執行停止却下に対する声明を発表

3月30日の石木ダム事業認定執行停止申立却下に対し、4月11日、石木ダム対策弁護団と石木ダムに反対する県内5団体が連名で声明を発表しました。

執行停止申立却下に対する声明(H29.4.11)

今回の決定は「緊急性がない」として退けるだけでなく、「申立人らの損害は金銭賠償によって回復可能だから重大な損害に当たらない」とまで述べられていました。あまりにも人間の尊厳を踏みにじる許しがたい判断であり、その点を私たちは厳しく批判しました。

                         長崎新聞 2017.4.12

 

事業認定執行停止、却下

2015年11月、地権者110人は石木ダムの事業認定取消を求めて提訴し、直後の12月、同認定の効力の執行停止を求める申し立てをおこなっていました。

これは、この事業認定が取り消すべきものかどうか、つまり、石木ダム事業の必要性について争われている最中に、石木ダム事業の手続きや工事がどんどん進んでいけば、仮に取り消すべきとの判決が出ても、時すでに遅し、ダムは出来上がりました、なんてことになりかねません。
ということで、判決がでるまでは、工事や手続きが進まないよう、その認定効力の執行停止を裁判所に求めたのでした。

昨日、2017年3月30日、その決定が出されました。主文は「却下」です。

決定書はこちらです。石木ダム H29.3.30 決定書(執行停止申立事件)

長崎地裁の判断は、ごく平たく言えばこういうことでしょうか。

★事業認定そのものが皆さんの生活を奪うものではありません。
収用裁決が出され、明渡し期限がきて、行政代執行されるまでは、そこに住めるのだから、いま認定の執行停止を求める緊急性はありません。

★ふるさとの自然やコミュニティが破壊され、住み慣れた土地を強制的に追われ新たな場所での生活を強いられることによる精神的肉体的損害については、金銭的な賠償により解決できるので、執行停止するほどの重大な損害にはあたりません。

「緊急性」の概念が、裁判所と私たち一般市民では大きく異なっているようです。

つい最近まで、警察は事件が起きてからでないと動かない、と言われていましたが、ストーカー被害の続出で、事件前にもある程度対応してくれるようになりましたね。

しかし、裁判所は危機が直前に迫らないと「停止」はしないようです。
急ブレーキが間に合わない可能性については考えないのでしょうか・・・

また、損害は何でもお金で解決できるという考え方のようですが、
精神的肉体的苦痛はお金では解消できません。
また、失われた自然や文化もお金では贖えません。

608名、石木ダム工事差し止め提訴!

3月6日、今日は石木ダム工事差し止め提訴の日です。

訴えるのは長崎地裁佐世保支部。

でも、その前にまずは長崎地裁へ。

11時開始の事業認定取消訴訟第5回口頭弁論を傍聴するために。

門前集会の後、私たちはいつもの401号法廷で、原告側(私たち)弁護士の意見陳述に耳を傾けました。

利水に関しては高橋弁護士が第6準備書面の要旨を読み上げ、

治水については田篭弁護士が第7準備書面の要旨を読み上げました。

ぜひ、この青字の部分をクリックしてアクセスしてみてください。利水面でも治水面でも、石木ダムの必要性がどんなに虚構に満ちたものであるかということが、本当にわかりやすく述べられています。

次回は被告(国)側の反論ですが、いつも書面の提出のみで終わっています。たまには代理人弁護士の口から語ってもらいたいものです。せっかく多くの傍聴者が集まるのですから。なぜ堂々と反論しないのでしょう。不思議ですね〜

 

さて、長崎地裁での裁判が終わり次第、私たちはマイクロバスに乗り込み佐世保へ。

途中食事休憩をとり、3時前に地裁佐世保支部に到着。

こちらでは長崎地裁前以上に大勢の支援者が集まり、3つの横断幕を持っても、まだまだ列は続いていました。

15:00門前集会、続いて提訴。

15:30妨害禁止仮処分の第3回審尋。

16:00中部地区公民館で報告集会。

ここでもたくさんの人が、高橋弁護士や毛利弁護士、田篭弁護士の説明に耳を傾けました。

利水についての今回のキモは、次の2点。

①慣行水利権について
被告は、佐世保市が慣行水利権を不安定水源と名付け使い物にならないと言う理由として、渇水年(平成19年)度の水量が不安定で70%くらいしか取水できなかったからと説明するが、佐世保市の言う「安定水源」からもこのとき約70%だった。どちらも不安定な度合いは変わらない。では、なぜ慣行水利権だけ保有水源から外したいのか?外さなければ石木ダムが造れないから。

