今日はパタゴニア福岡ストアでお手伝い!
と言っても販売ではありません。
パタゴニアさんは今週はセール期間中。お客様がいつもより多いので、この機会に署名コーナーを設けてアピールしようという作戦。でも、いつもよりお客様が多いということは、スタッフの皆さんもいつもより忙しいということ。署名コーナーに張り付いているわけにはいきません。そこで私にヘルプの声がかかり…いつもお世話になっているので少しは恩返しができるかも…とやってきました。
でもね、これが思ったより難しく…いつもの街頭署名活動のようなわけにはいきません。
まず第一に、お声をかけるタイミングが難しいのです。レジを済ませて帰ろうとする方にお声をかけるのですが、スタスタと歩いて行かれる方はお急ぎなのかもしれないし、あちこち視線を巡らしている方はまだ買いたいものがあるのかもしれないし、声かけすることによって不快な思い(私は買い物に来たのよ、なんでこんなところで署名をしなきゃいけないの?などと…)を抱かせてはたいへんです。こちらのコーナーに視線を向けている人や、たまたま目と目があった人に…なんて的を絞っていると、チャンスはあまり多くはありません。
第二に、やっと目と目があった人が近づいて来てくれたので、「すみません。お急ぎでなかったら少しよろしいですか?いま石木ダムに関する署名活動をやっているのですが…」と話し始めたら、「アア、ノー」と言って立ち去ってしまいました。
ああ、まただ…。そう、日本人ではないのです。いまとても韓国人のお客様が多いそうです。(パタゴニア福岡ストアで買い物するために、わざわざ韓国からやってくる方もいるのだとか)スタッフの方は大体見分けがつくようですが、私には韓国人も中国人も日本人も区別がつきません。
また、レジ担当のスタッフが、会計を済ませたお客様に「お急ぎでなかったら、あちらのコーナーに…」と案内し、それに応じて近づいてくれる方もいるのですが、署名というと「住所も書かなきゃいけないんですよね?それじゃちょっと…すみません」と言って去って行かれる方もけっこういました。仕事のできるサラリーマン風の方に多いように感じました。
そして、堂々と反論される方もいました。その方は自分から近づいて来られたのですが、いきなり、
なんでダムに反対なんですか?
いえ、反対ではなくて、必要性に疑問があるとか説明が不十分と思っている県民が多いので、公開の場で県民にわかるような議論を県に求めようとしているんです。
ダムは必要じゃないですか。温暖化で異常気象が当たり前のようになってきて、洪水被害も年々深刻になってきてるでしょ?一方で日照りが続いて水不足になってるところもあるし。
ん?もしや国交省の回し者?と疑いたくなるような主張をぶつけてきた方は、すらりとしたキャリアウーマン風の女性でした。
その異常気象を招いているのは、もとはと言えば人間による自然破壊が原因じゃないでしょうか。最近の水害がひどいのも流木が影響しているようですが、あれも自然の山を壊して人工林にしてしまった結果で…
もちろん、行き過ぎた自然破壊は良くないと思うけど、ダムはそうではないでしょう?私はダムが好きで暇ができるとよくダム巡りをするんだけど、いいですよー。木々に囲まれたダム湖の景色…
えー?ダム巡り?もしかしてダムマニアですか?
そう!私はダムマニアよ。ダムが大好き!
(こんなところでダムマニアに遭遇するとは…と思いつつ)
そうですか。でも、石木ダムの場合は、ほら、こんなに小さな川でね、小さな子供が中に入っても大丈夫。こちらは少し大きい子が飛び込みなんかやってますが…こんなふうに子どもたちにとっても貴重な遊び場なんですよ。そしてこの子たちの住んでいる家が13軒もあって、それが全て水の底に沈められてしまう…そういうダムなんです、石木ダムというのは。13世帯約50人の人の生活が破壊されるんです。その方たちはずーっとダムに反対されて、半世紀も闘い続けて…だからダムはまだ全然できていないんです。
半世紀も?!よく頑張るねー。私は仕事柄、あちこちで暮らしてきたから、住むのはどこでもいいと思ってる。こだわる人の気持ちがわからない。わからないけど、でも、いるんだよねーそんな人。
私もそうでしたよ。私もけっこう移動した方だし、どこでも住めば都と思ってました。でも、このこうばるの方々に出会って、大地にしっかり根を張った生き方を知って、ああ、こういう生き方もあるんだな~、こういう人たちの存在が自然を守ってきたんだな~って実感したんですよねー
うん。まあね。守らなきゃいけない自然ってのも確かにあるけどね。
ですよね?だから、ここが守るべき場所なのか、それともここを犠牲にしても作る必要のあるダムなのか、それをもう一度みんなで考えましょう。そのための討論会を開いてください、というお願いなんだから、それには反対ではないでしょう?
うーん。でも、やっぱり今は署名できない。このダムのこと何も知らないしね。でも、帰ってから考えてみますよ。
ありがとうございます!では是非この資料を後で読んでみてください!
とチラシを差し出すと、笑顔で受け取ってくれました。ほんの短い時間でしたが、初めてダムマニアさんとお話しできて、しかもフランクな方で、なんだか楽しかったです。
それにしても、映画ダムネーションを製作し、石木ダムや八ッ場ダムの反対運動を支援しているパタゴニアのお客様がダムマニアとは…意外でした。またお会いしたいな~ (^-^)