学者証人、手法の妥当性を判断しただけ

1月9日午前11時、首都大学東京南大沢キャンパスにて、特任教授小泉明氏への証人尋問が行われました。

多忙で長崎まで行けないという証人のために、長崎地裁の裁判官3名、書記官1名、原告6名、原告側弁護団6名、被告側弁護団8名の計24名が証人のいる場所まで足を運んで実施された「出張尋問」です。

たいへん広い敷地の中をかなり歩き、理工系ゾーンの9号館に辿り着きました。

建物に入っていく当方原告と弁護団。

今回は佐世保市の平成24年度水需要予測にお墨付きを与えた学者への尋問なので、「何を根拠に、何を前提に佐世保市の水需要予測を良しと判断されたのか?」という視点での尋問となりました。

報告集会での弁護団の説明によれば、小泉教授は、
〇佐世保市から出された資料を見て判断した。
〇自分に求められた役割は需要予測の手法が妥当かどうかであり、それを判断したに過ぎない。
〇そのやり方で出てきた数値には関知しない。
と主張し、例えば、

生活用水について、当時一人一日189ℓであったものが207ℓになると予測したことについての結論に何ら責任を負うものではない、と説明。
その姿勢は業務営業用水や工場用水についても同様だったそうで、全く無責任と言うか、不誠実と言うか・・・呆れると同時に腹がたってきました。

また、負荷率(一日平均給水量から一日最大給水量を予測する際に使う率で、負荷率が小さいほど最大給水量は大きくなる)を担当した高橋弁護士によると、以下のようなやり取りがあったそうです。

高橋弁護士:
平成16年度予測では、負荷率を過去10年の平均値を採用し、
平成19年度予測では、過去10年間の最低値を採用し、
平成24年度予測では、過去20年間の最低から2番目の値を採用している。
佐世保市は負荷率を小さくするために、つまり欲しい数値を得るために、その都度条件を変えているのではないか?そういうことは許されるのか?
貴方が関わった大阪市の予測では、どうでしたか?

小泉教授:
覚えていない。

高橋弁護士:
そんなことはないでしょう?
大阪市は過去5年間の平均値を採用していますよね?

小泉教授:
大阪は大都市だからそうなったのだろう。
私は過去10年の最低値がいいと思ったが、他のメンバーの意見で云々・・・

高橋弁護士:
貴方は過去10年の最低値がいいと思うのですね?

小泉教授:
20年でも下から2番目を採用しているので、問題ない。
余裕をもって予測することは必要。
水が足りないと佐世保の経済は発展しないのだから。

高橋弁護士:
経済発展のためには、より多くの水があった方がいい。
そのためにダムを造りましょうと。
しかし、そこに住んでいる13世帯の人たちを追い出して…というのは少し乱暴ではありませんか?

小泉教授:
(沈黙の後)まあ、そうですね。

といったような展開だったそうです。(゚∀゚)
ここのところを裁判長はしっかり見ててくれてますように!
報告を聞きながら、そう願いました。

この報告会には、パタゴニア日本支社長や環境部の社員2名、そして、早稲田大学客員准教授の方も参加して、熱心に耳を傾けて下さいました。

また、前日8日には、日頃から石木ダム反対運動を応援して下さっている首都圏の強い味方の方々が集まってくださって、地権者の皆さんからの現状報告や、弁護団からの裁判に関する経過報告などに熱心に耳を傾けてくださいました。

スラップ訴訟のその後はどうなったのか?川棚町長はどういうスタンスなのか?議会の動きは?等々の質問も相次ぎ、お二人の国会議員(初鹿明博さん、大河原雅子さん、共に立憲民主党衆議院議員で公共事業チェック議員の会)からも力強いエールを頂きました。

八ッ場あしたの会の方からは、14日の総会で「ほたるの川のまもりびと」(20分バージョン)を上映し、講演の中でも石木ダム問題が取り上げられることなどのお知らせがありました。

わずか2時間半にも満たない証人尋問を目撃するためにはるばる現地から足を運んだ5人の原告(現地住民4人+佐世保市民1名)の皆さんは、2日間慣れない都会の雑踏を移動し、とてもお疲れだったと思いますが、関東の支援者の方々と直接語り合うことができて、熱い応援を肌で感じ、きっと新たな力と勇気を得られたのではないでしょうか?
帰路に就く皆さんの横顔には、そんな明るさが感じられました。

さあ、現地では、今日10日から抗議行動がスタートしています!

