ススキの叫び

もう10日ほど前のことになりますが、県内にお住いの方からメールをいただきました。

「石木のタブノキ」読ませていただきました。現場にいてこその迫力とタブノキへの想いがひしひしと伝わってきました。 応援に駆け付けることが出来ない私のもどかしい思いを詩にしました。 氏名は明記していただいて結構です。

と書かれていました。とても嬉しく思いました。私たちがつい忘れがちになること、現場に来なくても、来れなくても、私たちと同じ思いの仲間は沢山いるのだということ、それを思い出させていただきました。

大好きな金子みすゞの詩にもありましたっけ。見えぬけれどもあるんだよって。

   星とたんぽぽ

 青いお空のそこふかく、
 海の小石のそのように
 夜がくるまでしずんでる、
 昼のお星はめにみえぬ。
    見えぬけれどもあるんだよ、
    見えぬものでもあるんだよ。

 ちってすがれたたんぽぽの、
 かわらのすきに、だァまって、
 春のくるまでかくれてる、
 つよいその根はめにみえぬ。
    見えぬけれどもあるんだよ、
    見えぬものでもあるんだよ。

 

話が横道にそれてしまいましたね。では、あらためて、中里さんの詩をご紹介します。

 

 ススキの叫び

                中里和彦

 

パイプ椅子を並べ

婆ちゃんたちは座っている

何を言うでもなく

ただ、じっと前を見つめ

座っている

 

胸のゼッケンには

何かが書かれているが

人々に読まれることもなく

たまに読み上げる婆ちゃんたちの声を

人々が聞くこともない

 

パイプ椅子を並べ

婆ちゃんたちは座っている

行き交うトラックの

巻き上げる砂ぼこりに顔を伏せ

座っている

 

トラックの行先では

草は刈り取られ

木々は切り倒され

大きな重機が

大地をはぎ取っている

 

パイプ椅子を並べ

婆ちゃんたちは座っている

たまに、その視線は傷ついた大地に行き

思い出を胸に

座っている

 

座っている婆ちゃんたちの前を

行き交うトラック

風圧に一本のススキが巻き込まれ

タイヤの圧倒的な重圧に姿を失い

踏みしだかれたススキは

無数の綿のような種をはじき出し、叫ぶ

 

『コウバルに、来年も咲く!』



 

こうばるで人間の鎖

11月25日、平日の午前という時間帯にもかかわらず、「こうばる」に続々と人が集まってきました。

100人集会のはずが、なんと230人を超えました!
用意した地図やスケジュールが書かれたプリントもリボンも底をついてしまいました。

いよいよオープン!
実行委員長の炭谷さんによる挨拶と



I女性会議の皆さんによる合唱=石木の小川(春の小川の替え歌)に続いて、



参加者によるリレートークが始まりました。
トップバッターは、なんと千葉県からやってきた方です!

中台ヒデ子さん(水問題と八ッ場ダムを考える千葉の会)

私たちは無駄で危険な八ッ場ダムを止めようと、1都5県(東京、群馬、栃木、埼玉、茨城、千葉)で住民訴訟を起こしましたが、全て敗訴となりました。八ッ場ダムはもうできてしまいましたが、今でも生態系への影響や造成地の地滑りなどの危険があり、見守り続けています。もうこれ以上ダムは要りません。こうばるに平穏な暮らしが戻るよう、子どもたちの未来に持続可能な社会が残せるよう、共に活動を続けましょう。

その後も県内外の支援者や議員の皆さん10人がマイクを握りました。

松本美智恵(石木川まもり隊)私たち佐世保市民が水不足で苦しんでいたのは過去のことです。いま私たちは全く水に困っていません。しかし、行政は半世紀前のダム計画に縛られ、莫大なお金をつぎ込んで自然を壊し、住民の生活権を侵害しています。ダム建設を止めるには石木ダムは要らないという世論が必要です。この集まりが、2回目、3回目と続き、その度により多くの人が集まることを願っています。そうなるよう、どうぞ皆さん、力を貸してください。石木ダムは要らない!という声を大きく広げていきましょう。

