西日本豪雨と石木ダム

7月18日、「石木ダム建設促進川棚町民の会」が県庁を訪れ、



石木ダムの早期完成を求める要望書を知事に手渡したそうです。

反対派の市民団体が訪ねる時は何故かいつも不在なのですが、推進派の団体が行くときは在庁していて、必ず直接受け取るんですよねー

なぜ今要望したかと言うと、死者200人を超える甚大な被害をもたらした今夏の西日本豪雨などを目の当たりにすると川棚川もいつ氾濫するかわからないからということのようで・・・

中村知事も同じ発想のようで、一刻も早くダムを完成させたいと応じたと言う。

お二人は、こんな記事は読まれていないのでしょうか?





ダムからの放流により一気に増水し、逃げる時間もなく亡くなった人たちがいるのをご存知ない?ってことはないでしょうが・・・

治水にはダムはかえってマイナスとまで書かれていますが・・

一方、こんな投稿記事もありました。



ダム建設よりも、河道整備や森林や水田の保全が大事だと言う投稿者の意見に大賛成です。

ダムは計画された貯水容量しか溜められないし、想定外の大雨には無力です。想定外の大雨が降っても、大地の保水力を高めたり、安全な地域にあふれるようにしたりして被害を最小限度にもっていく、そんな治水こそがこれから取るべき対策です。

異常気象が異常でなくなってきた現実を受け止め、自然をねじ伏せようなどという傲慢な発想は改めたいものです。

負けてますます意気軒昂!?

前日の県庁行動に続いて10日は、佐世保市役所と九州地方整備局へ出かけました。

まず佐世保市役所です。
前日と同じ声明文を、ここでは原告代表の岩下さんが読み上げ、佐世保市水道局長の谷本薫治氏に手渡しました。



その後およそ1時間半にわたって意見交換することができました。
と言っても、双方のスタンスは明らかにほぼ平行線を辿っており、交わることはほとんどありませんでしたが。

水道局長:
この裁判についての被告は国であり、私どもはそのやり取りの全てを把握しているわけではない。
また、差し止め訴訟はまだ続いており、そちらにおいては、私たちは被告の立場であり皆様は原告である。よって司法に判断を委ねるべきであり、議論をするつもりはない。

弁護団:
局長のお考えはある程度理解しているつもりである。
しかし判決には、水需要の予測についても、慣行水利権についても「佐世保市の判断が不合理であるとは言えない」と書いてあり、石木ダムが絶対必要だとは書かれていない。
一方、現地居住者はこの判決を受けても住み続けるという意思は何ら変わらない。
そういう状況の中で、佐世保市はこれからも本当にこの事業を遂行するのか?考え直す余地はないか?それを聞きたくてやってきた。



水道局長:
「不合理であるとは言えない」というような表現は裁判の中では一般的なものだと思う。
石木ダムの必要性に関して、司法の一定理解は得られたと受け止めている。

弁護団:
普通だと言われたが、不合理でなければ何をしてもいいのか?
13世帯の生活を奪うには、石木ダムがどうしても必要だという合理性が無ければならない。
あくまでも強制収用するつもりか?

水道局長:
土地の取得の仕方については、当初から佐世保市は県に委託をしているので、強制収用について私が言及するのは相応しくない。



弁護団:
それは無責任では?
受益者である佐世保市が13世帯を犠牲にしてでも不可欠と考えるのか、それほど利水の必要性があるのか、という判断は佐世保市がすべきことではないのか?



支援者:
2009年に県と佐世保市は、事業認定申請しましたよね?
あの当時、13世帯をどかしてでも石木ダムを造って水源開発をしなければダメなんだという水道局の判断がなければ、市長や知事が認定申請をするはずがないでしょう?

弁護団:
少なくとも当時は追い出す意思はあったということでしょう。
あれから数年たっています。佐世保の水事情も変わっています。市民の意識も変わっている。
そして住民の意志の強さも示された。
その中で市は、今もその意思は変わらないのかということを知りたいのだ。

地権者:
50年前に佐世保市は何と言ったか知ってますか?
佐世保市には10万5千tの水が有るが、10年後には16万5千t必要になる。6万tも足りない。だから石木ダムが必要だと言っていた。
今は11万7千t必要になると言っている。必要量が5万tも減った!
もう必要ないということだ。

また、2045年までに佐世保市の人口は21%減ると言われている。
水道の使用量も比例して減っていく。
すると市民の負担が大きくなる。
その上、耐用年数を過ぎている水道管がたくさんある。その更新にお金がかかる。
ダムを造るだんじゃない。
その費用がどのくらかかるのか、市民に知らせているのか?

そして、平成19年の地質調査で、石木ダムの予定地には深さ50m幅20mにわたって透水性のある軟弱な地盤があり、対策が必要だとの結果が出ている。
しかし、その対策費は未だに盛り込まれていない。
石木ダム建設のコストは大きく増えるはず。
それを計算して水道料金がどのくらい上がるのか、市民に知らせるべきではないか?

本明川ダムは石木ダムと同じ規模だが、500億かかる。
石木ダムが285億で済むはずがない。

佐世保市民:
私たち佐世保市民の多くは石木ダムを望んではいません。
先ほど局長は市民の代表は市議だと言われたが、市議会と市民の意識には乖離がある。
2年前の佐世保市によるアンケート調査で、市民が水道局に求めるのは水源開発よりも老朽化対策だということが明らかになった。
なんと63%もの人が最も重要なのは老朽化対策だと答えた。
古い施設を抱えた水道局の皆さんが漏水を減らすために苦労されていることは私たちも知っている。皆さんのおかげで今私たちは水に不自由しない暮らしができている。
この生活を維持するために、限られた財源をどう使っていくか、水道局と市民が対立するのではなく、一緒に考えていきたいと願っている。

地権者:
ダムには大きなお金がかかるので歴代の市長はあまり前向きではなかった。
ダムに代わる対策を模索していたが、やろうとすると県から止められた。そういうことをしたら石木ダムができなくなると。
しかし、今の市長は本気で造りたがっている。なぜだろう?

