2015年11月、地権者110人は石木ダムの事業認定取消を求めて提訴し、直後の12月、同認定の効力の執行停止を求める申し立てをおこなっていました。
これは、この事業認定が取り消すべきものかどうか、つまり、石木ダム事業の必要性について争われている最中に、石木ダム事業の手続きや工事がどんどん進んでいけば、仮に取り消すべきとの判決が出ても、時すでに遅し、ダムは出来上がりました、なんてことになりかねません。
ということで、判決がでるまでは、工事や手続きが進まないよう、その認定効力の執行停止を裁判所に求めたのでした。
昨日、2017年3月30日、その決定が出されました。主文は「却下」です。
決定書はこちらです。石木ダム H29.3.30 決定書(執行停止申立事件)
長崎地裁の判断は、ごく平たく言えばこういうことでしょうか。
★事業認定そのものが皆さんの生活を奪うものではありません。
収用裁決が出され、明渡し期限がきて、行政代執行されるまでは、そこに住めるのだから、いま認定の執行停止を求める緊急性はありません。
★ふるさとの自然やコミュニティが破壊され、住み慣れた土地を強制的に追われ新たな場所での生活を強いられることによる精神的肉体的損害については、金銭的な賠償により解決できるので、執行停止するほどの重大な損害にはあたりません。
「緊急性」の概念が、裁判所と私たち一般市民では大きく異なっているようです。
つい最近まで、警察は事件が起きてからでないと動かない、と言われていましたが、ストーカー被害の続出で、事件前にもある程度対応してくれるようになりましたね。
しかし、裁判所は危機が直前に迫らないと「停止」はしないようです。
急ブレーキが間に合わない可能性については考えないのでしょうか・・・
また、損害は何でもお金で解決できるという考え方のようですが、
精神的肉体的苦痛はお金では解消できません。
また、失われた自然や文化もお金では贖えません。