比較すべきは他都市とではなく、過去と現在

12月4日の県議会において、知事は「石木ダム建設は地域にとって必要不可欠」な事業と明言しました。

また、先月27日の定例記者会見においても、記者の質問に答え、

「大体同規模の都市の生活用水量を見てみますと、全国14都市を平均すると1日当たり253リットル使用されているわけですね。佐世保市の現在の使用水量が189リットル、これが石木ダムをつくって207リットルを確保しようとする計画でありますので、決して過大な計画にはなっていないのではないかと私どもは思っているところであります。しかしながら、なかなかそういった点のご理解がいただけない状況が続いてきております」と語っています。 

 

知事が指摘したように、私たち佐世保市民の生活用水の使用量は確かに他都市と比べて少ないです。

しかし、そこには井戸水の利用があります。

自宅に井戸のある家がけっこうあり、庭の散水や車の洗浄などに使われています。

その数がどのくらいに及ぶのか、水道局に情報公開請求しましたが、記録がないのでわからないとのこと!

井戸は市民が保有している水源です。こんな大事なことをなぜ調べないのでしょう?

 

また、仮に、井戸水の使用量が思ったほど多くなかったとしても、

それなら、佐世保市民は本当に節水意識の高い市民として誇るべきことです。

何も平均値を目指す必要はありません。

例えば、県内の交通事故が全国平均よりかなり少なかったとしたら、平均に近づくよう増やそうとするでしょうか

そんなことはありえませんよね。

節水も同じように誇るべきこと。今や節水の時代です。メーカーは節水機器の開発に余念がありません。

 

比較すべきは他都市とではなく、過去と現在です。

昨年度の一日最大給水量は79,930m3でしたが、

5年前の一日最大給水量は85,660m3でした。約6,000m3も減っています。

10年前は96,180m3でしたので、10年間で約16,000m3も減っているわけです。

このように実際は減り続けているのに、予測では急増ですから、過大と言われるのは当然です。

 

昨年3月、市は再評価結果を国に提出しましたが、
 
そこに示されている平成26年度の最大給水量の予測は、91,717m3でした。
 
今年度の実際はどうかと言うと、現時点までのところ、7月に記録した76,970m3が最大です。
 
その差、15,000m3もあるんですよ!
 
この予測値が出されたのはわずか1年半前ですから、佐世保市の予測がいかにデタラメか素人でもわかります。
 
なぜ知事にはそれがわからないのでしょうか??
 
佐世保市の説明を鵜呑みにしているのか、わからない振りをしているのか、わざとわかろうとしないのか…
 
いずれにせよ、迷惑してるのは県民です!
 
 

本市に助成制度は存在しない!?

 

先月情報公開請求していた資料が用意できたとのことで取りに行くと、

そのうちの1件は「情報不存在」のため開示できないという。

その件とは、市が助成している雨水貯留タンクの総数と総貯水容量などについて。

不存在の理由欄に書かれた文言は「本市に助成制度は存在しない」だって・・・。

 

なぬ?!

慢性的水不足です。

水不足の解消は本市の喫緊の課題です。

市民は節水に努めていますが、受忍の限界にきています。

等々並べて石木ダムの必要性を訴える佐世保市が、

雨水貯留タンクの助成もしていないって?

 

渇水都市と言われている市の多くが取り組んでいるし、

長崎市でも雨水タンクに助成するという記事を数年前に見かけました。

日本一の地下水を誇る熊本市でさえ、小中学校のすべてに雨水タンクを設置し、

個人宅に設置する場合は雨水タンクなら上限が35,000円、

雨水槽なら上限70,000円助成するそうです。

他にも雨水浸透マスやビニールハウス雨水浸透施設にも助成しています。

 

佐世保市はそのような雨水利用も呼びかけず、助成金も出さず、

ただただ石木ダムに頼るばかり・・・

水道局の職員さんも、この文書を出すとき、相当恥ずかしかったでしょうね〜

 

川原にある、この看板を思い出しました。


       何故造らぬ 己の水がめ 人だのみ

まさしく、その通り。

おっしゃる通りです。

佐世保市民として、超情けない〜〜〜〜〜〜! 

 

「滴」の注目記事! 先月の平均給水量

皆さん、「滴」ってご存知ですか?

