第1回 市民による石木ダム再評価監視委員会

大雨警報発令中の7月15日、いよいよ第1回「市民による石木ダム再評価監視委員会」開催です。

委員の中には悪天候で辿り着けないことを心配して前泊された方も…。

足下の悪い中、会場には約50人の傍聴者。


開会のあいさつをする「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」共同代表の深澤 奨さん 
市民による石木ダム再評価監視委員会 第1回 事務局のあいさつ (youtube.com)

いよいよ開始です。

まず始めに委員長の西島さんから、始めの言葉。
・公正な再評価とはどういうものか
・過去の県による石木ダム再評価は公正だったか?
・今回の再評価を公正なものにするためにはどのような資    料や説明が必要か?等々について、これから専門家委員に解説してもらいますと。市民による石木ダム再評価監視委員会・委員長のあいさつ (youtube.com)

 

ここで 、この「市民による石木ダム再評価監視委員会」の委員の皆さんを紹介します。委員紹介・市民による石木ダム再評価監視委員会04

 

まず初めのテーマは、治水です。
はじめに今本委員、続いて宮本委員の順に話していただきます。

今本博健委員:粗度係数の見直しが必要

今本・治水説明資料20240715

自然の河川は凸凹ガタガタしているので、不等流計算によって水位を算出する。その際に必要なのが「粗度係数」だが、長崎県が設定した粗度係数には大きな疑問がある。何故なら、その算定に必要な洪水観測を一度も行なっていない。

さらに、河川改修により粗度係数は減少しているはずで、その妥当な係数を使えば、石木ダムが無くても、水位は堤防を越えないか、超えるとしてもごく僅かで、その部分の堤防を高くすることで対応できる。

石木ダムのように必要性の乏しいダム計画をこれ以上長引かせてはならない。今度こそ県の評価委員は真剣検討し、結果出しいただきたい。再び「継続」いうのであれ私達議論してほしい学者して専門家して使命議論してほしい。
市民による石木ダム再評価監視委員会・今本博健氏 (youtube.com)


 

宮本博司委員:長崎県の治水計画に信無し

宮本・治水説明資料20240715

川棚川流域平均雨量の求め方がおかしい。流域内の複数地点の実際の雨量データを用いて平均値を算出すべきなのに、県は「過去の実績データの相関から、佐世保の雨量の0.94倍」としている。

何故そんなことをするのか?県は裁判でこう説明している。「川棚川流域には昭和22年から昭和60年まで雨量計がなかった。だから、佐世保の雨で計算しました」と。

しかし、データはあった! 昭和22年から、川棚町役場と上波佐見にデータがあった。昭和49年からはさらに波佐見に2箇所ある。(裁判で嘘を言った!?)川棚川流域の平均雨量を佐世保の0.94と定義づけるのは全く不合理です。

この雨量を基に洪水計算をするのですが、そのときに流出モデルを作ります。このモデルを実際に降った雨で検証する必要があります。それを検証するためには、まず基準点の山道橋と、それから石木ダム地点での流量観測が必須です。ところが、石木ダム地点の流量観測のデータが無いんです!

ダム地点と基準地点の洪水ピーク時間が一致することになっているが、それはあり得ない。この小さな石木川流域に降った雨と、その8倍もある川棚川流域に降った雨が同時に到達するはずがない。仮にピーク時が2時間ずれれば、石木ダムがなくても安全に流れます。

川棚川河川整備計画では、石木川合流点よりも下流は100年に1回の大雨に対応し、上流は30年に1回の大雨に対応することになっている。そうすると、たとえば100年に1回の雨が流域全体に降った場合、上流では30年に1回の雨にしか対応できないので水が溢れる。そうすると、基準点の山道橋には1400tも流れてくるわけがない。

このように、長崎県の治水計画は全く信用できない。こういった点について今まで全く議論されてこなかったことがおかしいし、今回はきっちり説明していただきたい。

今本委員:宮本さんにちょっと伺います。長い間、宮本さんは建設省でダムを造るかどうかの審査をされていた。今もしそういう立場にいたら、石木ダムをどう審査されますか?

