(取材考記)外れた需要予測

(取材考記)外れた需要予測 利水ダム、治水活用柔軟に 

(朝日新聞2022年9月15日 16時30分) https://digital.asahi.com/articles/DA3S15417453.html?pn=2&unlock=1#continuehere

放流する温井(ぬくい)ダム。2002年の運用開始後、事業に参加した広島市は一度も水を使っていない=01年、広島県安芸太田町 

水道水などに使う利水目的のダム開発をめぐり、国の事業に自治体が参加したものの、一度も水を利用していないケースがあると聞き、取材した。

大半の自治体は「人口が増えると想定していた。予定通りではないが、渇水などの時に備えている」と説明した。ただ、何人かの担当者からは「何か良いアイデアはないですかね」とも聞かれた。

昨秋の時点で、ダム事業に参加した広島市など11の水道事業者が、10年以上水を使っていなかった。建設費の負担は計576億円、維持管理費は毎年計2億円かかる。小さな自治体にとってはそれなりの金額だ。

ダムが着工されたのは1970~80年代。当時は日本経済は拡大し続けると思われていた。各自治体も企業進出などで工場ができ、雇用も増え、水が必要になると見込んでいたという。だが90年代にバブル経済が崩壊すると、日本経済は曲がり角にさしかかる。少子化が進み、2011年からは人口減少が続く。

水の使用量が増えなくても、ダム事業は複数の関係者で進めてきただけに、勝手に撤退はできない。その結果、「予備の水源」ということになったようだ。

会計検査院OBの星野昌季弁護士は「10年くらい経過して実績が見込めないならば、見直しに着手するのは当然。(契約内容は社会的事情の変化に応じて変更されるという)事情変更の原則にしたがって、国に維持管理費の減免などの協議を求めるべきだ」と話す。

一方、豪雨などの際に水をためて洪水を防ぐ治水用のダムは、近年の水害の増加によって、容量に余裕がなくなってきている。

これを受け、国は19年に利水用のダムの容量を、治水用にも活用する方針を決めた。全国に稼働中のダムは約1500基あり、容量は計180億立方メートル。うち治水用の容量が54億立方メートルなのに対し、利水用は125億立方メートル。大雨が予想される際、利水用にためていた水を事前に放流すれば、空いた容量を洪水調整に使える。

ただ、多くの利水用のダムでは事前放流できる吐き出し口がなく、改良が必要だ。事前放流したあと水がたまらなかったら渇水に陥るという懸念もある。取り組みはこれからだ。

公共事業はよく「走り出したら止まらない」と言われるが、人口減少社会では当初の想定通りにならないケースが増えてくる。決まった使い方をせずに柔軟性をもたせることが、新しい公共事業の姿だと考える。

(西部報道センター)



座小田英史(ざこだ・えいじ) 他の全国紙をへて、2005年に朝日新聞に入社。経済部や特別報道部などで、財務省や国土交通省などを担当。安倍政権下で配布された布マスクをめぐる問題など、税の無駄遣いに関する取材を続けている。

知事と住民 石木ダムの必要性について2回目の話し合い

9月7日、大石知事と川原住民による2回目の話し合いが行われました。その記事やニュースをお伝えします。

 

石木ダム 必要性で平行線 大石知事4度目の面会 住民側、利水の議論提案
(長崎新聞2022/09/08)https://nordot.app/940421464862310400?c=39546741839462401

知事(右奥)にダム建設への不満を訴える住民=川棚町東部地区コミュニティーセンター

大石賢吾知事は7日、長崎県と佐世保市が石木ダム建設を計画している東彼川棚町を訪れ、水没予定地で暮らす反対住民約20人と意見を交わした。「ダムは必要」とする大石知事と、「必要ない」と主張する住民側の意見は、約2時間半にわたって平行線をたどった。
両者の面会は、初めて対面で話し合った8月10日以来4度目。前回、住民側から出された治水、利水両面での質問に対し、大石知事らが県の主張を繰り返したが、住民側は「ダムありきの回答だ」と反発。知事が県民の安全を守る行政の責務として「ダムは必要だと考えている」と答えると、岩下和雄さん(75)は「本当に必要か、これから話し合うんじゃないのか。最初から必要と言うのなら、すぐにでも行政代執行すればいい」と突き放した。
若い男性参加者は、これまでの強制測量や強制収用を挙げ、知事に「県の解決手法は何十年にわたって強権的で、問題を長引かせてきた。今までと同じような手法では全く解決しない。それを踏まえてこの問題と向き合ってもらいたい」と注文をつけた。
住民側は、資材価格の高騰などで当初の予定から建設費が膨らみ、ダムの目的の一つである佐世保市の水道料金も上がるはずだと主張。次回は利水について議論するよう提案した。
終了後、石丸勇さん(73)は「知事は何も勉強せずに必要と言っている。パフォーマンスとしか思えない」とばっさり。知事は「皆さんの心にひっかかっているものを丁寧に解いて、必要性についての疑問に明確に答えていきたい」と述べた。

