石木ダム問題の今

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10月26日以降は…?



ここに書かれていることを要約すると、

1.当該物件(机、椅子、炉、物置、旗その他)の所有者、占有者は、10月26日までに石木ダム建設事務所職員に申し出てください。

2.これらの物件は工事の支障となっているので、速やかに撤去してください。

ということです。
今日の長崎新聞には、期限が明日に迫っているためか、この件を伝える記事が1面に掲載されていました。


小見出しに「私物申告、撤去あす期限」と書かれていますが、明日までなのは所有者が名乗り出る期限であって、撤去の期限ではないと思います。(看板の文面を見る限り)

しかし、そもそも最初の撤去期限は6月19日でした。何回期限を設けても、何回看板を立てようが、自主撤去はされないでしょう。

では、県はどうするのか?
記事によると、
道路区域内の不法占拠物については、

「相手方がわからない、危険度が大きい、違法放置にあたるの要件を満たすと、道路法で撤去できる」そうです。

しかし、相手方はわかっています。個人名を断定できないというだけです。

「所有者がいる場合は口頭や書面による行政指導などを経た後、行政代執行法の手続きを踏むのが一般的」だそうです。

既に口頭や書面(看板)による指導は経ているので、代執行法の手続きに入るのでしょうか?

行政代執行法による手続きとは、その第三条に、次のように定められています。

前条の規定による処分(代執行)をなすには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない。
2 義務者が、前項の戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもつて、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知する。
3 非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる。

つまり、こういうことでしょうか?

1.「〇月△日までに撤去してください。撤去されなかった場合は石木ダム建設事務所の方で撤去します」と告知する。
2.期限までに撤去されなかった場合は、代執行令書(いつ、誰が撤去するか、その費用はどのくらいかかるか書かれたもの)を作成し通知する。
3.非常の場合や危険が迫った場合は、2の手続きを省略できる。

3のケースは考えられないので、1と2の手続きは必須でしょう。
6月には1の手続きまではやったのに、2には進めなかった。
それは、代執行を行う時を通知せねばならないから。通知すると大勢の支援者が結集して大事になるから・・・だったのではないでしょうか?

県も苦しいところですよね。
強制測量の時の苦い経験があるので警察権力は使えないし、この区間の工事が進まないと道路が繋がらないし・・・

1つだけ解決方法があります。

今すぐ工事を中断して、話し合いをすることです。
住民の方が求めている話し合いのテーブルに着くことです。
住民の方に、なぜ石木ダムが必要なのか、なぜここでなければならないのか説明し、質問には真摯に答え、誠意を尽くすことです。

それは起業者として当然のことです。
急がば回れと言いますが、県はその手間を省き、力で推し進めようとした結果、こんなに長引いてしまっているのです。
長引いた結果、ダムの必要性はすっかり色あせてしまいましたね~

身ぐるみ剥がされ、護るもの無い


10月16日午後、こうばる公民館で会議をしていた私たちは住民の方からの通報に、気もそぞろになってしまった。座り込みの現場に重機が入っているとのこと。

会議が終わると同時に皆、現場に向かった。
いつもの場所に土砂が運び込まれ、重機で平らに均していた。

皆、写真を撮ったり、抗議したり…

この時の様子を朝日新聞の記者が詳しく伝えている。



県の職員は言う。
ここは県が管理する工事現場であり、あなた達の土地ではない。
勝手に入ってきて、工事を止める資格は無いと。

しかし、この工事は石木ダムのための付け替え道路の工事だ。
この工事を終えると本体工事に入る。
ダムができれば、こうばる住民はふるさとを追われる。
それが分かっていて見過ごせるわけがない。

まず工事を中断して、話し合いをしてほしいと、住民は訴え続けている。
石木ダムが必要なダムかどうか、根本的な話し合いをしようと言い続けている。
それには耳を貸さず、とにかく工事を進めたい。
だからどいてくれ、邪魔しないでくれ、というのは、あまりにも一方的ではないか。

