https://digital.asahi.com/articles/ASN666JD8N65TOLB00Q.html 朝日新聞 6月7日
長崎県内を拠点にイラストや鉛筆画で創作活動をしている3人の絵画展「しぜんのことば」が7日から、長与町で開かれる。石木ダム(川棚町)の水没予定地に暮らす石丸穂澄(ほずみ)さん(37)は、ふるさとの豊かな自然に息づく生き物を描いた新たな作品を出展する。入場無料で13日まで。
石丸さんは水没予定地の同町川原(こうばる)地区で、移転を拒んで暮らす13世帯の住民の1人。得意のイラストで地区の出来事を伝える「こうばる通信」を発行したり、住民の活動資金に充てるポストカードに、ふるさとの暮らしを描いたりしてきた。
昨年5月、県収用委員会が土地の明け渡しを命じてから緊迫の日々が続き、石丸さんは心身の不調から思うように絵筆を取れなかった。
今年に入って絵画展の話が決まると、約3カ月間でウナギやアユ、サワガニなど石木川などの生き物を水彩で次々と描き、一気に25点を仕上げた。石丸さんは「県がダムで沈めようとする土地には貴重な生き物がいることを可視化したかった」と話す。
佐世保市の和田沙織さん(38)は、実際に目にした鳥や花、果物を緻密(ちみつ)な色鉛筆画で描いた21点を出品。東彼杵町の松島理恵子さん(38)は、「風」をモチーフに、言葉では表現し尽くせない感情を抽象画に落とし込んだ色鉛筆画20点を出品する。松島さんは「それぞれ自然に寄り添った作品。絵の中に込められた絵描きにとっての『ことば』を感じてほしい」と話す。
長与町まなび野2丁目の「風の森まなびの」内のイベントギャラリーで開催。新型コロナウイルス対策で同時入場は2組までとし、鑑賞時間を制限する。問い合わせは松島さんのメールアドレス(comicpluto248@yahoo.co.jp)へ。(小川直樹)