言い訳は得意だけど・・・

今日、佐世保市議会本会議で、山下千秋議員が石木ダムに関して質問をし、

それに対して水道局長が以下のような答弁をしました。

 

 1.県が国へ事業継続報告を行って4か月過ぎたが、まだ有識者会議にかけられない。
   この遅れの理由は何だと考えているか?

 答:遅れる理由は特別見当たらない。
   県も我々も早く結論を出して欲しいと期待している。

 
 2. 県は「事業費も工期も当初計画からの変更はない」と国へ報告した。
   しかし実際は、本体工事着手時期も工事期間も変更、付替道路工事期間も変更。
   試験湛水期間も変更しているではないか。
   しかも、県民にはその変更を知らせていない。
   県のホームページは当初計画のままで発信し続けている。
   国や県民を欺くものではないか?

 答: 国へ提出した報告書を見ると、「工期についても近年の工事個所を参考に点検を行った。
   その結果、完成年度は、平成28年度となり、当初計画からの変更はない」と書かれており、
   完成時期について変更がないという意味で報告がなされたと思っている。
   また、ホームページに書かれていることも当時は正しい情報であったが、
   県が工程表を見直してから更新されてないのは好ましくないので、問い合わせたら、
   しかるべき時期に更新するとのことであった。

 3. 変更された工程表では、25年度から本体工事を始めるとしているが、あと1年数カ月しかない。
   半世紀も反対地権者の理解が得られなかったのに、どうして短期間で用地が取得できるのか。
   それは強制収用しかないではないか。  あなた方は強制収用するつもりなのか?

 答: 地権者の理解を得てやるのが本来のやり方。
   そのために最大限の努力をすると知事も言っている。
   他都市の例を見ても、事業認定の手続きが進む中で話し合いの機会を持つことができ、
   ご理解が得られている。

 4. あなた方が予測した今年度の一日平均配水量はいくらで、直近(先月)はいくらだったか?

 答: 予測は84,901m3。
   先月分のデータは今手元にないので昨年度実績を申すと、72,397m3だった。

 5. 先月の実績値は、69,599m3だ。どんなに予測が過大であったか明白ではないか。
    この乖離についてどう思うのか?

 答: 経済状況がリーマンショック以来依然として低迷しているためと考えている。
   しかし、この状況はいつまでも続かない。この予測値は将来必ず必要になると思っている。

 

大意は以上です。

今回も、旧態依然とした回答でした。

 

水道局長さん、それはあなたの本心ですか?

私は思うのです。

 

1.遅れている理由はわかっているはず。考えたくないのではありませんか?

  地権者が強硬に反対していることが国交省にも有識者会議委員にもばれてしまった。

  通常、有識者会議にかけられると、ほぼ県の判断が追認される。

  しかし、そうなると石木ダムの場合、事業認定もOKとなる可能性が高く、

  それは13世帯を追い出すことにつながるので、国は躊躇している。

  そのように感じているのでは?

2.官僚というか行政マンの偉い方々は、本当に言い訳がお上手ですね。

  いえ、あとで言い訳できるように作文するのが上手いのかな?

  あ、両方ですね。

  もう反論する気もおきません・・

3.この回答を聴いて、山下市議は「今、強制収用はしないという回答を頂きましたが・・・」

  と言いましたが、はたしてそう受け取っていいのか…私は疑問が残りました。

  「地権者の理解を得てやるのが本来のやり方。そのために最大限の努力をする」

  「本来のやり方」と言いました。

  本来のやり方を目指して我々は最大限努力しました。
  だが、その努力の甲斐もなく…だったので、やむを得ず不本意ながら…

  なんてことを言いだす可能性もあるのでは?

5.もうリーマンショックは耳タコです。

  水道局長さん、リーマンショックの前は増え続けていたのですか?

  リーマンショックは平成20年でしたから、その前年の19年度はいくらだったか?

  10年前の平成9年度はいくらだったか?一日平均配水量で比較してみて下さい。

  10年度=82,756m3   19年度=79,369m3

  いかがですか?10年間で3,387m3減っています。

  リーマンショックがあろうとなかろうと減っているのです。

  その減少度合いがより大きくなったとは言えるでしょうが、

  リーマンショックから回復すれば、大きく増加に転じると予測するのはあまりにも楽天的。

  平成29年度には89,462m3になると予測していますが、19年度より1万m3も増加ですよ!

  現実は10年間で約3,400減っているのに、

  その後の10年間で約10,000も増える?

  誰が考えても非常識、非現実的ではないでしょうか。。  

 

  行政マンって、言い訳は得意だけど、数学は苦手?  

