社会資本整備審議会の意見と結果の矛盾

事業認定の告示に関する理由等が公開されました。

 

この中に、

この事業認定に係る社会資本整備審議会公共用地分科会の議事要旨があります。

 

まず、審議の結果は、

土地収用法第20条の規定により

事業の認定をすべきであるとする九州地方整備局長の判断を相当と認める。」

でした。

 

しかし、同会議における各委員の主な意見は次のようなものでした。

・ 自治体が過去に見積もった水需要が実態と乖離し、

 財政処理に困っている例も見られる。

 利水起業者が、将来にわたって事業費を負担することが可能なのか、

 途中で撤退することがないのか。

・ 渇水と洪水に対する対策として理解しているが、工場用水もあるため、

 人口が全体として減少する中では、最終的に企業のためだけという形

 にみられてしまうのではないか。

・ 用地の取得状況について、

 ダム事業にしては、未買収の率が高いような気がする。

・ 山林の保水力を鑑みれば、山林を開発する施策を行う一方で、

 ダムを造るという関係は、今後の洪水・利水対策などの議論で、

 もう少し深く議論する必要があるのではないか。

 

こんなに批判的な意見が出ているのに・・・なぜ結果は「認定」なのですか???

 

石木ダム事業認定 告示!

速報です。

今朝、石木ダムの事業認定告示されました。

認定庁である九州地方整備局のHPにも、まもなく公開されるとのことです。

 

ついに、石木ダム事業が公益性の高いものであると、認定されたわけです。

認定された以上は、最悪の場合、地権者の土地は強制収容もやむなしというわけです。

認定されたお一人お一人に、直接伺いたいものです。

どこが?どういうふうに公益性が高いと思われるのでしょうか?と。

 

佐世保は、もう水に困ってはいないんですよ!

川棚川の治水対策は、堤防補強が何よりも効果的だと専門家は指摘しているんですよ!

必要性のなくなったダム建設を、なぜ止められないんですか?

 

九州地方整備局の皆さんも、結局は組織の駒にすぎなかったのですね。

少しだけ期待していましたが…

 

この国には公共事業という美名の暴君が君臨しているようです。

 

でも、私たちは諦めません。

最後まで闘って、石木川をまもります!

 

署名活動へご協力いただいている皆さま、

2種類の用紙のうちの1枚は、これで中止です。

でも、「石木ダム計画の中止を求めます」という県宛の方は続行します。

さらに多くの皆さんの賛同が得られるよう、頑張りたいですね

 

 

付け替え道路 発注準備

こんな大見出しが、新聞に出ました。

7月31日、県と佐世保市と川棚町による「石木ダム建設事業促進調整会議」が開かれ、

そこで、付け替え道路の再開に向け業者への発注準備に着手することが決まったそうです。

 

この工事が始まったのは、2010年3月下旬でした。

しかし、反対地権者の強硬な阻止行動を受けて、わずか3ヶ月で中断。

3年間もそのままの状態になっていました。

 

なぜ今、再開の準備なのでしょう?

「事業認定手続きは近く結論が出る見通しとなっており、認定が得られ次第、速やかに工事再開に踏み切る」ためのようです。

 

でも、おかしいですよね。

近く結論が出るなんてどうしてわかるのでしょう?

国から内々のお達しがあったのでしょうか?

「いやいや、過去の例からみて、そろそろ出る頃だと思ってるだけです」と言うでしょう。

でも、そうだとしたら、結論はわからないじゃありませんか。

事業が認定されるかもしれないし、拒否されるかもしれないし。

拒否された場合、付け替え道路は要らないので、準備をしても無駄になりますよ。

なぜ、無駄かもしれないことを発注するのですか?

税金の無駄遣いじゃないですか!

無駄にはならないって?

なぜ分かるのですか?

 

やっぱりそうだったのですね。

この会議のメンバーである石塚副知事は、国土交通省大臣官房調査官だった方。

国=国交省としっかり連携が取れている?

 

でもね、どんなに皆さんが権力のネットワークで進めても、

地権者は一歩も引かない、

1ミリたりとも売らない、

付け替え道路も完成しない。

それだけはしっかり覚えていてくださいね〜

 

 

国土交通省九州地方整備局へ3回目の申し入れ

       

昨日、7月23日、福岡市博多区にある国土交通省九州地方整備局へ、

石木ダムの事業認定拒否を求め、申し入れに行きました。

参加者は、地権者の「ばあちゃんたち」を含む『石木ダム建設絶対反対同盟』をはじめ、

『石木川まもり隊』など6つの市民団体から集まった27名です。

 

昨年6月11日、国交大臣が石木ダム建設事業の継続を認め(付帯意見付き)て以来、

今日で3回目の申し入れでした。

 

1回目は、その直後の6月21日。

事業認定手続きを再開しないよう求めるもので、

事業認定庁である県政部が対応してくれましたが、それが最初で最後。

認定庁は中立であらねばならないとのことで、以後は会って頂けません。

 

2回目は、今年3月12日。

ついに手続きが動き出し、公聴会開催が決まった時、

地権者17人の公述応募に対し、3人だけしか認められないのはあまりに少ないと、

ふる里を奪われようとしている地権者の声にもっと耳を傾けてほしいと訴えに行きました。

その時対応したのは、石木ダムについて何も知らない総務部の方々でした。

 

そして、今回対応したのは、河川部地域河川課長を含めた7名の方でした。

地域河川課というのは二級河川など九州各県の河川やダムを担当しているとのことで、

それなら長崎県の二級河川である川棚川のことも、そこに計画されている石木ダムに関しても、

よくご存知だろう、それなら訴え甲斐があるのでは?と期待して出かけました。

 

地権者の皆さんは、今度こそはちゃんと聞いてもらえるかもしれないとの思いで、

お年寄りや、繁忙期の仕事を抱えた男性たちも仕事を休んで参加し、

マイクロバスをチャーターしてまで、駆けつけました。

 

