一からわかる 石木ダム

 

一週間前の記事になりますが、朝日新聞にこんな記事がありました。

ご覧になった方も多いでしょうか?

 

「一からわかる」のタイトル通り、さすが新聞記者さん!

こんなややこしい、法律や行政に関する難しい話を、実にわかりやすく整理して書かれています。

 

その整理されたポイントは何かというと、

 

1.石木ダムをめぐってこの4年間に進められてきた3つの行政手続きとは、

  ①長崎県による再検証=平成10年12月〜12年6月(結果=継続)

  ②佐世保市による再評価=平成13年1月〜3月(市の結果=継続、国の判断待ち)

  ③国による事業認定手続き=平成9年11月〜(公聴会まで終了、次は・・・)

 

2.再検証や再評価で、何も見直されていない、何も変わっていない。なぜか?

  それは、「再検証」をおこなったのは、推進の立場の関係市長の首長だけで、

  「再評価」をおこなったのも市の自己点検だけだったから。

  それでは本当の意味の再検証や再評価にならない。

 

3.今後の焦点は国交省九州地方整備局の判断

  仮に事業認定されても、

  県は「(土地の強制収用は)現時点で考えていない」と言ってるけれど、

  どうだろうか。

 

そうなんです。

土地の強制収用は「現時点で考えていない」ということは、

イコール「将来は考える可能性有り」ということ。

どんな将来かというと、地権者の意思が変わらず、土地を売ってくれないという将来で、

こちらの可能性はほぼ100%に近いわけだから、

やはり将来は「土地の強制収用を考える」ということになるのです。

 

強制収用してまで必要なダムですか?

それをもう一度、わたしたち佐世保市民一人ひとりが考えてみなければなりません。

 

その参考材料になる学習会を明日、おこないます。

 

「丸ごと再現 石木ダム公聴会」第3回

日時:4月28日午後2時〜4時

場所:させぼ市民活動交流プラザ

 

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佐世保市の需要予測は「極め付きの虚構」

なぜか今頃、こんな記事が掲載されました。

佐世保市・石木ダム工場用水予測 学者ら「極めつきの虚構だ」

この見出しの記事は、毎日新聞長崎版の取材前線 2013年04月22日の記事です 。
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20130422ddlk42010279000c.html


「これだけひどい水需要予測は、全国のダム計画でもここだけだ」。

全国125人の学者でつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(共同代表、今本博健・京大名誉教授)が3月11日に批判したのは、川棚町に計画される石木ダム事業を再評価した第三者委員会に佐世保市が示した水需要予測だ。

特に約5倍に跳ね上がるという工場用水の予測を「極めつきの虚構だ」とバッサリ。建設反対派の批判をよそにダムの事業認定手続きは進むが、工場用水の需要予測を改めて検証した。【柳瀬成一郎】

同市の工場用水は、景気低迷などの影響で右肩下がりで推移している。1998年度の日量3167トンが11年度には1890トンに落ち込んだ。

にもかかわらず、市の需要予測は2024年度には約5倍の8979トンにまで増えるとした。主な理由は、造船業の佐世保重工業(SSK)が水の洗浄を伴う修繕部門を強化するからだという。

11年度1166トンだったSSKの日量が、15年度には約5倍の5691トンになると見積もった。同じ日に2隻がドックに入った場合も視野に入れ、洗浄用の水を一気に使うと想定したという。

「SSKが船の洗浄に集中して使う場合、その最大量を確保するのが市の責務」だと説明する。

一方、SSKは「数値は当社の予測ではなく、市が予測したもので、コメントできる立場ではない」と明確な数字は示していない。

科学者の会は、SSKの過去9年の修繕船の1日平均水量が「約330トン」と指摘して、微増にとどめるべきだと批判した。

使用量が急増すれば、年間の水道料金も数億円増えるとして、「民間企業では現実離れしてしている使用量だ」と批判。第三者委に意見書を提出したが、議論の材料にはされなかった。

