県議会、意見書可決

10月15日、長崎県議会は本会議において、

石木ダムの事業認定申請を求める意見書を採択しました。

 

賛成38、反対5、棄権2でした。

 

反対した議員の一人、堀江ひとみ議員の反対討論をご紹介します。

 

 ただいま議題となりました石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書につきましては、

以下の理由で反対いたします。 

 

 事業認定が、地権者との話し合いの場をつくるためと言っても、強制収用に道を開く 手続き

そのものです。事業認定手続きは、住民の不安と不信を募らせるばかりです。

30年前の機動隊導入による強制測量が引き起こした事態への反省もなく、再びこれを繰り返

すならば、地権者のみならず県民の理解を得ることは到底できません。

「生まれ育ったここで農業を続けたい」「ここに住み続けたいだけなんだ」という、住民の憲法で

保障された権利は、誰であっても、踏みにじることは許されません。

強制収用という野蛮な行為は、絶対にすべきではありません。

 

 国は石木ダムの事業継続を決定しましたが、「地域の方々の理解が得られるよう努力すること

を希望する」と、意見をつけています。

国が求めた努力をせずに知事は、国土交通省九州地方整備局に対し、事業認定手続きを求め

ました。県民からは、こうした行動が、不誠実で一方的な行動であり怒りさえ感じるとの声が寄せ

られました。

 本意見書を、県議会が採択することは、反対土地所有者のみなさんとの話し合いの場も、さらに

遠ざけると判断します。

 

  本意見書では、佐世保市の安定的な水資源確保のために、石木ダムが必要不可欠な事業と

して、多くの人が認めていると述べていますが、そうは思いません。

 いま佐世保市が提供できる水の、提供能力は、安定水源・不安定水源と合わせて、毎日平均、

9万2,000トンです。佐世保市民の使用水量は、1万トン近い漏水も入れて7万4,000トンです。

9万2,000トンの水があって、使用している水量は7万4,000トン。おつりがきます。

 水不足ではなく、佐世保市の水は足りています。

それなのに、新たに1日4万トンの石木ダムが、どうして必要なのか。説明がつきません。

 

 石木ダム計画も含めた水需要予測は、一日13万トンです。

これは人口の約2倍ある長崎市が毎日使用している水量です。人口は長崎市の半分しかない

のに、使う水の量は長崎市と同じぐらいの、水需要を求めるということ自体、いかに過大な需要

設定であるか、明らかです。

 

 9月24日付毎日新聞では、「石木ダムの水需要予測プラスに転じる材料乏しく」と、報じてい

ます。佐世保市の11年度水使用の実態は、需要予測に反して、予測値よりも約2万6千トンも

低くなりました。

 

 水需要予測が実態にあわないこと。過大な需要設定であることが、多くの県民に明らかにな

ってきました。必要のない石木ダム建設は直ちに中止を。この声が、以前にも増して県民、市民、

町民の間でひろがりを見せています。こうした県民の声に応える立場から、意見書には反対です。

 

  以上、反対討論といたします。

 

緊急学習会

お知らせが遅れましたが、

明日、10月13日(土)、午後2時〜

させぼ市民活動交流プラザにて、学習会を開きます。

 

石木ダム問題の現状について学習します。

6月11日国交省の判断が示されて以降、何がどのように変化しているのかいないのか、

国の判断を県や市はどう受け止め、どう動いてきたか、

九州地方整備局はその後どのような動きを示しているのか、

佐世保市議会は?長崎県議会は?地元住民は?

とりわけ、佐世保市水道局は?

そのような現状を整理し、共通認識を深めたいと思います。

 

なぜ、とりわけ水道局かと言いますと、

今年度の再評価委員会開催に向けて、もうタイムリミットが刻々と迫っているからです。

それでも未だ準備が進まない?進めない?のは何故か。

より良い再評価を望む私たちにできることはないのか、考えていきたいと思います。

 

お時間と関心のある方は、どなたでもご参加ください。

 