しかし・・・

私たちは皆さんのお話は聞かせていただきますが、

コメントしたり、

皆さんの質問に答えたり、

そういうことは一切できない。

また、事業認定庁は中立な立場を守るべきなので、

我々にも一切の情報は流さない。

我々からも認定庁に伝えることはできない。

ただし、申し入れ書は宛名(九州地方整備局長)のところには渡します

とのことでした。

 

つまり、いわば、聞き置くだけなのでしょうか…

 

みな内心がっかりでしたが、解散する時に

いっつも、こがんことの繰り返したい。

でも、うったちゃ負けんよ〜

こがんことをエネルギーにして、どんどん強くなるばっかりよ〜

と、地元のS子さんの言葉に、みんな笑いと元気をもらいました。 

 

 

以下に、申入書を貼付します。

 

                                          2013年7月23日

 

国土交通省

九州地方整備局長 吉崎  収 様

 

石木ダム建設絶対反対同盟

ダムからふるさとを守る会

石木川の清流を守り川棚川の

治水を考える町民の会

石木川まもり隊

水問題を考える市民の会

石木川の清流とホタルを守る

市民の会

 

長崎県石木ダム建設事業に係る事業認定拒否を求める申入れ

 

(1)御庁は、標記の事業認定申請に関して、本年3月22日及び23日に公聴会を開催されました。

この公聴会で、関係地権者および専門家、市民など11組の公述人が、石木ダム建設に反対する意見を述べました。

関係地権者が述べた用地提供を拒否する理由、専門家や市民が述べた 川棚町の治水にも佐世保市の利水にも石木ダムは不要である理由は、 事実に基づき、説得的であり、且つ心にひびくものでした。

一方、起業者を含む9組の公述人が、ダム建設を推進する意見を述べましたが、ダム建設を不要とする公述にかみあった、科学的な論拠は聞かれませんでした。

 

(2)佐世保市当局は、石木ダム建設事業に係る水道設備整備事業について、

本年1月22日、2月21日及び3月14日の3回に亘って再評価を行い、「事業継続」の方針を決定して、所管の厚生労働省へ報告しました。

しかし、この再評価について、①再評価の審議をした委員会は、専門性、中立性が担保されていない。②市当局は、この再評価において従来の  計画を総括せず、放棄した。③市当局が策定した新たな水需要計画は、合理的な根拠がなく願望に基づくものである。④市当局は、水道水源を77,000㎥/日しかないと説明しているが、従来から利用し今後も利用できる水源を排除している。⑤石木ダム建設によって、佐世保市民と国民は、354億円余のムダな負担を強いられる。⑥石木ダム建設は水没  予定地域住民の居住権、財産権など基本的人権を侵害する。

・・・などの問題があり、私たち市民団体は、所管の厚生労働省へ、の旨意見書を提出しました。【資料1.厚生労働省への意見書・写】

 

(3)本年3月、長崎市が、同市の水需給計画を見直し、それに基づき本明川ダムの利水事業から撤退する方針を発表しました。

ダム検証のあり方を問う科学者の会は、長崎市の水需給計画を分析して、これを妥当な手法と認定し、その手法によって、佐世保市が1月に発表した水需給計画を分析しました。

その結果、同会は、佐世保市の水需給計画が、あまりにも非科学的で  あり、抜本的な見直しが必要であると結論しました。

同会は、去る7月8日、佐世保市当局へ、「あまりにも非科学的な水需給計画を見直し、石木ダム計画から撤退すべきである」と申入れを行い  ました。【資料2.科学者の会の意見書(その2)・写し】

 

(4)佐世保市当局は、1月に発表した水需要予測で、工業用水の大幅な増加を見込んでいます。その根拠は、地元造船会社の経営計画です。

ところが、その経営計画に基づいて策定した工業用水需要予測の資料に基本的な錯誤がありました。更にその造船会社は、その後、経営規模を縮小する新たな経営計画を今年5月に発表しました。

従って、工業用水の大幅増加を見込んでいる水需要予測の根拠に疑問が生じています。

私たち市民団体は、その疑問を質すために、当局へ7月8日に公開質問を行いました。【資料3.公開質問状・写し】

 

(5)上述のとおり、佐世保市水道の利水のために石木ダムが必要だとする当局の主張に科学的な根拠が無いことが明らかにされています。

また、川棚町の治水のためにも不要であることは明らかにされています。

不必要なダム建設のために、現に住民が生活し、生業を営んでいる地域を強権で取り上げること即ち強制収用は生存権侵害であり、あってはならないことです。【参照:土地収用法第20条。同法逐条解説】

従って、強制収用の条件づくりである事業認定は不要であり、御庁が石木ダム建設事業起業者が申請した事業認定を拒否されるよう求めるものであります。

                                                                     (以上)

公聴会再現

二日間にわたる公聴会の様子が、ユーチューブにアップされました!

動画を作成したのは、われらが「ほーちゃん」、石木川まもり隊員で、地権者のほーちゃんです。

ほーちゃんも今回の公聴会公述人に応募したのですが、残念ながら選に漏れ、

当日は客席から公述の一部始終をしっかり録画してくれました。

 

 

石木ダム公聴会(3月22日と23日、川棚町公会堂にて)動画リンク

1〜10番=3月22日、11〜20番=3月23日 (番号は公述順です)

推進派〜1、3、5、8、12、14、16、18、20

反対派〜2、4、6、7、9、10、11、13、15、17、19

 

1.起業者  http://youtu.be/LY7eo3aZPN8

 

2.石丸勇さん(川棚町:地権者) 

 

3.神野健二さん(福岡県)http://youtu.be/PRss-HPLS4A

 

4.生月光幸さん(川棚町)

 

5.河野孝通さんと篠原康洋さん(川棚町)http://youtu.be/651X3fbM2kw

 

6.松本美智恵さん(佐世保市)

 

7.坂本健吾さん(波佐見町)

 

8.嬉野憲二さん(佐世保市)http://youtu.be/6ROLoVa5IL0

 

9.嶋津暉之さん(埼玉県)

 

10.遠藤保男さん(神奈川県)

 

 

11.松本好央さん(川棚町:地権者)

 

12.山田義弘さん(川棚町)http://youtu.be/qmIwE_qnWRs

 

13.畑田三郎さん(川棚町)

 

14.佐々木廣志さん(佐世保市)http://youtu.be/PGTZ71xFRcE

 

15.宮野由美子さん(佐世保市)

 

16.森一敏さん(川棚町)http://youtu.be/qiF-p43WYBw

 

17.吉島範夫さん(長崎市)

 

18.西坂保憲さんと白昭子さん(川棚町) http://youtu.be/JGSHC-nph0A

 

19.岩下和雄さん(川棚町:地権者)

 

20.小松利光さん(福岡県)http://youtu.be/C0njFvGI9NE


 

僕らの子どもたちに残したいだけなんです!

