みなさん、こんにちは。
石木ダム水没予定地住民のいしまるほずみです。
わたくし、先日3/18(日)に東京で開かれた「清流に殉じた漁協組合長」出版記念イベントに長崎県石木ダム問題の当事者代表として登壇してまいりました。
今回はそのイベントについての報告をさせていただきます。
まず、このイベントについては先に山形県の最上小国川(もがみおぐにがわ)ダムで起きた事件について触れておかねばなりません。
山形県の最上小国川ダムは治水専用の穴あきダムとして現在も建設が進められています。
長崎県の石木ダムと同様に何十年も前から存在する無駄な公共事業です。
最上小国川ダムの場合は、地元の小国川漁協組合長の沼澤勝善組合長を中心にダムに反対する運動を頑張っておられました。
最上小国川ダムの反対運動はジャーナリストの相川俊英さん曰く「孤軍奮闘型」で、ダム反対派への圧力というのを漁協組合長の沼澤さんがモロにかぶるカタチで繰り広げられていたようなのです。
そんな沼澤組合長が、2014年2月10日の未明に突然、自ら命を絶ちました。
いったい、なぜ!?
この本は、最上小国川ダム事件をめぐる腐った非民主主義について徹底取材がなされており、しかも4年というの歳月をかけて世に送り出された本です。
「清流に殉じた漁協組合長」の著者でジャーナリストの相川俊英さんは、この最上小国川ダム問題で起こった事件をめぐり、ここには「草の根非民主主義」の一番悪しき公共事業があり、この場所には公共事業の進め方に住民主導型が全くない、欠落していると話しておられます。
この本、読むのもしんどい…書く方はもっとしんどい…!出版社はもっとしんどい!!のでございます。。
でもね、
この事件をなかったことのようにして私たちは生きていってはいけない!と思います。
このような、自殺者を出すようなダムが本当に必要な公共事業でしょうか?
最上小国川ダムの悲劇を繰り返してはならない、これが相川さんからのメッセージのうちの一つと思います。
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ところで、
それぞれ三人のゲストの発表の後には、「清流に殉じた漁協組合長」を出版した出版社「コモンズ」の編集長大江さんの司会進行でゲスト三人と40分ほどディスカッションを行いました。
このイベントの一番の聞きどころはこのディスカッションではなかったでしょうか?
大江さんの司会進行が素晴らしかったです。
それにしても、後でユーチューブにアップされたイベントの動画を確認していると、私は一つ、相川さんの質問にうまく答えていない箇所がありましたので、そこだけ補足させてください!
その質問とは、「今までいろんな住民運動を見てきたが、石木ダムの反対運動は若い人が多く活動に関わっている、このご時世にいったいなぜ!?驚異!!びっくり仰天!!!なぜなのか取材者として一番聞きたい」というようなものでした。
う〜ん…
実は、私もはっきりと答えを持っているわけではないんですよ。。
だから、うまく答えられてないんじゃないかな?と。
私なりに思いつくことを箇条書きで挙げてみると、
・石木川まもり隊の隊長さんが老若男女問わず受け止められる人柄の持ち主
→若い人のフォローができる熟年の大人がいる
・私自身もまだ若い(取り組み始めの年齢は28歳でスタート)
→その周りに若い人が集まりやすい傾向がある
・私自身「活動家」ではなく「地元のイラストレーター」(堅苦しさがない)
→イラスト発信は従来のダム反対運動では補えていなかった情報発信を可能にしている
・ネット発信ができている(ウェブサイトもあるしSNSも有効に使っている)
→ネット環境、特にSNSを使う世代に情報が提供されている
・パタゴニアの全面支援でさらにポップなイメージになった
→アウトドアをする人たち、どちらかというと若い世代に影響力がある
・石木ダムの水没予定地の住民にも若い人、子どももちゃんといる
→映画「ほたるの川のまもりびと」をご覧になればご理解いただけると思います
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このイベントには、相川さんと私の間にもう一人、登壇者がおりました。
水源連(水源開発問題全国連絡会)の遠藤さんです。
石木ダム問題でも大変お世話になっております。
遠藤さんからは、全国のダム問題の状況と、石木ダム問題についてお話いただいてたんです。
日本は、今でもダムを造り続けています。
石木ダム以外にも、まだまだまだまだ……まだ、今でも全国各地で作ろう作ろうと国は動いているんですよ。
そんな全国で建設が進められているダムに触れ、ダムの良い点(ほとんどないけどさ)というか、悪い点がいっぱいあるんで(良いところなんて実際のところほとんどないんですよね…)、そこのところを説明したり、
一方で、中止になったダムについても触れたり、ダムが撤去された例もあるので…全国で唯一荒瀬ダムの件ですね、そこにも触れられました。
あと、ダム事業の見直しの歴史についても触れられました。
1997年から、年表で見てみるとあらあら…結構頑張って中止してるのかな?と感じる部分もあります。
だけど、肝心の石木ダムはなぜか中止にならないんだな〜…
そうそう、それに、ダムを作るための法的措置はいっぱいあるんだけど、ダムを止める法律は何もないのも問題なんですよね。
「土地収用法」もそうだし、裁判中でも工事が止まらない!「執行不停止の原則」も大問題です。
それでも、「ダムを止めるにはどうしたらいいのか?」ということなんですが、この部分については相川さんも遠藤さんもほとんど同じようなことをおっしゃっています。
遠藤さんは、無駄な公共事業、無駄なダムを止めるには、公共事業に負けない「体力」が必要!とおっしゃっています。
ここでいう「体力」とは、「地域への愛着」とか、「公共事業に頼らなくても地域住民たちで町を活性化させることができる、地域の営みを維持できる」ことかと思います。
そして、こういった「体力」がない地域が、今後、無駄な公共事業のターゲットになりうる…とも。
また、相川さんは、「地元を良くするためには、自分たちで話し合って考え、地域を活性化させる」こと、そのために、「普段よく話をする隣にいる人にまず話しかけて、問題を共有することから始めて、多くの人が関心を持つようになって欲しい」と訴えました。
最後に私からも一言、
石木ダムの場合は、若い人も多く活動に参加してくれていて、あまり政治的な匂いのするアピールは避けたいところ。
なので、「#いしきをかえよう」というキャンペーンが行われていたり、私自身もできるだけ楽しく活動できるよう頑張っていて、今まさに、石木の場合は、「イメージチェンジを実行中」かなと思っています。
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なお、このイベントの模様は、ユーチューブの方でもご覧いただけます。
会場にお越しいただいたお客様には、持ち込んだ石木グッズも買っていただきました。
コモンズさんには、謝礼までもいただいております。
これらのお金は、これから新しく作る石木グッズの製作資金に充てさせていただきます、本当にありがとうございました!
最後に、今月3月いっぱいで石木ダムの署名「説明不足のまま進む、税金538億円を費やす石木ダム建設。長崎県は一度立ち止まり、公開討論会を開いてください。」が終了いたします。
ぜひ、みなさんの参加をよろしくお願いします。
《電子署名はこちらから》
goo.gl/kM65dB