先月11日、県は未買収地の残り全て約9万㎡を裁決申請し、
県収用委員会は今月10日それを受理しました。
これで、ダム建設予定地に住んでいる川原13世帯の家々が全て強制収用の対象となりました。
1回目の裁決申請は4世帯の農地だけでしたが、
その時と同じように手続きは粛々と進められ、裁決が出て明け渡しを命じられるでしょう。
でも、農地の時と同じように、地権者の皆さんは誰一人として、それには応じないでしょう。
すると、どうなる?
行政代執行ですか?
柱にしがみついて抵抗する住民を引きはがして、ブルドーザーで家を潰してしまうのでしょうか。
それとも、先にコンクリートの堤防を築いて、徐々に水を溜めていき、
まるで生き埋めのように、全てが水の底に沈むのを待つのでしょうか。
そのような前代未聞の蛮行がこの長崎県で行われるのでしょうか?
佐世保市議会は、それを許すのでしょうか?
私たち佐世保市民は、私たちの水源確保のために川棚町民を犠牲にするなんて耐えられません。
この思いを議会に伝えるために、6月10日、請願を提出しました。
そして今日、その請願が委員会審議にかけられ、私たちは思いを込めて趣旨説明をおこないました。
請願文書を見て頂ければわかるように、今回は4団体による提出です。
4団体で訴えたことは、
・何が何でもダムを造らなければならないという根拠がわからないし、緊急性も感じない
・ダムよりも漏水対策にお金をかけるべき
・基本的人権と公共の福祉を天秤にかけた時、石木ダムによる公共の福祉が大きいとは思えない
・明け渡し裁決が出ても地権者はそこに住み続け、出ていく人は誰もいない
・石木ダムに関する新聞への投稿記事は、ほぼ100%反対の声ばかり
・議会は行政の代弁者ではなく市民の代弁者であるべき。市民県民の声に耳を傾けてほしい
・新聞の社説も、必要性の説明が不十分な状態で、強制収用という手法を取るのは許されないと断じている
などなど。
私たちの陳述が終わり、質疑の時間になりましたが、委員は誰一人手が上がりません。
仕方なく?(予定通り?)委員長は「暫時休憩し、11時から再開し結論を出す」と告げました。
そして再開。
各会派から反対討論が述べられ、予想通り、またも全会一致で不採択となりました。
これまでの反対理由はこうでした。
2012年(事業認定される前)〜事業認定申請したのは地権者との話し合いが目的である。現段階で強制収用について論ずべきではない。
2013年(事業認定されると)〜認定はされたが、県が裁決申請するかどうかはまだわからない。仮定の話には応じられない。
2014年(裁決申請に踏み切ると)〜事業認定は法に則って公正に行われたものであり、認定された以上手続きを前に進めるしかない。しかし話し合いの余地は十分残されている。
さて今回はどんな理由で私たちの請願に反対したのでしょう?
各会派から出された意見をまとめると、こういうものでした。
〇裁決後も任意交渉は続いている。これまでも任意交渉の中で合意を得てきたので、今後もそれに期待する。
〇断腸の思いで移転された54世帯の方々のことも考えなければならない。
〇県は生活再建や集団移転の斡旋など最大限の措置を予定しており、地権者の相談に応じると言っているので、地権者の方が路頭に迷うことはない。
〇石木ダムに代わる抜本的な水源対策がない中では、手続きを進めることはやむを得ない。
〇ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である。
などというものでした。
やっぱり…委員の皆さんは行政の代弁者ですね。
◎任意交渉で合意できる人たちは既に土地を売って出て行かれました。残っているのはどうしても合意できない、今後も絶対に応じない人たち。だから期待してもダメ。
◎決断の際に苦渋の思いをされた方はふる里を愛していたから。そのふる里が残るなら、それは嬉しいはず。もしも可能なら、今の家を売ってまた戻ってくればいい。川原の皆さんはきっと歓迎してくれますよ!
◎県が話し合いたいのはいつもそれ。補償金や生活再建や移転先の話。その前に話すべきことがあるでしょ?なぜここにダムを造らなければならないかという原点の話。それを抜きにして補償金の話などしようとするから地権者との溝が深まるばかりってこと、わからないかな〜
◎石木ダムに代わる抜本的な水源対策など要りません。水は足りているのだから。もっと欲しいと思う人もいるかもしれないけど、欲を出せばキリがない。足るを知る生き方がこれからは大事なんじゃないかな〜
◎ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である?!へぇー!!あの水需要予測が合理的だと思えるなんて、ずいぶん奇特な方もいるのですね〜失礼!当委員会の皆様は奇特な方々ばかりでしたよね。私たちのような凡人には理解できませんが・・・
そんなことを思いながら拝聴させて頂きました。
傍聴に来て下さった市民の皆様、佐世保市外からも駆けつけて下さった皆様、
お疲れ様でした。そして、
これからも諦めず、しつこく、しぶとく、請願を続けます。
一緒に頑張っていきましょう〜
追記:翌日の新聞記事を添付しておきます。(長崎・朝日・西日本)