学者証人、手法の妥当性を判断しただけ

1月9日午前11時、首都大学東京南大沢キャンパスにて、特任教授小泉明氏への証人尋問が行われました。

多忙で長崎まで行けないという証人のために、長崎地裁の裁判官3名、書記官1名、原告6名、原告側弁護団6名、被告側弁護団8名の計24名が証人のいる場所まで足を運んで実施された「出張尋問」です。

たいへん広い敷地の中をかなり歩き、理工系ゾーンの9号館に辿り着きました。

建物に入っていく当方原告と弁護団。

今回は佐世保市の平成24年度水需要予測にお墨付きを与えた学者への尋問なので、「何を根拠に、何を前提に佐世保市の水需要予測を良しと判断されたのか?」という視点での尋問となりました。

報告集会での弁護団の説明によれば、小泉教授は、
〇佐世保市から出された資料を見て判断した。
〇自分に求められた役割は需要予測の手法が妥当かどうかであり、それを判断したに過ぎない。
〇そのやり方で出てきた数値には関知しない。
と主張し、例えば、

生活用水について、当時一人一日189ℓであったものが207ℓになると予測したことについての結論に何ら責任を負うものではない、と説明。
その姿勢は業務営業用水や工場用水についても同様だったそうで、全く無責任と言うか、不誠実と言うか・・・呆れると同時に腹がたってきました。

また、負荷率(一日平均給水量から一日最大給水量を予測する際に使う率で、負荷率が小さいほど最大給水量は大きくなる)を担当した高橋弁護士によると、以下のようなやり取りがあったそうです。

高橋弁護士:
平成16年度予測では、負荷率を過去10年の平均値を採用し、
平成19年度予測では、過去10年間の最低値を採用し、
平成24年度予測では、過去20年間の最低から2番目の値を採用している。
佐世保市は負荷率を小さくするために、つまり欲しい数値を得るために、その都度条件を変えているのではないか?そういうことは許されるのか?
貴方が関わった大阪市の予測では、どうでしたか?

小泉教授:
覚えていない。

高橋弁護士:
そんなことはないでしょう?
大阪市は過去5年間の平均値を採用していますよね?

小泉教授:
大阪は大都市だからそうなったのだろう。
私は過去10年の最低値がいいと思ったが、他のメンバーの意見で云々・・・

高橋弁護士:
貴方は過去10年の最低値がいいと思うのですね?

小泉教授:
20年でも下から2番目を採用しているので、問題ない。
余裕をもって予測することは必要。
水が足りないと佐世保の経済は発展しないのだから。

高橋弁護士:
経済発展のためには、より多くの水があった方がいい。
そのためにダムを造りましょうと。
しかし、そこに住んでいる13世帯の人たちを追い出して…というのは少し乱暴ではありませんか?

小泉教授:
(沈黙の後)まあ、そうですね。

といったような展開だったそうです。(゚∀゚)
ここのところを裁判長はしっかり見ててくれてますように!
報告を聞きながら、そう願いました。

この報告会には、パタゴニア日本支社長や環境部の社員2名、そして、早稲田大学客員准教授の方も参加して、熱心に耳を傾けて下さいました。

また、前日8日には、日頃から石木ダム反対運動を応援して下さっている首都圏の強い味方の方々が集まってくださって、地権者の皆さんからの現状報告や、弁護団からの裁判に関する経過報告などに熱心に耳を傾けてくださいました。

スラップ訴訟のその後はどうなったのか?川棚町長はどういうスタンスなのか?議会の動きは?等々の質問も相次ぎ、お二人の国会議員(初鹿明博さん、大河原雅子さん、共に立憲民主党衆議院議員で公共事業チェック議員の会)からも力強いエールを頂きました。

八ッ場あしたの会の方からは、14日の総会で「ほたるの川のまもりびと」(20分バージョン)を上映し、講演の中でも石木ダム問題が取り上げられることなどのお知らせがありました。

わずか2時間半にも満たない証人尋問を目撃するためにはるばる現地から足を運んだ5人の原告(現地住民4人+佐世保市民1名)の皆さんは、2日間慣れない都会の雑踏を移動し、とてもお疲れだったと思いますが、関東の支援者の方々と直接語り合うことができて、熱い応援を肌で感じ、きっと新たな力と勇気を得られたのではないでしょうか?
帰路に就く皆さんの横顔には、そんな明るさが感じられました。

さあ、現地では、今日10日から抗議行動がスタートしています!

ご協力できる方は、今年もよろしくお願い致します。(‘◇’)ゞ