ご協力できる方は、今年もよろしくお願い致します。(‘◇’)ゞ

川棚町民、佐世保市役所前でチラシ配り

お正月気分を吹き飛ばすような冷たい雨の朝、佐世保市役所前には、20人ほどのメンバーが集まって、今年初のチラシ配りを実施。

「中村知事は人権侵害の石木ダム建設を即刻中止すべきです」というチラシを持参したのは「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」の皆さん6人。裏には、川棚や長崎で開かれた学習会の様子が報告されています。

このチラシは既に年末には川棚町役場前で配布、仕事始めの1月4日には波佐見町でも配布されました。


地元住民のHさん。願いを込めて手渡します。


こちらは佐世保市民。応援に駆けつけました。他にも12人の佐世保市民と長崎からも1人。総勢20名です。


こちらの佐世保市民はお子さん2人と参加です。


可愛い子どもたちに差し出され、オジサン達も嬉しそう?

受け取った職員の多くは足早に市役所の中へ消えて行きましたが、

中には歩きながら目を通す人たちも…

特に映画のチラシを見てる人が多かったです。


こちらは職員以外の通行人でしょうか?

どなたであれ、雨の中、チラシを受け取ってくださった約550名の皆さん、ありがとうございました!
クズカゴに入れる前に、チラ見でもいいので読んでほしいな~
じっくり読んで頂けたらなお嬉しい・・・

今年もいろんな形で情報をお届けしたいと思っています。

そして、しつこく問いかけていきます。石木ダムって本当に必要ですか?
一緒に考えていきましょう~

(‘◇’)

いしきを学ぶ実行委員会より次回の会合のお知らせ

2018年、新年あけましておめでとうございます!

今年も石木川まもり隊をどうぞよろしくお願いします。

さて、新年のご挨拶もそこそこに…

長崎市内で始まった石木ダムの学習会「いしきを学ぶ会」より、次回の会合の日程をおしらせします。

12/23に開催しました「いしきを学ぶ会」(石木ダム問題学習会)
実行委員会ですが、次回学習会のテーマは、石木ダム問題の
歴史を掘り下げて学習しようということになり、講師
として川原地区住民をお招きすることになりました。

次回「いしきを学ぶ会」実行委員会は1月7日(日)14:00
長崎市民会館第8会議室(6階)です。ご都合がつく方は是非、
ご参加ください。

 

水需要予測、根拠示せず

「今日はスカッとした。よくわからんけど、なんかスカッとした」
今日の報告集会で傍聴者の1人が発した感想です。
ドッと笑いが起こり、と同時に皆さんの表情は「同感!」

本日10:20から長崎地裁401号法廷では、当裁判のクライマックスとも言うべき証人尋問が繰り広げられました。証人は、田中英隆氏(佐世保市元水道局事業部長)、平成24年度石木ダム事業再評価における水需要予測作成の責任者です。

石木ダムの必要性は、治水面でも利水面でも根拠が乏しく合理性に欠けるのですが、特に佐世保の平成24年度水需要予測はムリヤリorデタラメorデッチアゲ感満載で、それをどう正当化するのか、みんな興味津々でした。

でも、優秀なお役人はわざと論点をずらして答えたり、持論を滔々と述べて時間稼ぎをしたり…今回もそうなるのかな~

しかし、今日は違った!
証人がスラスラ答えたのは、被告側尋問の時だけ。
原告側の尋問に入ってからは、「・・・」「覚えていません」「その頃は水道局にはいなかったので」「今は別の部署なので」などと、無言や逃げ。

当方の弁護士が「困りましたね。貴方では答えられないんですね」「貴方は責任者だったのでしょう?」「誰に聞いたらわかりますか?名前を教えてください」と尋ねる場面も。
もちろんそれに応じることはなく、「いえ、この予測は水道局全体で作成したものなので…」と拒否。
部下に責任を押し付けたくなかったのか、部下が出てきて答えたら不利になると思ったのか…?最後まで、その姿勢を貫きました。

