有識者会議が流会になった一部始終

昨夜の有識者会議が流会になった一部始終がユーチューブにアップされました。

今後の治水のあり方に関する有識者会議 石木ダム他 2012/02/22

 

ぜひ一人でも多くの方に見て頂きたいです。

長いです(46分42秒)が、忙しい方はつまみ食いでもどうぞ。

●14分30秒あたり〜岩下さん「半世紀ですよ。50年に渡って反対しているのに」

●16分03秒あたり〜「私たちはダムを絶対つくらせません」 

だけでもお願いします。

 

地権者の心からの叫びをお聴きください。

その声に何も答えない「有識者」と国交省。

彼らには耳が無いのでしょうか、心が無いのでしょうか、頭がからっぽなのでしょうか???



(撮影してユーチューブにアップして下さった川原さん、本当にありがとうございました)

 

有識者会議 流会!

今日の有識者会議は、大波乱です。

19:45、水源連から速報メールが入りました。

皆様へ
本日午後6時から国交省で行われる予定だった有識者会議は6時33分流会となりました。
これは、石木ダム現地から上京した岩下さんを始め水原連関係者の会議公開を求める行動に
国交省・有識者会議側が対応できず今日の会議を流会としたものです。
以上速報です。

地元も支援者も大喝采でした。

もちろん、これで中止になったわけではありませんが、

地元の強い反対の意志だけは十分伝わったはずです。

 

先ほど補足のメールが入りました。

会議室の出入り口には国交省職員がピケを張っていました。
「規則なので公開はできない。ご理解ください」と言うだけでした。
非公開の理由をたずねても答えなし。
押し問答が続きました。
会場内に着席した委員と座長に向けて、「会議を開いて公開するか否かを審議してください」
とアピールしましたが、その気配は全くなし。
大臣を除く政務三役が出席していたようですが、なすすべを持ち合わせていませんでした。
有識者会議は定員九名ですが、この日の出席者は七名でした。
その様子は23時からのTBS報道番組で報じられました。

石木ダム現地から上京した岩下さんがおられたので国交省は押し切ることができなかったのでしょう。
せめて公開実現まで、公開要求行動を続けたいと思います。

 

ジャーナリストまさのあつこさんの「ダム日記」には、臨場感あふれるつぶやきが書き込まれていました。

http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/

 

masanoatsuko 洪水から人を守るための会議なのに、傍聴者から有識者を守ってどうする、国交省河川局…。 2 hours ago · reply · retweet · favorite

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masanoatsuko 傍聴させず、流会した今後の治水のあり方会議の資料は重さ3.4キロ。厚さ9cm。 エコパックに詰めて帰宅。 挨拶に来るはずだった前田大臣は逃げたわけか…。 twitpic.com/8n7a88 twitpic.com/8n7a6j2 hours ago · reply · retweet · favorite

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masanoatsuko おんどりゃ、マナーより閣議決定が上じゃい、 岩下さんを傍聴させんかあ〜と、叫びたかった。 3 hours ago · reply · retweet · favorite

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masanoatsuko コメントを取ろうとするフリーランス横田一記者に、取材にもマナーがある、とふざけたことを言っているので、 閣議決定タイトルを述べ、 違反ですよ、と奥田けん副大臣に投げかけたが無言。 3 hours ago · reply · retweet · favorite

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masanoatsuko 99年、審議会等の整理合理化に関する基本的計画という閣議決定があり、 諮問機関は公開が原則。kantei.go.jp/jp/kakugikette…3 hours ago · reply · retweet · favorite

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masanoatsuko 河川官僚は岩下さんの前に立ちはだかり、ブロックして、入れさせなかった。 「2時間の審議でダムを認められてしまうと、私たちの住んでいる所は、強制収用されてしまうんです。どんな議論がされたかもわからずにです。傍聴させて下さい」この声を浴びながら、なぜ、だんまりで流会なのか? 4 hours ago · reply · retweet · favorite

 

水源連の皆さん、まさのあつこさん、本当にありがとうございました。

 

いよいよ有識者会議に登場!