②水需要が増える?理由について
被告は、佐世保の主張「観光客が増えれば水需要が増える」を認めているが実績として相関関係は認められないし、「米軍や自衛隊の万一の場合に備えて過去最大水量を確保しなければならない」とか「SSKの1年に1度あるかないかの水使用量に備えて毎日その水量を確保しなければならない」と言うが、そのようなレアケースのために地権者を犠牲にするのはおかしい。

治水については、次の3点。

①計画規模(どのくらいの大雨に備えるべきか)について
長崎県はダム計画がもちあがると計画規模をレベルアップする。川棚川もそれまでは30年に1度の大雨に耐え得る規模だったのに、石木ダムが計画された昭和50年には急に100年に一度の大雨に変わってしまった。

②水量(どのくらいの水が流れるのか)について
100年に一度の大雨と言うが、その降り方は9パターンの中の1つ(1時間に集中して降る)であり、そのようなケースは500年に1度以上の稀なケースであり、しかも仮にそのような雨が降ったとしても、上流部分で溢れてしまい、下流には算出した水量は流れないはず。なぜなら上流域は未だに30年に1回の計画規模だから。

③余裕について
仮に県が想定した水量が流れてきたとしても流せる。流せるけれど余裕が欲しいと県は言っている。万が一の余裕を持たせるために地権者の暮らしを破壊するのか?

 

続いて平山弁護士から、事業認定取消訴訟関連の「執行停止」についての説明がありました。
国が言っている3つの点と、それについての反論です。

①お金によって補償できるのだから重大な損害ではない。→人格権や歴史や自然などお金では得られないものであり、一度失ったら戻らない。故に重大な損害である。

②原告の言う損害は事業認定によって生ずるのではなく土地の収用によって生ずる。→事業認定があって土地の収用がある。両者は繋がっており、親亀子亀みたいなもの。一連の手続きである。

③緊急性が無い。
既に強制収用は始まっている。家屋等の収用に向けた手続きも進められている。今止めなければいつ止めるのか?緊急性は明らか。

執行停止に関する審尋は今日で終了。後は決定を待つだけ。その決定がいつになるかはまだわからないとのことでした。

 

取消訴訟の次回期日は5月22日(月)14:00〜で、

妨害禁止の仮処分に関しては、4月24日(月)14:30〜です。

やはり、1日2ヶ所は厳しいのでホッ!ですね。

 

さて、いよいよ本日のメインイベント、工事差し止め本訴についてです。

訴えた内容は昨年の工事差し止め仮処分とほぼ同じ。つまり、この工事によって私たちの権利が侵害される。そんな工事は許されない。だから工事を差し止めてくださいというもの。なぜ同じ内容の訴訟をおこすのか。その理由は3つ。

①工事差し止めを求める人が増えていること。昨年は505名だったが、今回は608名。100名以上増えている。

②仮処分では緊急性を第一義とするので、それで争うよりも、侵害される権利の重大さ、これを中心にじっくり争っていきたい。

③仮処分は非公開なので当事者しか法廷に入れない。本裁判は公開なので、いろんな人が傍聴できる。オープンな場で闘っていきたい。

以上の理由から本裁判の提訴をおこない、受理された。明日、福岡高裁へ申し立てた抗告審は取り下げる。

とのことでした。

 

さあ、今日から新たな裁判のスタート。少し長くなるかもしれないけれど、どっしり構えてじっくり向き合いしっかり追求しよう。私たちの権利を。それぞれの権利を。

そこに住み、そこで暮らす権利。

そこで耕し、収穫し、その喜びを生きがいとする権利。

自然の恵みを受け、未来へ手渡す権利。

消費者として水道料金の有効な使い方を求める権利。

納税者として無駄遣いをチェックする権利。

要らないものは要らないと言う権利。

県であっても国であっても、恐れることはない。

主権者は私たち。

私たちの権利を守るのは私たち。

力まず焦らず、軽やかに行動しよう。

石木川の流れのように。

 

 

3月6日提訴へ

空は晴れていますが、長崎地裁佐世保支部の門前にはとても冷たい風が吹いていました。


今日は県から訴えられた通行妨害仮処分の2回目の審尋がおこなわれました。

 

