生まれ育ったこの地で眠りたい

昨日で県の立入調査も終わりました。

何も調査できずに終わりました。

阻止行動の圧勝です。初日から地権者の怒りのオーラが県職員を圧倒しました。

それでも、県はなんら困らない。

既存の資料を使い調書は作成し、収用裁決申請も明渡し申立書も提出できるから・・・

そうやって、農地に続き、家をも奪おうとしている。

その上、お墓までも!

 

川原さんの言葉が胸に刺さります。

2歳で亡くなった兄も、病に倒れた父母もこの墓で眠っている。

私もまたこの地で生き、死にたいだけだ。

 

こうばるには、あまり知られていませんが、こんな歌もあるのです。

 

 

      ふるさと 川原(こうばる)

 

サケが川を上るように ツルが北に渡るように

人は ふるさと目指します

もしもその時ふるさとが 水の底に沈んでいたら

私のこどもたちは どこに帰ればいいのだろう

ここはこうばる あなたのふるさと

守り抜きます 私のふるさと

 

サケが川を上るように ツルが北に渡るように

人は ふるさと思います

先祖の眠るふるさとを 水の底に沈めたら

私の父母(ちちはは)は どこに眠ればいいのだろう

ここはこうばる 私のふるさと

守り抜きます あなたのふるさと

 

 

土下座

私たちの土地を奪わないでください!

お願いします!

そう叫んで突然すみ子さんが土下座しました。

 

測量調査阻止行動3日目。

いつもの時間(9時半)に県職員がゾロゾロとやってきて、

「皆さん、お願いします。道を開けてください。測量をさせてください」と言い、

反対地権者や支援者との不毛なやり取りを続けていた時のことでした。

 

一瞬静寂が訪れました。

私たち支援者はもちろん、地権者の皆さんも驚きの余り体が固まってしまったようです。

カメラのシャッター音だけが響きました。

私もカメラを向けながら、熱いものがこみあげてきました。

しばらくしてダム事務所の古川所長が手を添えて立ち上がらせましたが、すみ子さんはまだ訴え続けました。

 

「私たちはここに住み続けたいだけなんです! 石木ダムは断念してください。

 (断念してもらうには)どがんしたらいいですか? どういう方法があるんですか?教えて下さい!」

 

他の地権者も言いました。

「40年も50年も前にできた計画をなぜ押し付けようとするのか?おかしいじゃないか!」

「佐世保の水はもう足りている。治水対策はダムよりも河川改修の方がよっぽどいい!」

 

所長「必要性の話を皆さんとすると、どうしても平行線になるんですよね」

地権者「当たり前だ。県が考えを変えようとしないからそうなるんですよ」

支援者「現実から目を背けないで下さい。佐世保市の実態を見てください。勝手に数字合わせをしないで下さい」

支援者「ここ数年ずっと佐世保のダムの貯水率は90パーセントを切っていないんですよ。ご存知ですよね?」

支援者「無駄なお金を使わないでください!」

地権者「もう帰ってください。午後からも来ないでください」

所長「申し訳ないけど、申し訳ないけど、あと二日間来ます」

所長さんも辛い立場だと思います。

どんなに罵倒されても、あるいは地権者に同情の念が湧いたとしても、上司の命令には逆らえない。。

立入調査として予定された期間は、業者を引き連れ、お願いに行かなければならない。

測量などできないことはわかりきっているのに。

このプラカードを毎日目の前に突き付けられているのに、見えないはずはない。

読めないはずはない。

理解できないはずはない。

 

それでも、毎日ゾロゾロとやって来る。

4日間で320人態勢だそうです。

その人件費だけでもいくらかかるか?

聞いても答えてはくれないでしょうから、皆さん、勝手に推測しましょうー

 

そのお金は結局私たち県民の税金!

この理不尽な県政につける薬はないものか・・・


 

立入調査2日目 怒りの底にあるものは…

立入調査2日目。

今日も、午前と午後1回ずつ県職員はやってきました。

「調査をさせて下さい。お願いします」と。

その答えは地権者が手にしたプラカードに書かれています。はっきりと。

我々は、土地も家も売らない。

家屋調査や土地測量、必要なし。

 

それでも帰ろうとしない県職員に向かって、地権者の言葉は荒くなります。

丁寧にお願いする県と怒鳴り返す地権者の構図は、第三者が見れば一瞬誤解を招くかもしれません。

地権者の人たちって強引で横暴な人たちなの?と。

 

そうではありません。

どんなに礼儀正しくお願いしても、法律に則っていても、自分の家や田畑を奪いに来る人は、

地権者にとっては「強盗」と同じです。

 

ここはじいちゃん、ばあちゃん、オヤジ、オフクロから受け継いだ大事な田んぼ。

ここは俺が生まれ育った、たった一つのふる里。かけがえのないふる里。

ここは私が嫁いだ場所。子どもを産み育て、私も育てられた第二のふる里。

家族の幸せがいっぱい詰まった我が家。私の生きる場所。

どうして俺たちが追い出されるんだ?

