佐世保市民の生の声を聞きたい

新聞投稿欄でそう呼びかけたのは一人の長崎市民。職業はカトリック神父。テレビのドキュメンタリー番組を観て、「今どき、このような人権侵害の公共事業が許されるのか」との疑問を抱かれた。

その番組はこちら。

NBC長崎放送

9月22日(火)「ダム予定地に生まれて」

https://www.nbc-nagasaki.co.jp/tv-topics/200955/

視聴者の心に何かを残す作品で、反響が大きいからか、複数回放映された。今回で3回目かな?何度見ても心が揺さぶられる。初めてご覧になった神父様なら尚更だろう。そして、率直な思いを綴られ、最後にこう問いかけた。

「今、佐世保の市民たちはどう考えるのだろうか」

 



客観的に理路整然と書かれているのに、私は、何故かいきなり頬を打たれたような衝撃を感じた。書かれていること全てがその通りなので、あまりにも明確に突きつけられ、一瞬叱咤されているように感じてしまったのだろう。

しかし、決してそうではない。この方は私たち佐世保市民を非難しているのではない。素朴に知りたいのだ。本当に市民は石木ダムを望んでいるのか?と。行政側ではなく、市民の生の声を聞きたいのだ。

この記事を見た佐世保市民が、一人でも多く、答えてほしい。正直な思いを。この声の欄に。あるいはこの方へ直接。あるいは自分のSNSで。

少なくとも自問自答してほしい。私はどう思っているの?と。

強制収用から1年





昨年9月19日、県はこうばる住民の土地を全て強制収用した。それから1年という節目に長崎新聞が特集した記事です。https://this.kiji.is/679897718457173089

団結小屋…10年前は6人いたおばあちゃんたちも、今では2人だけになってしまった。時々覗くとサカエさんもマツさんも笑顔で話してくれるが、寂しさは隠せない。「私もだんだん弱っていく気のするよ」これは体のことをおっしゃっていると思うが、それは座り込みに来るメンバーも同じ。

「変わらぬ日常」とは、一般県民の日常とは違う。県が始めたダム建設計画によって翻弄され、自分たちの暮らしを守るために闘い続けねばならなくなった日常である。

25面の記事には、川棚町民の想いや佐世保市民の想いも伝えている。

佐世保市民については、「将来を考えると必要なのだろう。現地の人たちには申し訳ないが」(70代男性)「水不足を感じることはない。でも貯水率は気になる。ダムの必要性もわからない」(20代女性)という2人のコメントが紹介されていた。

確かに、これは一部の市民の本音だと思う。私たちが街頭署名活動などしていても、そう話す人に出会うこともある。

しかし、そうではない本音、「もうダムは要らんやろ。いま足りとるのに。これからは人口も減るし。それより漏水を減らさんば…」という本音もよく聞く。その声を紹介しなかったのはなぜか?



これは、今年2月におこなったアンケート調査。記者が市民の声を拾った同じアーケード街で。ダムは「必要」18%、「不要」53%、「わからない」29%でした。



一昨年、同じ長崎新聞がおこなったアンケート調査でも、佐世保市民に限ると「不要派は47,4%」と書かれています。

この人たちの声も拾って欲しかった。

佐世保市民「将来必要だろう」

この小見出しは残念!それはあくまでも、一部の佐世保市民の声であることを知ってほしい。全文を読まず、見出しだけインプットしてしまう読者も多いのだから。。

 

滴(ひとしずく)38号発行とバックナンバー

「滴(ひとしずく)」という冊子についてです。

Yさんの投稿をちょっくら拝借いたします。。

「水問題を考える会」と「石木川まもり隊」との共同ニュース「滴」38号を発行しました。
郵送の方向けには、印刷し折って袋詰めして郵送です。
いつも市民活動交流プラザで作業するのですが、今日は他の団体の方が少なかったので、早く終わりました。



実は、PDFデータはこちらからバックナンバーがご覧いただけます。
https://drive.google.com/drive/folders/0B6JtHJfYBzavbEVRTkZjUGhrb2M

三ヶ月に一回くらいのペースで発行しています。
もし、購読希望の方がおられましたら、石木川まもり隊サイトの「お問い合わせ」からメーセージをお願いします。
メールでPDFデータのみ希望の方は無料、紙媒体(モノクロ印刷)での郵送を希望の方は年間購読料カンパ1,000円だそうです。

議員連盟の申し入れ

2020年7月8日水曜日に、石木ダムの強制収用を許さない議員連盟の申し入れがありました。

いろんな団体さんも一緒に名を連ねております。

長崎新聞のニュースを代表して貼り付けておきたいと思います。





こちらの動画ニュースは削除されたら見れなくなるのでお早めに〜!

