4度目の正直?なるか

知事と住民の話し合いが実現するか?
心ある県民が注目する中、県土木部から3度目の文書が届き、それを受けて住民からも3度目の文書が提出されました。



2度目までのやり取り、つまり両者が互いに郵送した2通、計4通の文書については、6月22日の当ブログに掲載済みです。https://ishikigawa.jp/blog/cat05/7287/

今日は、3回目のやり取りについて考えてみたいと思います。

県土木部からの3度目の文書は6月30日付でした。
その要点は、以下の3点。
・対面での条件協議に応じるなら、協議当日に限り工事は全て止める。
・対面での条件協議に応じないなら、工事中断の具体的な条件等を示してほしい。
・その期限は7月12日(月)までで、文書での回答を求める。

それを受けて、住民からの3度目の知事宛の文書は7月12日に送付されました。
その要点は、以下の4点。
・話し合いの期間中は工事を中断し新たな工事にも着手しない。
・場所は川原公民館。
・日時は日曜日の午後か平日の19時以降。
・知事がダムの必要性について説明する。

今回初めて、住民側は場所や日時の希望を具体的に示しました。
その上で「知事の都合のつく日をお知らせください。お待ちしています」と記しています。知事との対話を求める住民の本気度が伝わってきます。

一方、県土木部からの3度目の文書にはそれが感じられません。
「協議当日に限り工事中断」とか「条件協議に応じないなら工事中断の具体的な条件を」など、工事のことしか眼中になさそうです。知事と住民の話し合いの実現や、その成功を願うより、とにかく工事を進行したい、やむを得ず中断するにしても、できるだけ早く再開したいとの思いが見え見えです。

住民の願い(ダムの必要性について知事の口から納得のいく説明が聞きたい。私たちの疑問や意見にも耳を傾けてほしい)を少しでも理解していれば、このような文書にはならないと思います。

いずれにしても、ボールは再び県に返されました。
県からの4度目の文書で、話し合いが実現するかどうか、いよいよ決まりそうです。

4度目の正直となりますように・・・!

石木ダムレポート by長崎大学生


【Aさんのレポート】
私は去る4月24日に、市民街頭運動「長崎県の3大悪政をSTOP!」を見学してきた。この市民運動はタイトルにもある通り長崎県の3つの悪政といわれる「石木ダム建設」と「諫早湾の干拓事業」、「ハウステンボスへのカジノの誘致」について反対の意思を示し、署名を集め、県民により知ってもらうための運動であった。
私自身このような政治に関する市民運動は正直なところ煙たがっている部分があった。なぜなら、県政に異を唱える人々の話が主観的すぎると思い込んでしまっていたからだ。しかし、今回の街頭集会を見て、実際にそこで活動する方々にお話を伺ってみて、この人たちは自分たちが住むこの長崎県をよりよい場所にしたい一心で活動しているのだと思い知らされた。
私が特に興味を持ったのは石木ダムの建設についてだ。そもそもダム建設には広大な土地が必要であり、住める場所が少ないこの長崎にとって居住可能な場所を減らされてしまうのはとても手痛い問題だと思う。街頭集会に参加していた県議会の女性に話を伺ったところによると、ハウステンボスの建設などが始まり、一時的に労働力が必要となって人口が増え、水の需要が大きくなったことは確かにあったという。しかし現在では長崎県の人口は水の需要が高かった当時より減少し、ダム建設の必要がなくなったということだ。
私はその街頭集会において手渡された資料の中に具体的なデータが載っていないことに少し疑問を感じることはあったが、この問題の中に日本の政治の欠点を垣間見た気がした。
日本でダム建設のような巨大な事業を執り行うには膨大な手続きと金と時間がかかる。その間に問題が解決してしまった場合の柔軟な対処とでもいうべきものがこの国には足りないと感じた。
今回の経験を通して国の意見、県民の意見を聞き、自分の頭で考えていくことができたので、これからも様々な問題に対して自分で情報を集め、自分で悩み続けていきたいと思った。

Aさんのように、「市民運動をやる人たちの話は主観的すぎる」という先入観を持っている若者は少なくないのではないかと思います。

私たち世代からすると、なぜそのように見られるのか・・悲しいと言うよりも不思議な気がします。今の若い人たちは、今の暮らしや社会に全て満足しているのだろうか?このままでいいと思っているのだろうか?と。

