荒瀬ダムの間違いを繰り返さないで!

9月10日、川棚町で開かれた「ダム問題を考える緊急集会」には、200名近い人々が集まりました。

石木ダム対策弁護団の平山博久弁護士は、石木ダム事業の概要と問題点、
そして裁判の状況について、わかりやすく解説。

「川原」地区総代の炭谷猛さんは、水没予定地に住み続ける思いを切々と吐露。

私たちは、ここに住み続けることを選択した。

ここで一生懸命生きている。

しかし、土地収用法に沿って、収用の手続きがどんどん進んでいる。

数年後には完了するだろう。

しかし、それは紙きれ上のこと。

強制収用されても私たちはここに住み、田んぼを作り続ける。

それは、私たちの生きる権利です。

 

続いて発言されたのは、荒瀬ダム撤去を実現した第一人者、つる詳子さん。

自然観察指導員として、様々な調査や聞き取りを実施する中で、ダムの環境破壊を痛感。

川棚町民にダムの真実を伝えたいと、熊本県八代市から来て下さいました。

参加者は、映し出されるたくさんの写真を見つめながら、つるさんの話に耳を傾けました。

要点を以下にまとめてみましたのでご覧ください。

 

つるさんが、その美しさに心奪われたという川辺川は球磨川の支流です。

そこにダム計画があることを知り、ダム問題への取り組みを開始します。

なぜなら、当時、球磨川流域には既に荒瀬ダム、瀬戸石ダム、市房ダムが有りましたが、それらのダムによって住民は大きな被害を被っていたからです。

 

1.それらは発電用のダムで、放流時の振動による被害が続出していました。

 

2.ダム建設後に大きくなった水害。

 

3.漁業への被害

魚貝類や海苔などがほとんど採れなくなったそうです。

 

ダムによって50年も苦しめられてきた流域住民は「ダムは百害あって一利なし!」

これ以上ダムを造るな!

球磨川を返してくれ!と動き始めます。

国交省を相手に9回も住民討論集会を開催。

これが大きな力となっていきます。

世論の8割がダム反対になった頃、

知事は川辺川ダムの中止を決断し、

その後、荒瀬ダムの撤去も決まりました。

2008年、荒瀬ダムのゲート全開。

2012年本体撤去開始。

半分撤去した頃。

現在は、この柱は全部なくなっています。

その結果、河口部には多くの貝類が復活し、

でも、それ以上に、

潮干狩りを楽しむ人が増え・・・魚貝類も生き抜くのがたいへん!(>_<)

ゲート全開前は30cmほどだった青のりが、今や4mにも!

 

最後のまとめはこちら。

そして、川棚町民へのメッセージ。

 

私は、実は2012年の春、荒瀬ダム撤去「前夜祭」に参加させて頂きました。

つるさんのお話も何回も聴きました。

そして、その度に感銘を受け、この真実を、つるさんのお話を、

ぜひ川棚町の皆さんに聴いてほしいと、ずっと願っていました。

それが実現して、本当に嬉しいです。

昨日参加された皆さん、是非このメッセージを周りの方に伝えていきましょう!

 

ダムができたら、川や海は必ず疲弊する。

ダムができるまでは水没予定地が苦しみ、完成後は流域住民が苦しむ。

荒瀬ダムの間違いを繰り返さないで!

 

工事差止か否か、結論は年末?

 

厳しい残暑の昼下がり。
第3回石木ダム工事差止仮処分の審尋に参加しようと、
多くの原告(申立人)が長崎地裁佐世保支部の門前に集まりました。

今日は馬奈木弁護団長がお休みで、
平山弁護士からの説明に聴き入る原告団と報道人。
審尋は非公開なので、報道人は法廷に入れません。

今回も満席となった401号法廷では、入廷者の本人確認に長々と時間を要し…
やっと審尋が始まったと思ったら、わずか5分足らずで、

「審尋は本日で終わり、裁判所の判断は年内を目途に出したいと思っています」
と裁判長。

えーっ!!!
どーゆーこと?