・NHKの報道
石木ダム 工事反対の抗議文|NHK 長崎県のニュース https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200708/5030008275.html

・KTNの報道
KTNテレビ長崎 石木ダム工事をめぐり長崎県と反対住民の対立続く…本体工事の着工は? http://www.ktn.co.jp/news/20200708007/?fbclid=IwAR14bj4db_o6gJFacpPw8jwOULUENTj1q4cdZhLTRWkaRiSYJ_2UHhaUnjA; #ktn_tvnagasaki


あり得ない予測と評価に怒る市民



新型コロナウィルス感染拡大阻止のため、全国の小・中・高校がすべて休校となったばかり。各種イベントもスポーツ大会も中止や延期が相次ぐ中の開催で、どのくらいの市民が集まってくれるのか、かなり不安でしたが・・・



会場は満席!補助椅子も出したほどです。

そんな参加者に万一のことがあってはならないので、事前に机や椅子、ドアの取っ手、マイクなどをエタノール消毒し、来場者には入り口で手の消毒とマスクの着用をお願いしました。

そこまでして、なぜ、今やらねばならなかったのか?開会挨拶の中で説明させて頂きました。→開会挨拶

そして、早速、嶋津先生の講演が始まりました。嶋津先生は、佐世保市の水需要予測は科学性が欠如しているので見直すべきとの意見書を市に提出した「ダム検証のあり方を問う科学者の会」のお1人です。

この日は、佐世保市の説明を元に、どこがどう非科学的なのか、その架空予測のトリックを具体的に解き明かしてくださいました。配布資料はこちらです。

まずは過大な水需要予測と保有水源の過小評価について。
3月1日配布資料その1 利水

その結果、4万㌧もの水不足をでっち上げ、それを前提として費用対効果の計算がなされているので、全くあり得ない便益比になっていると。
3月1日配布資料その2 費用便益

ただ、「今回は、その便益比の計算方法や根拠となる数値が全く開示されていないので、取りあえず前回(2013年2月)の再評価の資料を使ってみました」とのこと。

そして、「それにしても、傍聴者に資料を配布しない再評価委員会など聞いたことが無い!佐世保市はひどすぎる!」と憤慨しておられました。

その後、質疑応答に移り、会場からはたくさんの質問やご意見も。その一部をご紹介すると…

Aさん:それまでよりも急激に増加するという2013年の水需要予測が大ハズレだったのに、また今度の予測も大幅に増えると予測するのは、どういうことでしょうか?

嶋津先生:予測と実績が乖離しているじゃないかと。その通りなんですが、予測のデタラメさがバレても恥ずかしいとも思わないし、反省も無いんですね。それはおかしいじゃないかと声を上げてほしい。特に報道の方もね。(そうだ、そうだの声あり)

Bさん:札幌市の話(ダムができるまでは過大な水需要予測をし、ダムができたら途端にまともな予測に変わった)を聞いて驚きました。そんなデタラメな予測でダムを造ってしまって、誰も責任を取らないのですか?

嶋津先生:こちらもダムができたら下方修正をして、知らん顔してますね。きちんと追及しなければならないのに、議会でもあまり問題視せず、うやむやに終わっています。

Cさん:平成20年の総務省勧告で、需要予測については「予測値と実績値が乖離している場合には、原因分析を行い、その結果を事業に反映させること」とありますが、それに対して厚労省は、どのような対応をしたのでしょうか?

嶋津先生:総務省もいいことを言うのですが、言うだけです。行動が伴いません。札幌市の過大な予測の時も総務省へ異論が出たんですよ。しかし厚労省が代わりに答えてうやむやになってしまったんです。厚労省もおかしいですよ。今後の水需要は日本全体として減少していくと予測しているんですよ、彼ら自身が。しかし、札幌でも佐世保でも、その逆となる増加の予測を認めて、補助金を出す。この矛盾を追求しなければならない。

Dさん:委員会では実際にどのような発言がなされていたのでしょうか?

司会者:委員からの質問はほとんどなく、いつも委員長が長々と発言して「妥当だと思います」とか「了承でいいですね」とかまとめて、次に進むといった感じでした。

Eさん:佐世保市の漏水率はかつてはすごく高かったと聞いています。今は9%~10%くらい?漏水を減らしたのは褒めてあげたいと思います。しかし、まだまだ高い。福岡では2%くらいです。漏水対策をもっと頑張って、そちらにお金を使うことを考えた方がいいのではないでしょうか?

嶋津先生:全くです。福岡の節水意識を見習って、漏水防止に努めてほしいものです。

質疑の後、「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」事務局長の林田二三さん(東彼杵町議)と平戸市議の小山田輔雄さんからご挨拶をいただきました。林田町議:現在、議員連盟は国会議員を含め、107名になりましたが、発端は映画「ほたるの川のまもりびと」でした。この映画を一緒に観た子育て世代のお母さんたちと石木ダム問題について考え、地権者であり川棚町議の炭谷さんのお話を聴いて、同じ町議としてできることは何かと考える中で、議員連盟が生まれました。

小山田市議:国民の生活を守るのが議員の務め。こうばる13世帯への人権侵害を許してはならない。ここにいる人は皆わかっている。あとは本気になって行動することです。昨年は九州地方整備局や県や佐世保市へ申し入れを行きました。この議連がますます大きくなるよう、皆さんのお力をお貸し下さい。