何をそんなに窮していたのかと言いますと…

<生活用水について> 八木弁護士


委員会資料の中で、「渇水年は減少しているが、その他の期間は明らかに増加傾向を示している」と記載されていることについて八木弁護士は実績値を提示し、
H18年=193 19年(渇水年)=191 20年=188 21年=189 22年=190 23年=189
本当にそう言えるのか?と問うたのですが、「・・・」

また、「(佐世保市民は生活のための水使用を)我慢をしており一般的な受忍限界を超えている」と書かれていることについて、何を根拠にそう言えるのか?アンケート調査でもしたのか?との質問に、「調査はしていないが、市民の会からそのような声をたくさん聞いていたから」と返答。「一市民団体の声だけで貴方はそのように判断されたのですね」と指摘され「」。

実は、その「市民の会」は一団体などではなく、JAやPTAや、医師会、町内会連合会など29団体が加盟する大組織なのですが、証人がそのように反論しなかったのは、その「市民の会」が官製市民の会である(運営費は100%市の助成金(税金)で賄われ、事務局は市役所内にある)ということを指摘されるかもしれない、藪蛇になりそうなので止めておこう~との判断だったのではないかと思いました。

<業務営業用水について> 毛利弁護士


H24年度予測でもこれまで同様、米軍と自衛隊だけは大口需要に分類しているが、その予測値は過去の手法と違って過去の最大値を採用している。自衛隊に至っては昭和時代の実績値。その根拠を問われ、防衛省からの文書に「十分な水量の確保が必要」とあったことを紹介したが、「具体的な数量は書かれていなかったんですよね?なぜ過去最大値を取らなければならなかったのですか?」と追及され「」。

<SSKの工場用水について> 毛利弁護士
SSKの工場用水はわずか4年で4.88倍になると予測されているが、その要因は経営方針の転換(修繕船事業の強化)による水需要の増加によるもので、その根拠はSSKからの文書「水需要の将来見通し」だと主張する証人に、その見通しについて水道局として裏付けは取ったのか?との問いには「取っていない」。
さらに、この「見通し」は佐世保市の方から問いかけて出されたものであり、SSK側からこれだけの水が欲しいと言ってきたことはないですよね?との問いには、しばらく考えて、聞き取れないほどの小さな声「記憶にはありません」でした。

<負荷率について> 高橋弁護士


(負荷率とは給水量の最大と平均の関係を示すもので、負荷率が小さいほどが最大給水量は多くなる)
H16年予測では過去10年の平均値、H19年では過去10年の最低値を取っているが、H24予測では過去20年の最低値を取っているのは何故か?「ハウステンボスの再生、リーマンショック、2回の渇水などから過去10年ではデータの信頼性が乏しかったので20年に延ばした」との回答に、平成6年からの負荷率の推移を表したグラフを示し過去10年の最低値で良かったのではないかと迫ると、「原告側の見方も一理あると思うが、渇水のリスクを減らすためには…」「つまり80.3という負荷率が欲しかったのですね?」「

<保有水源について> 高橋弁護士
不安定水源とは何か?
水道法上の認可を受けていない水源
認可を受けられる条件は何か?
確実な取水ができること。取水量が安定していること。
水道法上本当にその様に定義されているのか?
……
慣行水利権は水道法上、認可の対象にならないのか?
わかりません
佐世保市はかつて三本木の慣行水利権を保有水源として認めていたが知っているか?
知りません
佐世保市の慣行水利権は許可水利権に切り替えられるのではないか?
できない。取水量に問題があり、届け出水量に達していないから。
では、安定水源のほうはいつも届け出水量に達していたのか?
(許可水利権と慣行水利権の取水実績のグラフを示し、どちらも取水量は一定ではなく取水率は似たようなものであることを確認)
渇水時に取れるかどうかも要件となる。
(H19渇水時の許可水利権と慣行水利権の取水量のグラフを示し、慣行水利権の取水量の方が大きいことを確認)
渇水時に不安定水源からの方が多く取水してるではないか?

どんなに実績を示してもその事実を認めようとしない元水道局事業部長への怒りがついにプチン!

そのようないい加減なことで4万tもの水が足りなくなるという予測を立て、地権者を追い出そうとしたのか?当時の責任者として、取水量が安定していなかったというデータを示せないのか?探せば出てくると言えないのか?