私たち「石木川まもり隊」と「水問題を考える市民の会」が共同で編集発行している石木ダムに関するニュースです。

「滴」と書いて「ひとしずく」と読みます。

石木ダムを止めるには、私たち一人ひとりの力は、ものすごく小さいけれど、でも無力ではない。

大河の一滴のように・・・という思いを込めて名付けました。

 

で、その「滴」も先月25日発行分で8号になりましたが、その8号から連載コーナーが2つ始まりました。

その1つは、「こうばる べつばらだより・・・」

おなじみ「ほーちゃん」の漫画コーナーですが、8号から「川原人=こばると」(こうばるに住んでいる人)の横顔を紹介していくことになりました。

川原には元気なおばあちゃんたちや頼もしいおばちゃんたちがいっぱいですから、楽しみにしててくださいね〜

 

で、もう一つの新連載が、いま注目を集めている「先月の平均給水量」コーナーです。

これを見ると、佐世保の水が足りていることがよくわかる!と好評です。

ちなみに8号に掲載した6月の給水量は・・・

  今年6月の平均給水量   70,108㎥/日 
  昨年6月の平均給水量   71,433㎥/日
5年前の6月の平均給水量   75,461㎥/日
 佐世保地区の保有水源量  105,500㎥/日

いかがですか?

この数値は、正真正銘、水道局から頂いたデータです。

これを見ると、同じ6月の一日あたりの給水量が年々減っているのがわかりますね。

しかも、その給水量約7万㎥に対して、水源は約10万㎥もあるのですから・・・

3万㎥も余裕です。数字は嘘は申しません!

ついでに7月を見てみましょうか・・・

  今年7月の平均給水量   71,173㎥/日
  昨年7月の平均給水量   74,613㎥/日
5年前の7月の平均給水量   74,515㎥/日
 佐世保地区の保有水源量  105,500㎥/日

5年前よりも昨年のほうが少し多いですね。

梅雨明けがいつ頃か、猛暑か冷夏か、などによって夏の給水量は大きく変化しますから

毎年減少するとはかぎりません。折れ線グラフにするとギザギザの線を描きます。

でも全体の流れとしては確実に減少しています。

ああ、それなのに、それなのに・・・

なぜ市や県は、今後水需要が急激に増加するなんて言うのでしょうね〜 

 

水道白書の予測は大外れ

今年8月、他県同様、長崎県内も記録的猛暑でしたね〜

佐世保市は38.0度観測史上最高気温を記録しました。

暑ければ、何度もシャワーを浴びたり洗濯をしたり・・給水量もさぞかし多かったことでしょう。

と思って、8月分の給水量の実績値をみると…

8月の総給水量        2,342,260m3
8月の一日平均給水量       75,557m3
8月の一日最大給水量       79,930m3

でした。

なんと、80,000m3いかないんですよ。

皆さん、これが現実です。

 

平成6年の大渇水の後、佐世保市はその記録をまとめた水道白書を翌年発行しました。

その最後のページにはこう書かれています。

平成25年度の予測需要量は133,000m3であり、

現在の安定水源82,500m3との間に50,000m3以上の不足が

生じることになります。

 

だから石木ダムが必要だと言っているのですが、

その平成25年になった今、実際は予測が大きく外れて、80,000m3に満たないのです。

安定水源が82,500m3あるのなら、足りてるじゃないですか。

おつりがくるじゃないですか。

 

でも、今は安定水源は77,000m3しかないって言ってますよね。

5,500m3の水源はどこへいったの?

消滅したの?

と思うでしょ。

いいえ、昔と変わらず、その場所にあるんですよ。

そこから、昔と変わらず取水してるんですよ。

ただね、名称を不安定水源にしただけ。

要するに、帳簿上亡き者にしちゃったんですね。

足りないというために。

 

おかしな話ですよね。

石木ダムの必要性はなくなったのに、石木ダムを造りたい。

だからいろいろ数字合わせをして、必要論をでっち上げているだけ。

 

そんなふうに思うのはおかしいでしょうか?

皆さんはどう思われますか?

