大石知事出席も主張は平行線 石木ダム建設巡り説明会

2025/12/08  長崎新聞

反対住民らも傍聴した説明会。市民委の意見に回答する大石知事ら=川棚町公会堂

長崎県と佐世保市が東彼川棚町で進めている石木ダム建設事業を巡り、県は7日、反対派市民団体への説明会を中組郷の町公会堂で開き、大石賢吾知事が出席した。市民団体側は治水効果は疑問だとして計画の見直しを求めたが、大石知事は「(ダム事業は)法令・手順にのっとって進めてきた。ダムの必要性の議論は終わっている」と事業の正当性を改めて強調し、双方の主張は平行線に終わった。
 今年4月以降、事業に反対する市民団体「市民による石木ダム再評価監視委員会(市民委)」へ県が3回開いた「技術的な疑問に対する説明会」を踏まえ、市民委の質問に大石知事が答える形で進行。ダムの水没予定地で暮らす川原地区の反対住民ら約150人が傍聴した。
 傍聴後、建設に反対する住民の岩下すみ子さん(77)は取材に、「若い知事は気持ちを理解してくれると期待したが、裏切られた。説明会出席は選挙(知事選)前のパフォーマンス」と切り捨てた。
 2032年度までのダム完成を目指す県は、来年度中に本体工事の発注が必要としており、反対住民らが監視のために設置した「団結小屋」が本体工事の支障になるとして、行政代執行による撤去の可能性を示唆している。

長崎県知事が石木ダム建設反対住民と3年ぶりに対面…「ダムの必要性を議論する状況にはない」

2025/12/08  読売新聞

長崎県と佐世保市が川棚町で進めている石木ダム建設事業で、大石知事は7日、同町で開かれた説明会に出席し、建設に反対する地元住民と対面した。大石知事が反対住民と公式に会うのは、2023年1月以来約3年ぶり。

 説明会では、住民側の市民団体から「気候変動の影響を踏まえて計画を見直さないのか」と問われ、「見直す状況にないと認識している」と回答。ダムの必要性について検証する場を設けるように求められた際には、「必要性について議論する状況にはない。地元の理解を得る努力を続けていく」と述べた。

 石木ダムは、佐世保市の渇水対策などを目的としたダム。1975年度に事業採択されたが、反対住民との対立で工期の延長を繰り返している。2032年度の完成を目指す県は、来年度中に本体工事の契約を発注する必要があるとしているが、建設予定地に残る小屋が工事の支障となる可能性がある。

石木ダム、県が説明会 反対住民ら「根拠なき事業」 地元で11年ぶり

2025/12/8 毎日新聞

YAHOOニュース(NIB長崎国際テレビ)
石木ダム建設事業 反対住民向け説明会に150人 知事「必要性を今議論する立場にない」

石木ダム建設事業 反対住民向け説明会に150人 知事「必要性を今議論する立場にない」《長崎》(長崎国際テレビ) – Yahoo!ニュース

県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設事業を巡る動きです。 県は7日、反対する住民や市民団体向けの説明会を開きました。

NIB長崎国際テレビ

川棚町で開かれた石木ダム建設事業に関する説明会。 事業の検証を求める市民団体の質問に、大石知事が応じる形で行われ、会場には水没予定地で暮らす反対住民を含む約150人が詰めかけました。

NIB長崎国際テレビ

市民団体側はダムの治水効果への疑問点や、裏付けとなるデータの不足を指摘しましたが、大石知事は事業の正当性を主張し議論は平行線に終わりました。 (大石知事) 「必要性については県として今議論する立場にないと。我々にできる説明はこれからも丁寧にやっていきたい」 (反対住民 岩下 すみ子さん) 「何回来た、何回来たという格好ばかり。そういう対応には納得していないから会わない。聞けば聞くほどいらないダム」 石木ダム建設を巡っては去年、事業計画が見直され、県は工期を7年延長し、完成予定を2032年度としています。

