わるかどうかの見通しについて>

委託期限が3月末になっているが、コンサルに委託したものは随時厚労省とその都度協議を諮っていくので再評価の間に合わないということはない。

第三者の聞き取りも1回ではなく何回もわけてやるので年度内に可能。

え?

コンサルと水道局が共同で作成した資料を基に再評価委員会で審議・検討し、

そこで出された意見を踏まえて、水道局として再評価の結論を国へ提出するのではなく、

資料作成の時点からずっと厚労省と打ち合わせながらやる?

だから、資料作成の最終期限(3月末)には、第三者の聞き取りも終わることが可能?

それって、談合みたいなもの、結果有りきの再評価じゃないですか!



<もしも再評価が年度をまたがった場合>

補助金がどうなるのかは国と協議する。

再評価の着手が遅れたのは、国のダム事業の検証や水道設計指針の改訂が主な要因である。

全国的な事例では、再評価が終わるまで内示を一時保留しているケースもあり、


その場合、仮に年度をまたいでも再評価が終われば保留が解除され、補助金がもらえるはず。

 

<学識経験者等第三者の意見聴取について>

その形式についてはまだ検討中で、委員会形式になるかヒアリング形式になるか未定。

 

この期に及んでもまだ未定?

もう12月ですよ。もうすぐ今年は終わりですよ。

委員会を開く気が多少なりともあるならば、とっくに委員の選定などしてなければならないでしょう。

もしや、委員のなり手がなかったとか・・?

いずれにしても、やる気がないのに、「未定」「検討中」を繰り返すのはなぜでしょう?


<代替案について>

水道施設の水源として可能性があるのは、10年に一度の渇水がきても安定して取水ができることが最大の要件で、安定水利権許可証の添付が必要。

四条橋などの不安定水源はその資格がない。

 

その資格のない水源から何十年も取水してきましたよね?

今日も取水しているでしょう?

安定水利権はなくても、慣行水利権でずっとやってきたし、

19年度の渇水の時も、不安定水源の水をたくさん使用しましたよね。

なぜ安定水利権にこだわるのですか?

安定とお墨付きを与えても、大きな渇水の時はダム湖の水も干上がるし、大きな川も流量が減る。

人間の予測の範囲を超えることは必ずおきる。それが自然界ではないでしょうか。

 

机上の計算で、まるで成績表をつけるように、水源に優劣を付け、

この水源は不安定だから排除してダムを造ろう、なんて考え方をいつまで続けるのでしょう?

 

結局、国交省も厚労省も、

真面目に検証・評価して、無駄な公共事業を減らそうなんてことは考えていないんですね。

国のお役人と地方が一体となって大きな公共事業を造り続ける、

そうすると誰か得をする人がいるのでしょうが、

そういうことは上の方でもう決まっていて、

水道局の職員さんたちは、その決まった方向に沿ってアリバイ作りをさせられているだけかも…。

 

笹子トンネル事故のように、老朽化したトンネルや橋や道路、そしてダムが山積の日本。

これからの公共事業費は補修整備だけで目一杯になるはず。

新たにダムを造る余裕なんてないはずなのに・・・

 

佐世保市のため池 問題山積

昨日の佐世保市議会本会議で、林議員が農業用ため池について質問しました。

利水対策案の1つとして、ため池の活用を考えている私たちは、興味津々で傍聴。

たいへん参考になりました。

 

林市議は、一昨年3月と今年の7月、相次いで起こった溜池の漏水事故を、

決して軽んじてはならない重大な問題と受け止め、

原因究明と、十分な調査、そして対策を講ずべきであると指摘しました。

その質問と回答を簡単にまとめると、

 

Q.事故が起きた2つのため池と同じ形式の溜池は十分な検証が必要。
  三度の事故があってはならない。どういう対策を考えているのか。

A.民有ため池の管理者に管理の方法を周知すべく点検マニュアルを配布した。
  12月には県と市、災害ボランティアと共に重要な溜池を点検する予定。
  さらに今後溜池台帳を精査し、下流域に民家、公共施設が有る民有溜池において
  木栓が設置してある場合、金属製の栓に変えるよう啓発したい。
  (2つの事故は共に、溜池の底樋の木栓が老朽化し破損したことが原因だった)

Q.市有はもちろん民有も含めた老朽溜池の長期的な整備計画の必要性があるのでは?

