ダム解体の時代へ〜田中優さんからのメッセージ

田中優さんの本日発行のメルマガ 第185号のお題は「ダム解体の時代へ」でした。

※このメルマガは転送転載、大歓迎です。

と書かれていますので、有り難く転載させて頂きます。

でも、少々長いので、部分転載です。全文は、こちらをご覧下さい。

  http://tanakayu.blogspot.jp/2012/11/blog-post_8746.html

▼ 脱原発の裏で進むダム建設


 原発問題がクローズアップされる一方で、こっそり進められているものがダム建設だ

 かつて象徴的に言われていた西の「川辺川ダム」、東の「八ツ場(やんば)ダム」。
川辺川ダムは知事の決定によって一応は止まっているが、八ツ場ダムは推進されている。

 戦後のはげ山から森が回復したことで、流れ出る水はずっと減っているというのに。
どこにダムが必要な理由があるというのか。他の地域で進められるダムも推して知るべ
しだ。

 北海道から沖縄まで、ダム建設が進められる。どれも合理的な理由は見当たらない。
見当たるのは地方であえいでいる建設会社のわずかな利益と、原発が作れなくなった
ゼネコンの利権、政治家たちのだみ声だけだ。


 無能な有識者を弾除けにして、官僚・ゼネコン・政治家たちが国土を壊し続けている。



むごい未来を残す開発

 子どもの頃、近所の小川でたくさん遊んだ。魚やシジミを取り、川沿いの林で虫取り
したり栗拾いやクルミを取って遊んだ。ぼくがダムに反対するのは、そこにある生き物
たちを追いやるのがいやなのだ。

 ぼくは自分が虫だったらどこに集まるかと考え、魚だったらどうするか考える。その
大切な友人たちの棲み家を失わせるのはしてはいけないことだと思うのだ。

 ぼくは保守主義者だ。再生できないのに自然や生き物たちの棲み家を壊し、未来の
子どもたちの育つ場を奪っていく。多くの人はすでに清流を知らない。

 たとえば川に入って足元がぬるぬるするのはダムのせいだ。水は貯めると腐ると言わ
れるように、ダムで水を貯めれば水は微生物だらけになる。その微生物が下流の石の
周囲で懸命に生き残ろうとするからぬるぬるになるのだ。もはや上流にダムのない川は、
全国にほとんどない。

 もっと以前には、川は魚を踏まずに渡ることはできなかった。産卵期になると、遡る
魚群によって川は黒く盛り上がり、その魚を狙う動物たちで賑わう場になっていた。
海外ならまだ見ることができるが、日本では失われてしまった。

 水生昆虫が多いことが魚を支え、魚が動物を支え、その動物たちが森に養分を届けて
いく。アイヌは川を海から遡るものと考えるように、山の養分は生き物たちの遡上なのだ。
本当はこの美しい景色の話をしたい。しかしいまや失われてしまったのに、子どもたちに
伝えたとしても酷なだけだ。そう思うと言葉を失う。


「この水の色、神秘的ね」

『それはダムのせいで水が腐ってしまった色だ』、


「鯉がいるから水がきれいなのね」

『鯉は水が汚れていないといられない魚だ』、


「やっぱり地場のウナギはおいしいわ」

『この皮の厚さは中国産だ。国内のウナギは絶滅寸前、ウナギがおいしいむつ小川原は、
六ヶ所村再処理工場からの放射能汚染が見つかっている』…。



ダム建設からダム解体の時代へ


 この秋、産卵のために琵琶湖に遡上するはずのアユの数が以上に少なかった。あち
こちで異常に数が少ないと聞く。琵琶湖のアユが各地に放流されているアユの元だ。
各地の川はダムや河口堰に阻まれ、自然にアユが遡上できない