宮本委員:私も今まで何百というダム計画を作ったり見たりしてきましたが、これほどあきれる計画はないですね。さきほど、「県は昭和21年から60年までは川棚川流域内に雨量計がなかったと言っていたが、実は昭和22年から2箇所あった」と言いました。昭和23年に大きな洪水があったんですが、実はその時、その2箇所の平均雨量と佐世保の雨量とを比較して分析してるんです。ということは、知らなかったんじゃないんです。知っていて、わざわざ佐世保の網を使ってるんです。これは、うっかりミスではなく、虚偽です。で、私がこういう説明を受けたなら…「蹴飛ばすぞ」と言いますね。本当に。それほど酷いですね。
市民による石木ダム再評価監視委員会・宮本博司氏 (youtube.com)

~~~会場が笑いに包まれたところで10分間の休憩~~~


委員長:
では、利水について富樫さん、お願いします。

富樫幸一委員:水需要予測は捏造?
       慣行水利権は安定水源!

02富樫・利水説明資料20240715


 

2012年の水需要予測はあまりにもひどかったが、2020年の予測もかなり操作されています。
人口が減っているのに平均給水量を横ばいにし、負荷率を操作することで一日最大給水量を大きくしています。近年の負荷率は90%前後なのに、予測では平成11年度の80.3%を採用している。これは、やってはいけない操作です。

石木ダムで新規水源を開発した場合、ダム本体よりも関係施設の建設費の方がはるかに大きいので、水道事業会計にとって大きな負担となり、料金の値上げを迫られます。人口減少、給水量の減少を考えれば、ダウンサイジングこそが必要です。

佐世保市は慣行水利権の扱いについて一般的な解釈とは異なる説明をしています。慣行水利権は河川法以前から認められた権利ですが、市は水源としてカウントせず、保有水源量を意図的に減らし、その結果石木ダムが必要と主張しています。

ところが、市が不安定と定義した三本木、四条橋、岡本の3つの水源は互いに補完し合っており、2007年度(渇水年)でも平均15,000m3/日~20,000m3/日程度の取水を続けていました。

現計画(石木ダム建設、河川自流水依存の慣行水利権放棄)を進めるなら、大規模渇水時にダムは役に立たないので、最も頼りになる河川自流水からの取水ができなくなり、渇水被害は今よりも厳しくなるでしょう。
以上です。
市民による石木ダム再評価監視委員会 利水の課題について (youtube.com)

 



 

谷委員(公募):慣行水利権とはどのようなものですか?

 

富樫委員:明治時代に河川法ができる前から既に取水が認められていた権利です。既得権ですね。許可水利権と同等の権利です。むしろ安定水源と言うべきです。

委員長:市は水利権水源が足りないから石木ダムが必要だと言ってるわけですが、そこには慣行水利権はカウントされてないってことですか?

富樫委員:そうです。佐世保市は慣行水利権を不安定な水源として扱っているので。しかし、それは学会では通用しない。慣行水利権も水源としてカウントするのがスタンダードです。

委員長:谷さんは佐世保市にお住まいですが、一人当たりの水の使用量が今後増えるという市の予測についてはどう感じていますか?

谷委員:家庭では節水タイプの機器が増えているし、もともと佐世保市民は節水意識が高いし、水道料金のことも考えると、今後使用量が増えていくという予測は不自然に思います。

委員長:ありがとうございます。
では、次は地質の問題について、宮本さん、お願いします。

 

宮本委員:ここはダムの適地ではない!

宮本・地質説明資料20240715

石木ダムの下流約100メーターぐらいのところに、今は既に埋め戻されているが、深さが50メーターぐらいの採石後の大きな穴がありました。

透水性を示すルジオン値とは、岩盤の中に水を押し込んだときに、どれだけ水が漏れるかということです。赤い表示は20を超えることを示していて、それは漏水が非常に多いということです。それがこのダムサイトには結構たくさん存在しています。

通常ダムよりも漏水対策費が格段に高くなることは間違いない。この漏水対策費が適正に計上されるかどうか、これが一つのポイントだと思います。

それ以上に気になるのが地下水位です。ダム湖周辺の地下水がダムの水位最高水位よりも低い場合には、ダム湖の水がダム湖の外に漏水するんです。

私が昭和53年に建設省に入ったときに、私は上司から言われました。「ダムをどこに造るかを判断するときに、まず真っ先にチェックしなきゃいかんのは、地下水位がダムの最高水位より高くなってるということが絶対条件だよ。これが低かったら、いくら漏水対策しても貯水池から水が漏れるから、絶対そんなとこにダムを造ったら駄目だよ」と教えられました。

これが、石木ダムの地質断面図です。常時満水位というのは、ここまで水道の水を溜めますよという位置です。この赤い線が地下水位線です。こんなに低い。これは致命的です。ダムの技術者ならダムサイトとしては選定しません。

ただし、貯水池の周りを全部漏水対策すれば可能かもしれませんが、そのときには膨大なお金がかかります。今のまま突き進んだら、そういうことになります。これは今までの裁判でも全く指摘されてないけれども、非常に重要なポイントです。
市民による石木ダム再評価監視委員会 地質の問題について (youtube.com)

 

委員長:ありがとうございます。続いて、つるさん、環境について説明してください。

つる詳子委員:生物保全に対する長崎県の石木は半世紀前のまま!

02つる・環境説明資料20240715

 

川辺川流域の10分の1くらいしかないところに、こんなに多くの鳥類や魚類が!見間違いじゃないかと思うくらいびっくりしました。ところが県が保全を検討しているのは植物9種、底生動物3種、昆虫4種だけ!

鳥類で言えば、貴重な種が32種いるのに環境保全措置が必要な種はゼロ。それでいいのか?とりわけ猛禽類の存在を軽視している。生態系の頂点に居る猛禽類の棲息は、川原の平野地に多くの小動物が棲んでいる証。その平野部がダム湖となって失われればどうなるか…