でも、Aさんは実際に活動している人の話を直接聴いて、その考えが変わったという。
そこが大事ですね。じっくり耳を傾けてみるとか、対話してみるとか。1歩近づいてみると印象が変わったり、実像が見えてきたりするものです。互いに、思い込みを横に置いて、まずは話してみる、その大切さを改めて感じました。

また、Aさんは、特に興味を持ったという石木ダム問題については、こう述べています。

この問題の中に日本の政治の欠点を垣間見た気がした」それは、「ダム建設のような巨大な事業を執り行うには膨大な手続きと金と時間がかかる。その間に問題が解決してしまった場合の柔軟な対処とでもいうべきものがこの国には足りない」と。(同感!)
そして最後には「これからも様々な問題に対して自分で情報を集め、自分で悩み続けていきたいと思った」と結ばれていました。

最後の言葉に感銘を受けながら、他の学生さんたちはどうなんだろう?Aさんのような考え方は少数派なのか?それともけっこう多いのか?興味が湧いてきました。

実は、石木ダム問題について学び、レポートを提出した学生さんはAさんだけでないのです。
そのレポート集がこちら。石木ダムレポート
石木ダム問題に対する長大生104人のレポートが詰まっています。

「氏名その他の情報は一切伏せ、本文だけならネット上でも公開OK!」として送られてきた貴重な資料。感謝を込めて公開させていただきます。

ファイルを開いて読まれた皆さん、どうでしたか?
予想通り?意外?それぞれの感想を持たれたことでしょう。

私が感じたのは、意外にも世代間のギャップを感じなかったということ。

多くの学生が、利水面でも治水面でも、石木ダムの必要性に疑問を感じ、人権を無視した県の強権的なやり方を批判していますが、中にはダム必要論を説く学生ももちろんいます。それでも、対話が必要であり、説明を尽くすべきという観点では一致しています。例えば・・

【Bさんのレポート】
 石木ダムで一番の問題は、1882年の県が県警機動隊を導入し、住民を排除しつつ強制測量を行ったことだと思う。「地元の了解なしではダムを作らない」とする覚書を無視している上、強制的に排除されたことにより、住民に心の傷を負わせたこの行動は正当化できないと思う。県は、行動に移す前に住民が反対している理由を考えるべきではないか。私は、住民が反対する大きな理由として石木ダムの必要性があると言えないことがあげられると考えている。まず、石木ダムの建設の目的の一つである佐世保市の水の確保だが、県がその根拠としている将来水需要の過大予測は、実績は全体的に見ると減少しているのに、予測は急激に増加していることから、明らかに不自然な予測であると言える。実際、予測は外れ、佐世保市の水の需要は、急激な増加はなく、減少しているため、この目的は石木ダムの建設の目的として納得することはできない。また、川棚川の洪水の防止という目的だが、石木ダムの建設予定地は、川棚川の中で、狭い範囲しかせき止めることができないため、洪水対策ができるかというと厳しいという判断できるので、この目的もまた石木ダムの建設の目的として納得することはできない。このような納得できない目的で作られる石木ダムの建設費の538億円は、税金の使い道として、はたして適しているのだろうか。県は考え直すべきではないか。覚書にも記載されている通り、住民を、県民を、納得させる目的を提示しない限り、県は石木ダムの建設を進めるべきではない。 

【Cさんのレポート】
石木ダム問題が未だに解決しないのは行政と住民との対話が不十分であるからだと思った。ダム建設は公共の利益のためにそこに住む人々の居住地だけでなく、地域のつながりや思い出などを奪う原因にもなる。しかし、国家規模で考えると、犠牲を出してでもダムを建設する必要があるのだと思う。ビデオの中で、住民の方々が雨の日も毎日バリケードを形成しているのを見て、自分の故郷を奪われるということは耐え難いものであるということを想起させられた。しかし、石木ダム問題はいつか解決しなければならず、住民と行政の間でうまく折り合いをつけなければならないのであろうが、私自身その方法を考え付くことができず、非常に難しい問題であるように感じた。