A.長期整備計画の必要性は認識している。
  そのため市内のため池2670ヶ所について現況調査を行い、
  下流に民家や公共施設のあるものを特に重要視している。
    市有10箇所の溜池について平成22年度から整備しており現在6ヶ所を終了、
  民有の溜池の改修については、助成事業として毎年配分をしている。

Q.全国的に耕作放棄地が増えている。
  耕作者の激減に伴い、「遊休ため池」が問題となってきている。
  有害鳥獣の住処となるなど周囲の環境への悪影響や、転落事故など防災上の問題も。
  今後増加が予想されるこのような機能不能溜池の管理について、どのように考えているか。

A.農業用に利用されなくなった遊休ため池は、防災面の事が一番重要な問題。
  水が溜らないよう土手の部分をカットする方法を取りたい、
  そういう方向で所有者と話をしたいと考えている。

 

えー!せっかくの水源を無くしてしまおうってわけ?

水不足、水不足、と騒いでおきながら、今ある水源を活用しないなんて…

そんなやり方で、隣町の地権者の方々の理解が得られると市長は本気で考えているのでしょうか?

 

Q.旧合併町には国有林野の中に存在する農業用溜池がある。
  これらはたんに農業用だけでなく、緑のダムとしての機能もある。
  その整備に関する負担は農業者だけでなく、行政側の支援も必要と考えるがいかが。

A.中長期の対策として重要と認識している。

 

え?答えはたったそれだけ?

と思ったら、議員さんたちの間でも失笑が広がりました。

あまりにもそっけないというか、答えとも言えない答えに、誰もが笑うことしかできなかったのでしょう。

 

いつも冷静な林議員は、穏やかにこう言って、質問を終わりました。

ため池は農地の根幹。 

ため池保全の健全化に向けて、総合的な対策に是非、取り組んで欲しい。

再評価の行方

昨日、突然の情報が舞い込んできた。

  「再評価のための業務委託先が決まりました。HPに出ています」
 
 
すぐにネットで入札情報を確認。
 
 
「佐世保市第九期拡張事業基本計画策定業務委託」
11月29日入札完了

落札者:日本上下水道設計㈱長崎出張所

落札金額:14,030,000円

予定価格:18,682,800円

最低制限価格:14,012,100円
 
委託期間:平成25年3月29日(金)まで
 
 
 
いよいよ、再評価に着手!?
 
正式契約はまだのようですが、
 
今日、水道局職員に確認したところ、
 
落札した会社に委託したのは、水需要予測や費用対効果の評価などで、
 
その会社に丸投げするのではなく、水道局と共に再評価のための予測などをまとめていく。
 
つまり、水道局が様々なデータを提出し、そのデータを使って、
 
どのような手法で、どのような数式で、それを解析し、予測し、評価していくか、
 
助言、示唆しながら共に作り上げていく、ということのようです。
 
 
その結果は、いつ頃までにまとめあげる予定なのか…
 
その時期によっては、第三者委員会が開催されない恐れも多分にあります。
 
その見通しについては、12日の本会議一般質問で、山下市議がしっかり追及して下さることでしょう。
 
注目したいと思います。
 
 
それにしても・・・
 
コンサル料金の高さにはビックリ!ですね。
 
正味三ヶ月ほどのコンサルで、¥14,000,000
 
その費用は、佐世保市が支払うのか、水道局が支払うのか知りませんが、
 
どちらにしても、税金か水道料金か、つまり私たち市民のお財布から出たもの。
 
決して、手抜きなどはせず、
 
しっかり分析し予測してもらいたいものです。 
 
 
 
 

ため池探検ツアー

11月28日、石木川まもり隊員5名+3名の計8名で、ため池探検に出かけました。

 

私たちは以前から、ため池の活用ができないものか…と考えていました。

だって、佐世保市の地図を広げてみると、あちこちにたくさんの溜池が点々と…

それらはちゃんと活用されているんだろうか?