弁護団からの報告によると、今日やりとりされたのは、提出書面の確認と、今後の予定の確認だけだったようです。

①1月20日に当方弁護団より4つの書面が提出された。

②2月28日までに当方は残り全ての書面を提出する。

③それを見て、県は2週間以内に反論や新たな証拠を提出する。

④次回の審尋は、3月6日15:30。

 

報告集会にはマスコミも数社来ていましたが、夕方のニュースで報道されたのは審尋についてではなく、これから起こそうとしている差止訴訟についてでした。


こちらは、夕方のNHKニュースです。

 

川棚町に建設が計画されている石木ダムについて、反対する地権者らは、県と佐世保市を相手にダムを建設しないよう求める裁判をことし3月にも起こす方針を決めました。
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐっては、一部の地権者や支援者が計画に強く反対し、建設が進んでいません。
建設に反対する地権者らは去年2月、県と佐世保市に対して工事をしないよう求める仮処分の申し立てを長崎地方裁判所佐世保支部に行っていましたが、裁判所は12月、「緊急性がない」などとして却下しました。
これに対して地権者側は、不服として福岡高等裁判所に抗告しましたが、さらに県と佐世保市を相手に石木ダムの建設工事とダム建設に伴う道路工事をしないよう求める裁判をことし3月6日に長崎地方裁判所佐世保支部に起こす方針を24日開いた集会で決めました。
提訴について弁護団は、「緊急性に関わらず、ダムの必要性などについて争うことができる」としていて、広く原告を集めたいとしています。
石木ダムをめぐっては現在、地権者側が国を相手にダムの事業認定の取り消しを求める裁判を起こしているほか、県が地権者などを相手にダム建設に伴う道路工事を妨害しないよう求める仮処分を申し立てています。

 

ここに書かれているように、「石木ダムの建設工事とダム建設に伴う道路工事をしないよう求める裁判をことし3月6日に長崎地方裁判所佐世保支部に起こす方針」を決めたのです。

仮処分ではなく本訴にするのは、「緊急性に関わらず、ダムの必要性などについて争うことができる」からです。

もしそれが無駄なダムなら?

莫大な財政負担を背負わされる佐世保市民は被害者です。

でも、仮処分だと緊急性が無いとして佐世保市民の権利など考えてもくれません。

全国の支援者の権利など論外って感じ。

やはりここは、腰を落ち着けて、石木ダムの必要性の有無が問える工事差止の裁判で闘いたいですね〜

 

皆さんもよかったら、仲間に入りませんか?

ご希望の方はこちらへ → ishiki-hotaru@buz.bbiq.jp お問い合わせください。

資料をお送りいたします。

 

工事差止、仮処分ではなく本訴へ

昨日は石木ダム事業認定取消訴訟の第4回口頭弁論の日。

門前集会に集まった地権者の皆さんは、これまでよりも少な目…。

なぜなら、昨年末に石木ダム工事差止仮処分が却下されたばかり。

県側としては、「ほーらね。石木ダムの工事はやっていいよって司法の場でも認められたんだよ。抵抗しても無駄なんだよ」と思っているでしょうし、勢いに乗って工事を強行するかもしれません。

ということで、地元には肝っ玉の据わったお母さんたちがしっかりお留守番。

そんなわけで、少し寂しい門前集会でした。

でも、集まった人たちは、寒い北風なんのその。

さあ、今日は被告の国側の番だぞ。

どんな反論をするのか、じっくり聞いてやろうではないか!

と期待?に胸躍らせて、401号法廷に入っていったのですが…。

 

なんと、弁論は無し!

こちら側が前回弁論をおこなった、利水と治水に関して新たなダムの必要性は無いという具体的な主張に対し、国側の具体的な反論が聞けるものと思っていたのですが、それらについては「準備書面2通(利水面、治水面)」と「利水に関する証拠」が提出されただけでした。

そして、それに対する原告側の反論は2月末までに、また書面で提出するという約束が交わされただけ。

ほんの2〜3分で終了です。

あー、裁判ってわかりませんねー。何をやってるのか、素人にはさっぱり…。

だから報告集会をやるのですが…

でも、今日の裁判(事業認定取消訴訟)よりも、1ヶ月ほど前に却下となった裁判(工事差止仮処分)に関する重要な提案が弁護団からなされ、頭の中はそちらでいっぱいになってしまいました。