そして、地元こうばるからは、岩下和雄さんが貴重な話をしてくださいました。

その1.石木ダム計画が提起された52年ほど前の頃、佐世保市が川棚町議会で行った報告では、「佐世保市には10万5千㌧の水源があるが、10年後には16万5千㌧の水が必要となり6万㌧不足するので石木ダムが必要」と説明していました。今では、「将来11万7千㌧必要となるが、水源は7万7千㌧しかないので4万㌧不足し、石木ダムが必要」と言っている。水需要が減ったので保有水源も減らしている。まさに数字合わせです。

その2.平成6年の大渇水の翌年、当時の佐世保市長桟さんは市長を止める前に私に会いに来てこう言われた。「水源確保のためにいろいろやろうとしたが、県から止められた。石木ダムに影響するからと。それをやっていれば、あんな酷い渇水被害は生じなかった」と。それは、新聞記事にもなっています。

その3.その後の市長、光武さんはこんな構想を描いていた。南部に焼却場を造り、そこで海水淡水化を行う。それまでは、川棚川に河口堰を設け、今よりも1万㌧多く取水できるようにする。川谷ダムの嵩上げもする。だから大丈夫だと言われていた。しかし、南部焼却場には予算がつかなかった。川棚川の河口堰については、県の方から、そんなことをされては困ると言われ、川谷ダムはかなり取水能力が大きくなり、そんなことは止めてくれと、これも県から言われ、川谷ダムよりは能力の小さな下の原ダムの嵩上げに変更された。このように、佐世保の水源対策は全て県によって圧力がかけられ邪魔されてきたのです。

そして、ついに昨年9月私たちの土地は全て収用されてしまった。11月には明け渡し期限が来て、それからは毎月、出て行けと催促されている。しかし、私たちは出て行かない。それは必要のないダムだから。それは利水だけでなく、治水においても同じ。これまで何十億というお金が石木ダムに使われているが、その一部で河川改修はでき、水害は防げる。

私たちは決して出て行かない。こうばるに住み続けます。皆さん、是非こうばるに足を運んでください。こうばるには自然がたくさん残っています。夏にはホタルがたくさん見られます。皆さんの目で実際に見てここは残すべきだと、そんな声を佐世保の中からたくさんあげてほしい。よろしくお願いします。

会場は、初めて聞く話に驚き、当事者の固い決意に聴き入り、終わると同時に熱いエールの拍手が!

そして、それに連動するように、集会宣言案が読み上げられ、こちらも大きな拍手で採択されました。→3.1緊急集会宣言2020.3.1

私たち主催者は、やって良かったと何か手応えのようなものを感じましたが、それはアンケートの結果にも表れていました。

ほんの少しだけご紹介すると…

  • 公共事業を止めることの難しさを感じました。現在の石木ダムの状況は「造ると決めたから造る」ということだけが根拠になっていると思います。理詰めで話をしても聞く耳を持たず、話になりません。今は自分のあり方として、おかしいと思うことに対しておかしいと声をあげていこうということで、石木ダム建設には反対です。
  • あれは再評価委員会とはとうてい認めることはできません。ただのアリバイ作りで追認だけの期間です。恥です。公正中立の委員でやり直すことが求められます。「学者の会」に対する回答もどうなっているのでしょうか。
  • ハウステンボスの最大使用量を別途みて加算するというやり方は今まではしていなかった計算方法ではないでしょうか?なぜ今までの計算方法に変更を行う必要があったのか、委員会では十分な説明はなされていないと思います。自衛隊・米軍基地の需要が倍増するというのもさすがに無茶ではないかと思います。
  • 知らない事ばかりで、驚きの多い集会でした。佐世保市民として無関心なことが恥ずかしいです。
  • 再評価には、科学的に根拠となるデータ(資料)が必要であるのだが、そのデータを県民や市民に提示する事なしに「石木ダム事業」の再評価が認められた。佐世保市における利水面のデータ(資料)を提示した上で、専門家を含めた県民・市民等多くの人々と佐世保市の経営検討委員と角を突き合わせて議論し直すべきと考えます。
などなど。読みながら頷くことばかりでした。

おかしいと思うことに対しておかしいと声をあげていこう

そう。これに尽きますね。石木ダムも原発もカジノも、おかしいことはおかしいと声を上げ、自分たちの生きる権利は自分たちで守らなければ・・・ですね。

佐世保市民の声



いよいよ強制収用が現実のものとなってしまう日の長崎新聞『声』の欄に、佐世保市民男性(松口さん)の投書が掲載されました。

石木ダム建設のための強制収用は「人道に対する罪」の道に繋がるものであり、「強く抗議する」と断言。「私たちはどうすれば13世帯の人々を守ることができるのかを見つけることができるはずだ」と書かれています。

とても共感しました。でも、「知事にはその先頭に立ってほしい」という言葉には疑問を感じました。強制収用の手続きを進めているのは県であり、そのトップが知事なのですから、現状ではあり得ないことのように思われます。

もちろん、知事の考えが変わるとか、(もともと知事自身は強制収用はしたくなかったが周りに押し切られていたとしたら)英断を下す勇気や覚悟を持つとか、そういう可能性も無いとは言えません。が、それには大きな県民世論の後押しが不可欠です。

