異常だと批判しながら「事業継続」?

佐世保市による石木ダム再評価2回目の委員会審議が2月14日に行なわれました。


今回の注目点は「代替案」と「費用対効果」でしたが、どちらも5年前の再評価と同様に、「石木ダムに代わる代替案は無い」「B/C(費用対便益比)=5.5」として、その結果、石木ダム事業継続という市の対応方針案を妥当と結論づけました。

多くの委員が50年経ってもできない石木ダム、10回も工期延長してきた石木ダム、それを「異常な公共事業」だと指摘しながら、それでも継続するという。その論理が理解できません。

まとめ役の委員長(横山均:県立大教授)は、「茶番」とか「やること自体が無駄」とか「川棚町民がかわいそう」とか・・ところどころ聞こえてくるのですが、声が小さくて全体としては意味不明でした。

内容について少し記しておきます。
資料は、水道局のHPにアップされています。
saihyouka214.pdf

まず、代替案について、市は今回も「石木ダム以外のダム建設、地下水取水、海水淡水化など14項目について検討したが、結果はいずれも不適」という結果。その理由は法的に無理、地形的に無理、コスト的に無理等々。ですが、本当にそうでしょうか?

2022年12月5日の県議会議事録には、奥田土木部長が答弁でこう述べています。

次に、費用対効果=費用対便益=B/Cについてですが、今回も現実を無視した机上の計算により、便益=渇水被害額がめちゃくちゃ大きく算定されています。

信じられます? 確か昨年度の佐世保市水道事業の事業収入は約61億円でしたが、その倍近い被害が発生するなんて?!

その計算式も根拠となるデータも示されていないのに、委員の方々はそれをスルーしてしまわれました。

なぜ、このように被害額が大きくなるのか?

今回の算出根拠となるデータは公開されていないので、過去のデータで見てみましょう。前回のB/C=5.4で、今回とほぼ同じなので参考になるはずです。その資料

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suikik/documents/siryouhenn_151-200.pdf

こちらの31p「表-5.10被害額の集計」を見ると、

その根拠は、21pの「表-5.1生活用水の被害額」に示されています。つまり市は、

これではホテルも美容院も銭湯も営業できず被害額が膨れ上がるのは当然ですね。

このようなあり得ない虚構の給水制限率を設定することが大間違いであり、オオボラフキもいいとこですが、なぜそんなことになるのか?

それは、①水需要予測が過大②保有水源は過小に見積もっているからです。

前回再評価時における予測では、

と算定しているので、これでは給水制限が度々発生することになります。

なので、実際には何も渇水被害は起きていません。

石木ダム利水の再評価 第1回

1月21日、佐世保市の最重要課題である石木ダム建設について、再評価審議が行なわれました。

今回は1回目で、水需要予測についての審議でしたが、予想通り、結果はこれまでと変わらず「4万㌧の水源不足」であり、その結果に辿り着くために、随所で水増し手法が駆使されていました。

その本題に入る前に、まず述べておきたいことがあります。
それは、この委員会の公開のあり方でです。

国が定める再評価実施要領には「審議過程の透明性を確保」するよう明記されていますが、佐世保市は別室での傍聴しか認めませんでした。それは何故なのでしょう?県の再評価審議は毎回、同室で傍聴できますし、佐世保も過去はそうでした。前回からこのような異例の形となったのです。

私たち6団体(佐世保市内5団体+公正な再評価を求める市民の会)は、事前に同室での傍聴を求める要請書を提出し、それが叶えられない場合には理由を示してほしいと書いていましたが、回答書には理由についての説明はなく、

とだけ書かれていました。

しかも、審議が行なわれる隣室に通じる廊下には衝立で通行を遮断し、


廊下に通じる傍聴室のドア(左奥)も使えないようテーブルでバリケードという物々しさでした。

なぜ、これほど市民を遠ざけるのでしょう?新聞報道によると、水道局は「委員に自由闊達に意見を出してもらうため」と説明したそうですが、市民がいると自由闊達に意見が言えないと委員がおっしゃっているのでしょうか?

石木ダムの事業費の多くは市民が支払っている水道料金から出ています。その市民に、なぜ水需要が増えるのか、水道局には説明責任があるし、委員の皆さんも、その予測に自信を持って賛同するなら、1人でも多くの市民に聞いてほしいと思われるのではないでしょうか?

私たちは他にも4つほど要請しましたが、その中の1つ「録音録画を認めてほしい」については、「県の再評価に準じて控えさせていただきたい」との回答でした。

県に準じるのなら、傍聴も同室にすべきだし、議事録も公開すべきです。県は再評価の度に議事録を公開してるし、国の実施要領にもそうするよう書かれています。しかし、佐世保市が公開するのは議事要旨だけ。

さて、本題の水需要予測について、まず、資料を掲載しておきます。

これは佐世保市のホームページにもアップされています。

・資料1 isikisaihyouka-1.pdf

・資料2 isikisaihyouka-2.pdf

・議事要旨 gijiyousi.pdf

3時間超に及ぶ委員会で、かなり丁寧な説明が水道局職員からなされ、委員からも多くの質問が出され、そういう意味では県の再評価審議よりも「自由闊達」だったかもしれません。しかし、その結果は、市民感覚とは大きくかけ離れた水増し予測にお墨付きを与えるものとなりました。

例えば、佐世保地区の20年後の1日の有収水量の予測は、

こんな予測がどうして信用できるでしょう?

