石木ダム問題の今

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最高裁、上告棄却!

10月8日付で、最高裁は私たちの上告を棄却しました。


つまり私たちは石木ダム事業認定取り消し訴訟で敗訴が確定したのです。

なぜ…

私たちの訴えとは、「必要性のないダム建設のために住民の土地を奪う事業認定は違法であるので取り消してほしい」というものです。
一、二審の判決は「このダム計画は不合理とは言えず、住民の不利益よりも公共の利益の方が大きいので事業認定は正しい」でした。

そこで私たちは最高裁に上告しました。
法の番人と称される最高裁なら、国の最高法規である憲法に照らして、一二審の過ちを見抜き、石木ダム事業の違法性を指摘し、国民の権利を守ってくれるのではと期待していましたが、みごと裏切られました。

正直くやしいです。残念です。
しかし、この不当な決定に私たちが屈することはありません
この事件を担当した最高裁第一小法廷の5人の裁判官にあたったのが不運だったと諦めるしかありません。

私たちが拠って立つのは憲法です。
憲法は、国民一人ひとりが、住むところや職業を選ぶ権利、自分の財産を守る権利、幸せを追求する権利を保障しています。
しかし、石木ダム事業認定によって、こうばる住民のこれらの権利が侵害されるのですから、事業認定は取り消されるべきです。

ところが、裁判所は、それらの権利は「公共の福祉に反しない」限りであって、石木ダムは公共の福祉に大きく寄与するので、事業認定は間違っていなかったと判断しました。一審も二審も最高裁も。

しかし、そう判断するならば、本当に石木ダムが必要なダムだという立証が必要です。

ところが、一審では事業計画に関わった県の職員(治水)や佐世保市の職員(利水)や国側証人の大学教授(利水)などに尋問をしましたが、いずれも住民を追い出してまで必要なダムだという根拠は示せませんでした。無いよりはあった方がいい。計画流量や計画給水量の算出においても「不合理とは言えない」という程度です。

二審では一審のやり取りを踏まえて、さらに新たな資料や意見書も提出して、住民側の大学教授への証人尋問を要求しましたが、それは受け入れられず…つまり、ダムの必要性についての科学的検証はまだなされていなかったのです。

石木ダムが無ければ、川棚川流域住民が大きな洪水被害に晒されるとか、石木ダムが無ければ佐世保市民が水不足で生活に支障が出ているとか、だから石木ダムは必要だと証明されて初めて「石木ダムの公益性は高い」「石木ダムに反対して出て行かないことは、公共の福祉に反する」となるはずです。

それが立証されなければ、公共の福祉に反しないことになり、反しないのに土地を強制収用する事業認定は憲法違反の疑いがあるわけです。

だからこそ、最高裁には石木ダムの必要性についてしっかり検討してほしかったのですが…
最高裁の決定は、内容に踏み込むことなく、門前払いでした。

「上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあること、その他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる」(民訴法312条)が、本件はそれに該当しないとして。

それで務まるのでしょうか?
憲法の番人」が…

最高裁という番人が頼りなければ、私たち一人ひとりが番人になりましょう。
私たちの権利と憲法を守るために!

先ほど私たち(県内7団体と弁護団)による声明文を出しました。
こちら→20.10.14-最高裁決定を受けた声明

工事差止訴訟控訴審第1回口頭弁論

長崎新聞 2020年10月9日https://this.kiji.is/687190331494728801

石木ダム建設差し止め2審始まる

長崎県川棚町で進められる、石木ダムの建設に反対する住民などが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた裁判の2審が、福岡高等裁判所で始まり、住民側は「私たちの生活はそんなに軽いのか。切り捨てないでほしい」と訴えました。

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民などは洪水被害により安全が侵害され、ふるさとでの生活が奪われるなどとして、ダムの建設工事などの差し止めを求める訴えを起こし、1審の長崎地方裁判所佐世保支部は、「安全が侵害されるおそれは認められない」などとして訴えを退け、住民側が控訴していました。

8日、福岡高等裁判所で2審の裁判が始まり、住民の1人が「ここで暮らし続け、次の世代に引き継いでいく人生をダムの建設に踏みにじられる。私たちの生活はそんなに軽いのか。切り捨てないでほしい」と意見を述べ、改めて、自分たちの住む場所を決める権利を主張しました。