もう一つ、公述原稿をご紹介します。

会場中が、しんとなって聴き入った、あの地権者の公述です。

Y君は(と私たちは呼びますが)、4人の子の父親で、長男はもう高校生。

でも、スポーツマンのY君は、いつまでも若々しくて青年のようです。

そんなY君が、まるで選手宣誓のように、一語一語噛み締めるように区切りながら、

大きな声で、時には怒りを抑えるように、時には絶叫するように読み上げた公述文です。

 

原稿は手書きだというのでFAXしてもらいました。

受け取ってびっくり!

とてもきれいな文字です。Y君のイメージには似合いません。

はは〜ん・・・

やっぱり!愛妻のMちゃんの字でした。

そして、この原稿も二人で考えたものだそうです。

 

皆さん、どうかY君とMちゃんの、思いを感じ取りながら、目を通してください。 

 

 

 

 

 

公述 節水型のまちづくりこそが大事

公聴会で公述した20組中、11組(11人)が石木ダム建設に公益性がないことを訴えました。

うち3人は、半世紀にわたって反対運動を続けてきた地権者です。

絶対反対です。

 

うち、2人は、関東からわざわざ公述に来てくださった、専門家の方々で、

利水、治水、また土地収用法や憲法の観点からも、客観的科学的に論じてくださいました。

 

残る6人は、川棚町民2人、波佐見町民1人、長崎市民1人、そして佐世保市民2人で、

それぞれ治水、利水、環境などの視点で、関係住民として県民としての思いを語りました。

 

佐世保からは、私ともう一人M・Yさんが公述しました。

Yさんは過去の実績を丹念に調べ、まとめ、提示してくれました。

数字は嘘は言いません。説得力があります。

誰もが納得する素晴らしい公述でした。

ここに、その原稿を掲載します。

同じ「石木川まもり隊」の仲間として、誇りに思います。

 

        ☆公聴会のための「公述」☆

                                                2013年3月23日

 私は、いまお話になった方と同じように、佐世保市で生まれ育った人間ですが、佐世保市民は生活用水には少しも困ってはいないし、石木ダムを建設するよりも節水型の街づくりに力を入れるべきだと思っています。

 本日、このように公述の機会をいただきましたので、ただいまの方とは全く反対の立場から、佐世保市民のひとりとして、また主婦のひとりとして、

・佐世保の水は足りていて、石木ダムは必要がないこと。

・少子高齢化と人口減少が急速に進むことから、今後も佐世保市民の水の使用量は減少すること。

・大渇水を経験した佐世保市は、福岡市のような節水型街づくりを目指すべきであること。

などについて意見を述べたいと思います。

たくさんの数字が出てきて、お聞き苦しいかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。

 

佐世保市水道局は、「佐世保市は慢性的な水不足であり、安定的に取水できる水源は日量77,000トンしかない。今後、水の需要が伸び、一日最大給水量が117,000トンになる。その差の40,000トンが不足する。不足する水源を求めるには石木ダム建設しかない」と言っています。

しかし、40,000トンの水が不足することは絶対にありません。

水道局は、佐世保市には安定水源が77,000トンしかないと言い、危機意識を煽りますが、実は、これは真っ赤なウソです。

水道局は「不安定水源」という名称で、取水できないかのような印象を与えていますが、岡本湧水1,000トンや、四条橋取水場の18,000トン、三本木取水場の4,500トン、合計すると23,500トンの水源を有しています。。これは、れっきとした水源です。

加えて、川棚川には暫定豊水水利権5,000トンもあるのです。

石木ダムを建設したいがために、不安定水源と称して、現にそこに有る、確かな水源を、存在しない水源であるかのように誤魔化しているのが佐世保市水道局なのです。

これに関しては、昨日、3人の公述人の方が詳しく述べられたとおりです。

 

では現在、佐世保市民は毎日何トンの水を使用しているのでしょうか。

直近の平成23年度及び24年度の給水量について実績値をもとに述べることにします。

  

まず、平成23年度です。

一日平均給水量は71,153トンで、一日最大給水量は80,240トンです。

通常、水の使用量は暑い夏場が最大になりますが、23年度の8月の一日平均給水量は75,262トンです。ちなみに、最も低かった月は平成24年3月で、一日平均給水量は69,335トンです。

私たちは、毎月の給水量を水道局にお聞きして記録をしていますが、あと10日ほど残した平成24年度については、3月20日すなわち一昨日までの実績値をお聞きしています。

そこで平成24年度の3月20日現在では、一日平均給水量は71,482トンで、一日最大給水量81,070トンです。

平成24年度の8月の一日平均給水量は75,762トンです。

24年度の実績値は、23年度のそれをわずかに上回りそうですが、先月・2月の一日平均給水量が68,735トンであり、3月は20日現在で68,339トンと、70,000トンを切りました。今後とも、水使用量が右肩上がりに伸びるとは到底考えられませんし、人口減少に見合って減少していくと考えるのが自然です。

強調したいのは、平成23年度の一日平均給水量71,153トンと、24年度の71,482トンの中には、この間の水道局の漏水対策の結果、若干の改善が見られるようになったとはいうものの、なお、7,000トン前後の漏水量が含まれているということです。つまり、現在の佐世保市の実際の水使用量は、一日平均で65,000トンを切っているのです。安定水源77,000トンでも十分過ぎるほど足りているのです。