というわけで、3時からの報告集会にも沢山の人が集まりました。

まず初めにこれまでの経緯や、今日で審尋が終了した意味など、
平山弁護士から丁寧な説明がありました。

これまでに双方の主張は出し尽くされたとして、今日で審尋は終わりました。
裁判所の判断は、年内、つまり12月末頃に出されるようです。
どういう判断が出るかは、全くわかりません。
 
ただ、行政訴訟法第44条については我々の主張が認められたのだと思います。
(行政訴訟法第44条=公権力の行使に当たる行為については仮処分をすることができない)
 
県は、今回の我々の申し立てが「44条に抵触する」と主張していました。
それを裁判所が認めるなら、1週間もあれば結論は出るはずです。
それが年末までかかるということは、我々の主張「44条に抵触しない」が認められた、つまり、門前払いにはしないということだと思います。
 
その上で、それぞれの工事について、
それぞれの債権者にどのような人権侵害があるのかないのか、
それを精査するのに時間を要するのだと思われます。
 
その結果、石木ダム工事中止という結論になるのかどうかは、わかりません。
判断が出た時点で、今後の対応については、また皆さんと意見交換をしながら進めていきたいと思います。
 
 
今日は会場からも活発に手が上がり、様々な質疑や意見が交わされました。
 
Aさん:私たちが勝った場合工事は止まるのですか?
   その場合、県が上告して、今度は私たちが債務者になるのですか?
 
弁護団:勝ったら工事は止まります。
   その後、県がどう対応するか私たちが考える必要はありません。
   考えなければならないのは負けた場合です。
   いろいろな選択肢がありますが、それは裁判所の判断を見極めた上で、
   また皆さんと相談しながら決めていきます。
 
Bさん:佐世保市民は石木ダム問題に無頓着。
   建設工事費が必ず水道料金に跳ね返ってくる。
   県や市の借金がどれくらいあるのか、
   こういうことも含めて、市民に知らしめてほしい。
 
Cさん:そのようなことは弁護団にお願いするのではなく、
   私たち自身が取り組むべきことではないでしょうか。
   10日には、「石木ダム問題を考える緊急集会」も予定されています。
 
Dさん:私は市民は無関心ではないと思います。
   先日も玉屋の前で「石木ダムって要らんよね」という会話を耳にしました。
   そういう声を私たちが拾い集めていないだけだと思います。
   私は島瀬公園あたりでチラシ配りをやりたいと思っています。
 
Eさん:いま議会では平成27年度の決算審議が行われています。
   石木ダム事業に対して、これまでにいくら投入したのか確認したら、
   120億円ということでした。これから先もこのまま進めていったら、
   維持管理費も含め、1173億円が必要になると言われています。
   必要のない事業にこれだけのお金が投入される。
   私はこの不合理さを市民に伝えていきたい。
 
 
そして、毎回遠方から駆けつけて下さる弁護団の皆さんからも力強いメッセージを頂きました。
 
 
高橋弁護士:
どんな結論が出るのかわかりませんが、
仮に、我々が負けたとしても、がっかりする事はありません。
裁判に勝利することが目的ではなく、石木ダム工事を止めることが目的です。
そのためにどんなことができるのか、それが大事です。
事業認定取消訴訟の方はまだまだ続きます。
共に頑張っていきましょう!
 

田篭弁護士:
利水でも治水でも必要のない、こんな無駄な事業が、しかも50年前からあった計画が、なぜ未だに必要だと言われているのか、本当に疑問だと思っています。
今回の仮処分で、私は44条の部分について担当させていただいたので、そこで斬られてしまったらと責任を感じていたのですが、判断が12月になるということで、そこは何とかクリアできたんではないかとホッとしています。
これからも微力ながら力を注いでいきたいと思いますので、よろしくお願いします