石木ダムの建設をめぐっては、国に対して、事業の認定を取り消すよう求める訴えが1審、2審ともに退けられ、住民側は最高裁判所に上告しています。

 

「人生が踏みにじられた」石木ダム訴訟、住民が意見陳述

長崎県佐世保市が建設を進める石木ダムをめぐり、住民らが関連工事の差し止めを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民らは工事について、故郷で暮らす「人格権」を侵害するものだと主張し、県と市は控訴棄却を求めた。

原告は、ダムで水没する長崎県川棚町の川原地区の住民13世帯や支援者ら403人。一審・長崎地裁佐世保支部判決は、人格権は内容や範囲が不明確で、差し止めの根拠にならないとして請求を棄却した。

この日は住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し、地区の自然豊かな四季の情景を織り込んだ歌の歌詞を読み上げた。「私たちの人生がダム事業に踏みにじられ、何十年も重ねてきた暮らしが強制的に排除されようとしている。13世帯を少数者だとして切り捨てないで」と訴えた。

石木ダムは佐世保市に水を供給するとともに、周辺の川棚川流域の水害を防ぐことを目的とする多目的ダム。1975年に建設が決まったが、住民らの反対運動でダム本体は着工していない。住民らが国に事業認定の取り消しを求めた別の訴訟では昨年11月、福岡高裁が住民側の訴えを棄却。住民側は上告している。(山野健太郎)

石木ダム建設控訴審住民側差し止め訴え 福岡高裁で初弁論

西日本新聞  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/652603/

 3月の一審長崎地裁佐世保支部判決は、住民側が訴えた「良好な環境で生活する権利」などは、「工事差し止めの根拠にならない」として請求を棄却した。

住民側代理人の鍋島典子弁護士は意見陳述で、「住民の主張をどう理解し、いかなる理由で判断したのか、理解に苦しむ」と批判。その上で「控訴審では住民が主張する権利を適正に評価し、(工事による)侵害行為の違法性を判断してほしい」と求めた。

石木ダムの用地は土地収用法に基づき、2019年に所有権が国に移り、家屋などの強制撤去が可能な状態になっている。住民らが国に同法の事業認定取り消しを求めた訴訟は同年11月に福岡高裁が控訴を棄却し、住民側が上告している。 (森亮輔)

 

「ここで暮らし続けたい」 石木ダム工事差し止め控訴審 口頭弁論で住民 /長崎

 川棚町に建設が計画されている石木ダムの工事を巡り、水没予定地の住民らが建設主体の県と佐世保市を相手取り工事差し止めを求めた控訴審の第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し「この場所に仲間とともに暮らし続けたい」と訴えた。

 県と市側は答弁書を提出し、いずれも控訴棄却を求めた。

 石木ダムは同市の水不足解消と治水を目的に建設が計画され、2013年には土地収用法に基づく国の事業認定を受けた。用地の強制収用が可能となったが、13世帯が住み続けている。住民側は「利水や治水両面でダムの必要性はなく、不要な事業で故郷を奪われるのは人格権の侵害だ」などと主張している。

 川棚町川原(こうばる)地区で40年以上暮らす岩下さんは、豊かな自然や土地を守り続けてきた先祖への思いに触れた上で、「私たちの人生がダム事業に踏みにじられ、何十年もの間重ねてきた暮らしが強制的に排除されようとしている。13世帯を少数者だとして切り捨てないでほしい」と述べた。

 1審の長崎地裁佐世保支部は今年3月、「差し止めを求めうる明確な実態を有しない」として原告の請求を棄却した。【宗岡敬介】

私はこうばるで生き続ける


10月8日午後1時半、福岡高等裁判所前。
石木ダム工事差止訴訟控訴審の門前集会に、こんなにたくさんの人が!
コロナ対策で法廷に入れる人はごく一部なのに…

午後2時半、開廷。
提出された書面や証拠を矢尾渉裁判長が確認した後、控訴人側(当方)から3人が意見陳述をしました。

トップバッターは、鍋島弁護士。
控訴人らが主張している人格権とは「自己が選択した土地で継続的かつ平穏に生活をし、快適な生活を営む権利ないしは人格的生存を図る権利」です。
一審がこの権利を認めなかったことは全く理解できません。
控訴審では、この権利について適正に評価していただき、侵害行為の違法性について改めて判断いただきたい。
201008意見陳述(鍋島)