わかりません。

終わります!

次回は来年1月9日、東京で開かれる小泉教授への証人尋問。
そして、3月20日(火)に結審する予定です。

事業認定取消訴訟二回目の証人尋問が開かれます

明日です!長崎県石木ダム問題の裁判!
長崎地方裁判所で事業認定取消訴訟の証人尋問が開かれます。
第一回目の治水に引き続き、二回目の尋問に登場するのは田中英隆氏(佐世保市元水道局事業部長・平成24年度水需要予測作成責任者)です。
タイムスケジュールは以下の通りです。
12/25(月)
整理券配布9:30~9:40
9:40〜傍聴抽選
9:50~門前集会
10:20~尋問開始
17:00~裁判終了後報告集会(長崎地区労会館)
みなさん、傍聴よろしくお願いします。

質疑は一切ありません!

今日の毎日新聞が、昨日の佐世保市議会本会議で私たちが提出した請願58号が不採択となったことを報じています。

ここに書かれてある通りですが、一部興味深いやり取りもあったので、少し詳しく報告します。(あくまでも私の主観に基づくものですが)

まずはじめに、都市整備委員会の草津委員長が登壇し、各会派からの意見を読み上げ、「裁決の結果、賛成少数で不採択と決定しました」と報告。

続いて質疑に入りました。

山下議員:
請願者は趣旨説明の中で、本市の漏水量の多さ(年間漏水量は山の田ダム6個分、一日平均では市民5万人分の生活用水に匹敵し…)や、類似都市と比べても漏水率が高いこと(長崎=4.8%、呉=2.8%、佐世保=10.4%)、また昨年度のダム貯水率の推移を記録した県の資料(雨の少ない時期に佐世保の貯水率は県平均より高かった)など様々なデータを示し説明されたようですが、このような説明に対して、委員会ではどのような議論が展開されたのですか?
(山下議員は当時別の委員会に出席していたため、この当ブログ12/15掲載記事を引用し質問)

草津委員長:
いま山下議員が縷々述べられた通りのことについて請願者からの説明があり、それを我々は全員きちんと聞かせて頂きましたが、それに対する質疑は一切ございません!

このきっぱりした言い切りにとても興味を感じました。その心は?
a.説明は聞きましたよ。聞いたからそれでいいでしょ!
b.説明内容は間違っていなかったので、悔しいけれど誰も突っ込みができませんでした!
c.誰かがきちんと受け止め質問してほしいと思っていたが、残念ながらありませんでした!
など、委員長の胸の内をつい想像してしまいました。
どれかな~?

実際には質疑はあったのですが、提示したデータについての質問は確かに一切なく、それがとても残念でした。このような事実を議員はどう受け止めたのか?それを知りたかったです。

本会議では続いて討論に入り、2人の議員が賛成意見を述べました。

永田議員:
請願者は請願に至った根拠として28年に市が行った市民意識アンケート調査の結果をあげています。「水の安定供給」を達成するためには、水源確保よりも水道施設の更新整備を求める声が多かった。また、漏水対策を当局が頑張っているのは認めるが、類似都市と比較するとかなり高い。佐世保の10.4%に対して呉市は2.8%だった。つまりまだまだ改善の余地があるということ。
お金も人も無限ではない。石木ダムにかけるお金を老朽化対策に使えばもっと漏水が防げる。という趣旨でした。
 委員会では水源確保と更新整備は一体であるとの意見が示されました。車の両輪のようなものだということ。しかし、石木ダムは遅々として進んでいない。裁判も始まっているし予算の執行率もごくわずか。つまり片輪しか進んでいない。それならば、確実な水源確保に繋がる漏水対策に石木ダム予算を回すべきという請願者の意見は検討に値する。
 さらに言えば、回っていない車輪を力ずくで回す、行政代執行のような強権的なやり方は市民の支持は得られない。請願者の訴えは多くの市民の声を反映するものであり、市の現状を踏まえた政策の見直しを求めるものです。