 
 石木ダム建設巡り話し合い 住民と知事、またも平行線 
(毎日新聞 2022/9/9) https://mainichi.jp/articles/20220909/ddl/k42/040/387000c

県が川棚町に建設を進める石木ダムを巡り、大石賢吾知事とダム建設に反対する水没予定地に暮らす13世帯の住民の話し合いが7日夜、同町東部地区コミュニティーセンターであった。

治水、利水両面からダムは必要とする基本姿勢を示す大石知事に対し、住民はダム建設を前提とした話し合いに意味はないと反発。やり取りは平行線をたどったが、今後も話し合いの場を持つことでは一致した。

8月10日に面会した際に出た住民の意見、疑問に答えるために開き、約20人が参加した。

県と住民が交わした覚書を守らずに工事を進めている▽ダム検証の審議の場で住民の意見を聞かない――などの住民の意見に対し、大石知事は「(ダム建設に理解を得た水没予定地住民の)8割の方々の思いを受け止める必要がある」「審議の構成は関係自治体である県、佐世保市、川棚町、波佐見町の4者が対象」と回答した。

また「渇水、洪水から県民の安全、安心を確保するのが行政の務め。工事中断はできない」としたことから住民は反発。「ダムありきの回答ばかり」と批判が噴出した。

面会後、大石知事は「住民の心にひっかかっているものをひもときたいが、どこまで解消できるかは難しい」と語った。【綿貫洋】

 
石木ダム 大石知事と反対住民が意見交換
(長崎文化放送2022年09月08日) https://www.ncctv.co.jp/news/105825.html

(映像)

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に計画する石木ダムの建設をめぐり大石知事は7日夜、ダムの水没予定地で暮らす「反対住民」と対面で2度目の話し合いをしました。

大石知事と「反対住民」の面会は3月以降4回目で、対面での話し合いは8月10日以来2度目です。

今回は、前回の話し合いで住民側から出た意見や質問に知事が回答する形で行われましたが、住民側は知事の「ダムありき」の姿勢に反発しました。

反対住民からは「50年以上反対しているんだから我々は引き下がれない」「私たちの意見を聞いて心が動いたらもしかしたらダムを中止にするかもしれませんとか一言くらい言ったらどうですか」「実現可能な解決策があると思うんです。そこを知事の判断で今後この問題を解決に向けて進めてもらいたい」などの意見が出ました。

大石知事は「しっかりダムの必要性について納得なのか、しょうがないかと思っていただけるのか、ぜひ必要だと思っていただけるのか、ダムを完成させるということについてご理解を頂けるのがやはり最後の着地点」と話しました。

知事は「反対住民」との話し合いは継続したいとしています。

 
石木ダム 大石 知事と地元住民2度目の意見交換
(テレビ長崎2022年9月8日 午後0:05)https://www.fnn.jp/articles/-/414345

長崎県川棚町の石木ダム建設をめぐり、大石 知事は7日夜、2度目となる反対住民との意見交換にのぞみました。

7日、川棚町で開かれた石木ダムをめぐる意見交換です。

「ダムの必要性」を前面に出す大石 知事に、出席した地元住民約20人が強く反発しました。

ダム予定地の住民 岩下 和雄 さん 「(行政)代執行も、ダムの必要性もあるとなると話し合いをする必要がなくなる」

住民側は川棚川の改修工事の「治水効果」やダム予算が大幅に膨れ上がる恐れなどを質した一方、根拠が明確ではない過去の説明資料を示しました。

行政への不信感は根強く、知事に「行政代執行」か「話し合いの継続」か選択を迫る場面もありました。

大石 賢吾 知事 「ダムを完成させることを理解してもらうことが最後の着地点だと思う」

大石 知事は話し合いによる解決を目指していますが、住民側との意見の対立は決定的です。

映像)

 
石木ダムをめぐり 大石知事と反対住民が面会
(NHK長崎放送局2022年9月8日)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20220908/5030015930.html?fbclid=IwAR2o8UCg1eEyCgGB4SP6viEta1zaCIL8h05x3yvOqMRspPBwad0sdCDQrZs

川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県の大石知事と建設に反対する地元住民が7日、面会しました。

川棚町で建設が進む石木ダムをめぐっては、県は、建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになった一方、地元住民などによる反対運動が続いています。

こうした中、7日、町内のコミュニティセンターで長崎県の大石知事とダム建設に反対する地元住民が4度目の面会を行いました。

はじめに大石知事は、先月の面会の際に住民側から寄せられたダム建設の経緯や、住民に対してのこれまでの県の対応などに関する意見に回答し、この中では石木ダムの必要性や、県としてダムの早期完成を目指す考えを改めて説明しました。

一方、住民側からは再び利水や治水の面からダムの必要性に対して疑問の声が上がったほか「最初から『ダムが必要だ』というのなら話し合いをする必要はないのではないか」とか「話し合いを続けていきたいのなら、知事が第三者の立場にならないといけない」などの意見が相次ぎました。