建設に反対する地権者の石丸勇さん(63)は「ダムをつくりたいがための数字合わせの需要予測だった」と市の予測を批判した。

◇ ◇
石木ダムを巡っては、事業の再評価とは別に、土地の強制収用につながる事業認定の手続きが着々と進んでいる。今後は、強制収用の是非が最大の焦点となる。佐世保市の水需要予測やダムの治水面など事業の「公益性」が判断材料となる。

 

科学者の会が、この意見書を提出したのは、3月11日で、

水道局がこの「虚構」に基づく水需要予測を公開したのは1月の再評価1回目の時で・・

ずいぶん時差があるな〜という感じもしますが、

でも、それがかえっていいかも。。

みんな忘れかけていたかもしれない。

 

それに少し関連しますが、一昨日図書館でこんな資料を見つけました。

「長崎県水道事業概要」の平成22年度版です。

このデータをご覧下さい。

 

丸印をつけているのが、佐世保市です。

佐世保市の一人一日平均給水量は329ℓで、✔をつけているところは、

佐世保市の給水量よりも少ないところです。

 

水道局はいつも佐世保市が最大の水不足都市であるように宣伝してますが、

一人あたりの給水量は県内でも、中くらいではありませんか。

これってどういうこと?

長崎市民も、佐世保市民より少ない水で生活しているようですよ。

もう少し詳しく見るために、いくつかの項目を選んでまとめてみました。

 

<colgroup> <col width="206" /> <col span="2" width="97" /></colgroup>
      長崎市    佐世保市
給水人口 393,848 240,411
一日最大給水量(m3) 129,520 89,768
一人一日最大給水量(ℓ) 329 373
一人一日平均給水量(ℓ) 295 329
年間給水量(千m3) 42,337 28,873
年間生活用水(千m3) 30,642 16,811
年間業務営業用水(千m3) 6,818 6,662
年間工場用水(千m3) 720 1,393
有収率 90.4 86.2
有効率 94.6 89.0


H22年度の給水人口、佐世保市は長崎市の61%です。

が、一人当たりの一日平均給水量は佐世保市のほうが多くて、長崎市の115%です。

でも、生活用水はぐっと下がって55%、やはり佐世保市民は節水しています。

じゃあ、何にそんなに使っているのかというと・・

やっぱり!工場用水の多いこと!長崎市の約2倍です。

佐世保市はそんなに工業都市なのかな〜???

佐世保市民の皆さん、そう思います?

 

佐世保市が工業都市というよりも、

他都市では工業用水の利用が進んでいるのに、佐世保はそれが遅れているということ?

長崎の造船所では船の洗浄には工業用水が使われているのに、

佐世保の造船所では水道水が使われているように…そういうことかもしれませんね。

雨水、再生水などの利用も進んでいないし…。

 

水不足と言いながら、なぜ市はそのような指導をしないんだろう?

やはり、それも、石木ダムを造るため?

だろうな〜

 

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何もするなと言ったのはどこか!

少し前になりますが、先月23日の公聴会のときの地権者の発言について、

石木ダム建設促進特別委員会で取り上げられ、

一人の委員から、その公述について精査をするよう要望が出されました。

 

その公述内容とは、以下の通りです。

 

佐世保市の水源対策が実施されていたら、あのような大きな渇水被害はおきなかった、

それを不可能にしたのは県だったと、当時の市長が語ったという重大な発言です。

その真相は市民の誰もが知りたいところです。

 

4月12日やっと、その調査結果が水道局からもたらされました。

 

 

私たちは、これを見て唖然としました。

1.地権者の岩下氏と市長が会ったかどうか、その事実を問題視しています

2.市長の発言内容自体(佐世保市独自の水時給計画をことごとく件に拒否された)を

  裏付ける記録や証言などについては、何も調べていません

3.市長から話を聞いたという本人には何の問い合わせもせず、市や県の担当者にのみ

  聞くというやり方〜これで調査と言えるのか?