今日の愛媛新聞の社説では、山鳥坂ダムの検証について、問題点をズバリ指摘しています。

そもそも検証の在り方自体が当初から批判されてきた。国交省が自らの事業を検証する矛盾。

当事者である自治体がダム推進を口にする矛盾。立場を逸脱していよう。

まず国は、過去のダム事業推進の姿勢を謙虚に省みた上で、

3年間もの怠慢を猛省しなければならない。

その上で検証手法の改革と、公平公正な結論を急ぎ求めたい。

まさにその通り。

山鳥坂ダムは国営ダムですから、これを石木ダム問題と水道局に当てはめて考えると、

水道局が自らの事業を再評価しようとする矛盾。

過去のダム有りきの姿勢を謙虚に省みた上で、

今年度に入ってから10ヶ月も何も準備してこなかった怠慢を猛省しなければならない。

その上で、再評価手法の改革と、公平公正な結論を急ぎ求めたい。

やればできる脱ダム

今夜の報道ステーションは、滋賀県の嘉田由紀子知事にフォーカスし、

まさに「コンクリートから人へ」を実現する、見事な脱ダム政策を紹介してくれました。

 

嘉田知事は北川第一ダム、芹谷ダム、国営の大戸川ダムの3つのダムを凍結しました。

民主党が掲げたキャッチフレーズ「コンクリートから人へ」の象徴だった八ッ場ダムは、

政権交代当初、中止を明言していたのに、2年後にはあっさり継続と変更  

4600億円の税金が投入されます。

滋賀県にも国営の大戸川ダムの計画があったけれど、嘉田知事が3年前に凍結。

知事は、莫大な予算と時間がかかるダムより、

河川改修のほうが、水深を確保でき、予算も大幅に減らすことができると自ら検証

さらに、大阪府や京都府などにもダム凍結した方が費用対効果が高いことを納得させました。

しかし国はあきらめず、官僚からの激しい抵抗があり、

大戸川ダムの凍結を堺に国の補助金を2割以上減少させたそうです。 

 

国がダム建設にこだわる背景を、元国交官僚の宮本さんは、

「役所は個人の部局のためにダム建設を進めている」と河川ムラの存在を語っていました。

そんな巨大な官僚の抵抗にも負けず、なぜ嘉田知事はダムを凍結できたのか?

 

それはきっと、農村研究や農に欠かせない水問題にも精通した専門家だったことが大きいのかも…

洪水対策には、河川改修やハザードマップが有効であることに自信を持っていたから、

内部からもあれほどの抵抗を受けながら、揺るぐことがなかったのでしょう。

また、住民への保障も重視し、ダムを凍結しても地域振興策を続けることを約束、

ダムを凍結した資金で、就労支援や介護・衣料の充実を図り、

住民も次第に理解を示し始めました。

結局、嘉田知事は、合わせて1908億円かかるダムを凍結し、

洪水対策として104億円かけて河川改修をやるという政策を実践しているのです。

 

コストの面ではもちろん、洪水対策としても、地域対策としても、

地に足のついた、住民の暮らしを守る政策です。

TVを観ていて、感動さえ覚えました。

 

こんな知事がもっともっと増えて欲しいものですね〜 

 

中村知事への公開質問書

去る9月14日、知事は、九州地方整備局に対し、

「足踏みしている事業認定手続きについて、早急に進めていただくよう」

電話で要請を行っていた、ということを、私たちは10月5日に確認しました。

 

この行動は、国交大臣が要望した「地域の方々の理解を得る努力」とは正反対のもの、

地権者の気持ちを逆なでするものです。

とても看過できません。

 

そこで、私たち5団体は、次のような公開質問書を県知事宛に送付しました。

回答期限は10日後としました。

10日あれば、お答えいただけますよね?

中村知事の誠意ある回答をお待ちしています。

 

 

2012年10月8日

 

長崎県知事 中 村 法 道 様

 

石木ダム建設絶対反対同盟

石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会

水問題を考える市民の会

石木川まもり隊

石木川の清流とホタルを守る市民の会

 

 

石木ダム事業認定に関する公開質問書

 

 去る6月11日に国土交通省は、長崎県に対して石木ダム建設事業に関する国土交通省の対応方針を伝え,あわせて「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨を通知しました。

ところが新聞報道等によると、貴方は9月14日の県議会一般質問に対する回答で、国土交通省九州地方整備局に対し「あらためて事業認定手続きを早急に進めていただくように要請する」と表明し、直ちに事業認定手続き促進要請を行ったそうです。私たちは貴方のこの行動を容認できません。国土交通省が求めている「理解を得る努力」を何ら行っていないではありませんか。私たちは貴方の不誠実で一方的な行動に怒りさえ感じます。