また、石木川には25種の魚がいて、2008年時点では、その中にシーボルトが持ち帰ったと言われる15種が全て入ってました。ところが22年には13酢がレッドリストに入っている!

ダム建設と河川整備計画はセットです。ダムができたところは、どんどんコンクリート化されていくんですよ。そのことによって生き物は住処を失いどんどん減っていきます。

生物保全に対する長崎県の意識は50年前のままであり、SDGsの理念からも完全に外れている。石木ダムは即刻中止しないと将来に必ず禍根を残すと思います。
市民による石木ダム再評価監視委員会 環境の問題について (youtube.com)

谷 委員:たいへん興味深く聴かせていただきました。住んでいるのは人間だけでは無い。鳥や魚や、微生物であっても同じ生きものとして共存共生しています。移植すればいいという問題ではないと思う。私は自然のサイクルを大事にしたいです。

 

委員長:次に石木ダム事業全体として捉えた場合の課題について、宮本さんお願いします。

宮本委員:費用対効果の算出は捏造?

資料 宮本・全体説明資料20240715

ダム事業治水利水一体なった事業あり、それを切り離して再評価するのは理解できない。2つの目的に合わせて、ダムの規模や、水没面積や、事業費が決まるのだから、総合的に検討しなければ正しい評価はできない。

事業費が変われば、費用対効果も代わるが、そのB/Cの算出方法がおかしい。

県は氾濫被害の解析をするときに、昭和50年当時の河道の状態で解析している。(当時の流下能力は毎秒587㎥だったが、現在は毎秒1130㎥の水を流すことができる)今の状態で計算しなければダムの効果はわからない。

また、100年に1回の大雨(1日に400mm)が降ると、石木ダムで7.3億円の被害軽減ができると言うが、雨の降り方9パターンのうち、そう言えるのは1つのパターンだけ。あと8つのパターンでは被害が出ない。つまり石木ダムの便益は、7.3億÷9で、わずか8000万円だけです。

利水はもっと酷い。佐世保市の説明では、2年後の令和8年には給水制限が年間293日もあると想定し、年間被害額は40億円という。あまりにも酷すぎるB/C算定。石木ダム計画は治水も利水も、ダムを造るための「捏造計画」としか思えない。

今回の再評価では、評価監視委員会でこれらのことをきっちり審議し、県はしっかり説明していただきたいと願っています。
市民による石木ダム再評価監視委員会 事業費・工期延長、費用便益比への影響などについて (youtube.com)

 

委員長:ありがとうございます。評価の判断指標の1つに「地元意向」いうものあるます今日は地元川原(こうばる)からも来ていただいてますので、お願いします。


岩本宏之さん:地元住民として伝えたいこと

こうばるは静かな中山間の集落で、初夏にはカエルの合唱、ホタルの乱舞、夏には町内外の子どもたちが石木川で遊ぶ、かけがえのない場所です。私達はここに住み続ける権利があります。

石木ダム事業の本当の目的は佐世保市の利水のためであり、治水(川棚川の洪水対策)は、国の補助金をもらうための付け足しです。

昭和47年、予備調査をするため、県が地元と交わしたの覚書の第4条には「調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて地元と協議の上、書面による同意を受けた後に着手するものとする」となっていますが、その約束はまるで無かったかのように、調査終了後の翌年、県は事業に着手しました。

あれから半世紀、この間、佐世保は平成6年の大渇水で断水が続きましたが、それ以降、断水は一度も起きていません。人口も減り、水需要も減り続けています。

すると県は、川棚川の治水が重要だと言い出しました。しかし、石木ダムでは近年各地で起きている想定外の豪雨には対応できません。ダムを造れば安心安全ということは絶対にありません。

ダムの必要性について知事と話し合おうとしても、「裁判の判決が出ているから話し合う必要は無い」と言われます。

私たちが抗議の座り込みを始めて14年になります。私たちはいつまでこの

行動を続ければいいのでしょう。このままでは蛇の生殺しです。

これまでに県は9回の工期延長を繰り返してきました。今回の再評価で継続となれば10回目です。また何年延ばすのか、また事業費を何百億円増額するのかわかりませんが、県の評価監視委員会は、県が示す資料を鵜呑みにするのでは無く、自分の目で現地を見て欲しい、住民の声を聞いて欲しい、費用対効果など時間をかけて審査し、自身の判断をしめしていただきたい。
市民による石木ダム再評価監視委員会 地元の意向 (youtube.com)

 

委員長:岩本さん、ありがとうございました。それでは、これで、まとめに入りたいと思います。

今日の委員会で明らかになったことを、市民委員会からの提言という形で提出し、県の委員会に公正な評価を求めていくということにしたいと思います。その柱の部分を確認しておきます。

一つは、今回チェックシートであげたような具体的な問題点、これをきちんと明らかにしてほしいという評価ポイントですね。

それから、そういうポイントについて判断するに際しては、やっぱりダム問題の専門家のサポートを得てほしいということ。やはり専門家だからこそわかる、読み込めることというのがあると思います。(鳥取県の中部ダムのケースなど参考にして欲しい)

それからもう一つ、石木ダム事業の特殊性(このままいけば、行政代執行=県職員が県民のに家や土地やふる里を奪うという、誰にとっても辛い状況に至ってしまうという特殊性)をふまえた上での慎重な審議が必要だということ。

このようなことを求めていくとうことでよろしいでしょうか?ありがとうございます。では今日の委員会はこれで締めさせていただきます。
市民による石木ダム再評価監視委員会 まとめ (youtube.com)

 

委員の皆様、傍聴の皆様、長時間たいへんお疲れ様でした!

みんなの思いが、長崎県公共事業評価監視委員会の皆様にも伝わりますように!!

「市民による石木ダム再評価」を実施します!

 

「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」が、なんと、自ら『石木ダム再評価監視委員会』を開催することになりました!