 

続いて高橋弁護士。
2019年度水需要予測は2012年度の予測よりもさらに酷い。掟破りの禁じ手である。
それは、そうでもしないと4万トンが不足するというダムの必要性が証明できないからでしょう。
しかし一方では、災害や渇水に備えるために石木ダムを建設するのだと議会等では説明しています。
このような理由で石木ダムを建設することは許されず、工事は差し止められるべきです。
20.10.07-控訴審J1要旨

 

最後は住民の岩下すみ子さん。
私たちは自然豊かな「こうばる」を父母、祖父母、何代も前のご先祖さまから受け継ぎ守ってきました。
そしてそれを次の世代に引き継ぐために預かっているのです。
私たちはこれからもここで生き続けます。その権利を認めてほしいです。少数者として斬り捨てないでください。
意見陳述書(岩下すみ子)

 

これらの陳述を聴き終え、裁判長は当方弁護団に尋ねました。
人格権についての主張は一審と変わらないか?
人格権から派生してどのような憲法上の利益が侵害されるのか?具体的に知りたいと。

その質問に対して、当方弁護団長の馬奈木弁護士が立ち上がり、

変わらないときっぱり答え、しばらく両者の間でやり取りされていましたが、その内容がどうしても聞き取れませんでした。
(顔の向き、マスク、そして私の難聴のせいで…トホ…)

その後のやり取りの中でおや?と思ったことが1つあります。
佐世保市の代理人が、治水についての主張をできるだけ早く提出するようこちらに求めてきたのです。
なぜ?佐世保市の代理人は利水についての担当であり、治水担当の県の代理人が何も言わないのに…不思議です。

いずれにしても全ての書面を次回期日1週間前までに提出することで落ち着きました。
次回期日は、12月10日(木)14:30~ です。

 

閉廷後、隣の弁護士会館へ移動し、すぐに報告集会が始まりました。


初めに弁護団事務局の平山弁護士から、
今日までの流れと今日のやり取りの説明がありました。

その中の権利性について、高橋弁護士から補足説明がありました。

一審での争点は、3つあった。
 ➀石木ダム工事の差止を求める権利があるか否か
 ➁その権利が侵害されているか否か
 ➂その侵害が許されるか否か。
 一審判決は権利が無いと切り捨てたので➁➂には進めなかった。
 その判決は我々には全く理解できない。権利はあるはず。
 今日のやり取りでは、裁判長はそこには異を唱えなかった。
 その権利が工事によってどのように侵害されているかを求めていた。

なるほど~少しわかった気がします。
人格権という言葉に私たち自身も馴染みがなく争点がぼやけていた感じでしたが、そういうことか~

続いて、陳述者の皆さんからの解説です。


鍋島弁護士:一審判決は住民は工事差止の権利を持っていないと判断しました。私は、判決文を何十回も読みましたが、なんで権利性が無いというのか、その理由が全くわからなかった。それで今日は当然認められるべき人格権について言葉を変えて説明しましたが、正直これ以上どう説明すればいいのか…と思っていました。でも、今日のやり取りの中で、裁判官が具体的に何を聞きたいのかが見えてきたので、次回期日までに準備したいと思います。


高橋弁護士:佐世保市は水需要が増えるから石木ダムが必要と主張しているが、その需要予測のやり方がおかしい。とんでもない手法(禁じ手)を使っています。そして、市はこの予測は正しいと裁判では言い張っているが、議会や市民に対しては、需要が増えるからとは言っていない。災害や渇水に備えるために石木ダムが必要と言っている。使い分けているのです。これは行政がよく使う手で珍しいことではありません。我々はあくまでも、この予測が間違っていることを(グラフを見れば一目瞭然)多くの人に伝えていきましょう。