 

26%人口減の佐世保市に、石木ダムは要らない

3月27日、国立社会保障・人口問題研究所が『日本の地域別将来推計人口』を発表しました。

国勢調査に合わせて5年ごとに行っているもので、今回は3年前の国勢調査を基に推計。

 

その結果、27年後の2040年には、すべての都道府県で2010年より人口が減少するとともに、

65歳以上の高齢者の割合は30%を超えるとのこと。

つまり、人口減少と同時に少子高齢化が進むということです。

 

その資料はこちらにあります。

http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/3kekka/Municipalities.asp

市区町村別では、全体の95%に当たる1603の自治体が2010年の人口を下回り、

2割以上人口が減少する自治体が70%に上るとしています。

ここから佐世保市の人口を取り出してみると、

佐世保市の人口は2040年には、2010年の74%まで減少します。

すでに減少傾向が続いている水道用水がさらに減少するのは必至です。

 

これでもまだ、水道局や佐世保市は、あの水需要予測、

急激な右肩上がりの予測が正しいと言うのでしょうか?

本当にそう思っているのでしょうか???

 

こちらに、とてもわかりやすい記事があります。

http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-f03e.html

「少子高齢化時代に石木ダムは必要か」と書かれたこの記事を、

朝長市長には是非、読んでいただきたいものです。 

再評価のための第三者委員会開催決定

昨日、佐世保市水道局のHPに次のような情報が出されました。

 

    石木ダム建設事業の再評価における学識経験者等からの意見聴取について

本市の最重要施策のひとつであります石木ダム建設事業につきまして、本年度は厚生労働省の国庫補助継続の要件であります事業の再評価の実施年度となっております。この再評価の実施に当たっては、学識経験者等の第三者からの意見を徴すこととされていることから、水道局の経営や施策について総合的に検討するために常設している「佐世保市上下水道事業経営検討委員会」に対して諮問し、第1回目の審議を下記の日程で行うこととなりましたのでお知らせします。

 なお再評価の概要については別添の資料をご参照くださいますようお願いします。
 
 
                          記
 
 
         1 日時  平成25年1月22日(火)13:00〜16:00
 
         2 場所  JA会館6階 大ホール(松浦町2−28
 
 
え?
 
ついに再評価のための第三者委員会を開くことになったの?
 
それは良かった〜と喜ぶのはチト早い。
 
常設している「佐世保市上下水道事業経営検討委員会」に対して諮問すると書いてあります。
 
常設している?つまり石木ダム事業の再評価のために集められた「学識経験者」ではないらしい。
 
では、どんな方々が委員なのだろう?
 
現在の委員についてはわかりませんが、この委員会が設置された平成20年度の委員名簿によると、
 
     大学教授、ハウステンボス役員、ホテル旅館協同組合理事長、
     商工会議所事務局長、町内連絡協議会理事、社会福祉協議会コーディネーター等々、
 
とても水道事業に精通している方々とは思えません。
 
もし今も同じような方々が委員だとしたら、
 
その方々がどうやって石木ダムについて再評価できるとというのでしょう?
 
水道局が提供する専門的なデータを見て、それに反論することはおろか、
妥当なのかどうか判断することさえ難しいのではないでしょうか?
 
 
そうそう、そのデータや資料も添付されていました。
 
第1回目は水需要予測について検討するようですが・・・
 
 
あらあら、相変わらず、水需要は右肩上がりなんですねー
 
人口は減り続けるのに、水の使用量は増えるという不思議・・・
 
しかも、今年度と来年度は昨年度とほとんど変わらず横ばいで、26年度から急増する?
 
なぜでしょうねー
 
 
次ページにいろいろ理由付けは書かれています。
 
専用水道への配慮新規事業所工業団地の開発
また、造船企業の経営方針転換により使用水量が増加等々。
 
 
それにしても、今後13年間で、工場用水は現在の約5倍!ですよ。
 
平成23年度の工場用水=1,890トン/日
平成36年度の工場用水=8,979トン/日
 
 
佐世保の未来は明るいのですね〜
 
人口は減っても、工業は発展し、経済も潤うのでしょうね〜
 
万々歳ですね〜
 
 
そんな話、本気で信じられます?