佐世保の人口はどんどん減り続け、日本経済全体も停滞しているのに、佐世保だけが経済が活性化し、それに伴い水需要が増えるなんて・・まさに絵に描いた餅です。

他にも疑問はたくさんあります。一度には書き切れないので、後日、続きをアップする予定です。また、「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)には利水の専門家も2人いらっしゃるので、来月開催予定の市民委員会の場で、しっかり分析評価していただけるでしょう。乞う、ご期待!

それにしても、委員の皆さんは、佐世保市水道局の予測が過大だという認識は全くなく、逆にもっと増やすべきだという意見も出ていました。不思議に思っていましたが、前回の経営検討委員会の資料を見れば、納得です。

この発想にも強い違和感を覚えます。私たち市民は特別な節水などしていません。今後ますます人口は減るのに、水需要を無理に増やそうというのが理解できない。右肩上がりの昭和の時代の考え方であり、21世紀の今は、限りある資源を大切に使い、持続可能な社会を目指そうという時代。SDGsの理念に逆行する考え方です。

とはいえ、このような考え方(今が底で、これからは、やり方次第で水需要は増えていくだろう)は佐世保だけではないようです。同様の発想でたくさんのダムが造られましたが、中には、水需要が伸びず、巨額の投資をしたのに、ダムの水を1滴も取水していない自治体がたくさんあります。

2022年8月の朝日新聞によると、国のダム計画に参画した71の水道事業者(自治体)のうち11の自治体(15%!)が完成後1滴も取水していなかったそうです。

例えば、広島市。温井ダムの建設費として365億円も負担したのに、完成して19年、1滴も取水していないそうです。維持費として毎年1億円以上払い続けているなんて・・

また、これは国営ダムだけに関するデータなので、それ以外の県営ダムなどを含めるともっとたくさんあります。

日本一の大きさを誇る徳山ダム(水資源機構ダム)も同様。徳山ダムは、名古屋市・愛知県がダムの水を使うことを前提に、総事業費3500億円をかけて建設されましたが、2008年完成以来、その建設費負担をしている名古屋市・愛知県は一滴もその水を使っていないそうです。

需要予測がいかに杜撰だったか・・・そのツケを支払うのは、いつも市民県民、そして、未来の人たちです。

そのような杜撰な予測を見抜き、見直しや中止をさせるために、この再評価制度が生まれたはずですが、全く機能していません。なぜでしょう?

最近、中居正広さん問題で、フジテレビの対応が注目されています。最初の会見で社長は第三者委員会を設置すると発表しましたが、それが「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会」ではないと分った時点から批判が殺到し、「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会」に変更されました。

日弁連(日本弁護士連合会)が示す第三者委員会とは、「企業等から独立した委員のみをもって構成される」ものであることが大原則です。そうでなければ、企業に忖度した調査になりかねないからです。

今回の佐世保の再評価を担った経営検討委員会は、第三者どころか、水道局に付属した委員会です。どうして、独立した判断、評価ができるでしょう?

そこを私たちは昨年6月から問い続け、市議会に請願したり、市長宛に要請書を提出したり、記者会見も開いてきましたが、力不足で、何も変えることはできませんでした。

このような再評価のあり方を許していては、制度の意義は果たされません。

どうしたらまともな再評価が実施されるか、アイデアをお持ちの方がいたら教えていただきたい・・と切に思います。

山の田ダムの図面発見!

こちらは、2018年9月に発行された「水道局だより臨時号」。

この古い取水バルブの写真、佐世保市民の方はご存じでは?広報誌や市政チャンネルで度々紹介されていた山の田ダムの錆び付いたバルブです。

このように佐世保のダムは古い。
→補修工事や堆積土砂の浚渫工事が必要。
→でも、今はできない。なぜなら、戦前のダムは図面が残っていない。
→元の地形が分らないのでダム湖を空にしなければ工事ができない。
→ダム湖を空にすると水源不足となり、給水に支障をきたす。
→石木ダムができれば、水源に余裕が生まれ工事ができる。

数年前から水道局は、このような説明に力を入れてきました。それは、「将来水需要が増えるので石木ダムが必要」という説明は、もう通用しなくなったからです。(水需要の実績値は減少の一途)

議会でも当時の谷本水道局長がこのように答弁しています。(2018年12月)

2023年1月、「佐世保の水源対策勉強会」に対する水道局事業部水道施設課長の回答も同様でした。

ところが、その無いはずの図面が有った!のです。正確には、図面が掲載された資料を発見したのです。

その資料の表紙がこちらです。

佐世保市教育委員会が2016年に発行した山の田ダム(1908年竣工)の調査報告書で、ダム堰堤と取水塔の設計図でしょうか、細かな図面が表紙を飾っています。

裏表紙には、設計図の他に、部品(ボルト等)の個数や重さなどの一覧表も見えます。


本文には様々な図面が・・・

図版目次はこちら。

素人にはよく分らないので専門家に見ていただきました。

お2人のコメントも含めて「石木ダム勉強会」で報告したところ、皆もびっくり!

え?どういうこと?
図面は焼失したというのは嘘だったの?
なぜ隠す必要があるの?水道局は浚渫工事をしたくない?
石木ダムが必要という根拠の一角が崩れるから?