農業人口はどんどん減っていると言われているのに…

 

そんな会議をしたことも忘れかけた9月の終わり頃、長崎新聞にこんな記事が掲載されました。

 

 

近年、佐世保市ではため池の漏水が相次いでいる。

その理由の一つに、農業者の減少もあると書かれていました。

やっぱり…

しかし、実際どのくらい減少して、その結果、どのくらい余分な水があるのかは書かれていません。

以前調べようとした時も、個人情報だからということで教えてもらえませんでした。

ところが、この記事には市有のため池が83有ると書かれています。

市有なら教えてもらえるはず…

ということで、Y市議を通して入手した資料で、面白いことがわかりました。

ため池Aは、貯水量≒110,000㎥で、灌漑面積≒25ha

ため池Bは、貯水量≒130,000㎥で、灌漑面積≒15ha

どう考えても、ため池Bには水源としての余裕がありそうですね〜

 

いずれにしても、まずは現場検証?

ということで、晩秋の昼下がり、2台の車で細い山道をドライブして回りました。

 

初めに訪れた福田池は、貯水量72,300㎥。

少し離れた道路から見下ろすだけだったので、その大きさもピンときません。

 

次に訪れた津穴口池は、67,600㎥の貯水量で、福田池より規模は小さいのですが、

そばで見ると、やはり大きいです。

 

もっと大きい大里見池。

貯水量は、107,100㎥で、津穴口と同じ市有のため池です。

かなりの田畑が潤せますね〜

 

以上3つのため池は、いずれもゴルフ場のそばに、寄り添うように位置しています。

もしかして、ゴルフ場でも使っているのでしょうか?

 

車はいったん瀬戸越の市街地に戻り、今度は相浦川を上流に向かいます。

川谷ダムを過ぎて、宇土のあたりから左へ登っていくと、

佐世保で一番大きなため池に出ます。

郷美谷池です。

満々と水を湛えたこの池の貯水量は、なんと304,900㎥といいますから、

転石ダムの1.3倍もあるのですね〜

この橋の下を通って、灌漑用の水が下流域に流されていきます。

苔むした石橋とススキの群生に思わず見とれてしまいました。

 

この池は、昭和11年から6年の歳月をかけて、農業振興のために造られた大事業で、

これを計画し成し遂げた旧柚木村長の中川浅雄氏に、村民は深く感謝し、

顕彰碑が建立されたそうです。

ため池のすぐそばに、その碑はひっそりと建ち、今も水源を見守っているかのようです。

 

しかし、古い資料には、その貯水量は40万トンと書かれています。

貯水量が減ったということでしょうか?

だとしたらなぜでしょう?

 

先人の苦労の結晶の、偉大なため池を、

私たちはもっと大切に守り、活かしていかなければならないのではないでしょうか。

なんでも使い捨て、安易にコンクリートの建造物を造る時代は、もう終わったのです。

 

石木ダムなどに無駄な巨費を投じるよりも、

今ある小さなため池を点検整備し、水源涵養林を育てるなどの対策こそ急ぐべき!

と、中川氏の声が聞こえてきそうな気がしました。。

 

守り続けたい 先人が守った板取

今日、水源連のMLで、素敵な文章に出会いました。

それは関市の「青年の主張大会」でグランプリを受賞した女子中学生の文章でした。

引っ越してきて、住んでみて感じた板取という地域の素晴らしさと、学校生活の楽しさなど、

素直にありのままに綴られています。

そして、美しい板取の自然が今も残っているのは、ダム建設に反対した先人のおかげだと感謝し、

その板取を自分も守っていきたいと述べられていました。

 

この「青年の主張」を聴いた板取の皆さんは、どんなに嬉しかったことでしょう。

特にダム建設と闘ってきた先人の方々は…

想像しただけで、私の顔もほころびます。

 

