長崎市の水需要減少によるダム計画からの撤退のニュースに接して、
あらためて佐世保市の水需要予測を点検してみて、気づいたことがあります。
今回の工場用水に関する予測がひどすぎることはすでに指摘してきましたが、
いまの率直な感想は「サギ(詐欺)だ〜」と言いたいです。
なぜかと言うと、佐世保市が示した工場用水の需要予測はこうでした。
2011年度実績=1890m3/日 → 2015年度予測=6604m3/日
わずか4年間で、3.5倍にも急増です。why?
それは、SSKが経営方針を変え、修繕船の売上を2倍に増やす計画があるので、修繕船を洗うための水の使用量が激増すると考えたのだそうです。その考えで予測した結果、
SSKの2011年度実績=1166m3 → 2015年度予測=6604m3
なんと、5.7倍に水増し!
売上が倍増すると、なぜ水の使用量が5倍以上になるのか???
呆れ返った『ダム検証のあり方を問う科学者の会』に「極めつけの虚構」と批判され、
予測をやり直すべきという意見書を提出されても知らん顔、
科学者の声に真摯に耳を傾けようとはしませんでした。
ところが数日前、SSK(佐世保重工業)の新中期経営計画とにらめっこしていたら、
その売上2倍という情報そのものが事実ではないことに気づきました。
SSKのこの資料をご覧下さい。
この円グラフに示された「艦艇・修繕船」の売上(赤い部分)は、
確かに13%(2011年度実績)から25%(2014年度)に倍増していますが、
これは売上の割合であり、売上額そのものではありません。
売上高そのものは、
661億円(2011年度実績)から、400億円(2014年度予測)に減少しているのです。
ということは、修繕船の売上そのものは
86億円(661億の13%)から100億円(400億の25%)、つまり、わずか1.16倍にしかならないのです。
2倍になるのは売上比率で、売上額は1.2倍にも満たないのに、
売上が2倍になるからドック入りする船の数も2倍になると説明し、
その結果、水の必要量は5倍以上になると予測!
これを詐欺と言わず、何と言えばいいのでしょう?
こんな予測を誰が信じるでしょう?
水道局長さん、市長さん、ホントにホンキで、こんな予測を出されたのですか?
おそらく誰一人本気ではないでしょう。
なぜこんなデタラメな詐欺のような予測を平気で出せたのか…
それは、誰も責任を取らなくて済むからでしょう。
SSKのような一般企業は、そうではありません。
厳しく問われます。
自分の地位や将来がかかっています。
だから、わずか半年前の経営方針でもすぐに修正・撤回をするのです。
水道局長は数年で交代。
5年後の再評価の時期にはもういない。
次の局長が、「前回の予測と現在の実績は大きく乖離していますが、その理由は…」
と、リーマンショックや異常気象などのせいにしてきた先輩同様、言い訳すればいいのです。
誰も責任を問われず、誰も責任を取らない。
それがサギ同様のヨソクを許しているのだと思います。
そのヨソクに基づいてダムが造られ、自然も地権者の暮らしも破壊されたら…
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