緒方弁護士:
無駄な事業という事は、もうはっきりしています。
長崎県民や佐世保市民の皆さんが負担するお金ってものすごい額ですよね。
必要性のないものに、どうしてそんな大きなお金を投じるのか本当に疑問です。
そういうことを一般市民の皆さんに広めていく活動が必要だと思っています。
先程のチラシ配りと言うのも1つの方法でしょうし、ブログであるとか、TwitterやFacebookであるとか、既に皆さんもやられているようですが、これをより多くの方々に見てもらうような働きかけも必要です。
我々弁護団もFacebookのページを作っているので、ぜひ見ていただければありがたいです。
いろんな人に広めていきましょう。
 

魚住弁護士:
ビラ配りをやりましょう。特に佐世保市で。
ぜひ頑張ってください。
 

板井弁護士:
長崎県と佐世保市がなぜ工事を強行しないのか?
裁判所を排除するには工事を強行したほうが有利なのに、なぜそうしないのか?
それは力関係。
石木ダム反対の世論がそれだけの力を持っているということ。
この世論をどうやって広げるか。
佐世保の世論を広げることも大事だが、それだけじゃあダメ。
川棚の世論を作っていくことも大事。
利水の問題だけやっていてもダムは止められない。
治水だけでもダムはできるんです。
これから川棚の人たちが治水の問題を真剣に考えて議論していく。
周りの市民県民がそれを後押ししていく。
そして、県と佐世保市に事業計画を諦めさせる。それが大事。
 
なるほど〜。
さすが川辺川ダムを止めた板井弁護士の言葉には説得力があります。
 
最後に地権者の岩下さんからご挨拶。

岩下さん:
今日は暑い中、大勢の方に駆けつけていただき感謝しています。
私たち地権者はみんなここにきて話を聞きたかったんです。
しかし県が、いつどんなことをやるか分からないので、
今日は、前の仮処分の時に立入禁止の処分を受けた者だけが来ています。
それ以外は現地に残って、県が来ないか見張っております。
今後もこんな状態が続くと思います。
長崎地裁の取消訴訟でも今日と同じような状態で、
地権者がみんな出てくることはできないでしょう
今後ともご協力をよろしくお願いします!
 
大きな温かい拍手と共に、今日の集会を終えました。
 
工事差止の仮処分が出されるのか否か、年末までのお預けです。
どちらになるのか、皆目わかりません。
わかったのは、やはり世論の力。
反対世論が弱ければ、行政は工事を強行できるし、裁判の結果にも影響する。
反対世論が強ければ強行できないという、ごく当たり前のことです。
 
この当たり前のことをあらためて認識したことが今日の集会の収穫でした。
この場に居合わせた人たちと、今後どう行動をおこしていけるか…
新たな課題であり、目標です。

 

川棚町で石木ダムを考える緊急集会!

今日は9月1日、防災の日。

自然災害の1つに台風や豪雨による洪水被害がありますが、

川棚川流域の洪水対策として計画されたのが石木ダムです。

しかし、石木ダムができれば本当に安心なのでしょうか?

石木ダムの治水効果はたいへん小さい、という専門家の意見もあります。

ダムよりも、堤防の嵩上げや河床掘削の方が効果的だとの声もあります。

河川整備の結果、すでに安全性は高まっているとの報告もあります。

ダムがかえって水害を大きくしたという事例もたくさんあります。

 

石木ダムはメリットよりもデメリットの方がはるかに大きい。

そのことに今こそ川棚町民自身が気づき、声をあげていこう。

そういう集会が9月10日、川棚町で開催されます。

川棚町民の皆さん、ぜひ参加してみませんか?

 

日本初のダム撤去を実現した、荒瀬ダムの「つる詳子」さん(環境カウンセラー)の貴重なお話も聞けます。

この機会をお見逃しなく!

