午後1時半過ぎ。50人ほどの人が集まりました。
2時から始まる「通行妨害禁止仮処分命令申立事件」の審尋を前に開かれた「門前集会」。
門とは長崎地裁佐世保支部の門です。
債務者を代表して岩下さんが挨拶。
弁護士団からは、馬奈木団長が挨拶。
馬奈木先生の話で印象的だったのは、
「私はこれまで行政の理不尽な公共工事を止める闘いをいろいろやってきたが、この石木ダムくらい無茶苦茶な計画はない。そしてまた、その地元住民が40年にわたって闘い続けている例を私は知らない」
「昔、フリードリヒ大王という専制君主が粉屋の親父に水車小屋を明け渡せと言った。すると、その親父は大王へ言った。『一緒に町へ行こう!町には裁判官がいる。私の権利は裁判官が守ってくれる』と言ったんです」
「でも、私は付け加えたい。何もしないで裁判所が権利を守ってくれることはありえない。私たちが自分の権利を守って離さず闘い続ける。その場合にのみ裁判官は守ってくれるんです」
「権利を最後まで守り抜きましょう!我々は最後まで闘いぬく。勝つのは私たち!」
馬奈木節に感動し、少し高揚した気分のまま、皆さんの拍手に送られて裁判所内に向かいました。
裁判を傍聴したことはあるけれど、自分が当事者になったのは初めてで、興味津々。
「審尋」という言葉も初めて知ったくらいなので、何もわかりません。
が、大丈夫。今回は23人全員が弁護団に委任しているので、弁護士の先生方がみな対応してくれます。私たちは見守っているだけでいいのです。
案内された部屋に入ると、県側の弁護士1人と石木ダム建設事務所長を含む県職員4人がすでに席についていました。
こちら側は、弁護士4人と債務者21人(23人中、2人が欠席)が県側と向かい合って着席。
ほどなくして裁判官ら4人が入ってくると、全員が起立して礼をし着席。
裁判長はまず、県から提出された申立書と、こちらから提出した答弁書の確認をおこない、付け足すことがあるか尋ねました。
こちらからは、この申立書には誰が何をしたのか、何をもって妨害したというのか、その事実が書かれていない。
全体として妨害したと言うが、それならいつどこでどのような妨害をしたのか、妨害の謀議をしたのか、それが示されなければ認否もできない。まずそれをしてほしいと要求。
裁判長もそれを認めて県に示すように言い、県は今月末までに提出すると約束。
こちらの弁護団は、それを受け取ってから、債務者各人に話を聞き確認の上、妨害の認否を表明するが、それには時間がかかる、1ヶ月とまではいかなくても、それに近い日数を要することを告げました。
県からこちらへ出された要求は、この道路工事はダムとは関係ない、それを関係あると言うなら、それを示すものを提出するようにとのことでした。
え?関係ない?
石木ダムができることによって今ある道路は水没する、だから、それに代わる新たな道路が必要、そのための道路工事でしょ?それが関係ないなんて…
皆から驚きの溜息がもれました。
しかし弁護団はそれを受け入れ、妨害の認否と共に10月20日までに書面を作成することを約束しました。
その結果、2回目の審尋は10月24日午後4時半からと決まり、今日の審尋はわずか15〜6分で終了。
その後、市民活動交流プラザにて報告集会をもちました。
ここでも馬奈木節は冴え、諫早湾開門訴訟と対比させ、県がいかにあべこべちぐはぐなことをやっているか、わかりやすく説明されました。
知事は国に対しては、開門有りき、事業有りきではいかん、まずちゃんと説明しろと言う。
約100項目の質問を国に提出し国がそれに答えても、答えになっとらん、やり直せと言い、その繰り返しを3〜4回もやっている。
ところが石木ダムに関しては、ダム有りき、まさに事業有りき。こちらの質問にきちんと答えない。知事は説明しようとしない。知事は補償の話にしか出てこない。
それはおかしいだろう?ということを県に、そして県民に伝えよう。
私たちは頭から全面否定しているわけではない。
質問を出し納得できるよう説明して下さいと求めている。その納得が得られて工事をすればいい。
地権者や県民に対しては問答無用なのか?
権力を振り回せばどうにかなると思っているのか。
税金を無駄遣いしてはいけない。
知事は誰のためにお金を使おうとしているのか?
等々の話に、皆深く頷きながら聞いていました。
弁護団の頼もしさを再認識するとともに、
県が圧力をかければかけるほど、かけられる側の団結は深まり、支持は広がるものなんだな〜
と実感!