10月31日、十五夜お月様の下、川棚町の川原(こうばる)地区では「こうばる満月ふるさと祭り」がおこなわれていました。
元は田んぼだったけれど、今は草ぼうぼうの野原になってしまったところに、草を刈り地面を均し、大きなテントを張って、数日前から準備が進められていました。
主催者は地元の方ではありません。
発起人は長崎市と諫早市の2人の音楽関係者です。
マスコミ報道によると、川原の全ての土地が強制収用されて1年が過ぎた今、「ダムの是非ではなく、若い世代が川原地区に残る山や川など自然を体感するきっかけになれば」との思いで企画されたようです。
私たちが着いた時には、大きなインディアンテントの中で、三味線の演奏が行われていました。
その後もギターや、名前も知らない珍しい楽器が演奏され、
人びとはそのリズムに合わせて体を揺らしたり、聴き入ったり、お酒を飲みながら談笑したり、みんな思い思いに楽しんでいました。
ライブは9時で終わりですが、テントを張って泊まり込む人たちはきっと夜遅くまで焚火を囲んで飲み、語り合い、満月の夜を満喫されたことでしょう。
そして、いま居るこの場所がどんな場所なのか、そのことも感じてくださったでしょう。
ダムができたら、ここは水の底。
隣の田んぼも水の底。
田んぼに住んでいる虫やイモリも水の底。
美味しい川原米はもう食べれない。
美しい石木川の清流が失われるから。
お向かいのあの家も水の底。
あの家に住んでいる家族はどこにいくのだろう?
どこで暮らすのだろう?
もしも、あの家に住んでいるのが私の家族なら…
などと、思い巡らせてくださったなら嬉しいです。
次の世代の為にも、立派なダムではなく豊かな自然を残したいですね。
建設関係者の方の中にも、自然を大切に愛する方がいらっしゃると思うと、なんともやりきれない気持ちになります。