 しかし今年、ダムが解体され始めた球磨川の荒瀬ダムではウナギが戻ってきたそうだ。
来年はアユがたくさん遡上しそうだが、その少し上流には瀬戸石ダムがまだ残されてい
る。ダムを造ることより解体すべきなのに、未だに無意味なダム建設が進んでいく。

 全国で水は余っている。人口も減っているのになぜダムを造るのか。いまや発電用の
ダムは造られていないし、世界的に流れを壊さない小規模水力発電が主流になっている。

 下流域の治水のためなら、人口集中地域の上流に遊水地を造ればいい。氾濫原だった
はずの低湿地は人の住まないエリアに戻せばいい。それは今、アメリカで進められてい
ることだ。


 原発神話は福島原発事故で壊れ始めた。しかしダム神話は未だに根深く根付いたままだ。
ダムは安全ではないし、いつかは流れてきた土砂に埋まる。さらに巨大ダムは群発地震を
yle="text-decoration: underline;">招く。いまや川はどぶに変わり、人々が集える空の広い場所ではなくなってしまった。


 地球は人間のものではないし、ましてやゼネコンや官僚たちのものではない。いまや
日本の川の水の半分以上が取水されて管路を通る。その水を川に戻そう。人間は、一時
だけ地球に間借りする存在に戻るのがいい。

 ダムは造るときを終えて、解体すべき時期に入っている。


(下線と太字はブログ管理人hotaruによるものです)

それとこれとは話が別?

3日前の長崎新聞コラム「記者の目」の記事を読んで大きく頷いた読者は多かったのでは?

 

記者は県の態度の矛盾を指摘していました。

諫早湾の開門調査をしようとする国に対して長崎県は、断固反対、

「これ以上話を聞いても意味はない」と、国との会談拒否の姿勢を示したその一方で、

石木ダムに関しては、話し合いを求めても地権者が応じてくれないと嘆いている。

 

知事よ、国が決めた干拓事業の被害者となった地元の漁民や農民、

その県の長として、国のやり方にそれほどの怒りを感じるのなら、

石木ダムに反対する地権者の気持ち、あなたならわかるはずですよね?

それとも、それとこれは話が別なんですか?

と問いかけています。

 

この疑問は、誰もが感じていたことでした。

開門の賛否にかかわらず、石木ダムの推進反対にかかわらず、

多くの県民が、あれ?知事の言ってることちょっとおかしくない?矛盾してるよね?

との素朴な声があちこちで聞かれました。

 

でも、それでは、矛盾を無くせばそれでいいのでしょうか?

石木ダム地権者の抵抗を受け入れるなら、国に抵抗して最後まで開門を阻止してもいい?

あるいは、国の方針に従って開門を許可すれば、石木ダム建設工事を強行してもいい?

 

それは違うと思います。

問題の本質が違うと思います。

諫早湾干拓事業は国の事業だとしても、県も一緒に推し進めてきたのです。

その結果、有明海を瀕死の状態にして、漁民を苦しめてきたのです。

それに気づいた国が、調査をするために開門しようとしているのです。

漁民と干拓地の農民の方々は被害者ですが、県は被害者ではありません。

一方石木ダム予定地の地権者は、県の事業で土地を奪われようとしている被害者です。

被害者は自分の財産を守るために実力行使をする権利がありますが、

県は、同じ立場ではありません。

 

イサカンと石木ダム・・・県の方針には矛盾はありません。

自然よりも経済が大事。目先の経済が大事。大型公共事業が大好き。

そのためには一部の県民が犠牲になっても気にしない。

そんな体質を感じます。

 

2011・3・11の日本に生きていた私たちは、自然の脅威を思い知ったはずです。

自然をあまくみてはいけない、これ以上自然を破壊してはいけない、

放射能に汚染された福島をみて、

自然のままの海や川や大地がどれほど大切か気づいたはずです。

もう自然を傷つけるのはよそう…

そう感じた県民も多いでしょうし、県の職員の方の中にもいるはずです。

 

国対県、県対住民、と対立するのではなく、

未来の環境を守ろう!本当に豊かな暮らしを目指そう!

