ここは佐世保市のお隣、佐々町の山の中。
素晴らしい遊歩道が続いています。
長い階段を上りきると・・・
佐々町の市街地が一望できます。
真下に流れるのが佐々川、右手が下流で湾曲して海に注いでいます。
中ほどに見える円錐形の山は、佐世保市の愛宕山。
正面にカメラを向けると、
小さな棚田や段々畑が見えます。
左手にカメラを向けると、
佐々川上流方面。
これから見学?に行くところです。
見晴らし台を降りて、市瀬川沿いに下る途中、素敵なスポットに遭遇!
ここは「ふれあいの森」と呼ばれる真竹谷広場で、今はしだれ桜の真っ盛り。
案内役のMさんに「そろそろ行きましょうか」と遠慮がちに声をかけられ、あわてて車へ。
佐々川に出て、神田市瀬橋あたりから南下することにしました。
ここから下流には、私たちが見たかった、頭首工と呼ばれるものが点在するからです。
頭首工(とうしゅこう)とは、用水の取水にかかわる一連の施設全般を指す言葉で、
用水路の「頭首」に存在する取水用の堰と用水の取り入れ口、魚道などを総括しています。
こちらは横手頭首工。
近くには「横手竣工記念碑」なるりっぱな石碑が建てられていました。
台座の部分には、この施設の詳細が金文字で刻み込まれています。
施工主は「長崎県北振興局」で、この横手堰の型式は「ニューラバーダム」、
工費は1億400万円だったとのこと。
こちらは、本田原頭首工。
他にも同様の2つの頭首工や、東部かん排と呼ばれる大きな灌漑用水取水施設、
九電の相浦発電所への送水など、いくつもの取水施設が短い距離の中に点在しています。
こんなにたくさんの灌漑用取水施設が必要なのでしょうか?
昔と違って、耕作農地が減り、灌漑用水の需要は激減しています。
例えば、「東部かん排」には、23,400m3/日という水利権が与えられていますが、
近年ほとんど取水実績はありません。
渇水年だった平成19年度でも、取水されたのは、わずか11日。
最大でも4,560m3/日でした。
地元の方の話では、佐々町にはたくさんの溜め池があり、よほどの渇水でないかぎり
わざわざ下の佐々川からポンプアップして水をくみ上げる必要はないのでは?とのこと。
地図を見てみると、たしかにたくさんの溜め池が表示されています。
親切な地元の方が案内して下さいました。
ここは稗田溜池。けっこう大きいです。
すぐそばのポンプ室には流量計があり、神田、栗林、稗田の3地域に送られているのがわかりました。
こちらは鶏舎。
端から端まで、鶏がラッシュアワーの車内のようにすし詰め状態…
そこを通り過ぎて行くと、
また一つ、少し大きな溜池がありました。
このような池をあちこちに造って、先人たちはこの地で農を営んできたのですね。
その農地はだんだん宅地に変わり、あるいは耕作放棄地となり、田畑の面積は減る一方。
取水実績値の示す意味が十分実感できました。
案内して下さった地元のWさんと別れ、帰途へ。
途中、佐々町に存在するもう一つの貯水池に立ち寄りました。
ここは九州電力相浦発電所所有の貯水池です。
九電にも、佐々川から4800m3/日の水利権が認められていますが、
この自社保有のダムにより、取水量実績は灌漑用と同じようにたいへん少ない値です。
が、3・11以降、水力発電の需要も高まっていると思われ、
23年度がどのような実績だったのか、
またこれからどのような需要が予測されるのか、今後の情報に注目したいと思っています。
佐々町は緑も水も豊かな、美しい町でした。