佐世保市議会、全議員に聴いてほしい地権者の声

今日で佐世保市議会12月定例会は終了しました。

私たちが提出した請願第65号(石木ダム建設計画地の収用裁決申請の撤回と断念を求める請願)については、

石特委員会同様、本会議でも不採択となりました。

ただ全会一致ではなく、賛成議員が4名(社民党3名+共産党1名)、過去3回の時と同じ結果です。

 

本会議では山下議員の賛成討論はありましたが、反対討論は何もありませんでした。

ということは、委員会で出された理由が、市議会全体の反対理由ということなのでしょう。

各会派に共通していたのは、

 ・すでに国によって事業認定されている=公益性が認められた事業である。

 ・県は法に則って手続きを進めている=法的瑕疵がない以上反対する理由がない。

 ・県は今後も最大限理解を得るべく努力すると言っている=それを信じ見守るべきである。

などの趣旨の意見でした。

 

しかし、「法に則って進められている」と言っても、その法は「土地収用法」であり、

土地収用法の上にある憲法には「則っている」と言えるでしょうか?

地権者の I さんは、それを委員に強く訴えていました。

公共の福祉に反しない強制収容は、幸福追求権を保障する憲法13条に違反することを理解して欲しいと。

 

委員会の委員だけでなく、佐世保市議会議員全員に聴いていただきたい内容でした。

I さんの御了解を得て、その意見陳述の原稿をここに掲載させていただきます。

 

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川棚の現地からやってきました。何の因果か物心付いた頃から石木ダム問題で苦しめられています。今、まさに人生の一大事、強制収用に直面しています。

専門家の方々の調査結果から、石木ダム計画は既に破綻していることがはっきりしました。必要がないダムのために苦しめられ、土地や家を取り上げられるこんなことが許されるでしょうか。私たちは何も悪いことはしていないのに、全くこんな理不尽なことがあっていいのでしょうか。

最近、マスコミが頻繁に石木ダム問題について取り上げますので、友人・知人が心配して、励ましてくれます。先日も佐世保の友人が電話してきました。彼は強制収用を危惧しておりました。彼は日本国憲法第13条を取り出して、憲法に規定されている権利が上位で、強制収用は憲法違反だから頑張れと言ってくれました。

憲13 :すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

ちなみに、今回強制収用されようとしている土地は、太平洋戦争(第二次世界大戦)中に日本海軍の強制収用を受けた土地であります。 

戦時中の強制収用は、明治憲法の下で行われたこと(強制収用)ですが、憲法13条をもつ現憲法の下でいとも簡単に行われてはならないと言っているのです。これが公共の福祉の名のもとで行われれば、法律による人権制限が容易に肯定されるおそれがあり、ひいては明治憲法における法律の留保の付いた人権保障と同じことになってしまうということです。

私たちが住む川原地区は13世帯60名の住民が一つの家族のような生活をしています。私たちにも個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求の権利があるのです。日本国憲法の理念は、これが一番大事だとしています。憲法の根幹を成すものです。憲法第13条を理解できる人は、法を踏みにじる強制収用は絶対行ってはならないことがわかっています。

ましてや長崎県の知識人でもある中村知事は、「事業認定申請は話し合いを進展させるため」と言っていました。事業認定で私たちに脅しをかければ崩れると思っていたのでしょう。でも、私たちの反対が変わらないので、今度は収用裁決申請に踏み込みました。こうして、どんどんどんどん深みにはまり込んで引き返せない状況になっています。

その先に憲法第13条の壁があることを知らないのでしょうか。私はそんなことはないと信じていますが・・・。

 長崎県をこの呪縛(じゅばく)から解き放つすべはないのでしょうか。それには天の声しかないのでしょうか。いや、その前に議会人の皆様が、私たちが一貫して反対していること、その意思が変わらないことと憲法第13条をご理解いただき長崎県の暴走に歯止めをかけていただけるものと信じています。「石木ダムの強制収用を止めるのは今でしょ」と私は言いたいです。よろしくお願いいたします。

石木ダム計画地はいいところなんです。皆様は現地に来られたことがありますか。日本の原風景が残るところだとよく言われます。ダムは、先祖から引き継ぎ未来に手渡すべきこの素晴らしい私たちのふるさとを全て水の底に沈めてしまいます。究極の自然破壊です。そんなことは絶対許されません。

県民の方からよく「川棚町民は馬鹿だ」と耳にします。「川棚町のための水でもないのに、何でダムに反対せんとやろか。」という訳です。物言わぬ民・住民が多いのも事実だから、そうかもしれません。長崎県は一方的にダム建設を川棚町に押し付け、町民・住民同士を対立させ川棚町を疲弊させてしまいました。

佐世保市と川棚町は隣人同士です。仲良く暮らしていくのが当たり前です。長崎県と一緒になって川棚町民をそんなにいじめないでください。

 

 