どうして私たちが犠牲にさせられるの?

私たちにも自分の財産を守る権利はあるはず!

どうして今ダムが必要なんだ?

どうしてここでなくちゃいけないの?

誰か説明してくれ!

私たちにわかるように説明して!

 

既に説明済みです。事業認定という国のお墨付きも頂いています。

もうこの畑は国のものですよ。この野菜は処分して下さいよ。

二度とここに植えてはなりませんよ。

次は宅地です。家は取り壊します。

その補償額を計算するために測量調査が必要です。

さあさあ、邪魔をしないで調査をさせてください。

 

と慇懃無礼に迫ってくる者に、どうして応じることができるでしょうか。

土地収用法という為政者にとって都合のいい法律を武器に、どんどん攻めてくる県。

それに対して素手で立ち向かっている地権者。

あまりにも力の差があり過ぎる。

その悔しさ、悲しさ、理不尽さ。。

その心理を新聞記者は見つめ、伝えています。

 

立入調査に地権者の怒り爆発

昨年7月、今年1月に続き、3回目の立入調査です。

強制収用のための調査ですから、地権者の皆さんが許すはずはありません。

支援者も朝からたくさん集まって、県職員を待ちかまえました。

午前も午後も地権者の、怒りがほとばしるような抗議の声に立ち尽くし、返す言葉も無い県職員。

最後は「帰れ!」コールに送られて、去っていきました。

 

夕方のNHKニュースでは、このように報じました。

石木ダムで県が測量調査できず

川棚町に計画している石木ダムの建設を進めるため、県は、ダムで水没する9軒の家屋を含む約9万平方メートルの土地の強制的な収用に向けて2日、現地で土地や建物の補償額を決めるための調査を行おうとしましたが、地権者らの反対にあい、2日は調査ができませんでした。
石木ダムをめぐっては、建設に反対する一部の地権者と県との用地交渉が難航していて、県は法律に基づいてすべての土地を強制的に収用する手続きを、工事の内容に応じ3つの時期に分けて進めています。
今回は、ダムで水没する9軒の家屋を含むおよそ9万平方メートルの土地が対象で、強制的に収用する「裁決申請」に向けた手続きを進める上で必要な土地や家屋の測量調査を行おうと2日、県の職員や測量業者などおよそ30人が午前9時半前に集まりました。
しかし、調査を行う土地に通じる道路には反対する地権者やその支援者など30人あまりが集まり、道路を塞ぐように横断幕を持って激しい抗議活動を行いました。
県の担当者が「きょうから4日間調査をします。道をあけてください」と調査への協力を求めましたが、地権者側は「土地を取り上げるやつらは帰れ」などと声を荒げ、押し問答となりました。
押し問答は、およそ10分ほど続きましたが、結局、県は午前中の立ち入り調査を断念し、引き上げました。
県は午後も現地を訪れましたが、地権者側の反対にあい、2日は調査ができませんでした。
県は、3日も現地を訪れ、地権者に対し測量調査への協力を要請することにしています。
石木ダム計画に反対し、今回の測量調査の対象になる地権者の岩下和雄さんは「地権者の同意を得ずに土地を取り上げるという行為が間違っている。これからも断固阻止する」と話していました。
一方、県の石木ダム建設事務所の古川章所長は「調査をやめるつもりはない。また改めてお願いに来る」と話していました。

 

皆が集まったのは、おばあちゃんたちのサロン「団結小屋」の前。

今日までふる里をダムから守った真の功労者は、このおばあちゃんたち。

そして、そのそばを流れる石木川は、

歌うように、笑うように、今日も楽しそうに流れていました。。。

 

地権者、県に申し入れ

今日は「石木ダム建設絶対反対同盟」による県への抗議の申し入れ行動に同行しました。

Sさんが読み上げ手渡した文書を貼付します。

 

 