 

明日22日、国交省の有識者会議、その議題の1つに石木ダムが登場します。

昨年7月26日、長崎県が事業継続の方針を国に伝えて約7カ月です。

県にとっては待ちに待った会議開催でしょう。

なぜなら、これまで県や国などから提出された方針が有識者会議で覆されたことは皆無なのですから。

有識者会議とは、各事業主体者から上がってきた方針にお墨付きを与える場に過ぎない、

ということが、今や誰の目にも明らかになりました。

 

ですから、私たちも明日の会議の結論はほぼわかっています。

99.99999…%は、「石木ダム事業継続」

でも、100ではない。

わずかな奇跡を願う気持ちも当然あります。

 

これまで同会議にかけられたダムとは違うんですよ。

半世紀にわたり反対の意志を貫いてきた地権者が大勢暮らしているんですよ。

その13軒もの家をダムの底に沈めるのですか?

その住民約70人の暮らしを破壊するのですか?

 

私たちが何度も突きつけてきたこの質問を、無視せず、受け止めようとする心ある有識者が、

何人でてくるか…少しだけ、

どうしても、ほんの少しは、期待してしまいます。

 

兵庫県 総合治水条例案

17日、兵庫県議会に「総合治水条例案」が出されました。

県のHPに、同条例案http://web.pref.hyogo.jp/press/documents/20120217_98d57eb02f244b65492579a7000c8f14_2.pdf

と、その概要
http://web.pref.hyogo.jp/press/documents/20120217_98d57eb02f244b65492579a7000c8f14_3.pdf

が掲載されています。

 

概要の前文を紹介します。

 

 水は命の源として、私たちに恵みとうるおいをもたらし、古来から生活を支えている。

一方で、水は、時として氾濫し、私たちの生活に大きな影響を与えている。


 これまでの治水は、雨水を河川等に集めて、早く安全に流すことを基本とし、河川に


おける対策として、ダム、堤防等の設置、河道の拡幅等の整備を進め、下水道における


対策として雨水を排水するための管渠等の整備を進めることにより行われてきた。


 しかし、河川の上流の周辺では開発が進行して雨水が流出しやすくなり、河川の下流


の周辺では高度な都市化が進行して大きな被害が生じやすくなるとともに、近年、台風


に伴う大雨のみならず、局地的に集中する大雨が多発することで、従来よりも浸水によ


る被害が拡大している。


 こうした状況のもと、これまでの治水対策に加え、地域における特性及び課題に着目


し、流域全体で雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる対策及び浸水が発生した


場合における被害の軽減を図る対策を効果的に組み合わせて実施する総合治水の必要


性が高まっている。


 このため、総合治水の基本理念を明らかにするとともに、総合治水に関する施策を定


め、もって県、市町及び県民が協働して総合治水を推進することを目的として、この条


例を制定する。

そして、第1章総則の第2条に(基本理念)が書かれています。

 総合治水は、河川下水道対策、流域対策及び減災対策を組み合わせることにより、

降雨による浸水の発生を抑制し、浸水による被害を軽減することを旨として、県、


市町及び県民が相互に連携を図りながら協働して推進されなければならない。


2  前項の総合治水を推進するに当たっては、環境の保全と創造に配慮しなければ

ならない。

また、第8条第2項には、(河川の整備及び維持)について、以下のように記されています。
 
 知事は、前項の河川の整備及び維持に当たっては、次に掲げる事項に特に留意する

ものとする。


(1) 貴重な動植物の生息環境又は生育環境の保全に努めること。


(2) 流域の歴史及び文化への配慮に努めること。


(3) 景観との調和に努め、県民が河川に親しむ空間の確保に努めること。
 
 
要は、今までのやり方じゃダメと言ってるんですね。
 
どこがどうダメかというと・・・
 
今までの洪水対策は、溜めて流す、つまりダムを造って、川をまっすぐにして早く流れるようにする、
 
そんな対策には限界がある、ゲリラ豪雨なんかには対応できないですよね。
 
 
新しいやり方は、水を閉じ込めるのではなく、流域全体で受け止める
 
森林整備をして保水力を高め、川の周辺の田んぼや空き地に遊水機能を持たせたり、
校庭や公園等の雨水貯留、駐車場や道路等の雨水地下浸透の取組み、
 
そして、ハザードマップで被害を最小限度に抑える・・・
 
そんな全地域での取り組みが大事であり、結果的には一番有効だということでしょう。
 
 
 
