「市民による石木ダム再評価」を実施します!

 

「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」が、なんと、自ら『石木ダム再評価監視委員会』を開催することになりました!

1週間後の7月15日です。まもなくですね。

場所は長崎市立図書館の新興善メモリアルホール。

会場の広さの関係で、傍聴の定員は50名、先着順です。

遠くの方はオンラインでも傍聴できますが、事前申し込みが必要なので、QRコードから入ってくださいね。

 

事業着手から半世紀となる石木ダム建設。何度も工期延長を繰り返し、いつまで経っても完成しない事業が、本当に必要性があるのか無いのか、今度こそ公正な真っ当な再評価をしてほしいとして、同市民の会は、ダム事業に関する専門家(河川工学、水資源、環境等)を交えて審議することを県に要請したのですが、受け入れられませんでした。

20240628 県の回答

つまり、県の公共事業評価監視委員会には既に様々な分野の専門家がいるので、「個別事業の特性に応じた専門家を委員とする考えはない」との回答です。

しかし、『長崎県公共事業評価監視委員会運営要領』

https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2024/03/1709526108.pdf

の「第8 委員会の運営」には、「事業の特性に応じた判断や技術的判断のために、委員会の承認を得て、外部の専門家等の意見を聞くことができるものとする」と書かれています。

任命まではしなくても、専門家の意見聴取が必要だと思えば、お招きすることはできるのです。

また、同委員会の方から、専門家を招いて欲しいと県に要望することもできます。

さらに、同運営要領には「委員会は必要に応じて…現地調査等を実施するものとする」とも書かれており、それについても委員会に要請しましたが、受け入れていただけませんでした。

 

長崎県も長崎県公共事業評価監視委員会も、専門家の意見も現地視察も必要無い、ということのようです。このままでは今回も形だけの再評価で終わってしまいます。

そこで市民の会は、もはや市民自身の手で真っ当な再評価をやるしかない!と決断し、専門家の方々のご協力の下、「市民による石木ダム再評価監視委員会」を開催することとなりました。

 

市民による委員会は少なくとも2回開催する予定です。県が行なう再評価の前と後です。

1回目は、これまでの再評価を踏まえて何が問題だったかを整理し、今年度の再評価で審議すべき課題は何か?注目すべきポイントは何か?委員の皆さんに議論して頂く予定です。

そして、それをまとめて、県や佐世保市、県の公共事業評価監視委員会に提出し、そのポイントについて審議して頂きたいと願っています。

2回目は、県の再評価委員会に提出された県の資料や審議内容について、市民の委員会で分析評価する。そして、後日それをまとめたものを意見書として県に提出する予定です。

ぜひ、多くの方の傍聴参加をお待ちしています。

 

と同時に、同市民の会では、『市民委員』も募集しています。

専門家がどんなに正しい意見を述べていても、それが聴いている一般市民に理解されなければ目的は果たせません。一般市民も委員として同席し、専門委員の説明に疑問や意見があれば述べてもらいたいと考えています。

チラシに書かれているるように、長崎県民で石木ダムに関心のある方ならどなたでも応募できます。名前や住所など明記の上、「石木ダム・ここが知りたい」という内容の文章を添えて、事務局までメールかFAXでお送りください。12日締切りです。

○オンラインでの傍聴申込はこちらから
https://x.gd/TOKQa

○市民委員の申し込みはこちらから
https://x.gd/Sig2n

または事務局までお申し込みください

メール toto29@kd6.so-net.ne.jp
携 帯  090-7456-2929(井上敏彦)
FAX 095-870-3034

 

奮って、ご応募ください。

お待ちしています! (*^▽^*)

 

求められる知事の政治決断

長崎新聞は今日の『論説』で、知事に政治決断を求めている。

行政代執行か、事業断念か。

何故なら、「解決の道筋が見えないまま、県と住民が対峙し続ける現状は不幸でしかない」「現状は過去の県政の積み重ねの結果」だから。

それは多くの県民が同意するところだと思う。

しかし、知事に丸投げであっては無責任だ。私たち県民の無関心が、歴代の知事たちの決断を先送りさせてきたことも反省すべきだ。

「問題の本質から目をそらしている」

問題の本質とは何か?やはり、今、そしてこれから、この石木ダムが本当に必要なのかという見極めだろう。

「長年にわたり事業継続の理屈を重ねれば重ねるほど、その信憑性は揺らぐ一方だ」

半世紀経っても、ダム堤はまだ1mmもできていない。その現実が事業の意義の乏しさを証明しているのではないだろうか。

いずれにしても、今回の石木ダム再評価は、ますます重要となってきた。科学的で公正な審議を行なって、知事の判断を助けることができるかどうか、注目したい。

石木ダム再評価って何?