石木ダム工事差止に関しては仮処分という形で争ってきましたが、それを止めて、本訴、すなわち本訴訟、一般的な裁判の形で、じっくり争いましょうということ。

争い方の方法転換が提案されたのです。

何故そのような転換を図るのか、その理由を、高橋弁護士はこのように解説されました。

*仮処分で問われるのは緊急性。この工事を早く止めなければ大変な被害が生じるという場合にのみ、仮処分命令が出される。しかし、その緊急性を高裁でも認識できなければ、今回のように却下されるかもしれない。

*緊急性を問題視するあまり、根本的な問題、石木ダムの必要性があるのかないのかということや、被保全権利の侵害があるのかないのかなどの重要な部分をスル—しがちで、問題の核心部分が無視あるいは先送りされがちである。

そういう観点から、住民の権利やダムの必要性の根拠についてじっくり議論できる本訴訟を提訴したい、そして結論が出るまでは一定の時間がかかるだろうが、もしもその間に本体工事が強行されるような緊急事態が発生すれば、その時こそ新たな仮処分を申し立てよう、というものでした。

2〜3の質問は出ましたが、皆さん納得された様子でした。
私たち原告団事務局もその方向で、来週から、新たな委任状を集めなければ・・・。

 

このブログをご覧の工事差止仮処分原告の皆様、来週あたり、新たな委任状提出のお願い文書が届くと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。お金はかかりません。委任状だけです。

また、これまでは裁判に関わっていなかったけど、自分も原告として参加したいと思われる方は是非メールでご連絡ください。ishiki-hotaru@buz.bbiq.jp← こちらまでよろしくお願いいたします。(コピーしてメールの宛先欄に貼り付けてください)

 

昨日の発表について、長崎新聞は今日の1面で取り上げていました。大変わかり易いので、こちらの記事をご確認ください。

ただし、ミスプリントが1ヶ所あります。

最後の1文です。

「次回の口頭弁論は3月3日」と書かれていますが、3日ではなく6日です。

3月6日(月)午前11:00です。

よろしくお願いします。(._.)

 

 

第2次通行妨害仮処分 第1回審尋

年の瀬も押し詰まった28日、長崎地裁佐世保支部で、仮処分の審尋がおこなわれました。

今回の仮処分は、県が10月28日に申し立てた通行妨害禁止の仮処分です。

石木ダム事業に関連する道路工事の現場への通行を阻止行動によって妨害されたとして訴えられた、いわゆるスラップ訴訟で、2014年に次いで2回目となります。

前回は23名が訴えられて16名が仮処分を受けました。

今回は19名が訴えられています。

その19名を応援するために今回も多くの市民が門前に集まりました。

 

審尋終了後、場所を中部地区公民館に移して報告集会がおこなわれました。

弁護団の平山弁護士から次のような報告がなされました。

 

今日の審尋について、

・県からの申立てに対しては却下を求めた。

・来年1月20日までに保全の必要性緊急性に関する書面を提出し、また、出来る限りの認否(誰がいつどこでこういうことをしたか)をしたいが、人数が多いのでその日までに全員の認否は難しいと伝えている。

・また認否するだけでなく、それが妨害にあたるのかどうか、憲法上の問題、工事の必要性についても主張する予定で、それらの主張は2月末までに提出する。

・次回の審尋は1月24日午前10時、3回目の審尋は3月6日の午後3時半の予定。

こちら側が申し立てた工事差し止めの仮処分について

・12月20日に却下の決定が出された。

・この件についての争点は、次の3つだった。
①被保全権利の必要性(工事によって侵害される権利があるのかないのか)
②保全の必要性の緊急性
③行政訴訟法第44条違反(この工事は公権力の行使だから仮処分の申し立てはできない)にあたるのか

・佐世保支部の判断は、保全の必要性の緊急性がないというその1点だった。今やっている工事は全体の一部に過ぎないし、本体工事もまだ着工されていない、土地の収容もされていない部分があるということで、権利の侵害が差し迫ったものでは無い、今その工事を止めなければという緊急の必要性は認められないということ。

・この決定をどう評価するか?
我々の申し立てが認められなかったのは残念だが、44条でバッサリ切っていないところは評価できる。裁判所は違反するともしないとも明確な判断はしていない。保全の必要性が認められれば差し止めの可能性もあるという余地を残した判断だと言える。