あえて水道局の立場に立って代弁するなら、全部焼けてしまったというわけではないが、ほとんど残っていないという意味だった、のかもしれません。

こちらは「佐世保市水道局蔵」と書かれた図面です。

こちらは、おそらく裏表紙に書かれていた防衛省防衛研究所蔵の図面でしょう。
確かに佐世保市水道局蔵のものは掠れて見にくいですし、数字等が読み取れないのかもしれません。

しかし、防衛研究所には、明瞭な設計図等が多数保存されていたのです。それを佐世保市教育委員会が掲載しているのです。水道局が本気で山の田ダムの浚渫や補修改修をしたいと思うなら、防衛研究所から図面を入手すればいいではありませんか。

いずれにしても、図面は存在しているのです。この事実を知った私たちは、佐世保市民に伝えたいと思いました。どうすれば広く伝えることができるか話し合いました。

これまでの経験でチラシ配りなどではごく少数にしか伝えられないし、SNSに発信にしても信憑性を疑われるかもしれないし・・やはり、新聞テレビ等、報道機関に頼るのがいいのではないか。

記者の皆さんなら、広い人脈や知識を駆使して、あちこちに取材し、この資料の重要性や、これまでの水道局の説明との関係性など、適切に伝えてもらえるのではないか。

ちょうど再評価に関する要請書提出の件で1月9日に記者会見を予定していたので、その席で発表しよう、ということになりました。

ところが・・・
記者の皆さんはあまり驚くこともなく、質問も、これをなぜ経営検討委員会に送ったのかとか、水道局には確認したのかとか・・予想外の反応でした。案の定、当日や翌日のTV新聞で、この件を報じたところはありませんでした。
(1人だけ、この資料を貸してほしいと持ち帰った記者がいましたが)

そう言えば、宮本さんの講演で、県の嘘(川棚川流域に当時雨量計がなかったから佐世保のデータを使ったと説明していたが、実は雨量計は有った)が明らかになったときも、それを報じたのは1社だけでした。

私たちが考える「知るべき&知らせるべき情報」と、記者さんたちの考えるそれとは、かなりズレがあるようです。このズレは年々大きくなっているように感じるのは気のせいでしょうか?

だとしても、幸い今は誰もが発信できる時代です。

この図面発見!が重要な情報だと感じた方は、拡散していただければ有り難いです。

皆さんのご協力をお願いします。

7団体が、石木ダム再評価について要請

2024年度は石木ダム事業再評価の年であり、治水面での再評価は既に終了し、10月には長崎県から国土交通省に結果(事業継続)が報告されましたが、利水面での再評価は、これから佐世保市において始まります。

県の再評価は、あまりにもお座なりなものでした。

長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)は、県から示された対応方針(工期を7年延長し、事業費を1.5倍に増額し事業継続する)を、わずか2時間15分の審議時間(県による説明時間1時間21分+実質審議時間54分)で承認してしまったのです。

公金投入を135億円も増やし、工期延長も10回目という驚くべき方針が提示されたにもかかわらず、ほとんど議論らしい議論はありませんでした。つまり、結果有りき、県にお墨付きを与えるために開かれた委員会だったと言ったら、言い過ぎでしょうか?

佐世保で行なわれる再評価は、このようなものであってはいけない。
佐世保が負担する事業費の多くが水道事業会計から支出されています。これ以上の負担は水道会計を圧迫し、水道料金の値上げか、水道管の更新や施設の維持管理等やるべき対策費が削られる可能性が大であります。
これからの佐世保市にとって石木ダムが本当に必要なのか、あらゆるデータや資料と睨めっこして、じっくり審議してもらいたい。そして、そのデータ等の分析解釈は専門家でなければ難しいでしょう。ぜひ水道事業やダム事業の専門家の意見にも耳を傾けてほしい。形だけでなく、真剣で真摯な議論をしてほしい。

そのような思いから、1月9日、石木川まもり隊など合計7つの団体が、佐世保市や佐世保市上下水道経営検討委員会に対して要請書を提出しました。

要請書は全部で4つあり、宛先も提出団体もいろいろなので、整理しますと・・

A:6つの市民団体から佐世保市長と水道局長へ。要請書

B:6つの市民団体から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

C:「市民による石木ダム再評価監視委員会」から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

D:「石木ダム勉強会」から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

AとBの要請事項は全く同じもので、再評価の審議を完全公開することや、専門家を招いて意見を聴いてほしいといった内容です。なぜ市と委員会と両方に送ったのか。それは・・

水道局長は12月議会で、再評価の審議にあたって専門家の意見を聴く必要は無いと答弁しましたが、審議のあり方を決めるのは委員自身であり、行政の意向で運営されるべきものではありません。それは国が定めた「再評価実施要領」に明記されていますし、また「佐世保市上下水道経営検討委員会条例」の第7条にも「必要に応じ委員以外の者に、会議への出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる」と書かれています。

過去の再評価委員会では委員から「行政側の資料に疑問を感じても、専門家ではない自分には反論が難しい」との意見も出されていました。このような声を参考に、委員会の委員自身がその必要性を感じていただきたいと思い、委員宛に送りました。

一方、委員会が専門家の招聘を求めたとき、実際に段取りをするのは水道局なので、やはり市側にも要請しておくべきだと考え、両方に提出しました。

Cは昨年7月に発足した委員会です。私たちは県に対し、専門家を招いてほしいと再三要請しましたが全く受け入れてもらえず、それならば…と、専門家の皆さんに呼びかけたところ、7名の方々の賛同をいただき、2名の公募委員と合わせて9名からなる委員会です。(プロフィール

県に対しては、意見書を提出したり、説明を求めたりしていますが、今回、佐世保の再評価審議が始まる前に、経営検討委員会に対して要請書を送ることになりました。内容は水需要予測や保有水源、費用対効果の算出方法について、適切な情報公開と審議を求めています。