佐世保市民:
先日の講演会で講師が示した数字では、石木ダム建設と関連事業費で339億円、そしてダム建設後50年間にかかる維持管理・施設更新費は294億円、合計633億円にのぼり、1世帯当たりの負担額は約60万円になるとのことだった。この数字は間違っているのか?

水道局長:
昨日、知事や市長も言っていたが、石木ダムは必要なダムである。そして厚労省等でも認められている。それ以上のことは私どもからは言えない。

地権者:
佐世保市の関連事業はいつ着工するのか?

水道局長:
具体的なロードマップはここで示せないが、既に取りかかっているものもある。
これまでに125億円も投資しながら取水場や新しい浄水場の用地確保などにお金をかけてきた。

支援者:
石木ダムができなければ、他ダムの浚渫ができないと広報にあるが、水道局長は本当にそう思っているのか?
「市長、それはちょっと言い過ぎですよ」と、市長を諫めるのが現場の責任ではないのか。

弁護団:
いろんな話が出たが、大事なのは今後のこと。
これからどうするのが一番いいのか、佐世保市民と地権者と有識者などを含めて意見交換しませんか。
それは佐世保市にとっても有意義なことだと思う。
そういう申し入れをしますので、ご検討いただきたいと市長に伝えてください。

水道局長:
伝えますが、もう1つの裁判が進行中なので、被告と原告という立場上、土俵の外で何かやるのは難しいと思う。

まだまだたくさんの質問や意見が出たし、水道局長は、それに対し答えられるものはできるだけ答えようとしていました。そのことには率直に有難いと思いました。

判決後に協議を行いたいという私たちの要請に対し、当初は「対応は難しい」と文書で回答してこられました。
その水道局が、180度方針を変え、水道局長自らが対応してくださったのは、やはり「勝った」という安心感と余裕だったのでしょう。

 

私たちは裁判(一審)には負けたけれど、みんな何故か明るく元気!
貸し切りバスの車内はお菓子があちこちから回ってきて、なんだか旅行気分で、次の目的地「国土交通省 九州地方整備局」(略して九地整)へ向かいました。

九地整でも部屋を用意して対応してくれましたが、しかし、こちらは酷かった・・・
担当者(事業認定調査官の渡辺氏)は不在とのことで、本件について全く無関係の総務の職員が3名「居た」だけでした。
この方が発した言葉は「30分だけ」と「伝えます」

まずは、これまで通り、声明の読み上げ。
ここでは総代の炭谷さんが朗読し、手渡しました。



弁護団:
判決は「認定庁の判断が不合理だったとは言えない」というもの。
その判断とはあの時点でのこと。今現在はどうなのか?
国として今どのようにお考えか知りたくてやってきた。

九地整:
私が今この場で言うことは何もない。
皆様のご意見を録音させて頂き、声明文と共に上司に伝える。



地権者:
私たちは認定される前も、ここに来ていろいろ意見を述べたが、その時も担当者ではなく総務の方が対応した。伝えると言ったけれど、伝わったかどうかもわからないままだった。

県や佐世保市が提出した資料には間違いがあったので、正しい資料を私たちは送ったが、その時は、もう認定の方針が決まっていた。

特に事業費については大きな問題がある。
その数字は平成16年に出された数字で、その後19年に長崎県が委託した地質調査会社から地盤の問題性が指摘されたにも関わらず、その対策費が加算されていない。
国は県の資料を鵜呑みにしないで、事業費の算出をやり直させるべき。
あるいは、認定庁自身が調査をしてほしい。
認定前も現地に足を運んでほしいと何度もお願いしたが、来なかった。

などなど、何を言っても「伝えます」の返事しか返ってこない。



「担当者を呼んでほしい」「いつなら担当者と話せるのか、それを聞いてほしい」「今ここで電話して確認してほしい」
何をお願いしてもダンマリ。

しびれを切らした地権者と支援者の2人が、渡辺さんを探しに部屋を出ていきましたが、結局、渡辺さん以外の認定調査官にも会うことはできず、私たちは帰途に就きました。

国の対応とはこういうものなのですね。

たとえ、そちらには意味のない(認定庁が出した判断は違法ではなかったと司法も認めたのだからこれで決着。今さらこの件で原告らと話し合う意味はない)ことであっても、その認定によって家を、生活を奪われようとしている人たちの声に耳を傾けようとする、血の通った役人はいないのでしょうか。

まさに問答無用。
下々の者は下がれ居れ!という感じ。

でもね、こうばるの皆さんも私たちも、そんなことで意気消沈したりはしませんぞ!
18日には国交省本庁に乗り込みます。
もちろん厚労省にもね。

負けてますます戦意高揚!
雑草の底力を甘く見ちゃダメよ。 (‘◇’)

長崎地裁、不当判決!認定取消請求を棄却

2018年7月9日、長崎地方裁判所(武田瑞佳裁判長)は、石木ダム事業認定取消訴訟の判決を言い渡しました。

主文
  1 原告目録の番号2ないし5,7,8,10,13,14,16、
    18,20,22,26,27,29,33,36,37,42,
    43,45ないし48の原告らの訴えをいずれも却下する。
  2 その余の原告らの請求をいずれも棄却する。
  3 訴訟費用は原告らの負担とする

