6.30講演会で納得!石木ダムは無用の長物

6月30日は朝から雨。弱まったり強まったり・・・前日は列車に運休が出るほどの大雨だったので心配しましたが、予報通り午後になると雨は止み、ほっ。💛

満席とはなりませんでしたが、会場には沢山の方が…(^^)



会場は佐世保市民文化ホール。
旧佐世保鎮守府凱旋記念館で、国の文化財に登録されているクラシックな建物です。

https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/62615/

というわけで、椅子並べや上映機器の準備がたいへんでした。300席の椅子を並べるために早くから集まって下さったサポーターの皆様、本当にありがとうございました!

さて、今回の講演会は、このタイトルが示すように、



石木ダム訴訟の判決はどうなるのかな~

原告(地元住民など)が勝ったら、石木ダムは中止になるの?

それとも負けたら、石木ダムは建設されるの?

いやいや、裁判で全てが決まるわけではない。

公共事業はみんなのためにやるのだから、

みんなが、それぞれ考えなくっちゃ!

石木ダム、どうする?造るの?造らないの?

決めるのは私たち。決めるのはあなた。一緒に考えよう~

そのための講演会でした。

今回お招きした講師は、ダム問題の専門家であり、石木ダムの専門家と言っても過言ではないお二人です。

まず初めに登壇されたのは、今本博健先生。
河川工学と防災工学がご専門。京都大学防災研究所の所長も務められた方で、治水の基本は人命を守り壊滅的な被害を避けることだとおっしゃっています。



実は、今本先生はもともとは土木・河川工学のスペシャリストとしてダムを造る側にいた方です。ところがダムを知り尽くしてみると、ダムには様々な欠点(想定以上の洪水は防げない、住民を危険に晒す、自然環境を破壊する、地域社会を分断する、土砂をせき止め地形や生態系のバランスを崩す等々)があるのに気づき、立場を180度変えてしまった勇気ある学者です。

もちろん、すべてのダムを否定するつもりはない。過去には必要なダムもあった。しかし、これ以上新たなダムは必要ない。その1つが、いや、最たるものが石木ダムだと断言されています。



今本先生の講演内容はこちらです。

180630佐世保講演会(治水)

専門的な用語やグラフが多くて、難しいな~と感じた方も多かったことでしょう。でも、これだけは理解できたのではないでしょうか?

治水対策はダムだけじゃない、全部で8つの対策案があったんだってこと。

県は「そのどれも、石木ダムよりお金がかかる。石木ダムが一番安くできる。いわゆる費用対効果が高い」と言った。ところが、そのデータがおかしい。

ダム案の経費は必要以上に低く抑え、ダム案以外の経費は必要以上に高く設定していた。

残念ながらそれはよくある話で、その例として鳥取県の中部ダムの場合が紹介されました。



当時の片山知事が職員に見直しを命じたところ、それまでは河川改修より安かったダム案が、見直し後は河川改修の3倍近いコストがかかることが判明したそうです。それで、無駄なダムの建設は回避でき、税金の無駄遣いを減らすことができたというわけ。

長崎県の知事も、このような賢明な方であればいいのですが・・・

そして、今本先生が一番伝えたかったのは、こちらでしょう。



なぜ「石木ダムがつくられれば、川棚町民が洪水に怯え続ける」のか?

ダムは想定内の洪水にしか対応できません。100年に1回の大雨が降ったら川棚川の下流にはこのくらいの水量が流れ込むと予測し、それが溢れないよう堰き止めて流量を調節しようとするのがダム計画。

でも、計画以上の雨が降ったら?ダムは破堤する前に放流します。
すると、大雨でいっぱいいっぱいの川に、どどーっと大量の水が流れ込み、堤防の決壊や人災に繋がります。
ダムが無ければ、流量は徐々に増えるので、避難する時間もあるのですが。

 

では、なぜ「石木ダムがつくられれば、佐世保市民が困窮する」のでしょう?

それは、嶋津氏の講演で明らかとなりました。



嶋津氏の講演内容はこちらです。

 

講演のタイトルは「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物


なんと大胆で、そして、わかりやすいタイトル!