板取ダムに詳しい方によると、

板取は長良川の上流部で、山の奥のそのまた奥という秘境だったそうです。

その素晴らしい自然を生活の場にしていた村民がダム計画にこぞって反対し、

白紙撤回を勝ち取ったのだそうです。

それは1982年のことでした。

同じ年に、長崎県では石木ダムに反対する住民たちが体を張って闘ったのに、

機動隊を導入しての強制測量が実施されてしまいました。。

 

でも、こちらの住民の皆さんは今も闘い続けています。

そんな皆さんに、この「青年の主張」は、大きな勇気と温かい励ましを与えてくれるでしょう。

 

 

                        「守り続けたい」

 

                                         関市立板取中学校 市川 栞

 

 私は板取中学校の2年生です。みなさんは、板取に来たことがありますか?板取は山に囲まれ、空気がとてもきれいです。川は底まで見えるくらい透明で、水が澄んでいます。板取は、自然豊かなとても素晴らしいところです。

 私は、この板取に4月に引っ越してきました。転入当初、転入生は珍しいと、いろいろな人に驚かれました。私は今までにも転校をしたことがありましたが、こんなに珍しがられたことや貴重がられたことはありません。それは、板取から出ていく人は多いが、板取へ入ってくる人が少ないからです。私たちの学年でも板取を離れていった子が何人かいたそうです。今、2年生は10人です。もちろん一クラスです。全校生徒は26人、前の愛知県の学校の一クラスの人数より少ないです。人数は少ないけど、さみしくはありません。毎日がとっても楽しいです。学校では、男子も女子もみんな仲良しです。全員がまとまって一生懸命取り組みます。体育祭では私たち2年生が優勝しました。地域では、お祭りや行事などがあり、積極的に参加しています。また、家の前には、きれいな板取川が流れています。夏には友達や家族と川で遊びました。泳いでいると、魚がいっぱい見えます。バ一ベキューや花火もしました。板取に来て1年たっていないけど、大切な仲間とたくさんの思い出ができました。

 さらに、部活のバレーを通して、自分自身が変わることができました。前の学校では、周りの子が部活に行かないと、自分も行かなくてもいいやと思うことがありました。でも、今は自分がやらなくてはいけません。なぜなら、バレー部はぎりぎり6人だから責任重大です。バレーは、板取に来て初めてやりました。最初はまっすぐボールが飛ばないし、思うように体が動かなくて落ち込むこともありましたが、仲間が私のミスをカバーしてくれたり、的確にアドバイスをしてくれたりして支えてくれました。そんな仲間に応えるために、私は家で筋トレをして自分なりに努力をしました。すると、サーブが入るようになり、得点につながるプレーができるようになってきました。以前は楽な方へと人に流されてしまっていた自分が、今は苦しいことでも挑戦し、頑張ることができる自分になれたのです。板取に来て本当に良かったと思います。この板取は、私にとってかけがえのないふるさととなりました。

 しかし、さみしいと思うことがあります。総合の学習で、林業の衰退とともに板取の人口が減っていることや、少子高齢化が進んでいることが分かりました。しかも、若い人は働きに出ていってしまって少なくなっています。このままだと、人口がどんどん減少して、板取がなくなってしまうかもしれません。
 授業で、地域の方から、以前にもダム建設によって板取がなくなるかもしれないという危機があったと聞きました。実際にダム建設によってなくなった村があるそうです。私は板取がなくなってしまうのは絶対嫌だと思いました。板取にはダム反対の看板が残っています。その写素を見て、先人がずっと守り続けてきたからこそ今の板取があることが分かりました。
 では、人口減少を止めるためにどうしたらいいのでしょう。授業で話し合った時、板取に働く場所をつくることが必要だということがあがりました。あじさいまつりなど、板取の自然を生かした観光で地域を盛り上げていこうと地域の方も頑張っています。わたしも自分ができることで板取を支え、ここで暮らしたいと思いました。