やはり、私たち県民とりわけ佐世保市民が声を上げ、行動を起こすことがとても大事だと思います。

松口さんは、既にその見本を示してくださいました。松口さんの後に続く人がもっともっと増えることを願っています。

今日はもう1人、佐世保市民女性のSTさんの投稿も知りました。STさんは新聞投稿ではなく、佐世保市のフェイスブックからメッセージを送って、それに対するお返事が届いたということでメールをいただきました。

そのメールを以下に貼り付けます。

 

私が送ったのは9/9[月)14時 

内容は下記のとおりです 。

 

9/8の集会に行き

会場は立ってる方もおられるほど たくさんの方々が集まりました。
 

弁護士さんからの話

地権者さんの話

反対運動を手伝っておられる方の話を聞きましたが

 

一番驚いたのは

当時の町長さんから土下座されて 

ダムは作らないと書いてあることを信用してサインされた覚書。
 

<写真にとった覚書を送りました。>

 

戻る勇気

立ち止まり話し合う機会をぜひ設けてください。
 

 

そして今日、8時39分に返事が来ました。

ST様

まずもって、覚書に関しましては、本市が石木ダム事業に参画する以前の話であるため、本市がこの件に関して、コメントできる立場にはないことをご理解ください。
ただ、本市としましては、石木ダム事業は、本市の水源不足の解消のため、必要不可欠な事業と考えておりますので、今後とも県を中心に市及び町と連携して、事業へご理解を得られるよう、様々な機会をとらえて努力してまいりたいと考えております。

水道局水源対策・企画課 0956(24)1111(内線:3519)

 

相変わらず「本市の水源不足の解消のため、必要不可欠な事業」との決まり文句ですね。いつまで言い続けるのでしょう。直近のグラフを掲載します。

 
昨年度の一日最大給水量は、77,968㎥でした。
予測値104,310㎥の4分の3にも満たない実績でしたし、佐世保地区の保有水源10万㎥からは十分おつりがきます。

確かに覚書については水道局職員には答えようがないでしょう。ここは市長が答えるべきです。でも、答えない。市長も答えられないというのが本音でしょうが、共同事業者としては知事に問い合わせても市民に答えるべきですよね。

STさんのように、佐世保市のHPからでもFBからでも気軽にメールやメッセージを送って、石木ダムへの思い(疑問や意見)を市長や水道局長に届けるのもいいですねー

これは1人でもできること、すぐにできることです。
あなたの素直な気持ちを朝長市長に届けてみませんか?

守ろう!こうばる、止めよう!強制収用



9月8日(日)午後、佐世保市中央公民館での石木ダム緊急集会は、すし詰め状態!

机と机の間の通路にも椅子を補充しましたが、



まだ、立ち見?立ち聞き?の人がこんなにたくさん!

主催者としては申し訳ない気持ちと嬉しさと、予想外の展開にドギマギしながら開会のご挨拶。この集会の「趣旨」を伝えました。



県や佐世保市は、民意を無視してダム建設を強行し、地権者の家や土地を強制的に収用するための手続きを着々と進めています。このような人権侵害は許されるものではない。私たち市民の多くは、そう思っています。しかし、その思いを胸に秘めているだけでは何も変わりません。声に出し、行動を起こさねば、問題は解決しません。いま私たちにできることは何か、ぜひ一緒に考え、知恵を出し合いましょう。

ということで、まず、石木ダム問題に深く関わっている3人の方のお話を聴いて頂きました。

トップバッターは、石木ダム対策弁護団の八木大和弁護士。裁判では利水の担当ですが、この日は土地収用法、特に強制収用や行政代執行についての話や、石木ダム訴訟の経過や争点について、分かりやすく解説して頂きました。



そのレジュメはこちらです。石木ダム緊急集会講演 八木大和弁護士

裁判の争点についての話の中で、1つの疑問が解けました。あの滅茶苦茶な水需要予測がなぜ合理的だと裁判長は判断したのか不思議でしたが、それは、こういうことでした。

あの予測は国の設計指針に沿って計算されているから合理性があるのだそうです。ところが、その指針の中身は実はとても曖昧で、佐世保市はその隙間を縫って予測を立てたようです。弁護団は、その矛盾点をいっぱい見つけ、証拠もいっぱい提出したけれど、長崎地裁は一顧だにしなかった。行政の裁量権の範囲だと認めてしまったわけです。

また、強制収用と行政代執行についても、憲法と土地収用法と行政代執行法を見比べながら、その関係性を丁寧に説明されました。

そして、東九州自動車道のみかん畑が行政代執行される映像を紹介した後で、八木弁護士は、こう結びました。

今観て頂いたのは、たった1人のミカン畑の所有者に対する代執行の場面です。石木ダムの問題では、13世帯が相手です。13世帯の結束は本当に強い、何も変わらない。この13世帯の方々の人生とか財産を、ああいう形で奪わせていいのかということを、我々は今一度考えなきゃいけない。裁判の中でわかってきたおかしな事実、そういうことをみなさんが発信していただきたい。大きく発信する必要はもちろんない。隣の人に言うだけでも発信です。この声を一つ一つ積み重ねて、13世帯の人たちに、我々は寄り添っていきたい、というふうに思います。