いま進行中の6月議会で、県議会でも佐世保市議会でも、石木ダム再評価について話題になっています。

再評価?何それ?と思った方も少なくないかな・・

それはね、長―く続いている公共事業が、果たして本当に必要なのか?現時点において、そして未来においても必要なのか?それを見極めるための評価です。

そして、その評価の結果、今はもう必要性がほとんどないよねということが判明したら、その事業は中止して、その予算を、もっと必要なところに投入することができるのです。

それが公共事業の再評価制度で、5年に1度実施することが義務づけられており、それをしなければ、国からの補助金はもらえません。

そんな大事な再評価が、今年度石木ダムについて行なわれるのです。

しかも今回は、工期の延長や事業費の増額が決まるかもしれない、さらに重要な再評価です。公正に慎重に審議してもらいたいものです。

しかし、再評価の実態は、残念ながらそんな希望とはほど遠いものです。何故でしょう?

その事実や背景を指摘し、本当に有意義な再評価を実施していただくための請願を佐世保市内の4団体が請願書を提出しました。
20240605佐世保市議会への請願書

その請願についての委員会審議が下記の要領で行なわれます。

4団体による趣旨説明も行ないます。よかったら傍聴にいらしてください。どなたでも傍聴可能です。!

日時:7月2日(火)10:00~

※ 傍聴希望者は9:50までに市役所3階の議会事務局で、傍聴の申し込みを済ませてください)

問い合わせ連絡先:090-6171-5810 michi30@hyper.ocn.ne.jp

 

「清流をまもる未来をまもる」3.23講演記録 DVD完成!

「清流をまもる 未来をまもる」集会開催からちょうどひと月が経ちましたが、未だにあちこちで、あの時の講演が話題になっています。

「ホントにわかりやすく説得力があった」「計画の根拠となるデータの杜撰さを知りビックリ!目が覚める思いがした」「貴重な機会を作っていただいて有難う!」

「県職員や議員さんにこそ聴いて欲しかった」等々。

そこで石木川まもり隊では、3人の講師(今本博健さん、宮本博司さん、細谷和海さん)のお話しを収録したDVDを作成しました。講演資料と併せて、ご覧ください。

●講演DVDの申し込みはこちらからお願いします。
https://forms.gle/p8n5Q8MrQv2D7prW6
石木川まもり隊・DVD係(今村) kokuzou608@gmail.com

●特にご希望の多かった宮本さんの講演録は文字起こしもしています。以下のURLでどなたでもご確認いただけます。
・宮本博司さん講演録(WORD版)https://docs.google.com/document/d/1uB3i-4_dRt1IzRkYsZWaBE_ftFeknaDo/edit?usp=sharing&ouid=115014757093609931199&rtpof=true&sd=true
・宮本博司さん講演録(PDF版)https://drive.google.com/file/d/1dTOHvfUFiuN67HyQfPcl–Lf4OtDkRO0/view?usp=sharing

●まもなく発行予定の滴51号にも今回の講演について詳しく報告しています。
『滴』の申し込みはこちらからお願いします。https://forms.gle/vmhaVYD4AmMKZTYd8

●なお3人の方の講演動画はYouTubeでも公開しています。

○今本博健さん 「水位計算による川棚川治水への石木ダムの効果についての検討」https://www.youtube.com/watch?v=OCJPiSmWN6s

○宮本博司さん 「ダムで命と清流は守れるのか?」https://www.youtube.com/watch?v=GyPNC4bco6I

○細谷和海さん 「シーボルトが見た日本の水辺と石木川の魚類生態系の魅力」https://www.youtube.com/watch?v=J_M5YcTiP1c

「清流をまもる 未来をまもる」報告 第2弾

3.23「清流をまもる 未来をまもる」集会報告、第2弾。

この集会、そもそもは国会議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」の企画によるものでした。

同議連は、公共事業の問題点をチェックすると同時に、グリーンインフラを強化しようと、昨年12月に誕生しました。最初の視察地として、選ばれたのが石木ダムと川辺川ダムです。

先日は講演会についてのみ報告しましたが、今日は、議員の皆さんからのお話や、地元からのメッセージ、記者団からの質疑応答等について、ご報告します。

 

プログラム順にいくと、オープニングは、6年前こうばるを訪れた加藤登紀子さんからのメッセージでした。

戦後の日本は、大きなお金と何十年という時間をかけて、出来上がったときにはもう無用の長物になってるようなものをたくさん作ってきました。しかも、それを作ることによって失うものはとても大きい。そういうダムを作っていいのかということを、石木ダムを通して、日本中の人に訴えほしい。気候変動などいろんな角度から地球の状況を受け止めながら、一緒に、いい未来を築いていくための議論を進めていただきたい。