 

石木ダム建設促進意見書

7月8日、佐世保市議会では委員会において、

「石木ダム建設促進に関する意見書案」が審議されました。

K議員の加筆修正意見(平成6年〜7年の例の渇水を強調するもの)が出されただけで、

他の議員からの意見は何もなく、わずか15分で委員会は終了。

この意見書案は12日の本会議で可決される予定です。

 

この委員会とは、『石木ダム建設促進特別委員会』、

名前の通り、石木ダム建設を促進するために作られた委員会なので、

促進に関する意見書に反対する議員がいるはずもなく、

予定通りしゃんしゃんと済んだということでしょう。

何の不思議もありませんが・・・

 

前回(3月定例会)までは、委員会の名称が違ったのです。

『水資源確保対策特別委員会』

略して『水特』(みずとく)、と私たちは呼んでいました。

 

佐世保市民の水資源を確保するための対策について議論する委員会で、

その存在意義は大きいものがありました。

長崎県や佐世保市は、「佐世保の水不足を解消するには石木ダムしかない」

と繰り返すばかりでしたが、

昨今の社会的状況の変化から、水不足はほぼ解消されていること、

より多くの水源確保がしたいなら、他にも方法はあることなどを指摘する議員がいて、

いつも真剣な議論が展開されていました。

説明に来る水道局も緊張した雰囲気でした。

 

しかし、その意義ある委員会を佐世保市議会は自ら放棄したのです。

佐世保の水問題を真剣に考えようとする意志は捨てたのです。

石木ダムさえできればそれでいい…と。

水不足解消が目的ではなかった、

ダム建設が目的だった、

と認めたようなものですね。

 

佐世保市民として、とても情けなく恥ずかしいです。

 

水特委員会について

4日のブログを見た山下市議からメールを頂きました。

温かいご感想の後に、ある事実が書かれていました。

ご本人のご了解を得ましたので、その部分を転載させて頂きます。

 

ブログの中で、「委員の皆様も、ほぼ石木ダム推進派の議員ですが、それでは議論の公平さを欠くと考慮したのか、反対派の議員も一人います。」という記述があります。
本筋論ではないのですが、事実関係をお知らせしておいたほうがよいかなと思いました。

1)   おしつけられた

  佐世保市議会には、水特、基地特等4つの特別委員会が設置されています。
  改選期ごとに委員会の設置と構成メンバーが決まります。
  今から4年前、私は基地特を強く希望しましたが、少数会派の悲哀でだめ。残ったのは水特の1席だけ。
  だから山下千秋はここだ。という経過なのです。

2)    出ていくべきだという圧力、意向打診をうけた

  水特に入って、2年経過した頃、委員長から、委員会から出るべきではないかと意向打診がありました。
  委員長の趣旨「水特は建設実現に向けて推進をはかることが目的。あなたは委員会の設置目的に反する」
  というものでした。
  私は、「委員会の名称は水資源確保となっている。水資源には多様な可能性がある。
  私も安定した水資源確保はだいじなことだと思っている。何ら矛盾しない。
  私が水特以外の委員会所属を希望したのに、ここの配置をきめたのあなた方だった。
  日本共産党の1議席だけれども、市民代表の1議席なのだ。
  勝手にこっちだ、あっちだと、もてあそぶようなこの態度は許せない」
  とはねのけた経過がありました。
 
今の感想です。
本来なら委員会総意で、市民総決起集会や、様々な世論キャンペーンだったことでしょう。
しかし、現在の委員会は、推進どころか、石木ダムの必要性が問われ続ける、いわば恒常的な「検証・検討の場」に変質してしまっているというのが実態ではないでしょうか。
「強力に推進・応援する」機関が、「問題チェック受ける」機関になったということではないでしょうか。
そしてその力は、皆さん方の探求した調査研究の成果だと思っています。
真実に迫る皆さん方の努力と、その皆さん方の声を公式の議会に届けることが、それが議員の務めだと思っている私の立場と結びついたからだと思っています。
感謝しています。 
 

