3日前の長崎新聞『記者の目』をぜひ読んで頂きたい。
それは、東彼支局に勤務する記者にしか書けないコラムでした。
東彼支局は川棚町にあります。石木ダム建設予定地のある町です。
そこに常駐する記者は、石木ダムに関する全てを見つめています。
県の動き、住民の動き。
推進派も反対派も。
現場での抗議活動も、集会も、祭も、裁判も全て。
その記者の目に映ったのは、「ただ、普通の暮らしがしたい」という願いとは逆行して、「24時間、警戒心から逃れられず、不安な日々を送る県民がいる」という現実。
「そのことをあらためて伝えておきたい」と言う。
そう。私も、あらためて伝えたいと思い、ここに貼付させてもらいます。
私たち県民、特に川棚町民と佐世保市民は、この事実を知らなければならない。
そして、考えてほしい。
住民の穏やかな生活を奪って、心身をこれほど痛めつけるような事業が、果たして公共事業と言えるのでしょうか?
9日にはこのような県の強権的な事業推進に待ったをかける申し入れが2団体によっておこなわれました。
その申入書はこちらです。
2017年2月9日
石木ダム建設事業に関する申し入れ
長崎県知事 中村法道 様
社会民主党長崎県連合
代 表 吉村 庄二
長崎県地方自治研究センター
理事長 舟越 耿一
貴職は1月29日未明、石木ダム建設に伴う付替え道路建設工事現場に重機類を搬入し、再び工事に着手しました。公務は休みとなる日曜日だったこと、空も明けやらぬ未明だったこと、地元住民への事前連絡もなかったことなど、異例ずくめの再着工です。
貴職はこの間、土地収用法の規定による土地・家屋の収用手続きを進め、すでに所有者の意思に反して一部の土地の所有権を取り上げ、更に、生活の拠点である家屋をも取り上げようとしています。また、工事現場入口における反対地権者等の抗議活動に対してはスラップ訴訟ともいうべき付替え道路工事妨害禁止仮処分申請を行い、これを排除しようとしています。加えて今回の工事再開強行です。
こうした強権的な事業推進は反対地権者の一層の反発を招くばかりでなく、多くの県民の長崎県行政に対する信頼をも損なうものです。
反対地権者の「故郷で平穏にくらしたい」という主張は憲法13条で保障された幸福追求の権利、人格権に基づいたものであり、行政運営においても最大限尊重されなければならないはずです。2012年6月に国土交通省のダム事業見直し検討委員会で石木ダム事業継続が認められた際には「地域の方々の理解が得られるよう努力すること」が、2015年8月に長崎県公共事業再評価委員会で事業継続が認められた際にも「地元地権者との話し合い」が貴職に求められました。そこに示されているのは反対地権者の人格権への配慮ではないでしょうか。
公共事業を進めるにあたって、人権侵害があってはなりません。貴職に求められていることは強権的な手法による石木ダムの建設ではなく、反対地権者の理解と納得を得る努力だと考えます。
よって、下記事項を要請します。
記
1.付替え道路建設工事を直ちに中止すること。
2.土地収用法に基づく強制収用の手続きを直ちに停止すること。
3.付替え道路工事妨害禁止仮処分申請を直ちに撤回すること。
4.反対地権者と話し合うこと。
以上
素晴らしい!
上記4項目は、私たちが何度も議会に請願してきたことです。
しかし、議会では、強制収用には反対の社民党も「付替え道路工事の中止」とまでは明言して頂けませんでした。
石木ダム建設のためには付替え道路工事は必須なので、それを否定することは石木ダムそのものを否定することになり、組合(市職や県職の労組など?)関係でいろいろ難しい問題が出てくるからでしょうか?
でも、今回、「付替え道路建設工事を直ちに中止すること」ときっぱり書かれています。
きっと党内で熱い議論が闘わされて、新たな一致点が見いだされたのでしょう。
石木ダムの是非を決めるには「反対地権者と話し合うこと」が必須であり、
反対地権者と話し合うには、今やっている工事を止めることが必須だという共通認識が得られたのかもしれませんね。
(勝手な想像ですが)
いずれにしても、今のような県民の人権を無視し力尽くで推し進めるやり方では、必ず壁にぶち当たるでしょう。
県民の良識と民主主義の壁に。