ここが福岡高等裁判所の新庁舎!(今年8月に移転)さすがにデカいなぁ~
12月19日(水)9時半、長崎から貸し切りバスでやってきた原告団44名が降り立つと、
そこには既に沢山の人が集まっていました。
出勤前に門前集会だけでも…と足を運んでくださった若い方々(パタゴニア福岡ストアのスタッフさんたちや岩田屋デパートにお勤めの方も!)ありがとうございました!
すぐに門前集会が始まりました。平山弁護士から今日までの流れなどについて説明があり、原告を代表して岩下和雄さんから控訴審に臨む決意が述べられ、最後に馬奈木弁護団長が静かな声で熱く挨拶。
なんでも全て行政の裁量権で片づけるなら話し合いは要らない。それは日本の社会が根底から崩れることを意味する。私たちは民主主義と国民主権を守る闘いをおこなっている。共に頑張りましょう。
この日の夕方のTVニュースでは、開廷前の様子や、
原告の主な主張なども報じられました。
こちらは、川棚町にお住いの中島三代治さんが描かれた法廷スケッチです。
この日は原告側から5人による意見陳述がおこなわれました。
トップバッターは、地元地権者の石丸勇さんです。
石丸さんは、「石木ダム事業が、私の人生のほとんどを束縛してきた」「1日も早く…行政の圧力から解放されて、自由で安泰な生活をおくりたい」そして「何度考えても、石木ダム事業が法に則った適正なものであるとは私には信じられません」「正しいことは正しいと言い続けますので、私たちに転機をください」と訴えました。
陳述書の全文はこちら→ 181219意見陳述(石丸勇)
二番バッターは共有地権者の遠藤保男さんです。
遠藤さんは「水源開発問題全国連絡会」の事務局として25年間、全国のダム問題に携わってこられたダム問題の専門家です。
「行政が一度ダム事業を決めてしまうと、…どんなに科学的・具体的・根拠ある異論を唱えても全く顧みられることはなく、地権者が譲渡に応じない場合は、収用まで一直線で行政の思うがままに進められてきた」という実態を指摘し、この裁判で「不必要なダムを造り続けてきたダム行政に一石を投じるべく,本当に,利水及び治水の両面において石木ダムが必要であるのか,私たちの主張や証拠を正面から受け止めて頂きたい」と訴えました。
陳述書の全文はこちら→ 181219意見陳述(遠藤)
3番バッターは利水担当の高橋謙一弁護士です。
高橋弁護士は、佐世保市の水需要予測が『机上の空論』であることをズバリ指摘し、そのような『机上の空論』は何物も生み出さないし、それどころか「本件事業の『机上の空論』は、現に居住する13世帯の方々の生活を、積極的に破壊します。同様に、税金の無駄使いや水道費の高騰などにより佐世保市民の生活も破壊します」と断言し、『法』の番人たる裁判所がこの空論(佐世保市の水需要予測)を容認してはいけないと結びました。
意見陳述書の全文はこちら→ 18.12.19-意見陳述(高橋)
4番バッターは治水担当の田篭弁護士です。
田篭弁護士は、これまで長崎県がおこなってきた様々な数字合わせの実態を整理し、「行政の恣意的な数字操作により、地権者達の生活が理不尽に奪われることのないよう、現実を直視した判断を」求めました。そして、計画規模や基本高水流量だけでなく、新たに費用便益比においても重要な数字操作があることを指摘しました。
意見陳述書の全文はこちら→ 181219-意見陳述(田篭)
トリは、もちろん、馬奈木昭雄弁護団長。
馬奈木弁護士は、石木ダムに関する行政や一審判決の「冷たさ」「問答無用」の本質を突き、このようなことが許されていけば、この国の「民主主義そのものが揺らぐ」ことになると警告し、「事実をありのままに見ていただき、行政と控訴人らとの間で対話が行われ、合意形成を目指すことが可能となるよう」な審理を切望すると述べました。
意見陳述書の全文はこちら→ 181219-意見陳述(馬奈木)
5人の陳述後は、今後の書面のやり取りについての協議。
そして、次回期日は、3月11日(月)14:00~と決まりました。
裁判終了後すぐに報告集会会場に移動。今回は車で十数分の、城南市民センターです。
定員90名の視聴覚室がほぼ満席(報道人も含めて)で、立ち見の人も…。
平山弁護士からの説明の後、陳述者の皆さんに補足して頂きました。
遠藤さん:私が一番頭に来てるのは、県と佐世保市が事業認定申請を出した時。13世帯の皆さんの「失われる利益」について全く書かれていないことに非常にビックリしました。そして、この問題は絶対負けてはならないと思い、関わり続けています。
石丸さん:子どもの頃からダムが生活に入り込み頭から離れなかった、また、地域が分断されてしまったことなどを伝えたかった。どこまで伝わったかわからないが…。これまでに集めた証拠書類を次の機会に出したいと考えている。
高橋弁護士:私が利水について言ったのは3つのこと。①平成24年度水需要予測は今現在全く外れてるでしょ?②その外れ方は過去の予測の外れ方と全く同じでしょ。③全国どこでも(ダム計画のあるところは)間違った予測をしています。つまり造りたいから造るための予測でしょということ。こんなデタラメな予測を認めて私たちを負けさせて社会のためになるのか?裁判所のあり方を問いたい。
田篭弁護士:治水について長崎県の視点で考えてみると、ダムを造りたいので、治水安全度を1/30から1/100に変えなければいけなかったし、河道についてもダムを造るために50年遡った。費用便益比についても同様のことが言え、この件については、嶋津さんに意見書を書いて頂いた。いかに数字合わせがおこなわれてきたか、裁判所にわかるように伝えることが大事だと思っている。
馬奈木弁護士:今の裁判はおかしい。日本全体がおかしい。近代市民社会(自由で平等な社会。自分の自由意思で意見を交換し、その合意のもとで売買したり物事を決めていく)が崩されそうになっている。
沖縄の意思は選挙で示されているのに、国はそれを無視している。石木ダムの覚書も同じ。
川原公民館で知事は今後も話し合いを続けると約束したのに出てこなくなった。
国や県のやり方は今の社会制度を壊そうとしている。それに裁判所が乗っかってはダメだ。裁判所はかじ取りをするのが役目。対話ができるようにするのが裁判所の仕事。
「支援」という言葉は好きではない。自分の権利を守るために、自分が頑張る。それぞれが自分のため、自分の子や孫のために頑張る。そして、一緒になって頑張る。それが国民全体の権利を守ること。それが日本を平和にすること。戦争は国民の自由な権利を奪わなければできないから。
最後に原告を代表して、岩下さんからご挨拶。
裁判の場所が福岡に変わったが、私たちはこれからも負けずに頑張っていきます。現在も県の職員は毎日10~15人やってきます。その中で私たちも抗議行動を続けています。寒くなりましたが、雨で工事が休みの日以外は頑張っています。
是非この裁判に勝って工事を中止に追い込みたいです。
今後ともよろしくお願いします!