要点をまとめると、

●住民が望まないもの・住民の同意が得られないものは公共事業ではない

●それを強行するのは、税金の無駄遣い

●県はかつて住民と交わした覚書(調査の結果建設の必要が生じた時は協議の上、書面による同意を受けた後着手する)を無視して工事を強行しようとしている

●これは県民を「だまくらす」行為であり許されない

●知事はただちに付替え道路工事と収用裁決手続きを中止し、話し合いを再開すべき

などです。

 

対応したのは石木ダム建設事務所の古川所長。

地権者の皆さんや私たち支援者も、県の強硬姿勢について抗議しましたが、

所長はあくまでも「石木ダムは必要な事業であり、国からも認定を受けている。

我々は法的手続きに従ってやっている。それを妨害するあなた達こそ違法であり、やめてほしい」

などと述べ、いつものように平行線のまま終わりました。

最後に地権者の皆さんはこの申し入れ(手続きの中断と話し合い再開)に対する知事からの明確な返答を求め、その返事が届くまでは工事を中断するよう要請しましたが、

「知事に必ず伝えます」という約束しか得られませんでした。

そして、「知事こそ13世帯地権者の皆さんとの話し合いを望んでいる。応じて下さい」と逆に頼まれ、

「工事と手続きを中断したら、いつでも会おう」と地権者の皆さんも応じ、申し入れを終えました。

 

外に出ると、ダム事務所の向かい側では、支援者の仲間が、

「止めよう!石木ダム建設」「許さない!強制収用」などと書かれた横断幕や幟、プラカードなどを掲げ、

通行人や車のドライバーにアピールしていました。

 

暑い中、みんな頑張ってます!

古川所長もダム事務所の職員の皆さんも、毎日このメッセージが目に入っているはず。

住民、町民、県民が望まない事業を進めようとするのはキツイものがあるでしょうね。

仕事とはいえ、公僕とはいえ、民から感謝されず恨まれるような役目は辛いでしょうね。

だからこそ、ぜひ、この民の思いを知事に伝えて下さい。

 

長崎新聞の論説で、こう書かれていました。

「県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない」と。

それは新聞記者として控えめにおっしゃったのかも・・・

本当は「県民にこれほど反対されている不幸な県事業」では?

 

職員の皆さんのためにも、そして知事自身のためにも、

所長の口から、今日の地権者の声を知事にしっかり届けてください

 

 

4軒の家も収用裁決申請!

本日、県は、県収用委員会に新たな土地の収用裁決を申請し、明渡し裁決の申立てを行いました。

そこには4世帯の家族が今現在暮らしている4軒の家屋も含まれています。

申請がされれば、数か月後には裁決されます。

裁決されれば・・・

それでも地権者の皆さんは、

とか、

などとおっしゃっています。

皆さんの決意は揺るぎないものです。

この決意をまだ県は疑っているのか、見くびっているのか、それとも本気で家を潰すつもりなのか・・

 

それだけではありません。

県は同時に、手続きを保留していた残りの用地約9万㎡についても手続き開始の申立てを行いました。
 
手続き開始の告示は7月下旬の見込みだそうです。
 
そこには残る9軒の家が含まれています。
 
 
 
 
つまり県は、来年7月末までにすべての土地の収用裁決申請を済ませ、何が何でもダムを造る決意のようです。
 
私たちには狂気の沙汰に思えます。。
 
 
 
今日は午後から開かれた佐世保市議会本会議を傍聴するために出かけたのですが、
 
その前に緊急の石木ダム建設促進特別委員会が開かれ、この件についての説明があったことを知りました。
 
 
 
本会議では私たちの請願について、社民党と共産党の2議員が賛成討論を行って下さいましたが、
 
いつも通り、4名の議員(社民党と共産党)以外は反対で、よって不採択となりました。  
 
 
 
佐世保市議会よ、長崎県議会よ、思い出してほしい。
 
1982年の強制測量の時のことを。
 
権力の力で強制的に住民を排除して行った測量が、どれほど県民の反発を招いたか!
 
今回それをやれば、その何十倍、いや何百倍もの非難の声が全国から届くだろう。
 
 
 
議員たちよ、想像力を高めてほしい。
 
行政代執行を実施して13軒の家を取り壊すシーンを。
 
それはおそらく、戦後日本で最大規模となる、公共事業のための権力による人権侵害。
 
長崎=平和のイメージは一夜にして地に落ちるだろう。
 
 
 
私たち長崎県民は、命を貴び、平和を愛する県民ではなかったのか?
 