認定庁が動かない、いや動けないのはいろんな理由があるからです。そのひとつに国土交通省は長崎県の行動を監視する責務があるからです。上記の通知文が意味することについて6月27日に社民党の中島隆利衆議院議員 吉田忠智参議院議員が国土交通省の担当幹部(水管理・国土保全局の森北佳昭・治水課長、泊宏・河川計画調整室長)からヒアリングを行いました。

2012年6月27日の中島隆利衆議院議員 吉田忠智参議院議員の国土交通省ヒアリング 

主な質疑応答

        (答:森北佳昭・治水課長、泊宏・河川計画調整室長)

質問:国土交通大臣から長崎県知事への通知文書は国土交通大臣の意思であると解してよいか。

答:  国土交通大臣の意思が入ったものである。

質問:国土交通大臣の通知についてあとのフォローをどうするのか。

答: 新聞報道によれば、県は地域の理解に向けては誠心誠意努力すると述べているので、国土交通省としては見守っていく。通知を出したから終わりということではない。

質問:もし長崎県が通知を無視して、地元の理解を得る努力をせずに強行した場合はどうするのか。

答: 仮定の話には答えられない。

質問:長崎県が事業推進のための補助金の増額申請をしたときに、長崎県の姿勢が通知とは異なると判断された場合はどうするのか。

答: 仮定の話には答えられないが、国土交通省としては長崎県の姿勢を見守っていく。

その時の主な質疑応答は次のとおりです。(提供:水源開発問題全国連絡会)

上記のとおり、国土交通省から長崎県への通知文「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」は、国土交通大臣の意思が入ったものであり、それゆえに国土交通省としては通知を出して終わりということではなく、長崎県の姿勢、すなわち、通知文の趣旨に沿って努力することを国土交通省が見守っていることを、担当幹部が明らかにしました。

仮定の話に答えられないということでしたが、長崎県がこの努力を怠った場合は国土交通省として何らかの対応をすることになるのではないかと推測されます。

そこで下記の質問にお答えください。先の長崎県による「事業認定手続き促進要請」行動は、私たちに不信感を与えています。誠意ある回答を期待します。

 

1 国土交通省から通知された対応方針「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」に対しどのような努力をされましたか。

2 私たちは、長崎県が事業認定申請を取り下げて、石木ダム建設事業について白紙の状態で話し合うことを求めます。公開の場で双方が納得のいくまで討論し合うことは、「地域の方々の理解を得る努力」のひとつとして評価されると思いますがいかがですか。

3 石木ダム事業は諸々のデータを精査すればすでに破たんしています。この際勇気ある撤退を検討する時期と思いますがどうですか。

 

以上の3点に対するご回答を10月18日(木)までに下記の連絡先へ文書でお寄せくださるようお願いいたします。

 

 

神奈川はこんなに水が余っていた!

先月、渇水で大騒ぎしていた首都圏。

貯水率が激減した矢木沢ダムの映像を何度も流し、

「だから八ツ場ダムが必要なのだ」とメディアも言いたげ・・・

 

おかげで、こちらまでトバッチリを受けました。

佐世保市議会は、

「もし今の関東地方で起こっている渇水が九州で発生すれば、本市はひとたまりもありません

おそらく厳しい給水制限を余儀なくされた平成6年以上の大渇水となるのではないでしょうか」

と意見書の中で述べ、危機意識を煽っていました。

 

ところが、

現実は、あの時も、関東は危機ではなかったようです。

たしかに利根川水系の水は激減していましたが、

東京のお隣の神奈川県では、「八ツ場ダムを造らないで、こっちの水を買ってくれ」

と言いたいくらい水が余っていたのですから。

 

余分なダムをたくさん造ったために、

使っているのは半分ほどで、あとの半分はまさに「水に流して」いるそうです。

しかも、そのダムからの水は、自己水源(地下水や河川水)の3倍もの価格になるらしい。

そのわけは・・・

こちらの動画をごらんください。

とてもわかりやすい!

 

 

 

どこでも、ダムを造るときは、

過大な予測をたてるんですよねー。

その予測を立てた方は、今頃どうしているんでしょうね〜

何年も借金を背負わせて、市民はめっちゃ高い水道料金を払わせられて、

その方は心苦しくて「水も喉に通らない」のでは・・・?

