今朝の新聞報道の通り、昨日工事現場から重機が撤去されました。
昨年6月12日早朝予告無しに進入し、地権者の怒りを買った重機搬入。
あれから7ヶ月半。
現場で少しだけ使用され、後は眠っていた重機や資材がやっと撤去されました。
その様子をお届けします。
9時半、雨の中、地権者や支援者に見守られながら作業が始まりました。
まずは、このメインゲートを開かねばなりませんが、これが最大の難関。
昨年9月30日未明(午前2時頃)、県による重機搬入未遂を境に、
警戒を強めた地権者側はゲートを厳重に封鎖しました。
竹の棒やネットや針金だけでなく、イガグリのオマケまで付けていたのです。
以来ここは、まる4ヶ月、開かずの扉となっていました。
ガチガチに縛られた紐をハサミを使わず根気よくほどいたり、
針金で縛られたところは、ペンチ等できってゆきます。
こちらは何をしているかわかります?
紐に括りつけられた栗のイガを、1つ1つ丁寧に外しているのです。
これを括り付けた人も、どんなに大変だったでしょう。
作業員がフェンスを乗り越えて行かないよう、それを願って、
イガにちくちく刺されながら、痛みをこらえ結びつけていったことでしょう。
そして今日、それを一つ一つ外していた職員も同じように、ちくちくとした痛みを、
冷たい雨に濡れた指先に感じていたことでしょう。
ようやく左側のフェンスが開きました!
続いて右側も開きました!
そして、橋の直前に設置された看板と金棒も取り除かれ、
いよいよ撤去のための車両が入って行きます。
1番手の車両は・・・衛生車です。
現場用の簡易トイレを運び出す前に、中のものを吸い取らねばならないですからね〜
計5台の車両が入って行きました。
衛生車はすぐに出てきました。
中には何もなかったそうです。
4ヶ月も経過していたので、全て大地に沁み込み分解されてしまったのでしょうか?
空っぽのトイレをいま車に積み込んでいます。
そんな様子を、みんな飽くこともなくずっと見守っていました。
しばらくして荷物を積み終えた車が戻ってきました。
ショベルカー1台と、測量用の資機材など。
ほぼ1時間で撤収作業は完了。ゲートも閉じられました。
誰かが「監視カメラも外さんと」と言うと、
ダム事務所長は「いや、それはできません。管理責任がありますから」と答え、
集まってきた地権者や支援者と少しだけ対話を交わしました。
もういい加減でダムは諦めてくれ、止めてくれ、知事に進言してくれと訴える人たちに、
私はダム事務所の所長としての任務を最後まで全うする。
県はダム推進、皆さんは反対。
どこまでいっても平行線。
何か打開策はないか考えた。
考えに考えを重ねた。
しかし、私にはできることとできないことがある。
私にダムを止めることはできない。
私にできることは、何としても衝突を避けること。
それだけ。
それだけを念じてやってきた。
残り2ヶ月も、その方針で、職務を全うする。
と答え、去っていきました。
ともあれ、しばし、工事は中断です。
明日から、ここも静かになるでしょう。
一番喜んでいるのはお隣のK建設の皆さんかな?
会社の駐車場にテントを張らせて頂いて、大勢の人がうろちょろして、大迷惑をかけているのに、
文句も言わず温かく見守っていただき、いつも本当に感謝しています。
K建設の前を流れる石木川。
昨日の石木川は雨で水嵩が増し、いつになく勢いよく流れていました。
それはまるで、石木川も工事中断を喜んで、踊りはしゃいでいるように見えました。