岩下すみ子さん:私たちは何十年もこのダム問題と闘ってきました。それは、私たちが、このこうばるを預かっているからです。私たちの代でこの地をダムにするわけにはいきません。こどもたちに引き継いでいかなければならないんです。本当は普通の暮らしがしたいです。でも、毎日お弁当を持って、リュックをからって、山の工事現場に座り込んでいます。そういう状態がもう10年以上続いています。これからも頑張り続けますので、皆さん、ご支援よろしくお願いします。

そして、馬奈木団長から、法廷で裁判長とやり取りしていた権利性についての説明がありました。

権利侵害については、誤魔化しというか形式論というか、問題があります。
例えば、工場を建てるために海を埋める工事を行っているとする。その差し止めを求めても、海の埋め立てで何か被害は出ていますか?出ていないでしょ?埋め立て後に工場ができてその煙で初めて健康被害などが出るんでしょ?となる。その段階で初めて権利侵害が認められる。こういうやり取りがずっと行われてきたんです。

石木ダムの場合も同じです。いま付け替え道路工事を行っていますが、それで何か被害は出ていますか?と。出ているなら具体的に示せと言われているんです。しかし、その道路工事はダムを造るための事前の工事であり、ダムができればそこに住めなくなり権利が侵害されるのは明らかですよね。ダムができて追い出されて初めて訴えなさい、出直してきなさい、そうおっしゃるんですか?と、次回は正面から問いたいと思います。

また、県や佐世保市は原告を十把一絡げにして、川原住民以外の原告はそこに住んでいないのだから、ダムができても何も侵害されないではないかと主張しています。そこで我々は現地住民の権利に絞って主張しています。

続いて、会場からの質問や意見が求められると、福岡市民から沢山の手があがりました。

福岡市民:利水についての意見陳述はあったが、治水についてなかったのはなぜですか?

馬奈木団長:治水に関して一審では、ダム以外の対策を示しても「行政の裁量権」を盾に、こちらの主張は退けられました。しかし、最近の事例(堤防強化を怠ったために破堤したケースや、ダムからの緊急放流により人命が奪われたケースなど)により、治水についての考え方も今いろいろ議論されている。そこで、去年や今年の新たなデータや専門家の分析も得ながら、新たな視点で2回目の期日に向けて準備中です。

福岡市民:私は有機農業の研究をやっています。農業を生業とする者には水や田畑が必要。そういう観点から裁判に活かせないか?

馬奈木団長:それは裁判内よりも裁判外の議論になるだろう。また、その観点を長崎で活かすなら、石木ではなく諫早の方が相応しい。諫早では干拓地での農業と後背地の農業の問題があります。干拓地よりも耕作放棄地の面積の方が広い。わざわざ干拓地を作るよりもそれまで営まれていた農業を守るべきだったのではないか。そういうことを裁判の外で議論することが大事だと思います。

司会者:付け加えさせていただくと、川原では農業というよりも、家族や県外で暮らす子どもたちのために米や野菜が作られています。収入を得るためではなく、先祖代々の土地で作物を育てる喜び、分かち合う暮らしの豊かさを大事にしておられます。それはまさに、いま世界的に求められているSDGs、持続可能な社会を目指す生き方であり、だからこそ私たちもここを皆で守りたいと思っています。

福岡市民:意見陳述書にある人格権を裁判所はなぜ認めないのか、それが不思議だったが、先ほどの弁護団の説明でそれが分かったし、事業認定取消訴訟と工事差止訴訟の違いも分かりました。私たちの生活を守るためには私たちが行動しなければならないことを改めて感じました。

大村市民:岩下さんの陳述を聴いて胸が締め付けられるようでした。「川原のうた」はいつ頃作られたのでしょうか。映画も見ましたが涙が止まりませんでした。私は大村市民ですが、この問題は多くの人に伝えたいし、私たちも頑張って行動して行かねばならないと思いました。

長崎市民:私は週に2回ほど現地の座り込みに参加していますが、行き帰りの車の中でいつもこの「川原のうた」を聴いています。CDがあるので必要なら係の方に言えば入手できると思います。

福岡市民?:岩下さんの陳述の中で、「祖父母の闘いを見て自分もその闘いを継いできた。子や孫に『こうばる』を残したい」とおっしゃっていました。私も先祖代々受け継いできた土地で暮らしているので、その気持ちがよくわかります。まさにそこの部分で裁判を頑張れないものでしょうか?頑張ってほしいと強く思います。