佐世保市の水使用量は、給水人口が23万3,000人台であった平成4年度以降の一日平均給水量の実績値でみてみると、ずっと微減傾向が続いています。増加傾向を示したことは一度もありません。そして、平成19年度以降、減少傾向は顕著になってきました。平成23年度と24年度の実績値については先ほど示したとおりですが、佐世保市水道局は、相変わらず今後も、水使用量は右肩上がりで伸びていくと予測しています。はたしてそうなるでしょうか。今後は、少子高齢化・人口減少に見合って減少していく、このように考えるのが常識ある市民の感覚として自然だと思います。

佐世保市水道局は、将来的に一日最大給水量は117,000トンまで伸びる。安定水源は77,000トンしかない。不足する40,000トンを石木ダムで確保する。このように言い続けています。

 

専門家でない素人の私が、この「117,000トン」という数字について考えていることを述べてみたいと思います。

117,000トンの根拠について、佐世保市水道局は、平成11年12月31日に記録した一日最大給水量101,510トンをもとに説明してきました。すなわち、101,510トンを利用量率95%で割り戻した数字だという説明です。つまり、過去最大の一日最大給水量を記録した平成11年12月31日は、117,000トンの原水量が必要だったというのです。

ここで私が疑問に思うのは、ある年のある一日が、原水量で117,000トン必要だったからと言って、どうして77,000トンのほかに毎日40,000トンの水が必要になるのかということです。

水道局発行の資料で、平成11年度の一日の給水量を見てみると、平成11年度は、一日の給水量が10万トンを超えたのは12月31日だけです。9万トンを超えた日ですらたったの7日間にすぎません。しかも、平成11年度の漏水量は毎日10,000トンを超えていました。12月31日の一日最大給水量101,510トンのうちには、実に13,000トン強の漏水が含まれていたのです。

近年の一日の給水量をみると、80,000トンを超える日が極端に減少してきました。平成20年度は55日。21年度は19日。22年度は9日。そして23年度と24年度はたったの1日です。

ごく近い将来に、一日最大給水量ですら、77,000トンを切ることになるのではないでしょうか。

 

事業認定申請書に関して1点だけ述べます。

 

事業認定申請書の中の「事業の施行を必要とする公益上の理由」の「水道用水効果」の項に、「昭和53年、同57年、同59年から同61年まで、同63年、平成元年、同5年から同11年まで、同15年から同17年まで及び同19年から同20年までの過去の渇水時に渇水調整や地域住民への節水の呼びかけを行うなど、頻繁に渇水対策が強いられてきた」と、誇張された記載があります。

佐世保市水道局も、「2年に一度の頻度で渇水の危機に瀕している」と、負けず劣らず危機を煽っています。、水道事業者の心得としては、もう少し冷静に対応してもらいたいものだと思います。

 

石木ダム建設事業が正式に認可された昭和51年以降、断水があったのは昭和53年の11日間と平成6年から7年にかけての264日間の2回だけです。

平成17年に8日間の減圧による給水制限、平成19年から20年にかけて旧佐世保地区は125日間の減圧による給水制限がありました。

しかし、減圧給水というのは、水道局が誇張して言うほど、市民生活への影響は大きくなく、普段と変わらない生活が出来ました。

 したがって、市民生活に影響のある断水が実施されたのは、昭和53年の11日間と平成6年から7年にかけて264日間の2回だけなのです。

 

佐世保市の南部にある下の原ダムは、平成19年に嵩上げ工事が竣工しました。ところで、平成17年の渇水で、8日間の減圧による給水制限が行われましたが、水道局は、この17年の渇水を総括する文書を公表しています。

この中に、「下の原ダムの嵩上げが完成していたら、結果的に給水制限に入ることもなかった。一日も早い嵩上げの完成が待たれる」との記述があります。

つまり、下の原ダムの嵩上げ完成後であったら、平成17年の減圧による給水制限はなかったと言っているわけです。

水道局は強調して、「2年に1度の頻度で渇水の危機に瀕している」と言いますが、折からの降雨で解消された水道局が言う2年に一度の渇水の危機も、下の原ダムの嵩上げが竣工した今日、文字どおり過去のものであって、これからはもうありません、と言っているわけです。

 

ここで私は、素人らしく物事を考えてみようと思います。

 

長崎県の県都である長崎市の水の使用量はどのくらいかHPで調べてみました。平成22年度の給水人口は428,472人で、一日平均給水量は127,121トンとなっています。

ところで、佐世保市水道局が今年度実施した「石木ダム建設事業に係る再評価」で、水道局は平成36年を目標年度として新水需要予測を示しました。

これによると、平成36年の給水人口は209,119人に減少しますが、おかしなことに一日平均給水量は増加して84,685トンなるにとしています。

 

長崎市の平成22年度の数値と、水道局が予測した平成36年度の数値を比較してみます。素人なりに、的を射た見方だと思います。

 

佐世保市の給水人口は長崎市の半分以下なのですから、一日平均給水量は127,121トンの半分である63,561トン以下となります。それなのにどうして、水道局が予測するような84,685トンという大きな数字になるのでしょうか。全くあり得ない数字だと思います。

 

県庁所在地である長崎市には公的機関や民間会社の支店の多くが集中し、佐世保市と比較するとはるかに、生産活動や経済活動が活発です。その長崎市の給水人口と一日平均給水量をもとに比較した平成36年の佐世保市の一日平均給水量は63、561トン以下にしかならない、これは極めて妥当な数字ではないでしょうか。

 

 次に「節水型街づくり」に関連して述べたいと思います。  

 

確かに、平成6年から7年にかけての渇水は大変でした。

水道局は、このときの渇水を、日本一厳しい264日間といいます。厳しくなかったと言うつもりは毛頭ありません。しかし、この年の大渇水は西日本から関東地方までの広い地域で起こったもので、何も佐世保市だけではありませんでした。広島県福山市では、佐世保市を上回る290日間、福岡市ではさらに上回る295日間の制限給水でした。

 

この厳しい渇水を経験して、佐世保市民は水を大切にすることを学びました。我が家でも、散水や掃除には井戸水を使いますし、洗濯には風呂の残り湯を活用しています。多くの市民は、普通に節水をしています。

佐世保市長は、よく「佐世保市民はシビアな生活をしている」と言われますが、私たち市民は、節水することが辛いだとか、苦しいだとか誰も思っていません。節水に心がけることは、生活していくうえで、当たり前のことではないでしょうか?