理由も何もわからず、私たちは唖然!
とりあえず、門前にダダーっと走り、旗出しです。



お決まりの文句「不当判決!」だけでなく、「いしきをかえよう!」の旗も3本出しました。
こんな不当判決を下す裁判所は意識を変えるべき!だし、
県や佐世保市も、お墨付きを得たと喜ぶのではなく、より良い未来のために、やはり意識を変えてほしい!ということで。

では、何がどう不当だったのか?
それは、こちらの判決書面を読めばわかるのですが、

石木第一審

長いので、とても全部は読めませんよね。

簡単に説明すると、

主文1は、
原告番号がいくつも書かれているのは、地権者のご家族の方々。
地権者(=土地の所有者)以外は原告にはなれません、という意味です。

例えば、、所有者が一家のおじいちゃんであった場合、その妻(おばあちゃん)や子ども(一家の生活を担っているお父さん)たちが、自分もここで暮らす権利があると思うので、事業認定を取り消してほしいと思っても、訴えをおこすことはできないってこと。
家族は付属物扱い?

主文2は、こういうこと。
原告の請求(石木ダム事業認定を取り消してくださいという訴え)を棄却する、つまり、石木ダム事業認定は取り消しません。被告(国)の主張を認めますってこと。

その理由は?
判決書の第3章「当裁判所の判断」p59~に詳しく記述されています。

そこでは争点を3つに分けて説明しています。

(1) 原告適格の有無(本案前の争点)p59~p63
(2) 本件事業が法20条3号の要件を充足するか。p63~131
(3) 本件事業が法20条4号の要件を充足するか。p131~134

争点(1) 原告適格の有無とは?
原告になる資格が有るのか無いのかということ。

原告の主張~私たち現地居住者は石木ダム建設によって現地に住み続けることができなくなるのだから、自分の権利を守るため、原告となる資格は当然あるはず。

被告の主張~原告居住者らは土地建物の所有権者に従属し、その下で占有している者にすぎず・・・ 所有権者から独立した個別の権利は認められない

そして、裁判所の判断は、

原告居住者らが本件事業により不利益を被ること(現在住んでいる建物に居住することができなくなること)は否定できない。
でも、その不利益は、土地収用法上は原告所有者の損失に含めて評価されるべきで、別個に評価することはできない
よって、原告居住者らに原告となる資格はない

というものでした。

判決後、住民のお母さんの1人はつぶやきました。
「私たちは虫けら扱いやね」

争点(2)の「法20条3号の要件」とは?
「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」

つまり、原告が一番問い続けた石木ダムの必要性そのものです。
得られる公共の利益と、失われる利益と、いったいどっちが大きいのか
前者が後者より大きい場合に限り石木ダム事業の必要性が認められるわけですが・・・

裁判所の判断は、

「佐世保市の水需要予測の内容に不合理な点があるとは言えない」
「川棚川の治水計画も技術基準などに沿った一般的なものであり、合理性を欠くとは言えない」
よって、
「本件事業は水道用水の確保、流水の正常な機能の維持および洪水調整のための必要性がある。本件事業によって得られる公益の利益は、これによって失われる利益に優越している

というものでした。

裁判官は資料をきちんと読み込んだのでしょうか?

工場用水に関するあんなでたらめな水需要予測(わずか4年後に3.5倍にもなるという予測)も、市の言い訳を全てコピペすることによって正当化していますが、4年後の結果は増えるどころか減っているのです。

それでも市の予測に「合理性がないとは言えない」のなら、「合理性のない予測」など、この世に存在しないのではないでしょうか?

利水を担当した高橋弁護士は、「無茶苦茶な論理」「事実を捻じ曲げた判決」と呆れていました。

治水を担当した緒方弁護士は、いつも穏やかな方ですが、この日はかなり本気で怒っていました。


「被告の言い分をオウム返しにしただけ」
「形式論だけで、内容についてはロクに検討していない」
「中身のない判決で、こんな判決に従う必要性は全く無い!」

お怒りはごもっともです。
基本高水など専門的なことを弁護団は必死に勉強し知識を獲得し、県の算定がめちゃくちゃ過大であることを突き止め、科学的に指摘したのです。
それについて国側は何ら反論できなかった。ということは、原告側の主張を認めたに等しいのに、裁判所は、それについては検証しようとせず、スルーしてしまった。ただ河川管理者の「広範な裁量権の範囲内」として片づけてしまったのですから。

例えば、川棚川の計画規模を決める際の指標を、河道状況だけは昭和50年頃の古いもの(整備前のデータ)を使い、他の指標はみな直近のものを使って県は計算しているのですが、それも問題ないと判断したわけです。

治水のことはよくわからない私ですが、それでも、洪水被害を予測するとき、人口や宅地面積や資産などを直近のデータでみるなら、河道状況も直近のデータを使うべきだということくらい、わかります。

なぜなら、河道状況も住宅数や店舗数も現時点の数値を使えば、より正確な被害額が試算されますが、河道だけ整備する前の古いデータを使えば、当然、氾濫面積は広くなり、直近の住宅数や店舗数で算出すると被害額は大きく水増しされ、とても信用できる数字ではなくなります。

しかし、長崎地裁は「河川整備基本方針及び河川整備計画の策定に当たっては,高度に技術的かつ専門的な事項を含む上,河川整備の時期やその範囲については,当該河川整備の 費用を負担する地方公共団体の財政状況等と密接に関係する政策的な事項であることから, 河川管理者の広範な裁量に委ねるべき」と考え、河川管理者=県の言い分を丸々採用してしまったのです。