「土地・家屋の所有権を奪われ、身ぐるみはがされた住民には、護るものも何一つない」そう語ったIさんは、


一人離れた場所から、工事を見つめ続けていた。

その全身から憤りが伝わってくるようだった。

議論を尽くせ

10月15日、長崎新聞は「論説」で石木ダムに関し、県に釘を刺した。

司法の判断を盾に取り、住民を生活の地から追い出すようなことがあってはならない」と。



最高裁が住民の上告を棄却したからといって、強権的な手法を用いてはならない。かつての強制測量のような失政を繰り返すな、と忠告している。

そして、最後に、「開かれた場で反対住民らと向き合い、説明と議論を尽くすことが重要だ」と助言する。

全くその通りです。これはダム賛成反対にかかわらず、多くの県民が賛同するでしょう。

他にもメディア関係者の方からも、「今こそ議論を!」との声が上がっています。



「本当にダムしかないのか。豪雨災害が頻発する今だからこそ、冷静・科学的な議論が求められている

こうばる住民の方も、県民も、メディア関係者も皆それを望んでいます。

知事、佐世保市長、もう逃げずに、きちんと向かい合ってくださいませんか?

最高裁決定に対する声明

2020年10月8日、最高裁は私たちの上告を棄却しましたが、私たちの想いは、こうばる住民の方々の決意同様、微動だにしておりません。

石木ダムは必要のない事業であり、そのために13世帯の生活の場を奪うことは、どう考えても間違っています。
これを許すことは、私たちの身にもいつ降りかかってくるかもしれない人権侵害の種を蒔くことになります。

私たちは石木ダム計画が撤回されるまで闘い続けます。



 

10月14日、弁護団をはじめ、県内7団体が共同で声明文を提出しました、
ここに転載いたします。

     最高裁決定に対する声明

石木ダム建設絶対反対同盟
石木ダム対策弁護団
石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会
石木川まもり隊
水問題を考える市民の会
石木川の清流とホタルを守る市民の会
石木ダム建設に反対する川棚町民の会
いしきを学ぶ会

 令和2年10月8日,最高裁判所において,石木ダム事業認定処分取消請求事件の上告を棄却し,かつ、上告受理申立を受理しない旨の決定がなされた。
 本事件は,石木ダム建設予定地とされている川原(こうばる)地区の住民をはじめとして,川棚町民・佐世保市民等他101名の当事者が,長崎県及び佐世保市の事業認定申請を国土交通省九州地方整備局が認可した事業認定処分に対して,それが違憲・違法であるとして,その取り消しを求めたものである。
 石木ダム事業がダムありきの不必要な事業であること,かかる違法な事業により,川原地区で今も生活している13世帯約60名の生活・生業・社会を破壊することは絶対に許されないことは,私たちが繰り返し裁判所内外で主張してきたところである。それにもかかわらず請求を棄却した最高裁判所は、全く必要性がなくかつ著しく人権を侵害する事業を強行しようとしている起業者である長崎県・佐世保市、及びそれを容認して事業認定をした国の違法な行為を追認したものであり、極めて不当な決定と言わざるを得ない。たとえ裁判所が本件事業の取消を認めなかったとしても、本件事業が,社会通念に照らして必要性のない事業であることは明らかであり、このような不当決定はかえって、石木ダム事業が違憲・違法な事業であるという私たちの確信を一層強めるものである。
 これまで川原地区の居住者は,皆,石木ダム事業によって人生を翻弄されてきた。このような権利侵害の状態を継続することは絶対に許されないし,ましてや住民らを強制的に排除することはなおさらである。
 今回の最高裁判所の不当決定を受けて,私たちは改めて,違憲・違法な石木ダム事業に対し、今後も反対運動を続けていく決意を強くした。
 そこで、九州地方整備局に対して,事業認定庁として判断を自主的に見直すよう求めるとともに,起業者である長崎県及び佐世保市に対して,石木ダム事業計画を撤回するよう求めるものである。
 私たちの石木ダム計画が撤回されるまで闘うという決意は一連の裁判所の判断によって何ら揺らぐものではなく,その実現に向けてこれまでと同じく行動を続けることをここに宣言する。

取消訴訟、上告棄却



長崎新聞 10月13日



 

最高裁、石木ダム国事業認定取り消し棄却 住民「それでも闘う」

(西日本新聞2020/10/13 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653737/

石木ダム予定地

長崎県川棚町に県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、反対する住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は住民側の上告を退ける決定をした。8日付。住民側敗訴とした一、二審判決が確定した。

