コンコルド効果

コンコルド効果

(長崎新聞コラム2021/9/10 11:00 ) https://nordot.app/808879421200924672

〈「いつ始めるか」を決めるのは難しいが、「いつやめるか」の決断はもっと難しい〉-本紙情報面の人気コラム「歳々元気」が2年ほど前、こんな書き出しで「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」という経済用語を紹介している

▲英仏の共同プロジェクトで生まれた優美な機体の超音速旅客機は、燃費が悪い、定員が少ない-などいくつか大きな欠点があり、開発途上で採算性の厳しさが指摘された。だが、いったん動きだした計画は止められず、赤字を膨らませながら空を飛び続けた

▲一つの事業で、ある時点までに投資されて回収できない費用のことを経済学ではサンクコスト(埋没費用)と呼ぶ。「コンコルド効果」は、このコストを惜しんで引くに引けない心理的圧迫を言う言葉。いろんな場面で誰にも覚えのある感覚でもある

▲東彼川棚町の石木ダム建設事業で、県が一昨日、ダムの本体工事に着手した。事業採択から46年。半世紀近い時間が経過している

▲事業が長く実現できずにいることと、ダムの必要性とを単純に結び付けて論じるのは乱暴だろう。ただ、過去の投資や時間や経過や労力を惜しむあまり、判断が歪んでいないか-を、繰り返し問い直す姿勢を行政には求めたい

▲冒頭のコラムは〈引き際の決断にこそ、勇気と知性が求められる〉と結ばれていた。(智)

 

「抗議の行動変わらぬ」 石木ダム建設、本体工事開始から一夜

(西日本新聞2021/9/10 11:30 )  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/798500/

本体工事の現場を監視する水没予定地の住民と支援者

長崎県と佐世保市が進める石木ダム建設事業で、ダムの本体工事が始まった。着工から一夜明けた9日、川棚町のダム建設予定地では山の掘削や木の伐採が進められたが、反対する住民と支援者はこれまで通り座り込みを続けた。「本体着工で住民の行動が何か変わることなんてなかっさ」。「みんなここに住み続けたいんだ」。事業への抗議の姿勢を崩さなかった。

午後、ダム堤体建設予定地付近に設置されたテントでは、5人が工事の進行を監視した。住民の岩本宏之さん(76)は「ダム堤体そのものの工事の見通しが立たないまま本体着工しても意味がない。県は何がしたいんやろか」と話した。

堤体部分には、建設反対の象徴として住民が築いた「団結小屋」が立つ。事業を進めるため、住民の理解を得るか、小屋の強制収用に踏み切るか。行政側には大きな課題が突き付けられている。県石木ダム建設事務所は「できるところから、安全に配慮して進める」と述べるにとどまっている。

この日は本体着工と同時に再開された県道付け替え工事の現場にも、変わらず座り込みをする住民たちの姿があった。付近では盛り土工事へ向けた木の伐採が行われ、木陰にあった住民たちのトイレやテーブルなどが太陽の光にさらされた。岩下すみ子さん(72)は「私物が置かれたままでは盛り土はできない。嫌がらせやろうか」と反発した。

◇    ◇

石木ダム建設事業の本体着工について中村法道知事は9日、報道陣の取材に応じ、「地域住民の安全安心を確保するために、できるだけ早期に完成させるべきだ。安全性に十分配慮しながら、工事を円滑に進めていきたい」と述べた。 (岩佐遼介、泉修平)

 

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石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

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