石木ダム事業継続 公共事業評価監視委員会が承認

石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認|NHK 長崎県のニュース

石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認

長崎県と佐世保市が川棚町で進めている石木ダムの建設事業が2日、県の公共事業評価監視委員会に諮られ、県側から事業費を420億円に増やすとした対応方針案が示されましたが、委員会は事業の継続を承認しました。

石木ダムは長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めているもので、地元住民の反対もあり、事業の採択から半世紀近くたつ今も完成していません。

この事業が2日、有識者などで作る県の公共事業評価監視委員会に諮られ審議が行われました。

この中で、県側は資材価格が高騰していることや、追加の地質調査が必要になったなどとして、事業費を今の285億円から420億円に増やすとした対応方針案を示しました。

また、完成時期についても、これまでに予定していた来年度末から令和14年度末へと7年延長することを説明しました。

これについて、委員会は質疑を行ったうえで、事業の継続を承認することを確認しました。

2日の委員会には石木ダムの建設に反対する住民たちも傍聴に訪れていて、事業の継続が承認されると抗議の声を上げていました。

石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】|ニュース|KTNテレビ長崎

石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】

2024年08月02日 19:15

長崎県東彼杵郡川棚町の石木ダム建設事業をめぐり、県は事業費を現在より135億円増やし完成時期を7年延長した2032年とする考えを示しました。

長崎県の担当者
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり早期に完成させる必要があるため、事業継続をお願いしたい」

石木ダムは当初1979年の完成を目指していましたが、地権者などの反対でこれまで完成時期が9回変更されていました。

長崎県の公共事業について再評価する委員会で、長崎県はダム事業の継続と完成時期を現在の2025年度から7年伸ばした2032年度とすること、事業費を現在の285億円から1.5倍の420億円とする方針を示しました。

増額について長崎県は追加調査や建設業の働き方改革、資材の高騰などを理由に挙げています。

委員から異論などは挙がらず長崎県の方針を承認しました。

住民の岩下すみ子さん「私たちが求めているのは本当にこのダムが必要かを検証してほしいとういこと。もっと現地を見て、私たちの声を聞いて、そんなこともしないで何百億円の予算がついたらどんなことになるか」と話し、岩本宏之さんは「長崎県知事が話し合いによる早期完成を目指すのであれば、7年も伸ばさず代執行を早くしてくださいと。そこまで覚悟して戦っている」と述べています。

委員会は長崎県に対し「地元住民への説明や意見の聞き取りが足りない」として、対話の場を設けるよう求めました。

 

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額 | 長崎ニュース | NCC長崎文化放送 (ncctv.co.jp)

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額

県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムについて、県の公共事業を再評価する委員会は2025年度としていた完成年度を7年延期する方針を決めました。
石木ダム建設事業の工期の延長は国が1975年に事業を採択して以降10回目です。

県土木部河川課:
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり、早期に完成させる必要があるため、『事業継続』でお願いしたいと思っております」

2日に開かれた県公共事業評価監視委員会で、5年前(2019年)に2025年度としていた完成時期を7年延期し、2032年度にする方針が承認されました。県は延期の要因について、建設工事が反対住民の座り込みなどの妨害の影響で遅れたことや建設業の働き方改革の対応のためとしています。

また前回(2019年)の事業再評価以降、消費税率が変わったことや、資材価格や人件費の高騰、今後の物価上昇や予見できない事業費の変動に備えるため、総事業費は現行の285億円から135億円増額し、420億円となる見込みです。

石木ダム建設予定地の川原地区では、2019年に土地の明け渡し期限が過ぎた後も、建設に反対する13世帯が暮らしています。

石木ダム反対住民・岩下すみ子さん:
「まだ私たちは住んでるんですよね。そういう住んでる地権者の声は今までも全然反映されない。怒り心頭ですよ。もう震えます」

委員会は県に住民との対話を進めてほしいと述べました。

石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》(長崎国際テレビ) – Yahoo!ニュース

石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》

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「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委 (NBC長崎放送) –

Yahoo!ニュース

「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委

配信

NBC長崎放送

 