以上です。
佐世保市議会の本質、水特委員会の実態を窺い知る内容でした。
皆さんはどのようにお感じになったでしょうか。 

水特委の委員にはなりたくなかった(基地特委員になりたかった)山下市議を入れてしまったのが大失敗!
と気づいた時はもう後の祭りだったんですね。

私たちにとってはたいへんラッキーなことでしたが…。

私は水特委員会を度々傍聴させて頂き、いつもたいへん有難く思っています。
委員会の中で出てくる資料は重要なものが多く、私たち傍聴者にも配布して頂けるからです。

以前はそうではありませんでした。
委員全員と傍聴に来た議員、そして、記者さんたちには配られますが、
私たち一般市民の傍聴者には無しでした。
水道局の方が、「資料の**ページをお開き下さい。ここに書かれているように云々」
と言われても、
私たちは何のことかわからないまま聞くしかありませんでした。
後で、親切な議員さんたちにお願いしてコピーさせてもらったりしていましたが、
部数が多い時はそれも気が引けるし…
それで議会事務局にお願いして、今では私たちも頂けるようになりました。

もちろん資料だけでなく、そこで話し合われることはとても参考になります。

山下市議が指摘なさっているように、
水特委員会は、今や恒常的な「石木ダム検証検討委員会」になっており、
それは同時に「水資源確保対策特別委員会」の名前にふさわしい場に進化しているように思います。

なぜなら、今回議論された内容で言えば、
水需要予測について議論する=水資源の必要量の検証であり、
佐々川の水利権転用について議論する=水資源確保の対策案の検討であるからです。

佐々川の水利権に目を付けたのは、仲間のMさんで、あらゆる資料を情報公開で手に入れ分析、
そこから見えてくる事実を資料としてまとめ山下市議に届け、委員会の場で追及してもらいました。

私たちは政党的には無関係な市民ですが、
主権者としての意思を代弁者である議員さんに託し、力をお借りしています。

何党であろうと、石木ダム問題を真摯に考え、見直す勇気を持って頂きたいと願っています。

かつて、別の委員会で、環境のことをよく考え学ばれている議員さんを知り、
お手紙やメールの交換をしたことがあります。
その方は是非、意見交換の場を持ちたい、会派でも話してみるとおっしゃって下さって、
とても期待していたのですが、それっきり…です。

しかし、少数でも、保守系の議員さんの中にも、こういう前向きな方がいらっしゃるのを知り嬉しく思っています。

佐世保市や長崎県の未来を決めるのは議員さんたちで、
その議員さんを決めるのは私たち市民県民一人一人です。

どのような問題も、まず事実・真実を知ることから。

不都合な真実から決して目をそらさず直視して、そこからより良い対策を共に考えていきたいものです。

 

水特委員会 2月3日

2月3日に開かれた佐世保市議会水特委員会の報告をします。

水特委員会、正式には水資源確保対策特別委員会と言います。

いかにも…って感じのネーミングですね。

こんな名称を度々新聞紙上などで見ると、「佐世保市はまた水不足で困ってるの〜?」
と思っちゃいますよね?

そんな誤解を与えるのがネライでしょうか・・・

実際には、昨年度の9月議会や12月議会の企業経済委員会では、

市民の水の使用量が減って、料金収入が減って、赤字続きで困っております。
是非値上げを認めてくださーい!

と水道局からお願いされて、

しょうがないな〜、でも、3割アップはあまりにもひどいから2割くらいにしませんか〜
などと議論していたくらい。

しかし、この委員会の最大の目的は石木ダム建設の促進なので、この名前でいいのでしょう。

よって、委員の皆様も、ほぼ石木ダム推進派の議員ですが、
それでは議論の公平さを欠くと考慮したのか、反対派の議員も一人います。

山下千秋議員と言いますが、彼はいつもこの委員会で孤軍奮闘頑張っています。

昨日の委員会でもまさにそうでした。

 

この日の議題は、第2回石木ダム「検討の場」の報告と説明でした。

約1時間、分厚い資料に沿って水道局からの説明の後、質問をしたのは山下議員ただ一人。

他の議員は誰一人として発言無し!

もちろん委員長は別です。議長ですから。

熱くなり過ぎて、話が長くなり、質問の内容が分かりづらくなることもたま〜にある山下議員ですが、
委員長はいかなるときも、質問の趣旨を的確にまとめて水道局に伝えるだけでなく、
水道局が回答する前に、水道局が失言しないようヒントを与えることもある切れ者です。

 さて、1時間以上に及ぶ山下議員と水道局とのやり取りの中で、以下の重要なことが明らかにされました。

1.今回提出された平成29年度における佐世保地区の水需要予測は、
  過去(平成19年度)の予測をそのまま採用していた。

2.その提出された予測値が妥当であるかどうか、「検討の場」では何も検討されなかった。

3.佐々川における「既得水利の合理化・転用」について、県も市も考えようともしていなかった。

 

そして、その理由として

1.19年度に提出されたのは18年度までの実績値で、それ以後の実績値は、19年度は渇水年で給水制限をしていたし、またこの年のリーマンショック以降経済状況の異常な悪化により水需要も激減したし、このような突発的な状況下でのデータをもって予測することは、統計学上妥当ではないと考えるから、19年度の資料を採用した。