 

県立美術館に「川原」の写真


一週間ほど前のこと、こんな招待状をいただきました。

今年のホタル祭りに初めて川原を訪れ、この美しい里と人々の暮らしをダムの底に沈めてはならない!との思いを強くしたそうです。

その思いを込めた写真を「県立美術館」に展示することが、私にとって県へのささやかな「抵抗」だともおっしゃっていました。

 

会場に着くと、若いお二人が、その写真をじーっと見つめていました。


邪魔しないよう少し遅れてゆっくり近づいていくと、お二人は、このメッセージを読んでいらしたようです。


 

黒﨑さんの眼を引いた川原の風景。


 


 

そして住民手作りの「ほたる祭り」に集い、楽しむたくさんの人々の笑顔。



 

こちらが写真を撮られた黒﨑さん。


JRP(日本リアリズム写真集団)の会員で、これまで『被爆者』『みのり園』(身障者施設)『諫早湾』などをテーマに撮影を続け、数々の賞を受賞され、県展などの審査員も。

写真展は9月4日までやっています。

お近くの方、良かったら覗いてみませんか。

 

今回の写真展は「第50回JRP長崎支部写真展」なので、黒﨑さん以外の方の写真も…

その中で印象的だったのは、松尾弘さんが撮られた古い白黒写真。


1967年の沖縄。「銃剣とブルドーザー」で土地を強制収用された住民たちの抵抗の姿。

「喜屋武 土地を守る会」の旗のもと、すっくと立っている男性の姿が川原住民と重なります。

 


白い点々はヘルメットでしょうか。人の頭です。すごい数!

沖縄ではありません。

ここは、なんと佐世保!

米海軍原子力空母エンタープライズがやって来た時の、あのエンプラ闘争の1コマだそうです。

佐世保にもこんな時代があったのですね・・

市民が、自分たちの暮らしを守るため、日本の未来を守るため、こんなにたくさん・・

 

あの頃と今とでは、何が違ってしまったのでしょう・・・ 
 

 

収用委員会、審理終了?

8月25日に開かれた県収用委員会についてのテレビニュースです。

・今回も地権者側が欠席したので、県側だけの参加だった。

・梶村会長が審理の打ち切りを示唆した。

この2点について、各局が同じように伝えていました。

ただ、「収用委員会」についての説明がビミョーに違っていました。

このNBCニュースでは、

「収用委員会の審理は、公共事業をめぐる土地の収容が妥当かどうか、事業者と地権者双方から意見を聞くために開かれる手続きです」

と解説していますが、これは明らかに間違っています。 

長崎新聞の説明のように、

収用委員会とは、「土地家屋を強制収用する際の補償金などについて審理する場なのです。

「収用が妥当かどうかを審理する」場ではありません。

 

認定庁(石木ダムの場合、国土交通省九州地方整備局)が、事業認定(これは公益性の高い、必要な事業であるとのお墨付き)を与えた時点で、あまりにも短絡的に、収用は妥当と解釈され、収用委員会で決めるのは補償額や明渡し時期などに限定されてしまいます。

土地収用法で、そのように定義されています。

 

それでも石木ダム予定地の地権者の皆さんは、誠心誠意訴えれば、収用委員会の皆さんも、事業認定そのものがおかしかったことに気付き、県に何か提言して頂けるのではないかと考え、はじめの頃は収用委員会審理に出席していました。

しかし、収用委員会は事業認定には関知しないとして、地権者の訴えには何ら耳を貸さず、あっという間に4世帯の農地の強制収用が決まってしまいました。

土地収用法という法律は、あくまでも行政のために作られた人権侵害の法であることを悟り、それ以後はもう、出席しないことにきめたのです。

そういうことがテレビニュースからは伝わってこないのが残念です。

 

ニュース後半で、「住民らは、審理が開催されれば家屋の収用につながるとして出席を拒否」と、地権者の気持ちを伝えてはいますが、冒頭の収用委員会の定義が不正確だったので、「審理が家屋の収用につながる」というのが地権者の思い込みで、客観的事実ではないように聞こえてしまいます。

これまで深い関心を持って取材してこられたNBCさんだけに残念です。

 

前回の裁決は農地だけでしたが、今回は家屋が入っています。

審理を終え、裁決されれば、生活の場である家屋が奪われるのです。

その決定に向かう審理の場に、どうして地権者の方々が参加することができるでしょう?