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委

石木ダム建設事業の経過

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は2日、総事業費を現行の約1.5倍の420億円に増額し、完成時期を7年遅れの2032年度とする方針を県公共事業評価監視委員会(友広郁洋委員長)に諮問し、事業継続が承認された。事業費の見直しは07年度以来で、完成時期の延長は当初目標の1979年度から10回目の延期となる。
石木ダム建設事業は治水と利水を目的に県と佐世保市が共同で進めている。評価監視委は県が実施する公共事業について、一定期間ごとに再評価。2日は長崎市内で、治水面の費用対効果などを審議した。
県は増額の理由について、資材高騰など社会的要因が約37億円、工事が進んだ結果、地盤補強が必要な範囲が当初想定より広がるなど事業の進捗(しんちょく)に伴うものが約67億円と説明。このほか、工期延長やリスク対策費の追加を挙げた。
7年間の完成遅れについては、建設に反対している地元13世帯の住民らによる抗議活動の影響、建設業界における働き方改革への対応を理由に挙げた。
増額後の治水面の費用対効果について、県は管理を含む費用約468億円に対し、事業の便益は約519億円で「1.11」と試算。現行の「1.21」より下方修正するとしたものの効果は見込めるとした。評価監視委は今後、議論の内容を踏まえ大石賢吾知事に事業の継続を承認する意見書を提出する。
新たな工程表では付け替え道路工事を30年度、ダム本体工事を31年度までに完了させ、32年度に試験湛水(たんすい)を実施する。増額により、負担額(国の補助を除く)は県が約137億円、佐世保市が約82億円となる。
会場には反対住民や支援者ら45人が傍聴に詰めかけ、事業継続が承認されると不満の声が上がった。

 

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎

石木ダム建設事業の継続承認に不満そうな表情を浮かべる反対住民ら=長崎市元船町、平安閣サンプリエール

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県公共事業評価監視委員会は2日、事業の継続を承認した。反対する市民団体が求めていた専門家からの意見聴取や現地視察の機会は設けられず、傍聴席からは抗議の声が上がった。一方、完成目標を7年遅らせる工期延長も決まり、水害や渇水の不安を訴える建設推進派からは不満も漏れた。
「なんで認める結論になるのか」「おかしいじゃないか」。同委員会が事業を継続する県の方針を承認すると、傍聴席からは怒号が飛び交った。市民団体「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」のメンバーが立ち上がり、「委員会は県の御用機関ではない。事業を厳しくチェックする本来の職責を十分果たしてほしい」と訴える抗議声明を読み上げた。
この日は、水没予定地の川原地区から十数名の住民が建設反対の座り込みを止めて傍聴に訪れた。同地区に嫁いで約50年になる岩下すみ子さん(75)は「(反対する)住民の声は反映されず、人権無視のやり方。委員は現地も訪れない。本当に悔しい」と語気を強めた。反対する住民の岩永正さん(72)も「(県が委員会から)お墨付きをもらうための会だった」と落胆した。
一方、佐世保市では渇水への不安を訴える住民がいる。「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「一日も早い完成を求め続けてきた。完成目標がまた延び、残念の極みだ」と話した。
事業継続の承認について、県と佐世保市は「現時点での(知事と市長の)コメントは控える」。川棚町の波戸勇則町長は推進する立場から「水源地域住民の理解なくして進展はない。大石賢吾知事には(反対住民と)早期に話し合いの場をつくってほしい」と要望するコメントを出した。
委員会終了後、友広郁洋委員長は「審議は尽くされた」と強調。反対派からの抗議を踏まえ「住民の理解が最優先。(その点は)県に意見書を出す中でまとめたい」と述べた。

 

石木ダム建設費1.5倍に!

石木ダム再評価について審議される公共事業評価監視委員会を3日後に控えて、ようやく情報が開示されました。

事業費が1.5倍に膨らむというのに、それを負担する県民には直前まで知らせず、県が選んだ委員による「第三者委員会の賛同を得て、増額を決定しました」としようとする県の思惑が透けて見えます。

工期も7年延長!これについても、県民はおろか地元住民にも知らせないまま、3日後の委員会でお墨付きを得ようとしている。その委員会も住民の意向を聴こうともせず判断しようとしている。

こんなやり方で公共事業と言えるのでしょうか?!