 

そこで、今日4月19日、私たちは佐世保市水道局に再調査を要請しました。

そしてまず、ご当人の岩下さんに、そのときのことを詳しく語ってもらいました。

そして、その岩下さんの話を客観的に裏付ける資料を提示しました。

それは、当時の新聞記事です。

 

当時、引退間際の桟氏に、朝日新聞の福地記者がインタビューしています。

「渇水」の欄には、まさに岩下氏に話した内容と同様のことが、

より具体的に書かれていました。

 

大型タンクによる水貯蔵を検討したり、波佐見町で水がめの可能性を調べたりした。

こういう時、県は『石木ダム計画に影響しないように』と釘を刺してきた。

 

渇水対策費について県庁で話し合っているとき、

『佐世保は渇水対策を何もやっていない』と言った部長に、

『何もするなと言ったのはどこか!』と声を大きくしてしまった。

 

などの発言が記録されていましす。

「こういうことなので、再調査をお願いします」と言うと、

K経営管理課長は、それはできない、もう再評価は終わっているからとの返事。

 

これには、一同、一瞬???、続いて怒りが湧き上がりました。

K氏は何もわかっていない。

なぜ地権者がここに来たのか。

私たちが何を求めているのか。

私たちは評価をやり直せと言っているのではない。

かつて水に困っていた佐世保市が、真剣に対策を考えていたとき、

それを邪魔していたのが県だったと、元市長が証言していたのだから、

その事実関係を調べて明らかにして欲しいと言っているのに、

なぜわかってもらえないのだろう。。

 

K氏は、県をかばっているのだろうか?

県に睨まれたくないのだろうか?

とにかく石木ダムを造りたい一心なのだろうか?

 

いずれにしても、これで、地権者の佐世保市に対する心象は、

大きく損なわれてしまいました。

 

事業認定申請などして自分たちに刃を突きつけているが、

県と同じ共同事業者という立場上、やむを得ず、やらされている側面もあるのかも…

ダム以外の対策をやりたくても、なかなかやりにくい面があるのだろう、

桟市長が言っていたように…

そんなわずかな好意的見方は、完全に消されてしまいました。

 

いえ、今からでも間に合います。

結果はどうであれ、まずは調査をしてください。

桟市長時代に、どんな水自給計画が示されたのか、

それがどこまで進んで、なぜボツになったのか、

ついでに桟市長以後のことも調べて示していただけるとなおいいのですが…

 

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石木ダム推進 根拠明確に

こんな見出しの記事が出てたのは、今日の長崎新聞、コラム『記者の目』。

 

佐世保支社のN記者が最初に伝えたのは、先日の市議会「石木ダム建設促進特別委員会」の様子。

水道局から再評価の経過報告を受け、

意見を述べたのは、9委員中たった1人。しかも基本的な質問だった。

 

続いてN記者は、2日前に傍聴した市民グループによる再評価の報告会の様子も紹介。

もちろん、2月27日の市民報告集会のことです。

https://ishikigawa.jp/blog/cat09/658/

 

詳細なデータを基に、市の水需要予測を「石木ダム有りきの数合わせ」と批判していた。

参加者からは、議員はちゃんと理解しているのか?市民と議員の公開討論会を開こう!

との声も上がっていた

などと伝え、記者自身もそれに賛成だと書かれていました。

なぜなら、推進議員にとって、石木ダムの必要性を市民に語る絶好の機会だから

十分な根拠もなく「右へならえ」で推進しているわけではないだろう

と。

 

全く同感です。

その根拠、私たちも知りたいです。

ぜひ、意見交換しませんか?

                                 

 

消化不良の水需要論議

今日の長崎新聞「記者の目」のタイトルです。

いつも思うんですが・・・

記者さんたちはタイトルを付けるのが、ホントにお上手! 

 

そうなんです。消化不良! 

前回の、石木ダム再評価のための第三者(?)委員会の傍聴者、みんなが感じていたこと。

理解不足! 分析不足! 突っ込み不足! 粘り不足! 