一方、長崎県の石木ダム計画では、川棚川流域の洪水対策としてある一定の雨量が想定され、
 
その範囲内の雨量に対応できるような対策を取ろうとしています。
 
石木川が合流している地点より上流は、30分の1、
 
つまり、30年に1回程度の大雨が降っても大丈夫なような対策を考え、
 
石木川が合流している地点より下流では、100分の1、
 
つまり、100年に1回というほどの大雨が降っても大丈夫なような対策を取ろう…と。
 
そのためには石木ダムがどうしても必要なんだ!
 
という論理です。
 
なぜ上流は30年に1回で、下流は100年に1回かというと、
 
下流域は人口が多く、資産も集中しているから…だそうです。
 
長崎県はそういう考え方の治水です。
 
 
兵庫県は、どんな洪水がおきても、上流から下流まで流域全体で受け止め、
 
皆で総合的に対策を講じましょう、という考え方のようです。
 
 
 
あなたはどちらがいいと思いますか?
 
 
 
 

ダム建設、半分以上が事業費増額!

少し前の情報ですが、

1月19日に発表された会計検査院の報告内容について、日経BPネットが詳しく紹介していますので、

その記事を貼付します。


日経BPネット 2012/02/01

ダムの事業費が16倍に、事業期間を過ぎてから延長も

会計検査院は国土交通省と(独)水資源機構が2010年度時点で実施中の大規模な治水事業について検査。ダム事業費の増額に対する詳細な資料がそろっていないなど、不備を指摘した。スーパー堤防の整備率などでは、完成していない箇所を含めて集計しているとした。参議院の要請を受けて検査したもので、1月19日に結果を報告した。

検査した47ダムのうち、事業費を増額していたのは24ダム。このうち、9ダムでは当初の2倍以上に増えていた。例えば、近畿地方整備局が建設している大滝ダムでは当初、230億円だった事業費が2008年7月時点で15.8倍の3640億円へと増加しており、増額の割合は最も大きかった。

増額した理由について、各ダムの事業主体は物価の上昇や消費税の導入、追加の対策費用などによると説明している。しかし、既存の資料には増額の詳細な要因や内訳が明示されていないと会計検査院は指摘。今後は事業費の変更の詳細な要因と内訳などを調査して分析し、検討するよう求めた。

33ダムでは、当初の事業期間を延長していた。そのうち、7ダムでは当初の2倍以上へと大幅に延長。さらに、延べ48回に及ぶ事業期間の変更のうち、23回は事業期間を過ぎてから延長していた。

例えば、水資源機構が建設している川上ダムの当初の事業期間は、1981年度から2004年度までの24年間。ところが、最終年度を5年以上過ぎた2011年2月になってから、2015年度までの35年間に延長した。

事業期間の延長について、各事業主体は主に用地補償に時間を要したことなどによると説明したが、既存の資料では詳細が明らかになっていなかった。


http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20120131/557316/?P=1

 

47ダムのうち24ダムが増額していたとは・・確率は5割じゃないですか!

石木ダムも事業費総額285億円と言ってるけど、増える可能性は50%はあるとみなきゃ・・

ってことですよね?

また、その内の3割以上が2倍以上の増額というのだから・・恐ろしい。

最高は15.8倍ですよ!

一般企業だったら有り得ないことですよね〜

 

以前シンポジウムに参加して下さった田中康夫氏がおっしゃってました。

ダムトンネルは「補正三兄弟」って言われてるんですよ。

ダムも橋もトンネルも、造り始めたら途中で止められないでしょ?