同町川原(こうばる)地区の石木ダム建設予定地で暮らす原告は、最高裁の決定に憤りと落胆をにじませながら、反対運動を継続する思いを口にした。

「川原地区13世帯の人権はどうでもいいのかしら。現場を一度も見ることなく決定するなんて」。岩永みゆきさん(59)は納得がいかない表情。川原房枝さん(79)も「主張を聞いてもらって判断が下されると思っていた。少しだけ望みを持っていたので心外」と残念そうに話した。

住民は長崎県と佐世保市に工事差し止めを求める訴訟も起こしたが、今年3月の一審判決で請求棄却されるなど敗訴が続いている。

「八方ふさがりたい…」。岩下秀男さん(73)は言葉を詰まらせたが「それでも闘い続けることに変わりはない」と言い切った。

予定地の住民の土地や建物は土地収用法の手続きを経て、2019年に国が所有権を取得。県の行政代執行による強制収用も可能となった。住民が毎日のように座り込んでいる場所の近くでは、本体着工に向けた県道付け替え工事が進む。

「今回の結果を受けて県側が勢いづくかもしれないが、こちらは絶対に動かない。座り込みは続ける」。岩本宏之さん(75)は淡々とした口調で、固い意思を示した。

一方、中村法道知事は「ダム建設事業の公益上の必要性について、理解が得られ、早期にご協力いただけるよう、努力を続けたい」とコメントした。 (岩佐遼介、徳増瑛子)

 

 

石木ダム「事業認定取り消し訴訟」住民敗訴確定

(NBC長崎放送2020/10/13(火) 11:58配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/dd9a74949adf7a4d13e11c3d5ffb32e1566799a2

(映像あり)

石木ダム建設予定地に住む住民らが国を相手に土地の強制収用の根拠となっている「事業認定」の取り消しを求めていた裁判で最高裁判所は住民側の上告を退けました。この裁判は、国が石木ダムを土地収用法に基く「事業」と認定したことに対し住民側が「佐世保の水道水は足りていて川棚川の洪水対策も河川改修で対応できるためダムは必要ない」などとして「事業認定」の取り消しを求めていたものです。裁判では一審、二審とも利水面・治水面でのダムの必要性を認め建設によって得られる公共の利益は損失よりも大きいとして住民らの請求を棄却。判決を不服として住民側が去年12月に上告していました。最高裁第一小法廷は今月8日付で上告を退ける決定を行い住民側の敗訴が確定しました。なお、住民らはこれとは別にダム工事そのものの中止を求める裁判も起こしていて、今月から福岡高裁で控訴審が始まっています。

 

 

長崎・石木ダム訴訟で住民側敗訴確定 最高裁上告退ける

(毎日新聞2020年10月13日 西部朝刊)https://mainichi.jp/articles/20201013/ddp/041/040/003000c

長崎県川棚町に県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、反対する住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は住民側の上告を退ける決定をした。8日付。住民側敗訴とした1、2審判決が確定した。

石木ダムは佐世保市の水不足解消や、川棚町の治水を目的に計画。国は2013年に事業認定し、反対住民らが15年に提訴した。1審の長崎地裁は18年7月に請求を棄却し、2審の福岡高裁も支持した。

1、2審はいずれも利水・治水面でダムの必要性を認めていた。

 

最高裁、上告棄却!

10月8日付で、最高裁は私たちの上告を棄却しました。


つまり私たちは石木ダム事業認定取り消し訴訟で敗訴が確定したのです。

なぜ…

私たちの訴えとは、「必要性のないダム建設のために住民の土地を奪う事業認定は違法であるので取り消してほしい」というものです。
一、二審の判決は「このダム計画は不合理とは言えず、住民の不利益よりも公共の利益の方が大きいので事業認定は正しい」でした。

そこで私たちは最高裁に上告しました。
法の番人と称される最高裁なら、国の最高法規である憲法に照らして、一二審の過ちを見抜き、石木ダム事業の違法性を指摘し、国民の権利を守ってくれるのではと期待していましたが、みごと裏切られました。