とみんなが考え始めたとき、

きっと道は開けるはず… 

 

長崎新聞、石木ダム再評価について特集「報道プリズム」

 

11月4日、日曜日の長崎新聞は、1ページの3分の2ほどの紙面を使って、

石木ダムの再評価の問題を取り上げ、わかりやすく説明されていました。

 

再評価とは何か、その現状、問題点など、丁寧に書かれていました。

 

山口記者は、

事業認定や再検証では、県市が自ら検証・再評価し、国が追認するか判断するしくみ。

そこで使われた水需要予測は、07年度の再評価時と同じものだったので、結論も同じだった。

しかし、今回の再評価は、近年の実績値を踏まえ見直される。

と解説しています。

 

そして、これまでの予測(右肩上がり)に反して、その実績値は減少し続けている、

(そのことを示すグラフが、とてもわかりやすい!)

昨年度の一日最大給水量は安定水源をほんの少し上回るだけで、

不安定水源を含めた水源量から考えると、

4万トンの必要性に疑問符がつくと指摘しています。

 

それでもなお4万トンが必要とする水道局の言い分(旧町との統合や工業団地や観光客の増加など)と、

それに反論する山下市議の言葉(理由は後からどんどん付け足す、ダム有りきのやり方)も紹介。

双方の主張がきちんと書かれていて、読者自身が考える参考になると思いました。

 

そして最後に、このように見方が分かれる問題であるし、

再評価の結論は、石木ダム建設の行方を左右する重要な要因となるから、

正確な予測はもちろん、

作業過程や判断根拠の公開といった透明性の確保をするように…

と、しっかり釘を刺していただいた。

 

 

この部分に掲載された写真も中々面白い。

私たちにはお馴染みの、水道局の電光掲示板ですが、

「貯水率90.4%」と書かれた下に、「水源不足の抜本的対策は、石木ダム建設です」

と書かかれているのは、まるでジョーク?

90%以上も貯水していて、水源不足???  思わず吹き出してしまいました。

 

長崎新聞を購読なさっている方は、

ぜひもう一度、11月4日の14ページをごらんくださいね〜

 

 

公開質問書と請願について記者会見

10月30日、午前11時、石木ダム建設に反対する市民団体(佐世保市・長崎市・川棚町)のメンバー12名が、県政記者室にて記者会見をおこないました。

知事への公開質問書の回答と、国土交通大臣等に送った請願書について説明するためでした。

すでに、公開質問書や請願書はFAXで送っていましたが、読売新聞さん以外はなかなか報道されていませんでした。

しかし、この日はたくさんの記者の皆さんが参加、真剣に耳を傾けてくださっていました。

その日の夕方、KTN(テレビ長崎)や、NIB(長崎国際テレビ)が夕方のニュースで報道、

翌日は、読売新聞や長崎新聞が記事を掲載してくれました。

やはり、直接きちんと訴えることの意義を感じました。 

 

KTN テレビ長崎  

KTNスーパーニュース 10月30日 http://www.ktn.co.jp/news/2012/10/30/

石木ダム反対派が事業認定取り下げ訴え

  石木ダム建設に反対する市民団体のメンバーなどがきょう会見を開き、県に対し、事業認定申請を取り下げ、話し合いのテーブルに着くよう訴えました。会見を行ったのは5つの市民団体で中村知事が 先月、ダムの事業認定手続きを進めるよう九州地方整備局に要請していたことに反発しています。市民団体では今月8日、「国から通知された『地域の理解』を得る努力を行っていない」として事業認定申請の取り下げを求める質問状を提出していました。しかし、県からの回答書には「公聴会の開催など住民参加の機会も確保されている」と手続きを進める方向性が示されたため、改めて事業を白紙に戻すよう訴えました。石木川まもり隊 松本美智恵 代表「形だけの話し合いではなくて申請を取り下げて、一から地権者と向かい合って話してもらいたいと」市民団体では野田総理大臣などに対しても事業認定手続きの中止を求める請願書を送っています。