配布資料:http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2018/07/ccfbd37d2a349bf49c35de9158767947.pdf

スライド:http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2018/07/89d535239715c3aaca07660fb9c09c95.pdf

スライドには目次もついています。

Ⅰ 縮小社会の進行で水余りが進む時代

Ⅱ 佐世保の水需給計画の虚構

Ⅲ 過去の渇水が再来したらどうなるのか

Ⅳ 既設ダムの老朽化への対策に石木ダムは必要か

Ⅴ 佐世保市民は石木ダムのためにいくら負担するのか

以上、論点が一目瞭然なので、それぞれが知りたかったところだけを読んで頂くことができます。もちろん、全部大事なことだらけですが。

今本先生ご指摘の「石木ダムは佐世保市民を困窮させる」とは、Ⅴの「佐世保市民は石木ダムのためにいくら負担するのか」を見れば明らかです。

スライド58以降に詳しく解説されていますので、是非開いていただきたいのですが、簡単にまとめると、

佐世保市の負担額は、

ダム建設負担金+関連水道施設整備費―国庫補助金=299億円

その財源の大半は地方債で賄い、その利息=40億円

合計=339億円 (A)

それを佐世保市の現世帯数で割ると1世帯あたり=32万円にもなるそうです。

しかも、それだけじゃない。

完成後50年間の石木ダム維持管理費+施設更新費負担分=3億円

完成後50年間の水道施設の維持管理費+施設更新費=291億円

合計=294億円 (B)

A+B=633億円

つまり私たち佐世保市民は633億円ものお金を石木ダム事業に注ぎ込むこととなり、世帯数で割ると約60万円だそうです。

ダムができて50年後というと、私などとっくにこの世にはいないので、
やはり子や孫の世代にその負担を押し付けることになります。

平成28年度決算時点ですでに122億6千万円支出済みとのことでしたが、
まだこれから520億円ほど支払いが残っているわけです。

いま石木ダム計画を止めれば、520億円もの無駄遣いが防げます。

そのお金で漏水対策に力を入れれば、水を無駄にすることも減るし、
漏水事故による断水も防げます。

それでも石木ダム造りますか?

 

続いて、石木ダム対策弁護団団長の馬奈木昭雄弁護士から「今後のたたかいの展望」と題してのお話がありました。



両講師の話を聞きながら、私はワイツゼッカーが東西ドイツ統一の時に言った言葉を思い出していた。

嘘無しではやっていけない政治体制の中では、書類もまた嘘をつく

中央官庁をはじめとして今の日本全体が陥っている姿だが、長崎県と佐世保市も同じだ。

50年間弁護士をやってきたが、これほどでたらめな資料を使ってでたらめなことをやろうとしている事業はない。裁判の中で我々はそれを明らかにしてきた。だから100%勝てる!と言いたいが、残念ながら、そうは言い切れない。

どれだけ筋の通ったことを言っても、国の方針通りにやろうとする裁判官は多い。裁判所が国と一体化している。それは諫早湾干拓の裁判結果を見れば明らか。

その結果を出した同じ長崎地裁で石木ダムの裁判もやっている。
仮に勝てたとしても、その判決に県が従うだろうか?

自分の運命を他人(裁判官)に委ねるわけにはいかない。自分の運命は自分で決める。それを身をもって示してきたのがこうばるの皆さんの闘いである。

日本国憲法の基本原則は、国民主権。
地域のことは地域で決める。地域住民の合意形成が必要。

合意の前提は正しいデータである。
正しいデータを示し、住民が判断する。それがあるべき姿。

石木ダムは要らないという合意を作ろうではありませんか。

 

最後に、原告団を代表して、また地元住民を代表して、岩下和雄さんからご挨拶がありました。



石木ダムは計画から50年近く経っている。なぜ私たちが反対してきたか。

当時佐世保市は、「現在は9万6千トンの水を使っているが、将来は16万トンの水が必要になる。それには石木ダムを造るしかない」と言っていた。

私たちはそんなに増えることが信じられず、県に対し話し合いを求めてきたが、県はそれに応じず計画を進めてきた。

今では当初の予測の半分も使っていない。この必要のないダムのために、私たちの家や自然豊かな地域を湖底に沈めることは許されない。

一昨年こうばるにやってきた佐世保市長は「佐世保市民の豊かな生活のために有り余る水を確保する必要がある。だから石木ダムが必要なのだ」と言った。

我々の生活圏を奪ってまで佐世保市民は石木ダムを望んでいるのか?