これに対して大石知事は「話し合いは継続させてもらいたいが、いただいた意見をしっかり踏まえてどういった形で話し合いができるか相談させてほしい」と述べ、今後も住民との面会を継続していく考えを示しました。

(映像)

 
石木ダム建設で話し合い 反対住民から知事に厳しい声
(NIB長崎国際テレビニュース2022/9/8(木)12:14) https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nib/region/nib-news106id8jl0q5xlyir3sg-html

川棚町で進められる石木ダム建設について大石知事と反対住民との2回目の話し合いが7日行われた。
話し合いでは、先月の1回目で出た反対住民からの意見や質問に大石知事が回答。これに対し、住民側は「知事の回答は建設を前提としている」と反発し、「ダムの必要性を議論しないのであれば、話し合いは続けられない」という厳しい声が上がった。

大石知事は「行政の立場として必要ということを言っている何とか話し合いを継続していきながら形を作っていくことがまずは必要」と説明した。

話し合いは今後も続く見込みで、住民側は、次回は利水について議論するよう提案している。

 
石木ダムは必要?市民団体が公開討論会を求め申し入れ
(テレビ長崎2022年9月7日 水曜 午後6:27)  https://www.fnn.jp/articles/-/414145

(映像)

長崎県と佐世保市が建設を進める東彼・川棚町の石木ダムについて、建設に反対する市民団体が、ダムの必要性を問う公開討論会の開催などを大石 知事に申し入れました。

申し入れしたのは、石木ダムの建設に反対する住民の支援や、石木川周辺の環境保全などに取り組む市民団体です。

県と佐世保市が進める東彼・川棚町の石木ダムは、川棚川の洪水対策や佐世保市の水源確保などを目的としています。

大石 知事は8月、建設に反対する住民と面会し意見を交わしていますが、ダムの早期完成を目指す方針は変わっていません。

一方、市民団体は2021年と2020年、長崎市内でのべ千人あまりにアンケート調査を行っていて、その結果9割以上の人が「ダムは不要」と答えたということです。

市民団体は7日、大石 知事と県民などが改めてダムの必要性について意見を交わす場を設けることなどを求めました。

石木川の清流とホタルを守る市民の会 西中 須盈 代表世話人 「人口も減って水の需要もずっと減っている。そういうことを考えると、どうしても納得いかない。なぜここまで強引に県が進めるのか」

大石 知事は、これまでに建設反対の住民からも公開討論会開催の提案を受けていますが、実施については明言を避けています。

知事は、7日夜も川棚町で住民と面会する予定です。

ここがおかしい!広報させぼ「渇水の歴史と石木ダム」

8月のさせぼ市政だより『キラっ都させぼ』で朝長市長は、今まで以上に石木ダムの必要性を熱く語っていました。https://www.youtube.com/watch?v=s0RshY10Dts

「佐世保水道の歴史は渇水との闘いの歴史!」「2年に1度は渇水の危機が訪れている」「予定通り石木ダムができていれば、平成6年の大渇水以外は全て回避できた」と。

また、『広報させぼ』9月号は「水を大切にする日2022」の特集記事を掲載しましたが、その中身は、過去の大渇水と石木ダムの重要性を強くアピールするものでした。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/kohosasebo/documents/2022090205.pdf

さらに広報させぼ動画版『みてみゅー』で、その渇水について3人の方の苦労話を紹介するという念の入れようです。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/koho_r0409.html

さすが!行政のやることはすごい!全世帯に配布する広報紙と、テレビやネットを使えば、ほとんどの市民に情報伝達できますね。(その費用は私たち佐世保市民の税金ですが)

写真を多用し、とても見やすく分かりやすい構成になっているので、「ふーん、そうなんだ~」「そういうことなら、やはり石木ダムは必要だねー」とつい納得してしまう市民も多いかもしれません。

でも、よくよく見れば、疑問点や問題点が満載の記事です。どこがおかしいのか、一緒に考えていきましょう!

疑問その1.「2年に1度 渇水危機に直面」ってホント?

「延長となった46年間で既に20回渇水危機に直面」しているとありますが、その20回のほとんどは節水広報等の実施であり、実際の給水制限に至ったのは3回だけ。しかも、その3回の中で時間給水(断水)に至ったのは1回だけ。他の2回は、市民の多くが気づかなかった程度の減圧給水で、市民生活にほとんど支障はありませんでした。つまり、時間給水をしなければならないほどの深刻な渇水は46年間にたった1回だけだったのです。

ちなみに、平成30年の場合は、市内のダムの平均貯水率が79.3%になった時点で、水道局内に渇水対策本部を設置したと記者発表。この記事の「佐世保に渇水対策本部 市水道局、節水呼びかけ」という見出しだけを読んだ人は「また渇水か・・」と不安に思ったでしょうが、きちんと本文を読んだ人は「79%で渇水対策本部?!ちょっと大げさじゃない?」と驚いていました。実際その2日後にまとまった雨が降り、貯水率が一気に回復し、杞憂だったね~と語り合った記憶があります。

 

疑問その2.有収水量の推計値は横ばいなのに、なぜ新たに4万㌧もの水源が必要なの?