 

佐世保市のため池 問題山積

昨日の佐世保市議会本会議で、林議員が農業用ため池について質問しました。

利水対策案の1つとして、ため池の活用を考えている私たちは、興味津々で傍聴。

たいへん参考になりました。

 

林市議は、一昨年3月と今年の7月、相次いで起こった溜池の漏水事故を、

決して軽んじてはならない重大な問題と受け止め、

原因究明と、十分な調査、そして対策を講ずべきであると指摘しました。

その質問と回答を簡単にまとめると、

 

Q.事故が起きた2つのため池と同じ形式の溜池は十分な検証が必要。
  三度の事故があってはならない。どういう対策を考えているのか。

A.民有ため池の管理者に管理の方法を周知すべく点検マニュアルを配布した。
  12月には県と市、災害ボランティアと共に重要な溜池を点検する予定。
  さらに今後溜池台帳を精査し、下流域に民家、公共施設が有る民有溜池において
  木栓が設置してある場合、金属製の栓に変えるよう啓発したい。
  (2つの事故は共に、溜池の底樋の木栓が老朽化し破損したことが原因だった)

Q.市有はもちろん民有も含めた老朽溜池の長期的な整備計画の必要性があるのでは?

A.長期整備計画の必要性は認識している。
  そのため市内のため池2670ヶ所について現況調査を行い、
  下流に民家や公共施設のあるものを特に重要視している。
    市有10箇所の溜池について平成22年度から整備しており現在6ヶ所を終了、
  民有の溜池の改修については、助成事業として毎年配分をしている。

Q.全国的に耕作放棄地が増えている。
  耕作者の激減に伴い、「遊休ため池」が問題となってきている。
  有害鳥獣の住処となるなど周囲の環境への悪影響や、転落事故など防災上の問題も。
  今後増加が予想されるこのような機能不能溜池の管理について、どのように考えているか。

A.農業用に利用されなくなった遊休ため池は、防災面の事が一番重要な問題。
  水が溜らないよう土手の部分をカットする方法を取りたい、
  そういう方向で所有者と話をしたいと考えている。

 

えー!せっかくの水源を無くしてしまおうってわけ?

水不足、水不足、と騒いでおきながら、今ある水源を活用しないなんて…

そんなやり方で、隣町の地権者の方々の理解が得られると市長は本気で考えているのでしょうか?

 

Q.旧合併町には国有林野の中に存在する農業用溜池がある。
  これらはたんに農業用だけでなく、緑のダムとしての機能もある。
  その整備に関する負担は農業者だけでなく、行政側の支援も必要と考えるがいかが。

A.中長期の対策として重要と認識している。

 

え?答えはたったそれだけ?

と思ったら、議員さんたちの間でも失笑が広がりました。

あまりにもそっけないというか、答えとも言えない答えに、誰もが笑うことしかできなかったのでしょう。

 

いつも冷静な林議員は、穏やかにこう言って、質問を終わりました。

ため池は農地の根幹。 

ため池保全の健全化に向けて、総合的な対策に是非、取り組んで欲しい。

再評価の行方

昨日、突然の情報が舞い込んできた。

  「再評価のための業務委託先が決まりました。HPに出ています」
 
 
すぐにネットで入札情報を確認。
 
 
「佐世保市第九期拡張事業基本計画策定業務委託」
11月29日入札完了

落札者:日本上下水道設計㈱長崎出張所

落札金額:14,030,000円

予定価格:18,682,800円

最低制限価格:14,012,100円
 
委託期間:平成25年3月29日(金)まで
 
 
 
いよいよ、再評価に着手!?
 
正式契約はまだのようですが、
 
今日、水道局職員に確認したところ、
 
落札した会社に委託したのは、水需要予測や費用対効果の評価などで、
 
その会社に丸投げするのではなく、水道局と共に再評価のための予測などをまとめていく。
 
つまり、水道局が様々なデータを提出し、そのデータを使って、
 
どのような手法で、どのような数式で、それを解析し、予測し、評価していくか、
 
助言、示唆しながら共に作り上げていく、ということのようです。
 
 
その結果は、いつ頃までにまとめあげる予定なのか…
 
その時期によっては、第三者委員会が開催されない恐れも多分にあります。
 
その見通しについては、12日の本会議一般質問で、山下市議がしっかり追及して下さることでしょう。
 
注目したいと思います。
 
 
それにしても・・・
 
コンサル料金の高さにはビックリ!ですね。
 
正味三ヶ月ほどのコンサルで、¥14,000,000
 
その費用は、佐世保市が支払うのか、水道局が支払うのか知りませんが、
 
どちらにしても、税金か水道料金か、つまり私たち市民のお財布から出たもの。
 
決して、手抜きなどはせず、
 
しっかり分析し予測してもらいたいものです。 
 
 
 
 