また機会がありましたら、こうばる地区で皆さん一緒に楽しい語らいができるように、そしてホタルも一緒に見られるように願っています。

 

続いて、地元住民の岩下和雄さん川棚町の道路沿いに「石木ダムは川棚町の礎」(町の発展には石木ダムが必要)という看板が立っています。そうでしょうか?自然を壊してダムを造れば、上流地域は過疎地になり人口減少が加速します。

一方、ダム建設予定地には多くの空き地がある。宅地にも田んぼにも畑にもできる。今の若い人の中には田舎に住みたいという人も多くいる。また、広い空き地を利用して企業を誘致すれば職場も増える。ダムを造らなければ、若者や企業を呼び込むことができるのです。

将来の川棚町の発展と未来の子どもたちのために、豊かな自然を活かすまちづくりを進めてもらいたい。そのためには多くの声が必要です。皆さんの声を県に伝えてもらいたい。よろしくお願いします。

この後3人の講師による講演が続き第1部は終了。

休憩時間には『川原のうた』の歌声が流れ、スクリーンには、こうばるの美しい風景のスライドショーが上映されました。

第2部の最初は、佐世保市民で石木川まもり隊の松本美智恵です。石木ダムの利水問題(佐世保市の水事情)について報告しました。

水需要は減り続けているのに、佐世保市(水道局)は常に渇水の危機を訴えています。昨年の1月もダム貯水率が50%台となり、3月まで渇水対策本部を設置して、市民に節水を呼びかけました。

しかし、調べてみると、50%台だったのは南部だけで、北部は常に80%台でした。

不足しているところに余裕有るところから水を供給できる、そのような融通システムを構築することです。

また、それでも足りないときには佐々川があります。県は、佐々川には水利権が張り付いていて流量に余裕は無いと言うのですが、調べてみると、その水利権の中には、ほとんど使われていないものや、既に返上されているものもあります

このような遊休水利権を水道用水に転用することで、お金も時間もかけずに、佐世保の「水源不足」は解消するのです。新たなダムなど要りません。

 

続いて、議員からの報告。6人の議員が登壇しました。

山田勝彦衆議院議員国交省も環境省もいま重視しているのはグリーンインフラ。人と自然が共生する生き方を尊重した公共事業を目指しています。にもかかわらず、50年以上も石木ダム建設に拘り続けている長崎県と佐世保市、おかしいんじゃないでしょうか。

昨年、国土交通委員会で石木ダム事業費について質問しました。建設費285億円のうち既に203億円が執行済みだと言う。本体工事は全く進んでいないのに、残り82億円でダムができますか?改めて事業費について検証すべきではないでしょうか。

今年は石木ダム再評価の年です。御用学者による一方的な評価に終わらないよう、民主主義の力で一緒にチェックしていこうではありませんか!

嘉田由紀子参議院議員昨日の国土交通委員会で、先ほどの今本先生の資料を使って質問しました。これでも石木ダム造るんですか?と。答は「長崎県が必要と言っているから必要です」と。ホタルやシーボルトの魚と共に、何百年も暮らしてきたこうばるの里を強制収用して、そこで暮らしている人々を追い出してしまっていいんですか?

いま日本の公共事業は四重苦です。1つ、温暖化等による災害の増加。2つ、老朽化。3つ、人口減少。4つ、財政難。佐世保市水道の耐震化率はわずか25%です。ダムを造っている場合ではありません!宮島市長の考えを変えるよう、皆さん、頑張っていきましょう!

野田国義参議院議員政治とお金の元凶は何か?止まらない公共工事にあります。私は国会議員になる前は、福岡県八女市の市長を4期やっていましたが、その前は道路族で有名な古賀誠さんの秘書をやっていた。私にもいろんな誘いがありました。皆さん、公共工事は利権です。いま問題になっているパーティ券、それを買うのは公共工事をしたい人たち。無駄な公共事業がなくならないのは、そこにある。

一方必要な公共工事もある。既に造られたものの維持管理です。老朽化対策にこれからどれくらい必要なのか?200兆円だそうです。それを30年間かけてやるとすれば、1年に約7兆円となる。国交省の予算はいま年間7兆円だ。本来は維持管理費だけで全て使い果たされるということ。無駄な公共事業は一刻も早く止めなければなりません!