Point1のグラフを見ると、各用途別の有収水量の推計値は全て横ばいで、合計の有収水量も横ばいです。20年後も水の使用量は増えないということであれば、石木ダムを造って新たに4万㌧もの水を確保する必要性がわかりません。

20年後に4万㌧不足しているのであれば、今も4万㌧不足しているはずで、近隣市町から水を融通してもらっているのかな?いえいえ、そんなことはありません。いま佐世保市が保有している水源で賄っています。

推計値を出す前に押さえておかなければならない大切なことは、過去の実績です。


実は佐世保の有収水量は過去20年間に14%も減っています。

水需要の減少は日本全国共通の事実です。

国の予測では、50年間に40%も減少するようです。

理由は人口減少と節水機器の普及です。佐世保だけが横ばいというのは、ほぼ有り得ない予測なのです。

 

疑問その3.本当に水源確保の方法は石木ダムしかないの?
Point2で「水源確保の方法は石木ダムしか残っていない」と書かれていますが、果たしてそうでしょうか?

前述したように、通常は今の水源で足りています。しかし、渇水に備える努力は大切です。雨水や再生水の利活用に努めている自治体もたくさんあります。雨水貯留施設を造ったり、雨水タンクの購入に助成金を出したり、再生水をトイレに流す中水道を整備したり・・

そのような対策こそ「水を大切にする」ことであり、世界中で取り組んでいるSDG’sの理念に沿った対策です。佐世保もぜひ実施してほしいものです。

また、いざ渇水となった時に備える対策としては、佐々川からの水利権を取得していれば安心です。あの大渇水のときでも佐々川から一日約1万㌧の水を取水していました。現在は渇水時に5,000tの水を菰田ダムに補水していますが、これを1万㌧にしておけば安心です。

水利権を管理する長崎県は「佐々川には余分な流量はないので新たな水利権は与えられない」と言っていますが、そんなはずはありません。佐々川には農業用の水利権がかなりありますが、農業人口が減少し、耕作放棄地も増え、今では佐々川の水はほとんど使われていません。

かんがい用取水施設「東部かんぱい」には日量21,900㌧もの水利権が与えられていますが、実際に取水したのは、2000年~2020年の21年間でたった6年だけです。残り15年は取水ゼロ!日数にすると、取水したのは7670日の中の72日だけ、平均取水量は、21,900㌧のうちの3,300㌧ほどでした。

また、数年前に廃止になった相浦発電所の水利権4800㎥/日の余裕も生まれているはずです。

一方、佐々川の近くには佐世保地区以上に水源が乏しい小佐々地区があります。(2006年に佐世保市と合併しましたが、飛び地になっていて、水道は町時代のまま)使われていない水利権を必要としているところに転用するだけで、水不足は一気に解決し、地域の皆さんは安心して暮らせます。

県が水利権の転用を頑なに拒むのは何故でしょう?水不足が解消すれば石木ダムの必要性が失われることに繋がるから?

水不足解消のためにダムを造るのではなく、ダムを造るために水不足の解消を妨げている・・・少なくともそんな疑念を県民に抱かせるような公共事業であってはなりません。

疑念払拭のためには、このように一方的な情報発信をするのではなく、県も市も、意見交換会や公開討論会等々、ぜひ市民と直接対話できる場を設けていただきたいものです。

大石知事のように朝長市長も、石木ダムは要らないと考えている市民と対話してみませんか?そして、佐世保の水問題を解決するために、市と市民が共に考えていけたらいいですね。

 

 

 

 

 

佐世保市民から大石知事へ再要請

8月23日、私たちは再び大石知事へ石木ダムについて佐世保市民の声を聴いてほしい、面談の機会をいただきたい旨の要請書を提出しました。



私たちというのは、「水問題を考える市民の会」「佐世保の水と石木ダムを考える市民の会」「#ダムより花を」そして「石木川まもり隊」の4団体です。

その要請書はこちらです。2022.8.23 知事への再要請書

この文書の中でも説明していますが、そもそもの発端は7月13日。知事はわざわざ佐世保まで足を運び、石木ダム推進派団体と面談しました。

そこで私たち4団体は、28日、推進派以外の市民の声も聴いてほしいとの要請書を提出しました。

それに対する回答が8月18日、電話によってもたらされました。(要請書には文書で回答いただきたいと明記していたのですが)

その内容は、「訴訟が継続中なので会って話し合うことはできない」というもので、なぜ訴訟中だと会えないのか尋ねても明確な説明はいただけませんでした。そこで、回答はやはり文書でいただきたいと言うと、「訴訟中なので文書のやり取りもできない」との返事。何度お願いしても結果は同じでした。