【Dさんのレポート】
ダムを作ろうとすること自体は悪いとは思わない。しかし、住民からこれだけの反対意見が出ている以上耳を傾ける必要は大いにあるだろう。そもそもこの計画が立てられてからかなり多くの年数が経過しているため、それをそのまま実行しようとするのは技術的な面などもあわせて現実的ではない。技術的面での見直し、地域住民への理解、そもそもの計画の必要性の検討しなおしが必要だと思われる。

若者だろうが高齢者だろうが、石木ダムについてきちんと学んだ人の考えは、1点において共通しています。ダムの賛否にかかわらず、「住民の声に耳を傾けよ」「対話を尽くせ」ということです。

そう言えば、去年こうばるに社会科見学に来た小学生たちの感想文も同じ内容でした!

ということは・・・

石木ダムはとにかく造るべし!
対話も説明ももう要らない。
決められた通り前に進めるべし!

と言っているのは、石木ダムのことをきちんと勉強していない人たち?
ってことになりそうですね~
でも、それって、佐世保市長の議会答弁とよく似ていますが・・・

・石木ダムの必要性については既に説明を尽くしている。
・最高裁の判断も示されている。
・情にとらわれることなく、法のルールに従って執行していくことが法治国家としての行政の務めである。

(2021年6月24日:佐世保市議会本会議で小田市議の一般質問に対する答弁要旨)

座り込みいつまで…

「座り込みいつまで」6度目の工期延長、続く緊迫

(西日本新聞2021/6/30 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/762815/

石木ダム・リポート ―6月29日―

山の緑にセミの鳴き声が響く。長崎県川棚町の石木ダム建設現場には29日午後、赤い文字の横断幕が風に翻っていた。「工事強行より話し合いが先だ」。住民らは横断幕を県が設置している監視カメラに写るように掲げ、静かに抗議の意思を示した。

住民が中村法道知事との話し合いのための事前協議の前提として、「中断」を求めていた県道付け替え工事。県は28日、6月末に迫っていた工期を9月末に延長した。工期延長は6度目。少なくともあと3カ月は、県は工事を進め、住民らは座り込むという緊迫した状況が続くことになる。

住民の岩下すみ子さん(72)は「またかとがっくりする」と落胆。「(工事が中断すれば)数年ぶりに旅行に行こう」。住民間で話していたが、淡い期待ははかなく消えた。「毎日座り込むのも体力的に大変。いつまで続くんかね」

29日も現場では、山の掘削や土砂の運搬など、県道付け替え工事が進んだ。一方、「ダム本体工事」として予算が計上されている堤体両端の上部を掘削する工事は着工していない。県は「(着工しないのは)住民への配慮」と説明する。

住民の岩本宏之さん(76)は「理解を得ることなく工事を進めておいて、いまさら何が配慮か」と憤った。着工していないはずの「本体工事」の工期も9月末までの延長が決まっている。(岩佐遼介)

 

長崎県、石木ダム本体の掘削工期延長 9月末まで 

(長崎新聞2021/6/29 11:13)  https://nordot.app/782430433873870848?c=39546741839462401

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、6月末までとしていたダム本体の掘削工事などの工期を9月末まで3カ月間延長したと明らかにした。施工業者と同日、変更契約を結んだ。

県は水没予定地に暮らす13世帯の反対住民との話し合いを模索する中で本体工事を見合わせており、工期延長は2回目。県道付け替え道路工事の盛り土などは住民らの抗議の座り込みで予定通りに進まず、6回目の延長となった。
県は中村法道知事との対話を実現しようと反対住民に条件面を詰める事前協議を提案しているが、住民側は工事の即時中断を求めており調整が難航している。

 