途中で問題がおきても、対策費をどんどん投じて、つまり補正予算を組んで乗りきっていく。

だから事業費はいくらでも膨らんでいくんですよ。

って。

ゾー…

 

一度も使われなかったダム

というのは言い過ぎかな?

正確には、「水道水源として一度も使われなかったダム」です。

 

それは、富山県にある熊野川ダム。

1984年に完成した、利水・治水・発電を目的とする多目的ダム。

ところが、この28年間一度も上水道用水として使用されたことはないのです。

経済も人口増加も予想を下回り、浄水場建設は中止、導水の必要がなくなったから。

治水や発電の役目は果たしているようですが、

県民の間にはムダなダムだったという見方が広がっているようです。

それは国への補助金の返済の負担が重くのしかかってきたから・・・

石木ダムも二の舞にならないよう、以下の記事をよ〜く読んでおきましょうー 

 

KNB NEWS

2012 年 02 月 02 日 13:47 現在

熊野川ダム債務処理、県と富山市が合意


富山市の県営熊野川ダムをめぐる債務の処理について県と富山市は2日までにおよそ24億円を3対2の割合で追加負担する方向で合意しました。

富山市の旧大山町にある熊野川ダムは富山市への水道水の供給などを目的に県営のダムとして昭和59年に完成しました。

しかし、経済情勢の変化などから浄水場の建設は見送られ、平成16年に富山市は水道用水の供給事業から撤退すると表明しました。

このため水道水源としては一度も使われることなく、県は治水用に変更する工事を進めています

ダム機能の変更に伴い、国に返す補助金などの債務処理額はおよそ85億円で、県と富山市はこのうちすでに出資した61億円を除く、およそ24億円についてどう負担するかを協議してきました。

県と富山市によりますと2日までの協議の結果、24億円をそれぞれの出資比率にあたる3対2の割合で追加負担する方向で合意しました。

支払う時期や支払いの方法などについては今後、協議を詰めていくということです.


http://www2.knb.ne.jp/news/20120202_31195.htm


雨雨ふれふれ もっと降れ

今日は朝から雨が降っている。

嬉しい。

午後出かける予定だが、もっと降れ!と思う。

 

佐世保市水道局はつい数日前(2月10日)、渇水対策本部を設置した。

 

読売新聞長崎版 2012年2月11日

佐世保市小佐々町 渇水の恐れ

佐世保市水道局は10日、少雨のため、同市小佐々町で渇水の恐れがあるとして、渇水対策本部(本部長=川久保昭・水道局長)を設置した。設置は、減圧給水を実施した2007年11月以来。応援給水などを行うとともに、同町の住民に節水を呼びかけている。

水道局によると、市内は昨年12月から少雨が続いており、2月の降水量は平年の2割程度にとどまっている。このため、1日あたりの配水量が2847トンの小佐々町(給水人口6863人)では、水源3か所からの取水量が通常の8割の2906トンまで低下。水源の一つ「つづらダム」の水道用水貯水量も、総量の7割の4万4000トンに落ち込み、16日分しか確保できていない。

同町には大手メーカーの工場があり、取水能力に対する配水量の割合が他地区より大きく、例年、厳しい給水状況が続いていた。昨年までは隣接する佐々町から1日最大1000トンの応援給水を受けられたが、今年度から上限が100トンに下がったため、対策本部は農業用ため池からの分水や、市内の他地区からの給水などで対応する。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20120210-OYT8T01180.htm

 

同様の記事は毎日新聞や長崎新聞にも掲載された。

が、この記事を読んで誤解しないでほしい。

小佐々町は確かに今や佐世保市だが、石木ダム計画とは無関係ということを知ってほしい。

もし石木ダムができたら、それを利用する市民は、あくまでも旧佐世保市地域の住民。

旧小佐々町とは配水管が繋がっていない。

 