県による石木ダム再評価の審議は、8月2日、サンピエールで開かれます。詳しくはこちら。令和6年度 第2回 長崎県公共事業評価監視委員会の開催について | 長崎県 (pref.nagasaki.jp)

市民による石木ダム再評価の審議は、8月3日、勤労福祉会館で開かれます。


第2回市民による石木ダム再評価監視委員会の案内

ぜひ多くの方が傍聴されますよう、拡散よろしくお願いします。

求められる知事の政治決断

長崎新聞は今日の『論説』で、知事に政治決断を求めている。

行政代執行か、事業断念か。

何故なら、「解決の道筋が見えないまま、県と住民が対峙し続ける現状は不幸でしかない」「現状は過去の県政の積み重ねの結果」だから。

それは多くの県民が同意するところだと思う。

しかし、知事に丸投げであっては無責任だ。私たち県民の無関心が、歴代の知事たちの決断を先送りさせてきたことも反省すべきだ。

「問題の本質から目をそらしている」

問題の本質とは何か?やはり、今、そしてこれから、この石木ダムが本当に必要なのかという見極めだろう。

「長年にわたり事業継続の理屈を重ねれば重ねるほど、その信憑性は揺らぐ一方だ」

半世紀経っても、ダム堤はまだ1mmもできていない。その現実が事業の意義の乏しさを証明しているのではないだろうか。

いずれにしても、今回の石木ダム再評価は、ますます重要となってきた。科学的で公正な審議を行なって、知事の判断を助けることができるかどうか、注目したい。

人口減少率第5位の長崎県に 石木ダムは要らない!

2050年には日本の人口は2020年と比べ、17%減少し、1億468万人ほどになるという。(12月22日、厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所発表)

減少しないのは東京都だけ。他の道府県は皆マイナスだが、その減少率は濃淡がある。30%以上の減少率が予測されるのは、宮城県を除く東北各県と新潟、和歌山、山口、徳島、高知、そしてここ長崎県。

こちらは、12/23付長崎新聞2面の表。

九州・沖縄地方では、沖縄県が一番減少率が低くて5.2%、次いで福岡が12.8%、その他の熊本、佐賀、大分、宮崎、鹿児島はみな20%台で、長崎県のみが33.8%の大台。長崎の減少率は全国で第5位の高さ。

長崎新聞の一面には県内21市町の推計値の表も。人口減少率50%を超える市や町が6つもある!

ここ佐世保市の減少率は31.8%の見込み。
3割以上も人口が減れば、水道使用量が減るのは必至!


「風呂は2日に1回? もう住めない? 水源地の水道料金、急騰の謎」

https://mainichi.jp/articles/20231221/k00/00m/040/366000c

こちらは、12月22日の毎日新聞記事。
水源はたっぷりあるのに水道料金の高騰で住民が悲鳴を上げているという愛知県新城市の話題。値上げの理由は人口減少。

人口減少で水道料金収入は減るが、老朽化した設備整備の更新に莫大なお金が掛るので水道料金を値上げせざるを得ない。
浦上教授が言うように「人口減少が進む日本ではどこでも起こりうる」こと。
同趣旨の記事は3年前にもあった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/12632ba0830ccd9e67572c5cf9b629d7a4af8fa3

こちらは横浜市の水道料金値上げの記事だが、その背景と対策を水ジャーナリストの橋本淳司氏が分りやすく解説している。

・人口減少+水道設備の老朽化→料金収入減少、更新費用は増加→水道料金値上げ
値上げ回避のため職員削減+業務の民間委託→既に限界・災害時に対応できない
見直すべきは設備水使用量減少→施設のダウンサイジング
現有施設を有効活用すること、大事に長く使うこと、無駄な設備を廃止していくこと、計画中の施設でも今後有効に使えないなら中止にすること。

どう考えても、今さら石木ダム建設はあり得ない!

生活再建に向けた基金創設!?

