手を合わせているのは大石知事。
そこは長崎県川棚町川原地区にある墓地の前。
そこに眠っているのは、川原地区(石木ダム建設予定地)13世帯のご先祖様。
ダム建設のことでご苦労をおかけしてきたことを心苦しく思っている、お線香をあげたかった・・・と。
4月20日、大石知事は石木ダム建設予定地を再訪し、住民の案内で川原地区を歩きました。それは、知事就任間もない3月10日、挨拶に訪れた際に住民側から「こうばるを歩いてほしい。私たちが守ろうとしているものを見てほしい」と言われていたからです。
案内人の1人岩下すみ子さんは「それが実現するとは思わなかった。びっくりした」と、インタビューに嬉しそうに答えていました。
すみ子さんは限られた時間を有効に使おうと、事前にコースを考えたり、写真や資料を準備してこの日に臨みました。ところが、予定外のことが・・・
川原を一望できる場所で説明した後は石木川の方へ下る予定だったのですが、知事の方から「この近くに皆さんのご先祖のお墓があるそうですね。お参りしたいのですが」と言われ、案内することになったそうです。
その映像をニュースで見た人の中からは、「そこまでやる?」「あざといね」「パフォーマンスに騙されるな!」等々の声も聞こえてきましたが、すみ子さんたちは本当に感動したそうです。
歴代の知事に何度も騙され欺かれてきた住民の皆さんが、こんなに素直に喜んでくれていることを、知事も背中にずしりと感じたことでしょう。この日はちょうど岩永サカエさんの一周忌。「権力って恐ろしかね~」「でも、うったちは死ぬまでここを離れんよ」「死んでもここを守っていくさ~」と語っていたサカエさん。
そのお墓の前で知事が手を合わせてくれたのですから、同行した娘のMさんもどんなに嬉しかったことでしょう。
サカエさん自身はどう思ったかな?「よく来たね。あんたは今までの知事とはちょっと違うごたるね。こうばるはあんたに託すからね。しっかり守ってくださいよ」とささやいたかな?それとも「娘たちは騙せても、私たち死者は騙されんよ。あの世からしっかり見てるからね。変なことをしたら化けて出るよ」と脅したかな?
きっと前者でしょうね。
知事は訪問終了後、記者団からのインタビューに答えて「ふるさとは尊いと認識した」と語りました。
もちろん「この尊いふるさとを残すために石木ダムは中止します」なんて、そんなに簡単に話が進むはずはないでしょう。
しかし、知事は「今後は、住民の工事中断への思いを含めてしっかりと話を聞く機会を設けたい」と述べ、住民からダム建設に関する考えを直接聞く場を設けたいという意向を示しました。
私たちも同じ想いです。「こうばるを歩いてみます」との約束を果たしてくれた知事なので、「石木ダムに関する住民の考えをしっかり聴く機会を設けたい」という言葉も実現してくれると信じています。
大石知事、住民の皆さんも私たちも、そして、お墓の中のご先祖様も次の来訪を心からお待ちしていますよ。
石木ダムはいりません。
私の母は令和2年7月豪雨で球磨川の濁流にのまれて帰らぬ人となりました。
それでも川辺川ダムはいらないと考えています。
1部損壊した瀬戸石ダムも解体してください。
もう日本のどこにも、ダムは作らないでください。
それによって失われるものが大きすぎます。そしてそれを数字で表すことはできません。とても尊いものを失います。
ダムに頼らない治水や渇水対策はあるはずです。
地球温暖化を食い止めて子や孫に綺麗な地球を残したいと思うのであれば、ダムについても同様に考えてください。
牛嶋様へ
お辛い話も含めて発信していただき、ありがとうございます。
球磨川流域の被害者の皆様が、「それでも川辺川ダムはいらない」と言い続けておられることに敬意を表します。
地球環境を守っていくためには、ダムはメリットよりもデメリットの方がはるかに大きいことを実感しておられる皆様の言葉には説得力があります。
大石知事にも届くことを願っています。