「清流をまもる 未来をまもる」講演会 ♥ のお知らせ

興味深い講演会のお知らせです!



近年、気候変動による自然災害のリスクが地球規模で高まっていますね。
日本でも想定外の雨量による豪雨被害が毎年どこかで発生し、治水対策の抜本的な見直しが迫られています。

そこで今回、ダムの効果を知り尽くしている元河川官僚の宮本博司氏と、石木ダムの治水効果を研究し続けている河川工学の専門家今本博健氏を講師とする講演会が開催されることになりました!

主催は県民有志による実行委員会で、共催として、超党派の国会議員による議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」もタイアップ!

安全で安心な、持続可能な未来のために、いま私たちは何をなすべきか、どんな選択肢があるのか、議員も市民も共に学び、考えていきたいものです。

川棚町民の方はもちろん、町外の一般市民県民にとっても、これからの治水対策や防災を考える貴重な機会となるでしょう。

また、もう1人の講師は、元魚類学会会長でシーボルト研究者でもある細谷和海氏です。ダム建設が予定されている石木川の魅力について、生物多様性やシーボルトとの関連も交え、興味深い話が聴けそうです。

講師の詳しい紹介はチラシ裏面にあります。

1人でも多くの方が参加されますよう・・このチラシや情報拡散にご協力いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!

長崎県三大悪政の1つが消えた!

今年も残すところあと数時間。
地球沸騰化時代に突入したと言われながら、対策は遅々として進まず、一方で紛争や戦争はどんどん進行し、子どもたちなど犠牲者は増えるばかり。

日本国内においても、平和憲法や民主主義がどんどん風化している。
国は12月28日、辺野古基地建設を進めるための手続きを沖縄県知事に代わって「代執行」した。国が地方自治体の事務を代執行するという異例の事態。防衛省沖縄防衛局は来月中旬にも、県が認めていない区域で工事を始めるという。

国は公益を声高に言うが、民意を無視した基地建設が公益と言えるのか?
国家権力が地方自治を踏みにじることが許されるのか?

同じことを長崎県がやっている。
公益のためと言いながら、反対する住民の想いや意思は無視して、ダム建設工事を強行している。
代執行の手続きはとっていないが、田んぼや畑を無断で破壊し工事用道路を建設するなど事実上の代執行を行なっている。

12月16日、佐世保市のアーケード街で「長崎県の三大悪政ストップ!県民集会」が開かれた。
三大悪政とは、石木ダム建設、カジノ(IR)、諫早湾干拓のこと。
冷たい雨が降る中、50人ほどが参加した。


ここで採択された集会宣言を22日、佐世保市長や市議会に提出した。


その5日後、国交省は長崎県のIR計画を認定しないと発表した。
私たちにとっては嬉しいニュース!
三大悪政の中の1つが解消されそうだ。
来年こそは石木ダムも…と思えるほど楽観的にはなれないが、希望だけは少し感じることができたかな。

カジノと石木ダムの共通点は、経済重視、今だけ重視、他者は軽視。
つまり、経済的な豊かさばかり追い求め、今を生きる自分たちが豊かであればそれでいい、この事業によって次世代や隣町にどれほどのリスクや被害が生じるかなど関知しない、そんな利己的な考え方が根底にあるように思う。

石木ダムの場合、国による認定はとっくに得ているので、カジノのように国の力で中止になる可能性はないが、だからこそ、市民県民がしっかり考えたい。水需要は減少の一途を辿っているのに、今さら新たなダムが必要なのかと。

水源が豊富だとは言わないが、日常生活に困らない程度の水源は既にある。何百億というダム建設費や維持管理費を将来世代に背負わせ、ダム建設予定地の自然と人々の暮らしを破壊してまでダムが必要かと。

誰1人取り残さない持続可能な未来を、子どもたちのためにも目指したい…

2023年大晦日

 

人口減少率第5位の長崎県に 石木ダムは要らない!

2050年には日本の人口は2020年と比べ、17%減少し、1億468万人ほどになるという。(12月22日、厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所発表)

減少しないのは東京都だけ。他の道府県は皆マイナスだが、その減少率は濃淡がある。30%以上の減少率が予測されるのは、宮城県を除く東北各県と新潟、和歌山、山口、徳島、高知、そしてここ長崎県。

こちらは、12/23付長崎新聞2面の表。


九州・沖縄地方では、沖縄県が一番減少率が低くて5.2%、次いで福岡が12.8%、その他の熊本、佐賀、大分、宮崎、鹿児島はみな20%台で、長崎県のみが33.8%の大台。長崎の減少率は全国で第5位の高さ。

長崎新聞の一面には県内21市町の推計値の表も。人口減少率50%を超える市や町が6つもある!