そこで私たちは協議の結果、再要請書を提出することで合意、23日に速達書留で郵送しました。

今回の要請書では要請事項を2つとしました。

1つ目は、なぜ訴訟中だと「面会も文書のやり取りもできない」のかということです。

石木ダムに関する裁判が始まって以来7年間、県も佐世保市も訴訟を理由に話し合いを拒んできました。「石木ダムの必要性については、いま法廷の場で争っているところなので、お話しできません」と言いながら、広報紙や県政or市政チャンネルでたびたび特集を組み、石木ダムの必要性を声を大にして訴えています。

石木ダム訴訟の原告は全て個人の意思によるものです。団体として提訴したわけではありません。仮にその個人としての原告が4団体の中にいるから会えないと言うなら、8月10日知事が川棚で面談した方は全員原告です。矛盾していますね。

もう1つの矛盾、それが2つ目の要請事項に繋がります。

知事は推進派の市民・町民と面談したその日に「どちらか一方ではなく、両方の話を聞きながらしっかり理解を深めていきたい」とテレビカメラの前で語っていました。そんな知事が推進派佐世保市民の意見だけ聞いて反対派佐世保市民の意見を聞かないのは、やはり矛盾しています。

矛盾というより、あれは「本心ではなかったってこと」「住民と会うのもパフォーマンスに過ぎない」「だから騙されちゃダメ」などと批判する声も、あちこちから聞こえてきます。

でも、私たちはまだ知事の言葉を信じたいと思っています。だからこそ再び要請書を提出したのです。

県民との対話を重視する大石知事に求めます。

石木ダムの利水について、受益者である佐世保市民のもう一方の声を、ぜひ聴いてください。

知事自身の判断による回答を私たちは待っています。

 

KTNテレビ長崎  https://www.fnn.jp/articles/-/408787

毎日新聞  https://mainichi.jp/articles/20220827/ddl/k42/040/372000c

11水道事業者、ダム取水せず

11水道事業者、ダム取水せず 人口減や節水進み、需要予測外れる 維持費、年2億円近く

(朝日新聞2022年8月16日 5時00分)https://digital.asahi.com/articles/DA3S15388734.html?pn=3&unlock=1#continuehere

建設当時の温井ダム=1999年10月、広島県安芸太田町 

水道用水を確保するために国のダム事業に参加している全国71の水道事業者のうち、広島市など11事業者が完成後に一度も取水していないことが朝日新聞の調査でわかった。人口減少や節水が進んだことが大きい。11事業者による建設費の負担は計576億円で、維持管理費は毎年計2億円程度に及ぶ。

調査は、2021年10月時点で完成から10年以上たつ全国60カ所の国のダム事業を対象にした。朝日新聞が情報公開請求などにより、参加する自治体や広域企業団といった71事業者の取水状況を調べた。

取水がゼロだったダムの完成時期は1986年~2010年で、着工時期は70~80年代に集中していた。人口増の時期にあたり、9事業者は取材に「水需要が将来も増えると見込んでいた」(高知県宿毛市)などと回答する。北海道東川町と山形県長井市は地下水を水源としており、枯渇などに備えたという。

特定多目的ダム法では、国のダム事業に参加した場合、水を利用する割合に応じて水道事業者が建設費を負担。維持管理費の負担も義務づけられ、全11事業者は取水ゼロのまま国へ維持管理費を支払い続けている。金額は年間で数十万円~1億円超と幅がある。

広島市は、国が2003年に完成させた温井ダムで、水道用水確保のため、ダム建設の総事業費の2割にあたる365億円を負担した。維持管理費として毎年約1億円を支払い続けているが、これまで取水実績はゼロだ。

市によると、ダム事業への参加を決めた79年には、企業の進出や人口増を見込み、将来的に市内で1日最大68万立方メートルの需要があると予測していたが、90年度の54万立方メートルをピークに需要は減った。20年の給水実績は41万立方メートルだった。ただ、市水道局の担当者は「安定供給のための予備の水源として引き続き確保していく」と話す。

他の事業者も「災害、渇水などに備え、維持費を負担している」(北海道旭川市)といった声が多い。

厚生労働省によると、全国の上水道の使用量は減る傾向にあり、00年のピーク時に比べて15年は8%少ない1日あたり3600万立方メートルだった。人口減と節水が進み、40年には00年比で3割減ると見込んでいる。

水道事業に詳しいコンサルティング会社「EY Japan」の福田健一郎氏は「ダムの維持管理費に加え、今後は老朽化した水道管の更新費用がのしかかる。水道事業者は経営の合理化に向け、広域化などを進めるべきだ」と話す。

■治水に活用へ転換

将来も利用が見込めないため、ダム事業から撤退した事業者もある。

盛岡市は20年、国の御所ダムの水を使う権利を国に返した。80年代に権利を得たが、需要が伸びなかった。維持費が毎年500万円程度かかっていた。返還できたのは、半導体製造などの工業団地で水の利用を見込んでいた岩手県が「引受先」になってくれるなど条件が整ったためだ。