正直くやしいです。残念です。
しかし、この不当な決定に私たちが屈することはありません
この事件を担当した最高裁第一小法廷の5人の裁判官にあたったのが不運だったと諦めるしかありません。

私たちが拠って立つのは憲法です。
憲法は、国民一人ひとりが、住むところや職業を選ぶ権利、自分の財産を守る権利、幸せを追求する権利を保障しています。
しかし、石木ダム事業認定によって、こうばる住民のこれらの権利が侵害されるのですから、事業認定は取り消されるべきです。

ところが、裁判所は、それらの権利は「公共の福祉に反しない」限りであって、石木ダムは公共の福祉に大きく寄与するので、事業認定は間違っていなかったと判断しました。一審も二審も最高裁も。

しかし、そう判断するならば、本当に石木ダムが必要なダムだという立証が必要です。

ところが、一審では事業計画に関わった県の職員(治水)や佐世保市の職員(利水)や国側証人の大学教授(利水)などに尋問をしましたが、いずれも住民を追い出してまで必要なダムだという根拠は示せませんでした。無いよりはあった方がいい。計画流量や計画給水量の算出においても「不合理とは言えない」という程度です。

二審では一審のやり取りを踏まえて、さらに新たな資料や意見書も提出して、住民側の大学教授への証人尋問を要求しましたが、それは受け入れられず…つまり、ダムの必要性についての科学的検証はまだなされていなかったのです。

石木ダムが無ければ、川棚川流域住民が大きな洪水被害に晒されるとか、石木ダムが無ければ佐世保市民が水不足で生活に支障が出ているとか、だから石木ダムは必要だと証明されて初めて「石木ダムの公益性は高い」「石木ダムに反対して出て行かないことは、公共の福祉に反する」となるはずです。

それが立証されなければ、公共の福祉に反しないことになり、反しないのに土地を強制収用する事業認定は憲法違反の疑いがあるわけです。

だからこそ、最高裁には石木ダムの必要性についてしっかり検討してほしかったのですが…
最高裁の決定は、内容に踏み込むことなく、門前払いでした。

「上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあること、その他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる」(民訴法312条)が、本件はそれに該当しないとして。

それで務まるのでしょうか?
憲法の番人」が…

最高裁という番人が頼りなければ、私たち一人ひとりが番人になりましょう。
私たちの権利と憲法を守るために!

先ほど私たち(県内7団体と弁護団)による声明文を出しました。
こちら→20.10.14-最高裁決定を受けた声明

工事差止訴訟控訴審第1回口頭弁論

長崎新聞 2020年10月9日https://this.kiji.is/687190331494728801

石木ダム建設差し止め2審始まる




長崎県川棚町で進められる、石木ダムの建設に反対する住民などが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた裁判の2審が、福岡高等裁判所で始まり、住民側は「私たちの生活はそんなに軽いのか。切り捨てないでほしい」と訴えました。

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民などは洪水被害により安全が侵害され、ふるさとでの生活が奪われるなどとして、ダムの建設工事などの差し止めを求める訴えを起こし、1審の長崎地方裁判所佐世保支部は、「安全が侵害されるおそれは認められない」などとして訴えを退け、住民側が控訴していました。

8日、福岡高等裁判所で2審の裁判が始まり、住民の1人が「ここで暮らし続け、次の世代に引き継いでいく人生をダムの建設に踏みにじられる。私たちの生活はそんなに軽いのか。切り捨てないでほしい」と意見を述べ、改めて、自分たちの住む場所を決める権利を主張しました。

石木ダムの建設をめぐっては、国に対して、事業の認定を取り消すよう求める訴えが1審、2審ともに退けられ、住民側は最高裁判所に上告しています。

 


「人生が踏みにじられた」石木ダム訴訟、住民が意見陳述



長崎県佐世保市が建設を進める石木ダムをめぐり、住民らが関連工事の差し止めを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民らは工事について、故郷で暮らす「人格権」を侵害するものだと主張し、県と市は控訴棄却を求めた。

原告は、ダムで水没する長崎県川棚町の川原地区の住民13世帯や支援者ら403人。一審・長崎地裁佐世保支部判決は、人格権は内容や範囲が不明確で、差し止めの根拠にならないとして請求を棄却した。