馬奈木団長:行政訴訟(石木ダム事業認定取消訴訟)で、一審の裁判長が判決で何と書いたか。「代わりの土地は用意してある」と書かれていたんです。それを見て私は激怒しました。我々は、そういうものの考え方をしている裁判官たちと対峙していることを自覚しておかねばならないのです。

岐阜県民:私は徳山ダムの件で闘ってきましたが、既にできてしまいました。その敵討ちのような思いで、石木ダムだけは止めたいと応援しています。13世帯の人権を奪ってはいけない。この事実を多くの人に伝え世論を作ることが大事です。全国からの支援が必要だと思います。

最後に岩下和雄さんが自らマイクを握って訴えました。


今日はたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。

一審では私たちにダムを止める権利は無いと言われました。しかし、10年ほど前、佐世保市長は私にこう言いました。「佐世保市民の豊かな生活のために石木ダムは必要」と。有り余るほどの水を得るために石木ダムが必要ということです。なぜ佐世保市民の豊かな生活のために私たちが犠牲にならなければならないのか。私たちには人格権は無いのでしょうか。

私たちの闘いは50年に及びます。その間工期は8回も延長され、水需要予測も度々変わっています。50年ほど前の水需要予測では16万5千㌧でしたが、今では11万5千㌧。5万㌧も減っています。しかし、実際の給水量は7万トン以下です。このような事実を二審の裁判官にはぜひ理解してもらい、現地も見てもらい、私たちの人格権を認めてほしいです。

そして、皆さんにも一度こうばるに来ていただきたい。私たちは平日の午前中、毎日抗議行動(座り込み)を続けています。皆さんのご支援をよろしくお願いします。

 

私たち石木川まもり隊からもお願いします。
石木ダムを止めたい、抗議行動に参加したいと思っていても、参加できない人はたくさんいます。遠くに住んでいたり、仕事をしていたり、学校に行っていたり、立場上反対運動に参加できなかったり…

そんな方に代わって、もし、あなたが、1日だけでも参加できる日が有り、行ってみようかな?というお気持ちになったら、こうばるに足を運んでみませんか?

事前にご連絡頂ければ、出来る限りご案内します。
こちら→ michi30@hyper.ocn.ne.jp


石木ダムへの市民の「声」

きっかけはこちらの投稿記事。長崎新聞「声」の欄です。

2020年9月25日

それに答えて佐世保市民が投稿。2020年10月1日

今度は諫早市民の投稿。2020年10月8日

この投稿者は最近まで石木ダムに反対している住民のことを「多くの補償金を貰っておいて、いつまでごねているのだろう」と思っておられたそうです。

でも、自分が似たような立場に置かされて、初めて公共事業の実態に気づき、そのことを公表してくださいました。「知らない間に他人の土地の上に計画を立て」「その土地を売れ」と一方的に言われ「そこかしこに思い出の詰まった大事な土地を二束三文でどうして手放すことができるでしょう」と。

しかも、こうばるの皆さんは1円も受け取ってはいないのです。
このような誤解や思い込みも多いかもしれませんね。

どんな問題もそうですが、まずは事実を知ること、実態、実状を把握すること。
その上で自分自身で考える。

石木ダム問題で言えば、
こうばるの人々はなぜ石木ダムに反対しているのか?
川棚川の洪水対策は石木ダム以外に無いのか?
佐世保市は本当に水不足なのか?
そういう事実を知った上で、自分がこうばる住民なら?
自分が川棚町民なら?佐世保市民なら?どう考えるだろう?
もし知事だったらどのような判断をするだろう?

そういうふうに一人一人が自問自答してみることが大切ではないでしょうか?