堀江ひとみ県議会議員私は5期目で、17年間石木ダム反対を言い続けています。県議会には46名の議員がいますが、反対は17年前は私1人でした。今は3名が反対しています。諦めずに、石木ダムは止めようという声を広げていただきたいと思います。

今年は石木ダム再評価の年です。費用対効果、いわゆるB/Cは再評価の度に下がっています。先ほども山田議員が話されたように、事業費の増額は必至です。再評価の現状は、県が選出した委員により、県が提示する資料によって審議されます。あのようないい加減な資料で認められていくんです。ここをなんとか改革していけないか、皆さんと共に諦めずに頑張っていきたいと思います。

小田徳彰佐世保市議会議員佐世保市議会33名の議員中、私を含む3名が石木ダム予算に反対しています。その他の議員はみな賛成です。昨年末IRが不認定になりました(その結果、将来の水需要が減って石木ダムの必要性はより低くなった)が、「IRが無くなったからこそ石木ダムは是が非でも造らなければならない」と、わけのわからない発言をする議員もいます。(何が何でも石木ダム推進という雰囲気)

佐世保市の人口は毎年3000人ほど減り続けています。節水機器も普及し、水需要は減り続けているのに、水道局はその現実を認めようとしない。今年は石木ダム再評価の年です。石木ダムがいかに不合理な事業であるか、その世論を盛り上げるために微力を尽くしたい。共に頑張りましょう。

炭谷猛川棚町議会議員私は地元こうばる地区の住民で、2期目の町議です。1期目は1人で石木ダム反対を訴えていましたが、昨年の選挙で反対派の議員が1人増え、現在は2人で頑張っています。しかし、昨年は水田への土砂搬入、用水路の破壊など、県のやり方は横暴極まりないものがありました。

今年1月には13世帯の1人であり、同級生でもあった石丸キム子さんが亡くなりました。大事なときには、いつもきちんと発言する人でした。県の職員に対し「説明責任があるでしょ!」と抗議していた姿が今も心に残っています。

川棚町議14名中12名がダム推進ですが、みな不勉強で県の説明を鵜呑みにしているだけです。むしろ町民の方が分っているような気がします。そのような民意を大事にして、皆さんと共に頑張っていきたいと思います。

 

議員の報告が終わると、講師の3人に再び登壇していただき、9人揃ったところで、質問コーナーの時間です。

 

長崎新聞(佐﨑記者):治水について今本先生と宮本先生にお尋ねします。事業者に対して、どういった説明や資料提供を求めているのか教えていただきたい。

今本氏:治水は論理であるべきで、それには客観的なデータが必要です。ところが、長崎県は驚くほど何もしていない。これだけの事業をするには雨量や流量を当然測らなければならないが、それをやっていない。平時の流量観測をやっていた時期はあるようですが、洪水時の流量を測っていません。また、先ほど川棚川を見ましたが、あちこちに土砂が溜まっていた。洪水が来たら溢れてくれというようなものです。ダムを造るよりも川の整備をしなければならない。それを優先すべきです。

宮本氏:事業を始めるときには、まず雨量計を付けねばならない。当初それがなかったからと、他所のデータを使っています。また、ダムを造るような河川計画のときは、ポイントごとの流量観測は必須なんです。モデルを検証するためには、その実測データが必要で、それがないと検証できない。まずは、ちゃんと測るべきです。それをせずに、押し通すようなことはやってはいけない。公共事業においてそういう無茶なことが通るのは恐ろしい。今年は再評価があるとのことなので、最大の山場だと思うし、長崎県はそれに真摯に取り組んでほしい。おそらく県の職員の中にも心に痛みを感じている人がいっぱいいると思う。その人たちが楽になるためにも、堂々と実態を把握した上で、県のトップには英断をくだして欲しいと思います。

次の記者が質問しようとしたとき、その前に、今本先生が宮本氏にマイクを向けた。

今本氏:宮本さんに聞きたい。貴方は若い頃こういうダムの査定をしてきたよね。いま、その立場だったら、このダムをどう査定しますか?

講師からの質問に苦笑いしながらも宮本氏はこう答えた。

宮本氏:私は30代の頃、毎年50~100本のダム計画を審査して、大蔵省に予算要求する、そんな仕事をしていました。だから、そういう計画の作り方は一応分っています。その私が、いま、長崎県から石木ダム計画書を持って来られたら、あの流域雨量の出し方を見ただけで、「長崎に帰ってください」と言いますよ。しかも、流量観測もしていないと言われたら、私ふだんは怒らないタイプなんですけど「いいかげんにしてくれ」「顔を洗って出直してくれ」と言いますよ。

NBC(長):工期があと2年で、事業費が残り82億円というこの状態でできるものでしょうか?また、あの規模のダムの本体工事はどのくらいかかるものでしょうか?