 

同じように、渇水で苦しんだ他の都市では、その後どのような取り組みをされているでしょうか。

295日間という長期の制限給水に苦しんだ福岡市では、天候に左右されず水を供給できる海水淡水化の導入に向けた研究会が、平成7年9月に設置され、10年後の平成17年6月より水の供用が開始されています。

それだけではありません。平成15年には、「福岡市節水推進条例」が制定され、「雑用水道の設置」「節水機器の奨励」などが決められています。

 

同じように渇水に苦しんだ香川県高松市では、平成13年に「高松市節水・循環型水利用に関する要綱」を定め、「水は限りある資源であると言う視点から、市・市民及び事業者の協働により、全市をあげて節水・循環型水利用を推進する」こととし、「渇水に強い街づくり」をめざすとしています。

さらに「高松市・再生水利用下水道事業実施要綱」をも定めて、トイレや散水など飲料水以外の用途に再生水を使用していくことをめざしています。

また、愛媛県松山市では、平成17年に「大規模建築物の節水対策に関する条例」を定め、大規模な建築物の新築、増築には節水機器、雨水タンクの設置を義務付けています。

 

これらの節水に取り組んでいる都市では、雨水タンクへの助成も行なわれています。九州では福岡市、長崎市、熊本市、鹿児島市、飯塚市など多くの自治体が雨水タンクへの助成を行なっています。

 

 では、佐世保市ではどうでしょうか。

10年ほど前、佐世保駅周辺に大きなマンションが建ち始めたころですが、知り合いの市議会議員の方を通して「大きな建築物には節水機器を取り付けるべきではないか?」と質問をしてもらいました。これに対する回答は、「そういうことを義務付ければ、業者が佐世保に進出してこなくなる」というものでした。あきれた話だと思います。

 

あれほどの渇水を経験したにもかかわらず、節水条例を制定する動きはなく、雨水タンクへの助成すら検討されていません。ただ、「石木ダム建設」があるのみなのです。

 

 昨日、公述人のお一人で石木ダム建設促進佐世保市民の会の方が、平成6年の渇水時の辛さを述べ、「市民の中には水が足りていると言う者がいるが、あの渇水を経験したのだろうか」と疑問を呈され、石木ダムの必要性を訴えられました。私は冒頭に述べたように、佐世保生まれの佐世保育ちで、もちろん平成6年の渇水も経験しています。しかし、ダムは要らないと思っています。

 

ダム建設には時間がかかります。促進市民の会の方々は、それほどまでに水が必要だと考えられるのなら、なぜ今まで、ダムよりも安価で手軽に設置できる雨水タンクの奨励や中水の活用を言ってこられなかったのでしょうか? 私にとってはそれこそが疑問に思えます。

 

 佐世保市内には、共同使用されているものも含めて多くの井戸があります。

私は、佐世保駅から少し南の稲荷町というところに住んでいますが、この一帯は、ほとんどのお宅に昔ながらの井戸があります。あの渇水のときには大いに役立ちました。保健所で水質検査をしてもらいましたが、「沸かせば飲める」と言われました。我が家周辺の地下には良い水脈が走っているのかも知れません。佐世保市は家庭用の井戸など1度も調査をしていません。きちんと調査をして、活用すべきです。

 

最後に、下水の「一次処理水」について述べます。

下水の一次処理水は、日量35.000トンも捨てられています。

このことは、平成20年の3月議会で、石木ダム建設推進の立場であられるN議員が取り上げられ、『提案だが、中部下水処理場において処理している中水の活用を崎辺、倉島、米海軍佐世保基地及び佐世保地方総監部までのラインで施行をしていただければ、また、西部下水処理場における中水は陸上自衛隊の相浦駐屯地で再利用していただければと考えている。中部下水処理場における日量3万トンの処理水は余りにももったいない。このことができるとすれば、そのライン周辺の公共施設にとどまらず、民間施設への活用もできることから、貯水池への負担が相当に軽減できるものと思われるし、水源確保と同様の効果として評価できるものと考えている。』と発言されました。

実に納得のいくご提案でした。

N議員がおっしゃるように、もっと一次処理水の有効活用を考えるべきではないでしょうか?

 

しかし、佐世保市の対応は鈍いというほかありません。

やはり、石木ダム建設推進しか頭にないのだと思います。残念なことです。

 

佐世保の市民たちは、平成6年の渇水時に石木ダムがあったら、あのような制限給水はなかったと思い込まされていますが、それは違います。日照りが続けばダムも干上がるのです。「平成6年の渇水時に、石木ダムがあっても制限給水は避けられなかった。」といったのは、水道局自身です。

 

これまで、いろいろと述べてまいりましたが、これらのことを総合して考えると新たに「石木ダム」を建設する必要はまったく無いことが、ますます確信できました。みなさま方にも、「石木ダム」を建設する必要がないことがお分かりいただけたと思います。

 

ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

公聴会2日目

今日も10人の公述人が登壇。

ダム推進派と反対派がちょうど半々でした。

人数で言えば6人対5人ですが、5枠ずつ。

 

トップバッターは、地権者の若者。

と言っても、なんと4人の子のお父さんです。

ぼくらは、生まれ育ったふる里を、自然の恵あふれる川原をただ守りたいだけ。

そして、この素晴らしいふる里を子どもたち、○○、○○、○○、○○に残したいだけ!

