15日、長崎県議会は、石木ダムの事業認定申請を求める意見書を本会議で採択後、
即日、衆院議長、参院議長、総理大臣、国土交通大臣、官房長官に提出しました。
そこで、私たちは、その提出先へ、反論の意見書を送ることを決め、
19日、県議会と同じ5ヶ所に送付しました。
え?総理大臣にも送るの?
見らんやろ?郵送代のムダ!
との声もありましたが、
「県議会が送った同じところに全て送るべき」
「推進要請だけ受け取ったひとは反対派の存在を知る術がない」
などの声があり、な〜るほど、そんなものか…
と皆が納得した次第です。
また、本日、このことを、県政記者室に公表しましたので、ここでも公開することにします。
以下、私たち6団体の思いがこもった意見+請願です。
こちらは国交大臣あてのものですが、他4通も同文です。
大臣の目と心と頭に届くことを祈りつつ・・・
2012年10月19日
国土交通大臣
羽田雄一郎 様
石木ダム建設絶対反対同盟
ダムからふるさとを守る会
石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会
水問題を考える市民の会
石木川まもり隊
石木川の清流とホタルを守る市民の会
石木ダム事業認定手続きの中止を求める請願書
1.石木ダム建設絶対反対同盟は、生まれ育った美しいふるさとを守り、そこで暮していきたいと願って、50年来、長崎県など行政当局のさまざまな圧力や懐柔策にも耐えて、長崎県が計画する石木ダム建設によって集落が水没させられることに反対している13世帯71人の団体です。
連名している5団体は、石木ダム建設計画を研究して、川棚川の洪水対策にも、佐世保市の水源確保にも石木ダム建設は必要でないことを明らかにしている団体です。
2.長崎県議会が、衆・参両院議長および内閣総理大臣などに対して、「石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書」(本年10月15日付)を提出しましたが、これには県議会で強い反対意見が述べられています。また、その意見書自体も事実を歪曲した内容になっています。
ダム建設事業については、政府の見直し方針の下で「予断なき再検証」が求められました。ところが長崎県の検討の場は、計画批判の意見には耳を傾けず、建設継続を押し通しました。また、検証期間中も建設推進のキャンペーンを行いました。まさに「予断をもった再検証」でした。
国(国土交通省)は、長崎県の「石木ダム建設事業継続」方針を追認し「補助金継続」を決定しましたが、「建設事業について地域の理解を得るよう努力することを希望する」との付帯意見をつけました。しかし、長崎県は、一方的な推進キャンペーンを行うだけで、地元住民などが求めている建設事業についての公開討論会の開催を拒否するなど、「理解を求める努力」はしていません。それどころか、県当局は、「(地権者)全員の同意がなくても事業は実施できる」と発言するなど、威嚇的な態度さえ示しています。
3.長崎県議会の意見書は、「佐世保では市民の水不足への切なる願いから・・・盛大なパレードが実施され、」と述べていますが、実態は、佐世保市職員や関係業者など、当局が動員した「やらせパレード」ともいわれるものでした。
佐世保市内の市民団体が行った街頭アンケートでは、「石木ダムは必要ですか」の質問に、98人中、必要27%、不要57%の回答が寄せられるなど、市民の意見は、むしろ変化しています。
4.治水に関して、長崎県の説明資料には水害防止を裏付ける説明文及び学問的に分析された各種データはありません。
専門家は、「過去の川棚町における水害データを精査した結果、川棚町の洪水は内水氾濫であり、その要因の第1は地政学的なものである。第2は雨が続き気象学的要因が重なれば内水氾濫の発生の可能性は非常に高まる」と指摘しています。石木ダムでは川棚町内の水害(内水氾濫)は防げず、洪水対策にはなりません。
5.利水に関して、現在、佐世保市水道水源の安定的な供給能力は、9万5000㎥/日です。これに対し、近年の配水量は、平成19年 7万9000㎥/日、平成20年 7万7000㎥/日、平成21年7万4000㎥/日、平成22年 7万2000㎥/日、平成23年 7万1000㎥/日 (年間一日平均値、千台未満四捨五入)で、供給能力にかなりの余裕があります。
佐世保市の平成23年度の水道配水量は、石木ダム建設計画の同年度予測値に比べ、一日平均配水量で約1万4000㎥/日、一日最大配水量では約2万5000㎥/日も減少しました。平成24年度の水道事業予算でも、同予測値に比べ一日平均配水量で約1万4,700㎥/日も少ない見込みを立てています。
その上に、4万㎥/日の石木ダム建設がなぜ必要なのか、市当局はまともな説明が出来ないでいます。市当局は、「佐世保市の発展のために必要」との理由を持ち出しています。これに対し、水没予定地の住民から「私たちを佐世保市の発展のための犠牲にするのか」と怒りの声が上がっています。
石木ダム建設事業は、水道施設整備事業として厚生労働省の補助事業でもあります。今年度はその再評価実施年度ですが、上記で示した近年の配水実態の中で、市当局は、今に至るも再評価を行う手続きの目途さえ立たない状態です。
6.長崎県議会の意見書は、「事業認定手続きの進展」を求めています。
これは、強制収用につながる手続きです。建設が必要でもないダムを造るために、「理解を求める」努力もせず、「ここに住み続けたい」という住民の財産を取りあげることは、基本的人権を踏みにじり、正義にも人道にも反する行為であります。
意見書は、8割の地権者は協力していると述べていますが、人権は多数の力で奪ってよいものではありません。むしろ2割もの地権者・住民が「ここに住み続けたい」と願い、ふるさとを水没させるダム建設に、半世紀に亘って反対し続けていることこそ重視されるべきです。
国会および政府におかれては、国民の税金を無駄に使わない、そして国民の人権を守る立場から、石木ダム事業認定手続きは中止されるよう対処していただきたく、請願いたします。
(以上)