・いずれにしても負けたので、今日不服申し立てをしてきた。抗告者は137名。

・抗告審は福岡高裁でおこなわれ、裁判官がこちらの申し立てを認めれば差し戻しとなり、抗告理由がないと判断すれば審尋を開くことなく抗告を認めないということになる。こちらとしては審尋を開いて工事の必要性について審議を尽くすべきだと主張していく。


このあと参加者から質問や意見がいろいろ出されましたが、その詳細は今後の裁判の行方に関することで詳細はさし控えます。

 

また、緒方弁護士から、
・皆さんが感じておられる差し迫った危険、緊急性の問題について、頑張って主張していきたい。

田篭弁護士から、
・今回は皆さんがマスクや帽子をつけて行動したので、県は人物特定に時間がかかり、仮処分申立をおこすのに時間がかかった。この状況をつくりだしたのは皆さんの頑張りによるものだと思う。

などの感想も述べられました。

最後に岩下さんから、参加者へのお礼の言葉と今後への決意が示され、大きな拍手が送られました。

 

債務者となった19名も、支援者も、悲壮感は全くなく、笑顔で「来年もがんばろうね〜」の挨拶が交わされていました。

ちょうど昨日できあがったばかりの『滴』にも注目が集まり、あらたな購読申し込みが何人も!この表紙が皆さんの思いと重なっていたからでしょうか。

 

ペーパーの『滴』は印刷費や送料がかかるので、年間購読料を頂いていますが、メール添付での「滴」は無料です。

ご希望の方はmichi30@hyper.ocn.ne.jp までご連絡ください。

 

「差し迫った状況にない」?

今日の長崎新聞「論説」を読んで、思わず大きく頷きました。

小出久論説委員は、
県は「工事再開に司法のお墨付きを得た」ことになるが、「決して強引にことを進めてはならない」「今ここで立ち止まり、事業の進め方を再検討すべきだ」
と釘をさしています。

裁判所に対しては、
仮処分という措置には、「著しい損害」や「緊急の必要性」が求められるが、地権者等の暮らしが「平穏」といえる状況か?決してそうではない、むしろ「長期間にわたって平穏な生活を奪われている」
と指摘しています。

全くその通りです。

毎日毎日、家事や農作業もそっちのけで阻止行動に出ていかなければならない。
真夏の炎天下でも、マスクやサングラスで顔を隠して立たねばならない。
雨の日も雪の日も休むわけにはいかない。
土日には、全国各地から励ましに来てくれる支援者を手料理で饗さねばならない。
地域には、しょっちゅうマスコミがやってきて、カメラがまわっている。
物理的にも精神的にも休む暇のない、「平穏」にはほど遠い状況、
それがここ数年の川原の日常です。
そういうことを地裁佐世保支部は、あまりにも知ら無さ過ぎる!
知ろうとしなかった…。

 

「差し迫った状況にない」という判断が、これまで様々な不幸を招いてきました。

ストーカー被害者の訴えを、「差し迫った状況にない」と判断して保護しなかったために殺された女性たちが何人もいます。

いじめの状況を「差し迫った状況にない」と感じて教師が真剣に対応しなかった結果、いじめがエスカレートし、自殺に追い込まれた子どもたちがたくさんいます。

超長時間労働による肉体的・精神的疲労が「差し迫った状況」だと誰かが気づいて、むりやり会社を休ませていたら、過労死せずに済んだケースは沢山あると思います。

当事者にとって本当に差し迫った状況かどうかを他人が理解するには、書類だけじゃダメなんです。

地裁の裁判官のように、現地に来て、自分の目で見て、耳で聴くのが一番です。

それができなければ、せめて地権者本人の訴えを聞いてほしかった。

たぶん仮処分という裁判の仕組みの中では、そんなことはできないのでしょうが。

裁判制度を何も知らない者の戯言かもしれません。

でも、「差し迫った状況にはない」との言葉に唖然として、黙って通り過ぎることはできませんでした。

 

地権者の内の4世帯の農地は既に強制収用されてしまったのです。

明け渡しを命じられているのです。

そこで米を作り野菜を作るのが、心身ともに生きる糧となっている人々の土地が書類上は既に奪われたのです。

次は住んでいる家を奪われようとしているのです。

それを知っていて「差し迫った状況にない」と判断されたのかと、叫びたくなりました。

 