宮本氏:あと何億円かかるなどとは言いにくいが、今日現場を見て感じたのは、左岸は付替道路工事などやってますが、右岸は手つかずの状態です。本来ダム建設は付替道路工事が全部終わってから本体工事に入るんですよ。付替道路自体、あと2年でも終わらないのではないかな?

また、いま本体のダムサイトでボーリング調査をやっている。それは本来ダムの大きさや形を決めるときにやっておくべきことなんですよ。それを今日やっている!地盤に不安がありやっているのかもしれませんが、そうであれば、地盤改良工事の費用も予定より大きくなると思います。

毎日新聞(綿貫):国会議員の3名の方にお尋ねします。石木ダムに関する覚書について、行政だけでなく司法の場でも無視されてきました。こういう状態は今後もずっと続くのか、政権が変われば司法も変わってくるでしょうか?

山田議員:もう変えんば!今の司法は自民党政権に忖度しています。県は、地元の理解無しには進めないと約束した覚書を反故にしたまま工事を進めている。こうばるの皆さんが納得できないのは当然です。知事は、こうばるの皆さんと話し合いたいと思うなら、あの覚書を反故にした反省と謝罪から入るべきです。

嘉田議員:日本は三権分立していない。司法が政権与党に忖度ばかりしています。なぜなら判検交流(裁判官である判事と役人である検察官が、互いの職務を経験しあうために行なっている人事交流)という仕組みがあるからです。定年間近な判事など特別な人を除いては、どうしても行政・政権与党に不利な判決は出せなくなってしまっています。政権が変われば、この制度を廃止して、本当の三権分立を実現したいと思っています。

野田議員:長期政権は腐敗するんです。もう、シャッフルして変えねば。そして、知事や市長を変える。そのことが大事です。

会場から:国会議員の方にお尋ねします。日本は独裁国家ではない、一応民主主義国家なのに、13世帯を強制的に追い出してダムを造っていいのでしょうか?

嘉田議員:国会質問で聞きました。人が住んでいる、耕している、そこから追い出してダムを造った事例はあるのか?と。答は「ありません」。人権侵害なんです。あんないい加減な計画で、そんな非人道的なことをさせてはいけません。国会議員として強く思っています。

会場から:見切り発車してしまった公共事業でも、途中で止めたような事例は、これまでに無いのでしょうか?

嘉田議員:滋賀県知事の時代に6つのダムを止めました。その時の論理を作ってくださったのが今日の講師の今本さんと宮本さんなんです。これはやはりおかしいと、ダムを止めるために泡沫候補として知事選に立候補しました。その私を滋賀県民選んでくれたんです。だから、皆さんもそういう候補を選べばいいのです。ダムを止められるのは首長です。民主主義の力で変えましょう!

と、盛り上がったところで、時間となりました。

最後に集会宣言文案が読み上げられ、満場の拍手をもって採択されました。
3.23集会宣言文

私たちは、この集会で3つの成果を得ました。

石木ダム計画を止めるための鍵🔑(論理)と、仲間(専門家や議員)と、チャンス(再評価)です。

この成果を一人でも多くの人と共有できるよう、よかったら拡散してください。

よろしくお願いします。

 

石木ダムの治水計画は、あまりにも杜撰!

3月23日、川棚公会堂で開かれた「清流をまもる 未来をまもる」集会は3時間半に及ぶ長丁場でしたが、実に中身の濃い有意義なものでした。

加藤登紀子さんのメッセージに始まって、地元からの挨拶、第二部には国会議員3名、長崎県議、佐世保市議、川棚町議各1名による報告など、いずれも石木ダム問題解決に向けて頑張っている方々の熱意が伝わってきて、たくさんの元気をいただきました。

さて、メインは第1部の講演会です。
河川工学が専門の今本博健さん(京都大学名誉教授)、ダム建設に詳しい宮本博司さん(元国土交通省河川局防災課長)、淡水魚が専門の細谷和海さん(近畿大学名誉教授)、この3人の講師のお話は、いずれも貴重な内容で、ぜひ多くの方に聴いていただきたいと思います。

後日、YouTubeで公開しますが、まずは、簡単にまとめてみましたので、予告編のつもりでご覧いただければ幸いです。

講演1:今本先生のお話(講演資料:今本博健氏)をざっくりまとめると、

1.石木ダム計画の水位計算がおかしい
2.何故なら、水位計算に必要な粗度係数(河川の側面や底の粗さを表す値)の設定がおかしいから。
3.粗度係数が低下すれば水位は下がる。川棚川では1990年7月洪水のあと河川改修が実施されており、粗度係数は設定時より低下しているはずなのに修正されていない。粗度係数が設定値の0.8倍以下なら石木ダムは役に立たない。