工事差止訴訟控訴審第1回口頭弁論のお知らせ


みなさま

明日、石木ダム工事差し止め訴訟の控訴審第1回期日が開かれます。

傍聴券抽選に関する時間変更がありましたので、それに伴い行動予定を以下のように変更いたします。

13:20~13:50 傍聴抽選券配布(なるべく13:40までに受け取ってください)
13:40~      門前集会
14:00~      傍聴券配布
14:30~      裁判
15:30頃?~    報告集会

(お願い)
コロナ対策のため、法廷内に入れる人数がいつもよりかなり少なく制限されます。
原告団事務局としては、なるべく「こうばる」住民の皆さんが傍聴できるよう努めたいと思います。
抽選に当たった方は、できれば、その傍聴券を事務局(松本)へお渡し頂ければ大変有難く、ご協力をよろしくお願いいたします。

傍聴できない大多数の方は、報告集会会場(弁護士会館2階ホール)でビデオ上映など予定していますので、そちらでお待ちください。

裁判所も、弁護士会館も、マスク着用していない方や熱のある方の入館はできませんので、検温とマスクは忘れないよう、お気をつけください。

よろしくお願いいたします。

445億円に膨張した石木ダム事業費

やっとこの数字が公開されました。

石木ダム関連事業費92億円膨張

私たちが石木ダム関連事業費の増額に気づいたのは今年6月です。

6月4日付けの建設通信新聞デジタル版を見て初めて100億円近い増額を知りました。水道局に問い合わせると、令和元年度再評価資料に公開済みだと言います。

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suigen/documents/siryouhenn_151-200.pdf

この資料の6ページの表4.1がそれです。

虫メガネで見てもわからないような小さな文字なので拡大してみます。

え?合計で445億円?(この表の数字の単位は千円なので、ここは、44,550,000,000円ということ)
いつの間に?これまでは353億円だったはず…

前回(平成24年度)の再評価資料を見てみると、

やはりそうです。

そこで、この2つをわかりやすく1つの表にまとめてみました。

細かい区分は省いて、各設備費の合計額を算出し、用地補償費・調査費・事務費は合計して諸経費としました。

ダム負担金と水源地整備費は変化無しなので、水道設備関連の事業費が92億円増え、全体として石木ダム関連事業費は353億円から445億円に膨れ上がったということがわかります。

この件について、再評価の委員会審議のときも、議会報告のときも、一切触れられていません。議員の皆さんも何も聞いていないとおっしゃっています。

水道局はそれで問題無いとお考えのようですが…

公共事業の再評価制度の目的は何でしょう?

それは「透明性の確保」です。

人口減少社会における財政難の中で大型公共事業を進めるには、「効率的な実施及びその透明性を一層確保することが重要」と厚生労働省の再評価実施要領にも書かれています。

そして、再評価は定期的なものの他に、大幅な工期延長や事業費の増加があった場合にも行わねばならないとあります。今回の再評価では工期の延長については検討されましたが、事業費の増加について全く触れられなかったのは不思議です。

新聞によると、事業費が増加した理由は、ダム建設に伴い、近隣の老朽施設を統合して整備する方針に改めたためで、市水道局は「別々に整備するよりも大幅なコスト削減になる」とのことです。

そうかもしれません。だとしたら、なぜそのように説明しないのでしょう?いかなる理由にせよ、事業費を増やしたことは確かなのですから、その理由を、再評価や議会の場で説明すべきです。事業費を負担するのは私たち市民なのです。

445億円もの事業費が妥当かどうか議会に諮るべきです。それほどのコストを払っても私たちは石木ダムを必要としているのかどうか、市民にも考える機会を与えるべきです。

例えば・・・
大家族のAさんちでは、ずーっと前から洗濯機がもう1台欲しいと思っていました。いよいよ買おうと思って電器店に見に行くと、10万円の洗濯機の他に、5万円の乾燥機があり、セットで買うと13万円にしてくれるそうです。

「いまお使いの乾燥機もそろそろ買い替えなきゃいけないのでは?セットで買うと2万円もお得ですよ」と店主は勧めます。

でも、Aさんは10万円ほどしか用意してなかったので、あと3万円は何かを削って調達せねばなりません。帰宅して家族と話し合いました。

長男「来年になったら僕は県外就職するので、僕の分の洗濯はなくなるよ」

長女「私も看護学校の寮に入るから、私の分も減るはずよ」

妻「それなら、洗濯機はもう買わなくていいわね。今ある1台で間に合いそう。それより、確かに乾燥機は新しいのが必要かも。今のはかなり古いから、電気代がかかり過ぎてる。買い替えた方が良さそう」

Aさんも「なるほど!」と納得して、結局5万円の乾燥機を買うことにしました。結果、足りないどころか、5万円のおつりがきたので、それは2人の子どもたちの引っ越し費用の足しにすることにしましたとさ。めでたしめでたし。

石木ダムを造るという前提で考えると445億円でも安いとなるのでしょうが、その前提を外せば、445億円もかけてダムが必要なのか?という根底からの見直しができます。

必要なところに必要な金額を!