 私は、職場体験学習でデイサービスセンターに行きました。最初は緊張してお年寄りとしゃべることができなかったけど、お年寄りの方から話してくれてとてもうれしかったです。ゲームや折り紙などを一緒にやって、笑顔いっぱいなお年寄りを見ると、わたしもうれしくなりました。お年寄りはできないことが多いけど、周りの人がサポートすれば生き生きと生活することができます云高齢化が進む板取ですが、私は介護士になって、お年寄りの役に立ちたいと思いました。そして、大好きなふるさと板取を守っていきたいと思います。

東京新聞「こちら特報部」が伝えた石木ダム

昨朝、埼玉の友人からFAXで新聞記事が送られてきました。

何だろうと思って見たら・・・

東京新聞の「こちら特報部」の記事で、そこに石木ダムのことが書かれていたのです。

 

地図や写真入りで石木ダム問題が大きく取り上げられています。

半世紀に及ぶ反対運動を続ける住民の思い(ふるさとの豊かな自然を守りたい)、

県の主張(川棚川の治水には石木ダムが必要)、

それに反論する科学者(ダムの有無にかかわらず洪水はおきる、堤防などの対策をすべき)、

佐世保市の主張(安定的に取水できる水源が足りない)、

市民の反論(人口減少に伴い、水需要は減っている)、

などの意見を公平に紹介し、

それでも県がダム建設に突っ走るのはなぜか」と問いかけています。

それに対し、水源連の嶋津暉之共同代表は、こう答えています。

 

補助ダム事業は、国交省官僚の地方支配の『くさび』だ。

脱ダムの方針をひっくり返してでも公共事業を続けたいのだろう。

 

それを受けて、林記者は、こう書いています。

 

事業主体こそ地方だが、治水のための事業費の半額を国交相が負担するほか、

地方負担分の一部も地方交付税で埋め合わせる。

官僚が補助金の金づるを握り、一方、公共事業が欲しい地方とが組む構図だ。

 

と、その腐れ縁のカラクリを見事に説明しています。

 

隣のページには、山形県の最上小国川ダムについての解説と、

民主党政権は努力はしたが、政治主導する知力も覚悟も欠いていたこと、

大震災を契機に、野放図な公共事業のばらまきが息を吹き返しつつあること、

政権奪回を目指す自民党は、今後十年間で200兆円をダムや道路に投じようとしていること、

それに対し、法政大の五十嵐教授は、

無駄なダムや道路を造り続ける、その先に待ち構えているのは、悲惨な財政破綻です

と警鐘を鳴らしていることなどが書かれていました。

 

デスクメモには、

ダムは新しく造るどころか、海外では壊す時代に入っている。

人口減や節水家電で水が余り、巨費の割に治水効果も低い。

一方で、どれほどの生態系を破壊してきたものか。

と書かれ、最後に、

もう、コンクリートの壁は要らない

と、きっぱり。

 

こんな骨太の報道がもっと増えると嬉しいな〜 

 

ダム解体の時代へ〜田中優さんからのメッセージ

田中優さんの本日発行のメルマガ 第185号のお題は「ダム解体の時代へ」でした。

※このメルマガは転送転載、大歓迎です。

と書かれていますので、有り難く転載させて頂きます。

でも、少々長いので、部分転載です。全文は、こちらをご覧下さい。

  http://tanakayu.blogspot.jp/2012/11/blog-post_8746.html

▼ 脱原発の裏で進むダム建設


 原発問題がクローズアップされる一方で、こっそり進められているものがダム建設だ

 かつて象徴的に言われていた西の「川辺川ダム」、東の「八ツ場(やんば)ダム」。
川辺川ダムは知事の決定によって一応は止まっているが、八ツ場ダムは推進されている。

 戦後のはげ山から森が回復したことで、流れ出る水はずっと減っているというのに。
どこにダムが必要な理由があるというのか。他の地域で進められるダムも推して知るべ
しだ。

 北海道から沖縄まで、ダム建設が進められる。どれも合理的な理由は見当たらない。
見当たるのは地方であえいでいる建設会社のわずかな利益と、原発が作れなくなった
ゼネコンの利権、政治家たちのだみ声だけだ。