4.仮に粗度係数が設定値のままでも、温暖化に伴う気候変動により、洪水の規模は増大する。気温が2℃上がれば、流量は1.2倍になると予測されている。そのときは石木ダムがあっても溢れ、「無用の長物」となる。

 

講演2:宮本氏のお話(講演資料:宮本博司氏をざっくりまとめると、

1.ダムは極めて限定的な治水対策である。
2.石木ダム計画の杜撰さにビックリ!
a. 計画雨量の算出がおかしい
通常はこのように、流域の3地点の平均値を求めるのだが、なぜか長崎県は、遠く離れた佐世保市の1地点の雨量の0.94倍に設定


それが妥当でないのは1967年の降水量を見れば明らか。佐世保の観測所の付近は150~200mmなのに、川棚では50~150mmだった。なぜ佐世保の0.94倍に拘るのか???

b. 洪水流出モデルの検証ができていない。
県の資料では石木ダムと山道橋の洪水ピークが同時刻となっているが、こんなことはありえない。なぜなら、到達距離が全く違うから。洪水到達時刻がずれると、石木ダムの効果は小さくなる。その結果、計画高水流量は1130㎥/sを超え、石木ダムがあっても溢れてしまう。

c.そもそも1/100の洪水流量は山道橋まで流れてこない。なぜなら、石木川合流地点より上流の河川整備計画は1/30なので、1/100規模の降雨があれば、上流で溢れてしまうから。まとめとして宮本氏が言われたことは、
この治水計画はあまりにも杜撰!
雨量観測も流量観測もやっていない。
●そのことにより雨量と流量の検証がされていない。
絵に描いた餅であり、こんな計画で立ち退きを要求してはダメ!


講演3:細谷先生のお話(講演資料:細谷和海氏
をざっくりまとめると、

石木川を含む川棚川水系は、シーボルトが世界に紹介した日本の淡水魚の模式産地の可能性がある。
シーボルトとビュルゲルが日本から持ち帰った魚類標本は1465個体もあった。

その模式標本の産地はどこか?長崎周辺と琵琶湖淀川周辺と思われる。
長崎周辺の具体的な川としては佐賀県の塩田川水系と長崎県の川棚川水系の可能性が高い。

中でも川棚川の支流の石木川をタイプ産地とするジャーナリスト(新村安雄)もいる。
シーボルトの川を標榜するなら、いま棲息しているシーボルトコレクションにある魚をトポタイプ(現存個体)として保全する必要がある。
淡水魚を保護するためには、河川の上・下流、本流・氾濫原、表層・浸透層をつなぐ回遊経路を保全する必要がある。
分類学の難しい話はよく分りませんでしたが、河川を含む里山の原風景を保存することが生物の多様性に繋がることは理解できました。

200年前のシーボルト時代の川の姿を留めている貴重な石木川にダムを造ることは、やはりあってはならないことではないでしょうか。

長崎県は、3人の講師の方々の忠告に真摯に耳を傾け、まずは治水計画を見直すべきです。

もうすぐ新年度。2024年度は石木ダム再評価の年です。今度こそ、結論有りきではない、真の評価ができるよう、しっかり取り組んでいただきたいと、心から願っています。

「清流をまもる 未来をまもる」講演会 ♥ のお知らせ

興味深い講演会のお知らせです!

近年、気候変動による自然災害のリスクが地球規模で高まっていますね。
日本でも想定外の雨量による豪雨被害が毎年どこかで発生し、治水対策の抜本的な見直しが迫られています。

そこで今回、ダムの効果を知り尽くしている元河川官僚の宮本博司氏と、石木ダムの治水効果を研究し続けている河川工学の専門家今本博健氏を講師とする講演会が開催されることになりました!

主催は県民有志による実行委員会で、共催として、超党派の国会議員による議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」もタイアップ!

安全で安心な、持続可能な未来のために、いま私たちは何をなすべきか、どんな選択肢があるのか、議員も市民も共に学び、考えていきたいものです。

川棚町民の方はもちろん、町外の一般市民県民にとっても、これからの治水対策や防災を考える貴重な機会となるでしょう。

また、もう1人の講師は、元魚類学会会長でシーボルト研究者でもある細谷和海氏です。ダム建設が予定されている石木川の魅力について、生物多様性やシーボルトとの関連も交え、興味深い話が聴けそうです。

講師の詳しい紹介はチラシ裏面にあります。


1人でも多くの方が参加されますよう・・このチラシや情報拡散にご協力いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!