ここ佐世保市の減少率は31.8%の見込み。
3割以上も人口が減れば、水道使用量が減るのは必至!


「風呂は2日に1回? もう住めない? 水源地の水道料金、急騰の謎」

https://mainichi.jp/articles/20231221/k00/00m/040/366000c

こちらは、12月22日の毎日新聞記事。
水源はたっぷりあるのに水道料金の高騰で住民が悲鳴を上げているという愛知県新城市の話題。値上げの理由は人口減少。

人口減少で水道料金収入は減るが、老朽化した設備整備の更新に莫大なお金が掛るので水道料金を値上げせざるを得ない。
浦上教授が言うように「人口減少が進む日本ではどこでも起こりうる」こと。
同趣旨の記事は3年前にもあった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/12632ba0830ccd9e67572c5cf9b629d7a4af8fa3

こちらは横浜市の水道料金値上げの記事だが、その背景と対策を水ジャーナリストの橋本淳司氏が分りやすく解説している。

・人口減少+水道設備の老朽化→料金収入減少、更新費用は増加→水道料金値上げ
値上げ回避のため職員削減+業務の民間委託→既に限界・災害時に対応できない
見直すべきは設備水使用量減少→施設のダウンサイジング
現有施設を有効活用すること、大事に長く使うこと、無駄な設備を廃止していくこと、計画中の施設でも今後有効に使えないなら中止にすること。

どう考えても、今さら石木ダム建設はあり得ない!

知事の訪問に住民が応じない理由

「地元住民の声を聞こうともしない知事と会って話すことなどありません」
この張り紙は、こうばる住民が抗議の座り込みをしているテントに張られたもので、知事へのメッセージです。

「大石知事が11ヶ月ぶりに現地訪問」「住民側が拒否」「面会実現せず」
このような文言をテレビや新聞で目にした県民の皆さんは、どのように思われたでしょう。

・せっかく知事が訪問しているのになぜ拒否するの?
・張り紙には「住民の声を聞こうともしない知事」と書かれているけど、知事は声を聞きに来たのではないの?聞こうとしているんだから応じればいいのに…
・どちらも話し合いを求めているみたいだけど、どちらも相手が応じないと言っていて、さっぱりわからない。

こんなふうに感じた人も少なくなかったのではないでしょうか。
これまでの経緯をよく知らない方がそう思うのは当然かもしれません。
この機会に、これまでの経緯について、ぜひ関心を持ってください。事実を知れば、なぜこのような事態に至っているのか、ご理解いただけると思います。

昨年3月長崎県知事に就任した大石賢吾知事は、対話を重視する姿勢を示し、4月には住民と共にこうばるを散策し、「ふるさとは尊い」と語りました。
そのような知事に希望を感じた住民の皆さんは、8月と9月の2回、知事との話し合いに応じました。応じたと言うより、それは住民の皆さん自身の希望でもあったのです。

前知事中村知事には住民の方から何度も話し合いを求めていましたが、実現しませんでした。今度の知事ならちゃんと話を聴いてくれ、意見交換ができそうだ、そんな期待感が芽生えていました。

しかし、実際の話し合いは、これまでと同じで、県は県の論理で石木ダムの必要性を説明するだけで、住民の本当の疑問には答えようとしなかったのです。

例えば、治水面で言えば、県が想定する100年に1回の大雨が降ったとき、川棚川の山道橋付近では毎秒1400㎥/秒の水が押し寄せてくる。そうすると堤防から水が溢れ流域の家は浸水被害を被る。それを回避するためには、上流の野々川ダムで80㎥/秒、石木ダムで220㎥/秒の流量を減らす必要がある。

と県は説明するのですが、そもそも100年に1回の大雨というのが、降水量だけでなく、雨の降り方に様々なパターン(短時間でドバーッと降るとか、1日中満遍なく降り続くとか)があり、本当に1400㎥/秒の流量となるのか?これは過大すぎるという専門家の見解もあるのです。治水計画の基本となる数値が間違っていたら、ダムの必要性そのものが揺らぎかねないので、根拠が示されるまでは納得できませんよね。