と涙声で叫ぶように訴えました。

みんな、会場中が固まったように身じろぎもせず、全身で聴き入っていました。

国交省の事業認定官はもちろん、

起業者(長崎県職員+佐世保市職員)も、ダム推進派の人たちも、

きっと立場を忘れて聴いていたに違いありません。

 

その後も推進派と反対派が交互に意見を陳述しました。

 

昨日同様、推進派の皆さんは、水害体験、渇水体験の苦労話が主です。

中には土地を売って出て行った者の辛さ、肩身の狭さなどを訴え、早くダムを造って欲しいと言う方、

また、県や佐世保市水道局のいつもの説明そっくりに話される方も。。

 

反対派は、

Hさんが環境評価についての話、大村湾の赤ナマコの被害、そして憲法で保証された人権侵害に当たることなどを話し、

Mさんは、佐世保市の水が足りていることを具体的な数字をたくさんあげて説明し、

節水型の街創りにこそ力を入れるべきことを力強く断言しました。

反対派のトリを務めた地権者のIさんは、石木ダムの歴史を語り、13世帯の不動の意思を語りました。

その中で、元佐世保市長の桟氏の話は印象的でした。

 

桟市長は平成6〜7年の大渇水被害の責任をとって辞められたそうで、非常に悔しがっておられた…。

なぜなら、市長は石木ダムに代わる代替案をいろいろ考えて実行しようとしたが、

ことごとく県に阻まれ実現できなかった、

代替策を実現できていたら、こんなひどい渇水被害は起きなかった…と。

そして、私に「これからも頑張ってください」と励ましの言葉さえかけられたのです。

 

県がダムを造る本当の目的は何なのか…あらためて考えさせられる話でした。

 

一方、推進派のトリを務めたのは、某大学教授のK先生。

話を聴く前から御用学者との噂が飛び交っていましたが、公述の途中で退席する人が続出。

私は最後まで聴きましたが、なぜ、この先生がここにいるのか…不思議な気分になりました。

様々なグラフや図や写真を沢山提示して、

将来の気象傾向、洪水被害、渇水被害の予測を示し、

昨年の集中豪雨による九州各県の被害実態とその原因について詳しく報告されました。

 

「洪水被害調査」の報告会なら、たいへん関心を集めたでしょうが、

石木ダムとは関係のない話を延々と聞かされ、

最後の4分ほど前にようやく石木ダムの話が出てきました。

要は、地球温暖化により、今後は洪水被害も渇水被害も増える、

その際役に立つのがダムで、さらなる工夫と弾力的な運用で、大いに期待できるそうで、

「石木ダムが今後長きにわたって地域の安全・安心に大きく貢献することを確信する」そうです。

 

地元のことを何も知らず、地元調査もせず、一般論だけで石木ダムを云々するなんて、

あまりにも安直なやりかたですね〜

 

公聴会はこれで終わりました。

事業認定官の方の心には、しっかり届いたはずです。

地権者の思い、佐世保市の水受給計画のデタラメさ、長崎県の河川整備計画の悪質さ、etc.

 

でも、この公益性を実際に審議するのは、九地整ではないんですよね〜

社会資本整備審議会が公益性を判断するのですよね〜

なぜ?

なぜ認定官の方々ではダメなのか、わかりませんね〜

せっかく、心を込めた公述がなされても、

それを実際に聞いていない人たちが審議することに、どんな意味があるというのか…???

 

 

公聴会始まる

いよいよ今日から公聴会が始まりました。

国交省九州地方整備局が石木ダム事業の公益性を判断するために、

賛成反対多様な意見を聴くことを目的として開催されたのです。

公聴会は、土地の強制収用を可能にする事業認定手続きの一環として行うわけですから、

どうしても反対派の言葉の方が重く、切実で、また説得力もあるように聞こえました。

(身びいきではなく…)

推進派の意見はどうしても過去の辛い体験談が多く、

洪水の被害とか、渇水時の苦労とか…

そこへいくと反対派は今と未来を見据えた話が多く、建設的に聞こえました。

(やっぱり身びいき?)

 

身びいきついでに、私の公述原稿を貼付しますので、暇だったら読んでみてください。

(30分分は長いので、ご覚悟を!)

 

 

1.    本当に水不足か

 

石木ダム事業の公益性を考えるとき大前提となるのが佐世保市の水事情です。

市長さんや水道局長さんはいつも

佐世保市民は慢性的な水不足で苦しんでおり、それを解消するには石木ダムしかない

と言われます。

それが正しければ公益性は高いかもしれません。

 

結論から言いますと、私は、水不足だとは思っていません

もちろん、水が豊富だとも思いませんし、水道局の職員の皆さんが長い間ご苦労なさってきた

ことも知っています。そのことには心から感謝しています。

しかし少なくとも、新たにダムを造らなければならないほどの水不足では決してない

と、私は思っています。

私だけでなく主婦の多くは水不足とは感じていません。

なぜなら私たちは、お風呂もトイレも洗濯も、日常生活に困っていないからです。

私たちは昨年夏、石木ダムについての街頭アンケートを行いました。

市民100人の方に聞きましたが、「水不足で困っていますか?」との問いに、94%の人が

困っていないと答えました。

 

その主婦の実感を裏付ける資料があります。このグラフをご覧下さい。

これは給水量の実績値と予測値です。

 

 

緑の線が平均給水量の実績値、青の線が最大給水量の実績値です。

ここ10年間でこんなに減っています。

平均給水量は一日に約1万トン、最大給水量では2万トンも減っています。

一方赤の線を見てください。こちらは推計値です。

佐世保市は、国の補助金を受けるために、5年に一度石木ダム事業の再評価をやって

厚生労働省に提出しています。その時必ず、このような水需要の予測を出すのですが、

毎回かなり過大な増加傾向が示されます。そして、結果は毎回外れています。

これは5年前に出された予測ですが、昨年度のところを見てください。

赤線の23年度の予測は10万5千トンほどですが、青線の実績は8万トンですよね。

約2万5千トンも外れてしまっています。

佐世保市が出す予測はいつも現実を直視せず、希望的観測に基づいた計算に終始しているのです。

 

そして、給水量の減少については、

リーマンショックの影響などが原因で一時的なものだと言いますが、私はそうは思いません。

理由の第一は人口減少だと思います。

ここ10年間で給水人口は8000人ほど減りました。

水を使う人が減れば使用量が減るのは当たり前です。

 