長崎県三大悪政の1つが消えた!

今年も残すところあと数時間。
地球沸騰化時代に突入したと言われながら、対策は遅々として進まず、一方で紛争や戦争はどんどん進行し、子どもたちなど犠牲者は増えるばかり。

日本国内においても、平和憲法や民主主義がどんどん風化している。
国は12月28日、辺野古基地建設を進めるための手続きを沖縄県知事に代わって「代執行」した。国が地方自治体の事務を代執行するという異例の事態。防衛省沖縄防衛局は来月中旬にも、県が認めていない区域で工事を始めるという。

国は公益を声高に言うが、民意を無視した基地建設が公益と言えるのか?
国家権力が地方自治を踏みにじることが許されるのか?

同じことを長崎県がやっている。
公益のためと言いながら、反対する住民の想いや意思は無視して、ダム建設工事を強行している。
代執行の手続きはとっていないが、田んぼや畑を無断で破壊し工事用道路を建設するなど事実上の代執行を行なっている。

12月16日、佐世保市のアーケード街で「長崎県の三大悪政ストップ!県民集会」が開かれた。
三大悪政とは、石木ダム建設、カジノ(IR)、諫早湾干拓のこと。
冷たい雨が降る中、50人ほどが参加した。


ここで採択された集会宣言を22日、佐世保市長や市議会に提出した。

その5日後、国交省は長崎県のIR計画を認定しないと発表した。
私たちにとっては嬉しいニュース!
三大悪政の中の1つが解消されそうだ。
来年こそは石木ダムも…と思えるほど楽観的にはなれないが、希望だけは少し感じることができたかな。

カジノと石木ダムの共通点は、経済重視、今だけ重視、他者は軽視。
つまり、経済的な豊かさばかり追い求め、今を生きる自分たちが豊かであればそれでいい、この事業によって次世代や隣町にどれほどのリスクや被害が生じるかなど関知しない、そんな利己的な考え方が根底にあるように思う。

石木ダムの場合、国による認定はとっくに得ているので、カジノのように国の力で中止になる可能性はないが、だからこそ、市民県民がしっかり考えたい。水需要は減少の一途を辿っているのに、今さら新たなダムが必要なのかと。

水源が豊富だとは言わないが、日常生活に困らない程度の水源は既にある。何百億というダム建設費や維持管理費を将来世代に背負わせ、ダム建設予定地の自然と人々の暮らしを破壊してまでダムが必要かと。

誰1人取り残さない持続可能な未来を、子どもたちのためにも目指したい…

2023年大晦日

 

人口減少率第5位の長崎県に 石木ダムは要らない!

2050年には日本の人口は2020年と比べ、17%減少し、1億468万人ほどになるという。(12月22日、厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所発表)

減少しないのは東京都だけ。他の道府県は皆マイナスだが、その減少率は濃淡がある。30%以上の減少率が予測されるのは、宮城県を除く東北各県と新潟、和歌山、山口、徳島、高知、そしてここ長崎県。

こちらは、12/23付長崎新聞2面の表。

九州・沖縄地方では、沖縄県が一番減少率が低くて5.2%、次いで福岡が12.8%、その他の熊本、佐賀、大分、宮崎、鹿児島はみな20%台で、長崎県のみが33.8%の大台。長崎の減少率は全国で第5位の高さ。

長崎新聞の一面には県内21市町の推計値の表も。人口減少率50%を超える市や町が6つもある!

ここ佐世保市の減少率は31.8%の見込み。
3割以上も人口が減れば、水道使用量が減るのは必至!


「風呂は2日に1回? もう住めない? 水源地の水道料金、急騰の謎」

https://mainichi.jp/articles/20231221/k00/00m/040/366000c

こちらは、12月22日の毎日新聞記事。
水源はたっぷりあるのに水道料金の高騰で住民が悲鳴を上げているという愛知県新城市の話題。値上げの理由は人口減少。

人口減少で水道料金収入は減るが、老朽化した設備整備の更新に莫大なお金が掛るので水道料金を値上げせざるを得ない。
浦上教授が言うように「人口減少が進む日本ではどこでも起こりうる」こと。
同趣旨の記事は3年前にもあった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/12632ba0830ccd9e67572c5cf9b629d7a4af8fa3

こちらは横浜市の水道料金値上げの記事だが、その背景と対策を水ジャーナリストの橋本淳司氏が分りやすく解説している。

・人口減少+水道設備の老朽化→料金収入減少、更新費用は増加→水道料金値上げ
値上げ回避のため職員削減+業務の民間委託→既に限界・災害時に対応できない
見直すべきは設備水使用量減少→施設のダウンサイジング
現有施設を有効活用すること、大事に長く使うこと、無駄な設備を廃止していくこと、計画中の施設でも今後有効に使えないなら中止にすること。

どう考えても、今さら石木ダム建設はあり得ない!