国交省は取水の有無に関係なく維持費はかかるため、「単純な返還は難しい」(水管理・国土保全局)と説明する。国の認可を得ればダムの使用権を返上できるが、返還が実現したのは17年度以降の5年間で、御所ダムを含め4件にとどまる。引受先が見つかったことや事業者の統廃合などが理由だった。

国は19年12月、利水目的のダムについても、治水に活用する方針を決めた。水道用水の安定供給などが目的のダムを改修し、治水にも使えるようにする。

京都大学防災研究所の角哲也教授は「人口が減る中、利水事業にも見直しが必要だ。逆に大規模水害への備えが重要性を増している。ダムの利用目的に応じて、水道事業者の負担を見直す仕組みを国は検討すべきだ」と話す。(座小田英史、女屋泰之)

大石知事、反対派住民と意見交換

8月10日、反対派住民がかねてより願っていた知事との意見交換がようやく実現しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/36f62a35d7c1aecf359a3c079d89ad44f54f0076



しかし、その内容は必ずしも評価できるものではなかったようです。

第一に、知事は話し合い期間中の工事中断には難色を示しました。その理由は、「県民の安心安全を守るのが行政の責任」という常套句で説明しました。

ということは、「県民の安心安全を守る」には、石木ダムがどうしても必要との前提に立っています。本当にそうなのか?そうは思っていない住民との意見交換に臨むにあたって、それは誠意に欠けると言わざるを得ません。あなた方が何と言おうとダムは造りますよ!という意思表示をしていることになるからです。そんな権力を誇示しながらの対話はは、フェアではありません。

知事は「無理やりつくるのではなく、しっかり理解を得た上で進めたい」と述べたそうですが、それが本心なら、行動で示してください。県は未だ理解を得ていないのに、ずっと工事を強行しています。

第二に、佐世保の市民団体との意見交換についても拒否されたようです。理由は「工事差止訴訟が継続中なので」とのことですが、それがなぜ理由になるのでしょう?

知事との意見交換を求めた団体の中には確かにその訴訟に関わっている人もいますが、あくまでも個人としてです。団体が訴訟を起こしたわけではありませんし、そもそも4団体中の2団体は、その訴訟が始まった後にできた団体です。私たちはただ知事と石木ダムについて直接話し合い、私たちの考えを伝えたいだけなのです。私たちも知事と同じように、地域の未来を、より良いものにしたいと願っている市民なのです。

知事は既に推進派市民団体と意見交換なさったのですから、その団体の方とは違う意見も聴いて下さるはずですよね。7月13日、知事は「どちらか一方ではなく、両方の話を聞きながらしっかり理解を深めていきたい」とカメラの前で明言されました。その言葉を私たちは信じています。

第三に、知事は公開討論会の提案も受け止めていただけなかったようです。しかし、これについては、拒否ではなく「明言を避けた」とありますから、迷っておられるのかもしれません。であれば、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。何しろ、このダム建設費を負担する県民の多くが、石木ダムについて「わからない」「県の説明は不十分」「公開の場での討論会を求める」とアンケートで答えているのですから。

しかし、対話継続は確認されたとのことで、それだけは良かったと思います。昨日は対話の初日。これからが本番です。ダムの必要性について、住民の皆さんとじっくりと意見交換していただきたいと願っています。

 

西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/971534/

毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20220812/ddl/k42/040/257000c

読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20220811-OYTNT50109/

NBC長崎放送
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/121376?display=1

NCC長崎文化放送
https://www.ncctv.co.jp/news/104802.html

KTNテレビ長崎
https://www.fnn.jp/articles/-/401943

NHK長崎
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20220812/5030015633.html

 

 

宇久島のメガソーラーについて考えよう

佐世保市の離島「宇久島」をご存知ですか?人口1800人の小さな美しい島です。いま、その島の1/4をソーラーパネルで埋め尽くそうとする事業計画が進んでいます。完成すれば、出力480MWという日本一の規模のメガソーラーとなるそうです。

自然破壊、住民の暮らしや想いを蔑ろにするやり方・・・石木ダム問題と共通するものを感じます。

そこで、7月の勉強会は、この宇久島のメガソーラー問題を勉強しようと、「宇久島の生活を守る会」代表の佐々木浄永さんに講演をお願いしました。

その記録はこちらです。



1時間半と、やや長いので、時間のある時にじっくり観てくださいね。

こちらは宇久島の観光動画ですが、



2022年6月、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル (SSFF)において、観光映像大賞を受賞しました。

自然の美しさと歴史を織り交ぜながら描かれた観光プロモーション映像として最も秀でていると高く評価されたのです。

この美しい島が、

こんなふうに変わるなんて想像したくもありませんね。

ところで、この観光映像大賞受賞作品の監督・野上鉄晃さんは、こんな作品も作られた方です。



こちらもぜひ見てくださいね!