な〜んてことはありえませんね。 

 

沙流川水害訴訟と平取ダム検証結果

毎日新聞北海道版 2012年10月06日によると、沙流川水害訴訟で国の敗訴が確定したそうです。

 

2003年の台風10号による豪雨災害を巡り、

札幌高裁が国の責任を認め、約3190万円を住民側に支払いを命じた沙流川水害訴訟について、

羽田雄一郎・国土交通相が5日、上告をしない意向を明らかにしたからです。

2003年8月10日、日高町の沙流川にある二風谷ダムが大雨で決壊しそうになったため、

道開発局がダムの水を放流したところ、下流の支流で逆流が起き、

約55ヘクタールが冠水し、床上浸水などの被害が出ました。

原告弁護団の市川守弘弁護士は

「9年間も待たせず、被害が発生してすぐに賠償すべきだった。

ダムが凶器になることは明らかで、国の対応は住民よりダム政策を優先させたもの

と批判しました。

 

国の上告断念を受け、

原告の一人、日高町の農業、矢野静雄さん(74)は

「長かったが国が誤りという判断が出てうれしい。国は国民の安全を守ることを第一に治水をして」

と語り、

小野有五・北大名誉教授(環境科学)は

「国は二風谷ダムを利水ダムとして造りながら治水にも利用。

治水用なら空にしておかなければならないのに、多目的に使ったため限界水位に達するのが早かった。

国はダム政策を見直す必要がある」と話しました。

 

原告弁護団は

「判決は、住民の安全を軽視した国の河川行政のあり方そのものに警鐘を鳴らすもの。

国はダムに依存しない治水政策への転換を」との声明を発表しました。

 

それなのに…

その同じ沙流川に、平取ダムの建設計画があり、

その検証結果が数日前に継続と決まり、まもなく有識者会議に報告されるようです。

 

同じ沙流川に1996年に完成した二風谷ダムは16年しかたっていないのに、

すでに総貯水容量の約45%が堆砂で埋まっています

その沙流川にもう一つダムを造るなんて、日本の河川行政は狂っています

と、水源連の嶋津さん。

 

反対する市民も、

泥水で死んだ川をつくり、堆砂に拍車をかける

世界遺産に匹敵する文化的景観とアイヌ民族伝統の祈りの場などを水没させてはならない

 

この声に耳を傾ける河川官僚はいないのでしょうか・・・

反対討論

昨日の佐世保市議会が採択した「石木ダム建設事業に対する事業認定の早期進展を求める意見書」について、二人の議員が反対討論をされました。

たいへんわかりやすくて心のこもった討論でした。

その原稿をいただきましたので、ご本人の許可を得て、公開します。

(順番は討論の順)

 

1.速見議員の討論

意見書案第16号 石木ダム建設事業に対する事業認定の早期進展を求める意見書について反対の討論をいたします。 

石木ダム建設事業を巡り、37年間経過した現在においても様々な問題が残されたまま推移してきました。

1972年(昭和47年)7月29日、長崎県は地質調査を行うにあたって、「地質調査はあくまで石木川の河川開発調査」であってダム建設につらがらない、「地元の人が一人でも反対するならダムは造りません」「調査だけでもさせていただけないか」と長崎県が説明し、当時の川棚町長が土下座までして頼まれたため、地元の皆さんは、地質調査だけということで、「地元の同意が得なければ独断専行はしない、強制執行等の行為に出た場合は総力を挙げて阻止行動をとる」等の覚書を当時の長崎県土木部長の立ち会いのもとで交わされ、同意された訳であります。

長崎県は、2年後の1974年(昭和49年)地質調査が完了するや否や「国の石木ダム建設予算がついた」と発表しました。驚いた地元の皆さんは県庁に出向き、当時の知事へ面会を求めた際、知事は「一人でも反対する人がいればダムは造れないし、造らない」と約束しました。

しかし、1982年(昭和57年)4月2日、当時の知事は土地収用法第11条に基づく立ち入り調査を公告、川棚町もこれを受理しました。

同年5月21日10時10分、地元住民の反対を押し切って、ついに県警機動隊を導入、延べ7日間にわたり400名の機動隊を動員し、強制測量を行った訳であります。この行為は、長崎県が残した最大の汚点と言わざるを得ません。

石木ダム建設問題の解決を遠ざけた背景には、この強制測量が今日に至っても根深く存在している中、事態は硬直状態が続いているのが現状であります。

その後、27年間大きな動きはなかったものの、2009年11月6日、長崎県は、反対地権者との話し合いを行うためと説明し、土地収用法に基づく「事前説明会」行い、同年11月9日に事業認定申請を国土交通省九州整備局に提出しました。長崎県が言うように事業認定が許可されたら話し合いの場が持てると言っておりますが、その話し合いはあくまでも「家屋移転補償費や生活再建策の具体的な話し合いがなされる」と県が言っている訳であります。