 

続いて登壇したのは地元地権者の岩下和雄さん。半世紀にわたる石木ダム反対運動の先頭に立って闘い続けてこられた方です。



・1972年住民の反対を押して予備調査をするために、知事と町長は住民と覚書を交わした。これは調査だけ。住民が反対するならダムは造らないと。しかし、県も町もその約束を破って石木ダム事業に着手し、強制測量を行った。

この話を初めて聞いた参加者の多くは、とても驚き、集会終了後、その覚書のコピーをスマホのカメラに収める人が何人も押し寄せました。

・石木ダムの真の目的は利水。治水は付け足しである。佐世保の水需要は減っている。佐世保が水は要らないと言えば石木ダムは立ち消えになる。どうか声を上げてほしい。

・川原は何世紀も前から先祖代々暮してきた。先祖が大事に育ててきたこの土地を子どもや…孫に残したいんです!

一瞬、声が途切れ、再び話し始めた時の声の震えに、私たちの胸も熱くなりました。そして、すぐに大きな拍手が広がりました。

 



三人目は、佐世保市民で石木川まもり隊の戦士、宮野由美子さん。

石木ダム反対運動に関わるようになったきっかけや、付け替え道路工事について、そして何よりも、現地での抗議行動を熱く熱く語ってくださいました。

座り込みの現場は楽しくて、そして美味しいものがたくさん出てきます…冬は焚火をして、卵をゆでたり、芋を焼いたり、猪肉が出てくることも。皆さん、ぜひ!座り込みの現場に行かれてみてください!

会場からは拍手や笑い声!お、いい感じ。来週は新人が何人か現れてくれるかな~

以上、3人の方のスピーチはYouTubeでも見れます。https://www.youtube.com/watch?v=l02EGO16Ti8&feature=youtu.be

お時間のあるときに、ぜひじっくりお聴きください。

 

講演終了後、さっそく質疑応答に入りました。

Aさん:裁判以外のやり方として、日弁連への人権救済申立など考えられないか?

八木弁護士:もちろん人権救済の申し立てというのも方法としてありです。ただ、もっと身近なこと、石木ダム問題は佐世保市民の税金の使い方として考えてみたらどうか。建設後の維持費がどのくらいかかり、水道料金にどのくらい跳ね返ってくるのかとか、石木ダムに使うお金を介護や保育にまわしてほしい等、自分の問題として考える。その手段として日弁連や議会のルートを使うもよし、選挙で託すもよし、ツイッターで呟くもよし、この問題を共有化し考えるということが大切だと思います。

Bさん:座り込みには誰でも参加してよいのか?

宮野さん:もちろんです!「応援に来ました」と言って頂ければ大歓迎です。

Cさん:覚書のことは全く知らなかった。文書で残っているのか?

岩下さん:残っているし裁判にも提出したが、紳士協定ということで問題にされなかった。

Dさん:それはおかしい。もっと広めるべきだ。

八木弁護士:裁判の中でも証拠として出しているし、覚書を無視してダム建設推進してきたのは違法だと主張したが、長崎地裁は私法上のことで事業認定には関係ないとして一蹴された。もちろん我々は私法上のこととは思っていない。相手は知事や町長なので。

Dさん:今の知事が約束したわけではなくても、言っていいと思う。行政代執行までしようというときになったら、これを持ち出すべきだと思う。弁護団には頑張って頂きたい。

八木弁護士:弁護団も1つの論点としてとらえているが、皆さんもこのことを広げ、それはおかしいと声をあげていただきたい。合わせ技というか両方で頑張りましょう。

Eさん:「得られる利益」とは?よくわからない。佐世保では石木ダムのために、水道料金から1世帯あたり年間5000円くらい30年間の負担となるらしい。議会で水道局長が言っていた。

八木弁護士:裁判の中でも問題にしている。岐阜大学の富樫教授も意見書の中で佐世保市民の負担、水道料金からの負担について触れ、それは「失われる利益」として取り上げている。

 

 

いよいよ意見交換。これから私たちにできること、やりたいことの提案です。

Fさん:「石木ダムいらんばい!」パレードをしませんか!大人も子どもも障害のある方も、みんなが参加できるようなパレード。画用紙や段ボールや布などに自分で言葉や絵を描き、仮装などもいいかも。市民が注目し、趣旨を知り、賛同する人が気軽に参加できるようなパレード。特に子育て世代や若い人に参加してほしい。

Fさん:また、この石木ダム問題を全国ネットで取り上げてもらえないか。報道ステーションとかサンデーモーニングとか。

Gさん:僕は以前も石木ダム問題について新聞投稿しましたが、この機会にもう1度投稿して、佐世保市民の多くが石木ダム要らないと思っていることを伝えたい。皆さんもチャレンジして頂けると嬉しい。

Gさん:各自がすぐにできることを提案したい。県のホームページには「知事への提案」、佐世保市には「市長への手紙」というコーナーがあり、そこに意見を書き込むことができる。インターネットを使わなくても、FAXや郵送という手段もある。今ここにいる皆が何らかの方法で、19日までにそれを行動に移したら、知事と市長に150通の声が届くことになる。ぜひ一緒にやりましょう!