今ある水を上手に使って、生活できるのでは?

多額の借金をしてまでダムを造る必要はないのでは?

私たちはたとえ裁判に負けてもそこに住み続ける。

ふる里を守っていく。

佐世保市民、県民の皆さんと共に、石木ダムが必要なのか?と問い続けて行きたい。

 

以上、講演会の全容をお伝えしました。

参加する機会のなかった方にも是非その内容を知ってほしかったからです。

特に佐世保市民の皆さん、嶋津氏の講演資料をクリックして目を通してみてください。

佐世保市の説明とのギャップに驚かれたことでしょう。

佐世保市は広報でこれからも石木ダムが必要だと主張し続けるでしょう。

それを見た時、この資料を思い出してください。

そして、両方の主張を理解した上で、あなたご自身で考えてみてください。

 

わからないことがあれば、このブログにコメントをください。

嶋津氏に伝え、お返事を頂きます。

 

さあ、地域のことは地域で決めましょう~

長崎県のダム建設は、長崎県民で考えましょう。

正しいデータを使って!

 

 

公共事業チェック議員の会、石木ダムサイトを視察

10月23日、「公共事業チェック議員の会」の議員2人が石木ダムの視察にやってきました。

同会は1994年、「公共事業チェック機構を実現する議員の会」として発足。

与野党から幅広く国会議員が集まり、チェック機構の立法化に向けた研究を行っていたが、

その後、個別の公共事業に対するチェックへと活動の軸足を移していき、名称を現在のものに改める。

以後は構成員も野党議員ばかりになっていった。

同会で活躍した議員としては中村敦夫、鳩山由紀夫、保坂展人などが有名。

2011年佐世保で開催した「石木ダムは要らない!全国集会」には、同会から会長と事務局長が出席。

 

今回は事務局長の初鹿議員(維新の党)と真島議員(共産党)の2人。

まず初めに石木ダム建設事務所で起業者側の説明を受け、その際、新聞によると、佐世保の水需要の予測の過大さを指摘し、やり直すべきとおっしゃったようです。

 

午後からは現地視察。まず初めに高台にある代替墓地からダムサイトを見下ろしながら河川課の浦瀬企画監が説明。

その後も水没予定地を回りながら、地図と現場との確認説明がおこなわれました。

 

2時半頃からは、地権者を代表して岩下さんが現場を案内。

小さな小さな石木川そのものを見て頂こうと川岸までやってきて説明していたら、

初鹿議員が何かを見つけ指さしています。

真島議員が、え?どこどこ?お!すごいなー!と。

離れていた私には何がすごいのか聞こえませんでしたが、たくさんの魚が泳いでいたのでしょうか?

珍しい魚がいたのでしょうか?それとも・・・?

いずれにしても川底が見える澄んだ流れだからこそ発見できたということですね。

私の目の前には、大きなサワガニがゆるゆると泳いでいきましたが・・・

 

その後、川原公民館に場所を移し、地権者の方や支援者の方の話をじっくり聞いていただきました。

地権者の方からは、石木川は一度も氾濫したことがない。

川棚川の洪水対策としても効果は少なくコストがかかりすぎる。

ほんの少しの予算でできる堤防補強などを実施する方がよほど効率的。

こんな無駄なダムのために強制収用が始まっている。私たちを助けてほしい!