ダム解体の時代へ〜田中優さんからのメッセージ

田中優さんの本日発行のメルマガ 第185号のお題は「ダム解体の時代へ」でした。

※このメルマガは転送転載、大歓迎です。

と書かれていますので、有り難く転載させて頂きます。

でも、少々長いので、部分転載です。全文は、こちらをご覧下さい。

  http://tanakayu.blogspot.jp/2012/11/blog-post_8746.html

▼ 脱原発の裏で進むダム建設


 原発問題がクローズアップされる一方で、こっそり進められているものがダム建設だ

 かつて象徴的に言われていた西の「川辺川ダム」、東の「八ツ場(やんば)ダム」。
川辺川ダムは知事の決定によって一応は止まっているが、八ツ場ダムは推進されている。

 戦後のはげ山から森が回復したことで、流れ出る水はずっと減っているというのに。
どこにダムが必要な理由があるというのか。他の地域で進められるダムも推して知るべ
しだ。

 北海道から沖縄まで、ダム建設が進められる。どれも合理的な理由は見当たらない。
見当たるのは地方であえいでいる建設会社のわずかな利益と、原発が作れなくなった
ゼネコンの利権、政治家たちのだみ声だけだ。


 無能な有識者を弾除けにして、官僚・ゼネコン・政治家たちが国土を壊し続けている。



むごい未来を残す開発

 子どもの頃、近所の小川でたくさん遊んだ。魚やシジミを取り、川沿いの林で虫取り
したり栗拾いやクルミを取って遊んだ。ぼくがダムに反対するのは、そこにある生き物
たちを追いやるのがいやなのだ。

 ぼくは自分が虫だったらどこに集まるかと考え、魚だったらどうするか考える。その
大切な友人たちの棲み家を失わせるのはしてはいけないことだと思うのだ。

 ぼくは保守主義者だ。再生できないのに自然や生き物たちの棲み家を壊し、未来の
子どもたちの育つ場を奪っていく。多くの人はすでに清流を知らない。

 たとえば川に入って足元がぬるぬるするのはダムのせいだ。水は貯めると腐ると言わ
れるように、ダムで水を貯めれば水は微生物だらけになる。その微生物が下流の石の
周囲で懸命に生き残ろうとするからぬるぬるになるのだ。もはや上流にダムのない川は、
全国にほとんどない。

 もっと以前には、川は魚を踏まずに渡ることはできなかった。産卵期になると、遡る
魚群によって川は黒く盛り上がり、その魚を狙う動物たちで賑わう場になっていた。
海外ならまだ見ることができるが、日本では失われてしまった。

 水生昆虫が多いことが魚を支え、魚が動物を支え、その動物たちが森に養分を届けて
いく。アイヌは川を海から遡るものと考えるように、山の養分は生き物たちの遡上なのだ。
本当はこの美しい景色の話をしたい。しかしいまや失われてしまったのに、子どもたちに
伝えたとしても酷なだけだ。そう思うと言葉を失う。


「この水の色、神秘的ね」

『それはダムのせいで水が腐ってしまった色だ』、


「鯉がいるから水がきれいなのね」

『鯉は水が汚れていないといられない魚だ』、


「やっぱり地場のウナギはおいしいわ」

『この皮の厚さは中国産だ。国内のウナギは絶滅寸前、ウナギがおいしいむつ小川原は、
六ヶ所村再処理工場からの放射能汚染が見つかっている』…。



ダム建設からダム解体の時代へ


 この秋、産卵のために琵琶湖に遡上するはずのアユの数が以上に少なかった。あち
こちで異常に数が少ないと聞く。琵琶湖のアユが各地に放流されているアユの元だ。
各地の川はダムや河口堰に阻まれ、自然にアユが遡上できない

 しかし今年、ダムが解体され始めた球磨川の荒瀬ダムではウナギが戻ってきたそうだ。
来年はアユがたくさん遡上しそうだが、その少し上流には瀬戸石ダムがまだ残されてい
る。ダムを造ることより解体すべきなのに、未だに無意味なダム建設が進んでいく。

 全国で水は余っている。人口も減っているのになぜダムを造るのか。いまや発電用の
ダムは造られていないし、世界的に流れを壊さない小規模水力発電が主流になっている。

 下流域の治水のためなら、人口集中地域の上流に遊水地を造ればいい。氾濫原だった
はずの低湿地は人の住まないエリアに戻せばいい。それは今、アメリカで進められてい
ることだ。