(いいですねー!あなたもやってみませんか?)

Hさん:長崎では毎週月曜日の朝に7:50~9:00まで県庁前でスタンディングをやって、県庁職員に笑顔で訴えています。

Iさん:県がここまで強行する本当の理由は何か、追及して明らかにすることも必要では?

Jさん:この問題をまだまだ知らない市民が多い。広報活動にもっと力を入れるべき。分かりやすく、端的に伝えることが大事。そして広げるには若い人の力を借りて、ネットを駆使することが最も重要だと思う。

 

などなど本当に様々なご意見や具体的なご提案を頂きました。

これらの声が活かされ、それぞれの行動として実現されることを心から願います。

 

そして、最後に集会宣言案が読み上げられ、参加者全員の拍手で採択されました。



宣言文はこちらです。

集会宣言2019.9.8

 

*お詫びとお礼
集会の参加者は予想をはるかに超え、席が足りず、沢山の方が立ちっぱなし。予備の椅子はもうないし、どうしようと思っていたら、あるお店の方が、床に敷くシートを持ってきてくださって、数人の方はそこに座っていただきました。

が、まだまだ立っている人はたくさんいます。すると今度は、椅子が20脚も持ち込まれました。ある政党の方が事務所まで行き、トラックに椅子を積んで運んで下さったのだそうです。

皆様のご親切に心から感謝いたします!

それでも、最後まで立ちっぱなしの方が14、5人おられました。2時間半近くも!どなたも帰らず最後まで立ち続け耳を傾けてくださいました。

主催者として大変申し訳なく、心からお詫び申し上げます。

 

*インフォメーション
参加された皆さんにはお伝えしましたが、このブログを読んでくださっている佐世保市民の皆様にも伝えます。

石木川まもり隊は皆さんの活動を応援しています。私たちも微力なので、サポートできることは限られていますし、逆に皆さんの力をお借りすることも多々あるでしょう。一番大事なことは、やはり情報の共有です。互いに情報が届かないと、応援できることもできないで終わります。

・私たちは、いつ、どこで、〇〇をやります!参加者募集中!

・私は、昨日、市長へこんな手紙をFAXしました。

・私は、〇〇新聞に投稿し、今日掲載されました。

などのお知らせをメールでいただけたら、石木川まもり隊のブログやフェイスブックやツイッターで広げます。
(宛先 michi30@hyper.ocn,ne.jp)
もちろん、直接それらのページにアクセスして頂いてかまいません。

・私も現地へ行ってみたいのですが行き方がわかりません。案内して頂けますか?

などのご依頼も、まずはメールで頂ければ、できるかぎり対応させていただきます。

逆に、

・情報を頂ければ、パレードやスタンディングに参加できるかもしれません。

という方も、メールアドレスをお知らせください。その都度情報を配信いたします。

世代や性格、得手不得手によって、やれることはまちまち。

それでいい。

みんな違ってみんないい。

でも、目指す山頂は1つです。

それぞれのルートを切り開きつつ、必要な情報交換をしながら、支え合っていきましょう。

 守ろう!こうばる 止めよう!強制収用

 

*挿入写真は石木川まもり隊のFさん、Uさん、Iさんによるものです。

ダムに沈む生きものを助けたい



石木川は、小学生が遊ぶにはもってこいの場所です。

魚類だけでなく、カニや両生類、昆虫の幼虫など様々な種類の生きものとたくさん出会えるから。

生きものの面白さ、不思議さにワクワクして、もっと遊びたい!また来たい!と子どもたちは言います。

この子たちから、石木川を奪わないでほしい。

少女は、石木川に棲む全ての生きものを助けたい、と思うだけでなく、石木川の流域に住む人間も救いたいと思っている。ふるさとを追われた人間の心がどんなに生命力を失うか、まるで理解しているよう…

知事よ、佐世保市長よ、過去の決め事に囚われるのはもう止めて、長崎の未来を担う賢いこの子たちの声に耳を澄まし、この子たちのための政治を、どうかお願いします!

高校生が伝えたかった思いとは

8月28日、石木ダム公開討論会を求める署名提出後、参加者は県政記者室で記者会見を行いました。

署名活動の主体となっていた「いしきをかえよう」実行委員会、映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督、署名活動の事務局としてサポートしていたパタゴニア日本支社の辻井隆行社長などに交じって、その中央の席に座っていたのは、佐世保市在住の女子高生荒岡梨乃さんでした。



普段は人前に出ることが苦手だという梨乃さんが、勇気を振り絞ってここに来た、その思いとは何だったのでしょう?