収用委員会、現地調査と審理

今日の収用委員会は、現地調査も審理も大勢の関係者(地権者&弁護団&支援者)やマスコミでいっぱいでした。

TV各局は夕方のニュースで一斉に報じていました。

例えばKTNでは、このように伝えていましたよ。http://www.ktn.co.jp/news/

東彼・川棚町の石木ダム計画をめぐり、県の収用委員会は、きょう建設予定地を視察し、買収が済んでいない土地の収用について審理しました。 
 石木ダムの建設予定地を視察したのは、県の収用委員会の委員を務める弁護士や不動産鑑定士などです。 委員は県側から説明を受けながらダム建設のため県が採決申請した土地や周辺の環境状況などを見てまわりました。 視察は5分程度で途中、収用予定地の近くに土地を所有する地権者が説明を加えようとしましたが県側の制止にあいました。 石木ダム建設絶対反対同盟・岩下和雄さんは、「私たちの意見も十分に聞いて、その上で判断してほしい」と話し、地権者の石丸勇さんは、「この農地を維持するためにどれだけの苦労があるのか、たった5分だけ見ただけで一方的な県の説明では分からない」と述べました。 
 視察後に開かれた審理で、県側は地権者への補償について説明しましたが、地権者側はダム事業に疑問があり、収用に反対していること、先祖代々受け継いだ代えがきかない土地であることを訴えました。 次回の審理は来年2月に開かれます。

 

ここに報じられているように、現地調査はほんとにあっけないものでした。

起業者である県の職員が収用予定の土地を指して何やら説明していますが、

メディアの記者やカメラが取り囲み、収用委員の全員がきちんと聞き取れてはいなかったはずです。

私のそばにいた方も委員のお一人でしたが、私には説明の声が聞こえませんでしたから。

また、仮に聞き取れたとしても、5分ほどの視察で何が理解できたというのでしょう。

何を調査したと言えるのでしょう?

現地調査とは形式に過ぎないものだと実感しました。

 

この調子では午後の審理も形だけのものに終わるのでしょうか…

と不安を覚えつつ、お弁当を食べて、会場へ。

審理開始前、1分間だけ撮影許可が与えられ、その後はメディアのカメラも退室。

録音録画は一切許されない状況で審理が始まりました。

 

まず県側から、手続きの経過や、裁決申請に至った理由などの説明がありました。

・文書や戸別訪問など100回以上にわたって事業への理解をお願いしてきたが、反対が根強く緒さえ見いだせない

・事業認定告示後も反対同盟など6団体からの公開質問状に対し、説明会を開いてきたが理解を得られなかった

・7月25日からの立ち入り調査も激しい阻止行動がおこなわれ、不測の事態を考慮して断念した

・解決の見込みがないと判断し裁決申請に踏み切った

 

まあ!ずいぶん手前勝手な説明だこと!と呆れていたら、

その後の所有者側からの意見陳述の際、平山弁護士は

・予告なしの戸別訪問や一方的なお願いはパフォーマンスにすぎない

・地権者側の質問に十分に答えていないし、説明会の実施もこのところ拒否されている

などの実態をきっちり伝えて反論し、本論に入っていきました。

・県側が示した補償額は、憲法29条3項に書かれている「正当な補償」に当たらない

・私有財産を収用するための要件「公共の福祉」とは言えない

・必要性なき事業によって地権者は全てを失おうとしている全面的な権利侵害である

 

続いて高橋弁護士からは、

・県が慣行水利権を不安定水利権と評価しているのは明らかなまちがい

・物には交換価値と使用価値があり、後者には一般的使用価値と主観的使用価値がある。

・所有者が手放したくないと言っている土地を無理やり奪うなら、そこには主観的使用価値を含めるべき

・その土地は所有者にとって、他の土地で交換できるものではない、先祖から受け継いだ代え難い土地である

 

魚住弁護士からは、石丸家の土地の評価に瑕疵があることが指摘されました。

その石丸さんの意見陳述は素晴らしかった…

収用委員も顔を上げて興味深そうに聞き入っていました。

・私は田んぼを作っている。その土地は先祖から受け継いだ思い入れのある土地で代替地を貰えばいいというものではない。

・お金が欲しくて言うのではないが、公衆用道路としてゼロ査定になっているところがある。

ここは田んぼの一部を道路にしたものだ。その先にお墓があるのでお墓にいくために道路を自分たちで造った。

ここを収用されたらお墓にも行けない。

・いわゆる赤道(あかみち=公図上で地番が記載されていない土地「無籍地」の一つで、 道路であった土地)だ。

戦前、この辺は人間魚雷の工場を造るために収用されてしまった。そのとき前の道がなくなってしまった。

・田んぼを作るには水が要る。周りの人がいなくなって(土地を明け渡し)今は私が一人で管理している。

その用水路がなくなれば、田んぼは作れない。

 

他にも数人の代理人からの意見陳述があり、それに対する反論はありますか?と訊かれましたが、

県側は、「この事業は土地収用法20条に基づいて認められたものです」と答えたのみでした。

つまり、県はその場で反論することができなかったのです。

そこで、

所有者からの意見書を来年1月16日までに提出、

それを読んで起業者からの回答を1月30日までに提出。

収用委員会から所有者への質問も同じく1月30日までに提出。

ということでまとまりました。

次回の収用委員会は2月です。

 

これで今日の目的達成です。

目的その1.ちゃんと話をきいてもらおう〜

目的その2.審理を1回で終わらせない!