争点(3)の「法 2 0 条 4 号の要件」とは?
それは、「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるもの」でなけれなならないということ。

「覚書」を無視したことは、手続き上、この4号要件に違反するとして、こうばるの皆さんが強く訴えていたことです。
地域住民はダムなど誰も求めていなかった、しかし、当時の知事や川棚町長が「調査の結果ダム建設の必要が生じたときは改めて協議をし、書面による同意を得た後に着手する」と固く約束したので、覚書を交わし予備調査に同意しただけだったのです。
その約束を破って、住民の同意も得ずに事業を強行することは許されるはずがない!と。

しかし、裁判所の判断は、

「私法上の権利義務関係の存否については,事業の認定の要件とはされていないので、覚書は本件事業認定の適法性に影響を与えない」

として、これも棄却したのです。

この判決を受け、私たちはすぐに県庁へ移動しました。
そして、弁護団が用意した声明文を読み上げ、浦瀬河川課長に手渡し、福岡高裁に控訴する方針を伝えました。

180709「石木ダム事業認定取消訴訟」判決に対する声明



その後、対応した浦瀬河川課長と約1時間にわたって交渉の時間が得られましたが、いつものように、「知事に伝えます」の言葉しかありませんでした。

馬奈木弁護団長:
地権者の意思はこのように不当判決を受けても何ら変わらないんですよ。ということは、行政代執行をしない限りダムはできない。その覚悟はできているのか?

浦瀬課長:
現時点で,行政代執行を行うとも,行わないとも決まっていない。
石木ダムは必要不可欠な事業であるので中止することはない。
一昨日も大雨による大きな被害が起きたばかりで・・・

との言葉が終わらないうちに、会場は反論の嵐。

「何?ダムを造ったら被害がなくなるって?」
「肘川の氾濫はダムのせいやっかー」
「ダムの放流のせいで人が亡くなっとるのを知らんとかー」などなど。

馬奈木団長:
現実に代執行がなされた場合,どのような事態になるかを想像してほしい。
おばあさんが仏壇に取りすがって離れようとしなかったらどうするのか?
仏壇を壊すのですか?そのまま家を潰すのか?
想像力を精一杯働かせ、代執行の光景を思い描き、具体的に検討の上,
判断してください。


そして、最後に地権者の岩下さんが締めくくりました。

私たちは収用されても、代執行されても闘っていきます。
これは今日ここに来ているみんなの考えです。

私たちは10年でも20年でも反対し続けて行きます。
死ぬまで反対します。
私が死んでも子どもたちが後を継いで反対を続けます。
そのうちに佐世保の人口は減り、水余りになります。
ダムに代わる治水対策もいろいろあります。
あなたたちはこれまで石木ダムだけに固執してきましたが、
考えを改め、
少しでも早い時期に、ダムに代わる方法を選択すべきです。


この言葉が全てです。
一審判決など、県にとって、決して追い風にはならないのです。

人権を守る闘いは延々と続き、
嘘で固めたダムの必要性は、時間の経過と共に、どんどん剥がれていくでしょう。

#いしきをかえよう!

知事「近いうちに」

夕方のローカルTVニュースで言ってました。

知事の定例記者会見で、石木ダム地権者との話し合いについて問われた中村知事は、

「お待たせしていますが、近いうちにお会いします」と明言しました!

と。いよいよ確実ですね。

地権者の皆さんが願っていたことが、ようやく実現できるんですね。

思えばあの日、



2014年7月11日、地権者、支援者、弁護団の前で、知事はこれからも話し合いは続けますと言ったのに、ずーっとその約束が実行されずに、3年7ヶ月もの時間が過ぎ去ってしまいました。

でも、まだ間に合います。

ぜひ地権者の皆さんの声にしっかり耳を傾け、胸襟を開いて、前向きな話し合いをして頂けますよう、心から願っています。(._.)

石木川まもり隊 報道部 第1弾スクープ映像!

お待たせしました!石木川まもり隊に報道部開設です。

第1弾は去る1月31日のできごと。
知事選候補者の中村法道氏(現職知事)が、選挙遊説中に、ついに地権者と言葉を交わし、地権者の願い(知事と今後のことについて直接話し合いたい!)を受け入れ、「わかりました。話し合いましょう」と約束したことを。

選挙が終わり一週間が過ぎ、中村法道さんは再び知事の椅子に座っていらっしゃることでしょうが、あの約束はいつ果たされるのでしょうか?

ご多忙な日々であることは容易に推察されますので、お忘れなきよう、ここに、その証拠映像を公開いたします。



石木川まもり隊報道部、名カメラマンによるスクープ映像です!

 

県のアンケートは長崎和牛付き!

昨日は、長崎新聞による県民アンケートの結果についてお伝えしましたが、もう1つのアンケートについても報告しておきましょう。

それは、長崎県自身がおこなった石木ダムに関するアンケートです。

えー!知らない!そんなの初耳~と、今びっくりしている県民の方もいらっしゃることでしょう。
当然です。私たちも全く知りませんでした。

それは、12日の県庁でのやり取りの中で突然出てきたのです。
こうばる住民のHさんの発言がきっかけでした。

ここ(要請文書)にある県民意識調査の結果についてはご存知ですよね?
8割の人が説明不足、5割の人が必要かどうかわからないと答えているのに、県民の税金を使ってダムを造るんですか?おかしいと思いませんか?