7月20日、大石知事は佐世保市の宮島市長とトップ会談。少子化対策をはじめ、医療提供、IR誘致、石木ダム等々の課題について非公開で意見を交わした。

その後の会見で判明したこととして、注目の石木ダムについて毎日新聞が詳しく報じている。 記事によると、両者の共通認識(石木ダムは必要不可欠)を踏まえた上で、大石知事から次のような提案が示された。

●建設予定地住民の生活再建に向けた基金を創設する。

●基金は県・佐世保市・川棚町が対象で、連携し協議する。

●建設反対住民については理解を求める努力を継続する。

 宮島市長はこれまで通り「県と連携し取り組んでいく」と話したと書かれているので、知事の提案通り、基金創設に向かうのだろう。

ちょっと待った!これでは本末転倒ではないか。

住民の皆さんが求めているのは、お金ではない。ダムの必要性についての真摯な話し合いと公正な検証だ。

かけがえのない故郷への愛着と誇り、守り続けてきた先祖への感謝と継承責任。これらを乗り越える必要性を示して欲しいのだ。

それには応じないで、生活再建のためと称して目の前にお金をぶら下げるとは、住民を貶める発想だ。

長崎県や佐世保市の考える解決策とは所詮そんなものなのか…

住民の皆さんにとっての幸せはお金では買えない。だからこそ半世紀も闘い続けているのに、その想いが何故未だに理解できないのか不思議でならない。

今日の長崎新聞を知事や佐世保市長も読んだだろうか?

石木ダム工事のため、半分近くの田んぼが破壊されてしまったKさん。ショックと悔しさを乗り越え、子や孫や親戚の人と力を合わせ、残った田んぼに今年も稲を植えた。

その孫は「ばあちゃんがここを守っている。できるかぎり続けていきたい」と語り、Kさんは「秋の稲刈りもみんなで集まりたい」と願ったそうだ。

Kさんの幸せ、こうばるの皆さんの幸せを奪うほどの必要性が本当に石木ダムにあるのか。

まずはそれに向かい合うこと。

住民の皆さんの疑問に真摯に答え、説明責任を果たすこと。

その結果ダムの必要性が理解されたなら、その後で生活再建の話、お金の話などをするべきだ。順番が逆になると、お金が欲しくてダム建設を容認したと誤解する人々も少なくないだろう。

誇り高きこうばる住民にとっては、ますます容認し難くなる。

それが予想できないなら、半世紀に及ぶ闘いで県は何も学んでこなかったことになる。

予想できて、敢えて打ち出したのなら、その意図は何なのか…

市民と対話する水道局になってほしい!

6月13日、『佐世保の水源対策勉強会』が宮島市長に要請書を提出しました。

受け取ったのは稲富泰彦秘書課長です。
その内容は、以下の通り。

要請事項:市水道局の市民への対応が改善されるよう指導していただきたい。

市水道局の対応:市民団体からの質問に対し、対面での説明を頑なに拒否し続けている。

なぜ対面での説明を求めるのか:文書による回答だけでは、水道施設の仕組みなど十分に理解できない。施設見学、あるいは写真や図面を使って対面での説明が必要。

なぜ今なのか:宮島市長は就任会見で「市民との対話を重視した市政をつくりたい」と述べた。その実現を私たち市民は願っている。宮島市政の方針に逸脱している水道局の姿勢を正して欲しい。

佐世保市水道局も昔はこうではありませんでした。
2009年、「水問題を考える市民の会」の要請に応じ、水道局の職員の方が勉強会の場に出向いて説明してくださいました。事前にパワーポイントで資料を作成し、それをスクリーンに映し出して説明されるので本当に分りやすかったです。
また、それでも分らなかったことや新たな疑問について世話役の人がまとめて提出すると、2回目はそれらの疑問にしっかり答えてくださいました。
そのようにして、合計3回も説明に来ていただき、私たちは水道事業の大変さや大切さを大いに認識することができました。

あの当時できていたことが何故いまはできないのでしょう?
できないのではなく、やらないのかな?
それが今の水道局の方針なのかな?
何故???