Dは、石木ダム勉強会が独自に経営検討委員会に送ったもので、ここには非常に重要な新たな情報が提供されています。(これについては、次回また詳しく報告します)

市長宛の要請書を秘書課長に手渡した後、記者会見を行い、各団体から要請書についての説明等行ないました。市民委員会からは副委員長の宮本博司さんがオンラインで参加してくださいました。

共同通信、長崎新聞、西日本新聞、毎日新聞、NHK、NBC、KTNの7社が参加し、4社が報道。NHKはNEWS WEBでも配信。

石木ダム建設の再評価を 市民団体が佐世保市長らに要望書提出|NHK 長崎県のニュース

記者の皆さんが多数集まってくださったのは良かったのですが、ただ1つ残念なことがありました。記者からの質問の中で、市民委員会の委員について「反対派ですよね」と確認する場面がありました。

それに対し宮本副委員長は「賛成反対以前に、事業の進め方がおかしい、事業計画に疑問点が多い。だから、それについてまずきちんと議論してもらいたい、ということです。反対派という立場で参加しているわけではありません」と明確に回答されました。

全くその通りだと思います。賛成派、反対派とレッテル貼りすることは、分断を生み、話し合いや歩み寄りを妨げることになります。

少なくとも再評価においては、記者の皆さんも先入観を捨て、資料や意見の中見に注目していただくよう、願っています。

ものは言い様?

今日の西日本新聞 長崎・佐世保版に「石木ダム 論点溝深く」という見出しの記事が掲載されました。


深い溝とは、行政と識者の見解の相違のことです。

著作権の関係で記事そのものは転載できませんが、
先月、佐世保市で開催された石木ダムについての講演会。その講師(元国交省河川局防災課長・宮本博司氏)が示した石木ダム計画に関する様々な疑問点の中から、4つの論点について、記者が行政に取材し、両者の見解をまとめてくれました。

講演を聴いた私たち県民の多くが知りたかった内容です。

その一部を紹介すると、    


例えば、雨量計の存在の有無です。

川棚川治水計画の前提要件となる平均雨量を算定するのに、なぜ県は川棚川流域の雨量ではなく、遠く離れた佐世保市内のデータを使ったのか?

裁判のとき「昭和22~60年、川棚川流域に雨量計がなかった」からと説明していたが、実際は有った!こんな嘘は治水計画の根幹に関わることで許されない。

というのが、元国交省で全国のダムの査定をしていた専門家の見解ですが、それに対する県の見解はこうです。

裁判で確かにそう説明したが、これは表現が適切ではなかった

はあ?! 有るものを無いと言ったのは「不適切」だった・・で済むのですか?
いやいや、真っ赤な「嘘」でしょ?

ものは言い様?

上波佐見と川棚の雨量観測資料の存在については裁判所に証拠として提出している。「うそをついた」というのは当たらない。

これも県の見解ですが、この説明は藪蛇でしたね。観測資料を提出していなければ、雨量計の存在は知らなかった。嘘をつくつもりはなかった、と言い逃れることもできたかもしれませんが、資料提出している以上、知っていたのは明白。
「有ったのは知っていた」のに「なかった」と説明したのは「嘘」以外の何ものでもありません。

また、ダムを建設する場所として、専門家の宮本氏は、

石木川は川棚川の下流部の支流で、こういう位置にダムを造ると、本流のピーク水位を高める恐れがあるので、反って危険。なぜなら、ダムが無ければ、下流部の支流は本流の水位がピークになる前に海に流れていくが、ダムで流れを止めていると、本流がピークになるころ、支流でもダムで止めきれなくなって大量の水が流れてくることによって、本流の水位がより上がってしまう。ダム建設場所の選定が根本的に間違っている。

と指摘。これに対する県の見解は、

本流が溢れないように河川を改修し、支流から流れ込む量を調節するためにダムを設ける。流域全体でさまざまな治水の手法を考え、石木ダムと河川改修の組み合わせが最適だと判断した。

と、説明。前段の流域治水は一般論としていいと思いますが、その後の「石木ダムと…が最適」という判断は何の答にもなっていません。

川棚川の河川改修とダムの組み合わせが最適だと判断したとしても、なぜ石木川のような下流の支流にダムを造ろうとするのか、それが間違っていると指摘されたのだから、なぜ石木川を選んだのかの説明が必要なのに、それには全く答えていない。

もしかしたら、答えられなかった?間違っていたと認めたくはないけど、でも、正当だと主張する根拠も見当たらないので、一般論で逃げようとした?

そんな邪推をされたくなかったら、やはり、堂々と県民や専門家の前で、しっかり説明してくださいね。河川課のみなさま!

石木ダムの不思議???

10月14日、アルカスSASEBOのイベントホールには、約300人の来場者が宮本博司さんの講演を聴きにやってきました。

豪雨災害は年々激甚化してるけど、石木ダムができれば安全なの?
佐世保はホントに水不足なの?
石木ダム事業費が1.5倍になるらしいけど、水道料金も値上げになるの?

元国交省防災課長の宮本さん、教えて~!
ということで、今回は、大学生や子育て世代の若者も、かなりやってきました。(実行委員会の若いメンバーの努力の賜物)


さて、講演の冒頭は、ダムではなく桶作りの話。

国交省を辞めてからは家業の樽徳商店を継いだ宮本さん。以前は川を堰き止め、水を溜めていたけど、今は樽を作って水を溜めている。こちらのお仕事の方が数倍楽しそう…

いよいよ石木ダムの話ですが、演題は「造らせていいのか、石木ダム」です。その心は?