山下議員:
この請願は佐世保市自身がおこなった市民アンケートの結果に基づいてなされています。「水の安定供給」は重要な課題だという認識は共有し、それをどういうふうにやっていくかという点で、石木ダムよりも水源施設の更新整備に力を入れるべきとの声が圧倒的に多かった、それに沿った請願です。行政はこのような市民の声を重く受け止めるべきです。
 また、委員会ではダムの改修のためにダムを空にしなければできないという話だったようですが、それは違う。国交省もダムを運用しつつ改修すべきとの方針を出しているし、下の原ダムの嵩上げの時は空にしなかったじゃないですか。そして、嵩上げの結果、日量3000tの新たな水源を確保できたではありませんか。
 いま確実にできる水源確保は漏水を減らすことです。10%台の現状から長崎市並の4%台を目指してやっていくべきです。

そして採決。結果は予想通り「賛成少数」(社民党3・共産党1のみ)で不採択となりました。が、お二人の発言のおかげで、少しは胸の奥底で迷いを感じた議員さんもいたのではないでしょうか…?

永田議員の「車の両輪」という視点、なるほどですねー
山下議員の、請願者が示したデータをなぜきちんと取り上げ議論しないのか?

その通り!
立場が違っても結論は違っても、互いに向かい合うことが大事。
市民も議員も佐世保の未来を良くしたいという願いは同じなのですから。。
              
         (*^-^*)

「いしきを学ぶ会」実行委員会

12月9日「いしきを学ぶ会」にご参加いただいた皆様

川棚町民や佐世保市民らこの問題の当事者が講師となって
語る石木ダム問題学習会「いしきを学ぶ会」。80名近くの
ご参加をいただき、大成功となりました。

「とても分かりやすい」「深い理解が出来た」「県のやり方に
怒りを覚える」「もっと学習会を開いて欲しい」というアンケート回答がありました。また今後の長崎市内での学習会の
実行委員にも10名以上の人が名乗りを上げてくれました。

県庁所在地でこれだけの人が関心を示したということ、
長崎県にもかなりのインパクトを与えたと思います。

学習会参加の呼びかけなどのご協力、ありがとう
ございました。

次回開催に向け、下記の通り実行委員会を開催します。
皆さんのご参加をお待ちしています。

日時:12月23日(土)14時
会場:長崎市民会館地下第7会議室(長崎市魚の町5-1,095-825-1400)
議題:12月9日「いしきを学ぶ会」の評価・反省
   次回「いしきを学ぶ会」の時期・内容
問合:080-3999-9928土森

都市整備委員会にて請願不採択

昨日お知らせした都市整備委員会について、夕方のTVニュースでも取り上げて頂きました。

私たち4団体が提出した請願「新たな水源確保より、水道施設の更新・整備に力を入れてください」は、予想通り不採択になりました。

請願文書はこちらです。

【請願】2017年12月 水道施設の更新整備を求める請願

ここに述べているように、昨年佐世保市がおこなった「佐世保市まちづくり市民意識アンケート調査」の結果によると、「水の安定供給」に対して、市民の多くは満足していることがわかりました。

満足度は33.7%で、37分野の中で第5位の高さです。
一方不満足度は11.5%で、第29位という低さでした。

また、水の安定供給」に対する重要な施策としては、
「水源の確保」36.3%に対し、「水道施設の更新・整備」63.1%でした。

この結果から見えてくる市民の願いは、
新たな水源確保よりも水道施設の更新・整備であることは明らかです。
それは何故でしょう?

近年、老朽管による漏水事故が頻発しているからです。
一昨年は老朽化による水道管破裂事故とそれに伴う断水が3件もありました。

1月潮見町で160世帯断水、4月天神町で2500世帯断水、12月には藤原町で500世帯が断水しました。

そして昨年は大寒波が引き起こした給水管破裂事故による断水が7,200世帯に及び、復旧に1週間もかかりました。
この時は各家庭の給水管がほとんどだったようですが、いずれにせよ、
市民は水道管の整備が重要なことを身に染みて感じたのです。

また、断水にまで至らなくても、日常的に漏水が続いています。
それは、とてももったいないこと。
老朽管の更新は避けて通れません。老朽化したものは早めに替えれば漏水を防げます。
私たち市民はそういうことにこそ水道料金を使ってほしいのです。
新たな水源確保などそれほど望んでいません。
もう水は安定的に供給されていますから。
そういう思いが、このアンケート結果に示されているのです。