 

次回の目的は・・・それはヒ・ミ・ツ。

 

 

強制収用に反対する4回目の請願

今日は佐世保市議会石木ダム建設促進特別委員会で私たちが提出した請願についての審査がおこなわれました。

請願の内容は、

長崎県知事へ、石木ダム建設反対地権者所有地についての権利取得と明渡しの裁決申請を断念し、

撤回することを求める意見書を提出して下さい。

というものです。一言で言えば「強制収用しないで!」という請願です。

文章の中身はその都度異なっていますが、同じ趣旨の請願を過去3回おこなってきました。

今回で4回目。過去3回いずれも不採択。今回も多分。

そうとわかっていても、私たちは請願を続けます。

市民の代表である議会に市民の声を届けるために。

残念ながら、佐世保市議会は私たちの要望(市民との意見交換会)を受け入れようとはしません。

私たちの思いを届けるには、今のところこの方法しかありません。

 

まず、趣旨説明の文章を読み上げました。要点としては、

・11月25日、県は石木ダム建設用地取得のため4世帯の土地の保留手続きを解除し、
 収用裁決申請にむけて動き出したが、そこには4世帯の宅地が含まれている。
 現在生活している家を壊してまでダムを造ろうとしている。

・強制収用は、地権者のふる里に住み続けたいという意思を踏み躙る人権侵害である。

・佐世保市民の生活の安心のためと称して、地権者の生活の安心を奪うことは人道に反する。

・石木ダムの必要性について知事は反対地権者との意見交換を約束しているにもかかわらず、
 県当局は11月21日に開催を求められていた説明会を拒否した。
 これは国交大臣が「補助金継続」を決定した際の附帯意見(理解を得る努力)に反する。

・仮に、さらなる水源が必要であるなら他の方法を真剣に検討すべき。

 

続いて、地元地権者のお二人から意見陳述がなされました。

お二人共、そこに住み続けたいとの思いを、心を込めて話してくださいました。

Kさんは涙ながらに語られ、そこにいた誰もが胸を熱くしました。(多分委員の皆さんも…?)

Iさんは、憲法13条を守れと議会人の良識に訴えました。

いま強制収用されようとしている土地は、戦前にも強制収用されたことがある、
そのときは海軍工廠が人間魚雷の工場を造るため、住民の立ち退きを命じた。
当時は大日本帝国憲法のもと、住民の権利は認められなかった。

しかし、今は民主憲法のもと、国民の権利が守られている。
13条には、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、
立法その他の国政の上で、最大限の尊重を必要とする」と書かれている。

私たちの住む権利は守られているはず。
それが守られなければ、今の日本は戦前と同じ社会だということになる。

良識ある議会人の皆さんが、長崎県の暴走に歯止めをかけていただくようお願いしたい。

 

最後に「水問題を考える市民の会」のSさんから、

県当局は「理解を得る努力」を放棄して、収用裁決申請手続きを進めている。
このまま収用手続きが進められたら、深刻な事態が想定される、そのような事態は何としても避けたい。

それが「佐世保市民の安心のため」とされるならば、佐世保市民は自己の安心のためには、他人を犠牲にして、その人たちの苦痛を顧みない薄情で利己的な人間なのかと、全国から非難されるだろう。

仮に、水源があと幾らか必要だとしたら、佐々川の水利権の拡大とか、ダイヤソルトの副産水の利用など方法はいろいろある。

行政のチェック役として、市議会の皆さんのご尽力を要望する。

と結ばれました。

 

質疑に入り、3人の委員の方から質問をいただきました。

T委員:石木ダムは公益性のある事業だと既に国から認められている。
    それに反対することは「公共の福祉」に反していることにならないか?

請願者:もちろん反していない。なぜなら石木ダムの必要性は失われているから。
    石木ダムがなくても私たちは日常生活において何も困っていない。
    平成6年のような大渇水が訪れても、水需要が減った現在では減圧給水で対応できる。

K委員:佐世保の水受給の安全度は他都市に比べて異常に低い。これをどう思うか?

請願者:それは安全度を算出するとき、保有水源として安定水源の77,000トンで計算しているから。
    それ以外に日々取水している不安定水源も保有水源と認めれば、格段に安全度は上がる。
    佐世保市は慣行水利権を認可されていない不安定水源と称し保有水源として認めないが、
    実際には渇水の時にも取水されており、長崎市など他都市では保有水源として認めている。

Y委員:いま言われた平成6年の大渇水がきても減圧給水で対応できるという分析は誰がおこなったのか?

請願者:全国のダム問題を研究している団体である「水源開発問題全国連絡会」がおこなった。
    分析に使ったデータは佐世保市水道局から入手したものである。

 

などの質疑応答が交わされ、30分ほどの休憩を挟み、11:30から再開。

各会派からの討論の後、予想通り、全会一致で不採択となりました。

反対理由としては、どの会派も述べていたのは、

・この手続きは法に則って進められている

・手続に法的瑕疵がない以上、この請願を採択するわけにはいかない

というものでした。

土地収用法という法に則っていても、憲法13条には反しているということが、まだ理解して頂けないようです。

 

また、T委員からは、

石木ダムに代わる手段があったのではないかと言われたが、かつて「水資源確保対策特別委員会」の中であらゆる方法を検討した結果、石木ダムしかないという結論に至った。私はその時の委員の一人だったので、やはり石木ダムをお願いするしかないと思っている。

と付け加えられました。

 

T委員、そして石特委員会の皆さん、だからこそ、私たちと意見交換しませんか?

皆さんがその時検討した資料を私たちも見せていただきたい、知りたいです。

そしてその検討結果に地権者の方がなるほどと思えば、石木ダム建設が実現するかもしれません。

一方、私たちの主張の根拠もお示しします。

なぜ石木ダムが不要だと考えるのか、他にどんな方法があるのか、その根拠を提示します。

その内容に皆さんが納得して下さるかどうかわかりませんが、互いに聞いてみる価値はあるはずです。

話し合いをせずして、理解が生まれるわけはありません。

 

な〜んてここで呟いても、委員には届かないですねー。

すでに2回、議会には意見交換の申し入れをおこなったのですが、フラレっぱなし・・

はてさて、どうしたものか・・・ 

 

請願と収用委員会

皆さん、来週の活動について2つお知らせがあります。

 

その1 佐世保市議会の石木ダム建設促進特別委員会(石特委員会)を傍聴しよう!