何が必要で何が不要か、行政も市民も、常に勇気をもって見直したいものです。自分ちの家計簿なら常にやっていること。難しいことではないはずですが…

デモタイが取材?!

昨日、YouTubeにアップされたこの動画をぜひご覧ください。

制作、配信は「デモクラシータイムス」です。

「石木ダムは造らせない」~抵抗の半世紀を生きて~

現地で闘い続ける住民の話にじっくり耳を傾けるだけでなく、支援者や、強制収用に反対する議員連盟の代表(当時)や、なんと石木ダム推進派(石木ダム建設促進佐世保市民の会会長)にもしっかり話を聴いています。

推進派の市民が、これほど長く丁寧に語っているのは、私も初めて見ました。
貴重な記録です。
ジャーナリスト高瀬毅氏の手腕は無論ですが、取材に応じてくださった寺山会長にも感謝したいと思います。

 

寺山会長:できれば速やかに退去してもらって、そこにダムができるのが望ましい。工期がまた3年延びたようだが、待ちます。今まで待ったんだから。

高瀬氏:なぜそこまで?

寺山会長:水不足は佐世保市が抱えている深刻な問題だから。過去に大変な苦労をしてきた。このところ水が止まらないのは幸いにも天候がうまくいっているから。いま下水道工事をどんどん進めている。水洗トイレが多くなると水の使用量は多くなる。減っていくなどというのは考えられない。

高瀬氏:データを見ると、水の需要も人口もどんどん減っているようですが、それについてはどのように?

寺山会長:その辺はわかりかねます。

その辺のところを寺山会長と一度じっくり語り合ってみたいな~などと思いながら私は聴いていました。
皆さんも30分ほどお時間のある時にぜひクリックしてみてくださいね。

ところで、「デモタイ取材旅」の「デモタイ」というのは、「デモ隊」ではありませんよ。
デモクラシータイムスの略。

元朝日新聞編集委員などを中核に3年半前から独立系ニュースメディアとしてスタートし、現在7万人近い登録視聴者がいるそうです。毎日、なにがしかの番組を配信し、すでに1000本近い番組を配信しているとのこと。
覗いてみませんか。サイトはこちらです。
https://www.youtube.com/channel/UCIIhko3gMRId9cCteX1eu-Q/videos

佐世保市民の生の声を聞きたい

新聞投稿欄でそう呼びかけたのは一人の長崎市民。職業はカトリック神父。テレビのドキュメンタリー番組を観て、「今どき、このような人権侵害の公共事業が許されるのか」との疑問を抱かれた。

その番組はこちら。

NBC長崎放送

9月22日(火)「ダム予定地に生まれて」

https://www.nbc-nagasaki.co.jp/tv-topics/200955/

視聴者の心に何かを残す作品で、反響が大きいからか、複数回放映された。今回で3回目かな?何度見ても心が揺さぶられる。初めてご覧になった神父様なら尚更だろう。そして、率直な思いを綴られ、最後にこう問いかけた。

「今、佐世保の市民たちはどう考えるのだろうか」

 

客観的に理路整然と書かれているのに、私は、何故かいきなり頬を打たれたような衝撃を感じた。書かれていること全てがその通りなので、あまりにも明確に突きつけられ、一瞬叱咤されているように感じてしまったのだろう。

しかし、決してそうではない。この方は私たち佐世保市民を非難しているのではない。素朴に知りたいのだ。本当に市民は石木ダムを望んでいるのか?と。行政側ではなく、市民の生の声を聞きたいのだ。

この記事を見た佐世保市民が、一人でも多く、答えてほしい。正直な思いを。この声の欄に。あるいはこの方へ直接。あるいは自分のSNSで。

少なくとも自問自答してほしい。私はどう思っているの?と。

続く闘争 見通せぬ解決

収用から1年の特集記事の第2弾。https://this.kiji.is/680586847587992673

1面の大見出しは「続く闘争 見通せぬ解決」だった。


なぜ闘争が続いているのか、なぜ解決が長引いているのか、考えながら読んでほしい。

23面はほぼ全体が石木ダム特集記事で埋め尽くされ…https://this.kiji.is/680584265152087137?c=174761113988793844