 

佐世保の支援者からは、

9月以降日照りが続いているが、昨日の佐世保のダムの貯水率は97%だった。水は足りている。

生活用水が極端に少ないのは井戸水などを活用しているから。

どうしても代替案が必要なら、佐々川の活用こそベスト。

佐々川に張り付いている水利権は遊休水利権ばかりだし、取水設備も導水管も既にあるので新たなコストはかからない。

県が水利権を認めるだけでできること。それをしないのは、石木ダムを造りたいから。

 

両議員は、

皆さん大変よく勉強されている。参考になった。

今日お聞きしたことを国にも伝えたい、補助金を出すにはしっかりした需要予測などが必要である。

また、強制的に事業を進めることはあってはならないとも。

 

お二人や同会の今後の活動に期待したいなぁ〜

 

たった5分で何が言える? 何がわかる?

 国土交通省九州地方整備局は15日、本明川ダムの検証結果(ダム案「有利」)について、

諫早市民に説明し、意見を聞きました。

5人の市民の意見は賛否が割れたようですが、驚いたのは、その時間です。

1人の発表時間をなんと、約5分に制限していた!そうです。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/369665

 

このニュースを見て、唖然としました。

5分で何が語れるでしょう?

なぜ反対なのか、なぜ賛成なのか、その理由がたった5分で言い尽くせますか?

九地整の方々は、たった5分の陳述を聴いて、その胸の内を理解できますか?

エリートであるお役人は、一を聞いて十を知る能力の持ち主だと自信をお持ちなのでしょうか?

 

何のための「説明会&意見を聴く会」だったのでしょう。

ただ形だけ。

アリバイ作りをしただけ。

本当に住民にわかってもらおう、理解してもらおう、なんてこれっぽっちも思っていない…

ってことがよくわかりました。

形だけを整えればそれでいい。

市民の思いなんてどうでもいい。

造ると決めたら造るんだ。

そうだったんですね、やっぱり…

 

八ツ場ダムについてこんな記事がありました(http://blogos.com/article/64312/)が、

納得です。

 

本来必要のないところに堤高131メートル、幅336メートルのコンクリートの壁がそびえ立ち、自然や遺跡など文化遺産も豊かな吾妻渓谷がダム湖の底に沈む時、総額で5000億円超の税金が浪費され、とてつもない生態系の破壊が起きる。しかし、それがわかっていても、八ッ場ダムの工事は今また再開されようとしている

しかし、それにしてもなぜ日本の公共事業は、その正当性や妥当性を失った後も、止まらないのだろうか。

国策だの国家意思だのと言われるが、それは一体誰が決めているものなのか。

ダムのような大規模公共事業の計画を立てるのは霞ヶ関の中央官僚だ。

彼らは霞ヶ関の役所の中で鉛筆を舐めながら、日本全体の水需要などを計算して、彼らなりに良かれと思った事業を提案する。そして国が持つあらゆる手段を使って、それを実現しようとする。

それを実現することが彼らの仕事であり、そしてまたそれが日本の国益に適っていると彼らは考える。

そして、国は政治学者ホッブスが怪物リバイアサンに喩えるほど強大な権力を持つ。

それが駆使されれば、どんなに地元の反対があろうが、どんなに馬鹿げた事業であろうが、最後は押し切られることは必至だ。そしてそれは誰にとっても不幸なことでもある。

 

(青字編集は私です)

 

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河川ムラってこんなところ〜知る権利を奪った「有識者会議」

昨夜、「八ツ場あしたの会」のKさんから久しぶりのメール。

なんと、昨年の、あの有識者会議のドキュメント映像がやっと完成したとのお知らせ!

 

2月22日と4月26日、2回にわたって、国交省で繰り広げられた実録。

国民の知る権利を踏みにじり、

国民の訴えに耳を貸そうともせず、

国民をシャットアウトして、陰でこそこそと御用学者が話し合う・・

それが「有識者会議」ってヤツか・・というのがよくわかる録画です。

 

その河川ムラの住人による人間バリケードに向かって訴える川原の人たちの言葉が

心に沁みます。

時には怒りをぶつけ、時には語りかけるように・・・

どうか、最後まで、しっかりとご覧になってください。

 

 

水源連の皆様、八ツ場ダム関係の皆様、ありがとうございました

 

ダム事務所長さんからのお手紙

8月1日、私たち(石木ダム建設用地の一部の共有地権者)宛に、

石木ダム建設事務所所長の名前で簡易書留が届きました。

何事か!?