私たち「石木川まもり隊」と「水問題を考える市民の会」は、12月1日、佐世保市議会に

「石木ダム建設計画地の収用裁決申請を断念し撤回することを求める請願」を提出しました。

この請願について、石特委員会で15日(月)の10時から審査がおこなわれます。

石特委員会は、その名前の通り石木ダム推進のための委員会なので、たぶん不採択になるでしょう。

しかし私たちは請願することによって、趣旨説明の機会が得られます。

推進派の議員たちに、石木ダムに反対する理由、根拠、思いなどを直接届けることができます。

それが何より大切だと思っています。

特に地権者の方の生の声を佐世保市議会に届けることに大きな意義を感じています。

時間と関心のある方は、ぜひ傍聴にいらしてください。

集合場所:佐世保市役所3階 議会事務局前

集合日時:12月15日(月)9:50

 

その2.収用委員会を傍聴しよう!

去る9月5日長崎県は4世帯の地権者の農地を収用するため、裁決申請を提出しました。

それを収用委員会は受理し、手続きが開始されていますが、

12月16日(火)現地調査と審理がおこなわれます。

午前11時30分 現地広場にて収用委員の到着を待ちます。
 
横断幕、旗、ゼッケンなど準備しますが、私たちは決して収用委員と対立するつもりはありません
ので、言動には注意しましょう。 
 
午後1時15分より、中央公民館2階講堂で審理(意見聴取)がおこなわれます。
 
傍聴者が多い場合入場制限があるかもしれませんが、それほど多くの県民が関心を持って見守って
いるということを、収用委員の皆さんに伝えることが大事です。
 
ぜひ多くの方のご参加を願っています。
 
 

仮処分の結果は・・・えっ!来年3月?

今日は仮処分審尋の最終日。

県は今年8月、私たち(石木ダム建設予定地に住む地権者をはじめ石木ダム反対派市民など計23人)が通行を妨害したとして、その行為を禁止するよう地裁に仮処分を申し立てました。

そのため、私たちは債務者として審尋に参加し、裁判官と弁護団のやり取りを見守ってきましたが、今日で最後。

少しは専門用語にも慣れてきたかな?今日こそはしっかり内容を理解したいと思いつつ地裁前に行くと、

すでにたくさんの支援者と報道関係者が集まり、寒い中弁護団の到着を待っていました。

 

時間となり、私たちは裁判所内へ。

審尋が始まると、裁判長は双方の弁護団に、言い残したことはないか確認し、双方が「無い」と答えると、

これまでの準備書面を1週間以内にデータで提出するよう求めました。

そして結果が示される時期について問われると、裁判長は「来年3月の頭頃になりそうです」と言いました。

えっ?聞き間違えたのかな?と思いつつ正面の県側の席を見ると、県職員はもっと驚いた顔をしていました。

「もちろん、それより早く出せないか努力はしますが・・・」と早まる可能性も示したので、

県側も頷くしかありませんでした。

「では、これで終わります」との言葉を聞いたのは、審尋開始後ほんの2〜3分のことでした。

 

待っていた報道陣や支援者に弁護団からの報告。

 

終了後、近くの公民館でいつものように報告集会をおこないました。

経験豊富な弁護士の先生方は、

・仮処分の結論がこれほど先になるなんて考えられないこと

・普通1〜2週間後には出ますよ

と、口々におっしゃっていました。

 

素人が考えても、そうだろうと思います。

普通の裁判をやっていたら間に合わない場合にやるのが仮処分の申し立てのはずですから。

県にすれば、工事を始めようとしたら反対派が妨害して工事ができない、反対派を早く排除したい、

でも、警察権力など使うわけにもいかないし・・・ということで裁判所に申し立て、

「工事の邪魔をしてはいけませんよ、これ以上邪魔をするなら罰金を課しますよ」

というお裁きがあるに違いないと思い、その日を一日も早く…と願っていたのだろうと思います。

 

県が私たちに対する仮処分の申し立てをしたのは、8月7日でした。

その後、第1回の審尋が9月18日、第2回が10月24日、第3回が11月21日、そして今日が第4回目の最終日。

申し立てから審尋終了まで4ヶ月を費やし、さらに結論が出るまでに3ヶ月としたら、合計7ヶ月。

これは確かに異例中の異例のことでしょう。

なぜ、その異例のことがおきたのか…

 

弁護団はこう説明しました。(もちろん、あくまでも各弁護士の推測ですが)

裁判官は皆さんの熱意を受け止めたのではないか?

花開いたと言うのは言いすぎかもしれないが、成果を得たのは事実。

県は私たちとの話し合いを拒否して、工事や収用の手続きばかり急いでいる。

何故そんなに急ぐのか、もう少し地元の皆さんと話し合ったらどうですか?と裁判所も思ったのではないか?

 

なるほど・・

そうかもしれない。

そうなら嬉しい!