 無能な有識者を弾除けにして、官僚・ゼネコン・政治家たちが国土を壊し続けている。



むごい未来を残す開発

 子どもの頃、近所の小川でたくさん遊んだ。魚やシジミを取り、川沿いの林で虫取り
したり栗拾いやクルミを取って遊んだ。ぼくがダムに反対するのは、そこにある生き物
たちを追いやるのがいやなのだ。

 ぼくは自分が虫だったらどこに集まるかと考え、魚だったらどうするか考える。その
大切な友人たちの棲み家を失わせるのはしてはいけないことだと思うのだ。

 ぼくは保守主義者だ。再生できないのに自然や生き物たちの棲み家を壊し、未来の
子どもたちの育つ場を奪っていく。多くの人はすでに清流を知らない。

 たとえば川に入って足元がぬるぬるするのはダムのせいだ。水は貯めると腐ると言わ
れるように、ダムで水を貯めれば水は微生物だらけになる。その微生物が下流の石の
周囲で懸命に生き残ろうとするからぬるぬるになるのだ。もはや上流にダムのない川は、
全国にほとんどない。

 もっと以前には、川は魚を踏まずに渡ることはできなかった。産卵期になると、遡る
魚群によって川は黒く盛り上がり、その魚を狙う動物たちで賑わう場になっていた。
海外ならまだ見ることができるが、日本では失われてしまった。

 水生昆虫が多いことが魚を支え、魚が動物を支え、その動物たちが森に養分を届けて
いく。アイヌは川を海から遡るものと考えるように、山の養分は生き物たちの遡上なのだ。
本当はこの美しい景色の話をしたい。しかしいまや失われてしまったのに、子どもたちに
伝えたとしても酷なだけだ。そう思うと言葉を失う。


「この水の色、神秘的ね」

『それはダムのせいで水が腐ってしまった色だ』、


「鯉がいるから水がきれいなのね」

『鯉は水が汚れていないといられない魚だ』、


「やっぱり地場のウナギはおいしいわ」

『この皮の厚さは中国産だ。国内のウナギは絶滅寸前、ウナギがおいしいむつ小川原は、
六ヶ所村再処理工場からの放射能汚染が見つかっている』…。



ダム建設からダム解体の時代へ


 この秋、産卵のために琵琶湖に遡上するはずのアユの数が以上に少なかった。あち
こちで異常に数が少ないと聞く。琵琶湖のアユが各地に放流されているアユの元だ。
各地の川はダムや河口堰に阻まれ、自然にアユが遡上できない

 しかし今年、ダムが解体され始めた球磨川の荒瀬ダムではウナギが戻ってきたそうだ。
来年はアユがたくさん遡上しそうだが、その少し上流には瀬戸石ダムがまだ残されてい
る。ダムを造ることより解体すべきなのに、未だに無意味なダム建設が進んでいく。

 全国で水は余っている。人口も減っているのになぜダムを造るのか。いまや発電用の
ダムは造られていないし、世界的に流れを壊さない小規模水力発電が主流になっている。

 下流域の治水のためなら、人口集中地域の上流に遊水地を造ればいい。氾濫原だった
はずの低湿地は人の住まないエリアに戻せばいい。それは今、アメリカで進められてい
ることだ。


 原発神話は福島原発事故で壊れ始めた。しかしダム神話は未だに根深く根付いたままだ。
ダムは安全ではないし、いつかは流れてきた土砂に埋まる。さらに巨大ダムは群発地震を
yle="text-decoration: underline;">招く。いまや川はどぶに変わり、人々が集える空の広い場所ではなくなってしまった。


 地球は人間のものではないし、ましてやゼネコンや官僚たちのものではない。いまや
日本の川の水の半分以上が取水されて管路を通る。その水を川に戻そう。人間は、一時
だけ地球に間借りする存在に戻るのがいい。

 ダムは造るときを終えて、解体すべき時期に入っている。


(下線と太字はブログ管理人hotaruによるものです)