また、節水機器の普及も大きな要因です。こちらのグラフをご覧下さい。

これはトイレで用を足した後に使う水の量を示したものです。

 

 

1970年代初めごろ造られていた便器では、1回につき約16リットルの水が必要でした。

それが2010年頃にはなんとたったの4リットル!以前の4分の1で足りるようになったのです。

トイレだけではありません。洗濯機も節水型の開発が進んでおり、10年前のものの半分ほどの

水量で洗えるようになっています。

このように、人口も減り、節水機器も普及した結果、どこの都市でも水需要は減っています。

それが紛れもない現実なのです。

 

そして、佐世保市の場合、これからもこの減少傾向は加速すると思います。

なぜなら、このグラフをごらんください。

 

 

グラフこれは昨年1月に九州経済調査会が示した人口予測です。

これによると、佐世保の人口は2035年には2010年の73.6%に落ち込むと予想されています。

つまり25年間で今の4分の3になるということです。

その減少率で25年後の水需要を予測すると、最大でも6万トンになってしまいます。

もちろん、それほど単純にあてはめることはできないでしょうが、かなり大きく減少することは

間違いないでしょう。

今でさえ水に不自由していないのに、これからはますます余裕が出てくると思います。

 

 

2.    今有る水源を活用しよう

 

ではなぜ、佐世保市は水が足りないと言うのでしょう。

それは、今保有している水源量を過小評価しているからです。

先ほど水道局からの説明の中で、佐世保市には77,000tしか水がないと言われました。

それは真実ではありません。こちらをごらんください。

 

 

これは、長崎県のサイト「石木ダムホームページ」に掲載されている資料です。

棒グラフで佐世保市の水源量を表しています。

左が現況=現在の状況で、右が石木ダムが出来た場合の計画水量を示しています。

現況の棒グラフの上に、105,500tと書かれています。

佐世保には現在105,500tの水源があるということです。

先ほど確認したように、昨年度の給水量は最大で8万トンでしたので、10万トン以上あれば

十分おつりがきます。

しかし、水道局はその中の28,500tは不安定な水源だからと言って完全に無視をするように

なりました。安定水源の77,000tしか無いと言うようになったのです。

そして、石木ダムを造って、40,000tの安定水源を確保すれば安心だ、

というのが佐世保市の主張です。

ちなみに、不安定水源とは、「安定して取水できない河川表流水や湧水のことだそうです。

 

しかし、その不安定水源からは、昨日も今日も毎日取水されています。

ずーっと昔から取水され続けてきた慣行水利権の水なのです。決してゼロにはならないのです。

それどころか、平成19年度の渇水の時は、これらの不安定水源から、

毎日15,000t〜25,000tもの水が取水されていました。

ということは、最低でも15,000tは取れる、頼りになる水源ということです。

安定水源77,000tにこの15,000tを足せば、92,000tになります。

つまり、いま現在、最低でも92,000tの水源を佐世保市は持っているのです。

現在の必要量80,000tは十分満たしています。

つまり、ダムなど造らなくても今有る水源で賄えるということです。

 

それにしても佐世保市は、どうしてこの大切な水を水源として認めないのでしょう?

どうして川の水よりダムの水を求めるのでしょう。

ダムの水も渇水になれば減る一方です。日照りが続けば、ダム湖も干上がります。

しかし、川が干上がることはめったにありません。流量は減っても川は流れ続けます。

その水は何年も前に降った雨水が大地にしみ込み、地下を旅して再び地上に出てきた水だからです。

 

森は緑のダムと言われます。

人間が造ったコンクリートのダムは自然を傷つけ、生態系を破壊し、

数十年かせいぜい100年で使い物にならないコンクリートの粗大ゴミとなり、

その時は再び巨額の費用を投じてダムを撤去しなければならなくなります。

しかし緑のダムは、人間が森を破壊しないかぎり、永遠に水を提供し続けてくれます。

しかも、無償で提供してくれます。

 

昨年、日本で初めてのダム撤去が熊本の荒瀬ダムで始まりました。

29億円かけて造られたダムが今、81億円という大金をかけて、

6年がかりで撤去されようとしています。

それは、清流球磨川の水が汚され、鮎漁が衰退して人口が減り、水害はかえって増え、

ヘドロの悪臭などダムによる被害に耐え切れなくなった住民の強い要望があったからです。

私たちもこのような事例を教訓として、目先のことだけを考えず、未来を見据えた対策を考える

べきではないでしょうか。

 

大村湾への影響

もう一つ、気になることがあります。右側の赤い数字を見てください。

今現在佐世保市は川棚川から安定水源として15,000t取水させてもらっています。

しかし、石木ダムを造ったら、毎日40,000tが新たに取水出来、

現在の15,000tと合わせて55,000tが確実に取水できるというのです。

そんなことをして大丈夫でしょうか?

一日40,000tも取水が増えるということは、年間にすると1460万トンの水が、

大村湾に流れ込まなくなるわけです。大村湾への影響が懸念されます。

大村湾は極端に閉鎖的な内海で、川の影響を受けやすいと言われています。

郡川に萱瀬ダムができて以来、大村湾へ流れ込む水量が減り、大村湾の水質が悪化した

ときいています。今また、川棚川からの水も減ってしまえば、大村湾の生態系がどうなるのか

大変心配されるところです。

 

 

代替案としての佐々川

しかし市民の中には、やはりもう少し水を確保したいとおっしゃる方々がいます。

佐世保市の経済発展のために企業を誘致したい、そのためには余裕ある水源が必要と考える

方々や、過去の大渇水の時の苦労がトラウマになっている方々などです。

その方々には、一つの代替案を提案したいと思います。

 