と、開封してみると‥

 

 

は?

「石木ダム事業について」というタイトルも漠然として内容不明ですが、

中身を読んでも、やはり不明でした。

わざわざ書留料金を使って送られたからには、

よほど大事なこと、伝えたいことが書かれているのだろうと

少しドキドキして開いたのに、肩透かしを食った感じです。

暑さのせいで、頭の回転が鈍っているのかも‥ともう一度読み返しましたが…やはり不明。

 

いえ、全くわからないわけではありません。

確かに、国から届いた通知(石木ダムに関する補助金交付を継続する)についてのお知らせ

ということはわかります。

補助金を継続するということは、石木ダム事業の継続を認めるということですから、

関係者である私たちに、その結果を伝えようとなさった…という点はわかります。

 

しかし、そのような事務的な通知であるなら、なぜ正確に伝えて頂けなかったのか?

国は「補助金交付を継続」すると通知したけれど、そこには、

「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」

との付帯意見があったのに、それについては全く書かれていない。

それは何故?

 

都合の悪いところは触れずに、「石木ダムの必要性に対して」国が「客観的な判断」をして、

認めてくれたのだから、あなたたちの負けですよ、諦めなさい、

と言いたかったのでしょうか?

 

「石木ダムの必要性と、事業に必要な土地について、ご理解を賜りますよう…お願い申し上げます」

とあるけれど、どう理解すればいいのでしょう?

土地を早く売る気になってくださいと言いたいのなら、なぜそのように書かないのでしょう?

 

そして、「ダムの建設は、先祖から受け継がれた自然豊かな土地や長年住み贋れた古里を失うことなど、心の痛みや苦しみ、悲しみが伴うものであり、このような地権者の皆様の思いがあることを肝に銘じ、決しておろそかにしてはならないと考えております」

と本気で思っているのなら、

そのように「心の痛みや苦しみ、悲しみ」を県民に与えることは中止すればいいではありませんか?

でも、そうはしない。

ということは、本気で思っちゃいない…ということ。

 

本気で思っていないのに、何故そんなことをわざわざ言ってきたのか?

それこそ、国の付帯意見に対して、こんなに努力していますよ、

というデモンストレーションにほかならない…

そんなことのために、決して安くない送料を使ったんですね〜

 

誠心誠意という言葉が聞いて呆れます。

そんな安直な考えだから、いつまでたっても地元地権者の皆さんとの話し合いができないんですよ。

 

この書留を受け取った友人たちから、

「こんなものがきたけど、何が言いたいのか意味がよくわからない、ほっといていいの?」

と質問メールが殺到しています。

 

理解して欲しいなら、奥歯に物が挟まったような物言いはせずに、

私たちが理解できるまで、何度でも、ダムの必要性を説いてください。

憲法で認められている財産権を奪うわけですから、それはとても当然で大事なことではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

国の方針は、石木ダム継続、でも・・・

今日、ついに国の方針が発表されました。

石木ダム事業に関する国土交通省の対応方針は、「継続」(補助金交付を継続)であると。

その理由は、

今後の治水対策のあり方に関する有識者会議のご意見を踏まえ、検討内容は、基本的に、

「中間とりまとめ」(※1)の共通的な考え方に沿って検討されていると認められる。

目的別の総合評価の結果が、全ての目的で現計画案(石木ダム案)が優位であり、

総合的な評価として、現計画案(石木ダム案)が優位としている検討主体の対応方針

「継続」は妥当であると考えられる。

 

99%予想通りの結果です。

驚きはありません。

ダム検証が始まって一年半、これまで県から国に報告された補助ダムの検討結果は、

100%追認ですから。

やっぱりね〜

で終わるところだったのですが・・・

 

 石木ダムについてはあわせて長崎県に「石木ダムに関しては、

事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解

が得られるよう努力することを希望する」旨を通知します。

 

との一文が付いているではありませんか!