田代圭介さん(石木川の清流とホタルを守る市民の会)私たちは長崎市の街頭で石木ダムの必要性を問うシール投票をやりましたが、NO!という方が圧倒的多数を占めています。他でやられたアンケートの結果も同様で、多くの県民が石木ダムは要らないと思っています。また、1972年、当時の久保知事はダム建設は住民の同意を得た上でやるという覚書を交わしています。この約束を守るよう私たちは言い続けていますが、中村知事は無視したままです。約束を守るのは最低限の義務ではないでしょうか。地元の皆さんと連携して、引き続き闘っていきます。

坂田昌子さん(国連生物多様性の10年市民ネットワーク)東京の高尾山からやってきました。私たち「ケンジュウの会」は高尾山に圏央道を通す計画に反対してきましたが、私たちの土地は強制収用され、圏央道はできてしまいました。1本の木を伐ればどれだけの命が失われるか。川には生きものがうじゃうじゃいます。こうばるの皆さんがこの自然を守ってきました。それは世界の趨勢です。国連では、多くの学者がアセスメントをして報告書を提出しましたが、そこにはダムはもうダメだと書かれています。ダム反対を叫ぶのは世界の流れだということを共有し、手を繋いでいきましょう。

安江綾子さん(いしきを学ぶ会)こうばるが大好きで、ここを守っていきたいと思っています。今回の衆院選で石木ダムに反対する2人の議員が当選した意味は大きいと思います。来年は知事選です。選挙で政治を変えていきましょう。石木ダムを造らせないという運動を多くの方と手を結び、広げていきましょう。

白川あゆみさん(参院選候補者)来年の参院選を目指し活動しています。環境を守る、暮らしを守ることについて、私たち若い世代がもっと声をあげていかなければと思っています。この看板を撤去し、こうばるの皆さんの幸せを取り戻すために、私も全力を尽くしていきたいと思います。

堀江ひとみさん(県議会議員)県議となって15年目です。議会ではずっと石木ダムは要らないと言い続けてきました。明日から定例会が始まりますが、今回も知事に質します。知事は毎回「誠心誠意対応します」と言うけれど、そうであるならば、工事を中断して話し合いをすべきではないかと。本日お集まりの皆さんの想いも届けてまいります。

山田勝彦さん(衆議院議員)私は選挙直前の地元紙の質問に対して石木ダムは不要との立場を示しました。治水、利水の代替案をテーブルに載せてゼロベースで議論すべきであり、住民の人権を第一に考えるべきだと主張してきました。立場の弱い人、困っている人の力になるために政治はあります。一日も早く、ほたるの川のまもりびとの平穏な暮らしを取り戻しましょう!

田村貴昭さん(衆議院議員)なぜ石木ダムが必要なのか、佐世保の水が足りないという。その上今後急激に水需要が増えるという。しかし、その根拠は県も佐世保市もまともに説明できない。また、洪水対策としても必要と言うが、今は異常な雨の降り方をする。ダムでは防げない。むしろ下流域に甚大な被害を及ぼしている。もう二重三重の意味で石木ダムは要らない。公共事業チェック議員の会は皆さんと連帯して石木ダムが中止になるよう頑張っていきます。

嘉田由紀子さん(参議院議員)いまコロナで医療費がどんどん嵩んでいる。そういう時に皆さんの税金を公共性の低い事業に注ぎ込んでいいのでしょうか?公共事業には科学的な担保が必要です。昨年7月の球磨川豪雨の後、国交省は川辺川ダム建設に舵を切り、ダムができたらどれだけ水位が下げられるかデータを出しました。それを基に検証したら、あの水害で亡くなった50人中48人の方が川辺川ダムがあっても助からなかったということが分かりました。この石木ダムも科学的データに基づいて必要性が無いことを、山田さん、末次さん、地元新議員と共に国会で示していきます。皆さん、応援してください。

末次精一さん(衆議院議員)数年ぶりにこうばるを訪れ、この光景に唖然とし、自分の無力さを痛感しております。私は県議時代にダムの代替案を示し多くの賛同を頂いていましたが、大きな政治の力で潰されてきました。今回やっと国政の場に立つことができ、より大きな力を持たせていただきました。以前こうばるの方が「三度の食事のおかずはダムの話」と言われたのが心に強く残っています。私はその方に「当たり前の普通の食卓に戻します」と約束しました。その約束が果たせるよう、皆さんとともに頑張っていきましょう!