それに答えて、土木部次長が言いました。

県としてもアンケート調査をしたことはありますが、その時の結果は4分の3の人が「理解できる」でした。

会場内は一気にざわついてきました。
皆そんなアンケート調査がおこなわれていたなんて知らなかったから。

いつおこなわれたんですか?
何人から回答を得たのですか?
回答はどういうふうにして集めたんですか?
などなど。

次長:2016年の11月に県の広報誌で石木ダムについて説明し、それが理解できたかどうか質問し、読者がハガキで回答しました。

との説明を聞いても、イマイチ私たちは半信半疑で・・・
帰宅後、調べてみると、こういうことでした。

県の広報誌「つたえる県ながさき」2016年11月号には、こんな特集記事があり、





最終ページの読者プレゼントのコーナーには、その特集記事に対するアンケートが・・・



これが、県の言う石木ダムアンケートでした。

つい最近、このアンケートに応募したという方からメッセージを頂きました。

広報の「理解できましたか」は、「事業に賛成ですか」とイコールではないですよね。
あくまで、「広報での説明の意味は分かりましたか」「県はこう主張している、ということは分かりましたか」ですから。
私も、このプレゼントに応募した記憶があります。

そうですよね。この広報誌に書かれている説明内容について理解できたということ。長崎県の河川の特徴や過去に起きた川棚町の洪水被害、佐世保市で起きた渇水被害など、これらについての説明が理解できたし、それに対して県が石木ダムに取り組んでいるという事実もわかった、という意味で「理解できた」と答えた人が多かったことでしょう。

単に県の主張の一部を理解したに過ぎず、それに賛同するかどうかは別問題だし、それをもって、石木ダムの必要性を理解できたとは到底言えません。

常々反対派から説明不足を指摘されるので、なんとか説明したという痕跡を残したかった。そして、それを証明する(理解できたとする)数字を示したかった。そのために、

長崎和牛という餌を目の前にぶら下げて、回答を求めた?

ああ、嘆かわしい。。
この和牛代金も税金が使われていると思うと、悔しいな~
いつもは、こんな高級なプレゼントだったっけ?
とバックナンバーを見ていたら・・・

おや?
2017年9月号でも石木ダム特集をやっていました。
そして、2016年11月号と同様に「石木ダム事業について理解できましたか?」という質問が設定されています。

なぜ次長は、こちらの結果に触れなかったのでしょう?
普通、2回調査をやっていたら、直近の結果を知らせるはずですよね?
あるいは両方報告する。
なぜ古い方だけを報告したのか?

もしかしたら直近のものは、「理解できない」という回答が多かった?
あるいは、アンケートへの回答が少なかった?
プレゼントが素麺の揚げ菓子で、人気が無かったからとか・・・

いずれにしても怪し~い! “(-“”-)”

何もお答えできません



ここはどこ?ほんのちょっとうたた寝してる間に、窓外の景色は一変していました。



同じ長崎県内とは思えない積雪です。
こんな日に高速バスで長崎市に向かった理由は…



県庁へ行くため。
知事への要請書を提出する地権者の皆さんの応援に、やってきました。
すでにたくさんの支援者も集まっています。

新庁舎のロビーの床にはまだブルーシートが敷かれていて、眩しいほどピッカピカの新築です。

まもなく河川課の職員がやってきて、案内されたのはこちら。



引っ越したばかりで新庁舎の会議室が確保できないので旧庁舎にしてくれと言われていたのですが、なんとか手配して頂けたようです。

今日は知事も土木部長も公務で不在だそうです。(毎回のことですが)

川原(こうばる)地区総代の炭谷猛さんが、要請文書を読み上げました。



要請文書はこちらです。

2018.1.12長崎県知事への要請書

吉田慎一土木部次長に手渡します。



低姿勢で受け取ってくれましたが、対応の中身は真逆です。

要請事項は決して難しいことではありません。
石木ダム問題打開のため、知事に対して住民との話し合いを求める、ただそれだけです。
住民とは、石木ダム水没予定地の住民です。
石木ダムの起業者は県であり、その最高責任者は知事ですから、石木ダムによって犠牲を強いられている住民に会うのは当然のことです。
しかし、知事に代わって対応した土木部職員は、当然の要請を受け入れるどころか、全てにおいてゼロ回答でした。

「いつまでに回答をもらえますか?」

今ここでは言えません

「回答はもらえるんですよね?文書でください」

それも含めて伝えます

伝える?何を聞いても「伝える」
「伝える」のは当然です。
回答文書を提出するとなぜ言えないのでしょう?
そのくらいの権限はあるはずの方々が3人もいて・・・
知事宛ての要請文書を受け取ったのだから、知事名で返事の文書を出すのは当然だと思うのですが。。。
私たちの常識は長崎県の非常識?