佐世保市や水道局は常々佐世保市の水不足を喧伝してきた。

私たちは、「たっぷりとは言えなくてもほぼ足りています」と言ってきた。

一般の人たちは、どちらのいうことが本当だろう?と首をかしげているに違いない。

そんな時、こういう記事を読めば、「ああ、やっぱり佐世保は水不足なんだな」と思うだろう。

 

だから、本当のことを伝えたい。

平成6年に合併したこの小佐々町は、佐世保市以上に水不足で、

それでもずっとなんとか暮らしてきた。

よその町にダムを造ろうとか考えないで、

有る水を大切に使って暮らしてきた。

雨が降らない日が続くと確かに不安にはなるだろうが、

今日のように、また降りだすものだと人々は信じて動じなかったのだろう。

私たちもそうありたい。

 

また、新聞によると、

昨年まではお隣の佐々町から一日最大1000トンの応援が受けられたのに、

今年度からは100トンに下げられたという。

なぜだろう?

佐々川の流量が急に減ったとでもいうのだろうか?

佐々町の水が足りなくなったとでもいうのだろうか?人口は減っているのに…

  

それはともかく、地域間で援助し合うことは大事だと思う。

電気のように、日本中を送電線ならぬ送水管で結んでいたら、

渇水がおきたときだけでも、水余りの地域から融通してもらえる。

たとえば、北陸の豪雪地帯のあの大雪を溶かして水にして送水管に注入すれば、

それが隣県に送られ、トコロテン式に九州の小佐々町まで届くというふうな・・・

 

北陸からは難しいとしても、水が豊かな阿蘇地方からとか、

それくらいは技術的にできない話ではないと思う。

これだけ科学技術が発達してる現代で。

 

成らぬは人の為さぬなりけり・・・

 

まともな議論をやることが大事

「官僚たちの八ッ場ダム」を書かれた宮本博司さん。

その宮本さんが、2月6日、ジャーナリストまさのあつこさん主催の「こじんまりトーク」で

河川官僚の実態を率直に語って下さいました。

You Tube にアップされてますので、お時間があるときにご覧になってください。
http://www.youtube.com/watch?v=Ga8ViizN2LY&context=C353e286ADOEgsToPDskIX3V81zTt0qaYEOWq9mYdG


宮本さんが「淀川水系流域委員会」を作ったとき、強く思ったこと。

せっかく河川法を改正し、住民の意見を聞く場ができたのだから、徹底的に語り合おう。

「お墨付き委員会」にだけはしてはいけない。

そのために守ること。

1.委員を国交省が選ばない

2.徹底的に情報公開をおこなう

3.事務局を役所が担わない

4.結論を前もって決めておかない

これさえ守れば、まともな議論ができ、まともな結論に結びつくはず。

 

役人には、「隠さない、誤魔化さない、逃げない、嘘をつかない」をもとめたという。

はじめはもちろん!という返事でしたが、結局は、隠し誤魔化し逃げていきました。

役人だって隠すのは辛いはず。

何を出すべきで何は出したら行けないのか頭を悩ませなければならないから。

情報公開した方がうんと楽なはず。

元河川官僚の一人として、宮本さんはそう考えていたのですが、

現実はそうではなかった。

いや、そういう人も確かにいるのだけれど、組織としてはそうはならなかった。

 

宮本さんの話はよーくわかります。

私たちも同じ思いをしました。

石木ダム建設事業の検証をすると言っても、専門家や住民はその場に入れず、

県の河川課と自治体の長だけが集まってのやりとりで、

ただ河川課の説明を聞くだけのようなもの。

初めから結論ありき。アリバイ作りの会議でしかありませんでした。

 

それでも、宮本さんが委員長をやっていたときの流域委員会は画期的でした。

会議は常にガラス張りで、傍聴者の意見も聞いたそうです。

それは、

川は無限の存在。誰が専門家とか言えない。学者も住民も対等。

皆わかってないんだから、皆で意見や知恵を出し合うべきだから。

それに、

「〇〇委員は寝てたじゃないか」とか「××委員の説明はおかしい」など言われると、

委員にも緊張感や責任感が出てきて良い効果があった。

そして、

いろんな立場の人が一堂に会して議論することがどれだけ大切か!