どなたも本当に熱い思いの籠ったトークでした。

続きまして・・今度は聞くだけではなく、
みんな一緒に叫ぶ「まもりびと宣言」です。
実行委員に続いて皆で復唱しました。

私たちはこうばるを守ります!

  →私たちはこうばるを守ります!

こうばるの里山を

  →こうばるの里山を

石木川の清流を

  →石木川の清流を

子どもたちに手渡したい!

  →子どもたちに手渡したい!

こうばるの集落を

  →こうばるの集落を

水の底には沈めません!

  →水の底には沈めません!

こうばるの人々を

  →こうばるの人々を

その暮らしを

  →その暮らしを

私たちは守ります!

  →私たちは守ります!

力を合わせて守りましょう!

  →力を合わせて守りましょう!
 

こうばるの田んぼで230人が叫んだ「まもりびと宣言」、きっと県職員にも届いているでしょう。だって、あちこちに監視カメラがあるのだから。

さて、いよいよ人間の鎖です。230人を超える人々がピンクのリボンを介在して手を繋ぎ(コロナはまだ終息していないので)、長い鎖となりました。



その繋いだ手を一斉にあげたとき、









想いが一つになったような感動を覚えました。

ここで集会は終了ですが、山道を歩ける人は班ごとに、座り込みの現場まで歩いていきました。

石木川を渡り、

現場で座り込んでいる人たちの説明を聞き、

鎖にしたピンクのリボンに想いを書いて、森のレストラン(こうばるの皆さんが森の中に作った休憩所兼お弁当を食べるところ)に張ったロープに、お御籤のように結び付けました。


参加者の中には、久しぶりに現場を訪れ、その変貌ぶりに言葉を失う人、初めて訪れ、ダムのダの字もできていないことに驚く人など様々でしたが、この皆さんが、今度は1人でひょっこり、あるいは友人を誘って、この現場で共に座るために来てくださることを心から願っています。

またいつか、こうばるで会いましょう!  (‘◇’)ゞ

これからもずっとおいしいこうばる米2021



長崎県石木ダム水没予定地こうばる地区住民のいしまるほずみです。

11月はじめから注文受付を開始した、
「これからもずっとおいしいこうばる米」2021

注文締め切り日は、いよいよ11月30日までです。

現在も絶賛注文受け付けております!

今シーズンは、1,500キロのお米を確保しております。

そして、現在、大変ありがたいことに、約1,200キロに届くか届かないか…くらいまでご注文頂いております。

ご購入いただいた皆様、本当にありがとうございます。

あともうちょっと…もうちょっと伸びればゴールが見えてきそうです。

あともうひと押し、ご購入を検討中の方おられましたらどうかメールでの注文よろしくお願いします。

ちなみに、発送予定日は12月19日、この日に一斉にこうばる公民館で発送を作業を行います!

今年から事務作業などを分担して行なっております。
チームで取り組んでおりますので、発送まで一ヶ月ほどお待ちいただくこととなってしまいます。
申し訳ないですが、全ての人がボランティアで取り組んでおりますのでどうか大目に見てあげてください。。
お米はとってもおいしいです!
ギリギリ新米と呼べる?か!?ぐらいの時期なのですが…



これからもずっと美味しいこうばる米2021

長崎県東彼杵郡川棚町石木ダム建設計画地川原(こうばる)地区
石木川の綺麗な水で、
今年も美味しいお米が育ちました。
ぜひ食べてみてください。
今年は「石木川カレンダー2022」もついてます!



・白米5キロ 3,050円
・玄米5キロ 3,000円
・白米10キロ 5,100円
・玄米10キロ 5,000円

注文ご希望の方は、以下の必要事項をお送りください。

①注文内容
②配達希望日・時間帯
③郵便番号
④住所
⑤氏名
⑥電話番号
⑦メールアドレス


ご注文はこちらへ
yesishikiriver@gmail.com

お米をお買い上げいただくと…

1、農家さんの収入になります。
2、石木川流域を盛り上げる活動資金になります。


お米一袋につき1部「石木川カレンダー2022」をプレゼントします!