なぜそれほど話し合いを拒否するのかの質問に対し、

浦瀬企画監「1つは、裁判中だから」

裁判が理由で話し合えないというのなら、これから先何年も話し合えないことになりますが。
逃げているとしか思えません。
そのような声があちこちからあがると、

「裁判中だからできないとは言っていない。適切でないと言ったんです」

「それじゃあ話し合いをしてください」

「条件が整っていないからできません」

「条件とは何ですか?」

「私たちは生活再建の話し合いをさせて頂きたいのですが、それが難しいようなので…」

「生活再建以外の話はしないってことですか?」

「そのようなご意見も伝えますので…」

というふうに、また逸らします。
そこで地権者の方が言いました。

「生活再建だけと言われたら話し合いはできません。貴方たちは私たちの同意を得たいんでしょう?私たちが同意できるような資料をもって話に来てください。そこで私たちが理解できたら一緒にダムを造れるじゃないですか。そういう努力をしてください。裁判とは別にしてください

予定時間を大幅に過ぎても県側から話し合いを打ち切らなかったのは、良かったと思います。
しかし、最後まで無回答だったのは残念です。

今回の場の交渉を引き受けてくださったTさんが、「まもなく選挙に入るので選挙後でもいいから、知事に話し合い再開の意思があるのかどうかそれだけは確認してください、そして回答をください」と提案しても、「それも含めて検討します」という答えしか返ってきませんでした。

よほど上から釘を刺されていたのでしょう。
「何1つ約束するな」「回答するとは決して言うな」と。

庁舎は新しくなっても体制は古いまんまだね~
それが、皆の共通した感想でした。

上?
土木部次長の上といったら土木部長?
しかいませんが・・・ (- -)

知事、定例記者会見

10月14日の 定例記者会見での一問一答を県HPより転載します。

 

○記者(NHK) 石木ダムの件です。先ほど公共事業評価監視委員会から意見書が手渡されたと思うんですけれども、その中では、しっかり地権者の人たちと話し合いをして、円満解決に向けて取り組むよう求めている内容だったと思います。地権者のほうから訴訟の話が出る中、また、収用委員会の審理が(地権者側の)反対にあって、審理が進められない状況にある中、今後、この問題に向けてどう対応していくのか、知事の考えをお聞かせください。

○知事 ま先ほど公共事業評価監視委員会の意見書をいただいたところでありますけれども、「反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい」というご意見をいただきました。
 疑問点についての説明は、これまでも繰り返し行ってきたところでありますので、これからも疑問点等についてはしっかり対応をさせていただきたいと考えております。
 そういった中で、地権者の皆様方のご理解が得られるよう、引き続き努力していかなければならないと考えているところであります。

○記者(長崎新聞社) 先ほどの石木ダムに関連しまして、地権者の皆様が、国を相手取って事業認定取り消しの訴訟を提起する方針を示しています。また、県と佐世保市を相手取った工事禁止を求める仮処分、これもまた申請したいとしています。それぞれに対して知事としてのお考え、どのように対応されるのかを伺いたいと思います。

○知事 事業認定手続の取り消しについては、国のほうで認定をしていただきましたので、直接の当事者ではない立場でありますけれども、さまざまな利害が出てくるものと考えております。
 県の基本的な考え方については、これまでも繰り返し申し上げてまいりましたように、川棚川の治水対策、あるいは佐世保市の水の確保のためには必要不可欠な事業であると考えているところであり、ぜひ早期に事業を進めていくことができるよう、努力していかなければいけないと考えているところであり、しかるべき立場で県も考え方をまとめてまいりたいと考えております。
 まだまだこれからの動きでありますので、今の段階で具体的なことを申し上げる状況ではないと思っておりますけれども、仮処分の申請等がなされるということになりますと、そういった点についても対応をしていかなければいけないのではないかと考えております。

○記者(長崎新聞社) 取消訴訟は、確かに国が相手ですけれども、県が補助参加をするということはあり得るのでしょうか。

○知事 選択肢としてあり得るかもしれません。まだ具体的には検討しておりません。

○記者(長崎新聞社) それは、県として治水面、利水面などを法廷の場で証言をするということが考えられるでしょうか。

○知事 事業としての必要性そのもの等を含めて、地域の状況等について説明をする機会もあり得るのではなかろうかと思っております。

○記者(長崎新聞社) もし県、佐世保市を相手取った工事禁止の仮処分が提起されると、今、実施している取付道路の工事も、また大きな影響を受けるかと思うのですが、それについては。

○知事 ダムの建設自体は、全国的に、いわゆるゲリラ豪雨が頻発をして、さまざまな自然災害に見舞われているような状況があり、私どもはこのダムの建設に当たって100年に一度の雨にも耐え得るような治水対策をということで事業を進めてきたところでありますけれども、本日の公共事業評価監視委員会の皆様方のご意見の中にも、やはりそういった点から、事業自体は必要ではないかというようなご意見もあったやに聞いているところでありまして、私どももこれまでそういった点から一刻も早く、この事業は完成を目指していかなければいけないと思っているところでありますので、そういった観点から対応を進めるということになるのではなかろうかと考えております。

○記者(西日本新聞社)  諫早湾干拓についても、石木ダムについても、話し合いについては、結構条件闘争をしているような感も否めないんですけれども、いずれの問題に対しても、県が解決しようとする姿勢について、やはり消極的なものを感じるんですが、早く解決したいという思いがあるのかどうかというのを聞きたいと思います。

○知事 諫早湾干拓事業で話し合いで解決できるとお考えですか。全く利害が、あるいは考え方、方向性が違う関係者の方々が、開門するか、しないかという選択肢しかないんですよ。しかも双方の皆様方が、「開門はあり得ない」、「開門すべきだ」、そういう選択肢しかお考えになっていない現状があるわけでありますので、それは中庸の解決策が想定されるということであれば別だろうと思いますけれども、なかなか難しいのではないかと思っております。
 それよりも、やはり現状として、有明海の漁場環境の再生に向けて、具体的な成果を出していくということが一番求められていることではなかろうかと考えております。