 

収用委員会の皆さんにも今一度考えてほしい。

委員の皆さんの仕事は、収用する土地や家屋の補償額を決めることですが、その審理には、起業者と所有者双方から意見を聞かなければなりません。

しかし、所有者=地権者は出てこない。

そこで、欠席するのは地権者の勝手だからと、県側の言い分だけを聞いて裁決するのでしょうか?

そうすれば簡単かもしれませんが、あまりにも責任重大です。

今回、4世帯の家屋や宅地まで収用裁決してしまったら、残り9世帯についても同様の裁決をしなければならなくなります。

つまり、13家族54人の暮らしを委員の皆さんがが破壊することになります。

死刑宣告のようなものです。

そのような責任が負えるでしょうか?

 

できないものはできないと言ってほしい。

「双方の意見を聞かなければ補償額は決められない」と。

なぜ地権者はでてこないのか?

それは事業認定に納得していないから。

その取り消しを求めて裁判まで起こしている。

もしも事業認定が間違っていたということになれば、

強制収用などやってはいけないこととなる。

収用すべきでない土地の補償額を決め、その結果強制収用や行政代執行がおこなわれたら、取り返しのつかないことになる。

だからせめて、裁判の結論が出るまで、この審理は延期すべきである。

「審理終了」ではなく「審理延期」あるいは「審理中断」・・・ 

というような意見が、次回収用委員会で出されることを、密かに、

そして心から、願っています。

八ツ場ダム事業費720億円増額

今月12日、国土交通省関東地方整備局は、

「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」の変更について

記者発表しました。

何が変更になったかというと、事業費です。

これまでの約4,600億円が、約5,320億円に見直されました。

つまり、720億円の増額です。

八ツ場ダムの場合、事業費の増額は3回目のようです。

1986年の基本計画策定時には、事業費は約 2,110 億円でしたが、

2004年に約 4,600 億円に倍増され、

今回の変更約5,320億円で、当初の約2.5倍の金額になりました。 

8月12日付の日経新聞には「計画のずさんさが改めて浮き彫りになった」と書かれています

 

それにしても、720億円!

石木ダムが2つ半も造れる金額です。

なんでそんなに増額するの?と思いきや、

「変更に至った理由」として、このように書かれていました。

事業が終盤を迎え、基礎掘削が概ね完了したことにより、事業の詳細な内容が概ね確 定したことから、コストの精査を行いました。 コスト縮減の工夫をしてもなお、前回計画変更以降の状況変化により、基本計画に定 める「建設に要する費用の概算額」(事業費)を変更する必要が生じたため、今般、基 本計画の変更を行うものです。

要するに、これまで示していたのは概算額であり、

コストを精査してみたら、誤算でしたーってこと。

で、その主な要因は、

地滑りなど安全対策(141億円)

地質条件の明確化等による変更(202億円)

公共工事単価の変化(233億円)

と書かれていますが、

②については、要は、地質を見誤っていたということでしょう。

そして、①も②も、地元をよく知る市民から強い懸念が示され、ここはダムの適地ではないと指摘されていたにも拘わらず国は工事を強行し、その結果、対策費が加算されていったのでしょう。

国交省は自分たちの認識不足、見込み違いによる誤算のツケを平気で国民に押し付けるんですね〜

これからもっと増えるかもしれません。

③の工事単価の変化というのは、

建設資材や人件費の高騰、そして消費税の増税などのことで、

これは八ッ場ダムに限ったことではなく、当然石木ダムにもあてはまること

 

なのに、長崎県は全く工事費の変更については口にしません。

なぜ?

長崎県だけは資材が安く購入できる?人件費も以前のままで大丈夫?