ご注文はメール(yesishikiriver@gmail.com)にて承ります。

ご注文締め切り 2021年11月30日(火)
お米の発送予定日 2021年12月19日(日)

代金は先払いです(お米代とゆうパック送料の合計)。
振込金額と振込先口座情報をメールでお送りしますので、
2週間以内に手続きをお願いいたします。
恐縮ですが、振込手数料はご負担ください。

お米の管理には万全を尽くしておりますが、不備がありましたら相応の対応をさせていただきます。

現地での引き取りをご希望の方は、原則として、発送日当日中にお引き取り願います。
それ以外の日程をご希望の方は、別途ご相談ください。

販売者代表 ISHIKI RIVER MUSEUM  いしまるほずみ

よろしくお願いします。



お米農薬の使用状況説明

まず、お米の品種は、ほとんどの農家さんが「ヒノヒカリ」です。
あと、「ニコマル」の家も少しあります。



農薬の使用については、すべての農家さんを把握していないのでその点については本当に申し訳ないのですが、
我が家の場合をお知らせしますと、
肥料として「BB水稲一発」一回、除草剤として初期「シング乳剤」初中期「スラッシャ粒剤」それぞれ一回、
今年は土壌改良剤として「ハイパー地力」を使ったようです。

毎日の抗議行動で以前のように田んぼの手入れはできていません。
農薬の量は普通の農家さんよりはかなり少ない方と思います。
無農薬や有機米ではありませんが、減農薬とは言えるでしょう。
わたしの家以外の農家さんもあまり変わらない状況です。

そのほかは草取りもちょこちょこしますが、 正直なところ、放置しています。。
 日曜日以外は、おじちゃんもおばちゃんも現場で抗議行動として座り込みに参加しています。
 そういうわけで、農薬の散布もろくにしないで放置状態…
私としてはその方がいいと思っていますが…
無農薬ではないけれど、ダム建設から土地を守るためにお米を作り続けています。

ご購入の際にご検討の材料にしていただけると幸いです。


詩「石木のタブノキ」

『北方(HOPPOH)』という文芸誌の185号(2021.10.31発行)に、「石木のタブノキ」という詩が掲載されました。

そう、あのタブノキ。石木ダム付け替え道路工事現場にあった大きなタブノキ。引き千切られ、引っこ抜かれて、打ち捨てられたあのタブノキを悼む詩です。
作者は石木川まもり隊のU・Mさん。

座り込み現場に集う私たちの想いを詩ってくれました。
ぜひ、じっくり読んでみてください。

 

石木のタブノキ

石木の人々の通い路に、タブノキが二本寄り添って大きくなりました。
大きなタブノキとそれより小ぶりのタブノキは、
数百年の風雪に耐えて、大きく枝葉を伸ばし、巨樹となりました。
夏には大きな葉を茂らせて人々に憩いの木陰を作り、
さまざまな草花や鳥や昆虫たちは、
タブノキと共に生命を育くんできました。
炎天下での座り込みの日々、
涼を求める人々を木陰に誘い、
涼しい薫風で私たちを慰め一息つかせてくれたタブノキよ。

無用で無駄な石木ダム建設という目的のために、
タブノキと共に営んできた動植物の生命サイクルはまた断ち切られました。
凄まじい暴力。
大きく豊かに茂っていたタブノキの枝葉、そして3メートルを超える幹は、
ユンボで無残に打ち砕かれて身ぐるみはがされました。

それでも大きく根を張っていたタブノキはびくともしませんでした。
でも、
二百年以上、大地に踏ん張っていたタブノキは、

再び力任せのユンボで大地からはぎとられ、傍らに打ち捨てられました。

バーミヤンの仏像がタリバンによって破壊された時、
タリバンは世界中の人々から野蛮なイスラム教条主義者として糾弾されました。
バーミヤンの仏像を毀棄したタリバンと
タブノキをねじり伐り倒した人々と何が違うのでしょうか

