15日の佐世保市議会、一般質問を傍聴しました。
その中で山下千秋議員が、
石木ダムについて国交省の判断が出た今、今後の進め方をどのように考えているのか質したのに対し、
市長は「国に事業認定手続きを急ぐよう求める」と答えました。
山下:しかし国は、地域の理解を得るよう努力することを希望すると言ってるではないか。
市長:あらゆる機会をとらえて地権者と話し合う努力を続けていく。
事業認定手続きで話し合いが促進される側面もある。その意味でも手続きを進めたい。
山下:事業認定手続きは地権者の土地を取り上げるための法的手続きであり、
「地域の方々の理解を得る」こととは相容れない。
福島の方々は原発事故でふる里を奪われた。帰りたくても帰れない。
ふる里を追われた人の苦しみは福島を見ていればよくわかる。
あなたは石木ダムの地権者からふる里を奪おうとするのか。
市長:地元の方々のふる里を思うお気持ちはよくわかる。
しかし私は26万の佐世保市民の暮らしを守るという務めがある。
その立場に立って考えていかざるを得ない。
(言葉は発言通りではありません。メモを基に再現したものです)
つまり市長は、
佐世保市民が水不足で困らないよう水源を確保する義務が私にはある、
そのためには大変申し訳ないが土地を下さいとお願いするしかない、
と言いたいのでしょう。
公共の福祉のためには個人の権利を剥奪してもいいとお考えなのでしょう。
でもね、市長さん、
私たち、そんなに困ってないのですが…
毎日顔を洗って、洗濯をして、トイレで流して、お茶もたっぷり飲んで、お風呂に入って…
たまに日照りが続くと、水道局員の皆さんは心配なさって節水を呼び掛けますが、
たいていは、その2〜3日後には雨がザーザー降ってきてダムの水位も回復したりして…
少なくとも、アフリカや中東や中央アジアのように、命にかかわるような水不足はありません。
私たち、今のままで十分満足してます。
市長さんは「佐世保市は慢性的な水不足で…」が十八番ですが、
平成6〜7年の大渇水の後、時間給水したことありましたっけ?
ありませんよね。減圧給水が2回だけ。
つまり、17年間一度も水が止まったことはないんです、ありがたいことに。
その上これから人口はどんどん減っていきますから、どんどん余ってきます。
そんな状況にいる私たち佐世保市民が、
どうして他の町に住んでいらっしゃる人の土地を奪ってまで水が欲しいだなんて思うでしょう?
誰もそんなこと考えてもいないので、安心して下さい。
市長さんは、父親のような大きな愛で市民のことを心配して下さっているのでしょうが、
過保護はよくありませんよ。
我が子に贅沢させるために他人に迷惑をかけるようなお父さんは、
子どもからも尊敬はされません。
だから、市長さん、事業認定の手続きを早く進めるよう国に求めるなんてことは止めてください。
知事さんにも、「あれは取り下げましょう」と言ってください。
そして、申請が取り下げられたら、地権者の皆さんは、お二人を信用して、
心を開いて話し合いに応じて下さるでしょう。
そんな市長を私たち市民は誇りに思うでしょう。
そうそう、ついでに言っておきますが
4年半前(2007年10〜11月)に野村総合研究所がまとめた「2040年の日本の水問題」
というレポート、読まれましたか?
要旨は次のようなものです。
人口減少による水需要減で、水道事業の収益悪化が懸念されています。
水の値上がりを防ぐための手だてが必要になります。
水をとりまく環境について世界に目を向けると、世界的な人口増加や、中国、インド等の
新興国の経済発展で、水需要はますます増えていくことが予想されています。
また近年、地球規模の気候変動の影響により世界各地で干ばつが相次ぐなど、
異常気象が与える影響も見逃せません。
水不足はテロやエネルギー資源問題と並び、深刻な問題になってきています。
一方、日本も異常気象による干ばつなどの影響はあるものの、
基本的には本格的な人口減少社会の到来に伴い、水需要は減少します。
そして、2040年には上水道の需要は現在の約半分から4分の3に減少し、
40〜80億m3/年の余剰水が発生する可能性があります。
やっぱり・・・
水需要が減るのは佐世保だけじゃなく、日本中ごく当然の現象なのですね。
そして、水需要が減れば、水道料金収入が減る、つまり水道局ピンチ!
水道局がピンチになると、市は一般会計から補てんしますから、市の財政もピンチ!
市の財政が苦しくなると、税金の値上げや福祉へのシワ寄せなど、市民の生活がピンチ!
だから、
「市民の生活を守るのが市長の務め」なら、石木ダムから手を引くのが一番なのでは…?