  

知事からの回答

10月8日に送った知事への公開質問書(https://ishikigawa.jp/blog/cat16/623/

に対する回答書がやっと今日、10月27日に届きました。

 

 

石木ダム建設絶対反対同盟 様

石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会 様

水問題を考える市民の会 様

石木川まもり隊 様

石木川の清流とホタルを守る市民の会 様

 

 先般の「石木ダム事業認定に関する公開質問書」に対して、以下のとおり回

答いたします。

 

(1) 「国土交通省から通知された「石木ダムに関レては、事業に関して様々な

意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望

する」に対しどのような努力をされましたか」についてですが、

 

(回答)

 石木ダムのダム検証につきましては、6月11日に、「補助金交付を継続」とする、

国土交通省の対応方針が出されたところでありますが、まずは、川原地区の地権

者の皆様にお知らせするべきだと考え、ダム検証の結果報告と、改めて、お話を

させていただきたい旨の親書について、直接手渡したいと代表者の方に申し入れ

を行ないましたが、受けていただけませんでした。このため、やむを得ず、川原地区

の皆様に、郵送により送付させていただきましたが、残念ながら親書は返送されて

おります。

 その後、川原地区にお住まいの地権者の皆様と、是非ともお会いして、我々の気

持ちをお伝えレ、事業への協力をお願いするため、職員が文書を携え直接お渡し

しようとしましたが、ほとんどの方にお受けいただきませんでしたので、再度、やむ

を得ず、文書を郵送させていただきました。

 その後も現在に至るまで、話し合いの継続や、事業への協力をお願いさせて

いただきたく、川原地区の皆様に、再三、職員が直接、訪問させていだだいて

おりますが、未だに、話し合いに応じていただけない状況が続いているところ

です。

 今後とも、一日も早くご理解をいただけるよう、誠心誠意対応してまいります。

 

(2) 「私たちは、長崎県が事業認定申請を限り下げて、石木ダム建設事業につ

いて白紙の状態で話し合うことを求めます。公開の場で双方が納得のいくまで

討論し合うことは、「地域の方々の理解を得る努力」のひとつとして評価されると

思いますがいかがですか」についてですが、

(回答)

 事業認定につきましては、土地収用法に基づき、事業認定庁が中立的な第3者

の立湯で、事業の公益性、必要性を改めて判断するものであります。また、その手

続きの中では、公聴会の開催など、住民参加の機会も確保されているため、事業

認定は話し合いの進展を図るうえでも有効な手段と考えております。

 

 石木ダム事業の推進のためには、地域の皆織のご理解を得られるよう努力する

ことが重要であると考えており、今後とも、あらゆる機会を捉えて、話し合いが継続

されるよう取り組んでまいります。

 

(3) 「石木ダム事業は諸々のデータを精査すればすでに破綻しています。この際

勇気ある撤退を検討する時期と思いますがどうですか。」についてですが、

 

(回答)

 石木ダムにつきましては、川棚町民の生活を洪水から守り、佐世保市民が水不

足のない安心した生活を確保するために、必要不可欠な事業であります。

 川棚川流域では、これまで、戦後4回もの大きな洪水被害が発生しており、

川棚町民の安全で安心した生活を確保するためには、抜本的な治水対策が早急

に求められております。特に、平成2年7月の梅雨前線豪雨も、大きな被害が発生

しております。

 また、本年7月に発生した九州北部豪雨災害では、これまでに経験したことのな

いような大雨を記録し、甚大な被害が発生しておりますが、川棚川流域においても、

何時でも、起こりうると考えております。

 さらに、佐世保市は安定して取水できる水源が不足し、慢性的な水不足に悩まさ

れております。特に平成6年の大渇水においては、264日間にも及ぶ給水制限と

なり、市民生活に重大な影響が生じておりますが、佐世保市内で安定した水資源を

確保できる適地はないため、石木ダムによる水資源の確保が必要であります。

 このように、石木ダムの早期着工と早期完成は、長崎県にとりましては喫緊の課

題であると考えております。

 