タブノキの精霊が嘆き哀しんでいます。
タブノキは告発しています。
断ち切られた生命連鎖の報復を受けるまで気づかないのかと。

処分をめぐる4つの不思議

長崎市内の小学校教諭による「処分取り消しを求める審査請求」が、いま話題になっています。

この件は石木ダムが根っこにあり、なおかつ当ブログにも関係することですが、当事者として発信することで、今後の審査に影響が出るのを恐れ、発信を控えていました。

しかし、マスコミ報道の中には誤解を与える部分もあり、やはり正しい情報をお伝えしたい。その上で、この問題を多くの人に考えてほしいと思いました。

11月9日、審査請求をおこなった教諭は弁護士とともに記者会見を行いました。
それを伝えるマスコミ報道の中で、ネット上で確認できるのはこちらの4つです。

毎日新聞 「長崎市教委は処分取り消しを」 小学校教諭が審査請求
https://mainichi.jp/articles/20211110/ddl/k42/040/330000c

長崎新聞 児童の石木ダム感想文提供 長崎市教委が訓告 教諭側「無効」求め市公平委に審査請求
https://nordot.app/830974288328048640?c=39546741839462401&fbclid=IwAR30_0WPAdZ0C1vNoyaW1kvK5rBNJuHR0swvnjDa4Jk8P2Ze8byMZTfiFoM

NCC 石木ダム見学企画した教諭が文書訓告処分とした長崎市教委に対し処分不当の審査請求
https://news.yahoo.co.jp/articles/c30dde9944ae884948fe308a2e6bfb521319cdad

NHK 石木ダム見学の感想文めぐり教員処分 取り消し求める審査請求
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20211109/5030013234.html

読者は、まず見出しを見ます。その見出しに興味や重要性を感じて初めて本文を読もうとするので、見出しは重要です。
その見出しに、今回は誤解や先入観を与えるものが多く、それが残念でした。

「石木ダム感想文」とか「石木ダム見学の感想文」とか書かれていますが、そうではありません。
児童が書いたものは「社会科見学の感想文」です。

まだできてもいない「石木ダム見学」など、とんでもありません。

このように、見出しだけを見ると、この社会科見学の目的が石木ダム問題に特化していて、感想文も石木ダムについて書かせたかのような印象を与えています。先生が偏向教育をおこなっていたかのように誤解した人もいたのではないでしょうか。

見出しだけでなく、本文にも、「教諭は昨年11月11日、担任のクラスを含む6年生を引率し、県と佐世保市が石木ダム建設を計画する同町川原地区を訪問。建設に反対する住民から話を聞くなどした。」と書かれた記事さえありますね。

しかし、事実は違います。「男性教諭は2020年11月11日、当時勤務していた市立矢上小6年の児童約80人を対象に『自然、平和、人権を考える』を趣旨とした川原地区での社会科見学」(毎日新聞)を行ったのです。

なぜそう明言できるかと言うと、実際に感想文を読んだからです。
60数人分(参加者全員が提出したわけではなかったようです)の感想文は、決して石木ダムについてだけ書かれていたわけではありません。自然、平和、人権、3つのテーマに沿って満遍なく書いている子もいれば、2つのテーマを選んで書いている子、1つのテーマだけの子などいろいろでした。

テーマを1つに絞った子どもたちの中で一番多かったのは「自然」でした。昆虫博士と呼ばれる専門家の巧みなガイドがあったからでしょうか、こうばるの野原で捕まえたバッタやカマキリに対するワクワクドキドキ感が多くの子どもたちから伝わってきました。

この社会科見学の目的が、石木ダム問題に特化していなかったことは、子どもたちの感想文を読んだ者として伝える責任があると思い、ここに記すことでその責任を果たしたいと思いました。

ところで、報道記事に書かれている内容を時系列で整理すると、
① 2020年11月11日、市立矢上小6年の児童約80人を対象に川原地区での社会科見学を実施。
② その後、教諭は児童が書いた感想文を見学のお礼として地元住民などに手渡した。
③ 12月4日、市民グループのブログに児童の感想文が掲載されたが、校長の指示ですぐに削除された。
④ 市教委は、保護者の許諾や校長の確認がないまま学校外に感想文を提供したこと等を理由に、今年7月、教諭を文書訓告とした。
⑤ 教諭はそれを不服として10月7日長崎市公平委員会に審査請求書を提出した。
ということのようです。