 

大石知事、推進派と意見交換

大石知事は選挙期間中から課題解決のためには、まず関係者の話をよく聴くことが大事と対話重視の方針を示していました。

トップダウンではなくボトムアップという手法は民主的で、県民としても望むところです。

石木ダムに関して知事は、3月就任後まもなく建設予定地こうばるを訪れ、住民へ挨拶。4月には、住民の案内でこうばるを視察。

次は石木ダムの必要性についての意見交換をということになっていたので、住民の皆さんはその日を待ち望んでいましたが、その機会は得られないまま、工事だけが進んでいます。

そして昨日、知事は推進派の声を聞くために、佐世保市と川棚町を訪れました。

佐世保市では「石木ダム建設促進佐世保市民の会」、川棚町では、「石木ダム建設促進川棚町民の会」や元地権者でつくる「石木ダム地域住民の会」との意見交換を実施。

終了後、知事は記者団にこう語っていました。

その考えは立派です。

4月には現地を歩きながら反対派住民と語り合っていたのだから、今度は推進派元住民と意見交換することは全く問題ありません。

でも、それは、あくまでも公平に両方の話を聴くならばということです。

「両方の話を聞きながらしっかり理解を深めていきたい」との言葉通り、知事自身が石木ダム問題を学び理解するために両者から話を聞く。その上で判断する、という道筋でなくてはなりません。

しかし、知事は会議の冒頭このように発言しています。

既に知事の判断(事業は必要→早期完成を目指す)は示されているではありませんか。

同じ推進派同士なのに、なぜ意見交換が必要だったのでしょうか?

冒頭の挨拶以外はマスコミにも非公開だった昨日の会議で、どんな意見が出されたのやら・・。

新聞報道によると、佐世保では、1994年の佐世保大渇水を振り返ったり、老朽化した既存ダムが大雨で崩壊する懸念が指摘されたそうで、川棚では、昨年の大雨で石木川の護岸が崩れ人命に関わる恐れがあったとの訴えがあったそうです。

もしかしたら、次の川原訪問に向けて、知事は「住民の話を聴く」だけでなく逆に住民を説得したい、そのための根拠を求めて推進派の意見に耳を傾けたのではないか・・そんな疑念さえ生じてしまいます。
 まるで行政代執行へと背中を押すような発言・・

知事自らが理解し判断するためだったはずの対話は建前で、所詮はパフォーマンス、行政代執行のアリバイ作りだった・・そうならないよう、

私たちは未だ知事の初心に期待し、真の対話を願っています。


NHK長崎 7/13(水)16:53
石木ダムめぐり知事が建設容認の住民と初の意見交換
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20220713/5030015253.html


NCC長崎文化放送 7/13(水) 20:15
大石知事が石木ダム推進派と意見交換
https://news.yahoo.co.jp/articles/1142b45512f78b7da7f97af4ad935e6004a6fc80


KTNテレビ長崎 7/13(水) 20:26
大石知事と石木ダム建設推進派の住民などが初面会
https://news.yahoo.co.jp/articles/4afa678e19e4a82a9cb77ba349da04fd5ced41af


NBC長崎放送 7/13(水) 19:08
大石長崎県知事が石木ダム推進派と面会 ”建設推進” を明言
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/94870?display=1


読売新聞 7/14(水)05:00
知事「石木ダム推進」建設求める3団体と意見交換
https://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20220713-OYTNT50156/


毎日新聞 7/14(水)
石木ダム 推進団体と意見交換 知事「理解得ること重要」
https://mainichi.jp/articles/20220714/ddl/k42/040/367000c


長崎新聞 7/14(木)11:50
大石知事、石木ダム建設推進派と意見交換 早期完成を改めて強調
https://nordot.app/920140332116819968

大石知事「しっかり聞く」

4月20日、住民と共に川原(こうばる)を歩いた大石知事は、「ふるさとは尊いと認識した。今後は、住民の工事中断への思いを含めてしっかりと話を聞く機会を設けたい」と述べましたが、未だにその機会は実現していないし、そのような気配もありません。

3日前の長崎新聞には、石木ダム事業について、「しっかり住民の考えを聞くことが第一歩。できるだけ早くそういう場を設けたい。一方で事業推進を求める人たちの意見を聞く機会もつくりたい」と答えていました。

正論だと思います。まずはそこに住んでいる人たちの考えをしっかり聞く。しかし一方では推進派の意見も聞く。両方の言い分を聞いた上で知事として判断する。という意味だと思うし、そのように理解したい。

でも、本当にそうなのか?という疑念も湧いてきます。 5月27日には、佐世保市の朝長市長や田中副市長に対し、こう述べています。

「石木ダムは必要不可欠。完成のためには住民の理解を得ることが重要」

これが本心なら、知事の「聞く」とは、住民の「想いや意見を理解するために耳を傾けること」(listen)ではなく、ただ住民の「発言を聞く(hear)だけ」ということ?