いろいろありますが、治水面では、その計画が捏造に近いということ。

サッカーの試合で言えば、始まってすぐ反則をして「一発退場!」となるほどのこと。

何故か?それは計画の前提となる雨量の設定で嘘をついていたから。

なんと、裁判でも嘘をついていた!?

川棚川水系の雨量を設定するのに佐世保の雨量の0.94倍とした。その理由は、当時川棚には雨量計がなかったからと裁判でも説明していたが、それは嘘で、4箇所に雨量計があったことと、そのデータも残されていた。

それだけではない。

ここにダムを造るのは最悪のケースらしい 。なぜなら…

下流にある小さな支流は、本川よりも洪水ピークが先に来るので、本川の洪水ピークとは重ならないが、支流にダムを造って溜めてしまうと、溜めきれなくなって溢れだした時、本川ピークと重なり流量が大きくなってしまうから。

他にも治水の問題点はたくさん指摘されました。
詳細はYouTubeでご確認を・・

さて、次は利水について、です。

佐世保市の計画では、現在よりも水需要を増やし、保有水源量は今よりも少なくする。そうすることによって水源不足を創出し、その結果・・

毎年毎年こんなに渇水被害がおきますよ、だから石木ダムが必要だと説明。
例えば、令和元年度の再評価資料によると、2年後の令和8年には・・

なんと、1年間で293日も給水制限があり、被害額は40億円も発生!
令和8年だけでなく、渇水被害は毎年増え続け、令和57年には1年で74億円も!まさに捏造ですねー

かつて、桟市長は、石木ダム以外の方法で水源確保しようと努力していたが、県から「石木ダム計画に影響しないように」と釘をさされたとインタビューに答えています。

渇水対策のためにダムを造るのではなく、ダムを造るために水不足状態を創ってきたようなもの・・

宮本さんの最後のまとめはこれ。

市民には「石木ダムを造らせていいのか?」と問い、
職員には「石木ダムを造っていいの?」と問いかけています。

戦後の日本は、都市のために地方を犠牲にしてきた。自然に生かされて命を守り、繋いできた地域を壊してきた。
本当にこれでよかったのか?まだ続けるのか?
とも、おっしゃっていました。

第2部は質問・意見コーナー。休憩時間に質問したい方はメモの提出を・・とお願いしたら、なんと36人も!

その中から5人の方が・・

Aさん:どうしてもダムを造りたいと思っている人は誰でしょう?

Bさん:再評価制度の意義は?また、8月に行なわれた長崎県公共事業評価監視委員会がおこなった石木ダムの再評価について、どう思われましたか?

Cさん:こんなデタラメなダム計画を国はどうして建設許可してしまったのか?

Dさん:石木ダムを止めるために、一市民としては何をすればいいでしょう?

Eさん:石木ダムは要らないと思っていても、声に出せない人もいる。そういう人が意思表示するには、どういう方法がありますか?

宮本さんは「みんな、メチャクチャ難しい質問ばかりですね」と言いつつも、一人一人に丁寧に的確に答えておられました。

そして、「皆さんがもっと知りたい、勉強したいと思われたら、僕を呼んでください。行きますから。2人でも3人でも」との言葉に会場から拍手!

宮本さんの分りやすいお話と、熱意に、終了後、私たちスタッフは、退場する参加者からたくさんの感謝と感動の言葉をいただきました。

当日参加できなかった皆さん!
ぜひ記録動画をご覧になってくださいね。
こちらです。 (2024.11.1 音声が良い修正版をUPしました。)

○石木ダムの不思議講演会 その1 実行委員長挨拶と若者からのメッセージ

○石木ダムの不思議講演会 その2 講演「造らせていいのか、石木ダム」

○石木ダムの不思議講演会 その3 素朴な疑問、宮本さんに聞いてみました

○石木ダムの不思議講演会 その4 まとめとお願い




2024衆院選候補者に聞く 追加

昨日、アンケート結果を公表したばかりですが、修正します!
今朝、遅れて提出された方(1区の西岡秀子候補)がいたからです。
当初の締切りは16日、その後未提出の方には再度のお願いをして20日まで延ばし、21日に公表。

昨日はマスコミだけでなく、各候補者にもお礼状とともに集計結果をお届けしましたが、その「お礼状」を見ての提出でしょうか・・

いずれにしても、これでアンケートへの回答者は8人になりました。3人に2人はご回答いただけたということです。さて、その結果は・・

つまり回答者8名の中で、

1.県や佐世保市の説明が十分だと思っているのは金子候補だけ、他の7名は「不十分」だと感じている。

2.石木ダム事業について「よく知らない」と認めている候補者が8名中3名もいる。(県民が知らないのも無理はない?)

3.石木ダム事業の是非を考える場に、賛成・反対両方の専門家を入れる必要があると7名が感じているが、やはり金子候補だけは「不要」と回答。

4.唯一、全候補者の意見が一致しているのが「ダムの必要性も含めて、住民との話合いの場を持つべき」ということ。


5.行政代執行は避けるべきか、止む無しと思うか、こちらは意見が2分。
 避けるべき:止む無し=5:3

6.あなた自身は石木ダム事業にどう対応するのか、こちらは意見が3分。
 推進:中止:事業を中断し再検討=3:1:4


この結果、あなたはどう感じましたか?