反対地権者は、「家屋移転補償費や生活再建策の話し合い」ではなく、「ダム建設の必要性」「ダムに代わる方法について他にないか」などについてお互いの有識者などを入れて公開の場で話し合いをしようと再三要請をしてきているにもかかわらず、長崎県は、話し合いに全く応じないと言っています。県は、反対地権者の声にもっと耳を傾けるべきです。

一昨年の3月24日、長崎県は付け替え道路の工事に着手しました。その説明で長崎県は「ダム建設と付け替え道路の工事とは別ですから工事だけはさせて下さい」と言ってきましたが、付け替え道路買収用地の所有者には反対地権者がいる訳でありますから、地権者の同意がない限りは付け替え道路もできるはずがありません。現在、中断していますが、反対地権者が訴えている話し合いに応じなければ、今後も付け替え道路工事は中断したままになるのは明白です。

政権が交代し、国から、「ダムによらない治水・利水の見直しの再検証」をするよう長崎県は求められました。その際、地元反対地権者は、地元住民と学識経験者を再検証の場に参加させるよう求めましたが、この要請についても地元の声に耳を傾けようとせず、これも無視されました。

長崎県と佐世保市長・川棚町長・波佐見町長の4者で行われた検討の場においては、石木ダム事業を継続とし国に報告しました。

国の第22回「今後の治水対策の在り方に関する有識者会議」は県の方針を了承しました。しかし、地元には事業に反対する声が根強くあることから、有識者会議の中川座長は「石木ダムに関しては、事業に対して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」と付帯意見が付けられたことはご承知の通りです。

次に、私はこれまで、水需要予測においても佐世保市議会でやり取りを行ってまいりました。

1975年、当初の石木ダム建設計画で長崎県は、針尾工業団地のへの配水と、佐世保市の人口増加に伴う水源確保と言ってきました。

1975年の佐世保市の水需要予測は「現在1日最大給水量9万3,910トンですが10年後の1985年には16万1,400トン必要になります」と言い、平成19年度においての水需要予測での1日最大給水量は平成23年度においては10万5,730トンが必要、平成29年度には11万1,410トンが必要と言ってきました。

しかし、人口は減少、水需要も減少、平成23年度1日最大給水量の実績は8万240トン、その差が2万5,490トン、1日平均給水量の実績も7万1,153トンに減少傾向にあります。

佐世保市、市議会もそこをしっかり見極めなければなりません。

石木ダムありきを見直す必要があります。

今年度は水道施設整備事業の評価についての年度に当たります。

昨年7月7日には厚労省健康局水道課長から水道施設整備の評価の実施について通知がなされ、佐世保市水道局とされても鋭意努力はなされていると思われますが、これまでの実績は消すことはできませんし、今後の大きな課題といえます。急がなければなりません。

次に、石木ダム建設事業に同意されていない13世帯の皆さんは、「私たちの率直な気持ちに耳を傾けてほしい、私たちが訴えている話し合いに応じてほしい、しかし、私たちの同意がないままダム建設を強行するならば、豊かな自然を子や孫へ残すため、命をかけて阻止する覚悟はできています。1日も早く石木ダム建設の白紙撤回を願っています」と自分たちの思いを訴えられています。

今年、6月11日付で国土交通省水管理・国土保全局長からの通知にもありますように、先ほど述べました有識者会議の付帯意見の重みをしっかり受け止める必要があります。

まず、やるべきことは地元地権者が求めている話し合いを最優先させることが必要ではないでしょうか?石木ダム建設事業は、今まさに行き詰っています。原点に返ることが求められています。

従って、土地収用法に基づき強制収用が可能となる「石木ダム建設事業に対する事業認定の早期進展を求める意見書」に反対であります。

 

2.山下議員の討論

石木ダム建設のために事業認定早期進展を求める意見書の提出に大反対です。

それがどういう意味をもつのか、考えてのことでしょうか。

石木反対地権者の家土地財産を土地収用法で強制的にとりあげることを迫るということです。中村県知事はそうすると県議会で態度表明したし、現に認定庁に働きかけを行いました。佐世保市議会もまた、こんな野蛮なことをいっしょに行うというのでしょうか。

