8月25日に開かれた県収用委員会についてのテレビニュースです。
・今回も地権者側が欠席したので、県側だけの参加だった。
・梶村会長が審理の打ち切りを示唆した。
この2点について、各局が同じように伝えていました。
ただ、「収用委員会」についての説明がビミョーに違っていました。
このNBCニュースでは、
「収用委員会の審理は、公共事業をめぐる土地の収容が妥当かどうか、事業者と地権者双方から意見を聞くために開かれる手続きです」
と解説していますが、これは明らかに間違っています。
長崎新聞の説明のように、
収用委員会とは、「土地家屋を強制収用する際の補償金などについて審理する」場なのです。
「収用が妥当かどうかを審理する」場ではありません。
認定庁(石木ダムの場合、国土交通省九州地方整備局)が、事業認定(これは公益性の高い、必要な事業であるとのお墨付き)を与えた時点で、あまりにも短絡的に、収用は妥当と解釈され、収用委員会で決めるのは補償額や明渡し時期などに限定されてしまいます。
土地収用法で、そのように定義されています。
それでも石木ダム予定地の地権者の皆さんは、誠心誠意訴えれば、収用委員会の皆さんも、事業認定そのものがおかしかったことに気付き、県に何か提言して頂けるのではないかと考え、はじめの頃は収用委員会審理に出席していました。
しかし、収用委員会は事業認定には関知しないとして、地権者の訴えには何ら耳を貸さず、あっという間に4世帯の農地の強制収用が決まってしまいました。
土地収用法という法律は、あくまでも行政のために作られた人権侵害の法であることを悟り、それ以後はもう、出席しないことにきめたのです。
そういうことがテレビニュースからは伝わってこないのが残念です。
ニュース後半で、「住民らは、審理が開催されれば家屋の収用につながるとして出席を拒否」と、地権者の気持ちを伝えてはいますが、冒頭の収用委員会の定義が不正確だったので、「審理が家屋の収用につながる」というのが地権者の思い込みで、客観的事実ではないように聞こえてしまいます。
これまで深い関心を持って取材してこられたNBCさんだけに残念です。
前回の裁決は農地だけでしたが、今回は家屋が入っています。
審理を終え、裁決されれば、生活の場である家屋が奪われるのです。
その決定に向かう審理の場に、どうして地権者の方々が参加することができるでしょう?
収用委員会の皆さんにも今一度考えてほしい。
委員の皆さんの仕事は、収用する土地や家屋の補償額を決めることですが、その審理には、起業者と所有者双方から意見を聞かなければなりません。
しかし、所有者=地権者は出てこない。
そこで、欠席するのは地権者の勝手だからと、県側の言い分だけを聞いて裁決するのでしょうか?
そうすれば簡単かもしれませんが、あまりにも責任重大です。
今回、4世帯の家屋や宅地まで収用裁決してしまったら、残り9世帯についても同様の裁決をしなければならなくなります。
つまり、13家族54人の暮らしを委員の皆さんがが破壊することになります。
死刑宣告のようなものです。
そのような責任が負えるでしょうか?
できないものはできないと言ってほしい。
「双方の意見を聞かなければ補償額は決められない」と。
なぜ地権者はでてこないのか?
それは事業認定に納得していないから。
その取り消しを求めて裁判まで起こしている。
もしも事業認定が間違っていたということになれば、
強制収用などやってはいけないこととなる。
収用すべきでない土地の補償額を決め、その結果強制収用や行政代執行がおこなわれたら、取り返しのつかないことになる。
だからせめて、裁判の結論が出るまで、この審理は延期すべきである。
「審理終了」ではなく「審理延期」あるいは「審理中断」・・・
というような意見が、次回収用委員会で出されることを、密かに、
そして心から、願っています。