1週間後の7月15日です。まもなくですね。

場所は長崎市立図書館の新興善メモリアルホール。

会場の広さの関係で、傍聴の定員は50名、先着順です。

遠くの方はオンラインでも傍聴できますが、事前申し込みが必要なので、QRコードから入ってくださいね。

 

事業着手から半世紀となる石木ダム建設。何度も工期延長を繰り返し、いつまで経っても完成しない事業が、本当に必要性があるのか無いのか、今度こそ公正な真っ当な再評価をしてほしいとして、同市民の会は、ダム事業に関する専門家(河川工学、水資源、環境等)を交えて審議することを県に要請したのですが、受け入れられませんでした。

20240628 県の回答

つまり、県の公共事業評価監視委員会には既に様々な分野の専門家がいるので、「個別事業の特性に応じた専門家を委員とする考えはない」との回答です。

しかし、『長崎県公共事業評価監視委員会運営要領』

https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2024/03/1709526108.pdf

の「第8 委員会の運営」には、「事業の特性に応じた判断や技術的判断のために、委員会の承認を得て、外部の専門家等の意見を聞くことができるものとする」と書かれています。

任命まではしなくても、専門家の意見聴取が必要だと思えば、お招きすることはできるのです。

また、同委員会の方から、専門家を招いて欲しいと県に要望することもできます。

さらに、同運営要領には「委員会は必要に応じて…現地調査等を実施するものとする」とも書かれており、それについても委員会に要請しましたが、受け入れていただけませんでした。

 

長崎県も長崎県公共事業評価監視委員会も、専門家の意見も現地視察も必要無い、ということのようです。このままでは今回も形だけの再評価で終わってしまいます。

そこで市民の会は、もはや市民自身の手で真っ当な再評価をやるしかない!と決断し、専門家の方々のご協力の下、「市民による石木ダム再評価監視委員会」を開催することとなりました。

 

市民による委員会は少なくとも2回開催する予定です。県が行なう再評価の前と後です。

1回目は、これまでの再評価を踏まえて何が問題だったかを整理し、今年度の再評価で審議すべき課題は何か?注目すべきポイントは何か?委員の皆さんに議論して頂く予定です。

そして、それをまとめて、県や佐世保市、県の公共事業評価監視委員会に提出し、そのポイントについて審議して頂きたいと願っています。

2回目は、県の再評価委員会に提出された県の資料や審議内容について、市民の委員会で分析評価する。そして、後日それをまとめたものを意見書として県に提出する予定です。

ぜひ、多くの方の傍聴参加をお待ちしています。

 

と同時に、同市民の会では、『市民委員』も募集しています。

専門家がどんなに正しい意見を述べていても、それが聴いている一般市民に理解されなければ目的は果たせません。一般市民も委員として同席し、専門委員の説明に疑問や意見があれば述べてもらいたいと考えています。

チラシに書かれているるように、長崎県民で石木ダムに関心のある方ならどなたでも応募できます。名前や住所など明記の上、「石木ダム・ここが知りたい」という内容の文章を添えて、事務局までメールかFAXでお送りください。12日締切りです。

○オンラインでの傍聴申込はこちらから
https://x.gd/TOKQa

○市民委員の申し込みはこちらから
https://x.gd/Sig2n

または事務局までお申し込みください

メール toto29@kd6.so-net.ne.jp
携 帯  090-7456-2929(井上敏彦)
FAX 095-870-3034

 

奮って、ご応募ください。

お待ちしています! (*^▽^*)

 

求められる知事の政治決断

長崎新聞は今日の『論説』で、知事に政治決断を求めている。



行政代執行か、事業断念か。

何故なら、「解決の道筋が見えないまま、県と住民が対峙し続ける現状は不幸でしかない」「現状は過去の県政の積み重ねの結果」だから。

それは多くの県民が同意するところだと思う。

しかし、知事に丸投げであっては無責任だ。私たち県民の無関心が、歴代の知事たちの決断を先送りさせてきたことも反省すべきだ。

「問題の本質から目をそらしている」

問題の本質とは何か?やはり、今、そしてこれから、この石木ダムが本当に必要なのかという見極めだろう。

「長年にわたり事業継続の理屈を重ねれば重ねるほど、その信憑性は揺らぐ一方だ」

半世紀経っても、ダム堤はまだ1mmもできていない。その現実が事業の意義の乏しさを証明しているのではないだろうか。

いずれにしても、今回の石木ダム再評価は、ますます重要となってきた。科学的で公正な審議を行なって、知事の判断を助けることができるかどうか、注目したい。

石木ダム再評価って何?

いま進行中の6月議会で、県議会でも佐世保市議会でも、石木ダム再評価について話題になっています。



再評価?何それ?と思った方も少なくないかな・・

それはね、長―く続いている公共事業が、果たして本当に必要なのか?現時点において、そして未来においても必要なのか?それを見極めるための評価です。

そして、その評価の結果、今はもう必要性がほとんどないよねということが判明したら、その事業は中止して、その予算を、もっと必要なところに投入することができるのです。



それが公共事業の再評価制度で、5年に1度実施することが義務づけられており、それをしなければ、国からの補助金はもらえません。

そんな大事な再評価が、今年度石木ダムについて行なわれるのです。

しかも今回は、工期の延長や事業費の増額が決まるかもしれない、さらに重要な再評価です。公正に慎重に審議してもらいたいものです。

しかし、再評価の実態は、残念ながらそんな希望とはほど遠いものです。何故でしょう?

その事実や背景を指摘し、本当に有意義な再評価を実施していただくための請願を佐世保市内の4団体が請願書を提出しました。
20240605佐世保市議会への請願書

その請願についての委員会審議が下記の要領で行なわれます。