これは重大です。

県には重く重く、受け止めてほしいです。

 

理解を得る努力なしに道路工事再開なんて考えないでくださいね。

 

理解を得るために県も佐世保市も努力してきたとおっしゃるでしょう。

これ以上どんな努力をすればいいのかと、お思いかもしれませんが、

それは簡単なことです。

事業認定申請は取り下げればいいのです。

 

理解し合うには話し合いが必要です。

地権者は、事業認定申請を取り下げれば話し合うと言っています。

「強制収用など考えていない、公聴会の場で意見を述べればいいではないか」

と、あなた方がいくら言っても、何度も県に騙されてきた地権者には通用しません。

 

信頼を取り戻して、本当に腹を割って話し合う努力をしてください。

それには、懐に隠し持っているナイフを捨てて、素手で向かい合うことしかありません。

 

 

 

 

水源連、国交省へ要請書提出

今日の西日本新聞の小さな記事です。

昨日、「水源開発問題全国連絡会」が国に石木ダムについて要請書を提出したと伝えています。

どんな要請書なのでしょう。

 

その原文のコピーはこちらです。

是非全文を読んで頂ければ・・・と思います。

なぜ国の方針を保留せよと言っているのか、きっと理解して頂けるでしょう。

 

                                          2012年5月16日

国土交通大臣 前田武志 様

水源開発問題全国連絡会

 共同代表  嶋津暉之

 共同代表  遠藤保男

   (連絡先省略)

 

                 有識者会議の全面公開と

      石木ダムについて継続の方針を出さないことを求める要請書

 

 去る4月26日の「第22回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は私たちの

傍聴希望を国交省職員による厚い人壁で妨害するという信じがたい状況の中で開催さ

れました。職員の壁で守られた中で開催された有識者会議は、長崎県の石木ダム、岐

阜県の内ヶ谷ダム、大阪府の安威川ダム等について、「事業者からの報告について、

「中間とりまとめ」に即した検証検討が行われているのと認める。」「石木ダムに関しては、

事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力する

ことを希望する。」(議事要旨)との審議結果をまとめました。この審議結果に基づき、国

土交通大臣がそれらのダムについて対応方針を近々決定することになっています。

 

 しかし、第22回有識者会議の審議結果は有効と言えるのでしょうか。

 有識者会議では何よりもまず、石木ダム、内ヶ谷ダム、安威川ダムについてダム建設

の必要性が治水面および利水面で本当にあるのかが徹底的に審議されなければなり

ません。ところが、有識者会議では必要性についての審議は皆無に近く、「ダムによら

ない治水のあり方」を追及するという有識者会議の設置目的は消滅してしまいました。

 有識者会議の審議は、「中間とりまとめ」に即して検証が行われているかを見るだけ

です。ところが、今回の石木ダムの審議ではその唯一の判断基準も危うくしてしまいま

した。

 当日の会議ではS委員がこのことを重視し、「石木ダムについて、評価軸『実現性』の

「土地所有者等の協力の見通しはどうか」について記載されておらず、『中間とりまとめ』

に沿っていないのではないか。」、「石木ダムについて、平成28年に完成という工程が

示されているが、実現性を踏まえているか疑問だ。」と述べ、長崎県の石木ダム検証報

告は上記の判断基準をみたしていないことを明確に指摘しました。これに対して、座長

は「今まで、全国のダムを検証してきたが、共通の考え方が整ったものばかりではなか

ったと思う。」と述べ、その唯一の判断基準をも否定してしまいした。このように判断基準

さえもあいまいにしてしまう有識者会議の審議に何の意味があるのでしょうか。

 

 S委員の上記の意見は石木ダムの是非を判断する上で最重要項目であることを会議

で否定することができなかったからこそ、有識者会議の意見として上述の「地域の方々

の理解が得られるよう努力することを希望する。」が付帯されました。国土交通大臣には

この付帯意見とその意味を最重視して判断することが求められています。

 

 石木ダムは事業者の長崎県が土地収用の事業認定を九州地方整備局に申請しており、

有識者会議がダム推進の検証報告を追認して国土交通大臣がそれに沿った方針を決定

すれば、九州地方整備局はそれを受けて事業認定処分を行い、反対地権者には強制収

用がかけられることになります。だからこそ、地権者は故郷を奪われることにつながる有識

者会議の審議の行方を見守りたいと、必死の思いで傍聴を求めたのですが、国土交通省

および有識者会議は強権を持ってその願いを踏みにじりました。

 