皆さん、石木川原の人たち、どんな悪いことをしたというのでしょうか。

故郷に住み続け、先祖の墓を守り、子や孫に美しい故郷を継承させたい、だから踏ん張って農業を続け棚田も守り、地域を離れることなく、13世帯71人の家族構成を守って半世紀の途方もなく長い間がんばってこられました。大好きだった地域の仲間を分断させられ、権力によるウソや暴力や圧力に耐えながらです。

なぜ13世帯71人なのか、3世代いっしょ、一番多いところで4世代いっしょなのです。そこではお年寄りを敬い、子どもを地域全体で大切に守り、それこそ昔からの日本良き伝統の家族のあり方がそこにはあるではありませんか。そんな人たちを力づくで追い出してどうしようというのですか。

相手を思いやる気持ちを大事にしようという徳育宣言を行った佐世保市議会がやるべきことは、県知事に対し、そんなひどいことはやめなさい、事業認定申請は撤回しなさいとと諭してやることではないでしょうか。

委員長、特別委員会の皆さん、ほんとうに石木ダム建設を促進したいのなら、避けて通れない、すべきことがあります。佐世保市水道局に対して、再評価委員会開催を実現することです。補助金を継続して出してくれるはずの厚労省からの通知のとおりに、再評価委員会開催しなさい、そうしないと補助金打ち切られてしまいますよ、再評価委員会設置要綱どうなったのですか、再評価委員の公募選出はどうなっているのですか、もう再評価委員会に提出すべき水需要予測など資料は整ったのですか。もう時間はありませんよ。5年前の再評価委員会はもうこの時期始まっているのですよとお話しすることではないでしょうか。

今、水道局は頭抱え込んでおられます。再評価委員会開催は避けて通れません。すでに開催準備に着手したとも言っておられました。国の補助金なしに石木ダム建設はすすめることはできないからです。

さりとて、日程など、いまだ沈黙のままです。平成19年度の破たん済みの水需要予測値にとって代わる、新しい水需要予測値をつくることができないからです。下がったままの数値を使用したら、給水実績が下がり続けなのにどうして新しい水源が必要なのか、ましてや日量4万トンものダムなど必要ではないと一蹴されることは明白です。

再評価委員を回避することもできない、さりとてすすむこともできない、まさに立ち往生なのです。

お考えください。ダムは必要ではないことが第3者機関によって明らかにされようとしているのです。その時に、用地取得のために土地収用法という伝家の宝刀抜いて、しかも躊躇している認定庁に向かってその進展を迫るという、今回の意見書提出が、どんなに深刻な矛盾に満ちていることか、ご理解いただきたいと思います。

行政が問題に直面した時、それこそ、議会こそが、問題打開策を提示して行政を手助けすべきと思います。今こそ議会が引導を渡してやるべきです。その苦悩から解放すべきです。一番良いのは、市長が決断してやることです。その市長に意見迫れるのは議会です。

無理して、一滴の水を使用することのなかった、したがって厖大な税金の無駄遣いに終わったダムはもうすでにいくつも生まれています。

幸か不幸か、ダム本体工事着工は来年からということで、確かにもうすでに136億円事業費使ったということはありますが全体工事費530億ということを考えると今の時点で引き返せるというのは、まだましです。

今こそ本当の意味の議会の役割を発揮しようではありませんか。以上問題提起を含めた反対討論を終わります。

 

事業認定の早期進展を求める意見書

 

この意見書案が今日の本会議で採択されました。

いつものように、社民・共産の5議員を除く議員はすべて賛成。

 

たぶん、ほとんどの議員の皆さんは何もわかっていないんじゃないだろうか…

そんな気がします。

国の付帯意見=地域の方々の理解を得る努力をしてくださいよ!

の意味が。

 

認定手続きの中で話し合いの場が得られ…と言いますが、

公聴会は話し合いではないんだけれど、百歩譲って、それを話し合いだと認めたとしても、

それは九地整=国が実施する手続きの中でのこと。

県が努力したことには全くならないわけで・・

地権者の話し合いに応じようとする気持ちに背くことに繋がるわけで・・

そんな簡単なことがどうしてわからないんだろう?