新聞・テレビで伝えられたのは、その映像だけだったり、発言のごく一部です。そばで見ていた者として、多くの長崎県民に、そして、県知事や佐世保市長にこの高校生の思いを知って頂きたいと思いました。梨乃さんの了解を得て、会見原稿をここに公開させて頂きます。

 

私は佐世保の公立高校に通う3年の荒岡梨乃です。この度、このような、意見を発表する場をいただけたことを光栄に思います。

 私が石木ダムの建設事業について知ったのは中学2年の時に見た新聞に掲載されている村山嘉昭さんの写真がきっかけでした。日が暮れ、暗くなった河原にホタルが飛んでいる様子がとても綺麗だったことをよく覚えています。こんな場所がどこにあるのだろうと思い調べてみるとすぐ近くだったことに驚きました。そして、ここがダムに沈められてしまうかもしれないということも。
 しかし、この建設事業について詳しく知る人はあまりいません。自分が住んでいる街のことなのにです。
 私の学校の友人でも、知っている人はあまりいませんでした。話そうとしても関心がなさそうな人も多かったです。そんな実態に悲しくなりました。
 もし、仮にダムが建設されたとして、その負担金を払うのは市民である私達であり、未来の構成員である現在子どもである私達です。それなのに、詳しく石木ダムについて知らず、知る機会もないまま事業は進められています。本当にこのままでよいのでしょうか。
 まずは、石木ダムが本当に必要かを考える機会の場を作ってほしいと望みます。
 一度壊れた自然はもう元に戻すことはできません。未来に残すものの優先度を今一度考えてほしいです。
 行政は本当のことをきちんと伝える義務があります。メリット、デメリットをおさえて真実を伝えるべきです。そして、県民には意思表示をする義務があります。一人一人がこの問題について考えるべきです。

 毎年夏にこうばるに訪れますが、これがここに訪れる最後となるのではないかと不安になります。健やかな自然の中にあるぎょっとするような禍々しい看板の不自然さを、訪れた人はみな感じると思います。
 50年近くこの事業は食い止められていますが、さして問題は起こっていません。食い止められているのは座り込みなどをして必死で守ろうとしている人々がいるからです。その間、こうばるの方々は普通の生活を送れていません。自由もありません。そのことを県民の皆さんに知ってほしいです。

 

梨乃さんは1枚の写真(河原に飛ぶホタル)に出会い、魅せられ、その場所について調べるうちに石木ダム問題にぶつかりました。「その負担金を払うのは市民であり、未来の構成員である私達」だと気づき、考え始めます。しかし、ダムの必要性を考えようと思ってもその判断材料が少ない。よくわからない。だから、公開討論会を開いてほしいと願っています。

梨乃さんの言葉を、知事や市長だけでなく、私たち県民も、しっかり受け止め、心に留めましょう。

「行政は本当のことをきちんと伝える義務があります。メリット、デメリットをおさえて真実を伝えるべきです。そして、県民には意思表示をする義務があります。一人一人がこの問題について考えるべきです。」

梨乃さんは「毎年夏にこうばるに訪れますが、これがここに訪れる最後となるのではないかと不安になります」とも記していますが、そう思っているのは、実は梨乃さんだけはありません。

映画「ほたるの川のまもりびと」がきっかけで「こうばる」を訪ね、こうばるが大好きになった佐世保の子どもたちがいます。その子どもたちの中には署名活動に参加した子もいて、28日に一緒に県庁に行き、知事さんにお願いしたいと言ってたのですが、大人の側の配慮で見合わせてもらいました。

その代わり、この子どもたちの想いを記者の皆さんには知ってほしくて、次のようなメモを配布し、山田監督から説明して頂きました。





この子たちが望む未来を、私たち大人が、消し去ろうとしています。

まともに考えもせず、無関心なまま行政に丸投げし、気づいた時は「後の祭り」となるのでしょうか?

「ボーっと生きてんじゃねーよ!」チコちゃんだけでなく、多くの子どもたちからそう言われないよう、今こそ、しっかり考えてみませんか?

9月8日の緊急集会に是非お集まりください!

署名提出、高校生も参加

8月28日、長崎県内は記録的な豪雨に見舞われ、避難情報も流れる中、石木ダムをめぐる5万筆の署名提出のニュースが報道されました。



午前10時半、市民団体「いしきをかえよう」のメンバーのごく一部が、50,947人分の署名を、長崎県土木部河川課の浦瀬課長に手渡しました。



署名者の思いの詰まった重い箱がいくつも、いくつも・・・



この重みを、本当は中村知事に感じて欲しかったのですが…

いつものように、知事も副知事も対応して頂くことは叶わず、河川課長に託しました。



このように、この署名の宛先は、長崎県知事 中村法道 様と長崎県議会議員の皆様です。

県民の8割が説明不足だと思っているのですから、いったん立ち止まり、石木ダム計画について公開の場でしっかり討論してください。だって、その建設費用538億円は県民が負担するのですから。

という内容の署名です。



この求めに、2019年8月27日現在50,947人が賛同し、当初の目標の5万人を超えたので、いったん提出することになりました。



この署名活動は、主に若者が頑張りました。みなそれぞれの思いや、県民から託された言葉などを語りました。

石木ダムには賛成だけど、説明や議論は必要だと言って署名した方々もいるそうです。



提出者の1人に映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督の姿も。

「映画を観て、こうばるの自然や人々の暮らしを残したいと感じ、せめて本当にダムが必要なのか討論してから決めてほしいと、多くの人が署名していた。ダム有りきではなく、いったん立ち止まり、あらゆる手段を検討すべきではないか?」と。

それに対して、河川課長の浦瀬氏は、



と答えました。

なぜ?そう言い切っていいんでしょうか?この署名は知事宛なので、お返事は知事がすべきですよね?