2024衆院選候補者に聞く

みなさん、いよいよ衆議院議員選挙が近づいてきましたね。

私たち石木川まもり隊は、前回(2021年)の衆院選に続き、今回も長崎県内の6団体とともに、長崎県内の立候補予定者が石木ダムについてどう考えているのか、アンケート調査を実施しました。

その結果をお知らせしますので、県内の方は、投票の参考にしていただければと思います。

まず、はじめに、こちらがアンケート用紙です。

ご覧のように、設問は7つ。

うち6問は2択または3択で、それぞれ設問の意味について正確に丁寧に説明した上で、選んでいただけるよう努めました。

最後の1問だけは自由記述となっています。

そして、その結果をまとめたものがこちらです。

【調査対象者】12名

長崎1区=西岡秀子(国民民主)、下条博文(自民)、山田博司(維新)、内田隆英(共産)、黒石隆太(参政)

長崎2区=加藤竜祥(自民)、山田勝彦(立憲)、横田朋大(維新)、高木聡子(参政)

長崎3区=金子容三(自民)、末次精一(立憲)、井上翔一朗(維新)

【未提出者】5名(約4割=太字の方々)

公示日の1週間前にお届けしたのですが…残念です。特に維新の候補者は全員、無回答。全員、石木ダムには無関心?それとも党の方針でしょうか?

設問を逆から見ていくと、なかなか面白いですよ。

当選した暁には、石木ダム事業について、どう対応するのかの問いに、

・推進=2人(自民)
・中止=1人(共産)
・事業をいったん中断して客観的に再検討=4人(立憲と参政)

と、政党ごとに意思統一されているようですが、

行政代執行(住民を力尽くで排除して工事する)かの問いには、


・やむを得ない(自民、参政)

・絶対に避けるべき(立憲、共産、参政)

と、参政党の候補者は意見が分かれているようです。

ダムの必要性を含めた話し合いについては、全ての候補者が「話し合いを持つべき」と答えています。
これは重要ですね。行政は県も市も必要性についてはもう話し合う段階ではないと拒否していますが、そういう姿勢ではいけないと皆さん、思っておられる!
どなたが当選しても、そのお考えを是非、知事や佐世保市長に伝えて背中を押してあげてくださいね~

その必要性を考える場に専門家を入れるべきかどうかについても、ほとんどが「必要」でしたが、1人だけ「必要ない」という方が・・。

そして、その方は、こちらの質問にも1人だけ異なる回答を…

同じ政党の人でも考え方の違いが見えてきて、有権者としては、候補者の政治姿勢を知る手がかりになりそうですね。

投票日まで、あと5日!

未来を決める1票を無駄にしないよう、投票にはぜひ行きましょうね~

第2回 市民による石木ダム再評価監視委員会

長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)の翌日、「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)は、早速2回目の委員会を開催しました。第2回市民による石木ダム再評価監視委員会の議事次第・資料

参加者の多くは前日の県委員会を傍聴していた人々でしたが、そうでない人々も一様に、県委員会の判断(事業費1.5倍増+工期7年延長で事業継続という県の方針をあっさり承認)に、予想通りとは言え、落胆の表情が滲み出ているように感じました。

まずはじめに、西島委員長から、

 

 

 

昨日の県委員会に提出された県河川課による説明資料と説明内容に関する概要解説があり、その上で率直な感想を述べられました。(動画はこちら→ 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・委員長の発言 – YouTube )

西島委員長:閉会後に大嶺副委員長から「この事業については様々な意見があるから、県はきちんと市民の意見も聞いて、技術的な説明をしてほしい。ただし、この委員会ではなくて別の場で」という発言がありましたが、これは非常に残念な発言でした。県の説明を受け審議する場としてこの委員会があるのに、そこでやらないというのは、再評価制度の意義も意味も理解されていないなと感じました。

 

 

 

 

続いて、宮本副委員長から、開口一番「疲れました!」そして「我々が提示した15のチェックポイントについて、県からの説明はなく、県委員からもほとんど触れず残念だった」との感想が述べられ、どのような審議が繰り広げられたか解説されました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・副委員長の発言 – YouTube )

主な質疑応答を拾い出すと、

・中村委員の「100年に1回の24時間雨量は400mmとなっているが、最近の雨量データで検証したんですか?」との質問に、県の方が「やりました」と答えたら「はい、わかりました」で終わった。

・大嶺副委員長の「最近は温暖化や線状降水帯の発生で国交省の考え方も変わってきているようだが、県はどういうふうに対応するんですか?」との質問には「今までのところ大きな雨は降ってないので、見直さない」と回答し「ああ、そうですか」で終わった。

・中村委員の「環境調査をずっとやっておられますが変化はありませんか」との質問に対しても「ありません」と答え、すっと終わった。

・狩野委員の「漏水対策として18億円追加されているが、それで足りますか」との質問には「これが積算した結果です」と答えて終わった。

など、ほとんどが、一問一答で終わっていて、再質問がありません。

宮本副委員長:ここで、次の2つの問題について解説します。

一つ目は地下水位の問題です。

ダムの高さよりも低い場合は、地下水位の高さまで基礎処理工、いわゆる漏水対策をしなければならないんですが、

石木ダムの場合、この赤い線が地下水位で、こんなに低い。県の今の漏水対策では不十分で、おそらく、追加でまた貯水池周辺の漏水対策が必要となり、金額がかなり上がるのではないかと思います。

もう一つは、なぜ便益が増えたのかという問題。狩野委員の「費用便益について、令和元年のときには便益が358億円だったのが今回519億円に増えている。これはどうしてか?」というもっともな質問に対して県は「流水の正常な機能の維持に対する便益が増えたから」だと説明しましたが、その意味わかります?