長崎県が石木ダムの工期を9月末まで延長

(テレビ長崎2021年6月29日 火曜 午前11:45) https://www.fnn.jp/articles/-/202663

東彼杵郡・川棚町に計画されている石木ダムについて、長崎県は28日、業者との契約を変更し、本体工事と付け替え道路の工期を9月末までに延長しました。

東彼・川棚町では、石木ダムの建設に伴って、水没する県道の代わりとなる付け替え道路の工事が進められています。

工期が6月末に迫る中、現地では建設に反対する地元住民が抗議の座り込みを続けていて、約40メートルの区間が手付かずのままです。

長崎県は28日、業者との契約を変更し、付け替え道路の工事を9月末まで延長しました。

あわせて本体工事についても、住民との話し合いの調整が難航していることなどから、工期を3カ月延長しています。

付け替え道路の工期延長はこれで6回目で、本体工事の延長は2回目です。

今後の工事の進め方について、長崎県の河川課は「話し合いや、協議の状況を踏まえて判断していきたい」としています。

県道付替工事、9月末まで工期延長


石木ダムの県道付け替え工事 9月末まで工期延長 長崎県

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210628/5030011851.html


長崎県は、川棚町に建設を進める石木ダムの本体工事とダム建設に必要な県道の付け替え工事について、建設業者と締結していた契約を変更し工期を9月末までに3か月間延長しました。

長崎県が川棚町に建設を進める石木ダムをめぐっては、県がすでに建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっていて、現地ではダム建設に必要な県道の付け替え工事が進められています。

また県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、具体的な条件を確認するための事前協議の場を設けるよう提案していますが、住民側はその前提として工事を即時中断するよう求めていて、両者の事前協議は見通しが立っていません。

こうした中、県は今月末までに事前協議などを行ったうえで、事態を進展させるのは難しいと判断し、ダムの本体工事と県道の付け替え工事について、28日建設業者と締結していた契約を変更し、今月末までとしていた工期を9月末までに3か月間延長しました。

県河川課は、当初、昨年度内に予定していた本体工事の着工時期について「地元住民との協議の状況も含めて総合的に判断したい」としています。

本体工事の工期延長は、これで2回目、県道の付け替え工事の工期延長はこれで6回目になります。


長崎県、石木ダム本体の掘削工期延長 9月末まで


 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、6月末までとしていたダム本体の掘削工事などの工期を9月末まで3カ月間延長したと明らかにした。施工業者と同日、変更契約を結んだ。
県は水没予定地に暮らす13世帯の反対住民との話し合いを模索する中で本体工事を見合わせており、工期延長は2回目。県道付け替え道路工事の盛り土などは住民らの抗議の座り込みで予定通りに進まず、6回目の延長となった。
県は中村法道知事との対話を実現しようと反対住民に条件面を詰める事前協議を提案しているが、住民側は工事の即時中断を求めており調整が難航している。


3分ドキュメンタリー石木川のほとり 第3弾

笑顔の写真家・村山嘉昭さんの3分ドキュメンタリーの第3弾です。



川原住民の1人、ほーちゃんにズームイン!
動画の下に書かれている村山さんのコメントも是非お読みください。

また、今回、村山さんは、ひがしそのぎの情報サイト『くじらの髭』にも登場!
こちらも必見です。
https://kujiranohige.com/person/2438

笑顔の写真家

昨日お知らせしたNCCカメラマンリポート「笑顔の写真家~石木川のほとりで」は、大好評でした。見逃した方は・・・こちらで見ることができます。



「笑顔の写真家」という代名詞がぴったりの写真家、村山嘉昭さん!

と言っても、村山さんがいつも笑顔とか、村山さんの笑顔が特に素敵!とか、そういう意味ではありません。

村山さんがカメラを向けると、不思議なことに、誰でもみんな笑顔になってしまうという意味・・・だから村山さんが撮った写真はいつも笑顔が溢れています。

子どもたちも、


お年寄りも、

世代を問わず、なぜかみんなとびきりの笑顔になってしまいます。

苦労の多い石木川のほとりの住人たちですが、実はいつも笑っている素敵な人たちなのです。村山さんの写真から、それが多くの人に伝わることでしょう。

村山さんご自身のブログはこちらです。

地元メディアが取り上げてくれました



 

今日夕方のNCCニュース見てね!

長崎県にお住まいの皆さんへ、緊急のお知らせです。

ここ数年、時々ふらりと現れては、こうばるの人々の暮らしや風景をカメラにおさめている写真家・村山嘉昭さんについて、今日の夕方の報道番組の中で紹介されます。

NCC長崎文化放送(5チャンネル)
NCCスーパーJチャンネル長崎 18:15~のローカルニュースです。
県外の方は見られなくて、ごめんなさい。

先日、このブログでもお伝えした「ドキュメンタリー:石木川のほとり」この撮影のとき、NCCの記者さんが同行し、こうばるの人や生きものにフォーカスする村山さんをフォーカスしていましたが、その取材の成果が見られます。

乞うご期待!