そして、あっという間に 承認! 

そんな水需要論議でした。

論議も消化不良だし、傍聴していた私たちの心の中も、モヤモヤグチャグチャの消化不良状態。

そんな私たちの消化不良の原因を山口記者はズバリ診断。

 

2007年の再評価の時に出された予測値は、その後の実績値を大きく上回った。

なぜ予測と現実が大きく乖離したのか、その原因究明と、今回どう改善したのか、

それを精査する作業が最も重要だったのに、この点について突っ込んだ議論はなかった。

もしまた数年後、今回の需要予測が現実と大きくかけ離れたら、

どう弁明するのだろう。

 

というような内容でした。

よ!名医!

と言いたいのですが、

その処方箋は・・・

 

今後も審議は続く。

少なくとも「論議は尽くした」という言葉が、説得力を持つような結論を望みたい。

 

でした。

うーん、この薬じゃあ、私たちの消化不良は治りそうにありません。 

だって、これからの論議は、前回の水需要予測を承認した上に展開されるわけですから、

砂の上に家を建てるようなもの。

すぐに流される砂はやめて、しっかりしたコンクリートの土台に造り直して、

その上に家を立てていくべきだと思うのです。

 

たしかに初めから再評価をやり直すなんて、一般常識では考えられないでしょうが、

今やり直さないと、

後で、もっとやり直しのきかない事態を招くことになるでしょう。 

 

消化不良の時は、食べたものを体外に出すのが一番!ですよね。 

 

急増と予測

昨日の長崎新聞に、石木ダム再評価に関する記事が大きく掲載されていました。

 

「水需要 急増と予測」

という大きな文字が、市の評価を、一目瞭然に語っています。

    

市水道局が公表したその予測について、わかりやすくていねいに解説されていますが、

ポイントとしては、以下のような点に集約されるでしょう。

 

☆ これまで年々減少している水需要が、今後は急激な増加に転じる

☆ 2024年度の一日最大給水量は、昨年度実績に比べ、約25,000トン増になる見通し

☆ 前回の予測も右肩上がりで増えるとしたが、実績は予測に反して減少した

☆ 今回の予測は生活用水では前回より少なく見積もるなど、現状を一定反映させた

☆ だが市町合併に伴う給水人口の拡大や、工業団地整備による工場用水量増加などに伴い、

   結果的に水需要は増加すると予測した。

 

その通りです。

前回も、前々回も、いつも水需要予測は過大で、現実離れしていました。

その反省をするどころか、

今回も水需要は増加するという。しかも急激な増加!

その予測に基づいて多額の費用(税金+水道料金)をかけ、ダムを造り、

でも、やはり水需要は伸びませんでした〜

となったら、その無駄遣いは誰が責任取るのですか?

水道局長が返してくれますか?

朝長市長が返してくれますか?

一般企業なら有り得ないことです。

何回も同じ予測ミスを犯していながら、その責任も取らずに、事業を継続するなんて・・・

 

 

仕事始め

昨日は官公庁の仕事始め。

それぞれのトップが抱負や訓示を述べたようですが・・・

 

県庁では、中村知事が、石木ダムに関して、以下のように語りました。

  具体的に進展させなければならない年になる。(反対派の)地権者の理解を得るのが

  大切であり、全身全霊を傾け取り組みたい(長崎新聞)

 

佐世保市でも、朝長市長が大いにアピールしていたようです。

  地権者の根強い反対で工事が中断している石木ダムについて「正念場の状況」と、

  改めて建設に意欲を示しました。(KTN)

 

また市長は、佐世保市と佐世保市商工会議所の共催による新年交歓会でも、

石木ダムの建設促進を課題にあげたそうです。

ちなみにこの新年会には、地元政界・経済界のみならず、

なぜか自衛隊や米軍関係者も出席していて、約550人もの参加だったとのこと。

(商工会議所と共催とはいえ、結婚式場アイトワでの新年会の出費やいかに・・?)

