午後1時半、定刻に石木ダム事務所の古川所長と職員がやってきた時、
私たちは皆、背を向けて立っていました。
これまでのように、同じことの繰り返し、不毛な言い合いに少々疲れてしまって・・
私たちは、その思いを背中で示し、歌うことで伝えました。
事前に打ち合わせをしていたわけでも何でもありません。
県の車が近づいてくるのを見た時、誰からともなく、
「また言うたっちゃ一緒」「同じことの繰り返し」「疲れるだけ」
「そんならあっちむいとこか」「ああ、それがいい」となって・・・
所長がテントに近づいてきたときは全員回れ右の姿勢。
所長:皆さん、どうしてそっち向いてるんですか?
住民:ふるさとがきれいかけんよー、山ば見とるとー
所長:皆さん、こっち向いてくださいよ
住民:見飽きたです
住民:疲れたー
住民:あっちを向いたら笑顔になるね
住民:そうやねー
ラーララーララーラララー🎵
S子さんが「川原のうた」を口ずさむと、みんな一斉に歌い出しました。
🎵春は黄色の帯のよう 石木川に寄り添って 水辺の菜の花どこまでも・・・
住民:ああ、涙の出てきた
所長:皆さんお願いします。こっちを向いてくださいよ。
などと言われても、私たちはその後も、「ダム反対の歌」「ふるさと」を続けて歌いました。
(私は、つい、🎵山は青きふる里 水は清きふる里〜🎵の歌詞に力を込めてしまった)
「どうしても皆さんが話をしてくれないので、私は引き揚げます。でもまた来ます」と言い、
所長は帰って行きました。