回答は全てコピペ?

佐世保市民のSさん(女性)が、最近知事宛にメールで意見を送ったところ、
こんな返信が届きましたよ~と転送してくださいました。

これがSさんの意見への返信?
全然返事になっていないし、内容がズレている。
しかも、何か見覚えがある文面だなぁ・・と思い、探してみると、
それは、Mさん(男性)が、4月に知事宛に送ったメールへの返信と全く同じものでした。

4月Mさんが送った意見の内容は、こちらです。
1.強硬なやり方の工事はストップすべきだ。
2.時代錯誤な非民主的な工事を行っても、国内外から長崎県が非難されるだけだ。
3.ダムに頼らない治水、利水の方策を考えてほしい。

6月Sさんが送った意見の内容は、こちらです。
1.川原の皆さんは、県が工事を中断した上で、知事と話し合いたいと望まれている。
2.知事は長崎県の代表として、キチンと話し合いをしてほしい。
3.川原の皆さんが長い間大変ない思いをされているのを理解すべきだ。

2つの意見の趣旨は明らかに異なっています。
Mさんは、県の強権的なやり方を批判し、政策の見直しを求めていて、
Sさんは、知事と川原住民との話し合いの実現を求めています。

その趣旨の異なる意見書(メ―ル)に届いた同一の返信はこちらです。

—–Original Message—–

〇〇 様

県政の推進について、日頃から格別のご理解とご協力をいただきお礼申し
上げます。
この度は、「石木ダム建設事業」に関するご提案をお寄せいただきありがと
うございました。
ご提案については、以下のとおり担当課長から説明させていただきます。
これからも、県政に関するご提案をお寄せくださるようお願いいたします。

令和3年4月8日
長崎県知事 中村 法道

この度は、貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
お問い合わせのありました「石木ダム建設事業」について、本県の考えを
説明させていただきます。
石木ダムは、川棚川の洪水被害の軽減と佐世保市の安定的な水源の確保を
目的として、昭和50年度から事業に着手しております。
川棚町は、戦後4回も大雨による洪水被害に見舞われており、このうち、
平成2年7月の梅雨前線豪雨では、床上・床下浸水合わせて384戸の甚大な
被害が発生しました。こうした状況を踏まえ、川棚川では、河川改修とダム
建設により、概ね100年に一度の雨による洪水に備える計画としております。
また、佐世保市は、安定して取水できる水源に乏しいことから、昭和50年
以降、断水や減圧給水を伴う給水制限を4度にわたり実施しているなど、渇
水の危機に瀕する事態が度々起こっており、渇水による市民生活等への大き
な影響が出ないようにするため、石木ダムの建設により日量4万トンの水源
を確保する計画となっております。
現在においても、移転対象となる家屋のうち約2割の皆さまには、ご協力
いただけておりませんが、一方で、約8割の皆さまには、ダム建設を前提に、
用地のご提供という形でご協力いただいております。
地形的な特徴から急流河川が多い本県は、過去に長崎大水害や諫早大水害
といった水害に見舞われてきた一方、昭和40年代の長崎砂漠とよばれた渇
水や平成6、7年の大渇水など、多くの自然災害を経験してきました。
こうした経験を持つ本県としては、地域にお住まいの皆さま方の安全・安
心の確保が行政の責務であると考え、石木ダムの早期完成に向け事業を進め
ているものでありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

長崎県河川課長 松本 憲明

お2人とも、
長崎県知事への提案窓口に投稿されました。
http://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/goiken-gosodanmadoguchi/kocho/teian/

そこには、「人が輝き、集い、活気のある長崎県をつくるため、皆様お一人おひとりの思いを地域づくりに生かしていきたいと思っております」と書かれています。

でもそれは口先だけ。
実際は、知事が読むことはなく、
それどころか、河川課長さえ目を通すことはなく、
担当職員が単なる事務作業として、
投稿者に同じメールをコピペして返信しているのでしょうか・・

Sさんは佐世保市長にもメッセージを送ったそうですが、
窓口=佐世保市長への手紙
https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/tegami.html