結論がまだ先になるということは、それまで工事は始まらないということ。

地元地権者をはじめ私たちも安心して年末年始が迎えられるし、1月の佐世保大集会にも集中できます。

また、県や佐世保市とも、話し合いの機会が再び持てるかもしれません。

 

弁護団の先生方は、こうもおっしゃいました。

「裁判官も収用委員も人間です。こちらが誠意を持ってぶつかることが大事です」と。

 

さあ、次は、16日の収用委員会です。

収用委員の先生方に、私たちの「誠意」が伝わるよう、がんばりましょう〜 

 

 

比較すべきは他都市とではなく、過去と現在

12月4日の県議会において、知事は「石木ダム建設は地域にとって必要不可欠」な事業と明言しました。

また、先月27日の定例記者会見においても、記者の質問に答え、

「大体同規模の都市の生活用水量を見てみますと、全国14都市を平均すると1日当たり253リットル使用されているわけですね。佐世保市の現在の使用水量が189リットル、これが石木ダムをつくって207リットルを確保しようとする計画でありますので、決して過大な計画にはなっていないのではないかと私どもは思っているところであります。しかしながら、なかなかそういった点のご理解がいただけない状況が続いてきております」と語っています。 

 

知事が指摘したように、私たち佐世保市民の生活用水の使用量は確かに他都市と比べて少ないです。

しかし、そこには井戸水の利用があります。

自宅に井戸のある家がけっこうあり、庭の散水や車の洗浄などに使われています。

その数がどのくらいに及ぶのか、水道局に情報公開請求しましたが、記録がないのでわからないとのこと!

井戸は市民が保有している水源です。こんな大事なことをなぜ調べないのでしょう?

 

また、仮に、井戸水の使用量が思ったほど多くなかったとしても、

それなら、佐世保市民は本当に節水意識の高い市民として誇るべきことです。

何も平均値を目指す必要はありません。

例えば、県内の交通事故が全国平均よりかなり少なかったとしたら、平均に近づくよう増やそうとするでしょうか

そんなことはありえませんよね。

節水も同じように誇るべきこと。今や節水の時代です。メーカーは節水機器の開発に余念がありません。

 

比較すべきは他都市とではなく、過去と現在です。

昨年度の一日最大給水量は79,930m3でしたが、

5年前の一日最大給水量は85,660m3でした。約6,000m3も減っています。

10年前は96,180m3でしたので、10年間で約16,000m3も減っているわけです。

このように実際は減り続けているのに、予測では急増ですから、過大と言われるのは当然です。

 

昨年3月、市は再評価結果を国に提出しましたが、
 
そこに示されている平成26年度の最大給水量の予測は、91,717m3でした。
 
今年度の実際はどうかと言うと、現時点までのところ、7月に記録した76,970m3が最大です。
 
その差、15,000m3もあるんですよ!
 
この予測値が出されたのはわずか1年半前ですから、佐世保市の予測がいかにデタラメか素人でもわかります。
 
なぜ知事にはそれがわからないのでしょうか??
 
佐世保市の説明を鵜呑みにしているのか、わからない振りをしているのか、わざとわかろうとしないのか…
 
いずれにせよ、迷惑してるのは県民です!
 
 

「ながさきたより」12月号の石木ダム特集に物申す!

「ながさきたより」12月号に掲載された記事をご紹介します。

6ページにわたるカラー刷りで「マナビさん」と「ハカセくん」がQ&A式で、わかりやすく説明しています。

まず石木ダムの概要が書かれています。

80%以上の地権者が同意して出て行ったんだよー、残り2割の住民のために進められないんだ!

と言いたいようですが、

事業着手から40年もの間、なぜ事業が進まなかったのか?

なぜ40年もの間、残り2割の人は反対を続けているのか?

そのことが何も書かれていません。

そして、40年間ダムがなくても私たちは普通に過ごしてきました。

 

「現在おこなっている河川の改修が終われば、戦後最大の雨には対応できる」と県も認めています。

でも、それだけでは心配だから「100年に1度の大雨に対応できるように石木ダムを造らねば」と言いますが、

石木川と合流地点より上流の川棚川流域では30年に1度の大雨に対応できる計画のままなんですよ。

同じ川棚町民なのに、おかしいですね、この差別。というより、

石木ダムの目的を産み出すために、わざとこのような差別的な計画をしているのでは?と勘ぐってしまいます。

 

危機管理は確かに大切です。

でも、自然の威力は人間の浅知恵をはるかに超えるものです。

100年に1回の大雨に対応できるダムを造っても、200年に1回の大雨が降れば、石木ダムでは対応できません。

同じ100年に1回の雨でも、石木川流域ではなく川棚川本流の上流に降れば、石木ダムは役に立ちません。

近年の豪雨はまさにピンポイントで、どこに降るかわかりません。

ダムができてから水害がひどくなったという話はよく聞きます。

想定以上の雨が降れば、溜まっているダム湖の水を放流しますから、一気にどっと流れ出ます。

それは、ダムがないときの徐々に流量が増えていく時の場合とはまるで違う勢いです。

しかも、ダム湖に溜まっていたヘドロのような泥も一緒に流れ出ますから、被害は甚大です。

いま話題の日本初のダム撤去、荒瀬ダムの場合、そんな水害被害が大きな要因になっているのです。

 

これが不思議なんですねー。

ダムの2倍ものコストがかかるなんて!