また、利水面でも疑問はたくさんあって、住民側から多くの質問が出されたのですが、その話し合いの場に佐世保市が参加することはなく、県の職員が佐世保市の主張を代読するというごく形式的なものに終りました。

これでは話し合いの意味が無い。県や市の一方的な主張だけでなく、治水や利水の専門家も交えて公開の場でしっかりと議論したい、意見交換をしたいと住民の皆さんは求め続けているのですが、県はそれにはどうしても応じません。

それどころか、先日(12月5日)の県議会では、「我々としましては、今この時点においてダムの必要性を議論する段階ではないと考えております」との知事の答弁を聞き、住民の方はがっかりされました。

知事(=県)が求めている話し合いは、生活再建のこと。つまりダム建設が前提の話し合いであり、ダムの必要性について話し合いたいとの住民の要望は全く無視しています。
だから、「地元住民の声を聞こうともしない」と書かれてしまったのです。

知事、佐世保市長、あなた方には説明責任があります。
もう何回も説明したと言われるでしょうが、形だけの説明を何度やっても責任を果たしたことにはなりません。ダムのために犠牲を強いられる立場の住民側が納得する形の説明が必要です。
それは、公開の場で、地元住民だけでなく専門家も交えた、公正な議論の中で行なわれる説明です。

県も市も二言目には「ダムの必要性については司法の判断が出ている」と責任転嫁しますが、あれは「石木ダムの事業認定を取り消さなくてもよい」「石木ダム工事を差し止めなくてもよい」という判断に過ぎません。行政自らが改めて事業評価を行ない、石木ダム建設の是非を決めることに何ら問題はありません。

事業の見直しに遅すぎるということはありません。
大石知事と宮島市長の勇気ある行動を待っています。

石木ダム 手抜き工事宣言!?

12月5日の県議会、土木部長の答弁を聴いて驚いた。
それって、「手抜き工事宣言」ですか?

一般質問で、堀江ひとみ議員は、こう切り出した。
「石木ダム事業における測量設計費、30億円の予算に対し既に49億円使っていますね。予定額の1.6倍も使われた理由は何ですか」

土木部長は初め「事業の長期化に伴い、技術基準等の改定による設計業務、新たな調査手法を用いての地質の調査解析など、追加費用が発生していることから増額となっています」と答えた。

堀江議員は1974年(昭和49年)の石木川の河川開発調査結果を持ち出し、「一部に大きい透水箇所や湧水箇所が見受けられた」とあるが、この地質問題の調査が長引き費用が膨らんでいるのではないか?と質すと、

土木部長:ダムに水をためると水圧がかかります。地盤に亀裂が入っていると水圧でそこを水が抜けていく可能性があるので、その基礎処理工を今後していく必要があります。その範囲をどのぐらい対策をしなければいけないのか、それがまだつかめておりませんので、それを掴むための地質調査を進めているところです。

堀江議員:その地質調査はまだ終わっていないので、測量設計費にかかる費用は、これからもかかるってことでしょう?

土木部長:はい。増える可能性を持っております。ただ、その測量設計費が当初の予定より増えていることにつきましては、働き方改革ですとか、資材の高騰などいろんな影響がありますので、工事の進め方など検討していきたいと思っております。

堀江議員:資材高騰などで測量設計費が増えれば、総事業費もこれから増えるということですよね?

土木部長:いえ、建設費に係る予算のコストダウンなどに努めて、総額で収まるように、まずは努力して、令和7年度完成という姿勢も変えることはなく、工事の進め方などを検討してまいりたいと思っております。

堀江議員は来年度が石木ダムの再評価の年であることを確認した上で、再評価のあり方についても質した。

堀江議員:石木ダム事業の費用便益比B/Cは、再評価のたびにどんどん小さくなっています。2007年=1.43、2011年=1.27、2019年=1.21と。もしも今回費用が大幅に増えれば、1を下回る可能性もある。そうなると、石木ダム建設の意義そのものが問われることになる。それだけに、今回の再評価は重要であり、公正な資料に基づき、中立な委員によりなされるべきです。しかし、その再評価を行なう長崎県公共事業評価監視委員会は、県が選んだ委員によって、県が用意した資料を基に検討しています。事業評価のあり方として、専門家も交えた石木ダム事業に特化した委員会を設置する考えはありませんか?