この事実を知って、私は不思議に思いました。

不思議その1.
「児童が書いた感想文を見学のお礼として地元住民などに手渡した」ことが、そんなにいけないことでしょうか?
市教委は「保護者の許諾や校長の確認がないまま」手渡したから処分したとのことですが、それはよくあることではないでしょうか?
修学旅行や体験学習などでお世話になった方へ、後日子どもたちの感想文が送られてきたというのはよく聞く話ですが、それらは全て保護者や校長の許諾を得た上でのことなのでしょうか?
少なくとも私自身は、子育て中、学校側からそんな許諾を求められた記憶はありません。

不思議その2.
「市民グループのブログに児童の感想文が掲載された」ことが、そんなにいけないことでしょうか?
名前も住所も写真も、個人情報にあたるものは何もありません。ただ社会科見学についての生き生きとした感想文が綴られているだけです。

それぞれが体感したこと、自然の面白さだったり、防空壕の不気味さだったり、川原のおじさんたちの故郷への想いだったり・・そういうことが真っ直ぐ伝わってくる感想文でした。余計な先入観で身構えない子どもだからこそ、見るもの聞くもの素直に受け止め吸収できるのだと感じました。各クラス2編ずつの計6編だけですが、ブログを通して多くの人に読んでもらい、社会科見学の素晴らしい事例として知ってほしかった。ただ、それだけです。
もしもその学校の先生方や保護者の目にとまっても、喜んでいただけるものと思っていました。

ところが、このブログをアップしたその日に、その小学校の校長先生から直接お電話があったのです。そのブログ記事のページを「閉じて欲しい」と。
理由は個人情報だからと。名前を出していなくても、子どもや先生が了解していても、親の了解が取れていないからダメだとのことでした。

「わかりました。ではいったん閉じますから6人の親御さんに確認して頂けないでしょうか。了解頂ける方がおられましたら、その方のお子さんの作文だけ、あらためて公開させてください」とお願いしましたが、校長先生の許可はいただけませんでした。

つまり、「親の了解」は言い訳で、校長先生自身が公開させたくなかったのです。なぜなのか理由を尋ねても説明はいただけませんでした。

不思議その3.
それにしても、校長先生はどうしてそんなに早く、この記事をご覧になったのでしょう?
もしや「石木川まもり隊」のフォロワー?そんなはずはありませんから、きっと誰かが知らせてきたのでしょう。その誰かも誰かによって知らされた。そして・・もとを辿れば、石木ダム反対運動を常に監視している誰かさん?に行き着くのでしょうか。

結局、校長先生も犠牲者かもしれません。あの社会科見学が実施できたのは、それまでの校長の理解があったからでしょう。理解というか、問題視されるとは思っていなかった?
しかし、マスコミ等で報道されると、高い評価が寄せられる一方で、市教委のお叱りを受け、校長自身が一番驚いたのかもしれませんね。

不思議その4.
では、なぜ、市教委はこの程度のことで処分まで発令したのでしょう?しかも、何か月も後になって。
社会科見学は昨年11月で、ブログへの掲載は12月はじめで、処分は今年の7月だったようです。

時期の問題はわかりませんが、処分の理由は、代理人弁護士が語っているように、「処分は県の公共事業を取り扱ったことによる報復的なもの」なのだとしたら、それは問題ですね。

県の公共事業ならばこそ、県民の利益のためになされるべきで、県民みんなで考えるのは当然です。
しかも、ダムのように50年も100年も存続する事業においては、次世代を担う子どもたちの声にも耳を傾けるべきです。考えるための材料や機会を与えようとした教師を処分するなど、あってはならないことです。

子どもたちが社会問題に関心を持つことを許さないそんな教育行政が続くかぎり、若者の投票率などいつまでたっても上がるはずはありません。

市教委は、今一度、教育基本法第16条「教育は、不当な支配に服することなく・・・行われるべきものであり、教育行政は・・・公正かつ適正に行われなければならない」を思い起こし、処分を撤回してほしいと思います。

最後に、皆さんからの不思議「先生は、なぜ川原住民でもないあなたに感想文を渡したの?」にお答えします。

私も不思議でしたよ。
川棚での集会終了後、初めて出会った先生に、いきなり渡されて。え?なんで私に?と思いました。

先生は、社会科見学について伝える石木川まもり隊のブログ記事を見ていたそうです。
http://ishikigawa.jp/date/2020/11/13/
そこには、このように記していました。