知事に断りもなく課長さんがお答えになったら、後日、本当に知事の答えが提示されても、それが今日の発言内容と同様のものであれば、「これはホントに知事の考えなのかな?」などと疑われるかも。。

他にも課長さんは、いろいろおっしゃっていました。

a. これまでもダム検証などであらゆるケースを検討し、その結果ダムが一番有利という結論になった。

b. 平成28年11月にも公開討論会を求める請願が県議会に出され不採択になっている。

c. 去年も佐世保は渇水対策本部を置くなど水不足だった。

等々…。だから?もう議論の必要はないとお考えなのでしょうか?

a. そのダム検証の場に参加していたのは、県の土木部河川課と佐世保市長と川棚町長など、ダム推進の立場の方々ばかりでしたよね。ダム案がベストという結果になるのは当然では?

b. その請願を提出した当時の県議会は、石木ダム反対議員は1名だけで、大多数が推進派なのですから、それも当然の結果でしょう。しかし、県民アンケートでは全く状況が違います。新聞社がやっても、一般リサーチ会社がやっても、賛成より反対の方が多いのです。また、それ以上に、「どちらでもない」とか「わからない」とかが多いのです。だから、公開の場での議論が必要だと私たちは思うのです。

c. 確かに昨年も佐世保市は長期間渇水対策本部を置きましたね。佐世保市は貯水率が80%を切ると、すぐに渇水対策本部を置くのです。でも、こちらのグラフをご覧ください。(県のHPより)



見辛いと思いますが、水道用ダム貯水率の推移。直近までの過去1年分です。

黄色い線の佐世保市は、他のどこ(長崎市、平戸市、大村市、県全体)よりも貯水率が安定していますよね。これで渇水状態が続いていたと言われても…納得できます?

そんなことを心の中でモヤモヤ思っていたら…

最年少参加者の高校生(佐世保市在住のA.Rさん)が、勇気を出して発言してくれました。



石木ダムは、私が生まれる何十年も前の計画で、今もできていません。私たちは特に水に困っているわけでもないし、これから人口も減っていくので、これ以上水源が必要なのかな?って本当に思います。

行政の方は、本当のことを、私たちにも分かるように説明してほしいです。

この場にいた全ての大人たち(河川課職員の皆さんを除いて)が、「うん、うん。だよなー」といった顔つきでRさんに注目していました。

 

その後、11時半から、県政記者室で記者会見があり、署名提出メンバーが、記者さんたちの質問に答え、補足の説明などおこないました。

パタゴニア日本支社長の辻井さんは、ここで初めて発言されました。



辻井さんはじめパタゴニアの皆さんは、決して賛成派と反対派の対立を望んではいないし、勝ち負けを求めてもいない。SDGsの理念を踏まえた対話を求めているのです。

SDGsとは、国連で採択された持続可能な開発目標で、

例えば、「貧困をなくそう」とか、「質の高い教育をみんなに」、「安全な水とトイレを世界中に」、「人や国の不平等をなくそう」、「住み続けられるまちづくりを」、「気候変動に具体的な対策を」等々17の目標を掲げていますが、その理念とは、「誰一人取り残さない」です。

石木ダム賛成の人も反対の人も、その根拠を出し合って、冷静に検討し、どちらの結果になっても、その結果を望んでいなかった人に対してはその原因に対する別の解決策を用意するということです。

例えば、石木ダム建設が中止になったら、仕事がなくなって困るという人がいるとしたら、漏水対策の工事や河川改修の工事などを増やすことで解決できるかもしれません。

あるいは、(ここから以下は私の考えですが)新たなダム建設ではないけれど、ダム再生事業を用意するとかできないでしょうか。

佐世保のダムは老朽化しているので、補修が必要ですが、補修だけでなく、補修のついでにダムの嵩上げをするとか、ダム建設技術を必要とするような事業も考えられるわけです。改修工事はいずれ必ず必要になるし、その際わずかな嵩上げで、ダムの貯水量は大きく増加するので、より多くの水源を望んでいる人たちにも安心してもらえるでしょう。

など、とにかく議論や討論といっても、目指すのは対立ではなく、対話から生まれる理解です。理解の先に初めて「誰一人取り残さない」解決策が見えてくるのだと思います。

説明責任を有する行政は、何よりも県民の理解を大事にしなければならないはず。理解を求めず強行するなら、その事業は必ず失敗するでしょう。既にその轍は踏んでいるのですから、その経験に学んでほしいと強く願っています。