土木部長:県公共事業評価監視委員会は技術分野を含め、様々な分野の専門家から構成され、幅広い視点でご意見をいただいています。また、令和2年には事業の必要性を認める司法判断が確定しており、石木ダムに特化した委員会を設置する考えはございません。

堀江議員は、県民の間から、石木ダム事業については特化した委員会を持つべきという声が寄せられているので、今一度検討してほしいと要望し、知事への質問に移った。

堀江議員:昨年9月以降、知事と反対住民との話し合いは途絶えたままです。信頼関係を築くために、工事を中断して話し合いをする考えはありませんか?

知事:昨年9月以降、話し合いには応じていただいておりませんので、職員が毎月お話し合いのお願いを続けております。今後もご理解いただけるように努力はしていきたいと思います。

堀江議員:ご理解をいただく努力というのは何を指しているのですか?今回補正予算で提案されている石木ダム基金のことですか?住民との対話を模索するのではなくて、反対地権者を協力感謝金で事業推進に変えようと考える、その知事の姿勢が問われているのですよ。

知事:基金については、生活再建に向けた支援や地域振興策に関して準備するものです。理解を得る努力については、私も話し合いを望んでいますが、住民の方からは「ダムの必要性を議論をしなければ、話し合いには応じることができない」ということでした。我々としましては、今この時点においてダムの必要性を議論する段階ではないと考えておりますので、そこの理解が得られてないものと思います。

この日の土木部長や知事の答弁で分ったことをまとめると、

1.ダムの必要性を見直す時期は過ぎた。今はダム完成に向け前進あるのみ。地元の方とはダム完成後の生活再建について話し合いたい。

2.石木ダム建設予定地の地盤には透水性の高い箇所がある。

3.その対策処理工事をするために地質調査を継続中で、その費用は今後も増えるだろう。

4.地質調査費は測量設計費に含まれており、測量設計費は既に予算額の1.6倍も使っているが、増額の原因は地質調査だけでなく、人件費や資材の高騰もある。

となれば、人件費や資材の高騰による予算増は測量設計費に限ったことではないので、当然本体工事費も増額となり、総事業費はいかほどになるのか…と誰もが心配になる。ところが土木部長は、

5.建設費のコストダウンに努めて、総事業費は予定額の285億円で収めたい。

6.工期も変更せず、令和7年度完成とする。

とおっしゃっている。

言い換えれば、「測量設計費に使い過ぎちゃって、さらにまだお金がかかりそうなので、建設費を削ります~」ってこと?
どうやって削るのか?

石木ダム事業費内訳書の資料を見ると、測量設計費は昨年度末時点で約19億円オーバーしている。まだ増えるとのことなので、最低でも20億円は増えるとして、では、工事費86億円から20億円削るのか?だとしたら23%ものコストダウン!

人件費や資材費が高騰している中でそのような大幅な減額はあり得ない。あり得るとしたら手抜き工事しかない。鉄筋を10本打つべきところを8本にするとか、コンクリートを10t使うところを7tにするとか、10人で作業すべきところを6人でやっつけるとか…

また、工期も変更しない(令和7年度までに完成)とのことだが、現在の行程表では、ダム本体工事を令和6年度までに完成し、令和7年度は試験湛水をやって水圧に耐えられることや漏水がないことなど全てのチェックを終える、その完成予定が7年度である。

まだダム本体は影も形も見えていないのに、あと1年と4ヶ月足らずでダム本体を完成させるというのか?

「石木ダムは手抜き工事で建設します!」と宣言しているようなものだ。

手抜き工事の結果、何が起きるのか?
ダム湖からの水漏れであったり、堤防のひび割れであったり、そのひび割れが地震の揺れで大きくなり、ついには決壊したり・・・などという可能性に繋がる。被害を被るのは下流域の川棚町民。

ハテ?
石木ダムは川棚町民の安心安全のための公共事業ではなかったのか???