 

農地収用へ 地権者の思い

今朝の長崎新聞の記事を3つ貼り付けます。

いずれも、22日に裁決された農地収用と明渡に関する記事です。

ポイントは、

①農地約5500㎡のうち、畑275㎡は8月24日まで、水田などの5200㎡は10月30日までに明け渡さなければならない。

②県は8月24日までに補償額を各世帯へ届け、地権者が受け取りを拒否した場合は、法務局へ供託し、所有権は国に移転する。

 

 

③地権者が期日までに明け渡しには応じなくても、登記簿の名義変更がなされ、土地は収用される。

④地権者はプレハブ小屋に立てこもってでも、徹底抗戦の構え。

⑤行き着くところは行政代執行か?

⑤法的手段(裁決取り消し訴訟)を取るかどうかは石木ダム対策弁護団と地権者で協議。

 

⑥地権者の思い

「金も何もいらない」「所有権が移っても田んぼを続け、この土地を残したい」

「この40年ダムに翻弄され続けた」「気の休まらない日々で、夢にまで見る」

「裁決を出した収用委員会は、委員は第三者でも事務局は県の職員。結論は初めから決まっている」

「知事はどうするのだろうか。私たちの土地を強制的に取り上げるのだろうか」

 

この思いは川原さんだけではありません。

地権者みんなの思いです。

その同じ思いで、今日も工事現場での抗議行動は続いています。

 

 

 

地権者、支援者ら猛反発 石木ダム土地収用裁決 [長崎県]

西日本新聞 2015年06月25日 01時20分

 

 県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム事業をめぐり、県収用委員会が地権者4世帯に対して農地の明け渡しを求める裁決を出したことに対し、対象となる地権者や、付け替え道路工事現場の入り口付近で抗議活動を続ける住民、支援者たちからは県に対する反発や憤りの声が上がった。

 付け替え道路工事の現場入り口では24日、県が工事再開を表明した5月19日から続けている地権者や支援者による抗議行動が早朝から行われた。県職員や作業員が現場に姿を現すと「今こそ考えよう、石木ダムと強制収用」「『石木ダム』の強制収用は許さない!」などと書いた横断幕を持って無言の抗議。県側は数回訪れては説得を試みたが、この日の作業は見送った。

 裁決対象となった地権者の一人、川原義人さん(74)の農地には、田植えを終えたばかりの約千平方メートルの田んぼが含まれており「収用委員会も結局は県の回し者。県側の都合の良いように何でもつくられてしまう」と言葉少な。水田の明け渡し期限は10月30日とされ「体が持つまでは田んぼを続けたいと思っているが、どうなるか。期限が来て、県がどう出るかだ」と隠せぬ不安を口にした。

 別の地権者は「知事は昨年7月に現地に来て話し合いを続けると言ったのに約束を守らなかった。県はいつも私たちを裏切ってダムを前に進めてきた。もう脅しには屈しない」と憤りをあらわにしながらも「毎日、必死の思いで抗議を続けている。必要のないダムに反対する支援の輪が広がっていることを心強く思っています」と話した。

 一方、中村法道知事は県庁で記者団の取材に応じ「本来なら、きちんと地権者の理解をいただき、円満な形で土地を譲っていただくのが理想的な形と思っていた。裁決という形で結論が出たのは残念」と語った。ダムの必要性をあらためて強調し「これまでの方針を変えることは考えていない」とした。

 県は補償金を地権者に支払い、収用が決まった土地約5500平方メートルの登記が終わり次第、工事に入る方針。今回対象となった土地に続き、県はダム本体工事のために家屋と土地約3万800平方メートルについても県収用委へ裁決申請する準備を進めている。ダムには地権者13世帯が反対している。

 

石木ダム農地収用 明け渡し期限最長10月30日 県、裁決書の内容明らかに

読売新聞 2015年06月25日

 石木ダムは、治水と利水を目的に1975年に事業採択された多目的ダム。総事業費は285億円で2016年度の完成を目指しているが、建設に反対する13世帯の農地や住宅地など約15万平方メートルが未買収で本体工事に着手できていない。13年度までの進捗(しんちょく)率は事業費ベースで52%。

 県河川課によると、裁決では土地の明け渡し期限について、8月24日と10月30日の二つを設定。一部の農地が耕作中であることに配慮したとみられる。補償額は公表していないが、地権者数が申請時(約4900万円)より4人減り、7人となったため減額されているという。