河川工学の専門家(今本博健 京都大学名誉教授)は、河道掘削なら石木ダムよりはるかに少ない経費ですむ、

と断言しています。

県が示した案では、掘削は1.2mで経費は161億円でしたが、

今本先生は「掘削は0.5m程度で大丈夫、パラペットを併用すればもっと少なくてすむ」とおっしゃいます。

そして、ある興味深い記事を教えてくださいました。

それは、2001年7月25日の日経 BPネットで、中部ダムを中止した片山善博鳥取県知事の話を報じたものです。

1999年4月に就任した片山善博知事が治水、利水両面で効果が期待できないとして中部ダム建設の中止を決断した。計画を精査した結果、下流域の自治体に水需要がなくなっていたうえ、治水に関しても河川改修の方がダム建設よりもはるかに安い費用で実現できることが分かったためだ。
これまで県は「ダム建設の方が費用は安い」と強調していたが、実際には河川改修費用を過大に見積もったうえ、ダム建設費用を100億円近く少なく説明していた。片山知事が「今ならば間違った説明をしたことに関して責任を追及しないが、将来、嘘が明らかになれば責任を問う」と担当職員に迫ったところ、こうした事実を認めた。

う〜ん、こんな現実がいたるところであるのでしょうね〜

石木ダムもその1つです。

 

そして利水に関しては

こんな表を使って「ほぼ2年に1度は渇水の危機!」と市民の不安を煽っています。

どうして過去39年間という変な振り返り方をするのでしょうか?

平成になってからの25年間(4半世紀)とか、過去20年間とか、キリのいい検証をしないのでしょうか?

それは、かつての渇水被害の多かった時代のデータを取り込むためです。

時代は変わり、人口減少と節水機器の普及に伴い近年ではほとんど渇水危機は訪れていません。

平成6年の大渇水から、断水は一度もありません。

平成17年と19年に減圧給水をやっていますが、市民生活への影響はほとんどありませんでした。

「渇水警戒」と言っても、どの時点で警戒するかは主観的なものです。

ダムの貯水率が80%を切ると大騒ぎする佐世保市水道局は、少し日照りが続くとすぐに警戒態勢に入ります。

平成6年の大渇水がよほどこたえて、羹に懲りて膾を吹く状態に陥っているのか、

はたまたこちらも石木ダムの必要性作りのためなのか…

 

問題はこちら!

現在不安定な水源が、0〜28,500㎥あると書かれていますが、0の日なんてありません。

平成19年の減圧給水したときも、この不安定水源と呼ばれる水を平均で21,000㎥取水していました。

最低でも15,000㎥ほど取っていました。

ということは、安定水源と合わせると、92,000〜98,000㎥あるってことですよね!

さて、それでは現在、佐世保地区ではどれだけ水が使われているかと言うと…、

平均で、71,085㎥/日

最大で、79,930㎥/日

なのです。これは昨年度、つまり2013年度の実績です。水道局から得たデータです。

どうですか?これでも足りないと言うのでしょうか?

そりゃあ何でも多いに越したことはないでしょう。

水でも電気でもお金でも・・

でも欲を言えばキリがない、限られた資源は大切に皆で分かち合っていくべきですよね。

 

ここでも大事な情報が隠されています。

佐世保市の隣、佐々町を流れる佐々川の水利権も実は一日5,000㎥持っています。

ただし、それは渇水で水不足になったときに佐々川から菰田ダムに導水してもよいという権利なのですが、

それが全く使われていません。

ということは?

そう、それほど水に困っていないということです。

他にも佐世保市内には大きな溜池がたくさんあって、長崎県内でもダントツの1位です。

この中のいくつかの溜池の管理者とも、渇水の時は緊急に使わせてくださいとの約束を交わしていますが、

こちらも、一度も実行されたことはありません。

やっぱり、それほどの水不足ではないということになります。

それなのに、

 「石木ダムの建設はなくてはならないもの」と結論づけるのは、どう考えても納得ができません。

これは、地元地権者の皆さんが一番強く感じているところです。

必要のないと思われるダムのために、どうしてもふる里を明け渡す気にはなれないのです。

だから納得のいく説明をしてくれと、何度も頼んでいるのに、

知事や佐世保市長がそれに応じたのはたった1回だけ、あとは部下任せ。

その部下(土木部長や水道局長)たちも、夏以降、話し合いには応じません。

 

なのに、「これからも、地権者の皆さんのご理解を得るため…最大限の努力を続けていきます」と結んでいます。

地権者の理解を得るための最大限の努力をする気があるなら、まず知事が出てきて、地権者と対話すべきです。

それ以外のどんな努力があると言うのでしょう。

知事が話したいのは「生活再建のための説明」であり、それは地権者がダム建設を納得してからの話です!

 

私たちの税金を使って、こんな手前勝手な記事を載せないでほしい! 

そんなに石木ダムの必要性を県民に訴えたいのなら、公開討論会に応じてください。

私たちは何度も要望してきました。

そのたびに、もう国の結論が出ている、その話をする段階は過ぎたと突っぱねたではありませんか。

それなのに、私たちが反論できないところで、都合のいい説明をして県民世論を納得させようなんて…

とてもフェアとはいえませんね。

よほど県は自信がないのでしょうか?  

 

「今こそ考えよう石木ダム」佐世保大集会のお知らせ

来年のことを言うと鬼が笑う、なんていいますが・・

明日から師走、今年も残すところ後1ヶ月。

もうそろそろお知らせしてもいいでしょう?

ジャーン!

このチラシに書かれているように、来年1月18日(日)午後1時半から、

アルカスSASEBOで、「今こそ考えよう石木ダム」大集会を開催します!

詳しいことは、また近づいたらお伝えしますね。

 

今はとにかくカレンダーに印をしっかり入れておいてくださいね。

石木ダムに関心のある人もない人も、さあさ、まずは映画をご覧あれ!

寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、素晴らしい映画『ダムネーション』を上映しますよ。

何が素晴らしいかって?