これでは読み辛いので3つに分割して貼付ます。


治水面でも利水面でも、推進派と反対派の主張は平行線で噛み合わないことが書かれている。

こちらは裁判に関する経過のまとめ。


これまでの判決の全てが住民側すなわち反対派の敗訴となっている。この記事を見て、多くの人が、やはり行政側が正しかったんだね、と思うかもしれない。私も昔はそうだった。裁判官は正しいと思い込んでいた。だって、正しくない判決で、無実の人が死刑になったりしたら大変だから。たまには冤罪事件もおきるかもしれないけど、それはごく稀で、ほとんどの判決は正しいのだろうと単純に思っていた。

しかし、刑事事件と民事事件は違う。まして、行政訴訟というヤツに至っては、ほとんど住民側に勝ち目はないことを数年前に初めて知った。(勝率は1割以下)
国や県など行政を相手に住民が裁判に訴えても、裁判官は行政のプロの主張より素人の住民の主張の方が正しいなどという勇気はなかなかないだろうし、プロの間違いや誤魔化しを見抜くにはよほどの能力と努力が必要かもしれない。その上、国の怒りを買うような判決を出して飛ばされた事例をいくつも見聞きすれば、忖度感情が無意識に働いてしまうことも大いにありそうだ。

その結果、私たち原告にとって不当判決が出され続けているが、私たちは決して諦めない。却下されても控訴し、再び却下されても上告し…と挑戦を続けている。これは私たちの権利を守る闘いなのだから、諦めるわけにはいかない。

米国の人種差別抗議デモ、香港の民主化デモと本質的には同じ。国家や法律の不当性に気づいても泣き寝入りしていては状況は変わらない。何とか良い方向に変えようと必死に抗議する人々がいる国は健全だと思う。

来年の9月、新聞にはどのような見出しが躍っているだろう。
それは知事の決断次第。
賢明な判断で、こうばるの持続可能な未来への扉を、開いて頂けると信じたい。

強制収用から1年

昨年9月19日、県はこうばる住民の土地を全て強制収用した。それから1年という節目に長崎新聞が特集した記事です。https://this.kiji.is/679897718457173089

団結小屋…10年前は6人いたおばあちゃんたちも、今では2人だけになってしまった。時々覗くとサカエさんもマツさんも笑顔で話してくれるが、寂しさは隠せない。「私もだんだん弱っていく気のするよ」これは体のことをおっしゃっていると思うが、それは座り込みに来るメンバーも同じ。

「変わらぬ日常」とは、一般県民の日常とは違う。県が始めたダム建設計画によって翻弄され、自分たちの暮らしを守るために闘い続けねばならなくなった日常である。

25面の記事には、川棚町民の想いや佐世保市民の想いも伝えている。

佐世保市民については、「将来を考えると必要なのだろう。現地の人たちには申し訳ないが」(70代男性)「水不足を感じることはない。でも貯水率は気になる。ダムの必要性もわからない」(20代女性)という2人のコメントが紹介されていた。

確かに、これは一部の市民の本音だと思う。私たちが街頭署名活動などしていても、そう話す人に出会うこともある。

しかし、そうではない本音、「もうダムは要らんやろ。いま足りとるのに。これからは人口も減るし。それより漏水を減らさんば…」という本音もよく聞く。その声を紹介しなかったのはなぜか?

これは、今年2月におこなったアンケート調査。記者が市民の声を拾った同じアーケード街で。ダムは「必要」18%、「不要」53%、「わからない」29%でした。

一昨年、同じ長崎新聞がおこなったアンケート調査でも、佐世保市民に限ると「不要派は47,4%」と書かれています。

この人たちの声も拾って欲しかった。

佐世保市民「将来必要だろう」

この小見出しは残念!それはあくまでも、一部の佐世保市民の声であることを知ってほしい。全文を読まず、見出しだけインプットしてしまう読者も多いのだから。。

 

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