佐世保市からは返信さえ届かないそうです。。

『話し合い』をめぐる4つの文書

5月下旬から約1ヶ月、知事と住民との『話し合い』に注目が集まりました。



数年前から、どちらも相手と「話し合いたい」と言い続けているのに、何故か実現しない、不思議な膠着状態に陥っていました。ところが、ここにきて、ようやく県の方から正式な申し入れがあり、いよいよか?とマスコミの記者さん達は取材に大忙し。新聞・テレビのニュースで度々報道されました。

が、ひと月経っても、まだ『話し合い』の目途はたっていません。
それは何故か?
県と住民の間で交わされた4つの文書をよく読めば、その理由は見えてきます。

1つ目の文書がこちら。5月21日付、「長崎県土木部」から「川原地区にお住いの13世帯の皆様」へ宛てたものです。

これは、知事と住民との話し合いを実現させるための事前協議の申し入れですが、
書かれていることを要点整理すると、

①皆様に心労をおかけしていて心苦しい
②石木ダムは喫緊に必要不可欠の事業である
➂事業推進、生活再建、工事の進め方について話を聞いてほしい
➃6月上旬、川棚町中央公民館で行いたい
⑤互いに5名程度集まってやりたい
⑥6月4日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

ということです。
「心苦しい」と言いながら、自分達の主張を聴いてほしい。
そのための話し合いだと言う。あまりにも一方的な内容ですね。
話し合いというのは、双方に、相手の話にも耳を傾ける気持ちがなければ成り立ちません。自分たちの言いたいことだけ聞いてくれと言われて、誰が応じるでしょう?

そこで、2つ目の文書です。6月4日付、「石木ダム建設絶対反対同盟」(13世帯)から「長崎県知事」に宛てたもの。

こちらも要点整理すると、

①私たちは工事を中断すれば、いつでも話し合いに応じる
②そのことは土木部長にも河川課長にも伝えていたが工事は強行されてきた
➂今回の事前協議を求める文書提出後も、新たな工事が強行された
➃知事が本当に話し合いを望むなら、工事を即時中断し、話し合いのできる環境を作ってほしい

ということでした。
土木部からきた文書への返事を、土木部にではなく知事に郵送したことに住民の意思が現れています。

話し合い実現のための事前協議をしましょうと言いながら、新たな工事を強行した土木部。工事中断が話し合いの条件だと分かっていながら、中断しないどころか、新たな工事を始めた土木部。それは、「どうぞ事前協議は断ってください」という意思表示以外のなにものでもない。

そんな言行不一致の土木部とは交渉などできない。ということで、知事に直接返信されたのです。

さて、知事からどんな返事が来るか・・・私たちも期待していましたが、届いた文書の差出人は、またもや土木部!

その3つ目の文書がこちらです。

今回の要点は、

①工事中断等の条件整備の考え方などについて聞きたい
②6月19日午後2時~川棚町中央公民館講堂にて
➂6月16日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

やっと住民の意向を聞きたいとの言葉が出てきましたが、工事中断の意思があるのか無いのか何も書かれてはいません。そこで、住民の方は16日、現場にやって来た石木ダム建設事務所長に確認をしたところ、事前協議に指定した日時にも工事は続けるとのことでした。

そこで、4つ目の文書(6月17日付)が、再び知事宛に送られました。

ここに書かれてあることは、まさに直訴そのものです。

①知事の本当の考えが知りたい
②知事と穏やかな環境の中で話し合いたい
➂話し合い実現のため工事を即時中断してほしい

この文書を受け取っても知事が動かないとしたら、知事の「13世帯と話し合いたい」という言葉は建前?それとも嘘?本心ではないということでしょう。

本気で話し合いたいのなら、土木部を介さず、ご自身でアプローチすればいいのです。
昔から賢明なお殿様は、自ら城を出てお忍びで領地を周り、自分の目で領民の暮らしを確かめていたようです。

長崎県政にも、空港建設のため箕島へ日参して、島民と語り合った久保知事の例もあります。

中村知事、そろそろ貴方の本気を見せてください。
工事を中断するくらい、貴方の一声で可能なのですから。
貴方が本当に話し合いを望むのなら。

3つの『声』

これは6月18日付、長崎新聞『声』欄に掲載された投稿記事です。

石木ダム事業について、「容認派と反対派の専門家を公開で議論させ、県民の判断を求めてはどうか」と提言し、さらに、
そのためには「工事をいったん中止」することを県に提案しておられます。