 原発神話は福島原発事故で壊れ始めた。しかしダム神話は未だに根深く根付いたままだ。
ダムは安全ではないし、いつかは流れてきた土砂に埋まる。さらに巨大ダムは群発地震を
yle="text-decoration: underline;">招く。いまや川はどぶに変わり、人々が集える空の広い場所ではなくなってしまった。


 地球は人間のものではないし、ましてやゼネコンや官僚たちのものではない。いまや
日本の川の水の半分以上が取水されて管路を通る。その水を川に戻そう。人間は、一時
だけ地球に間借りする存在に戻るのがいい。

 ダムは造るときを終えて、解体すべき時期に入っている。


(下線と太字はブログ管理人hotaruによるものです)

水道計画室

いま私たちが最も気がかりなのは、「石木ダム事業の再評価」の問題です。

9月3日のブログ https://ishikigawa.jp/blog/cat10/609/ にも書いているように、

水道局は今年度やるべき再評価の準備がめちゃくちゃ遅れています。

厚生労働省の補助金を受けるには、5年に一度義務付けられている再評価の結果を報告しなければならないのに…なぜかその準備が進んでいないことが、14日の議会でも明らかになりました。

https://ishikigawa.jp/blog/cat14/615/

 

もしかしたら…水道局は再評価をパスするつもりではないか?

パスしても補助金がもらえる方策を模索しているのではないか?

そんな夢のような手立てはあるはずもないと思うけれど…

とにかく進捗状況をもう一度しっかり確かめよう!ということで、

石木ダム事業の担当部署である「水道計画室」の直接担当者のお三方とお会いしました。

(経営管理課のお二人も同席で計5人、当方の市民側も5人で同数でした)

 

答えてくださったのは室長と主査のお二人ですが、

お二人とも、丁寧に率直に話してくださって(もちろん話していい範囲のことでしょうが)、

たいへん有り難く感じました。

 

貴重な1時間半でした。

特に私が驚いたのは、次の2点です。

 

再評価=再評価委員会ではなかった!

私たちは再評価といえば、再評価委員会を開催することしか考えていませんでした。

これまでがそうでしたから。

ところが、別のやり方もあるようです。

学識経験者等の第三者から意見を聴取するだけで終わらせるというやり方。

調べてみると、確かに、

厚労省が示す水道施設整備事業の評価の実施については、次のように書かれていました。

 

第3 評価の実施体制と手順

1 地方公共団体等が実施する事業

(1)評価は、国庫補助事業の実施主体である水道施設整備事業者(以下「事業者」と
いう。)が行うものとする。
(2)事業者は、評価に当たり、原則として、学識経験者等の第三者から意見を聴取す
るものとする。
(3)事業者は、第三者からの意見を踏まえて評価の内容をとりまとめ、厚生労働省に
報告するものとする。
 

確かに、第三者委員会を開けとは書いてありませんね〜

水道局の意に叶った学識経験者を選び意見聴取すれば、希望通りの意見が得られ、

希望通りの再評価(=ダムが必要なのでダム事業は継続すべし)が得られることになります。

う〜ん、こんな抜け穴があるとは知りませんでした。

 

知った以上は、何が何でも公正な再評価委員会の実施を要求していかなければ・・・!

 

評価は事業者が行う!

先ほどの厚労省の通達によると、

  「評価は、国庫補助事業の実施主体である水道施設整備事業者が行うものとする」

と書かれています。

こりゃダメだ・・

県が行ったダム検証と同じで、ダムを造りたい人たち自身が検証したり評価するやり方では、

結論は決まっています。

なぜこんな方法を国は示すのか・・さっぱりわかりません。

これじゃあ、再評価も形だけ、いくらでも抜け道はあるわけですね。

 

しかし、その安易な道をすぐに選択しなかった水道局を、むしろ評価したい気がしてきました。

過去においても、御用学者の意見を聴くだけという形式は取らず、

きちんと再評価委員会を開いてきたのは、かなり良心的なやり方だったのですね。

その姿勢を、是非今回も貫いてください。

 

隠さない、ごまかさない、嘘をつかない、

すべて正々堂々と公開して、専門家や第三者の意見を聴き、

その後、水道局として、プロの良心に則った評価を下してください。

そうすることによってのみ、佐世保の未来の水道事業の成功があるのですから。