知事の訪問に住民が応じない理由

「地元住民の声を聞こうともしない知事と会って話すことなどありません」
この張り紙は、こうばる住民が抗議の座り込みをしているテントに張られたもので、知事へのメッセージです。

「大石知事が11ヶ月ぶりに現地訪問」「住民側が拒否」「面会実現せず」
このような文言をテレビや新聞で目にした県民の皆さんは、どのように思われたでしょう。

・せっかく知事が訪問しているのになぜ拒否するの?
・張り紙には「住民の声を聞こうともしない知事」と書かれているけど、知事は声を聞きに来たのではないの?聞こうとしているんだから応じればいいのに…
・どちらも話し合いを求めているみたいだけど、どちらも相手が応じないと言っていて、さっぱりわからない。

こんなふうに感じた人も少なくなかったのではないでしょうか。
これまでの経緯をよく知らない方がそう思うのは当然かもしれません。
この機会に、これまでの経緯について、ぜひ関心を持ってください。事実を知れば、なぜこのような事態に至っているのか、ご理解いただけると思います。

昨年3月長崎県知事に就任した大石賢吾知事は、対話を重視する姿勢を示し、4月には住民と共にこうばるを散策し、「ふるさとは尊い」と語りました。
そのような知事に希望を感じた住民の皆さんは、8月と9月の2回、知事との話し合いに応じました。応じたと言うより、それは住民の皆さん自身の希望でもあったのです。

前知事中村知事には住民の方から何度も話し合いを求めていましたが、実現しませんでした。今度の知事ならちゃんと話を聴いてくれ、意見交換ができそうだ、そんな期待感が芽生えていました。

しかし、実際の話し合いは、これまでと同じで、県は県の論理で石木ダムの必要性を説明するだけで、住民の本当の疑問には答えようとしなかったのです。

例えば、治水面で言えば、県が想定する100年に1回の大雨が降ったとき、川棚川の山道橋付近では毎秒1400㎥/秒の水が押し寄せてくる。そうすると堤防から水が溢れ流域の家は浸水被害を被る。それを回避するためには、上流の野々川ダムで80㎥/秒、石木ダムで220㎥/秒の流量を減らす必要がある。

と県は説明するのですが、そもそも100年に1回の大雨というのが、降水量だけでなく、雨の降り方に様々なパターン(短時間でドバーッと降るとか、1日中満遍なく降り続くとか)があり、本当に1400㎥/秒の流量となるのか?これは過大すぎるという専門家の見解もあるのです。治水計画の基本となる数値が間違っていたら、ダムの必要性そのものが揺らぎかねないので、根拠が示されるまでは納得できませんよね。

また、利水面でも疑問はたくさんあって、住民側から多くの質問が出されたのですが、その話し合いの場に佐世保市が参加することはなく、県の職員が佐世保市の主張を代読するというごく形式的なものに終りました。

これでは話し合いの意味が無い。県や市の一方的な主張だけでなく、治水や利水の専門家も交えて公開の場でしっかりと議論したい、意見交換をしたいと住民の皆さんは求め続けているのですが、県はそれにはどうしても応じません。

それどころか、先日(12月5日)の県議会では、「我々としましては、今この時点においてダムの必要性を議論する段階ではないと考えております」との知事の答弁を聞き、住民の方はがっかりされました。

知事(=県)が求めている話し合いは、生活再建のこと。つまりダム建設が前提の話し合いであり、ダムの必要性について話し合いたいとの住民の要望は全く無視しています。
だから、「地元住民の声を聞こうともしない」と書かれてしまったのです。

知事、佐世保市長、あなた方には説明責任があります。
もう何回も説明したと言われるでしょうが、形だけの説明を何度やっても責任を果たしたことにはなりません。ダムのために犠牲を強いられる立場の住民側が納得する形の説明が必要です。
それは、公開の場で、地元住民だけでなく専門家も交えた、公正な議論の中で行なわれる説明です。

県も市も二言目には「ダムの必要性については司法の判断が出ている」と責任転嫁しますが、あれは「石木ダムの事業認定を取り消さなくてもよい」「石木ダム工事を差し止めなくてもよい」という判断に過ぎません。行政自らが改めて事業評価を行ない、石木ダム建設の是非を決めることに何ら問題はありません。

事業の見直しに遅すぎるということはありません。
大石知事と宮島市長の勇気ある行動を待っています。