投稿されたのは、京都大学名誉教授の今本博健氏。河川工学の専門家です。
今本先生は、この提案の前に、2つの投稿記事に対するご自身の見解を述べられています。その2つの記事とはこちらです。

5月21日付、石木ダム建設予定地のある川棚町にお住いの医師の方からの投稿です。

6月10日付、石木ダム建設事業者である長崎県の河川課長からの投稿(お答え)です。

私はどちらの記事も掲載された日に読んでいましたが、
河川課長の「お答え」を読んだ時は、なんだか国会における政府答弁を聞いているような、モヤモヤした気分になりました。

川棚町民として石木ダムに深い関心を持っている方の、素朴で的を射た疑問に対し、河川課長は肝心なことは答えず、石木ダムの必要性を強調しています。

羽田野氏の声
・石木川と川棚川の水量の差にびっくり!
・こんなに水量の少ない石木川にダムを造っても、川棚川の治水効果は小さいのでは?
・それなら川棚川の堤防を嵩上げした方が、治水効果も経済効果も大きいのでは?
・専門家のご意見を伺いたい

河川課長の声(お答え)
・計画以上の大雨が降ると、堤防の嵩上げした分、被害が大きくなる。
・大雨の時、ダムは川に流す水の量を調節できるので洪水被害を軽減する。
・川棚川の治水対策としては、石木ダムと河川改修の組み合わせが経済的にも有効。
・気候変動で自然災害が増えている。一日も早く石木ダムを完成させねば・・。

このように要点をまとめてみると、河川課長の「お答え」がいかに不誠実な答えであるかがよくわかります。

・羽田野氏の疑問(川棚川と石木川の水量の差、石木ダムの治水効果、堤防の嵩上げとの比較など)について、正面から答えていない。
・「計画以上の大雨」が降った場合の堤防嵩上げの被害を述べながら、ダムの場合は「大雨の時」のことしか述べていない。ダムも「計画以上の大雨」が降れば大きなリスクを伴う。ダムからの放流により何人もの命が奪われた事例さえあるのに。

そもそも羽田野氏は「専門家」の意見を聞きたいと書かれていました。
事業者である県に回答を求めていたわけではありません。
県の主張は、広報誌や石木ダム建設事務所が発行している「水のわ」で、川棚町民は熟知しておられるはずです。

そう思っていたところに、まさに専門家の方からの投稿が掲載され、びっくりしました。
投稿された今本先生は河川工学の専門家として有名な方です。

今本先生の声
・嵩上げは決壊した場合の被害が大きいが、補強すれば避けることができる。
・ダムは計画を超える雨には役に立たず、地域社会や自然環境を破壊する。
・川棚川水系の治水計画は30年に1度が妥当であり、ダムは不要。
・県は容認派と反対派の専門家を公開で議論させ、県民の判断を求めては?

ということで、今本先生も石木ダムは不要とのお考えですが、ここでは不要と決めつけるのではなく、議論することを提案されました。

それはとても大事なことだし、実現されることを私も願っています。

なぜなら、羽田野氏のように石木ダムについて、いろいろ疑問を持っている川棚町民、佐世保市民、長崎県民も多いはず。
事業費を負担する県民の理解は何より大切です。
地元住民はもちろん、それ以外の県民の理解も得るためにも、公開の場での専門家の議論は必要です。
専門家の方には、なるべく素人にもわかるような説明をお願いして・・・

政策は合意のもとに進められるべきものです。
公共事業とは名ばかりで、住民や県民が望まない公共事業なら、それは見直されるべきです。
そのような事業に税金を注ぎ込めるほど長崎県の財政は豊かではありません。

振り返ってみると、私たちは河川課の方からの説明(石木ダムの必要性)はたくさん聴いてきましたが、専門家による石木ダムの必要論を直接聴いたことがありません。
専門家といえば、不要論ばかりでした。
もしかしたら、私たちの情報も偏っているかもしれませんね。
石木ダムが必要という専門家の説明を聞けば納得できるかも?




ですから、県は県民の理解を得るために、ぜひ、専門家によるダムの必要性についての討論会を開いてください!