4団体による趣旨説明も行ないます。よかったら傍聴にいらしてください。どなたでも傍聴可能です。!

日時:7月2日(火)10:00~

※ 傍聴希望者は9:50までに市役所3階の議会事務局で、傍聴の申し込みを済ませてください)

問い合わせ連絡先:090-6171-5810 michi30@hyper.ocn.ne.jp

 

「清流をまもる未来をまもる」3.23講演記録 DVD完成!

「清流をまもる 未来をまもる」集会開催からちょうどひと月が経ちましたが、未だにあちこちで、あの時の講演が話題になっています。

「ホントにわかりやすく説得力があった」「計画の根拠となるデータの杜撰さを知りビックリ!目が覚める思いがした」「貴重な機会を作っていただいて有難う!」

「県職員や議員さんにこそ聴いて欲しかった」等々。

そこで石木川まもり隊では、3人の講師(今本博健さん、宮本博司さん、細谷和海さん)のお話しを収録したDVDを作成しました。講演資料と併せて、ご覧ください。

●講演DVDの申し込みはこちらからお願いします。
https://forms.gle/p8n5Q8MrQv2D7prW6
石木川まもり隊・DVD係(今村) kokuzou608@gmail.com

●特にご希望の多かった宮本さんの講演録は文字起こしもしています。以下のURLでどなたでもご確認いただけます。
・宮本博司さん講演録(WORD版)https://docs.google.com/document/d/1uB3i-4_dRt1IzRkYsZWaBE_ftFeknaDo/edit?usp=sharing&ouid=115014757093609931199&rtpof=true&sd=true
・宮本博司さん講演録(PDF版)https://drive.google.com/file/d/1dTOHvfUFiuN67HyQfPcl–Lf4OtDkRO0/view?usp=sharing

●まもなく発行予定の滴51号にも今回の講演について詳しく報告しています。
『滴』の申し込みはこちらからお願いします。https://forms.gle/vmhaVYD4AmMKZTYd8

●なお3人の方の講演動画はYouTubeでも公開しています。

○今本博健さん 「水位計算による川棚川治水への石木ダムの効果についての検討」https://www.youtube.com/watch?v=OCJPiSmWN6s

○宮本博司さん 「ダムで命と清流は守れるのか?」https://www.youtube.com/watch?v=GyPNC4bco6I

○細谷和海さん 「シーボルトが見た日本の水辺と石木川の魚類生態系の魅力」https://www.youtube.com/watch?v=J_M5YcTiP1c

「清流をまもる 未来をまもる」報告 第2弾

3.23「清流をまもる 未来をまもる」集会報告、第2弾。

この集会、そもそもは国会議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」の企画によるものでした。

同議連は、公共事業の問題点をチェックすると同時に、グリーンインフラを強化しようと、昨年12月に誕生しました。最初の視察地として、選ばれたのが石木ダムと川辺川ダムです。

先日は講演会についてのみ報告しましたが、今日は、議員の皆さんからのお話や、地元からのメッセージ、記者団からの質疑応答等について、ご報告します。

 

プログラム順にいくと、オープニングは、6年前こうばるを訪れた加藤登紀子さんからのメッセージでした。

戦後の日本は、大きなお金と何十年という時間をかけて、出来上がったときにはもう無用の長物になってるようなものをたくさん作ってきました。しかも、それを作ることによって失うものはとても大きい。そういうダムを作っていいのかということを、石木ダムを通して、日本中の人に訴えほしい。気候変動などいろんな角度から地球の状況を受け止めながら、一緒に、いい未来を築いていくための議論を進めていただきたい。

また機会がありましたら、こうばる地区で皆さん一緒に楽しい語らいができるように、そしてホタルも一緒に見られるように願っています。

 

続いて、地元住民の岩下和雄さん川棚町の道路沿いに「石木ダムは川棚町の礎」(町の発展には石木ダムが必要)という看板が立っています。そうでしょうか?自然を壊してダムを造れば、上流地域は過疎地になり人口減少が加速します。

一方、ダム建設予定地には多くの空き地がある。宅地にも田んぼにも畑にもできる。今の若い人の中には田舎に住みたいという人も多くいる。また、広い空き地を利用して企業を誘致すれば職場も増える。ダムを造らなければ、若者や企業を呼び込むことができるのです。

将来の川棚町の発展と未来の子どもたちのために、豊かな自然を活かすまちづくりを進めてもらいたい。そのためには多くの声が必要です。皆さんの声を県に伝えてもらいたい。よろしくお願いします。

この後3人の講師による講演が続き第1部は終了。

休憩時間には『川原のうた』の歌声が流れ、スクリーンには、こうばるの美しい風景のスライドショーが上映されました。


第2部の最初は、佐世保市民で石木川まもり隊の松本美智恵です。石木ダムの利水問題(佐世保市の水事情)について報告しました。

水需要は減り続けているのに、佐世保市(水道局)は常に渇水の危機を訴えています。昨年の1月もダム貯水率が50%台となり、3月まで渇水対策本部を設置して、市民に節水を呼びかけました。

しかし、調べてみると、50%台だったのは南部だけで、北部は常に80%台でした。

不足しているところに余裕有るところから水を供給できる、そのような融通システムを構築することです。

また、それでも足りないときには佐々川があります。県は、佐々川には水利権が張り付いていて流量に余裕は無いと言うのですが、調べてみると、その水利権の中には、ほとんど使われていないものや、既に返上されているものもあります

このような遊休水利権を水道用水に転用することで、お金も時間もかけずに、佐世保の「水源不足」は解消するのです。新たなダムなど要りません。

 

続いて、議員からの報告。6人の議員が登壇しました。