期待しています!石木ダム議連❤

日本は一応「議会制民主主義」の国である。
議会制民主主義とは、国民から選ばれた代表者が「議会」で話し合い、政治を行う制度である。
しかし不思議なことに、国民の代弁者が集まって決めたこと=国民の声とはなっていない。原発政策しかり、選択的夫婦別姓しかり、辺野古基地建設しかり…数え出すと切りが無い。

なぜ国民の声が反映されないのか、その原因の最たるものは選挙制度。
現行制度のもとでは死に票が多く、民意が届きにくい。
で、投票意欲を失う国民が増え、投票率が低下。
ますます組織票で当選する人が増え、議会は国民代表ではなく組織代弁者の集まりになっているような気さえする。

地方議会も同じで、ここ長崎県の場合、半世紀にわたる懸案事項の石木ダム建設について、県議会では圧倒的多数の議員が賛成しているが、様々なアンケート調査結果を見ると賛成派は決して多くない。

昨年1月長崎新聞社が行なった県民アンケートでは、賛成2割、反対3割、わからないor知らない5割だった。
ところが昨年10月の県議会での石木ダム推進決議賛成者は9割!この乖離は何故だろう?

選挙の時は石木ダムの賛否で選ぶわけではないので、一致しないのは当然と言えば当然か。
また、政党による縛りもあるだろうし、後援会や支援団体(企業や組合)への忖度も大きいかも。

そういった現実の中で、石木ダム計画にもの申す貴重な議員達の集まりがある。
「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」である。

2019年9月14日に発足し、現在会員数は100人を超え、県内外の国会議員・県議・市議・町議が参加し、所属政党も多様(立憲、共産、国民、社民、無所属)で、その目的は名前の通り「石木ダム事業における強制収用に関わる手続きの見直しを求めること」とある。

先日(11月10日)、その議連の総会が開かれた。
私も市民団体からの現状報告を求められ参加した。
その内容はこちら。2023.11.10 石木ダム現状報告

続いて各議員からの報告。
山田勝彦衆議院議員、小田徳顕佐世保市議、堀江ひとみ県議、牧山大和県議、坂本浩県議、炭谷猛町議が、それぞれの議会の場で質問し判明したことなどが語られた。

それらを総合すると、山田議員が今年4月に国会で質問し、事業費は既に7割消化されているが、ダム建設工事はまだ1~2割しか終わっていない(それも道路工事がほとんどで本体工事はこれから)ということが判明。

それを請けて坂本県議が6月の委員会で、牧山県議が9月議会の一般質問で、堀江県議も10月の決算総括質疑で、さらに突っ込んで質問。

そこから見えてきたのは、事業費の増額は間違いないという確信。
堀江県議が入手した事業費の内訳書石木ダム事業費内訳書を見ると、
測量設計費は既に予定の1.6倍の金額を使っている。

これは何を意味するのか?
この増額の原因が、「近年の資材・人件費の高騰」ならば、これから始まる本体工事費も1.6倍は覚悟せねばならないし、測量設計費に含まれる地質調査の増加によるものならば、地質の問題の深刻さのせいであり、地質対策工事費の大幅増を覚悟しなければならないだろう。

いずれにしても、事業費の増額、工期延長は必至であり、来年度の石木ダム再評価が極めて重要な場となる。

そこで、9月26日に大石知事と1対1で面談した山田議員は、「再評価の際には正確な数値を誠実に出してほしい」と迫ったところ、知事は「事業費は県が決められるものではなく、評価を行なう第三者委員会が決めるものだ」と答えたそうだ。大石知事が本気でそう思っているのかどうかは定かではないが、それはとんでもない誤解だ。
長崎県公共事業評価監視委員会の委員を選ぶのは県土木部であり、評価のための資料を作成するのは土木部河川課であり、ダムの専門家でもない委員たちが、この予算では少なすぎるとか多すぎるとか判断できるものではない。

ちなみに現在の委員は、元市長や弁護士や学者(工学部、薬学部、水産環境科学部等)など。各々の分野の専門家であっても、治水や利水に関しては素人である方々がダム建設費の妥当性をどうやって判断できるというのだろう。
河川課による説明を鵜呑みにして、追認するしかないだろう。

2015年8月に行なわれた石木ダム再評価において、当時の委員の1人は「専門家ではないので出された情報をどう読み取っていけばいいのか・・我々では能力が足りない。専門家を交えた議論の中でお互いに合意に至っていただきたい」と述べていた。その委員も現役の大学教授だったが、正直な感想だったと思う。

そのようなコメントも活かされることなく、ますます行政の方針を追認するだけの「評価監視」委員会となっているようだ。

形骸化した評価制度は税金の無駄遣いだ。
本当に県民のためになる公共事業なのかどうか見極めることのできる第三者委員会を立ち上げるためにも、議員連盟の皆さんにはこれから頑張っていただきたいと切に思う。