 以上のことを踏まえ、国土交通大臣として下記の判断をされることを要請いたします。

       

                          要請事項

1 第22回有識者会議の付帯意見を踏まえ、石木ダムについては少なくとも「地元の方々

  の同意が得られるまで国土交通省の方針を保留する」という対応方針を示すこと。

2 事業認定申請取り下げを長崎県へ勧告するよう、九州地方整備局に指示すること。

3 有識者会議の設置者として、同会議を全面公開するように、同会議の規約の改正を指

  示すること。

4 この件について私たち(石木ダム建設絶対反対同盟、及び水源連)が政務三役に要請す

  る場を設定すること。

                                                        以上

 

第22回有識者会議の中身

国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」、

名前が長ったらしいので、以前は通称「有識者会議」でしたが、

最近はこの会議に関心を持っている市民の間では「無識者会議」と呼ばれています。

 

京都大学名誉教授の中川座長をはじめ、8名の委員の方々は、

いずれも大学の教授や名誉教授など、まさに「有識者」の代表のような方々なのですが・・・

語られているその中身を聴けば、信じられないような内容で・・

 

もちろん、私は直接聴いていません。

私たち一般市民は聴けません。

なぜか非公開だから。

どんなに関係者がお願いしても、

心ある科学者集団が公開を求めても、

頑なに、ひたすら頑なに、非公開を貫いている会議です。

 

ただ、報道関係者にだけは公開にしています。

そして、それは大手マスコミだけでなくフリージャーナリストにも許可しているのでいいじゃないか、

と多数の委員諸氏はお考えのようで(約1名異論を唱える方もいますが)、

国交大臣は委員会の自主的運営を重んじているので…と言い訳をしています。

 

しかし、そのフリージャーナリストの中に、真のジャーナリストがいて、

私たちの知る権利を補ってくれています。

そのブログがこちら、政策エッセイ「晴れの日は楽しく、雨の日は静かに」です。

そして、このページに、その会議の内容が書かれています。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-bf85.html

よかったら覗いてみてください。

これじゃあ公開できないのもわかるな〜と、ため息のでるようなものでした。

 

座長によると、

有識者会議の役割は、ダムの是非を問うことではない、

「中間とりまとめ」にそって検討されたかどうかを検証することだという。

 

そこで、石木ダムですが、その「中間とりまとめ」に示された「実現性の見通し」が超いい加減で、

これでは合格点はあげられないと、鈴木委員がまともな意見を言うのですが、

なぜか他の委員さんにはその常識が通用しない。

 

座長にいたっては、今までのケースも「整ったものばかりではなかった」とポロリ。

つまり、これまでも「中間とりまとめ」に則ったとはいえない不完全な検討結果もあったじゃないか

それでも我々はそれを良しとして認めてきたじゃないですか

だから石木ダムの検討結果も問題ありだけど、このくらい目をつぶりましょうよ

という意味のようです。

 

あきれてしまいます。

このようないい加減な会議のために、貴重な税金を使われているのかと思うと、

怒り心頭です。

 

そして、このブログの最後には、こう書かれていました。

本来は公開されるべきであり、
傍聴させて欲しいと訪れたのに
リアルタイムで聴けなかった人々のために
取材メモを公開することにする。
「note_on_120426_mt.doc」をダウンロード

ジャーナリストまさのあつこさんの勇気ある行動に脱帽です。

取材メモには、ブログ以上に生々しい会議の模様が再現されています。

ただし、怒りはさらに増してしまいますので、

高血圧気味の方は要注意です。

 

また、この会議に先立って行われた記者会見の様子がユーチューブにアップされています。

有識者会議「ダム事業の検証の検討結果について」記者会見

 

最後のシーン(8:53くらいから)が印象的でした。

 

有識者会議 石木ダム了承?

