今日、4年ぶりに長崎県公共事業評価監視委員会で石木ダム事業の再評価がおこなわれました。
私たちが同委員会開催日程を知ったのは約1週間前のこと。
びっくり!そして、大慌てで、意見書作成に取り掛かり、何とか先週末までに各委員のお手元へ。
もちろん6月に出版されたばかりの石木ダム対策弁護団によるブックレット「ホタルの里を押し潰すダムは要らない」も同封して。
期待半分、諦め半分で・・・。
第三者委員会とか、再評価委員会なるものに、私たちは何度期待したことだろう。
せっせと資料を送り、思いを伝える手紙を添えて。
でも、そのたびに期待は裏切られ・・
第三者と言いつつ、その委員を選出した行政と一体化していたり、
評価委員会と言いつつ、ただ行政の提出した案の追認をするだけだったり、
それが常識のようになってしまっている。。。
しかし、昨日の委員会は少し違っていました。
土木部長の挨拶に続き、河川課企画監が説明を始めてすぐ傍聴席から声が噴出、
委員長が何度も皆を制し、傍聴者はルールを守るように!でなければ退出願わねばならなくなる、
と言ったのですが、声は止まらず約30分も紛糾、異例の事態となりました。
それは、企画監が説明の冒頭、「今回の評価は工期の変更に伴う再評価で…」と言ったからです。
「再評価というのは事業そのものの再評価であるべき!」
「工期の変更を認めるための会議ではないはず!」
「県は訂正してください!」
企画監は言い直しをしましたが、「今回は社会情勢の変化、工期の変更に伴う事業評価」との表現に、
傍聴席はまだ納得できませんでした。
なぜなら「工期の変更に伴う事業評価」ということは、石木ダム建設工事をすることが前提になっている、つまり石木ダム有りきの再評価に聞こえるからです。
石木ダムの必要性の議論抜きに真の再評価は有り得ないからです。
「あくまでも事業の再評価です。少なくとも私としては、石木ダム有りきとは思っていない」
との委員長の言葉に、やっと皆は納得し、説明が再開されました。
資料は膨大だったので、少しずつ区切って県からの説明、その後委員から質問、それに対する県の回答、といった形で丁寧に進められていきました。
記憶に残っている質問や意見としては、
☆事前に県の資料も反対派の資料も目を通したが、どこまでいっても平行線に思える。公益性の判断は既に国から出されているのに、我々がそれに対して評価すべき立場にあるのだろうか?
☆私たちの意見がどれだけの効力があるのかはわからないが、これだけの資料が用意されているので、これについて議論はすべきだと思う。
☆佐世保市による24年度再評価の後のこれまでの実績と予測の数値がほしい。
(企画監より、24,25,26各年度の値が口頭で示された)
☆佐世保市の生活用水が少ないのは事実だが、それを他都市並みにと考えるのはどうなのか?そもそも水を使わないのはいいことだと思うが。
(会場から、そうだ、そうだの声)
☆工場用水が26年度から27年度にかけて急激に跳ね上がっているのは何故か?
(大口需要者の経営方針の変更で水をたくさん使う日が出てくることがわかったからとの説明あり)
☆それはピーク時の値であって、それが平均有収水量のところに入っているということですね?
(声は聞こえなかったが、頷くかなにかして県は認めたのだろう)
☆川棚町の過去の水害被害状況が示されているが、これは川棚川下流域の浸水戸数なのか?
(そうではなく、川棚町全体の数字だとの回答)
☆代替案について費用の面での比較だけがなされているが、全体像がわからない。それぞれのメリット、デメリットが知りたい
(前回のダム検証で詳しく示したが、後ほど提出すると回答)
☆様々な計算結果や検証結果が示されているが、そのやり方を示すマニュアルを提供してほしい
(お示しすると回答)
等々、委員の皆さんの、きちんと理解した上で「評価」したいとの思いが窺える質問が多々ありました。
ただ、肝心の工期延長に関する質問はほとんどなかったように思います。
私たちは、用地取得がなぜ平成29年度中に終わることになっているのか?それが気になりました。
これまで示された工程表には、付替え道路や本体工事、試験湛水などの項目はありましたが、
用地取得時期が示されたことはなかったと思います。
29年度中に強制収用してしまうという県の意思表示とも、脅しとも取れるものです。
それにしても、委員会は、継続審議となっただけでなく、
さらに、より理解するために現地視察が必要との意見が出され、8月10日の実施が決まりました!
公共事業評価監視委員会・・・その名に相応しい委員会も存在するのかもしれない。
土木部長の冒頭挨拶「石木ダムについては十分ご審議頂きたい。忌憚のない客観的なご意見を…」に応えるべく、委員の皆さんは今後もしっかり考え、議論し、評価してくださることでしょう。
私たちは、委員会の現地調査と次回委員会に注目しています。
今日の新聞各紙の記事を貼付します。