それは観てのお楽しみですが・・・

この映画のテーマはダム撤去です。

 

アメリカ全土に造られた75,000基ものダム。

その多くは川を変貌させ、魚を絶滅させ、凄まじい環境破壊を起こしてきました。

もうダムは要らない、撤去に立ち上がったダムバスターたち。

50年前はクレイジーと言われた彼らは、今やその信念とユーモアで多くの支持を得ています。

 

 

映画『ダムネーション』のプロデューサーで生物学者のマット・シュテッカーさんはインタビューを受け、こう語っています。

(livedoor NEWS 2014年11月29日) http://news.livedoor.com/article/detail/9522044/ 

 

──まず最初に、なぜ『ダムネーション』をつくろうと思ったのかを教えてください。

人々に、川への関心をもっともってもらいたかったんだ。破壊的なダムの力、そしてそれがなくなったときにどれだけ速く生態系が回復して、自然と社会に恩恵が与えられるのかを観てほしかったそれから撮影当時、アメリカでは3つの大きなダムが取り壊されようとしていた。だからイヴォン・シュイナード(パタゴニア創設者)とぼくは、そのアメリカの歴史的瞬間を捉え、川が蘇る姿を記録しようと思って映画を撮ることを決めたんだ。

──あなたが自然の大切さに気付いたきっかけはなんだったのでしょうか?

大切さに気付いた「瞬間」というのはなかったと思う。ぼくは小さいころから兄弟と川で遊んだり、釣りをしたりしていたからね。自然というのはただ単に楽しい場所で、ぼくはそこで育ち、自然からたくさんのことを学んでいるんだ。自然は常にぼくという人間の一部であったと思うよ。

──映画を観て、ダムの問題は、いま原発に対して問われている問題と共通する部分があると感じました。

ぼくもそう思う。ダムに限らず、原子力発電や火力発電は時代遅れのテクノロジーで、そういうものがたくさん建てられた時代には、いまのような太陽光や風力といったエネルギーはまだなかったんだ。ぼくたちは危険で時代遅れなテクノロジーにお金を使うのをやめて、よりクリーンな他の方法に目を向けるべきだね。

 

──映画に登場する人々は、「クレイジー」と呼ばれたことを「常識」に変えました。そのような変化を起こすには、何が必要なのでしょうか?

変化を起こすことができるという、情熱と自信をもつこと。アメリカのダムを取り壊すプロジェクトも、最初は情熱をもった1人か2人の普通の人から始まったんだ。日本ではまだ多くの人が「ダムをなくすなんてクレイジーだ」と思っているけれど、20年前のアメリカもそうだった。でもひとつダムが壊されると、川が蘇り、魚が戻り、人々がそこで楽しむ姿を見ることができる。そういう成果はドミノ倒しのように広がっていくんだ。

──映画で描かれる活動家は、豊かなユーモアをもっていますよね。ユーモアは、どんな力をもつのでしょうか?

こういう問題に積極的に関わろうとしない人が多いのは、ユーモアが足りてないからだと思う。問題を訴えるためにみんなが道路に集まって抗議を起こす必要はないけれど、ユーモアやアートを組み合わせることで、人々の興味を惹き、巻き込むことができると思うんだ。例えば映画に登場する活動家は、ダムに大きなヒビを描くことでそのバカバカしさを示している。そのヒビを見た人は、「すごい」と思って興味をもったり、「なんであそこにダムがあるんだ?」と不思議に思ったりするよね。ユーモアには、人々に疑問をもたせる力があるんだ。

──映画も、人々に問題を提示するアートのひとつですよね。

映画のいいところは、誰かに「ダムは悪いものだ」と言われるのとは違って、観た人それぞれが心の中で考え、判断できることだと思う。ほとんどの人はこれまでダムについて聞いたことがないと思うけど、この映画を通して、「エネルギーや水を得るためのより良い方法がある」という結論にたどり着けるんじゃないかな。

──最後に、ぼくたちが自然と共存していくために必要な考えを教えてください。

ダムを守ろうとしている人たちは、0か100かの議論をしているんだ。ダムを取るか、魚を取るかってね。でもこの映画を撮ってわかったことは、ぼくたちはそのどちらをも取れるということなんだ。

人間はきっと携帯電話を手放すことはないだろうし、電気を使わなくなる必要もない。でもこの20年で太陽光や風力といったエネルギーが増えたことや、これからの20年で起こるテクノロジーの進化を考えれば、ぼくたちは豊かな生活を、より自然にやさしい方法で実現していくことができると思う。

 

いかがですか?がぜん興味がわいてきた?

マットさんも言ってるように、映画を観た人それぞれが考え判断すればいいのです。

私たちはより多くの人にダム問題に関心を持ってもらい、考えてもらいたい、ただそれだけです。

 

「ツール会議」を振り返って

この美しい景色を一望するのは、山梨県北斗市の清里にある清泉寮。

そこで4日間におよぶ「草の根活動家のためのツール会議」に参加してきました。

パタゴニア主催、2年に1回開催されており、今回で4回目だそうです。

今回は、映画『ダムネーション』の上映会もあり、ダム関係者がかなり参加していました。

(通常の割合は知りませんが・・)

日本中の人が知っている八ッ場ダム、日本初のダム撤去で注目されている荒瀬ダムをはじめ、

設楽ダム、川上ダム、二風谷ダムなどなど・・・

そんな中、最も小さな石木ダムについて、多くの方が関心を示してくださったのは、

やはり、そこに人が住んでいるということ。

ダム建設予定地に何十年も住み続け反対し続け、自然を守り続けているということ。

それも数人ではなく、13世帯60人も住んでいるというかつてなかった事実に誰もが心を動かされたのだと思います。

様々な分野の人と出会い、様々な助言をいただきました。

それを今後にどう活かせるか…今は目の前の課題をこなすことで精一杯の状況ですが、

少し落ち着いたら、じっくり考え、とりくんでいきたいと思っています。

それが私たちに出来る「ツール会議」への唯一の恩返しですから。

 

それにしても「ツール会議」って、何?と思うでしょ?