この日は住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し、地区の自然豊かな四季の情景を織り込んだ歌の歌詞を読み上げた。「私たちの人生がダム事業に踏みにじられ、何十年も重ねてきた暮らしが強制的に排除されようとしている。13世帯を少数者だとして切り捨てないで」と訴えた。

石木ダムは佐世保市に水を供給するとともに、周辺の川棚川流域の水害を防ぐことを目的とする多目的ダム。1975年に建設が決まったが、住民らの反対運動でダム本体は着工していない。住民らが国に事業認定の取り消しを求めた別の訴訟では昨年11月、福岡高裁が住民側の訴えを棄却。住民側は上告している。(山野健太郎)


石木ダム建設控訴審住民側差し止め訴え 福岡高裁で初弁論



西日本新聞  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/652603/




 3月の一審長崎地裁佐世保支部判決は、住民側が訴えた「良好な環境で生活する権利」などは、「工事差し止めの根拠にならない」として請求を棄却した。

住民側代理人の鍋島典子弁護士は意見陳述で、「住民の主張をどう理解し、いかなる理由で判断したのか、理解に苦しむ」と批判。その上で「控訴審では住民が主張する権利を適正に評価し、(工事による)侵害行為の違法性を判断してほしい」と求めた。

石木ダムの用地は土地収用法に基づき、2019年に所有権が国に移り、家屋などの強制撤去が可能な状態になっている。住民らが国に同法の事業認定取り消しを求めた訴訟は同年11月に福岡高裁が控訴を棄却し、住民側が上告している。 (森亮輔)

 


「ここで暮らし続けたい」 石木ダム工事差し止め控訴審 口頭弁論で住民 /長崎


 川棚町に建設が計画されている石木ダムの工事を巡り、水没予定地の住民らが建設主体の県と佐世保市を相手取り工事差し止めを求めた控訴審の第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し「この場所に仲間とともに暮らし続けたい」と訴えた。

 県と市側は答弁書を提出し、いずれも控訴棄却を求めた。

 石木ダムは同市の水不足解消と治水を目的に建設が計画され、2013年には土地収用法に基づく国の事業認定を受けた。用地の強制収用が可能となったが、13世帯が住み続けている。住民側は「利水や治水両面でダムの必要性はなく、不要な事業で故郷を奪われるのは人格権の侵害だ」などと主張している。

 川棚町川原(こうばる)地区で40年以上暮らす岩下さんは、豊かな自然や土地を守り続けてきた先祖への思いに触れた上で、「私たちの人生がダム事業に踏みにじられ、何十年もの間重ねてきた暮らしが強制的に排除されようとしている。13世帯を少数者だとして切り捨てないでほしい」と述べた。

 1審の長崎地裁佐世保支部は今年3月、「差し止めを求めうる明確な実態を有しない」として原告の請求を棄却した。【宗岡敬介】



私はこうばるで生き続ける


10月8日午後1時半、福岡高等裁判所前。
石木ダム工事差止訴訟控訴審の門前集会に、こんなにたくさんの人が!
コロナ対策で法廷に入れる人はごく一部なのに…

午後2時半、開廷。
提出された書面や証拠を矢尾渉裁判長が確認した後、控訴人側(当方)から3人が意見陳述をしました。

トップバッターは、鍋島弁護士。
控訴人らが主張している人格権とは「自己が選択した土地で継続的かつ平穏に生活をし、快適な生活を営む権利ないしは人格的生存を図る権利」です。
一審がこの権利を認めなかったことは全く理解できません。
控訴審では、この権利について適正に評価していただき、侵害行為の違法性について改めて判断いただきたい。
201008意見陳述(鍋島)

 

続いて高橋弁護士。
2019年度水需要予測は2012年度の予測よりもさらに酷い。掟破りの禁じ手である。
それは、そうでもしないと4万トンが不足するというダムの必要性が証明できないからでしょう。
しかし一方では、災害や渇水に備えるために石木ダムを建設するのだと議会等では説明しています。
このような理由で石木ダムを建設することは許されず、工事は差し止められるべきです。
20.10.07-控訴審J1要旨

 