 

予想通り・・・とはいえ、たいへん残念な結果となりました。

委員の中には、地域住民の根強い反対を認識し、実現性を疑問視する声もあったのに、

最終的には事業継続を「了承」という結論に座長が導いたようです。

 

昨年の今ごろ行われた長崎県公共事業評価監視委員会での展開と同じです。

委員会の結論は初めから決められていて、そこに持って行くのが座長の仕事なのだと、

傍聴していて痛感しました。

心ある委員がどんなにくいさがっても、結局はせいぜい「意見として付す」程度。

結論に変わりはありません。

 

今回の有識者会議の様子も、目に見えるようです。

が、その様子を実際に見た人は報道関係者以外ありません。

ダム問題の真の有識者である嶋津暉之さんたちも、

地元長崎から駆けつけた3人の地権者も、ついに傍聴は許されませんでした。

全くの門前払いです。

 

こんな非民主的な政治をするのが、民主党のやり方なのでしょうか?

こんな無理をしてまで、国交省はなぜダムを造りたいのでしょうか?

膨大な借金を抱える国や県、

昨年の大震災の復興資金と原発事故処理のための資金がいくらあっても足りない政府、

それでも、石木ダム事業を継続しなければならない理由は何なのでしょう?

国民の前で説明できる人はいるのでしょうか。  

 

有識者会議「再開」

今日、「第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の日程について国交省HPで公表されました。http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000498.html

       第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の開催について

                                               平成24年4月24日

この度、第22回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を以下のとおり開催することとなりましたのでお知らせいたします。

1.開催日時等

日 時:平成24年4月26日(木)18:00〜20:00

場 所:中央合同庁舎3号館(国土交通省)11階特別会議室

主な議事内容(予定):ダム事業の検証の検討結果について 等

2.委員

別 紙

3.取材等

・報道関係者に限り傍聴が可能ですが、会場準備のため、事前登録制とさせて頂きます。

・傍聴を希望される場合は、4月25日(水)正午までに氏名、所属、連絡先を明記の上、E メールアドレス(chisuinoarikata@mlit.go.jp)までご登録ください。なお、
傍聴は原則1社につき1名とさせていただくとともに、会場の都合上、お席を用意できない場合もございますので、予めご了承ください。
・カメラ撮りは、会議の冒頭のみ可能です。
・会議の資料、議事要旨及び議事録は、後日ホームページで公開する予定です。

全く、今までと変化無し!

報道関係者以外はシャットアウト!

地元の声など聴く耳は持たぬだけでなく、

地権者が審議の過程を知る権利さえ奪ってもいいとお考えのよう・・

しかも会議開催の知らせはわずか2日前!

報道関係者にも、いろいろ予定があるでしょうに・・

よほど、誰にも知られない形でこっそり会議を開きたいのか?

なぜ?

その上、議題さえも公表されない!

主な議事内容(予定)として、「ダム事業の検証の検討結果について 等」と書かれていますが、

それをやるために集まっているのだから、言わずもがなのこと。

どのダムの検討結果について話し合うのか、それを示すべきです。

地権者は飛行機に乗って、はるばる九州から向かうのです。

お金をかけて、時間をかけて…それでも自分たちの運命を左右する会議を聴きたいと願って。

開催日時だけ公表されても、石木ダムが議題に上っているのかどうかわからなければ、

チケットの手配もできません。

その後、確認が取れたので、手配は進められていますが…。

 

このようなやりかたをするのが真の「有識者」なのでしょうか?

有識者とは、「学問があり、見識が高い人」のことだそうですが、

そういう方々の見識は多くの人が聴きたいはずだし、

そういう方々も伝えたいはずだと思うのですが…。

 

でも、この会議の有識者の皆さんは、誰も傍聴者の居ないところでこっそりやりたい…。

ご自分の主張に自身がない?

聞かれたら困るような話をするおつもり?

もしもそうなら、何かの検証結果を審議する役目には向かない方々ではないでしょうか?

 

そうではないと信じたい。

だから、もう一度、石木ダム建設予定地の地権者の声にどうぞ耳を傾けてください。

明後日、数名の地権者が国交省に向かいます。