つまり、結論はもう出ていて、それを変える気はない。ただ、その結論を言う前に、住民との話し合いは必要。住民の言い分も聞いて、こちらの言い分も伝えて、その上で判断したという形にしなければならないから。

もしそうなら、大石知事もこれまでの知事と何ら変わらない。住民を欺き誤魔化すことになります。

そうではないと言うなら、5月19日の動きについてはどう解釈すればいいのでしょうか?

この日、いつものように座り込みの監視に来た県職員が引き上げてまもなく、大きな重機が近づいて来て、座り込みのテントに向かう赤道の途中に土砂を搬入して道を塞ごうとしたのです。
住民の皆さんは重機の近くに集まって業者の現場責任者と交渉、この場所を守り抜くために抗う意思を示しました。そして、「知事は私たちと石木ダムの必要性について話し合うことを約束した。その話し合いをしないうちに工事を強行するのはおかしい」と訴えました。

しばらくして、業者の2名は重機を残したまま引き上げていきました。知事が4月に住民伝えた言葉が本心なら、まずそれを実行するべきです。住民の皆さんは、この言葉を信じ、その機会を待っています。その想いを裏切らないでください。

歴代の知事のように、住民を騙し打ちにするようなことは、決してしないでください。

「持続可能な地域社会に」するには、知事の政治姿勢こそ重要です。

誰よりもその地域社会をよく知り、その存続を願っている住民の声に、本気でしっかり耳を傾ける、その声を政策に反映する、そんな県政を私たちは望んでいます。



 

 

 

 

 

 

石木ダムサイトの地質が危ない?

いつものように、第3日曜日は石木ダム勉強会。今月は石木ダムの地質問題の第3弾。今回も地質の専門家の中山先生にお話をうかがいました。

お時間と関心のある方は、こちらをご覧ください。
中山先生のお話の記録動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=_xMjwhPSvg4

これまでのボーリング調査結果で、ダムサイト周辺には、透水性の高い箇所があることはわかっていましたが、前回、ダム下流に隣接する採石場の採掘跡の埋立地の存在に中山先生は大きな懸念を抱かれ、今回は、その問題について詳しく解説していただきました。

これが、その砕石跡の窪地。完全な円形ではありませんが、直径は長いところで200m、深さは最大で50mほどもある巨大な穴で、平成2年豪雨の時には、石木川から溢れた雨がここに流れ込み、約100万㌧も溜まったそうです。貯水量100万㌧と言えば、長崎県内では、もう立派なダムと言えます。

こちらはダムサイト周辺でおこなったボーリング調査の図面で、赤い点線より上に「採石場跡地」と記されています。中ほどの山形の細い赤線がダムサイト予定地で、跡地まではこの図では約100mほどに見えます。

しかし、図面をよくよく見ると、青い点線で囲ったところにも崖地形が見られ、それが採石場跡地に繋がっていれば、ますます心配だということです。

一応100m離れていると仮定して断面図を描いてみると、

埋立地には約9気圧の圧がかかり、ダム湖の水が吸い寄せられるように漏水する危険性が懸念されるのです。

ということで、「ダム建設は避けた方がよいのでは?」というのが、中山先生の見解ですが、建設そのものは「技術的には可能かもしれない」ともおっしゃっています。
ただ、それには、かなりの工費が必要となり、現在の予算ではとても追いつかない。「事業費は当初算定額よりもかなり高くなるだろう」とのことです。


そんな例は沢山あります。

※訂正 石木ダムの当初見積額が353億円と書かれていますが、これは間違いです。353億円というのは石木ダムに関連する佐世保水道の施設設備費を含めた佐世保市の事業費で、石木ダム建設費そのものは285億円です。

当初予算の15.8倍にもなった奈良県の大滝ダムは、完成直前に地滑りを起こして、対策に10年近い時間と莫大な費用がかかりました。

九州には漏水ダムとして名高い大蘇ダムがあります。こちらも完成直前に漏水が発覚して、その対策工事が、続き供用開始は15年後になってしまいました。

この連休中に阿蘇を訪れた際たまたま出会ったのですが・・・熊本県産山村のヒゴタイ大橋。その下を流れているのが大蘇川なのですが、

このように、右を見ても

左を見ても、川の両岸は真っ白なコンクリートの壁が続き、

遥か向こうにダムのゲートが見えるので、まちがいなくダムですが、気の遠くなるようなコンクリートの壁に覆われた姿が痛々しく・・・この工事のために5.5倍に膨れ上がった事業費。それでもまだ漏水は止まらないという。それは、ここがダムの適地ではなかったという証だと思います。

また、設楽ダムも5月17日、国土交通省は、設計段階では想定できなかった地すべり対策等のため、工期の8年延長と建設費の800億円増を公表しました。https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220517/3000022537.html

何百億というコスト増になっても、結局は税金だから、一般企業の場合と違って、国も県も平気なのでしょうか。当初は分からなかったのだから仕方ないでしょ?と。誰も責任を感じず、責任を取らず、ツケは国民に。それが公共事業?

石木ダムの場合は決してそれは許されない。なぜなら、お金では解決できない、住民の暮らしそのものを犠牲にする事業なのだから。