山田勝彦衆議院議員国交省も環境省もいま重視しているのはグリーンインフラ。人と自然が共生する生き方を尊重した公共事業を目指しています。にもかかわらず、50年以上も石木ダム建設に拘り続けている長崎県と佐世保市、おかしいんじゃないでしょうか。

昨年、国土交通委員会で石木ダム事業費について質問しました。建設費285億円のうち既に203億円が執行済みだと言う。本体工事は全く進んでいないのに、残り82億円でダムができますか?改めて事業費について検証すべきではないでしょうか。

今年は石木ダム再評価の年です。御用学者による一方的な評価に終わらないよう、民主主義の力で一緒にチェックしていこうではありませんか!


嘉田由紀子参議院議員昨日の国土交通委員会で、先ほどの今本先生の資料を使って質問しました。これでも石木ダム造るんですか?と。答は「長崎県が必要と言っているから必要です」と。ホタルやシーボルトの魚と共に、何百年も暮らしてきたこうばるの里を強制収用して、そこで暮らしている人々を追い出してしまっていいんですか?

いま日本の公共事業は四重苦です。1つ、温暖化等による災害の増加。2つ、老朽化。3つ、人口減少。4つ、財政難。佐世保市水道の耐震化率はわずか25%です。ダムを造っている場合ではありません!宮島市長の考えを変えるよう、皆さん、頑張っていきましょう!


野田国義参議院議員政治とお金の元凶は何か?止まらない公共工事にあります。私は国会議員になる前は、福岡県八女市の市長を4期やっていましたが、その前は道路族で有名な古賀誠さんの秘書をやっていた。私にもいろんな誘いがありました。皆さん、公共工事は利権です。いま問題になっているパーティ券、それを買うのは公共工事をしたい人たち。無駄な公共事業がなくならないのは、そこにある。

一方必要な公共工事もある。既に造られたものの維持管理です。老朽化対策にこれからどれくらい必要なのか?200兆円だそうです。それを30年間かけてやるとすれば、1年に約7兆円となる。国交省の予算はいま年間7兆円だ。本来は維持管理費だけで全て使い果たされるということ。無駄な公共事業は一刻も早く止めなければなりません!


堀江ひとみ県議会議員私は5期目で、17年間石木ダム反対を言い続けています。県議会には46名の議員がいますが、反対は17年前は私1人でした。今は3名が反対しています。諦めずに、石木ダムは止めようという声を広げていただきたいと思います。

今年は石木ダム再評価の年です。費用対効果、いわゆるB/Cは再評価の度に下がっています。先ほども山田議員が話されたように、事業費の増額は必至です。再評価の現状は、県が選出した委員により、県が提示する資料によって審議されます。あのようないい加減な資料で認められていくんです。ここをなんとか改革していけないか、皆さんと共に諦めずに頑張っていきたいと思います。


小田徳彰佐世保市議会議員佐世保市議会33名の議員中、私を含む3名が石木ダム予算に反対しています。その他の議員はみな賛成です。昨年末IRが不認定になりました(その結果、将来の水需要が減って石木ダムの必要性はより低くなった)が、「IRが無くなったからこそ石木ダムは是が非でも造らなければならない」と、わけのわからない発言をする議員もいます。(何が何でも石木ダム推進という雰囲気)

佐世保市の人口は毎年3000人ほど減り続けています。節水機器も普及し、水需要は減り続けているのに、水道局はその現実を認めようとしない。今年は石木ダム再評価の年です。石木ダムがいかに不合理な事業であるか、その世論を盛り上げるために微力を尽くしたい。共に頑張りましょう。


炭谷猛川棚町議会議員私は地元こうばる地区の住民で、2期目の町議です。1期目は1人で石木ダム反対を訴えていましたが、昨年の選挙で反対派の議員が1人増え、現在は2人で頑張っています。しかし、昨年は水田への土砂搬入、用水路の破壊など、県のやり方は横暴極まりないものがありました。

今年1月には13世帯の1人であり、同級生でもあった石丸キム子さんが亡くなりました。大事なときには、いつもきちんと発言する人でした。県の職員に対し「説明責任があるでしょ!」と抗議していた姿が今も心に残っています。

川棚町議14名中12名がダム推進ですが、みな不勉強で県の説明を鵜呑みにしているだけです。むしろ町民の方が分っているような気がします。そのような民意を大事にして、皆さんと共に頑張っていきたいと思います。

 

議員の報告が終わると、講師の3人に再び登壇していただき、9人揃ったところで、質問コーナーの時間です。

 

長崎新聞(佐﨑記者):治水について今本先生と宮本先生にお尋ねします。事業者に対して、どういった説明や資料提供を求めているのか教えていただきたい。

今本氏:治水は論理であるべきで、それには客観的なデータが必要です。ところが、長崎県は驚くほど何もしていない。これだけの事業をするには雨量や流量を当然測らなければならないが、それをやっていない。平時の流量観測をやっていた時期はあるようですが、洪水時の流量を測っていません。また、先ほど川棚川を見ましたが、あちこちに土砂が溜まっていた。洪水が来たら溢れてくれというようなものです。ダムを造るよりも川の整備をしなければならない。それを優先すべきです。

宮本氏:事業を始めるときには、まず雨量計を付けねばならない。当初それがなかったからと、他所のデータを使っています。また、ダムを造るような河川計画のときは、ポイントごとの流量観測は必須なんです。モデルを検証するためには、その実測データが必要で、それがないと検証できない。まずは、ちゃんと測るべきです。それをせずに、押し通すようなことはやってはいけない。公共事業においてそういう無茶なことが通るのは恐ろしい。今年は再評価があるとのことなので、最大の山場だと思うし、長崎県はそれに真摯に取り組んでほしい。おそらく県の職員の中にも心に痛みを感じている人がいっぱいいると思う。その人たちが楽になるためにも、堂々と実態を把握した上で、県のトップには英断をくだして欲しいと思います。

次の記者が質問しようとしたとき、その前に、今本先生が宮本氏にマイクを向けた。

今本氏:宮本さんに聞きたい。貴方は若い頃こういうダムの査定をしてきたよね。いま、その立場だったら、このダムをどう査定しますか?