 最後に、石木ダムの事業推進のためには、川原地区にお住まいの地権者の皆様

方との話し合いを継続させていただき、石木ダムの必要性についてご理解をいただ

けるよう、誠心誠意取り組んでいくことが最も重要だと考えておりますので、何卒よろ

しくお願いいたします。

                                       平成24年10月26日

                                      長崎県士木部河川課長

 

誠心誠意ね〜

もう聞き飽きました。

誠心誠意という言葉が何だか薄汚れた感じすらします。

 

私たちは、質問書の最後に、10月18日までに回答を送ってくださいと明記の上依頼していました。

前日の17日に、こちらの担当者が県の担当者に念押しの電話を入れたら、このような返事が返ってきました。

 

「通年議会になり毎日忙しい。回答するかどうかも含めて検討中である。

最終的に知事の決裁を得るまでにはだ時間がかかる。

検討中であるが、いつまでに回答できるか返答できない。

また知事も忙しくなかなか会えない」

 

回答するかどうかも含めて検討中 

回答しないことも有りってわけ 

地権者を含む5団体のメンバーが、時間をかけて、議論して練り上げた質問書に、

回答もせず、無視することさえ考えているという・・

そのどこが「誠心誠意」なのでしょう

 

通年議会で忙しい?

知事も忙しくて会う時間がない?

と言いつつ、

ダム推進派の団体が要望書を提出しに来た時は、

知事自ら会って受け取り、面談していましたね〜

あれは、10月5日で、やはり議会中でしたよね〜

 

もう口先だけで語るのは止めてください。

地権者や、反対市民団体の声にも、まともに耳を傾けてください。

 

回答書を見て、

1.県のしている努力は自分たちの考えを一方的に伝えようとするだけ。

2.地権者側の提案(公開の場での討論)には全く応じる気無し。

3.相変わらずダム有りきの論理でしか治水や利水を考えようとしない。

こんな県の姿勢を感じました。

残念です。

 

政府と国会へ石木ダム事業認定手続きの中止を求める請願書を送りました

15日、長崎県議会は、石木ダムの事業認定申請を求める意見書を本会議で採択後、

即日、衆院議長、参院議長、総理大臣、国土交通大臣、官房長官に提出しました。

 

そこで、私たちは、その提出先へ、反論の意見書を送ることを決め、

19日、県議会と同じ5ヶ所に送付しました。

 

え?総理大臣にも送るの?

見らんやろ?郵送代のムダ!

との声もありましたが、

「県議会が送った同じところに全て送るべき」

「推進要請だけ受け取ったひとは反対派の存在を知る術がない」

などの声があり、な〜るほど、そんなものか…

と皆が納得した次第です。

 

また、本日、このことを、県政記者室に公表しましたので、ここでも公開することにします。

 

以下、私たち6団体の思いがこもった意見+請願です。

こちらは国交大臣あてのものですが、他4通も同文です。

大臣の目と心と頭に届くことを祈りつつ・・・

 

2012年10月19日

国土交通大臣

羽田雄一郎 様

 

石木ダム建設絶対反対同盟
 ダムからふるさとを守る会
 石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会
 水問題を考える市民の会
 石木川まもり隊
石木川の清流とホタルを守る市民の会

 

 

石木ダム事業認定手続きの中止を求める請願書

 

1.石木ダム建設絶対反対同盟は、生まれ育った美しいふるさとを守り、そこで暮していきたいと願って、50年来、長崎県など行政当局のさまざまな圧力や懐柔策にも耐えて、長崎県が計画する石木ダム建設によって集落が水没させられることに反対している13世帯71人の団体です。