 

知事や市長のみならず、私たちも今年が正念場と思っています。

3月末までに佐世保市水道事業の再評価がなされ、

それを受けて事業認定作業が動き始め、

付け替え道路工事も再開…

県や市が思い描くそんなレールをストップさせたい。

 

そんな古くて錆だらけのレールは、この際しっかり点検し、

使い物にならないことを明らかにして、

新しい持続可能な素材のレールに付け替えたい。

そう思っています。

 

水道局員の中にも、県河川課の中にも、

そのような未来を志向する人たちがいるはず。

必ずいるはず。

市民のため県民のために、本当に未来に残すべきものは何か、

気づいている人たちが、必ずいるはず。

その方たちが、力を、勇気を出してくださることを願っています。

一緒に頑張りたい


 


東京新聞「こちら特報部」が伝えた石木ダム

昨朝、埼玉の友人からFAXで新聞記事が送られてきました。

何だろうと思って見たら・・・

東京新聞の「こちら特報部」の記事で、そこに石木ダムのことが書かれていたのです。

 

地図や写真入りで石木ダム問題が大きく取り上げられています。

半世紀に及ぶ反対運動を続ける住民の思い(ふるさとの豊かな自然を守りたい)、

県の主張(川棚川の治水には石木ダムが必要)、

それに反論する科学者(ダムの有無にかかわらず洪水はおきる、堤防などの対策をすべき)、

佐世保市の主張(安定的に取水できる水源が足りない)、

市民の反論(人口減少に伴い、水需要は減っている)、

などの意見を公平に紹介し、

それでも県がダム建設に突っ走るのはなぜか」と問いかけています。

それに対し、水源連の嶋津暉之共同代表は、こう答えています。

 

補助ダム事業は、国交省官僚の地方支配の『くさび』だ。

脱ダムの方針をひっくり返してでも公共事業を続けたいのだろう。

 

それを受けて、林記者は、こう書いています。

 

事業主体こそ地方だが、治水のための事業費の半額を国交相が負担するほか、

地方負担分の一部も地方交付税で埋め合わせる。

官僚が補助金の金づるを握り、一方、公共事業が欲しい地方とが組む構図だ。

 

と、その腐れ縁のカラクリを見事に説明しています。

 

隣のページには、山形県の最上小国川ダムについての解説と、

民主党政権は努力はしたが、政治主導する知力も覚悟も欠いていたこと、

大震災を契機に、野放図な公共事業のばらまきが息を吹き返しつつあること、

政権奪回を目指す自民党は、今後十年間で200兆円をダムや道路に投じようとしていること、

それに対し、法政大の五十嵐教授は、

無駄なダムや道路を造り続ける、その先に待ち構えているのは、悲惨な財政破綻です

と警鐘を鳴らしていることなどが書かれていました。

 

デスクメモには、

ダムは新しく造るどころか、海外では壊す時代に入っている。

人口減や節水家電で水が余り、巨費の割に治水効果も低い。

一方で、どれほどの生態系を破壊してきたものか。

と書かれ、最後に、

もう、コンクリートの壁は要らない

と、きっぱり。

 

こんな骨太の報道がもっと増えると嬉しいな〜 

 

それとこれとは話が別?

3日前の長崎新聞コラム「記者の目」の記事を読んで大きく頷いた読者は多かったのでは?

 

記者は県の態度の矛盾を指摘していました。

諫早湾の開門調査をしようとする国に対して長崎県は、断固反対、

「これ以上話を聞いても意味はない」と、国との会談拒否の姿勢を示したその一方で、

石木ダムに関しては、話し合いを求めても地権者が応じてくれないと嘆いている。

 

知事よ、国が決めた干拓事業の被害者となった地元の漁民や農民、

その県の長として、国のやり方にそれほどの怒りを感じるのなら、

石木ダムに反対する地権者の気持ち、あなたならわかるはずですよね?

それとも、それとこれは話が別なんですか?