 

九地整が、手続きを再開しないで待ってくれているのは、

県や佐世保市が努力したという実績を示すのを待ってくれているわけで・・

 

でも、県や市は、自分たちは理解してもらおうと何度もアプローチしているが、

地権者の方が門を閉ざして応じてくれないのだから努力のしようがない

と言い訳をするばかり・・

 

意見が対立している相手に、一方的にお願いするのは、話し合いではない。

しかもお願いする方が圧倒的な権力を持っている場合、そのお願いは脅しにも受け取れる。

大勢の第三者がいる場とか、弁護士や専門家が同席するとか、

そんな設定の中で、ダム有りきではなく、ダムの必要性そのものからの話し合いなら、

地権者の皆さんは応じると言い続けているのに、それは県が拒否し続けている。

つまり努力していないのです。

 

そこのところを、佐世保市議の皆さんも理解すべきです。

本当に、そんなに、ダムが必要なら、

県がしない努力を市がやるように、いえ、市議会自らがやってもいいでしょう、

努力して、そのような場を設定して、本当の話し合いをやってみるべきです。

 

そういうふうには思われませんか?

 

 

 

 

 

水道計画室

いま私たちが最も気がかりなのは、「石木ダム事業の再評価」の問題です。

9月3日のブログ https://ishikigawa.jp/blog/cat10/609/ にも書いているように、

水道局は今年度やるべき再評価の準備がめちゃくちゃ遅れています。

厚生労働省の補助金を受けるには、5年に一度義務付けられている再評価の結果を報告しなければならないのに…なぜかその準備が進んでいないことが、14日の議会でも明らかになりました。

https://ishikigawa.jp/blog/cat14/615/

 

もしかしたら…水道局は再評価をパスするつもりではないか?

パスしても補助金がもらえる方策を模索しているのではないか?

そんな夢のような手立てはあるはずもないと思うけれど…

とにかく進捗状況をもう一度しっかり確かめよう!ということで、

石木ダム事業の担当部署である「水道計画室」の直接担当者のお三方とお会いしました。

(経営管理課のお二人も同席で計5人、当方の市民側も5人で同数でした)

 

答えてくださったのは室長と主査のお二人ですが、

お二人とも、丁寧に率直に話してくださって(もちろん話していい範囲のことでしょうが)、

たいへん有り難く感じました。

 

貴重な1時間半でした。

特に私が驚いたのは、次の2点です。

 

再評価=再評価委員会ではなかった!

私たちは再評価といえば、再評価委員会を開催することしか考えていませんでした。

これまでがそうでしたから。

ところが、別のやり方もあるようです。

学識経験者等の第三者から意見を聴取するだけで終わらせるというやり方。

調べてみると、確かに、

厚労省が示す水道施設整備事業の評価の実施については、次のように書かれていました。

 

第3 評価の実施体制と手順

1 地方公共団体等が実施する事業

(1)評価は、国庫補助事業の実施主体である水道施設整備事業者(以下「事業者」と
いう。)が行うものとする。
(2)事業者は、評価に当たり、原則として、学識経験者等の第三者から意見を聴取す
るものとする。
(3)事業者は、第三者からの意見を踏まえて評価の内容をとりまとめ、厚生労働省に
報告するものとする。
 

確かに、第三者委員会を開けとは書いてありませんね〜

水道局の意に叶った学識経験者を選び意見聴取すれば、希望通りの意見が得られ、

希望通りの再評価(=ダムが必要なのでダム事業は継続すべし)が得られることになります。

う〜ん、こんな抜け穴があるとは知りませんでした。

 

知った以上は、何が何でも公正な再評価委員会の実施を要求していかなければ・・・!

 

評価は事業者が行う!

先ほどの厚労省の通達によると、

  「評価は、国庫補助事業の実施主体である水道施設整備事業者が行うものとする」

と書かれています。

こりゃダメだ・・

県が行ったダム検証と同じで、ダムを造りたい人たち自身が検証したり評価するやり方では、

結論は決まっています。

なぜこんな方法を国は示すのか・・さっぱりわかりません。

これじゃあ、再評価も形だけ、いくらでも抜け道はあるわけですね。

 

しかし、その安易な道をすぐに選択しなかった水道局を、むしろ評価したい気がしてきました。

過去においても、御用学者の意見を聴くだけという形式は取らず、

きちんと再評価委員会を開いてきたのは、かなり良心的なやり方だったのですね。

その姿勢を、是非今回も貫いてください。

 

隠さない、ごまかさない、嘘をつかない、

すべて正々堂々と公開して、専門家や第三者の意見を聴き、

その後、水道局として、プロの良心に則った評価を下してください。

そうすることによってのみ、佐世保の未来の水道事業の成功があるのですから。