連名している5団体は、石木ダム建設計画を研究して、川棚川の洪水対策にも、佐世保市の水源確保にも石木ダム建設は必要でないことを明らかにしている団体です。

 

2.長崎県議会が、衆・参両院議長および内閣総理大臣などに対して、「石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書」(本年10月15日付)を提出しましたが、これには県議会で強い反対意見が述べられています。また、その意見書自体も事実を歪曲した内容になっています。

ダム建設事業については、政府の見直し方針の下で「予断なき再検証」が求められました。ところが長崎県の検討の場は、計画批判の意見には耳を傾けず、建設継続を押し通しました。また、検証期間中も建設推進のキャンペーンを行いました。まさに「予断をもった再検証」でした。

 

国(国土交通省)は、長崎県の「石木ダム建設事業継続」方針を追認し「補助金継続」を決定しましたが、「建設事業について地域の理解を得るよう努力することを希望する」との付帯意見をつけました。しかし、長崎県は、一方的な推進キャンペーンを行うだけで、地元住民などが求めている建設事業についての公開討論会の開催を拒否するなど、「理解を求める努力」はしていません。それどころか、県当局は、「(地権者)全員の同意がなくても事業は実施できる」と発言するなど、威嚇的な態度さえ示しています。

 

3.長崎県議会の意見書は、「佐世保では市民の水不足への切なる願いから・・・盛大なパレードが実施され、」と述べていますが、実態は、佐世保市職員や関係業者など、当局が動員した「やらせパレード」ともいわれるものでした。

佐世保市内の市民団体が行った街頭アンケートでは、「石木ダムは必要ですか」の質問に、98人中、必要27%、不要57%の回答が寄せられるなど、市民の意見は、むしろ変化しています。

 

4.治水に関して、長崎県の説明資料には水害防止を裏付ける説明文及び学問的に分析された各種データはありません。

専門家は、「過去の川棚町における水害データを精査した結果、川棚町の洪水は内水氾濫であり、その要因の第1は地政学的なものである。第2は雨が続き気象学的要因が重なれば内水氾濫の発生の可能性は非常に高まる」と指摘しています。石木ダムでは川棚町内の水害(内水氾濫)は防げず、洪水対策にはなりません。

 

5.利水に関して、現在、佐世保市水道水源の安定的な供給能力は、9万5000㎥/日です。これに対し、近年の配水量は、平成19年 7万9000㎥/日、平成20年 7万7000㎥/日、平成21年7万4000㎥/日、平成22年 7万2000㎥/日、平成23年 7万1000㎥/日 (年間一日平均値、千台未満四捨五入)で、供給能力にかなりの余裕があります。

佐世保市の平成23年度の水道配水量は、石木ダム建設計画の同年度予測値に比べ、一日平均配水量で約1万4000㎥/日、一日最大配水量では約2万5000㎥/日も減少しました。平成24年度の水道事業予算でも、同予測値に比べ一日平均配水量で約1万4,700㎥/日も少ない見込みを立てています。

その上に、4万㎥/日の石木ダム建設がなぜ必要なのか、市当局はまともな説明が出来ないでいます。市当局は、「佐世保市の発展のために必要」との理由を持ち出しています。これに対し、水没予定地の住民から「私たちを佐世保市の発展のための犠牲にするのか」と怒りの声が上がっています。

石木ダム建設事業は、水道施設整備事業として厚生労働省の補助事業でもあります。今年度はその再評価実施年度ですが、上記で示した近年の配水実態の中で、市当局は、今に至るも再評価を行う手続きの目途さえ立たない状態です。

 

6.長崎県議会の意見書は、「事業認定手続きの進展」を求めています。

これは、強制収用につながる手続きです。建設が必要でもないダムを造るために、「理解を求める」努力もせず、「ここに住み続けたい」という住民の財産を取りあげることは、基本的人権を踏みにじり、正義にも人道にも反する行為であります。

