報道によると、朝長則男佐世保市長は27日、大石賢吾知事に、強制収用した石木ダム事業用地での工事に早く着手するよう決断を迫ったという。
朝長市長による、大石知事への、石木ダム建設促進アピールは、今回で3度目で、驚きはない。
最初は9月11日、佐世保市で開催された石木ダム建設促進大会の席で。
2度目は10月11日、市議団や石木ダム建設促進佐世保市民の会など大勢で県庁まで出向き。
今回も市議や県議などと大挙して知事に直談判したようだ。
なぜ朝長市長はこれほど知事を急かすのか。
問題となっているのは「買受権」で、市長と知事の見解にズレがある。
買受権とは、事業認定して10年経っても、その土地が目的の事業のために使われなかった場合、元の地権者が土地を買い戻すことができる権利のことで、石木ダムの場合は来年9月が、その時期にあたる。
市長は「それまでに早く収用地での工事を進めないと大変なことになる」と慌てている(あるいは煽っている)のだが、知事は「石木ダム事業に関する工事は始めているので買受権は発生しない」との見解。
どちらが正しいのか、現時点では誰も確たることは言えないようだ。知事も市長も法の専門家ではないので、共に関わっている弁護士さんたちの見解の相違だろうし、判例が無いので証明するのも難しいようだ。
しかし、市長は自分の主張を何度も知事に押し付け、「必要性について話し合う時期は既に終わった」として、大石知事の話し合い重視の姿勢を批判してきた。
新聞によると、今回は発言中の知事の言葉を遮り、「収用したところに手をつけないと絶対に(裁判に)負ける。そこをしっかり認識し、早めに決断いただかないと」と語気を強めたそうで、少し異様な雰囲気を感じる。
朝長市長は、何故これほどまでに石木ダムに執着するのだろう?
来年4月の市長選には出馬しない、つまり、もう今期で市長を辞めるのに・・
工程表では石木ダムは2025年度完成予定なので、市長をあと1期続けるつもりなら、何が何でも自分の代で完成させ、名を残したいと思うかもしれないが、来年3月で退く人なのに・・
市長を辞めても、石木ダム建設が何か朝長氏の生活に関りがあるのだろうか?
あるいは、市長としての最後の大仕事として、あえて悪役を引き受け、行政代執行を知事に決意させようとしているのだろうか?
いずれにしても、朝長市長の最近の言動に、私たち市民は心を痛めている。
隣人である川棚町民に申し訳なく、その他の県民に対しては恥ずかしさでいっぱいである。
なぜなら、私たちはもちろんだが、石木ダムが必要だと思っている佐世保市民でも、その多くは行政代執行など望んでいない。
大石知事のように、早期完成を目指しながらも、まずは住民に対する説明・話し合いが大事。それが民主主義国家として当たり前のやり方だと多くの県民は思っているし、そこは佐世保市民も同じはず。
しかし、市長や市議が大挙して知事を訪ね、「いつ決断するのか!」と知事に迫るということは、市民もそう願っているからだろう。佐世保市民とは自分達さえよければそれでいいと考える人たちなのか・・・ニュースを見た県民にそう思われたとしたら、とても悲しいし、その可能性は小さくないだろう。
私たちは声を大にして言いたい。
朝長市長と私たちは違う!
市議や県議の発言は市民の多数派ではない!
でも、それは通用しない。
市長を選んだのも、市議を選んだのも、私たちだから。
私たちが自分の意思で選んだ人たちだ。
だから、私たちは今、恥ずかしさでいっぱいなのです。
川原の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいなのです。
このいっぱい いっぱいの気持ちを、大切にしたい。
恥ずかしいことは恥ずかしいと伝えよう。
一蹴されるとしても、伝える努力をしたい。
声に出さなければ、思っているだけでは伝わらないから。
あと数時間で新しい年の始まりです。
来年こそは伝えたい。