学者と行政、住民と行政、というふうに別々の場を設定すると、ただ聞き置くだけとなる。

立場や考え方の違う人たち、利害関係の反する人たちなど一緒になって議論すると、

初めは衝突するが、だんだん相手の思いがわかってくる。

その主張の根拠がわかってくる。自分たちの頑なさが和らいでくる。

そうして、よりベターな結論に近づいて行く。

そんな意味のことをおっしゃってました。

 

そうそう、その好例として、こんなことおっしゃってましたよ。

そのいい例が今本先生ですやん。

「淀川流域委員会」の始めの頃、今本先生は嘉田さんの横に座って、

「ダムのどこが悪いねん!」とおっしゃってたんですよ。

それが今や日本を代表する脱ダムの先生なんだから・・・。

そして最後に、

このようにまともな議論もせずに、どんどん川をダメにしているのは慙愧に堪えない。

命がけでやらないとダムは止まらないかもしれない。

死ぬほど頑張って・・

あの世で、お互いによう頑張ったから少しはましな方向へ行ったなあと、

また酒を飲み交わしたいと思います。

と結び、笑い声が広がっていました。

 

いつか私も宮本さんの生のお話を聞きたいと願っています。

 

 

どんなことをしてでもダム継続!?

10日ほど前の記事ですが、京都新聞に掲載されたダム関連の記事をご紹介します。

「官僚たちの八ッ場ダム」

文字が小さくて読み辛いと思います。こちらにpdf版もあります。

http://www.ookawaramasako.com/wp-content/uploads/2012/01/

 

筆者は、宮本博司さん。

元国交省官僚で河川行政一筋に取り組んできた方。

淀川水系流域委員会の委員長でもありました。

その宮本さんが、こう言っています。

官僚たちにとって八ッ場ダムは、

何年かかろうが、どんなことをしてでも継続しなければならない」事業だったと。

だから、大臣が中止宣言をしても従うわけがない。

大臣の言葉は「とりあえず神棚に上げておいて」、官僚たちは粛々と準備を進めた。

水没住民に対して、

「ダム建設が中止になれば生活再建ができなくなる」と発信し、

住民を怒らせ、自治体首長に中止反対の声をあげさせる…

それは優秀な官僚たちにとって「お手の物」のことだと。

そして困った大臣の中止宣言を神棚から下ろす仕掛け、それが有識者会議だったのです。

 

<今後の治水のあり方に関する有識者会議>

「ダムに依らない治水を目指す」といいながら、大半をダム容認の御用学者で占め、

会議は非公開で行われ、まとめられた検証手続きは、目標とは正反対のもの。

この手続きに沿って、八ッ場ダムだけでなく検証対象となった全国各地のダムが、

検証の結果、「事業継続」「ダム案が最良」「やはりダムしかない」などとお墨付きをもらっている。

石木ダムもまさにその一つです。

長崎県は昨年7月、事業継続の方針を国に伝えました。

なぜかまだ有識者会議にはかけられていませんが、そのうち・・・

 

宮本氏はこう結んでいます。

その結果、住民の命を守るために優先的に実施されなければならない対策が後回しにされ、

無残に川の命が奪われていっている。
 
八ッ場の結末は、

八ッ場を超えた極めて深刻な問題であることを重く受け止めなければならない。

皮肉にもダム建設に批判的であった民主党の政権時代に、官僚の思うがままに、

ダム建設に強力なお墨付きを与える仕掛けをつくってしまった私たち世代は、

子供や孫に顔向けできない大きく、取り返しのつかない罪を犯した。

慙愧に耐えない。(樽徳商店代表取締役)

 

かつて官僚であった宮本氏の言葉だからこそ、深く強く胸に響きます。

 

ところで「樽徳商店」って?と思い調べて見ると・・

宮本氏が官僚を辞めて継いだ家業のお店の名前。

明治5年の創業、元々は酒樽のお店だったのですが、

時代の変遷と共に、ポリ容器や科学機器、包装資材を扱う商店に変わっていったようです。

で、宮本氏の夢は、本物の木の樽の復活だとか。。。 

  

田んぼダム

毎日新聞 2012年2月1日 新潟版の「田んぼダム」の記事をご紹介します。

「田んぼダム」ってご存知ですか?