最後は住民の岩下すみ子さん。
私たちは自然豊かな「こうばる」を父母、祖父母、何代も前のご先祖さまから受け継ぎ守ってきました。
そしてそれを次の世代に引き継ぐために預かっているのです。
私たちはこれからもここで生き続けます。その権利を認めてほしいです。少数者として斬り捨てないでください。
意見陳述書(岩下すみ子)

 

これらの陳述を聴き終え、裁判長は当方弁護団に尋ねました。
人格権についての主張は一審と変わらないか?
人格権から派生してどのような憲法上の利益が侵害されるのか?具体的に知りたいと。

その質問に対して、当方弁護団長の馬奈木弁護士が立ち上がり、

変わらないときっぱり答え、しばらく両者の間でやり取りされていましたが、その内容がどうしても聞き取れませんでした。
(顔の向き、マスク、そして私の難聴のせいで…トホ…)

その後のやり取りの中でおや?と思ったことが1つあります。
佐世保市の代理人が、治水についての主張をできるだけ早く提出するようこちらに求めてきたのです。
なぜ?佐世保市の代理人は利水についての担当であり、治水担当の県の代理人が何も言わないのに…不思議です。

いずれにしても全ての書面を次回期日1週間前までに提出することで落ち着きました。
次回期日は、12月10日(木)14:30~ です。

 

閉廷後、隣の弁護士会館へ移動し、すぐに報告集会が始まりました。


初めに弁護団事務局の平山弁護士から、
今日までの流れと今日のやり取りの説明がありました。

その中の権利性について、高橋弁護士から補足説明がありました。

一審での争点は、3つあった。
 ➀石木ダム工事の差止を求める権利があるか否か
 ➁その権利が侵害されているか否か
 ➂その侵害が許されるか否か。
 一審判決は権利が無いと切り捨てたので➁➂には進めなかった。
 その判決は我々には全く理解できない。権利はあるはず。
 今日のやり取りでは、裁判長はそこには異を唱えなかった。
 その権利が工事によってどのように侵害されているかを求めていた。

なるほど~少しわかった気がします。
人格権という言葉に私たち自身も馴染みがなく争点がぼやけていた感じでしたが、そういうことか~

続いて、陳述者の皆さんからの解説です。


鍋島弁護士:一審判決は住民は工事差止の権利を持っていないと判断しました。私は、判決文を何十回も読みましたが、なんで権利性が無いというのか、その理由が全くわからなかった。それで今日は当然認められるべき人格権について言葉を変えて説明しましたが、正直これ以上どう説明すればいいのか…と思っていました。でも、今日のやり取りの中で、裁判官が具体的に何を聞きたいのかが見えてきたので、次回期日までに準備したいと思います。


高橋弁護士:佐世保市は水需要が増えるから石木ダムが必要と主張しているが、その需要予測のやり方がおかしい。とんでもない手法(禁じ手)を使っています。そして、市はこの予測は正しいと裁判では言い張っているが、議会や市民に対しては、需要が増えるからとは言っていない。災害や渇水に備えるために石木ダムが必要と言っている。使い分けているのです。これは行政がよく使う手で珍しいことではありません。我々はあくまでも、この予測が間違っていることを(グラフを見れば一目瞭然)多くの人に伝えていきましょう。

岩下すみ子さん:私たちは何十年もこのダム問題と闘ってきました。それは、私たちが、このこうばるを預かっているからです。私たちの代でこの地をダムにするわけにはいきません。こどもたちに引き継いでいかなければならないんです。本当は普通の暮らしがしたいです。でも、毎日お弁当を持って、リュックをからって、山の工事現場に座り込んでいます。そういう状態がもう10年以上続いています。これからも頑張り続けますので、皆さん、ご支援よろしくお願いします。


そして、馬奈木団長から、法廷で裁判長とやり取りしていた権利性についての説明がありました。



権利侵害については、誤魔化しというか形式論というか、問題があります。
例えば、工場を建てるために海を埋める工事を行っているとする。その差し止めを求めても、海の埋め立てで何か被害は出ていますか?出ていないでしょ?埋め立て後に工場ができてその煙で初めて健康被害などが出るんでしょ?となる。その段階で初めて権利侵害が認められる。こういうやり取りがずっと行われてきたんです。