子どもたちの心にはどんな言葉や景色が残ったでしょう?
今回の社会科見学を計画してくださった先生や、その計画を実現してくださった校長先生や6学年の先生方の勇気に心から拍手を送りたいと思います。

それで、実際に見てほしい、読んで欲しいと思われたのでしょう。
また、まもり隊のホームページを見て事前学習の参考にもさせていただきましたから、ともおっしゃっていました。

それは何故かというと、修学旅行でも体験学習でも現地に行く前に事前学習をしますよね。
先生もはじめに県の河川課や佐世保市水道局に電話して、石木ダムについて子どもたちに説明して頂けないかとお願いしたそうです。
が、どちらからも断られ、仕方なく、石木ダムの目的や概要などを県のホームページから学び、反対派の見方は石木川まもり隊のホームページから学んだのだそうです。(少しでも何らかのお役に立っていたなら幸いです)

さて、審査請求は先月20日に受理され、「今後、公開での審査が行われる見込み」とのこと。
その成り行きを関心を持って見守っていきたいと思います。

石木川ミュージアム(連載4)

1月中旬からむくむくと動き出していた石木川ミュージアムの計画。

しかし、持病が悪化しうつ状態となって改装は進むもミュージアムは放置状態に。

そこへこうばる地区のサカエおばちゃんの訃報が入り、再起を図るほずみでしたが…

石木川ミュージアム連載3のつづきです。



5月の間、一ヶ月ほど通ったら、やれそうなこと、不便なこと、改善点などが見えてきました。

それに、同時に疲れが溜まってきました。

わたしの体力に合わせたミュージアム作りをしなくては…

わたしの病気、精神疾患の双極性障害は二代精神疾患の統合失調症と同じでとっても疲れやすいのです。

体力がなく、脳がぐるぐるしやすく、薬は欠かせませんが、回復には本当のところ睡眠しかないのでは…という状況です。

そして、だんだん暑くなってきて夏本番の間は、ミュージアムにはほとんど通うことができません。

エアコンなんてついてませんから!

扇風機だけ、それに窓には網戸もないので蚊に襲撃されます。

なので、時々打ち合わせに場所として使う程度で、夏が去るのを待ちました。



9月に入って、やっとミュージアムの壁のペンキ塗りを実施。

大掛かりでした、一番大変だったところでした。

こうばる地区外からの友人たちに随分と助けられ、3日がかりで天井と壁をピンク色に塗り、

床のフローリングもニスを塗って補強しました。







友人たちには本当に感謝しかありません。





夏休みの間、クラシックな机と椅子(父が使っていたもの)を友人を通して

家具職人さんにバッチリ修理していただきました。



この机と椅子、戦前のものの可能性もあるとか。

物は大事にしたいです。

そして、その家具職人さんの本当に人の良いこと…

「支援を兼ねて」とのことで、たった一万円で修理していただいたのです。

本当に感謝に尽きます。

現在、制作の際にバリバリ使わせていただいています。

最高に良いです。

ミュージアムの壁のペンキ塗りが一気に進んだところでこの机と椅子を元の場所へ配置。

ミュージアムがまた一歩それらしく前進しました。





次回へつづく
報告/こうばるほずみ

工事差止訴訟 270人が上告



川原住民の皆さんと支援者計270人は、10月21日の石木ダム工事差止控訴審判決を不服として、最高裁に上告しました。

正確には10月29日(金)付の上告申立書が11月1日(月)に福岡高裁へ届いたということで、最高裁に届くのはまだまだ先のことです。

一審、二審と負け続け、最高裁がその判決をひっくり返してくれる可能性はかなり小さいだろうという現実は受け止めながら、それでも私たちは上告しました。

それは、泣き寝入りしたくないから。憲法に保障された私たちの人権を守るためには、人権侵害されている当事者と、それを間近で感じている者が声をあげ訴え続けなければ、人権侵害が許されてしまうから。

また、諦めたくないから。もう1つの石木ダム訴訟(事業認定取消訴訟)のように今回も最高裁は上告を退けるかもしれない。それでも、最高裁が受理する可能性がゼロではない以上、私たちは諦めない。最後まで可能性を追い続けます。