議員連盟のホームページはこちら。
https://ishiki-giren.org/

総会資料はこちら。2023石木ダム議連総会資料

新事務局のお1人、中西大輔(五島市議)さんの報告記事はこちら。
https://nakanishidaisuke.com/2023/11/ishikidam/

水道料金と石木ダム~2009年の市議会議事録から~

先日、あるミーティングで「石木ダムに関心があってネットで検索したが、石木川まもり隊のホームページは出てこなかった」と言われ、ショック!😿
以前は『石木ダム』で検索したら、必ず『石木川まもり隊』のHPやブログにアクセスできていたのに…最近は更新が疎かになっていたからですね。🙇

みなさん、まもり隊は消滅したわけではありませんよ~

メンバーは相変わらず精力的に活動を続けています。

現地での抗議行動、佐世保市内でのスタンディングや勉強会、
市長との対話要請行動、石木ダムパンフレット作成等々。

しかし、いかんせん、年齢と共に体も頭も動く速さが低下して、報告記事まで手が回らず…というのは言い訳に過ぎませんね。深く反省。

そこで、とりあえず今日は、勉強会についてお伝えしたいと思います。
私たちは今、月に2回、石木ダムに関する勉強会をおこなっています。

・第1木曜日10時~12時=石木ダム問題全般

・第3日曜日13時~15時=石木ダムの利水問題
(佐世保市は本当に水不足なのか?他に水源確保の策はないのか?等)

会場はどちらも、させぼ市民活動交流プラザです。

ご都合の良い方に参加してもらえればと思い2つの会を設定したのですが、両方に参加されている方も多いので、同じ内容にならないようテーマを分けています。

市内外を問わず、どなたでも参加できます。大歓迎です。
お問い合わせはこちらまで。https://ishikigawa.jp/contact/

ということで、今日は、直近(11月2日)の勉強会の報告です。
この日のテーマは、「水道料金と石木ダム」、資料はこちらです。
佐世保市 平成21年9月定例会企業経済委員会 9月18日


佐世保市は2010年4月に水道料金が値上げされましたが、それについて、前年の9月~12月にかけて、行政と議会の激しいやり取りがあったのです。

2009年9月18日企業経済委員会の議事録を紐解けば、その様子が垣間見えます。

当初の料金改定案(約3割の値上げ案)に対し、委員たちは全員反発。値上げ幅を抑え、足りない分は一般会計からの繰り出すべきだと要求しました。なぜなら、石木ダム事業費の負担が水道会計を圧迫しているから。

委員会に呼び出された副市長と財務部長は、総務省で定められている公営企業に対する繰り出し基準を盾になんとか免れようとしましたが、委員たちは一歩も引きませんでした。

石木ダムは市の重要課題と位置づけているのだから、水道局だけに任せるのではなく、全庁的に取り組むべき。この大事な局面に市長がいないのは由々しき問題!市民に対して失礼だ。など委員の総攻撃?に押されて、副市長は持ち帰って検討することを約束し、継続審議となりました。

その結果、値上げ幅は2割に抑え、不足分は一般会計から補填することとなったのです。

一般会計からというのは、市民の税金からということで、私たちのお財布から出て行くお金に変わりは無いのですが、とりあえず水道料金の大幅値上げが抑えられたということで市民の反発も収まり、市議も役目を果たせた形になりました。

今の市議会では滅多に見られない現象です。

現状は、行政からの提案はほとんど異論無く通過。(反対意見を述べるのは、いつも共産党議員だけ)石木ダム問題に至っては、行政と議会はタッグを組んで市民の動きを抑えようとさえしているかのよう…。このような市議を選んだのは私たち市民なので、誰にも文句は言えないのですが。

でも、こういうものだと諦めることはしたくありません。議会と民意の格差を少しでも是正できるよう私たちは模索しています。

そのツールの1つが勉強会です。一度覗いてみませんか?

