不安を煽らず冷静な議論を

昨日のブログで、こうばるのほずみさんが発信しているように、私たちは石木ダムが必要という声を否定したり排除したりしようなどとは決して思っていません。そのような考えの方と冷静に議論し、少しでも理解し合い、共により良い対策を考える方向に進みたいと願っています。

なぜなら、気候変動の影響で、豪雨災害は年々被害が大きくなっています。



今やダムの是非に拘っている場合ではなく、大雨による犠牲者の数をいかに減らすか、命を守る防災対策を真剣に考えるべきところにきています。ダム推進派:反対派、などと対立するのではなく、真摯に意見を交換し、知恵を出し合って、より安心できる未来を共に創っていきたいものです。

ところで、昨日の長崎新聞の記事にはこう書かれていました。「10日、川棚町でも1時間に80mmの猛烈な雨が降ったが、川棚川の氾濫は確認されていない」と。

その記録は川棚町中組郷の山道橋地点で10日の12時~13時に観測されたものでした。

同じ時刻、石木川の上流川棚町の虚空蔵地点でも、69mmを記録しています。


69mmも80㎜も通常の大雨ではありません。
気象庁の解説によると、
10~20mm未満=やや強い雨=ザーザーと降る
20~30mm未満=強い雨=どしゃぶり
30~50mm未満=激しい雨=バケツをひっくり返したように降る
50~80mm未満=非常に激しい雨=滝のようにゴーゴーと降り続く
80mm以上=猛烈な雨=息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感ずる。

つまり、10日の昼頃、川棚町では滝のような雨が降っていたわけです。
そして、その頃、たまたま私たちは車でこうばるへ向かっていましたので、その雨の激しさは証言できます。

これは川棚高校前の国道を走っているときに撮った写真です。
車道と歩道の境が分からなくなるくらい道路が浸水しています。

こちらは県道から石木川を撮った写真です。
いつもは狭くて浅い石木川が広く太く踊るように流れていました。

これではさぞかし川棚川も水位が上昇しているかと思ったのですが、2時間後に山道橋を通ったら、それほど高くはなく、写真を撮るのも忘れてしまいました。

そこで、今日、当時の水位を県のHPから取り出してみると、この通り。

最高水位1.31m=これは、氾濫危険水位からは遥か下、水防団待機水位1.6mにも届かない水位でした。

なぜでしょう?
石木川はあんなにゴーゴーと流れていたのに?
考えられることは・・・
この地図をご覧ください。
80mmを記録した山道橋は黄色の線を引いていますが、川棚川の下流に位置しています。70mmを記録した虚空蔵は右側の黄色の△の辺りで、この辺に降った雨が石木川に流れ込んだわけですが、川棚川流域全体からみれば9分の1の面積であり、影響もその程度ということになります。

沢山の支流が流れ込む川棚川本流の上流部分の雨量はどうだったんだろう?
そう思って、もう1つの観測地点「波佐見」を調べてみました。

やっぱり…。同じ時間帯12時~13時の波佐見の1時間雨量は14mmで、13時~14時の1時間雨量は24mm。虚空蔵の3分の1、山道橋の4分の1に近い雨量でした。

つまり支流の石木川に相当雨が降っても、本流の川棚川上流の雨量が少なければ、川棚川の下流域が氾濫する危険性は極めて低いということです。むしろ川棚川には関係なく、市街地の低地に降った雨が捌けきれず街中に溜まってしまう内水氾濫の対策こそ急ぐべきです。

逆のケースが6月25日です。
この日は、佐世保市で3時間雨量が観測史上最大となり、相浦川や早岐川では氾濫危険水位を上回り、波佐見町でもかなりの雨が降ったのに、こうばるでは緊迫感は全くありませんでした。そこで、この日のデータを調べてみると・・・


1時間雨量、波佐見では最大41mmに対し、

虚空蔵では半分の20mm、

山道橋では27mmでした。

そして、この日の山道橋の水位は、


最高で1.4m。この日も水防団待機水位を下回っていましたが、7月10日よりはやや高かったようです。

この結果分かったことは、
虚空蔵で激しい雨が降っても、波佐見の雨量が少なければ、山道橋の水位はさほど上がらず、虚空蔵の雨量は少なくても、波佐見が多ければ、山道橋の水位は上がるということです。
つまり石木川ダムがあってもなくても、川棚川への影響は少なく、治水対策としての効果は、やはり小さいと言えるのではないでしょうか。

また、今回の熊本のように、24時間雨量が500mmもの雨が降ったとしたら?
石木ダムの計画規模は100年に1回の豪雨(1時間雨量110mmで24時間雨量400mm)を想定したものですから、500mmも降れば緊急放流は免れず、それこそ大量の水を一挙に流すことになり、被害はより甚大になるでしょう。

であるならば、命を守るにはどのような方法があるのか、ダムの是非が前提ではなく、あらゆる選択肢、あらゆる可能性を探ることが大事で、そのためには客観的なデータを元に、異なる立場の人たちが、あらゆる角度から検討し、意見を出し合う冷静な議論が大切だと思います。

皆さんは、どう思いますか?

オンライン署名にぜひご協力ください!

石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。

→あなたにできること

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