意見書は、8割の地権者は協力していると述べていますが、人権は多数の力で奪ってよいものではありません。むしろ2割もの地権者・住民が「ここに住み続けたい」と願い、ふるさとを水没させるダム建設に、半世紀に亘って反対し続けていることこそ重視されるべきです。

国会および政府におかれては、国民の税金を無駄に使わない、そして国民の人権を守る立場から、石木ダム事業認定手続きは中止されるよう対処していただきたく、請願いたします。

(以上) 

県議会、意見書可決

10月15日、長崎県議会は本会議において、

石木ダムの事業認定申請を求める意見書を採択しました。

 

賛成38、反対5、棄権2でした。

 

反対した議員の一人、堀江ひとみ議員の反対討論をご紹介します。

 

 ただいま議題となりました石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書につきましては、

以下の理由で反対いたします。 

 

 事業認定が、地権者との話し合いの場をつくるためと言っても、強制収用に道を開く 手続き

そのものです。事業認定手続きは、住民の不安と不信を募らせるばかりです。

30年前の機動隊導入による強制測量が引き起こした事態への反省もなく、再びこれを繰り返

すならば、地権者のみならず県民の理解を得ることは到底できません。

「生まれ育ったここで農業を続けたい」「ここに住み続けたいだけなんだ」という、住民の憲法で

保障された権利は、誰であっても、踏みにじることは許されません。

強制収用という野蛮な行為は、絶対にすべきではありません。

 

 国は石木ダムの事業継続を決定しましたが、「地域の方々の理解が得られるよう努力すること

を希望する」と、意見をつけています。

国が求めた努力をせずに知事は、国土交通省九州地方整備局に対し、事業認定手続きを求め

ました。県民からは、こうした行動が、不誠実で一方的な行動であり怒りさえ感じるとの声が寄せ

られました。

 本意見書を、県議会が採択することは、反対土地所有者のみなさんとの話し合いの場も、さらに

遠ざけると判断します。

 

  本意見書では、佐世保市の安定的な水資源確保のために、石木ダムが必要不可欠な事業と

して、多くの人が認めていると述べていますが、そうは思いません。

 いま佐世保市が提供できる水の、提供能力は、安定水源・不安定水源と合わせて、毎日平均、

9万2,000トンです。佐世保市民の使用水量は、1万トン近い漏水も入れて7万4,000トンです。

9万2,000トンの水があって、使用している水量は7万4,000トン。おつりがきます。

 水不足ではなく、佐世保市の水は足りています。

それなのに、新たに1日4万トンの石木ダムが、どうして必要なのか。説明がつきません。

 

 石木ダム計画も含めた水需要予測は、一日13万トンです。

これは人口の約2倍ある長崎市が毎日使用している水量です。人口は長崎市の半分しかない

のに、使う水の量は長崎市と同じぐらいの、水需要を求めるということ自体、いかに過大な需要

設定であるか、明らかです。

 

 9月24日付毎日新聞では、「石木ダムの水需要予測プラスに転じる材料乏しく」と、報じてい

ます。佐世保市の11年度水使用の実態は、需要予測に反して、予測値よりも約2万6千トンも

低くなりました。

 

 水需要予測が実態にあわないこと。過大な需要設定であることが、多くの県民に明らかにな

ってきました。必要のない石木ダム建設は直ちに中止を。この声が、以前にも増して県民、市民、

町民の間でひろがりを見せています。こうした県民の声に応える立場から、意見書には反対です。

 

  以上、反対討論といたします。

 

緊急学習会

お知らせが遅れましたが、

明日、10月13日(土)、午後2時〜

させぼ市民活動交流プラザにて、学習会を開きます。

 

石木ダム問題の現状について学習します。

6月11日国交省の判断が示されて以降、何がどのように変化しているのかいないのか、

国の判断を県や市はどう受け止め、どう動いてきたか、

九州地方整備局はその後どのような動きを示しているのか、

佐世保市議会は?長崎県議会は?地元住民は?