と問いかけています。

 

この疑問は、誰もが感じていたことでした。

開門の賛否にかかわらず、石木ダムの推進反対にかかわらず、

多くの県民が、あれ?知事の言ってることちょっとおかしくない?矛盾してるよね?

との素朴な声があちこちで聞かれました。

 

でも、それでは、矛盾を無くせばそれでいいのでしょうか?

石木ダム地権者の抵抗を受け入れるなら、国に抵抗して最後まで開門を阻止してもいい?

あるいは、国の方針に従って開門を許可すれば、石木ダム建設工事を強行してもいい?

 

それは違うと思います。

問題の本質が違うと思います。

諫早湾干拓事業は国の事業だとしても、県も一緒に推し進めてきたのです。

その結果、有明海を瀕死の状態にして、漁民を苦しめてきたのです。

それに気づいた国が、調査をするために開門しようとしているのです。

漁民と干拓地の農民の方々は被害者ですが、県は被害者ではありません。

一方石木ダム予定地の地権者は、県の事業で土地を奪われようとしている被害者です。

被害者は自分の財産を守るために実力行使をする権利がありますが、

県は、同じ立場ではありません。

 

イサカンと石木ダム・・・県の方針には矛盾はありません。

自然よりも経済が大事。目先の経済が大事。大型公共事業が大好き。

そのためには一部の県民が犠牲になっても気にしない。

そんな体質を感じます。

 

2011・3・11の日本に生きていた私たちは、自然の脅威を思い知ったはずです。

自然をあまくみてはいけない、これ以上自然を破壊してはいけない、

放射能に汚染された福島をみて、

自然のままの海や川や大地がどれほど大切か気づいたはずです。

もう自然を傷つけるのはよそう…

そう感じた県民も多いでしょうし、県の職員の方の中にもいるはずです。

 

国対県、県対住民、と対立するのではなく、

未来の環境を守ろう!本当に豊かな暮らしを目指そう!

とみんなが考え始めたとき、

きっと道は開けるはず… 

 

長崎新聞、石木ダム再評価について特集「報道プリズム」

 

11月4日、日曜日の長崎新聞は、1ページの3分の2ほどの紙面を使って、

石木ダムの再評価の問題を取り上げ、わかりやすく説明されていました。

 

再評価とは何か、その現状、問題点など、丁寧に書かれていました。

 

山口記者は、

事業認定や再検証では、県市が自ら検証・再評価し、国が追認するか判断するしくみ。

そこで使われた水需要予測は、07年度の再評価時と同じものだったので、結論も同じだった。

しかし、今回の再評価は、近年の実績値を踏まえ見直される。

と解説しています。

 

そして、これまでの予測(右肩上がり)に反して、その実績値は減少し続けている、

(そのことを示すグラフが、とてもわかりやすい!)

昨年度の一日最大給水量は安定水源をほんの少し上回るだけで、

不安定水源を含めた水源量から考えると、

4万トンの必要性に疑問符がつくと指摘しています。

 

それでもなお4万トンが必要とする水道局の言い分(旧町との統合や工業団地や観光客の増加など)と、

それに反論する山下市議の言葉(理由は後からどんどん付け足す、ダム有りきのやり方)も紹介。

双方の主張がきちんと書かれていて、読者自身が考える参考になると思いました。

 

そして最後に、このように見方が分かれる問題であるし、

再評価の結論は、石木ダム建設の行方を左右する重要な要因となるから、

正確な予測はもちろん、

作業過程や判断根拠の公開といった透明性の確保をするように…

と、しっかり釘を刺していただいた。

 

 

この部分に掲載された写真も中々面白い。

私たちにはお馴染みの、水道局の電光掲示板ですが、

「貯水率90.4%」と書かれた下に、「水源不足の抜本的対策は、石木ダム建設です」

と書かかれているのは、まるでジョーク?

90%以上も貯水していて、水源不足???  思わず吹き出してしまいました。

 

長崎新聞を購読なさっている方は、

ぜひもう一度、11月4日の14ページをごらんくださいね〜