石木ダムの場合も同じです。いま付け替え道路工事を行っていますが、それで何か被害は出ていますか?と。出ているなら具体的に示せと言われているんです。しかし、その道路工事はダムを造るための事前の工事であり、ダムができればそこに住めなくなり権利が侵害されるのは明らかですよね。ダムができて追い出されて初めて訴えなさい、出直してきなさい、そうおっしゃるんですか?と、次回は正面から問いたいと思います。

また、県や佐世保市は原告を十把一絡げにして、川原住民以外の原告はそこに住んでいないのだから、ダムができても何も侵害されないではないかと主張しています。そこで我々は現地住民の権利に絞って主張しています。

続いて、会場からの質問や意見が求められると、福岡市民から沢山の手があがりました。

福岡市民:利水についての意見陳述はあったが、治水についてなかったのはなぜですか?

馬奈木団長:治水に関して一審では、ダム以外の対策を示しても「行政の裁量権」を盾に、こちらの主張は退けられました。しかし、最近の事例(堤防強化を怠ったために破堤したケースや、ダムからの緊急放流により人命が奪われたケースなど)により、治水についての考え方も今いろいろ議論されている。そこで、去年や今年の新たなデータや専門家の分析も得ながら、新たな視点で2回目の期日に向けて準備中です。

福岡市民:私は有機農業の研究をやっています。農業を生業とする者には水や田畑が必要。そういう観点から裁判に活かせないか?

馬奈木団長:それは裁判内よりも裁判外の議論になるだろう。また、その観点を長崎で活かすなら、石木ではなく諫早の方が相応しい。諫早では干拓地での農業と後背地の農業の問題があります。干拓地よりも耕作放棄地の面積の方が広い。わざわざ干拓地を作るよりもそれまで営まれていた農業を守るべきだったのではないか。そういうことを裁判の外で議論することが大事だと思います。

司会者:付け加えさせていただくと、川原では農業というよりも、家族や県外で暮らす子どもたちのために米や野菜が作られています。収入を得るためではなく、先祖代々の土地で作物を育てる喜び、分かち合う暮らしの豊かさを大事にしておられます。それはまさに、いま世界的に求められているSDGs、持続可能な社会を目指す生き方であり、だからこそ私たちもここを皆で守りたいと思っています。

福岡市民:意見陳述書にある人格権を裁判所はなぜ認めないのか、それが不思議だったが、先ほどの弁護団の説明でそれが分かったし、事業認定取消訴訟と工事差止訴訟の違いも分かりました。私たちの生活を守るためには私たちが行動しなければならないことを改めて感じました。

大村市民:岩下さんの陳述を聴いて胸が締め付けられるようでした。「川原のうた」はいつ頃作られたのでしょうか。映画も見ましたが涙が止まりませんでした。私は大村市民ですが、この問題は多くの人に伝えたいし、私たちも頑張って行動して行かねばならないと思いました。

長崎市民:私は週に2回ほど現地の座り込みに参加していますが、行き帰りの車の中でいつもこの「川原のうた」を聴いています。CDがあるので必要なら係の方に言えば入手できると思います。

福岡市民?:岩下さんの陳述の中で、「祖父母の闘いを見て自分もその闘いを継いできた。子や孫に『こうばる』を残したい」とおっしゃっていました。私も先祖代々受け継いできた土地で暮らしているので、その気持ちがよくわかります。まさにそこの部分で裁判を頑張れないものでしょうか?頑張ってほしいと強く思います。

馬奈木団長:行政訴訟(石木ダム事業認定取消訴訟)で、一審の裁判長が判決で何と書いたか。「代わりの土地は用意してある」と書かれていたんです。それを見て私は激怒しました。我々は、そういうものの考え方をしている裁判官たちと対峙していることを自覚しておかねばならないのです。

岐阜県民:私は徳山ダムの件で闘ってきましたが、既にできてしまいました。その敵討ちのような思いで、石木ダムだけは止めたいと応援しています。13世帯の人権を奪ってはいけない。この事実を多くの人に伝え世論を作ることが大事です。全国からの支援が必要だと思います。