流水の機能というのは、水をたくさん流したら水質が綺麗になるとか、動植物の生息環境が良くなるとか、景観が良くなるとかであるが、その便益はなかなか数字では表せない。そこで、どうやって算定してるかというと、

このダム容量の中から、N(流水の正常な機能の維持のための容量)の部分だけを取り出して、Nだけのダム(身代わりダム=仮想ダム)を建設した場合の費用をNの便益としている。

つまり、この本体のダム事業費が1.5倍になったら、この身代わりダムの事業費も1.5倍になる=流水の正常な機能の便益も1.5倍になるという仕組みになっている。

これは長崎県独自の算出方法ではなく、国交省のやり方です。これに対し会計検査院はそんなやり方はおかしいと指摘しているが、国交省は「今は他に数値化できる方法がないので、とりあえずこれでやります、これからも他のより良い方法について検討します」と言って、その後何十年もこのままできています。

(そういう話は全く知らなかった!なーるほど!さすがお役人は頭がいいですねーそうやって便益を増やす方法を用意していれば、少々費用が増えても、B/Cが1を超えるような仕組みになっているのでしょうね~)

私もダムをやった人間だからわかりますが、本当に県民のため地元住民のために役立つ仕事であれば自分たちにも誇りがあるので、こんなにいい計画なんです!聞いてください!と説明したくなるんですよ。ところが我々が出した項目について全く答えようとしない。行政マン、技術者の風上にもおけないなと感じました。

 

その後、事務局や地元住民の方、会場参加者からの発言が続きました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・県の委員会を傍聴した関係者の発言 – YouTube )

 

 

 

事務局M:県資料19ページには、工期7年延長の理由が「反対住民等の座り込み行動によって6年延長+働き方改革で1年延長」と書かれているが、本当にそうでしょうか?

22ページを見ると、
事業費135億円増の要因の最も大きいのが地質対策関連(67
億円)であり、基礎処理工事が増えるということはその工事期間も延びるということで、当然工期延長の理由にも入れなければならないと思います。

24ページの図を見ると、基礎処理工の範囲がこれまでの数倍に広がっているので工事期間も同様に延びるはず。また、説明のところに「施工時には最大限の範囲となることが想定されますが」と書かれているので、工事費も工事期間もさらに延びる可能性があると思います。

(漏水ダムで有名な大蘇ダムの場合、2005年に完成したが、その後水漏れが発覚して、その後貯水池の3分の2をコンクリートで覆う工事をやって100億円の増になっている。それでもまだ漏水は続いており、調査費や対策工事費が加算され、現在では当初予算の5.5倍の事業費となっている)

 

 

 

 

地元住民Iさん:昨日の委員会の結果は予想通りでした。これまでもずっと同じようなことでしたから。工期を7年延ばすということは、私たちが病気をしたり、亡くなったり、座り込みができなくなるのを待っているのかなと思います。

 

 

 

 

今本委員:いまは要らないのに当初必要だったからとどうしても造るという、この論理はどうしても理解できないですね。それから流水の正常な機能の維持、このためにダムを造ることはないですよ。これは便乗的にやってるだけで、論理性があるとは到底思えません。本当に長崎県がやっていることを見ると無力感に陥りますね。もっと論理的にやってほしい、つくづくそう思いました。

西島委員長:論理性がないと今本先生もおっしゃいましたが、説明なしに進めるというのは、論理でもなくて科学でもなくて、力のごり押しですね。それはもう民主主義とはかけ離れているというふうに感じます。

 

 

 

 

伊藤委員:ダム問題というのは、議論の前に、説明の中に嘘があるということ。ダム賛成とか反対とか関係なく嘘を前提に計画が立てられている。この問題も含めて過去30年ぐらいダム問題に関わってきたんですけど、国も県も同じ状況で、もう民主主義っていうのは、もしかしたら日本にはないんだろうかと思いながら、ため息をつきながら聞かせていただきました。

 

 

 

 

富樫委員:いま全国的に水道料金が上がっている。(石木ダム事業費の佐世保市負担分の多くは水道事業会計から支出しており、その多くは公営企業債権で賄っている)佐世保市水道事業が償還していく時に金利がでてくるが、これから金利も上がってくる。直接の事業費で終わらずに、将来的な財政負担とか水道料金への跳ね返りとか、そこまで見ないといけない。水道料金が上がるというのは高齢化の中で年金生活をしている者にとってすごく大変になる。そのようなことも考えて議論ができることを期待している。

 

 

 

 

つる委員:日本ではなんでこんなに環境の価値が小さいのか!石木ダムの再評価でも議論されてないに等しい。例えば2008年の環境アセスで魚種のうち1種だけが重要な種として認められていたんですが、その対策は必要はないということで対策が取られていない。その結果、その1種「カネヒラ」は、2020年の長崎県のレッドリストでは絶滅したと報告されています。

それから、石木の環境がどうして大事かというと、在来種の存在です。例えば田んぼの雑草にしても在来の雑草です。日本の中ではもう絶滅した在来の雑草なんです。みんな外来の雑草が蔓延っているけど、石木は在来の雑草が蔓延ってるんです。

猛禽類にしても6種類いますが、いろんな猛禽類はほとんど水田があるところとセットで暮らしてるんです。しかし長崎県は水田や平地の価値を全く認めず議論もされてない。

また、これは環境とは関係ないんですけれど、2022年にお隣の佐賀県では有田川の猿川ダムっていうのが中止になっています。これは利水と治水のダムなんですが、20年ぐらい前に計画されて、もう当時の需要予測も価値がなくなったと判断されて、治水計画は他の代替案でやっていきますということで中止になったんです。

 

 

 

 

谷委員:再評価で中止になったダムについてつるさんが紹介されましたが、他にもそういう事例はあるのでしょうか?