公共事業を糾す院内集会


10日ほど前になりますが、公共事業改革市民会議による院内集会が久しぶりに開催され、多くの関係者が集いました。

石木ダムからは現地の厳しい状況のため上京は見合わせ、オンライン参加となりました。3時間超に及ぶ集会の様子を簡単にまとめてみます。

まず初めは寺西俊一氏(日本環境会議理事長・一橋大学名誉教授)による基調講演で、

公共事業の歴史や、現在の酷い状況、今後どのように改革していけばいいのかなどが語られました。

こちらに資料が掲載されています。
公共事業改革寺西講演PP20230928.pptx – Google スライド

中でも、ひときわ理不尽な公共事業として寺西さんが挙げたのは諫早湾干拓事業辺野古基地建設

諫早湾干拓事業は海の環境破壊、それに伴う漁業被害だけでなく、政官財の結びつきによる利権構造の典型とも言えるものでした。

自民党への献金はここに記載されているものだけでも4億円、総額は7億円に近いものだった!天下り先もしっかり用意されていたのですね~

一方、沖縄では、軟弱地盤の辺野古に無理矢理基地を建設しようとする暴挙が国によって強行され、それに反対する県民や知事の訴えを裁判所は認めず、先月最高裁は上告を却下しました。

なぜこのような理不尽なことがまかり通っているのでしょう?

その1つは、どんなに無駄な公共事業でも、それを客観的に見直す体制が整っていないから。現在の事業評価制度は形ばかりで全く役目を果たしていない。

なんと、2021年度の国交省の事業評価では、合計689件中、中止になったのは1件だけ!

いわゆる「お手盛り評価」。試験問題を作った人が自分で回答し、自分で採点するようなものです。

寺西氏は、「事業評価の方システムや制度を作り直すことが求められている。そのためには公共事業改革基本法という法律を、法律家や国会議員や皆さんと共に作る必要がある。これを公共事業改革の突破口にしたい」と熱く語り、「そして、21世紀の後半にはまともな公共事業に私達の税金が使われる、当たり前の時代を取り戻す。ソーシャル・コモンの復権を目指そう」と結ばれました。
(21世紀後半?そんなに先の話では困るのですが・・・)

続いて、各地からの報告です。

トップバッターは石木ダム。与えられた10分以内におさまるよう、石木川まもり隊のIさんが編集した動画をご覧ください。


続いて、川辺川ダム、東京外環道、横浜環状道路(圏央道)、中部横断自動車道、リニア新幹線、スーパー堤防、諫早湾干拓、の7つの事業の現地から報告。

国会議員からは、穂福島瑞穂参議院議員、山崎誠衆議院議員、そして嘉田由紀子参議院議員は滋賀県からオンラインで参加。

嘉田議員:日本は三権分立していません。
政権与党方針に従う裁判官が9割5分。司法が行政の下にある。だから沖縄の裁判でも石木の裁判でも、司法のメスが入らない。

全国の裁判官3500人ほどの人事は全て最高裁の事務総局が押さえていて、しかも、最高裁の判事が、法務省とか国交省とかの法令官僚になっている。いわゆる判検交流。各省庁に100数十人。司法の独立性、三権分立を取り戻すために、判検交流やめるということを、私はこれから国会で大きな声で言っていこうと思っている。

そして、やっぱり政権交代しないと今の公共事業は止まらない。いろいろ批判はあるが、民主党政権になってコンクリートから人へということで、スーパー堤防も止まり、川辺川ダムも一旦止まり、そして荒瀬ダムの撤去には国がお金を出してくれた。自治体も国も選挙で政権交代する。それをしないと、公共事業問題の出口は見えない。選挙こそ民主主義の原点。1票1票の力で、仕組みを変える政治家を生み出していただきたい。

最後に、私が今一番心配なのは石木ダムのこと。日々追い詰められている石木の皆さんの健康状態と、それから精神の状態、本当に心配なので、支援者の皆さん現場からのサポートをよろしくお願いいたします。

私たちにとっては大変ありがたいメッセージをいただきました。臨時国会が始まったら、公共事業チェック議員の会の立て直しも始まるようです。私たちは大いに期待しています。国民と議員が力を合わせなければ、行政や司法の巨大な壁はビクともしませんから。

集会全体の録画ビデオはこちらです。

市長からの回答…まるで判じ物

今日の西日本新聞にも掲載されていますが、佐世保市内の4団体が市長との対話を再要請しました。

なぜ再要請したかと言うと、何回読んでも市長の回答文書が意味不明だったからです。

経緯はこうです。

7月10日、4団体、石木ダムについて市長との直接対話を要請。
20230710宮島市長への面談要請書

7月31日、市長、4団体に回答。
20230731市長からの回答

8月15日、4団体、市長へ直接対話を再要請。
20230815市長への質問と再要請

 