要請書はこちらです。宮島市長へ水道局の対応改善要請2023.06.13

特に2枚目と3枚目の「水道局とのやり取り」の抜粋部分をご覧ください。市民からの再三のお願いを拒否し続けている当局の、異常なまでの頑なさがご理解いただけるかと思います。

新聞報道はこちらです。

長崎新聞 2023/6/14

 

 

 

 

 

 毎日新聞 2023/6/14

 

 

 

 

 

追伸:新聞には「反対派要請」とか「石木ダム建設に反対する市民らでつくる『佐世保の水源対策勉強会』」などと書かれていますが、同会のメンバーとして補足させていただきます。

石木ダムに賛成か反対かと問われれば、多くのメンバーが反対ですが、
同会の目的はあくまでも「佐世保の水源対策」を考えることです。

石木ダムに賛成の人も反対の人も、どちらでもない人も、
同じ佐世保市民として、佐世保の水源の現状を知り、課題を知り、
将来も安心して暮らしていくために、皆で解決策を考えていきたい。
できれば水道局の方とも一緒になって…と願っている会です。

だから、どうぞ、この勉強会に対して、反対派集団というようなレッテルは貼らないでくださいね。佐世保市民なら誰でも大歓迎です!
よろしくお願いします。(^_^)

石木ダム共有地権者、長崎県と佐世保市に『覚書』履行を要請

あまり知られていないが、石木ダム建設予定地には共有地が2ヶ所存在する。
半世紀にわたりダム建設に反対し、ふるさとを守り続けている川原住民を支えたいと思う人たちが、1つは2009年に、もう1つは2013年に住民の方の山林の一部を共同で所有することにした。

その共有地権者の中の84名が長崎県知事と佐世保市長へ要請書を提出した。代表の遠藤保男氏が横浜から来県し、6月6日に県庁、7日に佐世保市役所を訪れ、担当者に手渡した。その要請書はこちら。
石木ダム事業起業者への要請:長崎県へ
石木ダム事業起業者への要請:佐世保市へ

その趣旨は「覚書の遵守」、つまり「石木ダムの必要性について川原住民との話し合い」を実行するようにということ。

 
8日の朝日新聞の記事がこの要請の目的をしっかり伝えているので、一部抜粋させていただくと、

覚書は1972年7月、県が石木ダムの予備調査を始める前に住民側と結んだ。「建設の必要性が生じたときは、協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と明記。久保勘一知事(当時)と、住民の代表3人が署名押印した。ただ、県は3年後の75年、事業に着手。2021年9月に本体工事を始めた。 

6日に県庁を訪れた共有地権者らが県に指摘したのが、この覚書の「不履行」だった。

「石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」の遠藤保男代表は「同意していないのに収用地での工事が強行されている」と指摘。地権者の松本美智恵さんは「県と地元の対立の原点がこの覚書の反故だ」と語った。 

覚書は、住民らがダム関連工事の差し止めを求めた訴訟で論点の一つになったことがある。21年の二審・福岡高裁判決は、覚書があるにもかかわらず、地元の理解が得られていないと指摘。「今後も理解を得るよう努力することが求められる」と見解を示し、県に合意形成の必要性を説いた。 

事業主体の県はどう考えているのか。県土木部の担当者は取材に対し「覚書は今も有効で、履行している」と述べ、覚書に違反する手続きはとっていないとの認識を示した。長年、説明会の開催や戸別訪問などで事業への理解と協力を得る努力を続けてきたとしている。 

 覚書は今も有効で、履行している?!

なんと不可解な回答だろう。

「覚書を履行している」のが本当なら、住民がダム建設に同意した文書が存在するはずで、それを提示して欲しい。

それが存在しないならダム建設は諦めているはず。しかし、現実は同意文書もなく、ダム建設は進めている。

どうして「履行している」などと言えるのだろう?

一方、「覚書は今も有効」とのこと。よかった!