西島委員長:中部ダムもそうです。平成10年でしたか、当時の片山善博鳥取県知事が諮問した再評価委員会では、専門家の判断を仰ぎたいということで専門家による部会を設け、約1年かけて調査・議論した結果、ダムよりも河川改修の方が安いということになり、その報告を受けて再評価委員会が中止の判断をしました。

宮本副委員長:私が印象に残ってるのは、大阪府の槇尾川ダムですね。本体のコンクリート打設工事の発注までしていましたが、おかしいんじゃないかという話が出てきまして、当時の知事が必死になって勉強されて、私も委員でしたが、その委員会に知事は毎回出てきました。そして、一緒に現地に行って、確認して、やっぱりこのダムは造ってはいけないということになりました。本体発注後のダムで中止になったのは、おそらく日本ではそこだけだと思います。

ですから、本当は、ああいう再評価委員会のときに、知事に出てほしいんですよ。知事が動かないと、その下の職員は動かないんですよ。大石知事には悔いのない判断するためにも、ああいう議論に出て、一緒にまた現地に行って、我々専門家の意見を真摯に聞くということをやってほしいなと思います。

 

 

 

 

渕委員:西海市西海町の虚空蔵山の麓で牛を飼っています。繁殖農家です。大村湾を隔てて川棚の虚空蔵山を見ながら仕事をしていますが、その虚空蔵山を見るたびに少し気持ちが落ち込みます。この猛烈な暑さの中、こうばるの皆さんや支援者の皆さんが必死になって座り込みをやっておられるということを考えたときに、自分は応援に行けないので、心苦しい気持ちになります。

私が石木ダム問題に関心を持ったのは、13年前に佐世保で開催された集会に参加したのがきっかけですが、その後、現地に行ってみたり、県に質問状を送ったり、自分なりに本当に石木ダムが必要なんだろうかと考えてきたんですけども、やはり必要ないと思います。石木ダムは必要だから造るのではなく、建設そのものが目的になっていると感じています。

行政代執行について、県の委員の皆さんはどう考えているのか?県は反対の座り込みをしている人たちの安全を考慮しながら工事を進めていくと言ってるんですが、それでは行政代執行を安全にできるのか?強制的に引きずり出したり、流血の事態になったてもやるのか?きっとできないと思います。できるわけがない。

知事は行政代執行も選択肢の一つと言ってますけど、選択肢から外してほしいです。ホントにダムが必要なら死ぬ気で説得しろと言いたい。公共事業評価監視委員会の話を聞いていると、監視委員会ではなく推進委員会のようだと思いました。

 

 

 

 

会場参加者Mさん:石木ダム反対の根拠は、もう十分出尽くしていて、あとはどういうふうに中止させるかという戦術の問題に入ってきていると思います。例えばこの市民による石木ダム評価監視委員会というのは戦術としていいと思いますが…

知事選でトップを替えるとか、有名人や発信力のある方の力を借りて全国的に発信してもらうとか、海外の研究者だとか環境団体を招いて、特にオランダは水問題の研究が進んでいるし、長崎とも関係が深いし…そういうことも考えてみるべきだと思います。

 

 

 

 

市民の会共同代表Mさん:私が非常に憤りを覚えたのは、県が御用学者のダム工学会の会長の言葉を紹介したことです。角哲也という元国交省の方ですが、県の資料を見て「県の言う通り、石木ダムは優位性がある」と述べたそうです。私達が求めた専門家の意見を聞くということを、自分たちに都合のいいやり方でやったわけです。こんなズルイやり方は許せない。私は角さんに公開質問状を送ってもいいと思います。

宮本副委員長:この市民委員会に角先生にも来てもらったらいいんです。あなたは石木ダムは必要なダムだと言ったけども、我々は疑問を持っております。我々の委員会に来て議論してください、と呼びかけるべきじゃないかなと思います。来るかどうかわからないですけどね。

 

 

 

 

堀江県議:今回の評価監視委員会で石木ダム事業費が大きく増額され、工期も7年も延長されました。そのことを県議会がどうチェックするか、評価監視委員会が承認しても、県議会が賛成をしなければ、予算についても工期についても認めることはできません。そういう意味では、県会議員が行政をチェックするというその役割を果たすかどうか、そのことが問われていると思っています。しかし、長崎県議会は、46名のうち35名が自民党で、一般質問でも石木ダム早く造れ、何故すぐやらないのかという状況であり、だからこそ、世論を作るのが大事だと私は思います。

 

最後に、西島委員長から、まとめとして今後の取り組みについての提案がありました。

1.我々が示した15のポイントについて県はゼロ回答だった。ということは、もう石木ダムは説明ができない事業だということであり、そうであるならば、これからは中止を求めていくことになるだろう。

2.とはいえ、説明してもらいたいことはたくさんあるので、この市民委員会にぜひ県の職員の方に来ていただいて説明をしていただきたい。

3.今回の県の委員会でどういう説明がされたか、されなかったか、その評価を意見書のような形にまとめて、公表したい。

以上3つの提案については、参加者全員の拍手で採択されました。

 

つまり、市民による石木ダム再評価監視委員会の活動はまだまだ続きます。県の再評価もこれで終りとならないよう、働きかけていきます。

利水についての再評価はこれからですし…

 

公共事業評価監視委員会を、県民みんなで監視していきましょう~