などと趣旨説明をしたのですが…
討論での委員の皆さんの意見はこうでした。

北野委員(緑生クラブ)
・水道施設の更新整備に対する当局のこれまでの取り組みを評価している。
・水道施設の抜本的な更新のためには、安定的な水源の確保が必要である。
との認識から請願については反対である。

橋之口委員(市政クラブ)
・水源確保と水道施設の整備はセットであると考えているので賛同できない

永田委員(社民党)
・水道局が更新整備に力を入れているのは理解している。
・水源確保は石木ダム中心に話が進み、広がりがない。
・石木ダムは代執行には至らないまでも強制収用はされている。
市民全体としてはそこまでしなくてもいいのでは?という雰囲気を感じる。
・水源確保の重要性は認識しつつも、このような現状や費用対効果を考えると、
方向性の見直しの必要があるのではないか?
・決算でも石木ダム関連は16.9%しか執行していない。
執行残の部分を他の予算、漏水対策などに使えれば…という思いはわかる。
・硬直化した政策の見直しを求めるこの請願に賛成する。

柴山委員(市民クラブ)
・水の安定供給は水源不足の現状を考えれば重要な問題であり、水道局では漏水対策に毎年力を入れている。そのおかげで漏水量は年々減っている。
・下ノ原ダム以外の5つのダムは老朽化しており、改修の際には運用を停止する必要がある。しかし、現時点ではそのような余裕もなく、新たな水源が必要であることから、この請願には賛成できない

永山委員(自民党)
・漏水に関しては、平成19年当時約1万tあったものが現時点では7千tを切っている。
・相浦川の三本木、四条橋、岡本、川棚川の5000tはあくまでも不安定水源である。県からの許可が得られない水源である。渇水でどうしても水が必要という場合には、不安定水源の力を借りなきゃいけないが、より安定した水源を求めていくべきである。
・漏水の防止という施策と水源確保は一体であると考えているので、不採択である。

明石委員(公明党)
・漏水対策は大切であるし、S49年度以降200億円以上を投じて漏水量を半分以下にしている。
・請願者も確かに過去には水不足の時期があったと言われたが、今後もその様なことが有り得ると考えて水源を確保していくことが重要。
だから採択できない。

全会派からの討論の後、採決。
「賛成少数(1人)ということで不採択と致します」と委員長。

反対の理由をまとめると、こういうことのようです。
⓵漏水対策が重要なのはわかっている。水道局はよく頑張っているし、お金もつぎこんでいる。
⓶しかし、水源確保は必要。以前のような大渇水の可能性も考えねばならない。
⓷老朽化したダムの補修のためにも新たなダムは必要。
⓸施設の更新整備と水源確保は一体である。

そういう意見を予想していたから、資料まで用意して趣旨説明したんですけどねー

⓵について
・2015年度の佐世保市年間漏水量=342万t
山の田ダム6個分に相当し、給水原価は約7億円もかかっている。
一日平均漏水量=9350t
佐世保市民5万人分の生活用水に匹敵する。
・水道局も漏水対策を頑張っているが、他都市に比べて漏水率はまだまだ高い。
水道技術研究センターによると、2013年度の漏水率は、
長崎市=4.8% 呉市=2.8% 佐世保市=10.4%
(呉市は人口も地形も旧海軍都市という歴史も佐世保市とよく似ている都市)

 

⓷⓸について
・ダムの水を空にして補修しても水源不足はおきない。なぜなら、
現在、10万t近い水源が有る。
例えば一番古い山の田ダムから取水できるのは最大6,300tで、
それが取水できなくても、水源は9万t以上有る。
近年の給水量は最大でも8万t弱だから十分賄える。

⓶について
異常渇水のためにダムを造るという考え方はおかしい。
そのような理由でのダム建設は国も認めていない。
通常渇水(10年に1度程度)に耐えられない状況かどうか判断すべき。
そこで、事前に示したグラフがこちら。