私も初めは全く???でした。

ツールなので何か道具を使いこなすこと、例えばソーシャルネットワークの活用術とか・・

その程度の予測はしていましたが、もっと奥が深かった〜

 

ねー!

ムズカシイでしょう〜

なんとなくわかるけど、説明しろと言われたらできませーん。

特にこの言葉には、はじめ戸惑い、後で納得。

深く心に沁みました。

私たちは石木川流域の多様な生態系を守りたい、そのためにダム建設を阻止したい、と思いながら、

私たちの活動は多様性があるとは言えなかった、

違う考えの人たちや無関心な人たちとも繋がり合う努力が足りなかったな〜と実感。。

 

初めからそこを踏まえて地域のいろんな人たち(漁業者や農業者、自然観察会メンバー、

女性の会、アウトドア関係者など)と繋がり広がっていった熊本の事例は、素晴らしいお手本。

 

その熊本で大活躍、いえいえ、日本中のダム反対・ダム撤去の仲間から最も尊敬されているつるさんの基調講演もありました。

つるさんのお話はとってもわかりやすいのです。

写真中心だから、ほら!一目瞭然でしょ?

本流球磨川と支流川辺川の合流地点の水の違い。

上流にダムのある球磨川は濁っているけど、ダムのない川辺川はこんなに透明なブルー。

 

荒瀬ダムの撤去が決まりゲートを全開してしばらくすると、青のりがこんなに伸びたそうで・・

もちろん、撤去が始まった今はたくさんの魚介類が種類も数も増え、豊かな川と海が戻りつつあって・・

その現実を目の当たりにしている地域住民はみんな荒瀬ダム撤去という公共事業を大歓迎しているそうです。

つるさんは言います。

「荒瀬ダム撤去が他の公共事業と違う点は住民に喜ばれていること。

 工事業者も県の職員も住民も一緒になって工事の成功を祈り進めている」と。

 

でも、それって、ちょっとヘン。

公共事業って本来そんなものでなくてはならないのでは?

公共の事業ですもの、公益に資する事業、多くの住民のためにやるはずだけどなー。

 

石木ダムをはじめ、多くの公共事業は誰のためにやろうとしているのでしょう 

 

 

 

11・16 石木ダムのための強制収用を許さない佐世保集会

昨日の石木ダム強制収用反対集会は、予想以上の参加者で会場は熱気ムンムン・・・

気分を悪くして倒れる方が出てしまい、主催者として深く反省しています。

進行が予定より遅れていたので、そちらにばかり気が行ってしまい、

室温や換気についての気配りが全くできていませんでした。

暖房は一切入れてなかったのですが、

お天気だったので、窓越しの日差しが室温をぐんぐん上昇させてしまったのでしょう。

緒方弁護士がフォローしてくださったように、参加者の熱意が輪をかけて室温をあげた?のかも・・・

でも、倒れた方はまもなく回復され、大事に至らずホッとしました。

 

昨夜はTVニュースで、今日は新聞各紙が伝えていました。

 

本当にやって良かった!と思える集会でした。

参加者の半数近い66人がアンケートを提出し、そのほとんどが感想欄にびっしり書かれていました。

多くの人が「参加して良かった」「とても有意義な集会だった」「弁護団の話が大変わかりやすかった」と書かれていました。

具体的には、

・石木ダムは利水でも治水でも必要のないことがよくわかった

・佐世保の水の需要予測は本当におかしい、周りの人にも伝えたい

・石木ダムは自分たちの問題だと感じた、目からウロコだった

・若い地権者の言葉に感動した、今度現地を訪ねてみたい

・こんな集会を川棚でも開いてほしい

などなど、実感のこもった感想が綴られていました。

 

私自身も、聴きながら、なるほど〜、そうだ!、うんうん、

と感心したり、納得したり、共感したり・・・

 

板井弁護士:大型公共事業は住民が決定するもの。治水問題は流域住民が主人公。

馬奈木弁護士:私たちが勝つには行政を圧倒する力をつけなければならない

          それは、決して行政をやっつけることではない

          行政側よりも優れた対案を提起し、それを議論する

          これは長距離マラソン、走りながら力をつけよう

 

そして、地権者からの訴え。

 

今では4人の子の父親であるMさんは、強制測量の時、小学2年生でした。

あの時の記憶は心の傷として残っている。

子どもには同じ思いをさせたくない。

私たちは自然によって生かされている。

自然を壊すのではなく、このダム計画を壊して欲しい。

そう言うと、会場からは大きな拍手がおこりました。

 

主催者からは、強制収用反対署名への協力と、来年の佐世保大集会への参加を呼びかけましたが、

アンケート結果を見ると、66人中53人が参加、わからない9人、参加しないは0でした。

そして、実行委員や賛同人としての参加希望が8人もいて、びっくり!

 

さあて、またまた忙しくなりそうです。

来年1月18日の大集会まで、あと2ヶ月。

その間、選挙あり(多分)、お正月休みあり・・・

時間がないな〜と、仲間内では頭を抱えていますが、

ま、成るように成るさー