最後に岩下和雄さんが自らマイクを握って訴えました。


今日はたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。

一審では私たちにダムを止める権利は無いと言われました。しかし、10年ほど前、佐世保市長は私にこう言いました。「佐世保市民の豊かな生活のために石木ダムは必要」と。有り余るほどの水を得るために石木ダムが必要ということです。なぜ佐世保市民の豊かな生活のために私たちが犠牲にならなければならないのか。私たちには人格権は無いのでしょうか。

私たちの闘いは50年に及びます。その間工期は8回も延長され、水需要予測も度々変わっています。50年ほど前の水需要予測では16万5千㌧でしたが、今では11万5千㌧。5万㌧も減っています。しかし、実際の給水量は7万トン以下です。このような事実を二審の裁判官にはぜひ理解してもらい、現地も見てもらい、私たちの人格権を認めてほしいです。

そして、皆さんにも一度こうばるに来ていただきたい。私たちは平日の午前中、毎日抗議行動(座り込み)を続けています。皆さんのご支援をよろしくお願いします。

 

私たち石木川まもり隊からもお願いします。
石木ダムを止めたい、抗議行動に参加したいと思っていても、参加できない人はたくさんいます。遠くに住んでいたり、仕事をしていたり、学校に行っていたり、立場上反対運動に参加できなかったり…

そんな方に代わって、もし、あなたが、1日だけでも参加できる日が有り、行ってみようかな?というお気持ちになったら、こうばるに足を運んでみませんか?

事前にご連絡頂ければ、出来る限りご案内します。
こちら→ michi30@hyper.ocn.ne.jp


石木ダムへの市民の「声」

きっかけはこちらの投稿記事。長崎新聞「声」の欄です。

2020年9月25日


それに答えて佐世保市民が投稿。2020年10月1日



今度は諫早市民の投稿。2020年10月8日


この投稿者は最近まで石木ダムに反対している住民のことを「多くの補償金を貰っておいて、いつまでごねているのだろう」と思っておられたそうです。

でも、自分が似たような立場に置かされて、初めて公共事業の実態に気づき、そのことを公表してくださいました。「知らない間に他人の土地の上に計画を立て」「その土地を売れ」と一方的に言われ「そこかしこに思い出の詰まった大事な土地を二束三文でどうして手放すことができるでしょう」と。

しかも、こうばるの皆さんは1円も受け取ってはいないのです。
このような誤解や思い込みも多いかもしれませんね。

どんな問題もそうですが、まずは事実を知ること、実態、実状を把握すること。
その上で自分自身で考える。

石木ダム問題で言えば、
こうばるの人々はなぜ石木ダムに反対しているのか?
川棚川の洪水対策は石木ダム以外に無いのか?
佐世保市は本当に水不足なのか?
そういう事実を知った上で、自分がこうばる住民なら?
自分が川棚町民なら?佐世保市民なら?どう考えるだろう?
もし知事だったらどのような判断をするだろう?

そういうふうに一人一人が自問自答してみることが大切ではないでしょうか?

工事差止訴訟控訴審第1回口頭弁論のお知らせ


みなさま

明日、石木ダム工事差し止め訴訟の控訴審第1回期日が開かれます。

傍聴券抽選に関する時間変更がありましたので、それに伴い行動予定を以下のように変更いたします。

13:20~13:50 傍聴抽選券配布(なるべく13:40までに受け取ってください)
13:40~      門前集会
14:00~      傍聴券配布
14:30~      裁判
15:30頃?~    報告集会

(お願い)
コロナ対策のため、法廷内に入れる人数がいつもよりかなり少なく制限されます。
原告団事務局としては、なるべく「こうばる」住民の皆さんが傍聴できるよう努めたいと思います。
抽選に当たった方は、できれば、その傍聴券を事務局(松本)へお渡し頂ければ大変有難く、ご協力をよろしくお願いいたします。

傍聴できない大多数の方は、報告集会会場(弁護士会館2階ホール)でビデオ上映など予定していますので、そちらでお待ちください。

裁判所も、弁護士会館も、マスク着用していない方や熱のある方の入館はできませんので、検温とマスクは忘れないよう、お気をつけください。

よろしくお願いいたします。

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