講師からの質問に苦笑いしながらも宮本氏はこう答えた。

宮本氏:私は30代の頃、毎年50~100本のダム計画を審査して、大蔵省に予算要求する、そんな仕事をしていました。だから、そういう計画の作り方は一応分っています。その私が、いま、長崎県から石木ダム計画書を持って来られたら、あの流域雨量の出し方を見ただけで、「長崎に帰ってください」と言いますよ。しかも、流量観測もしていないと言われたら、私ふだんは怒らないタイプなんですけど「いいかげんにしてくれ」「顔を洗って出直してくれ」と言いますよ。

NBC(長):工期があと2年で、事業費が残り82億円というこの状態でできるものでしょうか?また、あの規模のダムの本体工事はどのくらいかかるものでしょうか?

宮本氏:あと何億円かかるなどとは言いにくいが、今日現場を見て感じたのは、左岸は付替道路工事などやってますが、右岸は手つかずの状態です。本来ダム建設は付替道路工事が全部終わってから本体工事に入るんですよ。付替道路自体、あと2年でも終わらないのではないかな?

また、いま本体のダムサイトでボーリング調査をやっている。それは本来ダムの大きさや形を決めるときにやっておくべきことなんですよ。それを今日やっている!地盤に不安がありやっているのかもしれませんが、そうであれば、地盤改良工事の費用も予定より大きくなると思います。

毎日新聞(綿貫):国会議員の3名の方にお尋ねします。石木ダムに関する覚書について、行政だけでなく司法の場でも無視されてきました。こういう状態は今後もずっと続くのか、政権が変われば司法も変わってくるでしょうか?

山田議員:もう変えんば!今の司法は自民党政権に忖度しています。県は、地元の理解無しには進めないと約束した覚書を反故にしたまま工事を進めている。こうばるの皆さんが納得できないのは当然です。知事は、こうばるの皆さんと話し合いたいと思うなら、あの覚書を反故にした反省と謝罪から入るべきです。

嘉田議員:日本は三権分立していない。司法が政権与党に忖度ばかりしています。なぜなら判検交流(裁判官である判事と役人である検察官が、互いの職務を経験しあうために行なっている人事交流)という仕組みがあるからです。定年間近な判事など特別な人を除いては、どうしても行政・政権与党に不利な判決は出せなくなってしまっています。政権が変われば、この制度を廃止して、本当の三権分立を実現したいと思っています。

野田議員:長期政権は腐敗するんです。もう、シャッフルして変えねば。そして、知事や市長を変える。そのことが大事です。

会場から:国会議員の方にお尋ねします。日本は独裁国家ではない、一応民主主義国家なのに、13世帯を強制的に追い出してダムを造っていいのでしょうか?

嘉田議員:国会質問で聞きました。人が住んでいる、耕している、そこから追い出してダムを造った事例はあるのか?と。答は「ありません」。人権侵害なんです。あんないい加減な計画で、そんな非人道的なことをさせてはいけません。国会議員として強く思っています。

会場から:見切り発車してしまった公共事業でも、途中で止めたような事例は、これまでに無いのでしょうか?

嘉田議員:滋賀県知事の時代に6つのダムを止めました。その時の論理を作ってくださったのが今日の講師の今本さんと宮本さんなんです。これはやはりおかしいと、ダムを止めるために泡沫候補として知事選に立候補しました。その私を滋賀県民選んでくれたんです。だから、皆さんもそういう候補を選べばいいのです。ダムを止められるのは首長です。民主主義の力で変えましょう!

と、盛り上がったところで、時間となりました。

最後に集会宣言文案が読み上げられ、満場の拍手をもって採択されました。
3.23集会宣言文

私たちは、この集会で3つの成果を得ました。

石木ダム計画を止めるための鍵🔑(論理)と、仲間(専門家や議員)と、チャンス(再評価)です。

この成果を一人でも多くの人と共有できるよう、よかったら拡散してください。

よろしくお願いします。

 

石木ダムの治水計画は、あまりにも杜撰!

3月23日、川棚公会堂で開かれた「清流をまもる 未来をまもる」集会は3時間半に及ぶ長丁場でしたが、実に中身の濃い有意義なものでした。

加藤登紀子さんのメッセージに始まって、地元からの挨拶、第二部には国会議員3名、長崎県議、佐世保市議、川棚町議各1名による報告など、いずれも石木ダム問題解決に向けて頑張っている方々の熱意が伝わってきて、たくさんの元気をいただきました。

さて、メインは第1部の講演会です。
河川工学が専門の今本博健さん(京都大学名誉教授)、ダム建設に詳しい宮本博司さん(元国土交通省河川局防災課長)、淡水魚が専門の細谷和海さん(近畿大学名誉教授)、この3人の講師のお話は、いずれも貴重な内容で、ぜひ多くの方に聴いていただきたいと思います。

後日、YouTubeで公開しますが、まずは、簡単にまとめてみましたので、予告編のつもりでご覧いただければ幸いです。

講演1:今本先生のお話(講演資料:今本博健氏)をざっくりまとめると、

1.石木ダム計画の水位計算がおかしい
2.何故なら、水位計算に必要な粗度係数(河川の側面や底の粗さを表す値)の設定がおかしいから。
3.粗度係数が低下すれば水位は下がる。川棚川では1990年7月洪水のあと河川改修が実施されており、粗度係数は設定時より低下しているはずなのに修正されていない。粗度係数が設定値の0.8倍以下なら石木ダムは役に立たない。


4.仮に粗度係数が設定値のままでも、温暖化に伴う気候変動により、洪水の規模は増大する。気温が2℃上がれば、流量は1.2倍になると予測されている。そのときは石木ダムがあっても溢れ、「無用の長物」となる。



 

講演2:宮本氏のお話(講演資料:宮本博司氏をざっくりまとめると、



1.ダムは極めて限定的な治水対策である。
2.石木ダム計画の杜撰さにビックリ!
a. 計画雨量の算出がおかしい
通常はこのように、流域の3地点の平均値を求めるのだが、なぜか長崎県は、遠く離れた佐世保市の1地点の雨量の0.94倍に設定


それが妥当でないのは1967年の降水量を見れば明らか。佐世保の観測所の付近は150~200mmなのに、川棚では50~150mmだった。なぜ佐世保の0.94倍に拘るのか???