そんなわけはありませんよね。

今はただ口にしないだけ。

公表の時期を選んでいるのでしょう。

おそらく、工事がある程度進んでからおもむろに…

ここまでやったらもう後戻りはできないな〜

と県民が感じてくれる時期を測って発表するのでしょう。

 

今回の八ッ場ダムのケースを、少しでも多くの長崎県民に伝えたいですね。

 

茶色のダム湖〜二風谷ダム

この写真を見て、一瞬、大雨による被害?と思ってしまいました。

どこかの堤防が決壊して、田畑が冠水してしまったのか、

あるいは、その畑の水が泥水となって川に戻ってきたところなのか…とか。

 

でも、違いました。

これはダムです。

洪水時でもなんでもない通常のダムです。

青色でも緑色でもない茶色のダム湖。

北海道にある二風谷ダムといいます。

アイヌの人々の暮らしと文化を犠牲にして造られたダムです。

 

そして、このダムは、完成後たった5年で堆砂容量を超える土砂でいっぱいになったそうです。

これ以上、土砂を溜め込まないよう、その上流に新たに平取ダムの建設を進めています。

そのダムができても、やがてそのダムも土砂でいっぱいになるでしょう。

大地も水も封じ込めようとする人間の傲慢さ。

 

今や清流「沙流川」は、泥の川となってしまいました。

もちろん魚業への被害も甚大です。

詳細はこちらをごらんください。

http://protectingecology.org/report/6462

 

二風谷ダムが完成したのは1997年。

10年後の2007年には1268万?の土砂が堆積してしまったそうです。

それは国交省の試算では230年で堆積するといわれていた量です。

 

国の予測や判断なんて、そんなものかもしれません。

石木ダムの治水効果や利水の必要性だって、全くいい加減なものなのに、

国交省は2013年、事業認定というお墨付きを与えてしまいました。

それを錦の御旗として、見直しもせず、ダム建設を強行しようとしている長崎県と佐世保市。

そして、住民の家も田んぼも生活も文化も、みんな水の底に沈めてしまおうとしています。

 

石木ダムの事業認定は取り消されるべきです。

国は恥を知るべきです。

自分たちの判断が間違っていないと言うのなら、

あんなに無惨な姿になってしまった沙流川を、まず清流に戻してください!

 

 

山本太郎議員視察の記事

今日の長崎新聞です。

昨日8月9日は長崎県内のメディアにとっては特別な日。

新聞記者の皆さんは原爆関連の取材で大忙し。

こうばるにやってくる余裕はありませんでした。

唯一、長崎新聞の記者さんだけが、太郎さんの言動をしっかり見つめていました。

さすが地元紙!

おかげでスクラップ帳に残すことができました。

 

山本太郎参議院議員、こうばるへ!

今日の最高気温は36度。

猛暑日の昼下がり、こうばるの皆さんは大きな木の木陰に椅子を並べて、この方を待っていました。

この方とは、参議院議員の山本太郎さんです。

案内してくれた末次さんと一緒に、真剣な表情で岩下さんの話を聞いていました。

石木ダムは必要性の無いダムであること、

住民の合意無しには造らないとの覚書を交わしたのに、それを無視して進めていること、

私たち反対住民の土地に対する強制収用が始まっていること、

収用された土地の補償金も受け取っていないのに税金がかけられていること、

等々の話に驚く太郎さん。

他の地権者の皆さんからも訴えかけました。

強制収用されても私たちが動かなければ行政代執行をかけるしかない。

そこまで県はするのか。

一番良い解決方法は、事業認定を国が取り下げること。

長崎県は土建行政をやってきた。国交省や関係する国会議員との結びつきが強い。

知事の一存では動かせないのだろう。

国を動かせる政治家の力を借りたい。

長崎県の無茶苦茶な流れを止めるには「天の声」しかない。

私たちも頑張るが、国交省を動かす政治家の力が欲しい。

そういう声があちこちから上がってきたところで、残念ながらタイムリミットとなりました。

太郎さんは末次さんに促され、席を立ち、

「ダムのことは不勉強なので、これから勉強させてもらいます」と言って、

次の会場の佐世保に向かいました。

 

中途半端に終わって、地権者の皆さんには大変申し訳なかったのですが、

でも、太郎さんも末次さんも本当にタイトなスケジュールの中、こうばるに足を運んで下さいました。

これ以上の時間オーバーはできませんでした。

今日の訪問がきっかけとなって、いつか本格的にこうばるを訪ねてくださることを切に願っています。

 

さて、アルカスSASEBOのイベントホールは、ほぼ満席。

政治セミナーというと男性が多いのかと思っていたら、

けっこう若い女性が多くて意外でした。

山本太郎さんの話が聞けるからか、

それとも主催者の末次精一さんの後援会は、若い女性が多いのか・・・?