私たちのの要請事項は単純明快「石木ダム建設について私たち市民との直接対話の場を設けてください」でした。

それに対する回答文書は「石木ダム建設推進の立場を踏まえ、大石賢吾知事と歩調を合わせつつ、状況に応じて適切に判断しながら対応してまいりたいと考えております」でした。

 

これでは、対話の場を設けるとも設けないとも書かれてなくて、どう理解してよいのやら…。

読めば読むほど、まるで判じ物のようでした。

 

「大石賢吾知事と歩調を合わせつつ」やるのなら、市長も知事と同じように私たち4団体と「対話します」となるはずなのに、そのようには書かれていない。また「対話をしません」とも書かれていない。

「状況に応じて適切に判断しながら対応」すると書かれているだけ。具体的にどういう対応をなさるのでしょう?

状況に応じて…いろんな状況があると思いますが、いま市長は市民団体から対話を求められている状況です。

その状況に対する適切な判断とはどうあるべきか、もしや迷っておられるのでしょうか?それで、対話するともしないとも答えられない?

迷う必要はないと思います。

なぜなら、知事は「皆様のお考えを佐世保市に届けることも重要なことだと思います。市の方でもしっかりお答えされると思いますので、よろしくお願いいたします」と私たちにお願いされたのですから。

私たちはその知事の意向も踏まえて今回の要請を行なったのです。

私たちの要請を断ることは、知事と歩調を合わせるどころか、知事の意向に背くことになるのではないでしょうか?

そして、ご自身の政策(市民との対話を深化させ市民目線の市政実現)にも逆行し、市民の期待を著しく損なう結果になってしまうでしょう。。。

 

 

生活再建に向けた基金創設!?

7月20日、大石知事は佐世保市の宮島市長とトップ会談。少子化対策をはじめ、医療提供、IR誘致、石木ダム等々の課題について非公開で意見を交わした。

その後の会見で判明したこととして、注目の石木ダムについて毎日新聞が詳しく報じている。 記事によると、両者の共通認識(石木ダムは必要不可欠)を踏まえた上で、大石知事から次のような提案が示された。

●建設予定地住民の生活再建に向けた基金を創設する。

●基金は県・佐世保市・川棚町が対象で、連携し協議する。

●建設反対住民については理解を求める努力を継続する。

 宮島市長はこれまで通り「県と連携し取り組んでいく」と話したと書かれているので、知事の提案通り、基金創設に向かうのだろう。
ちょっと待った!これでは本末転倒ではないか。
住民の皆さんが求めているのは、お金ではない。ダムの必要性についての真摯な話し合いと公正な検証だ。

かけがえのない故郷への愛着と誇り、守り続けてきた先祖への感謝と継承責任。これらを乗り越える必要性を示して欲しいのだ。

それには応じないで、生活再建のためと称して目の前にお金をぶら下げるとは、住民を貶める発想だ。

長崎県や佐世保市の考える解決策とは所詮そんなものなのか…

住民の皆さんにとっての幸せはお金では買えない。だからこそ半世紀も闘い続けているのに、その想いが何故未だに理解できないのか不思議でならない。

今日の長崎新聞を知事や佐世保市長も読んだだろうか?
石木ダム工事のため、半分近くの田んぼが破壊されてしまったKさん。ショックと悔しさを乗り越え、子や孫や親戚の人と力を合わせ、残った田んぼに今年も稲を植えた。

その孫は「ばあちゃんがここを守っている。できるかぎり続けていきたい」と語り、Kさんは「秋の稲刈りもみんなで集まりたい」と願ったそうだ。

Kさんの幸せ、こうばるの皆さんの幸せを奪うほどの必要性が本当に石木ダムにあるのか。

まずはそれに向かい合うこと。

住民の皆さんの疑問に真摯に答え、説明責任を果たすこと。

その結果ダムの必要性が理解されたなら、その後で生活再建の話、お金の話などをするべきだ。順番が逆になると、お金が欲しくてダム建設を容認したと誤解する人々も少なくないだろう。

誇り高きこうばる住民にとっては、ますます容認し難くなる。

それが予想できないなら、半世紀に及ぶ闘いで県は何も学んでこなかったことになる。

予想できて、敢えて打ち出したのなら、その意図は何なのか…