b. 洪水流出モデルの検証ができていない。
県の資料では石木ダムと山道橋の洪水ピークが同時刻となっているが、こんなことはありえない。なぜなら、到達距離が全く違うから。洪水到達時刻がずれると、石木ダムの効果は小さくなる。その結果、計画高水流量は1130㎥/sを超え、石木ダムがあっても溢れてしまう。

c.そもそも1/100の洪水流量は山道橋まで流れてこない。なぜなら、石木川合流地点より上流の河川整備計画は1/30なので、1/100規模の降雨があれば、上流で溢れてしまうから。まとめとして宮本氏が言われたことは、
この治水計画はあまりにも杜撰!
雨量観測も流量観測もやっていない。
●そのことにより雨量と流量の検証がされていない。
絵に描いた餅であり、こんな計画で立ち退きを要求してはダメ!


講演3:細谷先生のお話(講演資料:細谷和海氏
をざっくりまとめると、



石木川を含む川棚川水系は、シーボルトが世界に紹介した日本の淡水魚の模式産地の可能性がある。
シーボルトとビュルゲルが日本から持ち帰った魚類標本は1465個体もあった。

その模式標本の産地はどこか?長崎周辺と琵琶湖淀川周辺と思われる。
長崎周辺の具体的な川としては佐賀県の塩田川水系と長崎県の川棚川水系の可能性が高い。

中でも川棚川の支流の石木川をタイプ産地とするジャーナリスト(新村安雄)もいる。
シーボルトの川を標榜するなら、いま棲息しているシーボルトコレクションにある魚をトポタイプ(現存個体)として保全する必要がある。
淡水魚を保護するためには、河川の上・下流、本流・氾濫原、表層・浸透層をつなぐ回遊経路を保全する必要がある。
分類学の難しい話はよく分りませんでしたが、河川を含む里山の原風景を保存することが生物の多様性に繋がることは理解できました。

200年前のシーボルト時代の川の姿を留めている貴重な石木川にダムを造ることは、やはりあってはならないことではないでしょうか。

長崎県は、3人の講師の方々の忠告に真摯に耳を傾け、まずは治水計画を見直すべきです。

もうすぐ新年度。2024年度は石木ダム再評価の年です。今度こそ、結論有りきではない、真の評価ができるよう、しっかり取り組んでいただきたいと、心から願っています。

「清流をまもる 未来をまもる」講演会 ♥ のお知らせ

興味深い講演会のお知らせです!



近年、気候変動による自然災害のリスクが地球規模で高まっていますね。
日本でも想定外の雨量による豪雨被害が毎年どこかで発生し、治水対策の抜本的な見直しが迫られています。

そこで今回、ダムの効果を知り尽くしている元河川官僚の宮本博司氏と、石木ダムの治水効果を研究し続けている河川工学の専門家今本博健氏を講師とする講演会が開催されることになりました!

主催は県民有志による実行委員会で、共催として、超党派の国会議員による議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」もタイアップ!

安全で安心な、持続可能な未来のために、いま私たちは何をなすべきか、どんな選択肢があるのか、議員も市民も共に学び、考えていきたいものです。

川棚町民の方はもちろん、町外の一般市民県民にとっても、これからの治水対策や防災を考える貴重な機会となるでしょう。

また、もう1人の講師は、元魚類学会会長でシーボルト研究者でもある細谷和海氏です。ダム建設が予定されている石木川の魅力について、生物多様性やシーボルトとの関連も交え、興味深い話が聴けそうです。

講師の詳しい紹介はチラシ裏面にあります。

1人でも多くの方が参加されますよう・・このチラシや情報拡散にご協力いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!

長崎県三大悪政の1つが消えた!

今年も残すところあと数時間。
地球沸騰化時代に突入したと言われながら、対策は遅々として進まず、一方で紛争や戦争はどんどん進行し、子どもたちなど犠牲者は増えるばかり。

日本国内においても、平和憲法や民主主義がどんどん風化している。
国は12月28日、辺野古基地建設を進めるための手続きを沖縄県知事に代わって「代執行」した。国が地方自治体の事務を代執行するという異例の事態。防衛省沖縄防衛局は来月中旬にも、県が認めていない区域で工事を始めるという。

国は公益を声高に言うが、民意を無視した基地建設が公益と言えるのか?
国家権力が地方自治を踏みにじることが許されるのか?

同じことを長崎県がやっている。
公益のためと言いながら、反対する住民の想いや意思は無視して、ダム建設工事を強行している。
代執行の手続きはとっていないが、田んぼや畑を無断で破壊し工事用道路を建設するなど事実上の代執行を行なっている。

12月16日、佐世保市のアーケード街で「長崎県の三大悪政ストップ!県民集会」が開かれた。
三大悪政とは、石木ダム建設、カジノ(IR)、諫早湾干拓のこと。
冷たい雨が降る中、50人ほどが参加した。


ここで採択された集会宣言を22日、佐世保市長や市議会に提出した。


その5日後、国交省は長崎県のIR計画を認定しないと発表した。
私たちにとっては嬉しいニュース!
三大悪政の中の1つが解消されそうだ。
来年こそは石木ダムも…と思えるほど楽観的にはなれないが、希望だけは少し感じることができたかな。

カジノと石木ダムの共通点は、経済重視、今だけ重視、他者は軽視。
つまり、経済的な豊かさばかり追い求め、今を生きる自分たちが豊かであればそれでいい、この事業によって次世代や隣町にどれほどのリスクや被害が生じるかなど関知しない、そんな利己的な考え方が根底にあるように思う。

石木ダムの場合、国による認定はとっくに得ているので、カジノのように国の力で中止になる可能性はないが、だからこそ、市民県民がしっかり考えたい。水需要は減少の一途を辿っているのに、今さら新たなダムが必要なのかと。

水源が豊富だとは言わないが、日常生活に困らない程度の水源は既にある。何百億というダム建設費や維持管理費を将来世代に背負わせ、ダム建設予定地の自然と人々の暮らしを破壊してまでダムが必要かと。

誰1人取り残さない持続可能な未来を、子どもたちのためにも目指したい…

2023年大晦日