10月15日、長崎県議会は本会議において、
石木ダムの事業認定申請を求める意見書を採択しました。
賛成38、反対5、棄権2でした。
反対した議員の一人、堀江ひとみ議員の反対討論をご紹介します。
ただいま議題となりました石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書につきましては、
以下の理由で反対いたします。
事業認定が、地権者との話し合いの場をつくるためと言っても、強制収用に道を開く 手続き
そのものです。事業認定手続きは、住民の不安と不信を募らせるばかりです。
30年前の機動隊導入による強制測量が引き起こした事態への反省もなく、再びこれを繰り返
すならば、地権者のみならず県民の理解を得ることは到底できません。
「生まれ育ったここで農業を続けたい」「ここに住み続けたいだけなんだ」という、住民の憲法で
保障された権利は、誰であっても、踏みにじることは許されません。
強制収用という野蛮な行為は、絶対にすべきではありません。
国は石木ダムの事業継続を決定しましたが、「地域の方々の理解が得られるよう努力すること
を希望する」と、意見をつけています。
国が求めた努力をせずに知事は、国土交通省九州地方整備局に対し、事業認定手続きを求め
ました。県民からは、こうした行動が、不誠実で一方的な行動であり怒りさえ感じるとの声が寄せ
られました。
本意見書を、県議会が採択することは、反対土地所有者のみなさんとの話し合いの場も、さらに
遠ざけると判断します。
本意見書では、佐世保市の安定的な水資源確保のために、石木ダムが必要不可欠な事業と
して、多くの人が認めていると述べていますが、そうは思いません。
いま佐世保市が提供できる水の、提供能力は、安定水源・不安定水源と合わせて、毎日平均、
9万2,000トンです。佐世保市民の使用水量は、1万トン近い漏水も入れて7万4,000トンです。
9万2,000トンの水があって、使用している水量は7万4,000トン。おつりがきます。
水不足ではなく、佐世保市の水は足りています。
それなのに、新たに1日4万トンの石木ダムが、どうして必要なのか。説明がつきません。
石木ダム計画も含めた水需要予測は、一日13万トンです。
これは人口の約2倍ある長崎市が毎日使用している水量です。人口は長崎市の半分しかない
のに、使う水の量は長崎市と同じぐらいの、水需要を求めるということ自体、いかに過大な需要
設定であるか、明らかです。
9月24日付毎日新聞では、「石木ダムの水需要予測プラスに転じる材料乏しく」と、報じてい
ます。佐世保市の11年度水使用の実態は、需要予測に反して、予測値よりも約2万6千トンも
低くなりました。
水需要予測が実態にあわないこと。過大な需要設定であることが、多くの県民に明らかにな
ってきました。必要のない石木ダム建設は直ちに中止を。この声が、以前にも増して県民、市民、
町民の間でひろがりを見せています。こうした県民の声に応える立場から、意見書には反対です。
以上、反対討論といたします。