諦めないことの大切さを控訴審判決が教えてくれたました。

法廷の内外で私たちは、覚書について声をあげてきました。その声が判決文の中で活かされていたのです。今日は、その声をご紹介します。

その1.
2021年6月18日、石木ダム工事差止控訴審で地元の石丸勇さんが意見陳述。その中で石丸さんはこう述べています。

「思えば、石木ダム建設計画は、長崎県が当初から県民と住民をだまし続けながら進めて来た事業だったのです。それは石木ダムの歴史からも明らかです。
事の始まりは、1962年に地元や川棚町に無断で現地調査と測量を行いました。
1972年にはダム建設のための予備調査を地元に依頼し、「予備調査はダム建設に直接つながらない」と説明しながら、地元住民が不安と不満を表すと「地元の了解なしではダムは造らない」「一人でも反対があるとダムは造らない」などと言葉巧みに住民をなだめました。「予備調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて書面による同意を受けた後着手する」旨の「覚書」を交わして住民を信用させ地元を予備調査に同意させたのです。時の権力者は長崎県知事久保勘一、住民説得に自信があったのでしょう。「覚書」の精神は守られるはずでした。」

しかし、その後の経緯は、次の通り。
1982年 県警機動隊を導入しての強制測量。(高田勇知事)
2009年 強制収用に道を開く事業認定申請。(金子原二郎知事)
2015年 4世帯の農地を強制収用。(中村法道知事)
2019年 川原住民の全ての土地と家屋を強制収用(同上)

49年前の久保知事が住民と交わした覚書は、本人を含む4人の知事全てが無視をして、事業計画を強引に前に進めてきたのです。
長崎県政には、「約束を守る」というごく当たり前のモラルが欠如しているようです。

その2.
10月の控訴審判決に向けて、私たちは8月からハガキ運動に取り組みました。

何千通というハガキが福岡高裁に届いたはずです。中には、ひとこと欄にこんなことを書きましたよ!と知らせてくださる方もいました。
その中のお1人、福岡市のOさんは一言欄にこう書いて送ったそうです。

「こうばるの皆さんのふるさとと暮らしを守ってください。住民との覚書を反故にして工事を強行する長崎県の姿勢は、決して許されるものではありません。一刻も早い工事差止を切に願います。」

佐世保市のMさんも、こう書いて投函したそうです。

「県営の石木ダムは県民のために造られるはずです。住民=県民の信頼を裏切り、覚書違反のまま建設を進めるなら、それは公共事業とは言えません。まずは約束を守り住民と話し合う、そのためにも工事の差止が必要です」

その3.
ハガキは個人によるメッセージですが、公正な判決を求める声は各団体からもあがりました。その数72団体。要請書送付団体
その中には、やはり、覚書について言及している要請文もありました。
要請書(石木川の清流とホタルを守る市民の会)

「…という覚書を締結しています。しかし、今日においても、長崎県はこの覚書を無視し、約束を守っていない。さらに、中村長崎県知事は、このまま工事を進め家屋等の行政代執行も排除しないと明言していますが、現憲法下において、家族が居住する土地・家屋を行政代執行した例はありません。これを実行するとなると…」

このように、いろんな人が、覚書を無視し続ける県のやり方は許せないという想いを声に出し始めました。それがきっと裁判官に届いたのだと思います。

司法にしろ行政にしろ、弱き者の声はなかなか届きにくい。
その現実に慣らされた私たちは諦めがちになりますが、やはり、諦めてはいけない。

「約束は守りなさい」という当たり前のことを、言い続けていいんだ、言い続けるべきなんだと、今回の判決文を読んで感じました。

そして、覚書には触れていませんが、裁判官の良心に響いたであろうと思われるメッセージもいくつもありました。
裁判官だけでなく、私たち自身の心にも沁みました。その一部をご紹介します。

要請書(長崎高等学校教職員組合)
要請書(言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会)
要請書(よみがえれ長良川実行委員会30団体)
要請書(八ッ場あしたの会)
要請書(ラムサール・ネットワーク日本)
要請書(水源開発問題全国連絡会)

ぜひご一読ください。

これらのメッセージに私たちは大きな勇気をいただきました。

今回の上告人は270人ですが、その後ろから沢山のエールが聞こえてくるようです。

私たちは皆さんとともに、最高裁へも公正な判断を求め続けます。