水道用ダム貯水率の推移で、これは県が記録し公開したグラフ。
4つの市と県全体の5つの貯水率が記録されている。
佐世保市は、雨の少ない時期に他より高い貯水率を記録している。
佐世保市が本当に水源不足なら、このような結果にはならないはず。
そのような貯水率を維持できているのは、「不安定水源」のおかげ。
雨の降らない時期、ダムからだけ取水していれば減る一方だが、不安定と言えども川が枯れることはめったにないので、そこから取水すれば、それだけダムの水が減るのを防げる。
それなのに佐世保市は、その権利を放棄して石木ダムを建設しようとしている。
私たち市民にとって、それは大きな損失である。
それがどんなに大切な水源であったのか後で気づいても、一度放棄したものは二度と得られない。

水源も水道管も今あるものを補修しながら大切に使い続けていく。
水も財源も無駄にしたくない。
それが私たち市民の願いです。
市民の声を行政に届け反映させるのが議員の皆さんの役目です。
ぜひ、しっかり受け止めてください。

とお願いしたんですけどねー
皆さん(永田委員以外)、ほとんど聞いてなかったようですねー
資料を用意しても、意味がなかったようです・・・
いつものことだけど、空しいな~

なんて弱気になってはいませんぞ。
いえ、少しなったけど、
元気な仲間のおかげで、気を取り直し、
これからも、しつこく訴えていこう~って気分で帰ってきました。(;^ω^)

石木ダムより漏水対策を!

佐世保市民が願っているのは石木ダムじゃない!

漏水対策です。

古くなった水道管等の更新・整備です。

それが市民の意識調査で明らかになりました!

調査を実施したのは佐世保市自身です。

この市民の声を、少なくとも議会は受け止めるべきです。

政策の見直しをお願いします!という請願を

明日、14日10時から、都市整備委員会でおこないます。

よかったら傍聴に行きませんか?誰でもできますよ~

傍聴希望者は、9:50に、

佐世保市役所3階の議会事務局前にお集まり下さい。

県担当者を証人尋問

12月5日、石木ダム事業認定取消訴訟第10回口頭弁論。
いよいよ山場の証人尋問がスタートしました。
門前集会に集まった人々の数が関心の高さを示しています。
(いつもの倍くらい?)

この日は、治水面に関する尋問です。
証人は、川棚川(石木川は川棚川の支川の1つ)水系の河川整備基本方針策定時の担当者で、現在は河川課企画監を務める県の職員・浦瀬俊郎氏です。

まず宣誓書を証人が読み上げ(テレビドラマなどでよく見るシーン ^^ )
その後、被告(国)側代理人による主尋問が始まりました。

・証人の経歴、特にダムや川棚川にどれほど関わってきたか
・同河川整備基本方針策定においてどのような分野を担当していたのか
・その方針策定の経緯や根拠、計画規模の決め方、手引きとしたもの
等々について、丁寧に時間をかけて尋問。

証人は、いつものように、立て板に水といった感じで淀みなく答え、「川棚川の治水計画は、国交省河川砂防技術基準や中小河川計画の手引きに則ってやっており、正当である」ことを強調していました。

10分の休憩を挟んで、いよいよ原告側代理人による反対尋問です。
最初に尋問に立ったのは、田篭弁護士。

問題にしたのは計画規模について。
もしも川棚川の計画規模が1/50(50年に1回の大雨に耐えられるような治水計画)だったら、石木ダムは要らないはず。なぜ1/100の規模にしたのか?規模を決める際の指標に使ったデータは何か?

ところが証人は、素直には答えません。
簡単な答え(イエスorノー)を求められているのに、的外れな自論を長々と展開したり、弁護士が資料を読み上げて「ここには…と書かれていますが」と言って質問に入ろうとすると、「いえ、違います」と、書かれている内容そのものを否定するような発言があり、質問以前の段階で時間を取られてしまうことがしばしばありました。(今思えば作戦だったのかもしれません)

驚いたのは、指標として算出した氾濫区域の
⓵面積
➁宅地面積
➂人口
➃資産額
⓹工業出荷額
などは、みな直近のデータが使われていたのに、その氾濫区域を想定する際に基本となる河道データは昭和50年のものだったという事実。

田篭:基本方針策定時の河道ベースで考えるべきではないですか?
証人:いや。石木ダム事業計画ができたのは昭和50年だから、それを基準としています。
田篭:では、他の指標も昭和50年時点で見るべきではないですか?
証人:被害額については現状及び将来のことも踏まえて評価すべきなので直近のデータをベースにします。

と、指標データの年代が違っても何の問題があるの?と言わんばかり。
ビックリ!(@_@) それが行政の常識なのでしょうか?