 今後、県などは土地取得日の8月24日までに地権者に補償金を支払い、速やかに所有権の移転登記を行う。

 記者会見した木村伸次郎・土木部政策監は、完成時期がずれ込む見通しを示し、今後、事業計画を見直す考えを明らかにした。

 また、中村知事も報道陣の取材に応じ、「地権者の同意が得られるように努力したが、裁決という形になったのは大変残念」とした上で、「ダム建設は安全安心の確保の上で必要不可欠。事業推進に向け全力で取り組んでいきたい」と語った。

 裁決の対象となった農地の地権者たちは、明け渡しに応じない姿勢を崩していない。

 地権者の石丸勇さん(66)は「必要のないダムのために先祖代々の土地が一方的に奪われる。まさに暴挙だ」と批判。対象となった水田で稲作をしており「県が何をしようと、これからもコメを作っていく」と話した。

 同じく地権者の川原義人さん(74)も「納得のいく話し合いもできていないのに、勝手に土地を取っていくのは許せない。最終的には家も収用の対象になるだろうが絶対にここを動かない」と語気を強めた。今後、弁護団と対応について検討するという。

 川棚町のダム建設予定地では、反対派が付け替え道路工事の現場入り口で、「強制収用は許さない」と書かれた横断幕などを掲げて、県職員とにらみ合った。

 

石木ダム建設:収用裁決に反発 地権者「事業ありきで進めた」 

毎日新聞 2015年06月24日 


 県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設に向け用地の強制収用を可能とする裁決書がまとまったことを受け、反対派地権者は23日、県収用委員会を批判し「ダム事業ありきで進めた」と怒りの声を上げた。【梅田啓祐】 


 収用委は4世帯が所有する農地約5500平方メートルの補償額などに関する裁決書をまとめた。県の昨年9月の申請では、明け渡し期限は「裁決から60日以内」となっている。

 対象の農地を所有する川原義人さん(74)は取材に「これからも変わらずに抗議し、土地を渡すつもりは毛頭ない」と述べ、明け渡しに応じない考えを示した。

 ダム建設に関連して、現地では先月19日以来、反対派による県道付け替え工事の阻止行動が続いている。県は今月12日、反対派不在の早朝に重機を搬入したが、作業員の現場入りは度々阻まれている。23日午前も、県職員約15人が正面ゲートや脇道からの進入を試みたが、反対派約15人が無言で「石木ダム強制収用反対」などの横断幕を掲げて阻止した。

 県石木ダム建設事務所の担当者は「今日はどの通路にも反対派が待ち受けていて阻まれた。これからも状況を見て、入れるときには入るつもりだ」と話している。

 

4世帯の農地、明け渡し裁決!

ついに裁決が出ました。

昨年9月5日、県が収用委員会に提出した4世帯の農地の収用と明渡しの裁決申請。

その広さは約5,500㎡。

補償額は、総額4,900万円。

明渡し期限は60日以内と書かれているので、8月21日でしょうか?

 

ところが、期限については、まだよくわかりません。

この裁決についての記事は長崎新聞のスクープで、

(他紙やTV局はどこも知らなかったようで、記者さんたちは大慌て…)

ある議員が県の用地課をよんで、記事の真意を質したところ、

「個人情報だから答えられない。本人に通知が届いてからだ」とのこと。

そこで県議が一般論として収用期日はどうなるのかと聞くと、

「更地は60日以内で、家屋とか作物があるところは半年以内」と、答えたそうです。

 

今回は農地で、皆さんお米や野菜を作っていらっしゃるので、作物がありますよね。

つまり期限は半年以内と考えるべきなのではないでしょうか?

でも、TVニュースでも60日以内の明渡しを求めるとなっていますね・・

 

いずれにしても、これで県はやっと反対地権者の土地を手に入れることができる。

時間さえ経過すれば、自動的に県のものになる。

そう思っていることでしょう。

実際、土地収用法の上ではそうです。

しかし、その法の上の憲法に照らしたらどうでしょう?

60人もの人権を蔑ろにする法の運用を、軽々しく実行して良いはずはありません。

ところが県は、

残りの用地も準備ができ次第裁決申請する方針だそうで・・・

そこには人が住んでいるのに、平気で手に入れるんだと宣言する、この感覚・・

理解できませんね〜

しかも、

「今まで十分話し合いはしました」なんてウソを平気でつけるとは!

しかも「こちらから」!