私は初耳だったので、検索してみたら、次のように書かれていました。

たんぼからの排水量を調整し、たんぼの水位を上げて、雨水などをダムのように一時的にたんぼに貯め、水路や川の水量を急激に増やさないようにするための取り組みを「たんぼダム」と言う。

平成14年度に新潟県の旧神林村(村上市)から取組が始まり、新潟大学農学部の研究も進み、県内では近年かなり注目されているようです。

水源連のMLの中で、「環境会議・諏訪」の塩原氏は、次のようにコメントしていました。

「田んぼダム」という発想はとても大切なことだと思います。
井上ひさしさんが言っていましたが、日本では(その当時)田んぼはダムの2倍の貯水量があると。
これを有効に使えば(理論的には)ダメなどいらなくなるはずです。

では、以下が記事の本文です。


「減災」を考える:新潟・福島豪雨から半年/下   田んぼダム /新潟


◇排水制限で洪水防ぐ 道路も活用「多重防御」

既存の構造物を利用し、水害を減らしていこうとする取り組みが進んでいる。その一つが、豪雨時に田んぼから流れ出る水の量を制限して水をため、周囲への洪水被害を防ぐ「田んぼダム」だ。

田んぼダムは、元々旧神林村(現村上市)で行われていたもので、ここ数年で他の市町村にも広まってきた。県によると、現在、同ダムとなっているのは、県全体の田んぼの耕地面積の約6%にあたる9203ヘクタール。東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積(100ヘクタール)の92倍に上る。

方法は、田んぼの排水口に板をつけ、すき間や板に開けた穴からの排水のみに絞るという、いたってシンプルなもの。稲への影響も少なく、「白根郷土地改良区」で、4年前から普及に取り組む河内一男理事長(69)は「誰でも簡単に取り組めるのがメリット」と話す。

新潟市南区と加茂市の一部にかかる白根郷は堤防に囲まれた低地の輪中地帯。総面積は7460ヘクタール。このうち田んぼの面積は4500ヘクタールで、排水は、通常時から、排水路を通じ近くを流れる中ノ口川へポンプでくみ出している。

ダムとなっているのは、田んぼの約62%にあたる2795ヘクタール。昨夏の豪雨時には、中ノ口川の氾濫を防ぐためにポンプが止められ、郷内で水があふれる被害が発生することが懸念されたが、最大で約1000万トンをため、緩やかに水を流すことができたという。

「これがなければ、浸水被害はさらに広まっていただろう」と同改良区の外石満計画課長(54)は分析。河内理事長は「今回豪雨の検証を踏まえ、この手法をまだ実施していない白根郷の人たちにも定着させていきたい」と意気込む。

□ □

豪雨が続いていた昨年7月29日午後5時ごろ、三条市下大浦の同市下田下水処理センター前。男性職員(33)は、目の前にある約1メートルの高さの道路が、田んぼからあふれた水をせき止めている光景を目にした。

県は今後、こうした一定の高さのある道路を補足的な堤防の「二線堤」としてとらえ、整備を進めていく方針を決めた。県の豪雨対策検討委員長を務めた金沢学院大大学院の玉井信行教授(河川計画)は「川は川、道路は道路と縦割りになっていたところを連携させたい」と話す。

東日本大震災で津波の被害を受けた仙台市沿岸部では、南北に走る有料道路「仙台東部道路」が、堤防の役割を果たし被害の拡大を防いだ。玉井教授は「役立つものがあれば活用していき、『多重防御』を図ることが重要だ」と指摘する。【畠山哲郎】


http://mainichi.jp/area/niigata/news/20120201ddlk15040056000c.html