河道整備は年々進んでいますので、昭和50年当時と平成17年頃では全く状況が違います。
他の指標データと同じように直近の河道データで算出すれば、氾濫区域はぐっと小さくなるはずです。
氾濫区域が小さくなれば、そこの面積も人口も資産も全て小さくなるはずで、被害は減少します。
被害の度合いを大きくし、計画規模を大きくするための卑怯な裏技です。

続いて、尋問に立ったのは、緒方弁護士。

(報告集会での両弁護士。左が田篭弁護士、右が緒方弁護士)

緒方弁護士:こちらの質問に対してごまかそうとすることは予測していましたが、全然違うことを言うとは予測していなかったので、内心どーしよーと思ってしまいました。(正直!)

緒方弁護士の尋問は、かなり高度な内容で、私たち一般人にはなかなか分かりにくいのですが、洪水到達時間については、証人の主張にますます「???」でした。

昭和42年洪水の場合のシミュレーショングラフを提示して、
緒方:降雨ピークの時間帯は12時~1時で、基準点(山道橋)でのピーク流量の時間帯は午後1時となっていますね。つまり洪水到達時間は1時間ほどですよね?
証人:いや、県としては到達時間は3時間で検討しています。

その根拠は何なのか?なぜそう言えるのか?その説明はないまま、ただ、「県の考えや手法はこうだ」と主張するのみ。理屈や他者の理解など不要だと言わんばかりに聞こえました。

緒方:ところで、石木ダム合流地点より上流は1/30の計画ですが、100年に1度の大雨が降った時、上流域は堤防の外側(陸地側)に溢れ出ていくので、基準点に流れ着く流量は減るのではないですか?
証人:いえ。流域の地形上、いったん外に溢れても、また川棚川にほとんど戻ってくるはずです。
(なんと都合のいい解釈!思わず吹き出しそうになりました)

最後は平山弁護士でした。
平山:基準地点で1320㎥/秒の流量があったとして、石木ダムがなくても堤防のかさ上げや河道掘削工事をすれば流せるのではありませんか?
証人:堤防の嵩上げは破堤のリスクが高まるので、計画洪水で安全に流すべきだと考えています。
(嵩上げの高さや距離など具体的に検討もせず、ハナから眼中にない。あるのは石木ダムのみという感じ)

平山:仮に石木ダムができたとして、想定降雨があった場合、内水氾濫・支流氾濫が発生しないと断言できますか?
証人:絶対とは言えないが。99,9%おきないと思います。
平山:しかし、川棚町は1/10の計画規模で内水氾濫の対策を行っていますよ。知っていましたか?1/100の雨が降れば、当然内水氾濫はおきるのではありませんか?
証人:・・・・・

もう一度、被告側代理人から尋問があり(証人が言い足りなかった部分、あるいはうまく言えなかった部分を補足するためのようでした)、その後裁判官からも質問があり、終了したのは、予定時間を大幅に過ぎて、5時17分!

急いで報告集会会場(アマランス)へ移動です。

弁護団からの説明の後、いろんな質問や感想、意見が飛び交いました。

傍聴者からは、こんな発言もありました。

Aさん:治水は本当に難しくて、これまで勉強してきた私たちにもなかなか難しかった。裁判長は弁護団と証人のやりとりを本当に理解されたのでしょうか?次回の裁判では裁判官により届くような尋問をやってほしい。

Bさん:証人の証言には全く合理性がなかった。行政の都合に合わせて、あちらにしたりこちらにしたりという感じ。シミュレーションもしていない。する必要がないと言う。しかし、事業認定は強制収用を可能にするもの。いい加減な対応で申請すべきではない。証言を聞いていて腹が立ちました。

最後に地権者を代表して岩下さんから一言。

今日は寒い中たくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございました。
現地の状況は・・・です。これからもご協力よろしくお願い致します!

さて、次回は12月25日(月)10:20~。
利水についての証人尋問です。
午前中はお昼まで被告側の主尋問。
原告側の尋問は午後1:20~。

治水よりは利水の方が絶対分かりやすいです。
面白いと思います。

お時間の都合のつく方は、ぜひまた、長崎地裁でお会いしましょうー!