とりわけ、佐世保市水道局は?

そのような現状を整理し、共通認識を深めたいと思います。

 

なぜ、とりわけ水道局かと言いますと、

今年度の再評価委員会開催に向けて、もうタイムリミットが刻々と迫っているからです。

それでも未だ準備が進まない?進めない?のは何故か。

より良い再評価を望む私たちにできることはないのか、考えていきたいと思います。

 

お時間と関心のある方は、どなたでもご参加ください。

 

今日の愛媛新聞の社説では、山鳥坂ダムの検証について、問題点をズバリ指摘しています。

そもそも検証の在り方自体が当初から批判されてきた。国交省が自らの事業を検証する矛盾。

当事者である自治体がダム推進を口にする矛盾。立場を逸脱していよう。

まず国は、過去のダム事業推進の姿勢を謙虚に省みた上で、

3年間もの怠慢を猛省しなければならない。

その上で検証手法の改革と、公平公正な結論を急ぎ求めたい。

まさにその通り。

山鳥坂ダムは国営ダムですから、これを石木ダム問題と水道局に当てはめて考えると、

水道局が自らの事業を再評価しようとする矛盾。

過去のダム有りきの姿勢を謙虚に省みた上で、

今年度に入ってから10ヶ月も何も準備してこなかった怠慢を猛省しなければならない。

その上で、再評価手法の改革と、公平公正な結論を急ぎ求めたい。

やればできる脱ダム

今夜の報道ステーションは、滋賀県の嘉田由紀子知事にフォーカスし、

まさに「コンクリートから人へ」を実現する、見事な脱ダム政策を紹介してくれました。

 

嘉田知事は北川第一ダム、芹谷ダム、国営の大戸川ダムの3つのダムを凍結しました。

民主党が掲げたキャッチフレーズ「コンクリートから人へ」の象徴だった八ッ場ダムは、

政権交代当初、中止を明言していたのに、2年後にはあっさり継続と変更  

4600億円の税金が投入されます。

滋賀県にも国営の大戸川ダムの計画があったけれど、嘉田知事が3年前に凍結。

知事は、莫大な予算と時間がかかるダムより、

河川改修のほうが、水深を確保でき、予算も大幅に減らすことができると自ら検証

さらに、大阪府や京都府などにもダム凍結した方が費用対効果が高いことを納得させました。

しかし国はあきらめず、官僚からの激しい抵抗があり、

大戸川ダムの凍結を堺に国の補助金を2割以上減少させたそうです。 

 

国がダム建設にこだわる背景を、元国交官僚の宮本さんは、

「役所は個人の部局のためにダム建設を進めている」と河川ムラの存在を語っていました。

そんな巨大な官僚の抵抗にも負けず、なぜ嘉田知事はダムを凍結できたのか?

 

それはきっと、農村研究や農に欠かせない水問題にも精通した専門家だったことが大きいのかも…

洪水対策には、河川改修やハザードマップが有効であることに自信を持っていたから、

内部からもあれほどの抵抗を受けながら、揺るぐことがなかったのでしょう。

また、住民への保障も重視し、ダムを凍結しても地域振興策を続けることを約束、

ダムを凍結した資金で、就労支援や介護・衣料の充実を図り、

住民も次第に理解を示し始めました。

結局、嘉田知事は、合わせて1908億円かかるダムを凍結し、

洪水対策として104億円かけて河川改修をやるという政策を実践しているのです。

 

コストの面ではもちろん、洪水対策としても、地域対策としても、

地に足のついた、住民の暮らしを守る政策です。

TVを観ていて、感動さえ覚えました。

 

こんな知事がもっともっと増えて欲しいものですね〜