○記者(西日本新聞社) 石木ダムについても。

○知事 石木ダムについては、この間、40年間にわたって、さまざまな説明、お願いをさせていただいてまいりましたけれども、いまだご理解がいただけてないという状況であります。
 この諫早湾干拓事業についても、石木ダムについても、私ども行政の立場からは、地域住民の皆様方の安全・安心をどうやって守っていくのか、そのことが最も重要な課題であると、こう考えておりまして、そういった観点から開門がなされると、さまざまな影響、被害が想定される、あるいはまた石木ダムは、治水上も、あるいは利水上も安心して生活をしていただくためには欠かせない事業であると考えておりますことから、これまでのような姿勢で臨んできたところであります

○記者(西日本新聞社) 石木ダムの件ですけど、現時点で地権者が直接の話し合いを求めていることに関して、今の時点で応じる考えがあるのかないのか、教えてください。

○知事 ご疑問点等についての説明の場は、これまでも持ってまいりましたし、これからも設けていきたいと思います。

○記者(西日本新聞社) 直接ですか。

○知事 直接の話し合いの場については、前回、私も直接お会いさせていただいたところでありましたけれども、なかなかこちらの説明も聞いていただけない状況にございました。
 実は、先般の10月5日のことだったと思いますけれども、知事が説明を直接するかどうかというお尋ねの機会があったと理解しているんですが、既にその際、「知事はなぜ来ない」という話になりましたし、また、お求めになっておられる内容が、ゼロベースで検討、説明をするようにというお話でありまして、ゼロベースというと、既にこれまでさまざまな手続を進めてきた経過があるわけであります。そういった前提でお話し合いをさせていただくということは難しいと考えております。

○記者(西日本新聞社) なぜ難しいんですか。

○知事 事業認定申請手続も終えて、裁決申請手続を今進めている段階であり、もう一度白紙の段階に戻って話し合えとおっしゃるのは難しいと考えております。

○記者(西日本新聞社) それを直接、地権者の方に説明する機会は設けないんでしょうか。

○知事 それは前回もそういった難しいというお話をさせていただきましたけれども、そういった説明も十分させていただくことができなかった状況でございました。

○記者(西日本新聞社) 前回は、その説明も十分できていないという認識なんでしょうか。

○知事 尋ねの内容等については、既に文書等でお答えしている分もあります。

○記者(西日本新聞社) 認識としては、直接伝えられたというふうに認識をされているんですか。

○知事 直接伝えるというのは、さまざまな手法があると思います。前回お会いした時も、私の日程の中で直接対応するというのは難しい場合もありますので、その際には、例えば文書で回答させていただく、あるいは私の考え方を部長に伝えて(地権者へ)お伝えするという方法もありますと、そういったことも申し上げてまいりました。

○記者(西日本新聞社) 前回、直接会われた時は十分にお話を聞いていただけなかったというふうに私は感じたんですけれども、そういう意味ではなかったんですか。

○知事 そういった要素もございます。

○記者(西日本新聞社) そういう意味で十分に地権者の方に知事から直接伝えられなかったという認識なんですか。

○知事 何をですか。

○記者(西日本新聞社) 今おっしゃった説明をです。

○知事 説明は、もうこの間、何回としてやってきているんですよ、40年間にわたって。歴代の知事も一生懸命対応してこられましたし、私も数回、直接、地権者の皆様方とお話の機会もいただきました。そういう経過があって今に至っているわけでありますので。
 したがって、疑問点等についても説明をさせていただいてまいりましたけれども、現実問題として、技術的、専門的な内容でありましたし、それ以外についてのご質疑等はなかったわけであります。したがって、土木部で対応をさせていただいたという経過があるわけであります。

○広報課長 最後の質問にさせていただきたいと思います。

○記者(読売新聞社) 時間がないので2点まとめてお尋ねなんですけれども、先ほど質問が出ていた石木ダムの件ですが、地権者の方々との溝というのは、今後、どういうふうに埋められていくおつもりなのかということを、具体的に何かあったら教えていただきたいということが1点。もう1点は、県庁舎跡地問題の検討の進捗について教えてください。
 この2点についてお尋ねします。

○知事 円満な形で地権者の皆様方の理解を得て進めていくというのが一番望ましい形であるというのは当然なことであり、私も強くそういう思いを持っておりますけれども、これからも地権者の皆様方と、直接、用地問題等を含めて静穏な状況で話し合いをさせていただく機会が得られるということであれば、これからもお願いしていこうと思っているところであります。

○記者(長崎新聞社) もう1点確認させていただきたいんですが、先ほどの石木ダムの取消訴訟補助参加の件なんですけれども、通常、補助参加をする場合は、補助参加することで国が勝訴すると県に利益がある時にされると思うのですが、国が勝訴すると、どのような利益があるとお考えでしょうか。

○知事 訴訟の場で、この事業についての公益性、合理性等が認められるということではなかろうかと思っております。

○記者(長崎新聞社) つまり地権者側は、この取消訴訟の場で事業の公益性、必要性について争おうとしている。それが訴訟の場で(従来の県の)主張が認められるという理解でよろしいんでしょうか。

○知事 そういった面があるのではないかと思っております。

○広報課長 以上をもちまして、知事の定例記者会見を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

 

逃げ回る知事

今日、地権者の5人と弁護団、そして支援者など約40名で県庁を訪れました。

強制収用に抗議し、

付け替え道路工事の中止を求め、

そして何より、知事との直接対話を求めてのことでした。

しかし、今回も知事の姿はありません。

対応したのは、河川課企画監他1名のみ。

企画監は、

ダム検証で結果は出ている。

公開質問状には文書で答えてきた。

と答えるばかり。

馬奈木弁護団長は、

イサハヤでは、確定判決にも従わずゼロベースでの話し合いを求める知事が、

裁判所の判断も示されていないイシキでは、なぜ話し合いを拒否して逃げ回るのか?