でも、長崎新聞の論説を読んで、少しだけクールダウンできました。 

 

裁判官 雨の中 現地視察

雨の中、透明傘をさし、黒っぽいスーツ姿の男性ばかり15,6人がぞろぞろと歩いていく光景はちょっと異様な感じでした。

このうち裁判官は3人だけ。他は書記官や、地権者、双方の代理人弁護士など。

こうばる広場やこうばる公民館、江川橋(平成2年洪水の真相を知るポイント地点)などでは10分以上の説明時間が取られましたが、地権者の各家々での説明時間はわずか2分と制限されたものでした。

地権者の皆さんは、家に上がって頂く時間も惜しいので、雨のかからない駐車場や作業場などで対面し、家族の紹介、現在の生活状況、そしてここに住み続けたい思いを短く訴えるだけでした。

それでも、わかってほしいことは事前に文書でしっかり伝えてあったので、ただここで顔を合わせて直接訴えることができた、それだけでも大きな意味があったと、皆さん笑顔でした。

この視察は非公開の進行協議ですから、マスコミも同行はできません。

私はたまたま、1軒のお宅でのやり取りを目撃していたのですが、

「この家は126年前の建物です。私の家族の歴史が詰まった家です」

「ここの米は、なしてか美味しかとです。私も…に2回出しましたが、2回とも1番になりました」

最後尾で聞いていたので、何に出品?されたのか、町内で1位なのか、県内で1位なのかわかりませんでしたが、この方が言おうとしていたことは十分伝わってきました。

どうして美味しいのか、言わなくても、皆わかったはずです。

そして、彼の奥さんは「ずっとここで暮らしたいです。ただそれだけが私のねがいです」と言葉少なに言って、深々と頭を下げました。

鼻の奥がツーンとしました。

裁判官の方々もきっとそうだったでしょう。

そうであってほしい

 

工事差止仮処分申し立て、却下!

ついに長崎地裁佐世保支部の判断が示されました。

石木ダム工事差止仮処分申し立ては却下されました。

私たちの敗訴です。

なぜ、どういう理由で、そのような判断に至ったのか、私たちはまだ何も知りません。

仮処分の裁判は一般の裁判の判決と違って法廷の場で明らかにされるわけではありません。

その決定書は弁護団に渡されます。

今頃は弁護団で精査、分析、今後の対応について検討がなされていることでしょう。

私たちはその報告を待つしかありません。

 

今はとりあえず、マスコミ報道に注目してみましょう。

まず、NHK長崎のTVニュースによると…

石木ダム自体が不要なので、それに伴う工事は全て不要であり,
その不要な工事によって,地権者の権利が侵害されようとしている,
として,私たちは工事の差し止めを求めたのですが…

長崎地裁佐世保支部の渡邊英夫裁判長は、「権利侵害の緊急性もない」として、申し立てを却下したようですが…全く現状誤認です。

工事は道路工事だけではありません。

ダム本体工事も含みます。

ダム工事をするということは、地権者の土地を奪うことであり、財産権や生活権、居住権など様々な権利が奪われることです。権利の侵害そのものです。

工事を認めるということは、ダム建設を認める事であり、現在進行形の強制収用の手続きを進めることであり、緊急性は大いにあります。

4世帯の家屋については、審理は既に終わっており、いつ収用裁決が出てもおかしくない時期に来ています。

今日の決定で、司法のお墨付きを得たとして採決が出されたら、それでも「権利侵害の緊急性もない」と言うのでしょうか?

 

中村知事のコメント:
県の主張が認められたものと思っている石木ダムは必要不可欠だという考えは変わらず、事業がスムーズに進むよう、地権者の方々などに理解していただきたい。

佐世保市長のコメント:
この判断が、今後事業の着実な進展に繋がっていくものと期待しております。

 

この裁判は、石木ダム事業そのものについて必要性の議論はしないままでした。

当方は要求したのですが、県側は避けて通りました。

なのに、知事も市長も石木ダムにお墨付きが与えられたかのような錯覚に陥っている?

それとも敢えてすり替えているのでしょうか?

 

ダムの必要性についてはまだまだこれからです。

事業認定取消訴訟。

私たちは、こちらでしっかり闘います。

県の皆さん、逃げないでくださいね。