 

その末次さんの開会の挨拶では、

この国をおかしくしているのは既得権益。

わずか1%の人々の利益を守るために国が動いている。

既得権益を是正していかねばならない。そのために私は闘い続けます…と。

いよいよ太郎さん、登場です。

長崎への思い、オバマ大統領の広島訪問について、安保法制について等々幅広くいろんなお話をされました。

その後の質問コーナーで、なぜ芸能人を止めて政治の世界に入ったのか?と問われると…

 きっかけは、あの原発事故です。

僕はわりと環境問題には関心があったので、事故の10年程前から、

サイト上で原発の危険性はある程度知っていた。

でも、その危険性をカバーする技術力があってやっているのだと思っていた。

よく5重の壁とか言いますよね。そういう説明を信じていた。

でも、2011年、事故が起きた。ヤバイと思った。

時々デモに行ったけど、カメラを見つけると顔を背けて映らないようにしていた。

芸能人だから。仕事がなくなると思ったから。

しかし、5月、文科省が子どもの被ばく限度を、年間1mmシーベルトから20mmシーベルトに変えた。

チェルノブイリでは、今でも年間5mmシーベルトで避難区域になっているのに…。

その時、ほんとにヤバイと思った。

もう隠れるのは止めて、前に出ようと思った。

そしてカメラの前に出るようになったら、ほんとに仕事がなくなった。

と語り、その結果に満足しているように感じられました。

 

石木ダムの話が全く出なかったのは残念ですが、

ダムのこと何も知らないとおっしゃる太郎さんにその話を求めるのは酷ですし、

生半可な知識で政策を語るような方でないってことがよくわかりました。

 

原発問題同様に、ご自身が気付き、学び、本当に実感された時には、

きっと強く、発信されることでしょう。 

 

今気づいたのですが、早速ツイッターで発信されていました。

 https://twitter.com/yamamototaro0/status/762961492580806656

 

 

写真展「石木川のほとりにて」、コクラヤにて

長崎市にある「ギャラリーコクラヤ」にて開催中の写真展「石木川のほとりにて」に、お邪魔しました。

ずいぶん暗いイメージですが、これは私のカメラのせいです。

カメラを忘れたので携帯のカメラで撮ったら、この酷さ・・・。

コクラヤさん、すみません。

奥の方ではビデオ映像も流されていました。

こうばる住民のK子さんや、パタゴニア福岡のTさんとも予期せず会えて、

話に花が咲き・・・

村山カメラマンと記念撮影。

その後もこうばる住民が次々にやってきました。

それもそのはず、今日は日曜日ですから。

こうばるの皆さんは平日は阻止行動をやってるし、

昨日は地元のイベントだったし、

写真展の期間中、来れるのは、この日しかなかったのです。

村山さんの写真ですっかり人気者になったエイジ君の一家もやってきました。

エイジ君、サオちゃん、そして生まれたばかりの妹ナツキちゃんのスリーショットも大好評の写真でした。

その写真の前で、またパチリ。

そして、後ろの写真を見て、カメラマンは指示を出します。

「サオちゃん、ナツキちゃんをだっこして」

言われた通りだっこしようとしたら、ナツキちゃんは大泣き。

お母さんから離れたくなかったのか、サオちゃんのだっこが不安だったのか?

一年前、サオちゃんの腕の中で、あんなに小さかったナツキちゃんが、

こんなに大きくなって・・・

早いものですね。

これからも、この可愛い三きょうだいが、

自然豊かなこうばるで、すくすくと育ってくれますように!

 

村山カメラマンもそれを見届けたくて、きっと、君たちがおとなになるまで、

君たちの追っかけをやるだろうな〜

覚悟してたほうがいいよ〜