佐世保市の北部には佐々川という川が流れています。

佐々川は長さも流域面積も川棚川をやや上回る、2級河川としては県内トップの川です。

この佐々川から日量5000t、薦田ダムの集水用として認められた水利権が佐世保市にはある

のですが、なぜかこれがほとんど取水されていません。渇水時だけ取水されています。

佐世保市が本当に慢性的な水不足なら、どうして常時取水しないのでしょうか。

そして、集水用としての5千トンではなく、独立した水源として1万トンくらい取水できれば、

現状に不安を感じている方々にも安心してもらえると思います。

しかし、そのことをお願いしても、河川管理者の長崎県はそれを認めようとしません。

佐々川にはすでにたくさんの水利権が張り付いていて、新たに水利権を与える余裕はない

というのです。

しかし、調べてみますと、既得水利権の中には実際に使用されていない、いわゆる遊休水利権

いろいろありました。

例えば、佐々町の「東部かんぱい」が有する水利権は23,200tもありますが、

ほとんど利用されていません。

過去10年間で取水されたのは、たった36日だけです。残りの日はすべてゼロです。

しかも取水された日も平均で3,300tほどです。どう考えても、2万トンほどの余裕があります。

厚労省はダムの代替案の一つとして水利権の転用を上げています。

現在の水利権を見直して、使われていないものは必要とするところへ転用すべきというものです。

これが佐々川で実行されれば、石木川を犠牲にしなくてもすみます。

里山の豊かな環境を守り、そこに暮らす人々の生活を守ることができます。

佐世保市が本当に水不足を心配するなら、佐々川の水利権を増やすための努力をするべきです。

それをしないのは、水不足解消が目的ではなく、

ダム建設そのものが目的化しているように思えてなりません。

それが誤解であることを願っています。

 

 

佐世保市民への負担

さて、多くの市民にとって、最大の関心事は、コストです。

ダムを造るには莫大な費用がかかります。

石木ダムの場合、総事業費285億円の35%が佐世保市の負担ですから、

それは約100億円にものぼります。

しかし、それだけではありません。

ダムからの水を取水し、それを佐世保まで導水し、その水をきれいに浄水するなど

あらゆる施設設備を造らなければなりません。他にも諸々の関連費が生じるでしょう。

 

そこで水道局にお尋ねします。

これらの費用、いわゆる石木ダム関連事業費の総額は一体いくらなのでしょうか。

そして、そのうち佐世保市が負担するのはいくらですか?

またその中の、水道局の負担分はいくらですか?

数字だけでけっこうですので明確にお答えください。

 

ありがとうございました。

総額は350億円で、そのうち298億円が佐世保市の負担だそうです。

つまり約300億円!市民にとってはたいへん重い負担です。

一世帯あたり30万円に近い負担となります。

しかも水道局の負担だけでも245億円だそうで、

これだけの負担金はどうやって処理されるのでしょうか?

やはり水道料金の値上げでしょうか?3年前に水道料金の値上げをしたばかりですから、

市民の納得はなかなか得られないでしょう。

そのときはまた市の一般会計から援助を求めるのでしょうか?

いずれにしても、それは私たち市民のお財布から出ていくものです。

税金としてとられるか水道料金としてとられるか、その違いだけです。

 

5年半ほど前、野村総研が出した「2040年の日本の水問題」というレポートがあります。

そこには、このように書かれていました。

「人口減少社会の到来に伴い、水需要は減少します。そして、2040年には上水道の需要は

現在の約半分から4分の3に減少する可能性があります。需要が減少し水道収益が減少すると、

水道事業者の収益悪化をもたらします。もし、このような水道事業の危機を水道料金の値上げ

でカバーするとなると2040年時点で、水道料金は、現状の1.3倍〜2.7倍になると推測されます」

これは一般論です。佐世保市の場合もっと厳しい事態が予想されます。

佐世保の水道施設は大変古いものが多く、漏水の原因ともなっています。

施設設備の更新にはやはり莫大なお金がかかるでしょうが、これは避けて通れません。

石木ダム計画から撤退すれば、施設の改築や補修、漏水対策にお金が回せます。

水もお金も限りあるものです。今有る中でやりくりする、そのような方針転換を図るべきです。

何を取って、何を捨てるか、佐世保市も私たち市民もよく考えるべきです。

いつまでも石木ダムに縛られるのは、現地の方々だけでなく

佐世保市民や水道局にとっても不幸なことだと思います。

 

私たちは、2年前の3・11で、自然の猛威を思い知らされました。

そして人間の愚かさも思い知りました。

福島では未だに15万人の人が避難生活を送っていますが、宮城や岩手の復興も進んでいません。

津波で破壊された海岸線がそのままです。復興が進まない理由は、公共事業だそうです。

いま全国各地で新たな公共事業が増えてきたので、復興予算は降りても、

被災地で働いてくれる派遣労働者が減ったのだそうです。

先日NHKスペシャルの番組の中で、現地の方が嘆いていました。

今は被災地が一日も早く日常生活を取り戻せるよう、お金も人も物も投入すべき時だと思います。

 

そしてトンネル崩落事故などでわかったように、

かつて右肩上がりの時代に造ったあらゆる建造物がいま老朽化しています。

これからは補修や改修に莫大な予算を充てねばならないでしょう。

古い危険なダムの撤去も、これからどんどん増えていくでしょう。

造る以上のお金がかかります。

新たなダム建設などは、よほどの切迫した状況でもなければ認められないはずです。

少なくとも石木ダムは、その例ではありません。

                                  

いよいよ公聴会です

明日からいよいよ公聴会が始まります。

石木ダムの事業認定に関する公聴会です。

正式名称は「二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれに伴う県道、町道及び農道用道路付替工事の事業認定に係る公聴会」という長ったらしいものです。

ダム計画を推進する者、反対する者、両者の意見が聴けます。

誰でも聴けます。

関心のある方は、是非傍聴にいらしてください。

なぜダムを望むのか、なぜ反対するのか、双方の意見をじっくり聴いて、

ご自身の判断の材料にしてください。

明日は平日なので、お仕事なさっている方は難しいでしょうが、明後日もあります。

ご予定のない県内の方、特に川棚町や佐世保にお住まいの方の

多くのご来場を期待しています。

 

会場:川棚町公会堂(川棚町中組郷1506  tel=0956-82-2064)
    http://ticket-search.pia.jp/pia/venue/venue_access_map.do?venueCd=KAWK

日時:3月22日(金) 13:00〜19:30
    3月23日(土) 10:30〜17:30