では、これからも覚書について、私たちはしっかり県に問い続け、履行を求め続けよう。(*’▽’*)

マスコミ各社のオンライン記事はこちら。

NBC長崎放送:石木ダム建設反対の市民団体 知事との話し合いを要請
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/530101?display=1

KTNテレビ長崎:石木ダム建設は必要ない」市民団体が話し合いの場を要請
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20230607008

朝日新聞:石木ダム「地元の了解なしにつくらない」半世紀前の「覚書」はいま https://digital.asahi.com/articles/ASR6774P6R67TOLB00C.html?iref=pc_photo_gallery_bottom

毎日新聞:「知事と話し合う場を」石木ダム反対、市民団体が要請書 https://mainichi.jp/articles/20230607/ddl/k42/040/379000c

オマケの写真と呟き。ここは水道局庁舎内。要請のための会場確保を待っているところ。

1週間前に代表本人から要請書を提出に行くので会場を確保しておいて欲しいと電話で依頼していたにもかかわらず、会議室はみな埋まっていて確保できなかったとのことで、その会議が終わるまで約1時間も待たされた。

遠来の代表はじめ参加者の多くが70代前後の高齢者ばかり。宮島市長は就任会見で、「対話を重視した市政をつくりたい」と語っていたはずだが???

(取材考記)外れた需要予測

(取材考記)外れた需要予測 利水ダム、治水活用柔軟に 

(朝日新聞2022年9月15日 16時30分) https://digital.asahi.com/articles/DA3S15417453.html?pn=2&unlock=1#continuehere

放流する温井(ぬくい)ダム。2002年の運用開始後、事業に参加した広島市は一度も水を使っていない=01年、広島県安芸太田町 

水道水などに使う利水目的のダム開発をめぐり、国の事業に自治体が参加したものの、一度も水を利用していないケースがあると聞き、取材した。

大半の自治体は「人口が増えると想定していた。予定通りではないが、渇水などの時に備えている」と説明した。ただ、何人かの担当者からは「何か良いアイデアはないですかね」とも聞かれた。

昨秋の時点で、ダム事業に参加した広島市など11の水道事業者が、10年以上水を使っていなかった。建設費の負担は計576億円、維持管理費は毎年計2億円かかる。小さな自治体にとってはそれなりの金額だ。

ダムが着工されたのは1970~80年代。当時は日本経済は拡大し続けると思われていた。各自治体も企業進出などで工場ができ、雇用も増え、水が必要になると見込んでいたという。だが90年代にバブル経済が崩壊すると、日本経済は曲がり角にさしかかる。少子化が進み、2011年からは人口減少が続く。

水の使用量が増えなくても、ダム事業は複数の関係者で進めてきただけに、勝手に撤退はできない。その結果、「予備の水源」ということになったようだ。

会計検査院OBの星野昌季弁護士は「10年くらい経過して実績が見込めないならば、見直しに着手するのは当然。(契約内容は社会的事情の変化に応じて変更されるという)事情変更の原則にしたがって、国に維持管理費の減免などの協議を求めるべきだ」と話す。

一方、豪雨などの際に水をためて洪水を防ぐ治水用のダムは、近年の水害の増加によって、容量に余裕がなくなってきている。

これを受け、国は19年に利水用のダムの容量を、治水用にも活用する方針を決めた。全国に稼働中のダムは約1500基あり、容量は計180億立方メートル。うち治水用の容量が54億立方メートルなのに対し、利水用は125億立方メートル。大雨が予想される際、利水用にためていた水を事前に放流すれば、空いた容量を洪水調整に使える。

ただ、多くの利水用のダムでは事前放流できる吐き出し口がなく、改良が必要だ。事前放流したあと水がたまらなかったら渇水に陥るという懸念もある。取り組みはこれからだ。

公共事業はよく「走り出したら止まらない」と言われるが、人口減少社会では当初の想定通りにならないケースが増えてくる。決まった使い方をせずに柔軟性をもたせることが、新しい公共事業の姿だと考える。

(西部報道センター)

座小田英史(ざこだ・えいじ) 他の全国紙をへて、2005年に朝日新聞に入社。経済部や特別報道部などで、財務省や国土交通省などを担当。安倍政権下で配布された布マスクをめぐる問題など、税の無駄遣いに関する取材を続けている。