開いた口が塞がらない、とはこのこと。

 

例えば、昨年9月26日付で地権者等が提出した公開質問状と説明会開催の要請に対し、

県は11月17日付で、「説明会のご提案をいただきましたが、文書にて回答させて頂きます」と返信。

例えば、今年3月4日付で地権者等が提出した公開質問状と説明会開催の要請に対し、

県は3月31日付で、「これまでどおり書面にて回答させていただきます」と返信したではありませんか?

つまり、何回説明を求めても、昨年夏以来、話し合いを拒んできたという事実がありながら、

よくもそのような言葉が吐けるものだと、つくづく感心してしまいます。

 

現土木部長さんは、初めの2回ほどは、とても穏やかな温かみのある方という印象を受けたので、

これからは話し合いに応じて頂けるに違いないと期待していたのに・・・

みごとに裏切られてしまいました〜

 

手続を前に進めることだけしか考えない優秀な官僚に恵まれて、

私たち長崎県民は、大切なものをこれからどんどん失っていくのかも…。

それでいいの? 

 

 

 

まもなく2回目の裁決申請へ!           そこには4世帯の家屋が・・

昨日6月16日、川棚町は、県が要請していた土地・物件調書に署名押印し提出しました。

県は準備が整い次第、2回目の収用裁決申請をする意向です。

それがいつなのか・・

1回目の場合を振り返ると、8月28日に川棚町が提出し、9月5日に裁決申請されました。

その間8日ありますが、この間に知事は訪米しており、その帰国を待ってということだったならば、

今回はもっと早く1週間以内に提出されるかもしれません。

 

その1回目の申請についての裁決の可否もまもなく決定するとのこと。

否となる可能性はとても少ないと聞いています。

 

県は今、付替え道路工事を強行し、

新たに4世帯の家屋を含む土地を裁決申請し、

昨年申請した4世帯の農地を強制収用しようとしています。

躊躇なくどこまでもダム建設に突進する県。

住民の理解を得ようとするパフォーマンスさえ最早ありません。

自ら住民との対話を求めた5年前の知事は、すっかり心変わりしてしまったようです。

住民の人権を無視する県政、何がそこまで彼らを掻き立てているのでしょう。。

 

社民党県連、強制収用しないよう県に申し入れ!

昨日の長崎新聞の記事を見てビックリ!

石木ダム反対地権者の土地を強制収用しないようにとの申し入れ、これ自体は驚きではありません。

護憲の党社民党が県民の人権を守ろうとの立場から、強制収用に反対するのは当然です。

佐世保市議会でも、強制収用を止めてほしいという私たちの請願に、社民党議員はいつも全員賛成です。

驚いたのは記事の中ほど、

「強制収用での建設には進んでもらいたくない。
(反対地権者と)話がつかないのであれば、
 石木ダム自体についても白紙に戻さなければならないのではないか」

と指摘した部分です。

とても意味のある、重い言葉だと思います。

これまで、強制収用には反対しても、石木ダムの見直しは決して公には言葉にしてこなかった社民党が、

勇気ある一歩を踏み出してくれました!

 

その申し入れ文書はこちらです。

あれ?

文書には「見直し」の文字は見られませんね。

まだ、そこまでの決断には至っていないのかな?

 

でも、

「土地収用法を使って強制的に土地を奪うことは、国民の私権・人権を損なうもの」
「(付替道路の建設は)反対地権者の所有地の強制収容に発展するであろうことは容易に判断できます」
「事情が大きく変化していることもある」
「「あくまで建設ありき」ではなく」
「決して強権を発動することのないよう」

などの文言は私たちの思いを代弁するものです。

多くの県民の考えも同じだと思います。

 

これを受けて里見副知事は、

「手続だけを一方的に進めるということがないよう、話し合いをしたいと考えている。
 どこかで話し合いの糸口ができれば、という気持ちだ」

と応じたそうで・・

是非そうしてください!

私たちはかれこれ一年間、フラれっぱなしです。

知事と会って話ができたのは昨年7月11日。

それ以来、何度弁護団が話し合いを求める文書を送っても文書で回答するだけ。

地権者が何度県庁を訪れても、対応するのは河川課職員だけ。

話し合いではなく、署名を渡すだけなので会ってほしいと頼んでも

「会わない」の一点張り。

 

もうかくれんぼは止めにしましょう。

里見副知事さん、どうか中村知事にお伝えください。

地権者の皆さんは、知事が現地に来て話して下さるのを待っています。

治水や利水の専門的な話は、おっしゃるように河川課の方としますが、

地権者の辛い気持ちを伝え訴える相手は、知事をおいてほかはいないのですから。

川原に来てください!みんな待っています!