と迫り、

地権者も、

知事は去年の7月、これからも話合いは続ける。私の出席が必要な時には参加すると言った。

しかし、その後1度も出てこない。

いま我々は知事の最終判断を問うている。

今が知事の出席が必要な時ではないのか?

なぜ出てこない!

と繰り返しましたが、

企画監は、そのナゼには答えず「私が県として答えている」と言いました。

 

地権者:では、県は、石木ダム問題の終着点をどのようにしようと思っているのか?

企画監:それは、その時点で考える。

地権者:そうか。それまでに事故があったらどうする?

    暗闇に大型車を入れて重機を搬入しようとしたが、こっちは必死だ。

    止めようとして轢かれてしまうかもしれない。

    死者がでたらどうする?あなたが責任を取るんだな?

    地権者の中には首をくくって死にたいと言ってる者もいる。

    その時はどう責任を取るんだ?

企画監:・・・・・・。そのようなお話があったことは伝えます。

 

約1時間に及ぶ不毛のやり取りを終え、終了後、地権者と弁護団は記者会見をし、

国の事業認定取り消しを求める行政訴訟を長崎地裁に起こすことを明らかにしました。

また、民事訴訟についても検討中です。

 

私たちは知っています。

行政訴訟の難しさを。

行政裁判で勝つことは、針の穴にらくだを通すように難しいと言われています。

それでも、強制収用が始まってしまった今、私たちは私たちの権利を行使し、

正義を求めて闘わざるを得ません。

 

皆様のご支援を心からお願いします。m(__)m

 

地に落ちた「誠心誠意」 

両手を広げて行く手を阻む県職員とガードマン。

私たちが向かっていたのは知事室。

一枚の抗議文を手渡すために川棚町や佐世保市など県内各地から集まった県民が

知事に会うことは叶いませんでした。

 

伝えたかったのは、知事が裁決申請の方針を決定したことへの抗議と撤回の要請です。

いくら国が事業認定したとはいえ、石木ダムの必要性については大きな疑念が持たれており、

つい最近ようやく、起業者である県や佐世保市と反対地権者や県民との議論が始まったばかり。

そんな中で裁決申請とは、あまりにも乱暴です。

知事の真意を問いたい、この方針を撤回してほしい、その思いを届けに来たのです。

 

そんな県民を中に入れず、職員に人間の壁を造らせた県の姿勢に強い憤りを覚えます。

これは知事の意思でしょうか?

だとしたら、知事は嘘つきです。

知事はこれまで、議会でも記者会見でも、いつもいつも、

地権者の皆さんの理解が得られるよう、「誠心誠意対応したい」と言い続けてきました。

 

知事がどうしても裁決申請をやりたいのなら、

その前に、その方針決定について地権者に直接伝え、地権者の怒りの言葉に耳を傾け、

その思いを受け止め、犠牲を強いる皆さんへのお詫びの言葉を述べた上で、

それでも県としてはやらせて頂く、との決意を伝えるべきでしょう。

それがせめてもの誠意ではないでしょうか。

 

私たちは5日前には、今日知事に会いに行くことを知らせていました。

知事にとって「理解を得たい」相手、「誠心誠意」を尽くすべき相手が出向いてくるのだから、

その時間は何はさておき空けておくのが当たり前でしょう。

どうしても変更できない先約があるなら、

地権者へ別の時間帯を指定して変更を願い出るのが、これまた当然の処置。

そのようなことは何もせず、河川課企画監が出て来て、

「知事は不在です、連絡はとれません、いつ戻るかもわかりません、

 河川課が対応することになっています、別室を用意しています」などと言って、

知事にも副知事にも会わせようとしません。

秘書課長にさえ連絡をとろうとせず、私たちは何時間も庁舎外で待ち続けました。

そして、待っていても埒が明かないことを悟り、ついに皆で庁舎内に入って行ったのです。

私たちの行く手を必死に遮る河川課職員。

なぜ彼らは、そんなに地権者と知事を会わせたくないのでしょうか?

 

なぜ知事は逃げるのでしょう?

そのことが何よりも地権者を傷つけ落胆させ、知事への不信感を増していることがわからないのでしょうか?

それとも地権者が怖いのか?

地権者の固い意思と正当な道理の前に太刀打ちできない怖さを感じているのか?

激しいもみ合いの中で、そのような思いが頭の中をぐるぐると巡っていました。

 

秘書課との交渉の末、ようやく秘書課長が出て来て抗議文書を受け取ることで話がつきました。

皆を代表して抗議文を読み上げる岩下さん。

「この文書も、皆さんの言葉も、私が責任をもってしっかり知事に伝えます」と約束した秘書課長。

 

その抗議文とは、こちらです。

 

 

これを秘書課長に渡すだけで3時間半もの時間を消費し、県庁内に騒動をまきおこしてしまいました。

職員や来庁者の方々に多大なご迷惑をおかけしたことと思います。

しかし、これは決して私たちの本意ではありません。

知事がすんなり会ってくだされば、あるいはせめて副知事でも対応して下されば、

何の混乱もなく30分ほどで終わったはずです。

 

今回は秘書課長が受け取って下さいましたが、

本来は知事に直接会って渡したかった!

一言でも言葉を交わして受け取ってほしかった!

これが地権者の思いです。私たちの願いです。

それが、そんなに大それた願いですか?不可能な願いですか?

 

副知事さえも出てこない!

長崎県にとって、公共事業の犠牲となる県民の存在とは、そんなちっぽけなものなのですか!

 

今日、中村知事の「誠心誠意」は地に落ちました。