2.19年度の資料は再評価委員会でも検討され妥当と認められたものであるから、県としてもあらたに「検討の場」で検討する必要はないと考えたのではないだろうか。

と述べました。

そういう体質、「〜だろう」という予断の下で見直しをしてこなかったこれまでのやり方を改めよう、
本当に必要な公共事業なのかどうか、過去の判断に囚われず、徹底的に再検証しよう、
そのために補助ダムにおいては県が主体となってしっかり検討して下さいよ、
というのが国の要請だったはずです。

長崎県は、その要請に形だけ整え、中味は全く無視していると言わざるを得ないのではないでしょうか?

1と2からわかったことは、第1回検討の場で認められた
「新たに必要な水源量4万トン」というのは、全く点検も検討もされてない「予断に基づく数値だった」
ということです。

つまり、第1回検討の場で確認された4万トンは無効です。

改めて見直してください。

再検討して下さい。

無効な数値4万トンを目標値として代替案をいくら検討しても、それは意味がありません。

 

さて、3についてですが、これがまたたいへん重要な問題なのです。

前回の水特委員会で、山下市議は佐々川の水利権の状況について質しましたが、
水道局は、それは水利権者である県に聞かなければわからないということで、
後日確認の上で、文書で回答しました。
それによると、

 佐々川流域は、約500haの農業用水として利用され、灌漑期の使用量が大きく、また、流域自治体並びに佐世保市の水道用水、工業用水により、極限に近い状況で高度に使用されている。
 流域自治体である佐々町も水需要の増加に対応するため、佐々川からの取水量増加を強く要望しておられ、これまでにも協議を重ねられているが、新規水利権については認められていない。

ということでした。
つまり、佐々川にはすでにたくさんの水利権が張り付いて、「極限に近い状況で使用されている」ので、
これ以上佐々川から水をもらおうなんて無理ですよ、というもの。

ところが、第2回検討の場で佐世保市長がおこなった質問(佐々川の水利権の転用)に対する県の回答はこうでした。

 水利権が転用できる条件としては、まず水利用者の判断(遊休であるのかどうか)がなければならない。その判断の上で転用可能な量が出てきたら、今度は河川の流況を見て環境への影響、維持流量などを確認し、また他の水利使用者の同意を得て初めて転用・合理化が可能になる。現時点で既得水利権者からのご議論がない中で、抽象的な回答は控えたい。

というものでした。
つまり、既得水利権者(例えば佐々町や佐世保市や相浦発電所など)から、うちはもうかなり余り気味なのでこの分はお返ししますよ、というような申告が実際にないかぎり、県は自ら調査検討はしないということなのか?

また、佐世保市や佐々町は水道用水が足りない、佐々川からもっと取水させてほしいと、申告してこなかったというのか?

どちらも納得できない話です。

少なくとも佐世保市は、慢性的な水不足だと数10年間に亘って言い続けているわけで、佐々川からの取水量増のお願いは、当然県にしていなければならないはずです。

その要請を受けて、県は河川管理者として、把握している他水利使用者の取水実績をみたり、流況調査をしたりして、その上で「極限に近い状況で使用されている」と回答したのかと思っていました。

しかし、実際は何も検討していなかったのです。

例えば、相浦発電所は、4,800m3/日の水利権を持っていますが、昨年度の取水実績は平均、386m3/日です。過去8年間で平均取水量が最も大きい年でも、699m3/日でした。
つまり、4,000m3は遊休と言えるのではないでしょうか?

また、農業用水として灌漑期の使用量が大きいと言ってますが、水利権23,200m3/日に対し、実際に取水しているのは、平成19年度で言えば、わずか11日間、その取水量も最大で4,560m3でした。
平成17年には25日間、最大で7,000m3。平成12年には2日間だけ。最大5,760m3。
あとは全く取っていないのです。

少なくとも、取水報告がないのです。
私たちの仲間が、平成12年〜21年の分の取水量の情報公開を請求し、出された結果が以上のようなものでした。

この事実を佐世保市水道局は知っていたのでしょうか?

県の河川課は知っていたのでしょうか?

知っていたら、どうして、新たな水源確保案として、佐々川の水利権の転用・合理化を代替案にしなかったのでしょうか?

知らなかったとしたら、それは河川管理者として職務怠慢ですよね。素人のMさんだって簡単に手に入れたデータですから。

それとも、わざと目を逸らしていたとか・・・?